JPH07215032A - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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Publication number
JPH07215032A
JPH07215032A JP1010994A JP1010994A JPH07215032A JP H07215032 A JPH07215032 A JP H07215032A JP 1010994 A JP1010994 A JP 1010994A JP 1010994 A JP1010994 A JP 1010994A JP H07215032 A JPH07215032 A JP H07215032A
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JP
Japan
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road surface
control
frequency
preview
surface information
Prior art date
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Pending
Application number
JP1010994A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Tohata
秀夫 戸畑
Takeshi Kimura
健 木村
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP1010994A priority Critical patent/JPH07215032A/ja
Publication of JPH07215032A publication Critical patent/JPH07215032A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】路面状況による振動入力の幅広い周波数領域に
わたって高精度の予見制御を行う。 【構成】前方路面情報検出手段としてのプレビューセン
サの検出値HDL, DRとプレビューセンサ位置における
上下加速度ZPL, PR″に基づいて路面推定値RPL
, PR′を算出し(ステップS8)、これを高速フーリ
エ変換処理によって周波数分析してピーク周波数fP
算出し、これに基づいて路面状況に最適な応答遅れ補償
時間τ1 を算出し、これに基づいてプレビューセンサで
検出した路面に前輪及び後輪が達するまでの遅延時間τ
F,τR を算出し(ステップS10〜S12)、この遅延
時間τF,τR 前の路面推定値RPL, PR′をもとに予
見制御力UpFL 〜UpRR を算出することにより、路面推
定値の周波数に応じた最適の応答遅れ補償を行って、高
精度の予見制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象車輪より前方
位置で検出した路面情報に基づいて制御対象車輪及び車
体間に介装した制御力を発生するアクチュエータを予見
制御するサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の予見制御を行うサスペンション制
御装置としては、例えば実開平4−20809号公報に
開示されているものがある。この従来例は、車両前方の
振動入力物体を検出した時点から車輪に振動が入力され
るまでの時間遅れを車速に基づいて予測し、予測した時
間遅れに基づき指令信号を油圧支持手段に出力して、こ
の油圧支持手段の支持剛性を変化させる際に、指令信号
を少なくとも指令信号の出力後油圧支持手段の支持剛性
が実際に変化するまでに要する作動遅れ時間分だけ、前
記予測した時間遅れに対して早めに出力することによ
り、車輪へ入力する振動に対して遅れのない予見制御を
行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション制御装置にあっては、アクチュエー
タに対する指令信号出力を早める時間が一定値に設定さ
れているため、幅広い周波数の振動入力に対しては制御
精度が必ずしも良くないという未解決の課題がある。す
なわち、前方路面路面を検出するセンサや制御力を発生
するアクチュエータ等を含む予見制御系の応答特性は、
位相特性が、図14に示すように、路面推定を行うため
にハイパスフィルタ処理を行っている関係で、5〜6H
zより小さい周波数領域では位相が進み、これを越える
周波数領域では位相が遅れており、単なる時間遅れで表
すことができないため、進み時間による補償では幅広い
周波数に対して精度の良い遅れ補償を行うことができな
い。また、ゲイン特性は、図13に示すように、0.4
〜1Hz程度の中間周波数領域で略零となり、0.4H
zより低周波数域及び1Hzより高周波数域で夫々低下
する特性となっており、周波数によって制御系のゲイン
が異なるため、幅広い周波数の振動入力に対して、十分
な制御効果を発揮することができない。
【0004】そこで、本発明は上記従来例の未解決の課
題に着目してなされたものであり、路面状況による振動
入力の幅広い周波数領域にわたって高精度の予見制御を
行うことができるサスペンション制御装置を提供するこ
とを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、制御対象車輪と車体との間に
介装され指令値に応じた制御力を発生するアクチュエー
タと、前記制御対象車輪より前方の路面情報を検出する
前方路面情報検出手段と、該前方路面情報検出手段で検
出した路面に制御対象車輪が到達するまでの遅延時間を
算出する遅延時間算出手段と、前記前方路面情報検出手
段の路面情報に基づいて前記指令値を算出し、これを前
記遅延時間経過時点で前記アクチュエータに出力する予
見制御手段とを備えたサスペンション制御装置におい
て、前記前方路面情報検出手段の路面情報の周波数を分
析する周波数分析手段と、該周波数分析手段の周波数分
析値に応じて前記遅延時間算出手段での制御系の応答遅
れ補償を行うための進み時間を補正する進み時間補正手
段とを備えていることを特徴としている。
【0006】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、図2の基本構成図に示すように、制御対象車輪
と車体との間に介装され指令値に応じた制御力を発生す
るアクチュエータと、前記制御対象車輪より前方の路面
情報を検出する前方路面情報検出手段と、該前方路面情
報検出手段で検出した路面に制御対象車輪が到達するま
での遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、前記前方
路面情報検出手段の路面情報に基づいて前記指令値を算
出し、これを前記遅延時間経過時点で前記アクチュエー
タに出力する予見制御手段とを備えたサスペンション制
御装置において、前記前方路面情報検出手段の路面情報
の周波数を分析する周波数分析手段と、該周波数分析手
段の周波数分析値に応じて前記予見制御手段における予
見制御ゲインを補正するゲイン補正手段とを備えている
ことを特徴としている。
【0007】
【作用】請求項1に係るサスペンション制御装置におい
ては、前方路面情報検出手段で検出した路面情報を周波
数分析手段で周波数分析し、該当する周波数に応じた応
答遅れ補償時間を算出し、これによって制御系の応答遅
れを補償して、広帯域の周波数領域にわたって高精度の
遅れ補償を行う。
【0008】請求項2に係るサスペンション制御装置に
おいては、前方路面情報検出手段で検出した路面情報を
周波数分析し、該当する周波数に応じて予見制御ゲイン
を補正することにより、低周波数域でゲインを小さくし
て直流成分をカットし、高周波数領域でもゲインを小さ
くしてノイズの影響をカットし、制振効果を発揮する中
間周波数領域でゲインを大きくして高精度の予見制御を
行う。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図3は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
り、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前左
〜後右車輪を、12は能動型サスペンションを夫々示
す。
【0010】能動型サスペンション12は、車体側部材
10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間に
各々介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ1
8FL〜18RRと、これら油圧シリンダ18FL〜18RRの
作動圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、
これら圧力制御弁20FL〜20RRに所定圧力の作動油を
供給側配管21Sを介して供給すると共に、圧力制御弁
20FL〜20RRからの戻り油を戻り側配管21Rを通じ
て回収する油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御
弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21Sに介挿された
蓄圧用のアキュムレータ24F,24Rと、例えばスピ
ードメータ内に配設された車速に応じたアナログ電圧を
出力する車速センサ26と、3つの車輪11FR,11RL
及び11RRに夫々対応する位置における車体の上下方向
加速度を夫々個別に検出する上下方向加速度センサ28
FR,28RL及び28RRと、前輪11FL,11FRより前方
の車体下面に夫々路面と対向して配設された超音波距離
計測器で構成されるプレビューセンサ29L,29R
と、各上下方向加速度センサ28FR〜28RRの上下方向
加速度検出値X2FR ″〜X2RR ″に基づいて各圧力制御
弁20FL〜20RRを能動制御すると共に、各センサ2
6、28FR〜28FR及び29L,29Rの検出値に基づ
き路面状況に応じて前後輪の圧力制御弁20FL〜20RR
の出力圧を個別に予見制御するコントローラ30とを備
えている。
【0011】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。また、圧力室Lの各
々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20RR
の出力ポートに接続されている。また、油圧シリンダ1
8FL〜18RRの圧力室Lの各々は、絞り弁32を介して
バネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されてい
る。また、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバネ
上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって車
体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設され
ている。
【0012】圧力制御弁20FL〜20RRの夫々は、スプ
ールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれ
に一体的に設けられた比例ソレノイドとを有する、従来
周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−7
4111号参照)で構成されている。そして、比例ソレ
ノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指令値)を
調整することにより、弁ハウジング内に収容されたポペ
ットの移動距離、即ちスプールの位置を制御し、供給ポ
ート及び出力ポート又は出力ポート及び戻りポートを介
して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜18RRとの間で
流通する作動油を制御できるようになっている。
【0013】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図4に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図4
で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0014】上下方向加速度センサ28FR〜28RLの夫
々は、図5に示すように、上下方向加速度センサ28FR
が車体の前右輪11FRの左後方位置に、上下方向加速度
センサ28RL及び28RRが車体の後輪11RL及び11RR
の内側やや後方位置に夫々配設されている。これら上下
方向加速度センサ38FR〜28RRは、図6に示すよう
に、上下方向加速度が零であるときに零の電圧、上方向
の加速度を検出したときにその加速度値に応じた正のア
ナログ電圧、下方向の加速度を検出したときに、その加
速度値に応じた負のアナログ電圧でなる上下方向加速度
検出値ZGFR 〜Z GRR を出力するように構成されてい
る。このように、3つの車輪11FR〜11RRの位置に上
下方向加速度センサ28FR〜28RRを配置することによ
り、図5に示すように、車両にバウンス加速度Z″、ロ
ール角加速度φ″及びピッチ角加速度θ″が生じたとき
に、各上下方向加速度センサ28FR〜28RRから夫々下
記(1)〜(3)式で表される上下方向加速度検出値Z
GFR 〜ZGRR が出力される。
【0015】 ZGFR =Z″−L2 θ″+L1 φ″ …………(1) ZGRL =Z″+L4 θ″−L3 φ″ …………(2) ZGFR =Z″+L4 θ″+L3 φ″ …………(3) ここで、L1 は車両の重心点gを通る前後方向線と前右
上下方向加速度センサ28FRとの間の左右方向距離、L
2 は車両の重心点gを通る左右方向線と前右上下方向加
速度センサ28FRとの間の前後方向距離、L3 は車両の
重心点gを通る前後方向線と後左及び後右上下方向加速
度センサ28RL及び28RRとの間の左右方向距離、L4
は車両の重心点gを通る左右方向線と後左及び後右上下
方向加速度センサ28RL及び28RRとの間の前後方向距
離である。
【0016】プレビューセンサ29L及び29Rは、図
5に示すように、車体の下面における前輪11FL及び1
1FRより前方側で前輪11FL及び11FRの延長線上に路
面と対向して配設されている。これらプレビューセンサ
29L及び29Rは、図7に示すように、路面に対して
超音波を発する超音波送波器29aと、この超音波送波
器29aからの超音波が路面で反射された反射波を受信
する超音波受波器29bと、超音波送波器29aを駆動
する発振回路29cと、この発振回路29cに駆動指令
を出力すると共に、超音波受波器29bからの受信信号
を入力して、超音波送波器29aから超音波を発射した
時点から超音波受波器29bで反射を受信する迄の時間
を計測することにより対地距離を測定する距離測定回路
29dとで構成され、距離測定回路29dから対地距離
を表すディジタル信号でなる対地距離検出値HDL及びH
DRが出力される。
【0017】コントローラ30は、図8に示すように、
上下方向加速度センサ28FL〜28FRから入力される上
下加速度検出値ZGFR 〜ZGRR をディジタル値に変換す
るA/D変換器41FL〜41RRと、車速センサ26の車
速検出値V、プレビューセンサ29L,29Rの対地距
離検出値HDL, DR及び各A/D変換器41FL〜41RR
のA/D変換出力が入力されるマイクロコンピュータ4
2と、このマイクロコンピュータ42から出力される圧
力指令値PFL〜PRRがD/A変換器43FL〜43RRを介
して供給され、これらを圧力制御弁20FL〜20RRに対
する駆動電流i FL〜iFRに変換する例えばフローティン
グ形定電圧回路で構成される駆動回路44FL〜44FRと
を備えている。
【0018】ここで、マイクロコンピュータ42は、少
なくとも入力側インタフェース回路42a、出力側イン
タフェース回路42b、演算処理装置42c及び記憶装
置42dを有する。入力インタフェース回路42aに
は、車速検出値V、対地距離検出値XDL,XDR及びA/
D変換器41FL〜41RRの変換出力が入力され、出力側
インタフェース回路42bからは各圧力制御弁20FL〜
20RRに対する圧力指令値PFL〜PRRがD/A変換器4
3FL〜43RRに出力される。また、演算処理装置42c
は、後述する図9の処理を実行して、所定サンプリング
時間TS (例えば20msec)毎に、車速検出値V、対地
距離検出値HDL,HDR及び車体上下方向加速度ZGFR
GRR を読込み、上下方向加速度検出値ZGFR 〜ZGRR
に基づいて下記(4)〜(6)式の演算を行って重心点
gにおけるバウンス加速度Z″、ピッチ角加速度θ″及
びロール角加速度φ″を算出し、これらに基づいて車体
の姿勢変化を抑制するために各油圧シリンダ18FL〜1
8RRで発生させる姿勢変化抑制制御力FFL〜FRRを算出
すると共に、上下方向加速度検出値ZGFR 〜ZGRR に基
づいて下記(7)式及び(8)式の演算を行ってプレビ
ューセンサ29L及び29R位置での車体上下方向加速
度ZPL″及びZPR″を算出し、これらとプレビューセン
サ29L及び29Rの対地距離検出値HDL及びHDRとに
基づいて予見制御力UFL〜URRを演算し、算出した姿勢
変化抑制制御力FFL〜FRR及び予見制御用制御力URL
RRを加算した値を各圧力制御弁20FL〜20RRに対す
る圧力指令値PFL〜PRRとしてD/A変換器43FL〜4
3RRに出力する。
【0019】 φ″=(ZGRR −ZGRL )/2L3 ………(6) ZPL″=Z″−L6 θ″−L5 φ″ ………(7) ZPR″=Z″−L6 θ″+L5 φ″ ………(8) さらに、記憶装置42dは、予め演算処理装置42cの
演算処理に必要なプログラム及び周波数と応答遅れ補償
時間τ1 との関係を表す応答遅れ補償時間算出用マップ
が記憶されていると共に、所定サンプリング時間TS
に、プレビューセンサ29L及び29Rの対地距離検出
値HDL及びHDRと、算出されるプレビューセンサ29L
及び29R位置での車体上下方向加速度ZPL″及び
PR″とを夫々順次シフトさせながら所定数格納するシ
フトレジスタ領域が形成されており、さらに演算処理装
置42cの演算過程で必要な演算結果を逐次記憶する。
【0020】ここで、応答遅れ補償時間算出用マップ
は、図10に示すように、周波数が0〜0.5Hzの間
では応答遅れ補償時間τ1 が“0”を維持するが、0.
5〜1Hz間で周波数の増加に伴って応答遅れ補償時間
τ1 が線型に急激に増加し、1〜3Hz間で周波数の増
加に伴って応答遅れ補償時間τ1 の変化量が徐々に小さ
くなる非線型となり、3Hz以上となると周波数の増加
に伴って応答遅れ補助鵜時間τ1 が線型に減少するよう
に設定されている。この応答遅れ補償時間算出用マップ
で、0.5Hz以下で応答遅れ補償時間τ1 を“0”に
設定している理由は、本実施例の制御系では、5Hz近
辺での制御効果を向上すべく路面推定値を算出する際に
ハイパスフィルタ処理を行っているため、図14に示す
ように、0.5Hz以下の周波数領域では位相が進んで
おり、遅れ補償を行う必要がないためである。また、図
14における位相遅れと応答遅れ補償時間τ1 との関係
は、図14における例えば3Hzでは位相遅れが50°
であり、一方、3Hzにおける周期TはT=1/f=1
(sec)/3(Hz)=333msecで表すことが
でき、360°の位相遅れが333msecに相当する
ので、50°の位相遅れは時間に換算すると333×5
0/360=46msecとなり、図10の3Hzにお
ける応答遅れ補償時間τ1 に相当することになり、図1
4の位相遅れを図10の応答遅れ補償時間τ1 で補償す
ることができる。
【0021】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ42における演算処理装置42cの処理手順を示
す図9のフローチャートを伴って説明する。すなわち、
図9の処理は所定サンプリング時間TS (例えば10ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステッ
プS1で、車速検出値V、車体上下方向加速度検出値Z
Gi(i=FL,FR,RL,RR)及び対地距離検出値HDj(j
=L,R)を読込む。
【0022】次いで、ステップS2に移行して、前記
(4)〜(6)式の演算を行って、バウンス加速度
Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加速度φ″を算
出し、次いで、ステップS3に移行して、算出されたバ
ウンス加速度Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加
速度φ″をもとに前記(7)式及び(8)式の演算を行
って、プレビューセンサ29L及び29R位置での車体
上下方向加速度ZPL″及びZ PR″を算出してからステッ
プS4に移行する。
【0023】このステップS4では、下記(9)式〜
(11)式に示すように、上下方向加速度Z″、ピッチ
角加速度θ″及びロール角加速度φ″を1次遅れの伝達
関数L〔fZ〕、L〔fθ〕及びL〔fφ〕で表される
ローパスフィルタ処理によって積分した値に予め設定さ
れたバウンス制御ゲインGZ、ピッチ制御ゲインGθ及
びロール制御ゲインGφを乗算することにより、バウン
ス制御力FZ、ピッチ制御モーメントMθ及びロール制
御モーメントMφを算出する。
【0024】 FZ=GZ・fZ(Z″)但し、L〔fZ〕=1/(s+ωZ)……(9) Mθ=Gθ・fθ(θ″)但し、L〔fθ〕=1/(s+ωθ)……(10) Mφ=Gφ・fφ(φ″)但し、L〔fφ〕=1/(s+ωφ)…… (11) ここで、fZ,fθ,fφは積分手段としてのローパス
フィルタで、夫々のゲインGZ,Gθ,Gφ及びカット
オフ周波数ωZ/2π,ωθ/2π,ωφ/2πは個別
に設定することができ、また、sはラプラス演算子であ
る。
【0025】次いで、ステップS5に移行して、下記
(12)式〜(15)式の演算を行って、4輪の油圧シ
リンダ18FL〜18RRで並進運動を発生すべき姿勢変化
抑制制御力FFL〜FRRを算出する。 FFL=FN +(−Lr ・FZ+Mθ+Lr ・Mθ/d)/2(Lf +Lr )…(12) FFR=FN +(−Lr ・FZ+Mθ−Lr ・Mθ/d)/2(Lf +Lr )…(13) FRL=FN +(−Lr ・FZ−Mθ+Lr ・Mθ/d)/2(Lf +Lr )…(14) FRR=FN +(−Lr ・FZ−Mθ−Lr ・Mθ/d)/2(Lf +Lr )…(15) ここで、FN は車高を目標車高に維持するために必要と
する制御力、Lf は重心点gから前輪までの前後方向距
離、Lr は重心点gから後輪までの前後方向距離、dは
重心点gから各車輪11FL〜11RRまでの左右方向距離
である。
【0026】次いで、ステップS6に移行して、プレビ
ューセンサ29L及び29R位置での車体上下方向加速
度検出値ZPj″に対して積分処理としてのローパスフィ
ルタ処理を行って車体上下方向速度ZPj′を算出し、次
いで、ステップS7に移行して、対地距離検出値HDL
びHDRに対して微分処理としてのハイパスフィルタ処理
を行って対地距離変化速度HDL′及びHDR′を算出す
る。
【0027】次いで、ステップS8に移行して、ステッ
プS6で算出したプレビューセンサ29L及び29R位
置での車体上下方向速度ZPj′とステップS7で算出し
た対地距離変化速度HDj′とを加算して、路面状況を表
す路面推定値RPj′を算出する。ここで、車体上下方向
速度ZPj′と対地距離変化速度HDj′とを加算して路面
推定値RPj′を得ることができる理由は、対地距離検出
値HDjは車体の対地距離から車体変位を減算した値で表
されるので、これらを微分した対地距離変化速度HDj
も実際の対地距離変化速度から車体上下方向速度ZPj
を減算したものとなり、対地距離変化速度HDj′と車体
上下方向速度X2j′とを加算することにより、プレビュ
ーセンサ29L,29R位置での車体上下方向速度
Pj′を相殺して路面凹凸にのみ応じた路面推定値
Pj′を得ることができる。
【0028】次いで、ステップS9に移行して、算出し
た路面推定値RPj′に対して、低域側のカットオフ周波
数fCLを例えば0.5Hz、高域側のカットオフ周波数
CHを例えば10Hzに設定したバンドパスフィルタ処
理を行って、予見制御に必要な周波数領域のみでなる路
面推定値RPj′を抽出し、これを記憶装置42dに形成
したシフトレジスタ領域に順次シフトしながら格納す
る。
【0029】次いで、ステップS10に移行して、前記
ステップS9で抽出した路面推定値Rpj′を高速フーリ
エ変換(FFT)処理することにより、路面凹凸の周波
数分布のピーク周波数fP を算出する。次いで、ステッ
プS11に移行して、ステップS10で算出したピーク
周波数fP をもとに、図10の応答遅れ補償時間算出マ
ップを参照して、制御系の応答遅れ補償時間τ1 を算出
する。
【0030】次いで、ステップS12に移行して、車速
検出値V及び上記ステップS11で算出した制御系の応
答遅れ時間τ1 をもとに下記(16)式及び(17)式
の演算を行って、プレビューセンサ29L,29Rで検
出した路面に前輪11FL,11FR及び後輪11RL,11
RRが到達する迄の遅延時間τF,τR を算出する。 τF =(LP /V)−(τ1 +τ2 +τ3 ) …………(16) τR =τF +(L/V) …………(17) ただし、LP はプレビューセンサ29L,29Rで検知
する路面と前輪11FL,11FRとの間の距離、Lはホイ
ールベース、τ2 は予め設定されたコントローラ演算む
だ時間、τ3 は予め設定されたフィルタによる位相遅れ
時間である。
【0031】次いで、ステップS13に移行して、シフ
トレジスタ領域に格納されている遅延時間τF 及びτR
だけ前の路面推定値RPL′及びRPR′を夫々前輪側路面
推定値RPFL ′,RPFR ′及び後輪側路面推定値
PRL ′,RPRR ′として読出し、これらをもとに下記
(18)〜(21)式の演算を行って前輪側予見制御力
pF L,pFR 及び後輪側予見制御力UpRL,pRR を算出
し、これを記憶装置42dの所定記憶領域に更新記憶し
てからステップS14に移行する。
【0032】 UpFL =−Gp 〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPFL ′…………(18) UpFR =−Gp 〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPFR ′…………(19) UpRL =−Gp 〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPRL ′…………(20) UpRR =−Gp 〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕RPRR ′…………(21) ただし、GP は予め設定された予見制御ゲイン、Cp
減衰力制御ゲイン、Kpはばね力制御ゲイン、ω1 は制
御上のカットオフ周波数fC に2πを乗じた値であっ
て、実際のサスペンションの減衰定数C及びばね定数K
に対して、Cp ≦C,Kp ≦Kに設定され、且つω1
0に設定される。なお、sはラプラス演算子である。
【0033】ステップS14では、前輪側予見制御力U
pFL,pFR 及び後輪側予見制御力U pRL,pRR と前記ス
テップS5で算出した姿勢変化抑制制御力FFL〜FRR
に基づいて下記(20)式〜(23)式に従って、総合
制御力UFL〜URRを算出する。 UFL=UN −FFL+UpFL …………(20) UFR=UN −FFR+UpFR …………(21) URL=UN −FRL+UpRL …………(22) URR=UN −FRR+UpRR …………(23) ここで、UN は車高を目標車高に維持するために必要な
制御力である。
【0034】次いで、ステップS15に移行して、上記
ステップS14で算出した各制御力UFL〜URRに対応す
る圧力指令値PFL〜PRRを夫々D/A変換器43FL〜4
3RRに出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメ
インプログラムに復帰する。この図9の処理において、
ステップS10の処理が周波数分析手段に対応し、ステ
ップS11の処理が進み時間補正手段に対応し、ステッ
プS12の処理が遅延時間算出手段に対応し、ステップ
S6〜S9及びS13の処理が予見制御手段に対応して
いる。
【0035】したがって、今、車両が平坦な良路を目標
車高を維持して直進定速走行しているものとする。この
状態では、車両が平坦な良路で目標車高を維持している
ことから、車体側部材10に揺動を生じないので、各上
下方向加速度センサ28FL〜28RRの車体上下方向加速
度検出値ZGFR ″〜ZGRR ″は略零となっていると共
に、プレビューセンサ29L,29Rの対地距離検出値
DL及びHDRは目標車高を表している。
【0036】このため、ステップS2で算出される上下
加速度Z″、ピッチ角加速度θ″及びロール角加速度
φ″が共に零となると共に、ステップS3で算出される
プレビューセンサ29L,29R位置での上下方向加速
度ZPL″,ZPR″も零となり、ステップS4で算出され
るバウンス制御力FZ、ピッチ制御モーメントMθ及び
ロール制御モーメントMφも零となり、ステップS5で
算出される各車輪位置での姿勢変化抑制制御力FFL〜F
RRも零となる。
【0037】一方、車体に上下動がないと共に、路面も
平坦であることから、ステップS6で算出される左右の
プレビューセンサ29L,29R位置での上下速度
PL′及びZPR′も零であり、且つステップS7で算出
される対地距離変化速度HDL′及びHDR′も略零となる
ので、ステップS8で算出される路面推定値RPL′及び
PR′も略零となり、これらがバンドパスフィルタ処理
されて記憶装置42dに形成されたシフトレジスタ領域
に順次シフトしながら格納される。
【0038】さらに、路面推定値RPL′及びRPR′を高
速フーリエ変換処理して、ピーク周波数fP を算出し、
このピーク周波数fP をもとに応答遅れ補償時間算出マ
ップを参照して、制御系の応答遅れ補償時間τ1 を算出
し、この応答遅れ補償時間τ 1 と車速検出値Vとに基づ
いてプレビューセンサ29L,29Rで検出した路面に
前輪11FL,11FR及び後輪11RL,11RRが達するま
での前輪側遅延時間τ F 及び後輪側遅延時間τR を算出
し、これら遅延時間τF 及びτR に対応するシフト段の
路面推定値RPFL ′,RPFR ′及びRPRL ′,RPRR
を読出し、これらをもとに前記(18)〜(21)式の
演算を行うことにより前輪側予見制御力UpFL,pFR
び後輪側予見制御力UpRL,pRR を算出する。このと
き、車両が平坦な良路を直進走行を継続しているので、
シフトレジスタ領域に格納されている路面推定値RPL
及びRPR′は全て略零であるため、前輪側予見制御力U
pFL,pFR 及び後輪側予見制御力UpRL,pRR も零とな
る。
【0039】したがって、ステップS14で算出される
総合制御力UFL〜URRは目標車高を維持する中立圧制御
力UN のみに対応した値となり、これらに対応する圧力
指令値PFL〜PRR が出力側インタフェース回路42b
及びD/A変換器43FL〜43RRを介して駆動回路44
FL〜44RRに出力される。このため、駆動回路44FL〜
44RRで圧力指令値PFL〜PRRに対応した指令電流iFL
〜iRRに変換されて前輪側の圧力制御弁20FL〜20RR
に供給される。この結果、圧力制御弁20FL〜20RRか
ら目標車高を維持するために必要な中立圧PCNが前輪側
及び後輪側の油圧シリンダ18FL,18FR及び18RL,
18RRに出力され、これら油圧シリンダ18FL〜18RR
で対地距離検出値HDL及びHDRを目標車高に維持する推
力を発生する。
【0040】この良路直進走行状態で、例えば左側車輪
11FL及び11RLの通過する走行軌跡の前方の路面に一
過性の突起がある場合には、先ず、左側のプレビューセ
ンサ29L,29Rが突起を検出することにより、これ
から出力される対地距離検出値HDLが突起の頂点に達す
るまでは突起の形状に応じて急激に小さい値に変化し、
突起の頂点を越えると突起の形状に応じて急激に大きい
値に変化し、突起を通過し終わると目標車高に復帰す
る。
【0041】この間に、前左輪11FLが突起に乗り上げ
ないものとすると、車体は揺動することがないので、ス
テップS3で算出されるプレビューセンサ29L,29
R位置での上下方向加速度ZPL″及びZPR″は零の状態
を維持するため、ステップS6で算出される上下方向速
度ZPL′及びZPR′は零の状態を維持するが、ステップ
S7で算出される対地距離変化速度HDL′が突起の頂点
に達するまでは負方向に増加し、突起の頂点で零とな
り、その後正方向に増加してから目標車高に復帰するこ
とになる。この結果、ステップS8で算出される左輪側
の路面推定値RPL′が対地距離変化速度HDL′の変化に
応じて変化することになり、これがシフトレジスタ領域
に順次シフトしながら格納される。
【0042】そして、ステップS10で路面推定値
PL′及びRPR′を高速フーリエ変換処理してピーク周
波数fP を算出し、次いでステップS11でピーク周波
数fP をもとに図10に示す応答遅れ補償時間算出マッ
プを参照して制御系の応答遅れ補償時間τ1 を算出し、
この応答遅れ補償時間τ1 と車速検出値Vとをもとにス
テップS12で前記(16)式及び(17)式の演算を
行って、プレビューセンサ29L,29Rで検出した路
面に前輪11FL,11FR及び後輪11RL,11RRが到達
する迄の遅延時間τF 及びτR を算出する。
【0043】ところで、プレビューセンサ29L,29
Rで路面の突起を検出した時点では、前輪11FLが突起
に到達しておらず、この時点では、シフトレジスタ領域
に格納されている前回までの左輪側の路面推定値RPL
は略零であるので、遅延時間τF 及びτR 前の路面推定
値RPFL ′及びRPRL ′が零であるため、前後輪側の総
合制御力UFL,UFR及びURL,URRは中立制御力UN
維持する。
【0044】その後、前左輪11FLが突起位置に到達す
ると、そのときに算出される遅延時間τF だけ前にシフ
トレジスタ領域に格納された路面推定値RPFL ′が突起
の形状を表す値となっているので、この路面推定値R
PFL ′に基づいて前輪側予見制御力UpFL が算出される
ことにより、この前輪側予見制御力UpFL が前回の処理
時の零から負方向に増加し、これによってステップS1
4で算出される前左輪11FLに対する総合制御力UFL
中立制御力UN より前輪側予見制御力UpFL 分だけ減少
する。
【0045】このため、駆動回路44FLから出力される
指令電流iFLが低下し、これによって圧力制御弁20FL
から出力される制御圧PC が中立圧PCNより低下して、
油圧シリンダ18FL及び18FRの推力が低下され、前左
輪11FLの突起乗り上げを事前に許容することができ、
前左輪11FLの突起乗り上げによる車体側部材10の揺
動を確実に抑制することができる。以後、順次シフトレ
ジスタ領域に格納されている突起に対応した路面推定値
PFL ′が順次読出されることにより、突起通過の影響
が車体側部材10に伝達されることなく、良好な乗心地
を確保することができる。
【0046】このとき、路面推定値RPj′を周波数分析
して、そのピーク周波数fP に基づいて制御系の応答遅
れ補償時間τ1 を算出するようにしているので、制御系
の応答遅れ時間τ1 が路面推定値RPj′のピーク周波数
に応じて最適な値に設定され、路面状況の変化による振
動入力の幅広い周波数領域にわたって正確な遅れ補償を
行うことができ、高精度の予見制御を行って、良好な乗
心地を確保することができる。
【0047】その後、同様に後左輪11RLが突起に到達
する状態となると、上記した前左輪11FLと同様に、シ
フトレジスタ領域からステップS12で算出される路面
状況に応じた制御系の遅れ補償時間τ1 及びホイールベ
ース長Lを考慮した後輪側遅延時間τR だけ前の路面推
定値RPRL ′を読出すことにより、前左輪11FLと同様
に、路面状況に応じた予見制御力を発揮して良好な乗心
地を確保することができる。
【0048】同様に、右側輪11FR及び11RRの走行軌
跡上に突起がある場合も、上記と同様の予見制御が実行
されることにより、良好な乗心地を確保することがで
き、さらに、悪路等を走行する状態となって、車体側部
材10にバウンスを生じることになると、ステップS5
でこのバウンスを抑制する制御力FZが算出され、この
制御力FZに基づいてステップS5でバウンスを抑制す
る姿勢変化抑制制御力F FL〜FRRが算出され、これと予
見制御力UpFL 〜UpRR とに基づいて総合制御力UFL
RRが算出されることにより、バウンスを抑制すること
がでる。このとき、車体側部材10に生じるバウンスに
よってプレビューセンサ29L,29Rに上下動を生じ
たとしても、ステップS3でプレビューセンサ29L,
29R位置での上下方向加速度ZPL″及びZPR″を算出
し、これを積分した上下方向速度Z PL′及びZPR′とプ
レビューセンサ29L,29Rの対地距離検出値HDL
びH DRを微分した対地距離変化速度HDL′及びHDR′と
をステップS8で加算して路面推定値RPL′及びRPR
を算出することにより、プレビューセンサ29L,29
Rの上下動の影響を除去した真の路面推定値RPL′及び
PR′を算出することができ、正確な予見制御を行うこ
とができる。
【0049】また、車両が旋回状態となって車体側部材
10にロールが生じたり、加減速状態となって車体側部
材10にピッチが生じる場合にも、ステップS4でロー
ル制御モーメントMφ及びピッチ制御モーメントMθを
算出し、これらに基づいてステップS5で姿勢変化抑制
制御力FFL〜FRRを算出するので、車体の姿勢変化を抑
制して良好な乗心地を確保することができると共に、ロ
ールやピッチによるプレビューセンサ29L,29R位
置での上下加速度ZPL″及びZPR″を算出するので、ロ
ールやピッチの影響を除去した真の路面推定値RPL′及
びRPR′を算出することができ、正確な予見制御を行う
ことができる。
【0050】次に、本発明の第2実施例を図11及び図
12について説明する。この第2実施例は、上記第1実
施例に加えて予見制御ゲインGP も路面推定値RPL′及
びRPR′を周波数分析したピーク周波数fP に応じて変
更するようにしたものである。すなわち、第2実施例で
は、マイクロコンピュータ42の演算処理装置42cで
図9の演算処理に代えて図11に示す演算処理を実行す
る。この図11の演算処理は、前記図9におけるステッ
プS11の処理とステップS12の処理との間に高速フ
ーリエ変換処理によって算出したピーク周波数fP をも
とに、図12に示す予見制御ゲイン算出マップを参照し
て、予見制御ゲインGP を算出し、これを記憶装置42
dの所定記憶領域に更新記憶するステップS11aが介
挿され、且つステップS13で記憶装置42dの所定記
憶領域に記憶されている予見制御ゲインGP を読出し
て、前記(18)〜(21)式の演算を行って、予見制
御力UpFL 〜UpRR を算出することを除いては図9の処
理と同様の処理を行い、図9との対応部分には同一のス
テップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0051】ここで、予見制御ゲイン算出マップは、図
12に示すように、周波数がバネ上共振周波数に相当す
る1Hz以下では周波数が小さくなるに従って予見制御
ゲインGP を急減させて、直流成分をカットすることに
より、例えば片輪が段差のある路面を乗り上げ続けた時
などの不要な制御を防止し、1Hz〜5Hzでは、予め
測定した制御系の周波数別応答ゲインの逆数に設定され
ているため、プレビュー制御のトータルゲインとしては
フラットとなり、5Hz〜8Hz間では周波数にかかわ
らず予見制御ゲインGP を一定値とし、8Hz以上では
周波数の増加に伴って予見制御ゲインGP を急減させて
特にバネ下共振周波数に相当する10Hz以上での高周
波ノイズによる不要な予見制御を防止する。
【0052】この第2実施例によると、第1実施例と同
様にして路面推定値RPL′及びRPR′を周波数分析して
算出したピーク周波数fP をもとに応答遅れ補償時間τ
1 を設定するので、走行路面に対応した応答遅れ補償時
間τ1 を高精度で設定することができ、予見制御を正確
に行うことができると共に、予見制御ゲインGP 自体も
路面推定値RPL′及びRPR′を周波数分析して算出した
ピーク周波数fP をもとに変更するようにしているの
で、より良好な予見制御を行うことができる。
【0053】すなわち、路面推定値RPL′及びRPR′の
ピーク周波数fP が1〜5Hzであるときには、予見制
御ゲインGP が制御系の周波数別応答ゲインの逆数に設
定されているため、この周波数範囲では、予見制御のト
ータルゲインがフラットとなって、良好な予見制御を行
うことができる。一方、路面推定値RPL′及びRPR′の
ピーク周波数fP が1Hz以下である場合には、予見制
御ゲインGP が急減するため、例えば片輪側のみが路面
がステップ状に上昇する段差でなる所謂ランプステップ
路に乗り上げた状態を継続する場合等では、段差乗り上
げ時の路面推定値の変化時には正確な予見制御を行い、
その後の乗り上げ継続状態では路面推定値に大きな変動
が生じることがなく直流成分に近い状態となるので、こ
の間の不要な予見制御を防止することができる。
【0054】また、路面推定値RPL′及びRPR′のピー
ク周波数fP が10Hz以上である場合にも、予見制御
ゲインGP が急減するため、高周波ノイズによる不要な
予見制御を防止することができ、良好な乗心地を確保す
ることができる。なお、上記第2実施例においては、路
面推定値RPL′及びRPR′のピーク周波数fP に基づい
て制御系の応答遅れ補償時間τ1 と予見制御ゲインGP
の双方を変更する場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、予見制御ゲインGP のみを路面推
定値RPL′及びRPR′のピーク周波数fP に基づいて変
更するようにしてもよい。
【0055】また、上記第1及び第2実施例において
は、路面推定値RPL′及びRPR′の周波数分析を高速フ
ーリエ変換処理によって行う場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、路面推定値RPL′及び
PR′に適当なフィルタ処理を施したデータのピーク間
の時間間隔を計測して、この時間間隔から周波数を推定
するようにしてもよい。
【0056】さらに、上記第1及び第2実施例において
は、前輪より前方位置に配設したプレビューセンサとし
て超音波距離センサを適用した場合について説明した
が、これに限らずレーザ距離計等の非接触式センサを適
用したり、路面に接触するローラ等を設けて車体と路面
との相対変位を測定するようにしてもよい。さらにま
た、上記第1及び第2実施例においては、前輪より前方
位置に配設したプレビューセンサ29L,29Rによっ
て路面推定値RPL′及びRPR′を検出する場合について
説明したが、これに限定されるものではなく、前輪11
FL及び11FRに夫々ストロークセンサを配設し、このス
トロークセンサのストローク検出値と前輪位置での車体
上下方向加速度とに基づいて路面推定値を算出し、この
路面推定値に基づいて後輪側の油圧シリンダ18RL,1
8RRを予見制御するようにしてもよい。
【0057】また、上記第1及び第2実施例において
は、マイクロコンピュータ42で全ての演算を行う場合
について説明したが、プレビューセンサ29L,29R
位置の車体側部材にも上下方向加速度センサを設け、プ
レビューセンサ29L,29R及び上下方向加速度セン
サの検出値を夫々ハイパスフィルタ及びローパスフィル
タで微分及び積分し、両者を加算器で加算する路面推定
回路を設け、この路面推定回路から出力される路面推定
値をマイクロコンピュータ42に入力するようにしても
よい。
【0058】さらに、上記第1及び第2実施例において
は、路面推定値RPL′及びRPR′をシフトレジスタ領域
に順次シフトしながら格納する場合について説明した
が、これに限らず、路面推定値RPL′及びRPR′に基づ
いて(18)〜(21)式に従って算出した予見制御用
制御力UpFL 〜UpRR をシフトレジスタ領域に順次シフ
トしながら格納し、遅延時間τF 及びτR だけ前の予見
制御用制御力UpFL,pF R 及びUPRL,pRR を読出すよ
うにしてもよい。
【0059】さらにまた、上記第1及び第2実施例にお
いては、3つの上下方向加速度センサ28FR〜28RRを
配置して、残りの一か所については演算で上下方向加速
度を推定する場合について説明したが、これに限らず、
4輪11FL〜11RRに対応する位置に夫々上下方向加速
度センサを配設するようにしてもよい。また、上記第1
及び第2実施例においては、上記第1及び第2実施例に
おいては、制御弁として圧力制御弁20FL〜20RRを適
用した場合について説明したが、これに限定されるもの
ではなく、他の流量制御型サーボ弁等を適用し得るもの
である。
【0060】さらに、上記実施例においては、コントロ
ーラ30をマイクロコンピュータ62で構成した場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではなく、シ
フトレジスタ、演算回路等の電子回路を組み合わせて構
成するようにしてもよいことは言うまでもない。さらに
また、上記実施例においては、作動流体として作動油を
適用した場合について説明したが、これに限らず圧縮率
の少ない流体であれば任意の作動流体を適用し得る。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、予見制御を行うに当た
り、前方路面情報検出手段の路面情報の周波数を分析
し、その周波数分析値に応じて制御系の応答遅れ補償を
行うための進み時間を補正するようにしたので、路面状
況に応じた最適な応答遅れ補償を行うことができ、高精
度の予見制御を行って、良好な乗心地を確保することが
できるという効果が得られる。
【0062】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、予見制御を行うに当たり、前方路面情報
検出手段の路面情報の周波数を分析し、その周波数分析
値に応じて予見制御手段における予見制御ゲインを補正
するようにしたので、路面状況に応じた最適な予見制御
ゲインを設定することができ、高精度の予見制御を行っ
て良好名乗心地を確保することができるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1に対応する基本構成図であ
る。
【図2】本発明の請求項2に対応する基本構成図であ
る。
【図3】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図4】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図5】各センサの配置関係を示す説明図である。
【図6】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図7】プレビューセンサの一例を示す概略構成図であ
る。
【図8】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図9】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図10】第1実施例に適用する応答遅れ補償時間算出
マップの一例を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施例におけるマイクロコンピ
ュータの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】第2実施例に適用する予見制御ゲイン算出マ
ップの一例を示す説明図である。
【図13】能動型サスペンションにおける周波数に対す
るゲインの関係を示す特性線図である。
【図14】能動型サスペンションにおける周波数に対す
る位相の関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 26 車速センサ 28FR〜28RR 上下方向加速度センサ 29L,29R プレビューセンサ 30 コントローラ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象車輪と車体との間に介装され指
    令値に応じた制御力を発生するアクチュエータと、前記
    制御対象車輪より前方の路面情報を検出する前方路面情
    報検出手段と、該前方路面情報検出手段で検出した路面
    に制御対象車輪が到達するまでの遅延時間を算出する遅
    延時間算出手段と、前記前方路面情報検出手段の路面情
    報に基づいて前記指令値を算出し、これを前記遅延時間
    経過時点で前記アクチュエータに出力する予見制御手段
    とを備えたサスペンション制御装置において、前記前方
    路面情報検出手段の路面情報の周波数を分析する周波数
    分析手段と、該周波数分析手段の周波数分析値に応じて
    前記遅延時間算出手段での制御系の応答遅れ補償を行う
    ための進み時間を補正する進み時間補正手段とを備えて
    いることを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 制御対象車輪と車体との間に介装され指
    令値に応じた制御力を発生するアクチュエータと、前記
    制御対象車輪より前方の路面情報を検出する前方路面情
    報検出手段と、該前方路面情報検出手段で検出した路面
    に制御対象車輪が到達するまでの遅延時間を算出する遅
    延時間算出手段と、前記前方路面情報検出手段の路面情
    報に基づいて前記指令値を算出し、これを前記遅延時間
    経過時点で前記アクチュエータに出力する予見制御手段
    とを備えたサスペンション制御装置において、前記前方
    路面情報検出手段の路面情報の周波数を分析する周波数
    分析手段と、該周波数分析手段の周波数分析値に応じて
    前記予見制御手段における予見制御ゲインを補正するゲ
    イン補正手段とを備えていることを特徴とするサスペン
    ション制御装置。
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