JP2661490B2 - 継目無管製造における外面潤滑方法 - Google Patents

継目無管製造における外面潤滑方法

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JP2661490B2 JP32480392A JP32480392A JP2661490B2 JP 2661490 B2 JP2661490 B2 JP 2661490B2 JP 32480392 A JP32480392 A JP 32480392A JP 32480392 A JP32480392 A JP 32480392A JP 2661490 B2 JP2661490 B2 JP 2661490B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、継目無管製造工程の
傾斜圧延において、焼付き防止のための潤滑剤による外
面潤滑方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管の製造法の一つであるマンネ
スマンプラグミル圧延法においては、各工程において使
用されるロール、プラグ、ガイドシュー等の工具は、耐
熱性、耐摩耗性に優れた鋳鉄や鋳鋼等を使用しており、
被圧延材との焼付きが起こり易い。焼付きが発生した場
合は、その製品表面に疵として残るため、製品は手入れ
を必要とし、また、工具については取替えるか、手入れ
する必要がある。
【0003】被圧延材と工具間の焼付きを防止する方法
としては、工具の材質を改善することが考えられるが、
耐摩耗性と耐焼付性を両立させることは極めて困難であ
る。他の対策としては、潤滑剤の使用があり、一般には
工具への潤滑剤塗布が行われている。この場合は、効率
良く潤滑することは困難で、潤滑剤や塗布方法が継目無
鋼管製造上の重要な位置付けとなっている。特に最近で
は、客先からの継目無鋼管表面性状への要求が厳しくな
ってきており、また、ステンレス鋼等の高合金鋼の継目
無鋼管も増加しており、潤滑の必要性はますます高まっ
てきている。
【0004】継目無鋼管の製造に使用される傾斜ロール
型穿孔圧延機においては、傾斜ロール型穿孔圧延機で穿
孔圧延される素管の外径が必要以上に膨らむのを防止す
るため、穿孔圧延機出側にガイドシューが設置されてい
る。このガイドシューとしては、プレート型のものやデ
ィスクロール型のものが用いられるが、いずれの型式の
ガイドシューを用いても、素管がその回転に伴ってガイ
ドシューと摺接するため、ガイドシューに焼付きが生じ
ると、素管外面を引っ掻いてシューマークと称する引っ
かき疵が生じる。
【0005】このシューマークの発生を防止するには、
素管外面とガイドシュー間に潤滑剤を介在させ、ガイド
シューの焼付きを防止する必要がある。被圧延材とガイ
ドシューとの間に潤滑剤を供給する方法としては、水溶
性黒鉛等を穿孔中にガイドシューの被圧延材との摺接面
に塗布する方法が従来から実施されている。また、傾斜
穿孔圧延に使用される潤滑剤としては、金属酸化物系の
液状潤滑剤が知られている。その使用方法としては、被
圧延材とガイドシューとの間に潤滑剤を供給する方法
(特開昭63−234092号公報)、加熱前の被圧延
材または穿孔機に供給する直前の加熱された被圧延材に
潤滑剤を塗布させる方法(特開昭60−184410号
公報)等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】穿孔機のような傾斜圧
延機におけるガイドシュー潤滑は、被圧延材とガイドシ
ュー間に連続的に適正量を供給しなければならない。前
記特開昭63−234092号公報等に開示の方法は、
被圧延材とガイドシュー間の面圧が高く、たとえ供給量
を適正に制御したとしても、潤滑に寄与する量は適正と
は限らず、一般的には潤滑不足となりガイドシューの焼
付きによるシューマークが発生する。また、特開昭60
−184410号公報に開示の方法のうち、加熱前の被
圧延材に潤滑剤を塗布する方法は、第一穿孔機に対して
のシューマーク防止対策として有効であるが、第二穿孔
機以降の圧延機に対しての焼付き疵防止対策としては不
十分である。その根拠は、加熱前の被圧延材に塗布した
潤滑剤は、加熱や加熱後の搬送では殆ど剥離しないの
で、第一穿孔機の圧延には寄与するが、第一穿孔機での
圧延を終えた段階では付着残量が大幅に減少しており、
残った潤滑剤も第二穿孔機に至るまでの被圧延材転動中
に生じるスケールと共に殆ど落下してしまうからであ
る。
【0007】さらに特開昭60−184410号公報に
開示の方法のうち、第一穿孔機、第二穿孔機に供給する
直前の加熱された被圧延材に潤滑剤を塗布する方法は、
前記加熱前の被圧延材に潤滑剤を塗布する方法の問題を
解決できる。しかし、使用されている潤滑剤は、EHコ
ート(アイコー(株)の商品名)に水を加えたものであ
る。EHコートに水を加えると、その粘度は、加える水
の量にもよるが、通常の使用法では200センチポアズ
(以下cPという)以下まで低下する。このような水添
加によって低粘度となった潤滑剤は、加熱後の高温の被
圧延材に塗布すると、潤滑剤中に含まれている水が爆発
的に水蒸気化し、潤滑剤がはじけ飛んで潤滑剤の付着効
率が著しく低下し、焼付き疵の発生を完全に防止できな
くなる。また、被圧延材が比較的低温となるサイザー、
レデューサーに適用した場合は、逆に水の蒸発が不十分
となって付着性が低下し、十分な潤滑効果が得られな
い。
【0008】この発明の目的は、被圧延材とガイドシュ
ー間に常時確実に潤滑剤を供給し、潤滑に寄与する量を
適正値に制御してガイドシューの焼付きを防止し、ガイ
ドシューの焼付きに起因するシューマークの発生を抑制
できる継目無管製造における外面潤滑方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、粒径が
2mm以下の金属酸化物粉末:10〜60質量%、固形
分として珪酸ナトリウム10〜50質量%を含有する水
溶液からなり、粘度が200〜5000cPである潤滑
剤、または該潤滑剤に2質量%以下の分散剤または増粘
剤のうちの1種以上を含有する潤滑剤を、穿孔圧延機入
側にて被穿孔素材外表面に塗布して穿孔圧延するのが効
果的であることを究明し、既に特許出願(特願平3−1
4005)している。
【0010】さらに研究を重ねた結果、上記潤滑剤を塗
布するに際し、穿孔時の外径に応じ、適正なノズル径、
ノズル噴射角度、ノズル数、塗布圧力、供給量で塗布す
ることによって連続的に供給し、被圧延材に20g/m
2以上塗布することによって、ガイドシューの焼付きに
起因するシューマークの発生を防止できることを究明
し、この発明に到達した。
【0011】すなわちこの発明は、粒径が2mm以下の
金属酸化物粉末:10〜60質量%、固形分として珪酸
ナトリウム10〜50質量%を含有する水溶液からな
り、粘度が200〜5000cPである潤滑剤、または
該潤滑剤に2質量%以下の分散剤または増粘剤のうちの
1種以上を含有する潤滑剤を、穿孔圧延機入側にて被圧
延材外表面に噴霧塗布して穿孔圧延する継目無管製造に
おける外面潤滑方法において、被圧延材の外表面に付着
量20g/m2以上噴霧塗布するのである。
【0012】
【作用】この発明においては、粒径が2mm以下の金属
酸化物粉末:10〜60質量%、固形分として珪酸ナト
リウム10〜50質量%を含有する水溶液からなり、粘
度が200〜5000cPである潤滑剤、または該潤滑
剤に2質量%以下の分散剤または増粘剤のうちの1種以
上を含有する潤滑剤を、穿孔圧延機入側にて被圧延材外
表面に付着量20g/m2以上塗布するから、被圧延材
とガイドシュー間には常に潤滑剤が20g/m2以上存
在した状態で圧延されることとなる。被圧延材とガイド
シュー間に潤滑剤を20g/m2以上存在させた状態で
圧延すると、ガイドシューの焼付き発生が防止され、ガ
イドシューの焼付きに起因するシューマークの発生を抑
制することができる。
【0013】この発明において、潤滑剤付着量を20g
/m2以上としたのは、本発明者らが単位面積当りの潤
滑剤付着量と疵発生率との関係について実験を重ねた結
果、図1に示すとおり、潤滑剤付着量が20g/m2
境にして疵発生率が大きく変動し、潤滑剤付着量が20
g/m2未満では、シューマーク発生防止効果が殆どな
いが、潤滑剤付着量が20g/m2以上となると、シュ
ーマーク発生防止効果が極めて顕著となり、通常の鋼管
Aでは潤滑剤付着量30g/m2以上でシューマーク発
生を皆無とでき、ステンレス鋼管B(SUS304)に
おいてもシューマーク発生を大幅に低減できることによ
る。
【0014】上記潤滑剤付着量を20g/m2以上を実
現させるためには、潤滑剤の付着効率、供給量、塗布面
積を適正値にすればよい。このうち潤滑剤の付着効率
は、本発明者らが行った実験の結果、図2に示すとお
り、塗布圧力と密接な相関があることが確認されてい
る。潤滑剤の供給量は、塗布圧力から求めた付着効率に
基づいてポンプ仕様、ノズル径を選択決定する。塗布面
積については、実験するまでもなく、外径から計算によ
り求めることができる。
【0015】この発明の潤滑剤に使用される金属酸化物
粉末としては、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO
2珪酸)、酸化鉄(Fe23またはFe34)、クロム
酸化物(Cr23)などを挙げることができる。金属酸
化物粉末の粒径を2mm以下としたのは、アバタ疵の発
生を防止するためである。金属酸化物粉末の含有量を1
0〜60質量%としたのは、10質量%未満ではガイド
シューに焼付きが発生し、60質量%を超えると金属酸
化物粉末の分散安定性が損なわれると共に、ゲル化(高
粘度化)によりスプレー塗布作業が困難になるからであ
る。
【0016】固形分としての珪酸ナトリウムは、金属酸
化物粉末を被圧延材に付着させるためのバインダーであ
る。この発明の潤滑剤は、珪酸ナトリウムの水溶液であ
る水ガラスと金属酸化物粉末等との混合物である。この
珪酸ナトリウムの含有量を10〜50質量%としたの
は、10質量%未満ではバインダーとして機能しないた
め必要な付着量が得られず、50質量%を超えるとゲル
化してスプレー塗布作業が困難となるからである。
【0017】分散剤としては、ナフタリンスルホン酸ソ
ーダホルマリン縮合物、スチレン・無水マレイン酸共重
合樹脂のソーダ塩、ポリアクリル酸ソーダ塩等のアニオ
ンタイプ、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、
ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等の
ノニオン(非イオン性)タイプ等の界面活性剤を、金属
酸化物粉末の水ガラス溶液中における分散度安定性を向
上させ、スプレー塗布作業を円滑にするために適宜添加
する。ただし、分散剤は、多量に添加しても効果が飽和
するため2質量%を上限とする。
【0018】増粘剤としては、カルボキシメチルセルロ
ーズ、ヒドロキシエチルセルローズ、サンザンガム等の
有機物質を、粘度微調整用として適宜添加する。ただ
し、増粘剤は、多量に添加すると珪酸ナトリウムのバイ
ンダー機能を低下させるので、2質量%を上限とする。
【0019】この発明において使用する潤滑剤の粘度
は、使用する水ガラスの粘度と、これに添加する水の量
によって決まり、水ガラスの粘度は、水ガラスに含まれ
る水の量によって決まる。したがって、潤滑剤の粘度を
高くするには、潤滑剤に含まれる水の量を少なくし、逆
に粘度を低くするには、潤滑剤に含まれる水の量を多く
すればよい。潤滑剤の粘度を200〜5000cPとし
たのは、粘度が200cP未満では加熱された高温の被
圧延材に潤滑剤を塗布すると、潤滑剤中の水が爆発的に
水蒸気化し、潤滑剤が飛散して被圧延材の表面に十分に
付着しない。被圧延材が比較的低温となるサイザー、レ
デューサー等においては、潤滑剤の乾燥が不足して同様
に付着性が不十分となる。一方、粘度が5000cPを
超えると、潤滑剤がゲル化してスプレー塗布作業が不能
となるからである。
【0020】
【実施例】マンネスマン・プラグミルラインにおいて、
外径323.9mm、肉厚10mm、長さ12mのSU
S304のステンレス鋼管を製造する際に、第一穿孔機
の出側で表1に示す組成の潤滑剤を、表2に示す条件で
素管表面に約300mmの距離からスプレー塗布し、第
二穿孔機での穿孔圧延でのガイドシューの焼付きに起因
するシューマーク疵の発生頻度を調査した。その結果
を、潤滑剤を塗布しなかった場合を100として表2に
併記する。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表2に示すとおり、潤滑剤付着量15g/
2の試験No.2の場合は、シューマーク疵の発生頻
度が潤滑剤を塗布しなかった場合の100に比較して8
0とあまり減少していないが、潤滑剤付着量60g/m
2の試験No.2の場合は、シューマーク疵の発生頻度
が20と大幅に低減しており、その効果は明白である。
【0024】
【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法によれ
ば、潤滑剤付着量を特定範囲に調整することによって、
継目無管製造工程におけるガイドシューの焼付きを防止
してシューマークの発生を大幅に抑制することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】潤滑剤の付着量と疵発生率との関係を示すグラ
フである。
【図2】潤滑剤の塗布圧力と付着効率との関係を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:10 125:26) C10N 40:24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が2mm以下の金属酸化物粉末:1
    0〜60質量%、固形分として珪酸ナトリウム10〜5
    0質量%を含有する水溶液からなり、粘度が200〜5
    000センチポアズである潤滑剤、または該潤滑剤に2
    質量%以下の分散剤または増粘剤のうちの1種以上を含
    有する潤滑剤を穿孔圧延機入側にて被圧延材外表面に噴
    霧塗布して穿孔圧延する継目無管製造における外面潤滑
    方法において、被圧延材の外表面に潤滑剤を付着量20
    g/m2以上噴霧塗布することを特徴とする継目無管製
    造における外面潤滑方法。
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