JP2845029B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2845029B2
JP2845029B2 JP14871592A JP14871592A JP2845029B2 JP 2845029 B2 JP2845029 B2 JP 2845029B2 JP 14871592 A JP14871592 A JP 14871592A JP 14871592 A JP14871592 A JP 14871592A JP 2845029 B2 JP2845029 B2 JP 2845029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象車輪より前方
位置で路面変位を表す前方路面情報を検出し、この路面
情報に基づいて制御対象となる車体及び車輪間に介装し
たアクチュエータのストロークを予見制御するようにし
たサスペンション制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の予見制御を行うサスペンション制
御装置としては、社団法人自動車技術会学術講演前刷集
912 1991−10の第3.197頁〜第3.20
0頁「プレビュー制御による車両振動低減の基礎検討」
(以下、従来例と称す)に記載されたものがある。
【0003】この従来例は、制御対象車輪の前方の路面
変位を検出し、この路面変位からスカイフックを実現す
る最適減衰によって構成される模擬振動系のばね上加速
度を計算することにより、路面からばね上へ伝達される
力を推定し、この推定した制御力を前方路面を検出した
時刻から車速に応じた遅延時間後に制御対象車輪のアク
チュエータに出力することにより、制御対象車輪位置で
の路面からの入力のばね上への伝達力を低減させる制御
力を発生させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション制御装置にあっては、路面変位から
模擬振動系のばね上加速度を計算するようにしており、
このばね上加速度に基づいて制御対象車輪におけるアク
チュエータで発生させる制御力を求めるようにしている
ので、制御力に模擬振動系の振動性運動の影響が含まれ
てしまい、予見(プレビュー)制御による乗心地向上効
果が小さいという未解決の課題がある。
【0005】そこで、本発明は上記従来例の未解決の課
題に着目してなされたものであり、模擬振動系の振動性
運動の影響が含まれることのない制御力をアクチュエー
タで発生させて良好な乗心地向上効果を発揮することが
できるサスペンション制御装置を提供することを目的と
している。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、車輪と
車体との間に配設され、制御信号によってそれら間のス
トロークを制御可能な制御力を発生するアクチュエータ
と、当該車輪より前方の路面情報を検出する前方路面情
報検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記ア
クチュエータに前方路面情報検出手段の前方路面情報を
前記車速検出手段の車速検出値に応じて遅延させた値に
基づいて演算される車体に対する路面からの振動伝達力
を抑制する制御力を発生させる制御手段とを備え、前記
制御手段は、前記前方路面情報に基づく路面変位の微分
値をx0 ′、サスペンションのばね定数をK、減衰定数
をCとしたとき、前記アクチュエータで発生させる制御
力Uを、 U=−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0 ′ ただし、 ω1 :カットオフ周波数に2πを乗じた値でω 1 >0p :Cp ≦Cなる減衰力制御ゲイン Kp :Kp ≦Kなるばね力制御ゲイン s :ラプラス演算子 に従って算出することを特徴としている。
【0007】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、車輪と車体との間に配設され、制御信号によっ
てそれら間のストロークを制御可能な制御力を発生する
アクチュエータと、当該車輪より前方の路面情報を検出
する前方路面情報検出手段と、車速を検出する車速検出
手段と、前記アクチュエータに前方路面情報検出手段の
前方路面情報を前記車速検出手段の車速検出値に応じて
遅延させた値に基づいて演算される車体に対する路面か
らの振動伝達力を抑制する制御力を発生させる制御手段
とを備え、前記制御手段は、前記前方路面情報に基づく
路面変位の微分値をx0 ′、サスペンションのばね定数
をK、減衰定数をC、ばね下共振周波数近傍の周波数を
ωn /2πとしたとき、前記アクチュエータで発生させ
る制御力Uを、 ただし、 ζ :ζ≠0なる減衰比 ω1 :カットオフ周波数に2πを乗じた値でω 1 >0p :Cp ≦Cなる減衰力制御ゲイン Kp :Kp ≦Kなるばね力制御ゲイン s :ラプラス演算子 に従って算出することを特徴としている。
【0008】ここで、制御手段としては、その減衰力制
御ゲインCp を路面情報に基づいて路面状態に応じて変
更することが望ましい。
【0009】
【作用】請求項1に係るサスペンション制御装置におい
ては、一般的な能動型サスペンションにおいては、制御
系の応答性と消費エネルギとの間に妥協点があり、実用
上の観点から、乗心地に大きな影響を与えるばね上の制
振効果を主として発揮させるために、制御対象周波数領
域を5Hz程度以下として、ばね下質量が影響を及ぼす高
い周波数領域は制御対象外としているのが一般的であ
る。このような、制御系においては、1輪1自由度モデ
ルとなるため、ばね上変位は、単純に正の路面変位によ
る二次遅れ要素と、負のばね上加振力の二次遅れ要素
と、このばね上加振力に対する正の制御力の二次遅れ要
素とで表されるので、制御力を U=−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0 ′ とすることにより、路面変位による二次遅れ要素を相殺
して、路面凹凸による影響が車体に伝達されることを防
止して、良好な乗心地を得ることができる。
【0010】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置においては、ばね下共振周波数以上の高い周波数領
域まで制御可能な制御系ではばね下質量の影響が無視で
きなくため、制御力をばね下質量の影響を考慮して、 とすることにより、ばね下質量の影響を除去して、路面
凹凸による影響が車体に伝達されることを防止して、良
好な乗心地を得ることができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は、本発明の第1実施例を示す概略構成図で
あり、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前
左〜後右車輪を、12はサスペンション制御装置を夫々
示す。
【0012】サスペンション制御装置12は、車体側部
材10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間
に各々介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ
18FL〜18RRと、これら油圧シリンダ18FL〜18RR
の作動圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RR
と、これら圧力制御弁20FL〜20RRに所定圧力の作動
油を供給側配管21Sを介して供給すると共に、圧力制
御弁20FL〜20RRからの戻り油を戻り側配管21Rを
通じて回収する油圧源22と、この油圧源22及び圧力
制御弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21Sに介挿さ
れた蓄圧用のアキュムレータ24F,24Rと、車速を
検出してこれに応じたパルス信号を出力する車速センサ
26と、前輪側油圧シリンダ18FL及び18FRと並列に
配設されて前輪11FL及び11FRと車体との間の相対変
位を検出するストロークセンサ27FL及び27FRと、各
車輪11FL〜11RRに夫々対応する位置における車体の
上下方向加速度を夫々個別に検出する上下方向加速度セ
ンサ28FL〜28RRと、各上下方向加速度センサ28FL
〜28RRの上下方向加速度検出値ZGFL 〜ZGRR に基づ
いて各圧力制御弁20FL〜20RRを能動制御すると共
に、各センサ26、27FL,27FR及び28FL〜28FR
の検出値に基づき前輪の運動状態に応じて後輪側の圧力
制御弁20RL及び20RRの出力圧を個別に予見制御する
コントローラ30とを備えている。
【0013】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。また、圧力室Lの各
々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20RR
の出力ポートに接続されている。また、油圧シリンダ1
8FL〜18RRの圧力室Lの各々は、絞り弁32を介して
バネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されてい
る。また、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバネ
上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって車
体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設され
ている。
【0014】圧力制御弁20FL〜20RRの夫々は、スプ
ールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれ
に一体的に設けられた比例ソレノイドとを有する、従来
周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−7
4111号参照)で構成されている。そして、比例ソレ
ノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指令値)を
調整することにより、弁ハウジング内に収容されたポペ
ットの移動距離、即ちスプールの位置を制御し、供給ポ
ート及び出力ポート又は出力ポート及び戻りポートを介
して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜18RRとの間で
流通する作動油を制御できるようになっている。
【0015】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図2に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図2
で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0016】ストロークセンサ27FL及び27FRの夫々
は、図3に示すように、車高が予め設定されした目標車
高に一致するときに零の中立電圧VS 、車高が目標車高
より高くなるとその偏差に応じた正の電圧、車高が目標
車高より低くなるとその偏差に応じた負の電圧でなるス
トローク検出値HFL及びHFRを出力するように構成され
ている。
【0017】上下方向加速度センサ28FL〜28RLの夫
々は、図4に示すように、上下方向加速度が零であると
きに零の電圧、上方向の加速度を検出したときにその加
速度値に応じた正のアナログ電圧、下方向の加速度を検
出したときに、その加速度値に応じた負のアナログ電圧
でなる上下方向加速度検出値ZGFL 〜ZGRR を出力する
ように構成されている。
【0018】コントローラ30は、図5に示すように、
ストロークセンサ27FL及び27FRから入力されるスト
ローク検出値SFL及びSFRと上下方向加速度センサ28
FL〜28RRのうち前輪側に対応する加速度センサ28FL
及び28FRから出力される車体上下方向加速度検出値Z
GFL 及びZGFR とに基づいて路面形状に正確に追従した
前輪11FL及び11FRの路面変位の微分値x1FL ′及び
1FR ′を出力する振動入力推定回路41と、上下方向
加速度センサ28FL〜28FRから入力される上下加速度
検出値ZGFL 〜ZGFR を積分してばね上速度ZVFL 〜Z
VRR を算出する例えばばね上共振周波数近傍の周波数を
通過させるバンドパスフィルタで構成される積分回路4
2FL〜42RRと、振動入力推定回路41から出力される
路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′及び積分回路4
2FL〜42RRから出力されるばね上速度ZVFL 〜ZVRR
をディジタル値に変換するA/D変換器43a〜43f
と、車速センサ26の車速検出値V及び各A/D変換器
43a〜43gのA/D変換出力が入力されるマイクロ
コンピュータ44と、このマイクロコンピュータ44か
ら出力される圧力指令値PFL〜PRRがD/A変換器45
FL〜45RRを介して供給され、これらを圧力制御弁20
FL〜20RRに対する駆動電流iFL〜iFRに変換する例え
ばフローティング形定電圧回路で構成される駆動回路4
6FL〜46FRとを備えている。
【0019】ここで、振動入力推定回路41は、図5に
示すように、ストロークセンサ27FL及び27FRのスト
ローク検出値SFL及びSFRを微分してストローク速度S
VFL及びSVFR を算出する例えばばね下共振周波数の2
倍程度のカットオフ周波数fHCを有するハイパスフィル
タで構成される微分回路41a及び41bと、上下方向
加速度センサ28FL及び28FRの車体上下方向加速度検
出値ZGFL 及びZGFRを積分してばね上変位の微分値x
FL′及びxFR′を算出する例えばばね上共振周波数の1
/6程度のカットオフ周波数fLCを有するローパスフィ
ルタで構成される積分回路41c及び41dと、微分回
路41a及び41bから出力されるストローク速度S
VFL 及びSVFR と前記積分回路41c及び41dから出
力されるばね上変位の微分値xFL′及びxFR′とを加算
する加算器41e及び41fとを備えており、加算器4
1e及び41fから路面形状に正確に追従した前輪11
FL及び11FRの路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR
が出力される。すなわち、ストロークセンサ27FL及び
27FRから出力されるストローク検出値SFL及びS
FRは、下記(1) 式及び(2) 式で表されるように、ばね下
及びばね上間の相対変位を表すので、前輪11FL及び1
1FRのばね下変位x0FL 及びx0FR から車体のばね上変
位xFL及びxFRを減算した値となる。
【0020】SFL=x0FL −xFL …………(1) SFR=x0FR −xFR …………(2) したがって、ストローク検出値SFL及びSFRを微分回路
41a及び41bで微分したストローク速度SVFL 及び
VFR は夫々ばね下変位の微分値x0FL ′及びx0FR
からばね上変位の微分値xFL′及びxFR′を減算した値
となるため、これらと上下加速度検出値ZGFL 及びZ
GFR を積分したばね上変位の微分値xFL′及びxFR′と
を加算することにより、ばね上変位の微分値xFL′及び
FR′を相殺して路面変位に追従した真の路面変位の微
分値x0FL ′及びx0FR ′を得ることができる。
【0021】また、マイクロコンピュータ44は、少な
くとも入力側インタフェース回路44a、出力側インタ
フェース回路44b、演算処理装置44c及び記憶装置
44dを有する。入力インタフェース回路44aには、
車速検出値V及びA/D変換器43a〜43fの変換出
力が入力され、出力側インタフェース回路44bからは
各圧力制御弁20FL〜20RRに対する圧力指令値PFL
RRがD/A変換器45FL〜45RRに出力される。ま
た、演算処理装置44cは、後述する図6の処理を実行
して、所定サンプリング時間TS (例えば20msec)毎
に、車速検出値V、路面変位の微分値x0FL ′,
0FR ′及び車体上下速度ZVFL 〜ZVRR を読込み、路
面変位の微分値x0FL ′,x0FR ′を車速検出値Vに基
づいて算出した前後輪間の遅延時間τR と共に記憶装置
44dに形成下所定段数のシフトレジスタに対応する記
憶領域に順次シフトしながら格納し、遅延時間τR につ
いてはシフトする際にサンプリング時間TS を順次減算
しながら格納し、遅延時間τR が零に達した路面変位の
微分値x0FL ′,x0FR ′に基づいて後輪側のアクチュ
エータとしての油圧シリンダ18RL及び18RRで発生す
る予見制御用制御力URL,URRを演算する共に、積分回
路42FL〜42RRからの車体上下速度ZVFL 〜ZVRR
基づいてスカイフックダンパ機能を発揮する能動制御用
制御力を算出し、両制御力を加算した値を各圧力制御弁
20FL〜20RRに対する圧力指令値としてD/A変換器
45FL〜45RRに出力する。
【0022】さらに、記憶装置44dは、予め演算処理
装置44cの演算処理に必要なプログラムが記憶されて
いると共に、所定サンプリング時間TS 毎に読込む路面
変位の微分値x0FL ′,x0FR ′を遅延時間τR と共に
順次シフトさせながら所定数格納するシフトレジスタ領
域が形成され、さらに演算処理装置44cの演算過程で
必要な演算結果を逐次記憶する。
【0023】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ44における演算処理装置44cの処理手順を示
す図6のフローチャートを伴って説明する。すなわち、
図6の処理は所定サンプリング時間TS (例えば20ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステッ
プS1で、現在の車速センサ26の車速検出値V(n) を
読込み、次いでステップS2に移行して車速検出値V
(n) が予め設定された車速設定値VS 以上であるか否か
を判定し、V(n) <VS であるときには、そのままタイ
マ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰
し、V(n) ≧VS であるときにはステップS3に移行す
る。
【0024】このステップS3では、振動入力推定回路
41からの路面変位の微分値x0FL′,x0FR ′及び積
分回路42FL〜42FRからの車体上下速度ZVFL 〜Z
VFR を読込み、次いでステップS4に移行して、車速検
出値Vをもとに下記(3) 式の演算を行って、前輪11FL
及び11FRが通過した路面に後輪11RL及び11RRが到
達する迄の遅延時間τR を算出する。
【0025】τR =(L/V)−τS …………(3) ただし、Lはホイールベース、τS は制御系の遅れ時間
であって、油圧系の応答遅れτ1 とコントローラの演算
むだ時間τ2 とフィルタによる位相遅れτ3 との加算値
で表される。次いで、ステップS5に移行して、今回の
車速検出値の車速検出値V(n) からサンプリング時間T
S だけ前の前回の車速検出値V(n-1) との偏差でなる単
位時間TS 当たりの変化速度ΔVを算出し、ホイールベ
ースLを変化速度ΔVで除して遅延時間補正値Δτを算
出する。
【0026】次いで、ステップS6に移行して、前記ス
テップS3で読込んだ路面変位の微分値x0FL ′,x
0FR ′と上記ステップS4で算出した遅延時間τR とを
記憶装置44dに形成したシフトレジスタ領域の先頭位
置に格納すると共に、前回までに格納されている路面変
位の微分値x0FL ′,x0FR ′及び遅延時間τR とを順
次シフトする。このとき、遅延時間τR についてはシフ
トする際に、各シフト位置の遅延時間τR からサンプリ
ング時間TS 及び上記ステップS5で算出した遅延時間
補正値Δτを夫々減算した値を新たな遅延時間τR とし
て更新して格納する。
【0027】次いで、ステップS7に移行して、シフト
レジスタ領域に格納されている最古すなわち遅延時間τ
R が零となった路面変位の微分値x0FL ′,x0FR ′を
読出して、これらをもとに下記(4) 式及び(5) 式の演算
を行って、後輪の圧力制御弁20RL及び20RRに対する
予見制御力UpRL 及びUpRR を算出すると共に、読出し
た最古の路面変位の微分値x0FL ′,x0FR ′及びこれ
に対する遅延時間τRをシフトレジスタ領域から消去す
る。
【0028】 UpRL =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FL ′ …………(4) UpRR =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FR ′ …………(5) ただし、Cp は減衰力制御ゲイン、Kp はばね力制御ゲ
イン、ω1 は制御上のカットオフ周波数fC に2πを乗
じた値であって、実際のサスペンションの 減衰定数C
及びばね定数Kに対してCp ≦C,Kp ≦Kに設定さ
れ、且つω1 ≧0に設なる値が設定される。なお、sは
ラプラス演算子である。
【0029】ここで、予見制御力UpRL 及びUpRR を上
記(4) 式及び(5) 式に従って算出する理由は、通常の能
動型サスペンションのように、ばね下共振周波数領域に
対しては能動制御を行わず、5Hz以下の主にばね上共振
周波数領域の振動抑制を図る場合には、1輪の運動モデ
ルは図7に示すように、路面にばね要素K、減衰要素C
及び制御要素Uとが並列に配置され、これらの上方にば
ね上質量Mが配置され、このばね上質量Mに外力Fが作
用する1自由度モデルとして考えることができる。な
お、図7において、X0 は路面変位、Xはばね上変位で
ある。
【0030】この1輪1自由度モデルの運動方程式は、 MX″=C(X0 ′−X′)+K(X0 −X)−F+U …………(6) で表すことができる。この(6) 式をばね上変位Xについ
て解くと、 Cs+K F U X=────────X0 −────────+──────── ……(7) Ms2 +Cs+K Ms2 +Cs+K Ms2 +Cs+K となる。
【0031】例えば前記(4) 式において、x0FL ′=s
0FL であるので、この(4) 式をω1 =0,Cp =C、
p =Kとして上記(7) 式に代入すると、(7) 式は、 となる。
【0032】この(8) 式で路面変位の推定精度が充分高
ければ、(X0 −x0FL )≒0となるので、(8) 式は、 となり、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されず、
良好な乗心地を得ることができる。
【0033】なお、(4) 式及び(5) 式におけるCp はサ
スペンションの減衰定数Cに相当する制御ゲインである
が、サスペンションの減衰定数Cは一定値ではなく、良
路での乗心地と悪路での乗心地を両立させるために、ス
トロークスピードに対する減衰力の関係が図8に示すよ
うに、低ストロークスピード領域では減衰力の変化率が
高く、高ストロークスピード領域では減衰力の変化率が
小さく設定され、この結果、減衰力をストロークスピー
ドで除して算出される減衰係数Cは、良路走行時のよう
にサスペンションのストロークスピードが小さい領域で
は車体の制振性をよくするために大きくなり、悪路走行
のようにストロークスピードが大きい領域では振動伝達
率を低減するために小さくような設定となっている。
【0034】したがって、制御ゲインCp を制御力を路
面変位の微分値x0FL ′及びx0FR′で除した値とし、
これら制御力と路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR
との関係を図9に示すように路面変位の微分値が小さい
領域では制御力の変化率を高くし、路面変位の微分値が
大きい領域では制御力の変化率を小さく設定した記憶テ
ーブルを予め記憶装置44dに記憶させておき、路面変
位の微分値x0FL ′及びx0FR ′に応じて制御ゲインC
p を変更することにより、走行状態にかかわらず常に良
好な乗心地を得ることができる。
【0035】次いで、ステップS8に移行して、下記(1
0)〜 (13) 式に従って、総合制御力UFL〜URRを算出す
る。 UFL=UN −KB ・ZVFL …………(10) UFR=UN −KB ・ZVFR …………(11) URL=UN −KB ・ZVRL +UpRL …………(12) URR=UN −KB ・ZVRR +UpRR …………(13) ここで、UN は車高を目標車高に維持するために必要な
制御力、KB はバウンス制御ゲインである。
【0036】次いで、ステップS9に移行して、前記ス
テップS8で算出した各制御力UFL〜URRを圧力指令値
として夫々D/A変換器45FL〜45RRに出力してから
タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復
帰する。ここで、図6の処理が制御手段に対応してい
る。したがって、今、車両が平坦な良路を目標車高を維
持して設定車速VS 以上の車速で直進定速走行している
ものとする。この状態では、車両が平坦な良路で目標車
高を維持していることから、前輪側に配設されたストロ
ークセンサ27FL及び27FRのストローク検出値SFL
びSFRは略零となっており、且つ車体側部材10に揺動
を生じないので、各上下方向加速度センサ28FL〜28
RRの加速度検出値ZGFL 〜ZGRR は略零となっている。
このため、振動入力推定回路41の微分回路41a及び
41bから出力されるストローク微分値SVFL 及びS
VFR と、積分回路41c及び41dから出力されるばね
上変位の微分値xFL ′及びxFR′とが夫々略零となる
ので、加算器41e及び41fから出力される路面変位
の微分値x0FL ′及びx0FR ′も略零となる。一方、上
下方向加速度検出値ZGFL〜ZGRR が略零であるので、
積分回路42FL〜42RRから出力されるばね上速度Z
VFL 〜ZVRR も略零となっている。
【0037】そして、路面変位の微分値x0FL ′及びx
0FR ′と、ばね上速度ZVFL 〜ZVRR とが車速検出値V
と共にマイクロコンピュータ44に入力される。このよ
うに、平坦な良路走行を継続している状態では、マイク
ロコンピュータ44で、所定サンプリング時間TS 毎に
実行される図6の処理において、ステップS6で順次シ
フトレジスタ領域に格納される路面変位の微分値
0FL ′及びx0FR ′が零の状態を継続するので、ステ
ップS4で算出される遅延時間τR が経過した後の路面
変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′も零となっており、
ステップS7で算出される予見制御力UpRL 及びUpRR
も零となり、一方ばね上速度ZVFL 〜ZVRR も零である
ので、ステップS8で算出される総合制御力UFL〜URR
は目標車高に維持する中立圧制御力UN のみに対応した
値となり、これらが出力側インタフェース回路44b及
びD/A変換器45FL〜45RRを介して駆動回路46FL
〜46RRに出力される。
【0038】このため、駆動回路46FL〜46RRで圧力
指令値PFL〜PRRに対応した指令電流iFL〜iRRに変換
されて前輪側の圧力制御弁20FL〜20RRに供給され
る。この結果、圧力制御弁20FL〜20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNF ,PCNR が前輪側
及び後輪側の油圧シリンダ18FL,18FR及び18RL,
18RRに出力され、これら油圧シリンダ18FL〜18RR
で車体側部材10及び車輪側部材14間のストロークを
目標車高に維持する推力を発生する。
【0039】この良路直進走行状態で、例えば前左右輪
11FL及び11FRが同時に路面がステップ状に上昇する
段差でなる所謂ランプステップ路を通過する状態となる
と、前左右輪の段差乗り上げによって前輪11FL及び1
1FRがバウンドし、これによってストロークセンサ27
FL及び27FRのストローク検出値SFL及びSFRが零から
正方向に急増すると共に、車体側部材10に上方向の加
速度が発生し、前左右輪の上下方向加速度センサ28FL
及び28FRの加速度検出値ZGFL 及びZGFR が正方向に
増加する。
【0040】そして、これらストローク検出値SFL及び
FRと、上下方向加速度検出値ZGFL 及びZGFR とが振
動入力推定回路41に入力されるので、この振動入力推
定回路41で、前述したように車体側部材10の上下動
に影響されない真に路面形状に応じた路面変位の微分値
0FL ′及びx0FR ′がマイクロコンピュータ44に出
力される。ここで、路面変位の微分値x0FL ′及びx
0FR ′とばね下速度の周波数に対するゲイン及び位相特
性は、図10(a) 及び図10(b) に示すように、ばね下
共振周波数近傍未満の周波数領域ではゲインが略零であ
って、位相も略零であることから路面変位の微分値とば
ね下速度と略一致して良好な路面変位の微分値の推定精
度が充分に高くなっている。一方、ばね下共振周波数近
傍以上の周波数領域では両者が不一致となるが、本実施
例では、制御対象周波数領域を5Hz程度以下とした制御
系を採用しているので、ばね下共振周波数近傍以上での
路面変位の部分値の推定精度の低下は無視することがで
きる。
【0041】したがって、マイクロコンピュータ44で
は、ステップS4の処理で前記(3)式に従って前輪11F
L及び11FRが通過した路面に後輪11RL及び11RRが
到達する迄の遅延時間τR を算出し、これと路面変位の
微分値xOFL ′及びx0FR ′とをシフトレジスタ領域の
先頭位置に格納すると共に、前回までの零の路面変位の
微分値xOFL ′及びx0FR ′と遅延時間τR とを順次1
つずつシフトし、このとき各遅延時間τR からサンプリ
ング時間TS とステップS5で算出された遅延時間補正
値Δτとを減算した値を新たな遅延時間τR として更新
する。
【0042】この時点では、シフトレジスタ領域に格納
されている前回までの各路面変位の微分値x0FL ′及び
0FR ′は零であるので、ステップS7で算出される後
輪に対する予見制御力UpFL 及びUpFR は零の状態を維
持し、後輪側の制御力URL及びURRは中立制御力UN
維持するが、前輪11FL及び11FR位置での上下方向加
速度センサ28FL及び28FRの加速度検出値ZGFL 及び
GFR が正方向に増加しているので、ステップS8で算
出される前輪側の総合制御力UFL及びUFRが段差乗り上
げによる車体上昇速度に応じて中立制御力UN より低下
され、これに応じて駆動回路46FL及び46FRから出力
される指令電流iFLが低下し、これによって圧力制御弁
20FL及び20FRから出力される制御圧PC が中立圧P
CNF より低下して、油圧シリンダ18FL及び18FRの推
力が低下され、前輪側のストロークを減少させることに
より、スカイフックダンパ機能を発揮して前輪11FL及
び11FRの段差乗り上げによる車体側部材10の揺動を
抑制することができる。
【0043】その後、前輪11FL及び11FRがランプス
テップ路を通過し終わると、再度前輪11FL及び11FR
については目標車高を維持する制御力UFL及びUFRに復
帰するが、後輪11RL及び11RRについては、ステップ
S4で算出した遅延時間τRが零となる時点即ち後輪1
1RL及び11RRがランプステップ路を通過する時点で、
ステップS7で前輪11FL及び11FRが段差乗り上げ時
の路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′が読出され、
これらに基づいて後輪に対して(4) 式及び(5)式に従っ
て予見制御力UpRL 及びUpRR が算出されるので、前述
した(9) 式で表されるように、路面凹凸による影響が車
体に殆ど伝達されずに、良好な乗心地を確保することが
できる。しかも、後輪11RL及び11RRの段差乗り上げ
によって、後輪側の車体側部材10に上方向の加速度が
生じたときには、この加速度が上下方向加速度センサ2
8RL及び28RRで検出され、積分回路42RL及び42RR
で積分されたばね上速度ZVRL 及びZVRR がマイクロコ
ンピュータ44に入力されるので、ステップS8でスカ
イフックダンパ機能を発揮して車体側部材10の上昇を
抑制する能動制御力が発生され、これによって、圧力制
御弁20RL及び20RRが制御されることにより、油圧シ
リンダ18RL及び18RRに供給される油圧が制御され
て、車体の揺動が抑制される。
【0044】このように、前記(4) 式及び(5) 式に従っ
て後輪に対する予見制御力UpRL 及びUpRR を算出して
予見制御を行うことにより、図11に示すように、より
実際の車両のサスペンションに近いばね下を含む1輪2
自由度モデルを考え、制御系の応答遅れをカットオフ周
波数5Hzの1次遅れと仮定し、その応答遅れをτS =3
0msecで近似した場合のω1 =0及びω1 =1としたと
きのシミュレーション結果である周波数に対するゲイン
特性(振動伝達率X/X0 )を図12に示す。
【0045】この図12から明らかなように、破線図示
の特性曲線L11で示すω1 =0とした場合及び鎖線図示
の特性曲線L12で示すω0 =1とした場合の双方につい
て、実線図示の特性曲線L13で示す通常の予見制御を行
わない能動型サスペンションに比較して、ばね下共振周
波数(10Hz程度)以下の殆どの周波数域で路面からの
振動伝達率X/X0 が低減しており、しかも従来例に対
して広範囲の周波数範囲で振動伝達を低減することがで
き、良好な乗心地を確保することができることが分か
る。
【0046】ところで、前述した(4) 式及び(5) 式でω
1 =0として制御力UpRL 及びUpRR を算出すると、制
御力UpRL 及びUpRR の路面変位(車輪変位)x0FL
びx0FR に対する定常ゲイン(s=0とした場合のゲイ
ン)がKとなるため、一過性の凹凸については問題がな
いが、前述したランプステップ路のように路面変位X
0FL (≒x0FL )及びX0FR (≒x0FR )が変化したま
ま戻らないような路面を走行した場合、平坦な路面に出
ても制御力UpRL 及びUpRR が“0”とならず、制御力
pRL 及びUpRR とサスペンションのばね定数Kがつり
合うだけストロークしたままとなり、車高がもとに復帰
しない状態即ち車高の初期値をhとすると、(X0 −x
0 )−h=U/K≠0となる状態となる。したがって、
このような路面を走行した後、平坦な路面に出たときに
車高がもとに戻るようにするためには、制御力UpRL
びUpRR の車輪上下速度推定値x0 に対する定常ゲイン
が“0”となるように、(4) 式及び(5) 式でω1 >0に
選定すればよい。
【0047】一方、前輪11FL,11FRの何れか一方例
えば前左輪11FLのみが一過性の凸部に乗り上げた場合
には、左輪側の油圧シリンダ18RLについてのみ上記予
見制御が行われ、凸部乗り上げを生じない右輪側の油圧
シリンダ18RRについては、中立圧を維持する制御が行
われる。また、前輪11FL、11FRが一過性の凹部に落
ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車体の揺動
を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に限らず不
整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合でも前輪の
挙動に応じて後輪を予見制御することができる。
【0048】このように、上記第1実施例によると、前
方路面情報検出手段として、前輪11FL及び11FR位置
のストロークセンサ27FL,27FR及び上下方向加速度
センサ28FL,28FRを適用することができ、これらは
現在実用化されている能動型サスペンションに搭載され
ているものを利用することができるので、新たにセンサ
を開発或いは追加して搭載する必要がない利点がある。
【0049】次に、本発明の第2実施例を図13につい
て説明する。この第2実施例では、前輪11FL及び11
FRの前方で路面情報を検出し、検出した路面情報に基づ
いて前輪11FL及び11FRの油圧シリンダ18FL及び1
8FRと後輪11RL及び11RRの油圧シリンダ18RL及び
18RRとの双方を予見制御するようにしたものてある。
【0050】すなわち、図13に示すように、前輪11
FL及び11FRの前方位置の下面に路面と対向して前方路
面情報検出手段としての超音波距離センサ71FL及び7
1FRを配設すると共に、これら超音波距離センサ71FL
及び71FRの近傍位置に上下方向加速度センサ72FL及
び72FRを配設し、超音波距離センサ71FL及び71FR
の距離検出値SFL及びSFRが振動入力推定回路41の微
分回路41a及び41bに入力すると共に、上下方向加
速度センサ72FL及び72FRの上下方向加速度検出値Z
Ga及びZGbが振動入力推定回路41の積分回路41c及
び41dにに入力し、この振動入力推定回路41から前
述した第1実施例と同様の路面変位の微分値x0FL ′及
びx0FR ′をマイクロコンピュータ44に入力し、さら
にマイクロコンピュータ44で、第1実施例の処理に加
えて前輪11FL及び11FRと超音波距離センサ71FL及
び71FRとの間の距離LF と車速検出値Vとから超音波
距離センサ71FL及び71FRで検出した路面に前輪11
FL及び11FRが到達するまでの前輪用遅延時間τF を算
出し、この遅延時間τF を路面変位の微分値x0FL′,
0FR ′及び後輪用遅延時間τR と共に順次シフトレジ
スタ領域にシフトしながら格納し、前輪用遅延時間τF
及び後輪用遅延時間τR が零となった路面変位の微分値
0FL ′,x0FR ′を使用して、前述した(4) 式及び
(5) 式に対応する演算を行って、前輪用予見制御力U
pFL 及びUpFR と後輪用予見制御力UpRL及びUpRR
を算出し、これらに基づいて各圧力制御弁20FL〜20
RRを制御して、各油圧シリンダ18FL〜18RRで予見制
御力UpFL 〜UpRR に対応する制御力を発生することに
より、前輪側及び後輪側の双方で予見制御を行うことを
除いては前述した第1実施例と同様の構成を有し、図1
との対応部分には同一符号を付しその詳細説明はこれを
省略する。
【0051】この第2実施例によると、第1実施例と同
様の原理で前輪側及び後輪側の双方について予見制御を
行うことができるものであるが、前輪11FL及び11FR
より前方位置に配設した超音波距離センサ71FL及び7
1FRと上下方向加速度センサ72FL及び72FRとに基づ
いて路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′を算出し、
これらをもとに前記(4) 式及び(5) 式に従って前後輪に
対する予見制御力UpFL 〜UpRR を算出して予見制御を
行うことにより、前述した図11に示すように、より実
際の車両のサスペンションに近いばね下を含む1輪2自
由度モデルを考え、制御系の応答遅れをカットオフ周波
数5Hzの1次遅れと仮定し、その応答遅れをτS =30
msecで近似した場合のω1 =0及びω1 =1としたとき
のシミュレーション結果である周波数に対するゲイン特
性(振動伝達率X/X0 )、振動の大きさ及びばね上上
下加速度を図14、図15及び図16に夫々示す。
【0052】図14から明らかなように、破線図示の特
性曲線L21で示すω1 =0とした場合及び鎖線図示の特
性曲線L22で示すω1 =1とした場合の双方について、
実線図示の特性曲線L23で示す通常の予見制御を行わな
い能動型サスペンションや細線図示の特性曲線L24で示
す従来の予見制御を行った場合に比較して、ばね下共振
周波数(10Hz程度)以下の周波数域で路面からの振動
伝達率X/X0 が低減しており、しかも従来例に対して
広範囲の周波数範囲で振動伝達を低減することができ、
良好な乗心地を確保することができることが分かる。
【0053】また、図15及び図16から明らかなよう
に、夫々破線図示の特性曲線L31及びL41で示すω1
0とした場合と夫々鎖線図示の特性曲線L32及びL42
示すω1 =1とした場合との双方とも、ランプステップ
路通過時のばね上の振動の大きさ及び上下加速度X″が
夫々実線図示の特性曲線L33及びL43で表される予見制
御を行わない場合に比較して大幅に低減させることがで
きることが実証された。
【0054】このように、上記第2実施例によると、前
輪側及び後輪側の双方で予見制御を行うので、第1従来
例に比べてより大きな乗心地向上効果を発揮することが
できる。なお、上記第2実施例においては、前方路面情
報検出手段として超音波距離センサ71FL及び71FRを
適用した場合について説明したが、これに限定されるも
のではなく、レーザ距離計等の光学式距離センサなどの
他の非接触式距離センサを適用し得る。
【0055】また、上記各実施例においては、制御対象
周波数領域を5Hz程度以下としてばね下質量が影響を及
ぼす高い周波数域は制御対象外とした図7の1輪1自由
度モデルについて予見制御を行う場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、制御系の応答性が
高く、ばね下共振周波数以上の高い周波数域まで制御可
能な制御系においては、図11に示す1輪2自由度モデ
ルに示すように、ばね下質量の影響が無視できなくなる
ため、このような制御では、予見制御力UpRL及びU
pRR として、前述した(4) 式及び(5) 式に代えて、下記
(14)式及び(15)式を適用することが好ましい。
【0056】 ただし、ωn はばね下共振周波数(10Hz程度)近傍の
周波数に2πを乗じた値、ζは減衰比でζ≠0、ω1
0、Cp ≦C、Kp ≦Kこのように、(14)式及び(15)式
に基づいて予見制御力UpRL 及びUpRR を算出すること
により、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されず
に、良好な乗心地を確保することができる。
【0057】すなわち、図11の1輪2自由度モデルの
運動方程式は、 MX″=C(X1 ′−X′)+K(X1 −X)+U−F mX″=k(X0 −X1 )−C(X1 ′−X′)−K(X1 −X)−U で表すことができる。これをばね上変位Xについて解く
と、 となる。例えば、前述した(14)式において、ωn =(m
/k)1/2 、ζ=0、ω1 =0、Cp =C、Kp =K、
0FL ′=x0 ′として、予見制御力Uを上記(16)式に
代入すると、 となる。路面推定の精度が充分高ければ、X0 −x0
0となるので、上記(17)式は、 となり、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されず、
良好な乗心地を確保することができる。ただし、ζ=0
に設定すると、ωn =(m/k)1/2 で予見制御力Uが
無限大となってしまうので、ζ≠0である必要があり、
したがって、ばね下共振周波数近傍では、振動伝達率の
低減を行うことができない。
【0058】そして、図11の1輪2自由度モデルにつ
いて、制御系の応答遅れを、カットオフ周波数20Hzの
1次遅れと仮定し、その応答遅れをτS =8msecで近似
し、制御力を前述した(14)式及び(15)式で求めた場合を
シミュレーションした結果を図17に示す。この図17
から明らかなように、制御系の応答が高い場合には、破
線図示の曲線L51で示すように、前述した(14)式及び(1
5)に基づいて予見制御力を算出することにより、鎖線図
示の曲線L52で示す前述した(4) 式又は(5) 式で予見制
御力を算出した場合に比較して、乗心地に影響を与える
ばね上共振周波数よりばね下共振周波数側の4〜8Hzの
周波数範囲で振動伝達率を低減させることができ、良好
な乗心地を確保することができる。
【0059】さらに、上記各実施例においては、アナロ
グ回路構成の振動入力推定回路41を設けて、路面変位
の微分値x0FL ′及びx0FR ′を算出する場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロ
コンピュータ44でディジタル処理することもでき、積
分回路42FL〜42FRについても同様である。さらにま
た、上記各実施例においては、マイクロコンピュータ4
4で、路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′を遅延時
間τF,τR と共にシフトレジスタ領域に順次シフトしな
がら格納し、遅延時間τF,τR が零となった路面変位の
微分値x0FL ′及びx0FR ′に基づいて予見制御力U
pFL 〜UpRR を算出する場合について説明したが、これ
に限らず予め路面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′に
基づいてステップS7に対応する処理を行って予見制御
力UpFL 〜UpRR を算出し、これを遅延時間τF,τR
共に、シフトレジスタ領域にシフトしながら格納し、遅
延時間τF,τR が零となった予見制御力UpFL 〜UpRR
を使用して総合制御力UFL〜URRを算出するようにして
もよい。
【0060】また、上記各実施例においては、サスペン
ションの能動制御を上下方向加速度に基づいてのみ行う
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、他の横方向加速度センサ、前後方向加速度センサ等
の加速度検出値に基づくロール、ピッチ、バウンスを抑
制する制御信号を算出し、これらを前記圧力指令値PFL
〜PRRに加減算してトータル制御を行うようにしてもよ
い。
【0061】さらに、上記各実施例においては、単位時
間当たりの車速変化量ΔVに基づいて車両の加減速時に
生じる遅延時間τの誤差を補正をするようにした場合に
ついて説明したが、これに限らず車両の前後方向加速度
を加速度センサで検出し、その加速度検出値に基づいて
遅延時間τに対する補正値を算出するようにしてもよ
い。
【0062】さらにまた、上記各実施例においては、制
御弁として圧力制御弁20FL〜20RRを適用した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、他
の流量制御型サーボ弁等を適用し得るものである。ま
た、上記実施例においては、コントローラ30をマイク
ロコンピュータ62で構成した場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、シフトレジスタ、
演算回路等の電子回路を組み合わせて構成するようにし
てもよいことは言うまでもない。
【0063】さらに、上記実施例においては、作動流体
として作動油を適用した場合について説明したが、これ
に限らず圧縮率の少ない流体であれば任意の作動流体を
適用し得る。またさらに、上記実施例においては、アク
チュエータとして能動型サスペンションを適用した場合
について説明したが、これに限定されるものではなく、
減衰力可変型ショックアブソーバ等のサスペンションの
減衰特性やばね特性を変更し得る構成であれば任意のア
クチュエータを適用することができる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、制御対象車輪より前方
の路面情報を使用して制御対象車輪と車体との間に配設
されたアクチュエータを予見制御する際に、アクチュエ
ータで発生する制御力を、 U=−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0 ′ ただし、sはラプラス演算子、ω 1 >0,Cp ≦C,Kp ≦K に従って算出するようにしたので、ばね下共振周波数以
下の広範囲な周波数領域で振動伝達率を低減して、乗心
地を向上させることができるという効果が得られる。
【0065】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、制御対象車輪より前方の路面情報を使用
して制御対象車輪と車体との間に配設されたアクチュエ
ータを予見制御する際に、アクチュエータで発生する制
御力を、 ただし、ωn はばね下共振周波数近傍の周波数、sはラ
プラス演算子、ζ≠0,ω 1 >0,Cp ≦C,Kp ≦K
に従って算出するようにしたので、制御系の応答性が高
い場合に、ばね下共振周波数近傍を除く広い周波数範囲
において振動伝達率を低減させて乗心地を向上させるこ
とができるという効果が得られる。
【0066】さらに、請求項3に係るサスペンション制
御装置によれば、減衰力制御ゲインCp を路面情報に応
じて変更するようにしたので、良路や悪路等の走行状態
にかかわらず良好な乗心地を得ることができるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図2】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図3】ストロークセンサの出力特性を示す特性線図で
ある。
【図4】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図5】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図6】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図7】1輪1自由度モデルを示す説明図である。
【図8】ストロークスピードに対する減衰力の関係を示
す特性線図である。
【図9】路面変位の微分値に対する制御力の関係を示す
特性線図である。
【図10】第1実施例の振動入力推定回路の周波数に対
する特性線図であり、(a) はゲイン特性線図、(b) は位
相特性線図である。
【図11】1輪2自由度モデルを示す説明図である。
【図12】第1実施例の周波数に対するゲイン(振動伝
達率)の関係を示す特性線図である。
【図13】第2実施例を示す概略構成図である。
【図14】第2実施例の周波数に対するゲイン(振動伝
達率)の関係を示す特性線図である。
【図15】第2実施例の周波数に対する振動の大きさの
関係を示す特性線図である。
【図16】第2実施例の周波数に対するばね上加速度の
関係を示す特性線図である。
【図17】高応答性を有する制御系に対する予見制御力
とした場合の図14に対応する特性線図である。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 26 車速センサ 27FL,27FR ストロークセンサ 28FL,28FR 上下方向加速度センサ 30 コントローラ 41 振動入力推定回路 41a,41b 微分回路 41c,41d 積分回路 71FL,71FR 超音波距離センサ 72FL,72FR 上下方向加速度センサ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪と車体との間に配設され、制御信号
    によってそれら間のストロークを制御可能な制御力を発
    生するアクチュエータと、当該車輪より前方の路面情報
    を検出する前方路面情報検出手段と、車速を検出する車
    速検出手段と、前記アクチュエータに前方路面情報検出
    手段の前方路面情報を前記車速検出手段の車速検出値に
    応じて遅延させた値に基づいて演算される車体に対する
    路面からの振動伝達力を抑制する制御力を発生させる制
    御手段とを備え、前記制御手段は、前記前方路面情報に
    基づく路面変位の微分値をx0 ′、サスペンションのば
    ね定数をK、減衰定数をCとしたとき、前記アクチュエ
    ータで発生させる制御力Uを、 U=−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0 ′ ただし、 ω1 :カットオフ周波数に2πを乗じた値でω 1 >0p :Cp ≦Cなる減衰力制御ゲイン Kp :Kp ≦Kなるばね力制御ゲイン s :ラプラス演算子 に従って算出することを特徴とするサスペンション制御
    装置。
  2. 【請求項2】 車輪と車体との間に配設され、制御信号
    によってそれら間のストロークを制御可能な制御力を発
    生するアクチュエータと、当該車輪より前方の路面情報
    を検出する前方路面情報検出手段と、車速を検出する車
    速検出手段と、前記アクチュエータに前方路面情報検出
    手段の前方路面情報を前記車速検出手段の車速検出値に
    応じて遅延させた値に基づいて演算される車体に対する
    路面からの振動伝達力を抑制する制御力を発生させる制
    御手段とを備え、前記制御手段は、前記前方路面情報に
    基づく路面変位の微分値をx0 ′、サスペンションのば
    ね定数をK、減衰定数をC、ばね下共振周波数近傍の周
    波数をωn /2πとしたとき、前記アクチュエータで発
    生させる制御力Uを、 ただし、 ζ :ζ≠0なる減衰比 ω1 :カットオフ周波数に2πを乗じた値でω 1 >0p :Cp ≦Cなる減衰力制御ゲイン Kp :Kp ≦Kなるばね力制御ゲイン s :ラプラス演算子 に従って算出することを特徴とするサスペンション制御
    装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、減衰力制御ゲインCp
    を路面情報に応じて変更するように構成されている請求
    項1又は請求項2に記載のサスペンション制御装置。
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