JP2871289B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2871289B2
JP2871289B2 JP12397792A JP12397792A JP2871289B2 JP 2871289 B2 JP2871289 B2 JP 2871289B2 JP 12397792 A JP12397792 A JP 12397792A JP 12397792 A JP12397792 A JP 12397792A JP 2871289 B2 JP2871289 B2 JP 2871289B2
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研輔 福山
洋介 赤津
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健 木村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御対象車輪より前方
位置で検出した路面情報に基づいて制御対象車輪及び車
体間に介挿した流体圧シリンダの作動流体圧力を予見制
御するサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置として
は、特開昭56−31861号公報に記載されているも
のがある。この従来例は、車両の振動を検出し該検出結
果によって車体の振動を抑制する流体作動機構及び該流
体作動機構の制御回路を有する車両の振動予見制御装置
において、車速を検出する速度検出器を設けるとともに
車両の進行方向前側に振動検出器を設け、前記速度検出
器の検出結果および前記振動検出器から車両進行方向後
側の流体作動機構までの距離により、該流体作動機構お
よび制御回路の位相遅れを補償して前記振動検出器の検
出結果を前記制御回路に伝達する予見回路を設けた構成
を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション制御装置にあっては、制御対象車輪
の前方に設けた振動検出器で検出した路面情報に基づい
て算出された制御力を、路面情報検出点と制御対象車輪
との距離と車速とから計算される制御対象車輪の通過時
間を、流体作動機構、制御回路の位相遅れを補償する車
速に応じた進み時間により決まる補償時間で補正するよ
うにしているため、悪路走行などで流体圧力制御弁への
供給圧力が低下し、流体作動機構の応答特性(ゲイン、
位相)が変化したときには、流体作動機構の応答特性変
化に追従することができず、制御力を発生するタイミン
グがずれたり、適切な制御力が得られなくなって十分な
乗心地向上効果を発揮することができないという未解決
の課題がある。
【0004】そこで、本発明は上記従来例の未解決の課
題に着目してなされたものであり、圧力制御弁への供給
流体圧が低下することに起因する油圧シリンダの応答特
性変化にかかわらず適切な制御力を発生して十分な乗心
地向上効果を発揮することができるサスペンション制御
装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、制御対象車輪と車体との間に
介装された流体圧シリンダと、該流体圧シリンダの圧力
室に連通されてその作動流体圧力を制御する圧力制御弁
と、前記流体圧シリンダの圧力室に絞りを介して連通す
るアキュムレータと、前記制御対象車輪より前方の路面
情報を検出する前方路面情報検出手段と、該前方路面情
報検出手段の路面情報に基づいて算出した前記圧力制御
弁に対する圧力指令値を当該前方路面情報検出手段で検
出した路面に制御対象車輪が到達するまでの遅延時間経
過時点で当該圧力制御弁に出力する制御手段とを備えた
サスペンション制御装置において、前記圧力制御弁に供
給される作動流体の圧力を検出又は推定する圧力検出・
推定手段と、該圧力検出・推定手段の圧力検出値に応じ
て前記圧力指令値及び前記遅延時間の少なくとも一方を
補正する補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、前記作動流体はポンプにより供給されるもので
あり、前記圧力検出・推定手段は、ポンプの回転数から
圧力制御弁に供給される作動流体の圧力を推定するもの
であることを特徴としている。
【0007】
【作用】請求項1に係るサスペンション制御装置におい
ては、圧力制御弁に供給される作動流体圧力を圧力検出
・推定手段で検出又は推定し、その検出又は推定された
圧力に基づいて少なくとも圧力制御弁に対する圧力指令
値又は前方路面情報検出手段で検出した路面に制御対象
車輪が到達するまでの遅延時間を補正することにより、
流体圧制御系の応答特性の変化を補償し、最適時点で適
切な制御力を発生させる。
【0008】また,、請求項2に係るサスペンション制
御装置は、圧力センサを必要せず、通常のエンジン制御
装置で使用しているエンジン回転数センサからポンプ回
転数を検知し、圧力制御弁に供給される作動流体の圧力
を推定する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
り、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前左
〜後右車輪を、12は能動型サスペンションを夫々示
す。
【0010】能動型サスペンション12は、車体側部材
10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間に
各々介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ1
8FL〜18RRと、これら油圧シリンダ18FL〜18RRの
作動圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、
これら圧力制御弁20FL〜20RRに所定圧力の作動油を
供給側配管21Sを介して供給すると共に、圧力制御弁
20FL〜20RRからの戻り油を戻り側配管21Rを通じ
て回収する油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御
弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21Sに介挿された
蓄圧用のアキュムレータ24F,24Rと、車速を検出
してこれに応じたパルス信号を出力する車速センサ26
と、前輪側油圧シリンダ18FL及び18FRと並列に配設
されて前輪11FL及び11FRと車体との間の相対変位を
検出するストロークセンサ27FL及び27FRと、各車輪
11FL〜11RRに夫々対応する位置における車体の上下
方向加速度を夫々個別に検出する上下方向加速度センサ
28FL〜28RRと、供給側配管21Sに配設され、油圧
源22からの供給油圧に応じた電圧でなる圧力検出値を
出力する圧力センサ29と、各上下方向加速度センサ2
8FL〜28RRの上下方向加速度検出値ZGFL 〜ZGRR
基づいて各圧力制御弁20FL〜20RRを能動制御すると
共に、各センサ26、27FL,27FR、28FL〜28FR
及び29の検出値に基づき前輪の運動状態に応じて後輪
側の圧力制御弁20RL及び20RRの出力圧を個別に予見
制御するコントローラ30とを備えている。
【0011】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。また、圧力室Lの各
々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20RR
の出力ポートに接続されている。また、油圧シリンダ1
8FL〜18RRの圧力室Lの各々は、絞り弁32を介して
バネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されてい
る。また、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバネ
上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって車
体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設され
ている。
【0012】圧力制御弁20FL〜20RRの夫々は、スプ
ールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれ
に一体的に設けられた比例ソレノイドとを有する、従来
周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−7
4111号参照)で構成されている。そして、比例ソレ
ノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指令値)を
調整することにより、弁ハウジング内に収容されたポペ
ットの移動距離、即ちスプールの位置を制御し、供給ポ
ート及び出力ポート又は出力ポート及び戻りポートを介
して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜18RRとの間で
流通する作動油を制御できるようになっている。
【0013】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図3に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図3
で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0014】ストロークセンサ27FL及び27FRの夫々
は、図4に示すように、車高が予め設定されした目標車
高に一致するときに零の中立電圧VS 、車高が目標車高
より高くなるとその偏差に応じた正の電圧、車高が目標
車高より低くなるとその偏差に応じた負の電圧でなるス
トローク検出値HFL及びHFRを出力するように構成され
ている。
【0015】上下方向加速度センサ28FL〜28RLの夫
々は、図5に示すように、上下方向加速度が零であると
きに零の電圧、上方向の加速度を検出したときにその加
速度値に応じた正のアナログ電圧、下方向の加速度を検
出したときに、その加速度値に応じた負のアナログ電圧
でなる上下方向加速度検出値ZGFL 〜ZGRR を出力する
ように構成されている。
【0016】コントローラ30は、図6に示すように、
ストロークセンサ27FL及び27FRから入力されるスト
ローク検出値SFL及びSFRと上下方向加速度センサ28
FL〜28RRのうち前輪側に対応する加速度センサ28FL
及び28FRから出力される車体上下方向加速度検出値Z
GFL 及びZGFR とに基づいて路面形状に正確に追従した
前輪11FL及び11FRの路面変位の微分値x1FL ′及び
1FR ′を出力する振動入力推定回路41と、上下方向
加速度センサ28FL〜28FRから入力される上下加速度
検出値ZGFL 〜ZGFR を積分してばね上速度ZVFL 〜Z
VRR を算出する例えばばね上共振周波数近傍の周波数を
通過させるバンドパスフィルタで構成される積分回路4
2FL〜42RRと、圧力センサ29から入力される圧力検
出値PHが入力され、この圧力検出値PH のゆっくりし
た圧力変化を表す低周波数成分を抽出するローパスフィ
ルタ47と、振動入力推定回路41から出力される路面
変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′、積分回路42FL〜
42RRから出力されるばね上速度ZVFL 〜ZVRR 及びロ
ーパスフィルタ47から出力される低周波圧力検出値P
L をディジタル値に変換するA/D変換器43a〜43
gと、車速センサ26の車速検出値V及び各A/D変換
器43a〜43gのA/D変換出力が入力されるマイク
ロコンピュータ44と、このマイクロコンピュータ44
から出力される圧力指令値PFL〜PRRがD/A変換器4
5FL〜45RRを介して供給され、これらを圧力制御弁2
0FL〜20RRに対する駆動電流iFL〜iFRに変換する例
えばフローティング形定電圧回路で構成される駆動回路
46FL〜46FRとを備えている。
【0017】ここで、振動入力推定回路41は、図6に
示すように、ストロークセンサ27FL及び27FRのスト
ローク検出値SFL及びSFRを微分してストローク速度S
VFL及びSVFR を算出する例えばばね下共振周波数の2
倍近傍(約20Hz)のカットオフ周波数fHCに設定され
たハイパスフィルタで構成される微分回路41a及び4
1bと、上下方向加速度センサ28FL及び28FRの車体
上下方向加速度検出値ZGFL 及びZGFR を積分してばね
上変位の微分値xFL′及びxFR′を算出する例えばばね
上共振周波数の1/6近傍(約0.02Hz)のカットオ
フ周波数fLCに設定されたローパスフィルタで構成され
る積分回路41c及び41dと、微分回路41a及び4
1bから出力されるストローク速度SVFL 及びSVFR
前記積分回路41c及び41dから出力されるばね上変
位の微分値xFL′及びxFR′とを加算する加算器41e
及び41fとを備えており、加算器41e及び41fか
ら路面形状に正確に追従した前輪11FL及び11FRの路
面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′が出力される。
【0018】すなわち、ストロークセンサ27FL及び2
7FRから出力されるストローク検出値SFL及びSFRは、
下記(1) 式及び(2) 式で表されるように、ばね下及びば
ね上間の相対変位を表すので、前輪11FL及び11FRの
ばね下変位x0FL 及びx0FRから車体のばね上変位xFL
及びxFRを減算した値となる。 SFL=x0FL −xFL …………(1) SFR=x0FR −xFR …………(2) したがって、ストローク検出値SFL及びSFRを微分回路
41a及び41bで微分したストローク速度SVFL 及び
VFR は夫々ばね下変位の微分値x0FL ′及びx0FR
からばね上変位の微分値xFL′及びxFR′を減算した値
となるため、これらと上下加速度検出値ZGFL 及びZ
GFR を積分したばね上変位の微分値xFL′及びxFR′と
を加算することにより、ばね上変位の微分値xFL′及び
FR′を相殺して路面変位に追従した真の路面変位の微
分値x0FL ′及びx0FR ′を得ることができる。
【0019】また、マイクロコンピュータ44は、少な
くとも入力側インタフェース回路44a、出力側インタ
フェース回路44b、演算処理装置44c及び記憶装置
44dを有する。入力インタフェース回路44aには、
車速検出値V及びA/D変換器43a〜43fの変換出
力が入力され、出力側インタフェース回路44bからは
各圧力制御弁20FL〜20RRに対する圧力指令値PFL
RRがD/A変換器45FL〜45RRに出力される。ま
た、演算処理装置44cは、後述する図7の処理を実行
して、所定サンプリング時間TS (例えば20msec)毎
に、車速検出値V、路面変位の微分値x0FL ′,
0FR ′、車体上下速度ZVFL 〜ZVRR 及び低周波圧力
検出値PL を読込み、車速検出値Vに基づいて前後輪間
の遅延時間τR を算出すると共に、圧力検出値PL に基
づいて制御力補正係数α及び遅延時間補正係数βを算出
し、且つ路面変位の微分値x0FL ′,x0FR ′に基づい
て後輪側のアクチュエータとしての油圧シリンダ18RL
及び18RRで発生する予見制御用制御力URL,URRを演
算し、予見制御用制御力URL,URRに補正係数αを乗算
して補正すると共に、遅延時間τR に補正係数βを乗算
して補正してから、補正した予見制御用制御力URL,
RRを補正した遅延時間τR と共に記憶装置44dに形成
下所定段数のシフトレジスタに対応する記憶領域に順次
シフトしながら格納し、遅延時間τR についてはシフト
する際にサンプリング時間TS を順次減算しながら格納
し、遅延時間τR が零に達した予見制御用制御力URL
RRと、積分回路42FL〜42RRからの車体上下速度Z
VFL 〜ZVRR に基づいて算出したスカイフックダンパ機
能を発揮する能動制御用制御力とを加算した値を各圧力
制御弁20FL〜20RRに対する圧力指令値としてD/A
変換器45FL〜45RRに出力する。
【0020】さらに、記憶装置44dは、予め演算処理
装置44cの演算処理に必要なプログラムが記憶されて
いると共に、所定サンプリング時間TS 毎に算出される
補正予見制御用制御力URL, RRを補正遅延時間τR
共に順次シフトさせながら所定数格納するシフトレジス
タ領域が形成されていると共に、予め低周波圧力検出値
L と制御力補正係数αとの関係を示す制御力補正用マ
ップ及び低周波圧力検出値PL と遅延時間補正係数βと
の関係を示す遅延時間補正用マップを格納しており、さ
らに演算処理装置44cの演算過程で必要な演算結果を
逐次記憶する。ここで、制御力補正用マップは、図8に
示すように、低周波圧力検出値PL が基準圧力PN であ
るときに制御力補正係数αが“1”となり、基準圧力P
N より高くなるとαが“1”より小さくなり、基準圧力
N より低くなるとαが“1”より大きくなるように非
線形に設定されている。同様に、遅延時間補正用マップ
は図9に示すように、低周波圧力検出値PL が基準圧力
N であるときに遅延時間補正係数βが“1”となり、
基準圧力PN より高くなるとβが“1”より小さくな
り、基準圧力PN より低くなるとβが“1”より大きく
なるように非線形に設定されている。このように、制御
力補正係数α及び遅延時間補正係数βを設定する理由
は、圧力制御弁20FL〜20RRに対する作動油供給圧が
基準圧力PN であるときの油圧系(圧力制御弁、油圧シ
リンダ等)の周波数応答特性に合わせて乗心地向上効果
が大きくなるうように予見制御のゲインや遅延時間τR
のチューニングが行われているものとすると、油圧系の
周波数応答特性は、圧力制御弁20FL〜20RRに対する
供給圧がが変わると、図10に示すように変化する。つ
まり、圧力制御弁20FL〜20RRへの供給圧が高く制御
圧PC との差圧が大きいときは作動油の供給速度が上が
り制御弁の応答性は高くなり、供給圧が低くなると応答
性が悪化する。したがって、予め圧力制御弁20FL〜2
0RRへの供給圧の圧力変化による周波数応答特性を測定
し、供給圧が基準圧力PN から変動しても基準圧力PN
であるときと同じ制御効果がでるように補正係数α及び
βを設定する。
【0021】次に、上記実施例の動作をマイクロコンピ
ュータ44における演算処理装置44cの処理手順を示
す図7のフローチャートを伴って説明する。すなわち、
図7の処理は所定サンプリング時間TS (例えば20ms
ec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステッ
プS1で、現在の車速センサ26の車速検出値V(n) を
読込み、次いでステップS2に移行して車速検出値V
(n) が予め設定された車速設定値VS 以上であるか否か
を判定し、V(n) <VS であるときには、そのままタイ
マ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰
し、V(n) ≧VS であるときにはステップS3に移行す
る。
【0022】このステップS3では、振動入力推定回路
41からの路面変位の微分値x0FL′,x0FR ′及び積
分回路42FL〜42FRからの車体上下速度ZVFL 〜Z
VFR を読込み、次いでステップS4に移行して、ローパ
スフィルタ47からの低周波圧力検出値PL を読込み、
次いでステップS5に移行して、低周波圧力検出値PL
をもとに予め記憶装置44dに格納されている図8に示
す低周波圧力検出値PLと制御力補正係数αとの関係を
表す制御力補正用マップを参照して、制御力補正係数α
を算出し、次いでステップS6に移行して、予め記憶装
置44dに格納されている図9に示す低周波圧力検出値
L と遅延時間補正係数βとの関係を表す遅延時間補正
用マップを参照して、遅延時間補正係数βを算出する。
【0023】次いで、ステップS7に移行して、遅延時
間補正係数βに基づいて下記(3) 式の演算を行って補正
遅延時間τS を算出する。 τS =β・τ1 +τ2 +τ3 …………(3) ただし、τ1 は予め設定された油圧系の応答遅れ時間、
τ2 は予め設定されたコントローラ演算むだ時間、τ3
は予め設定されたフィルタによる位相遅れ時間である。
【0024】次いで、ステップS8に移行して、前述し
たステップS3で読込んだ路面変位の微分値x0FL ′,
0FR ′を読出して、これらをもとに下記(4) 式及び
(5) 式の演算を行って、後輪の圧力制御弁20RL及び2
0RRに対する予見制御力UpRL及びUpRR を算出する。 UpRL =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FL ′ …………(4) UpRR =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FR ′ …………(5) ただし、Cp は減衰力制御ゲイン、Kp はばね力制御ゲ
イン、ω1 は制御上のカットオフ周波数fC に2πを乗
じた値であって、実際のサスペンションの 減衰定数C
及びばね定数Kに対してCp ≦C,Kp ≦Kに設定さ
れ、且つω1 ≧0に設定される。
【0025】ここで、予見制御力UpRL 及びUpRR を上
記(4) 式及び(5) 式に従って算出する理由は、通常の能
動型サスペンションのように、ばね下共振周波数領域に
対しては能動制御を行わず、5Hz以下の主にばね上共振
周波数領域の振動抑制を図る場合には、1輪の運動モデ
ルは図11に示すように、路面にばね要素K、減衰要素
C及び制御要素Uとが並列に配置され、これらの上方に
ばね上質量Mが配置され、このばね上質量Mに外力Fが
作用する1自由度モデルとして考えることができる。な
お、図11において、X0 は路面変位、Xはばね上変位
である。
【0026】この1輪1自由度モデルの運動方程式は、 M″X0 =C(X0 ′−X′)+K(X0 −X)−F+U …………(6) で表すことができる。この(6) 式をばね上変位Xについ
て解くと、 となる。
【0027】例えば前記(4) 式において、x0FL ′=s
0FL であるので、この(4) 式をω 1 =0,Cp =C、
p =Kとして上記(7) 式に代入すると、(7) 式は、 となる。
【0028】この(8) 式で路面入力推定回路41による
路面変位の推定精度は前述したように充分高いので、
(X0 −x0FL )≒0となるので、(8) 式は、 となり、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されず、
良好な乗心地を得ることができる。
【0029】次いで、ステップS9に移行して、上記ス
テップS8で算出した予見制御力U pRL 及びUpRR に補
正係数αを乗算して補正予見制御力UpRL (=α・U
pRL )及びUpRR (=α・UpRR )を算出する。次い
で、ステップS10に移行して、車速検出値Vをもとに
下記(10)式の演算を行って、前輪11FL及び11FRが通
過した路面に後輪11RL及び11RRが到達する迄の遅延
時間τR を算出する。
【0030】 τR =(L/V)−τS …………(10) ただし、Lはホイールベースである。次いで、ステップ
S11に移行して、前記ステップS9で算出した補正予
見制御力UpRL 及びUpRR と上記ステップS10で算出
した遅延時間τR とを記憶装置44dに形成したシフト
レジスタ領域の先頭位置に格納すると共に、前回までに
格納されている補正予見制御力UpRL,pRR 及び遅延時
間τR とを順次シフトする。このとき、遅延時間τR
ついてはシフトする際に、各シフト位置の遅延時間τR
からサンプリング時間TS を夫々減算した値を新たな遅
延時間τR として更新して格納する。
【0031】次いで、ステップS12に移行して、シフ
トレジスタ領域に格納されている最古すなわち遅延時間
τR が零となった補正予見制御力UpRL 及びUpRR を読
出すし、これらと前記ステップS3で読込んだばね上速
度ZVFL 〜ZVRR とに基づいて下記(11)〜(14)式に従っ
て、総合制御力UFL〜URRを算出し、且つ読出した最古
の補正予見制御力値UpRL,pRR 及びこれに対する遅延
時間τR をシフトレジスタ領域から消去する。
【0032】 UFL=UN −KB ・ZVFL …………(11) UFR=UN −KB ・ZVFR …………(12) URL=UN −KB ・ZVRL +UpRL …………(13) URR=UN −KB ・ZVRR +UpRR …………(14) ここで、UN は車高を目標車高に維持するために必要な
制御力、KB はバウンス制御ゲインである。
【0033】次いで、ステップS13に移行して、上記
ステップS12で算出した各制御力UFL〜URRを圧力指
令値として夫々D/A変換器45FL〜45RRに出力して
からタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラム
に復帰する。したがって、今、車両が平坦な良路を目標
車高を維持して設定車速VS 以上の車速で直進定速走行
しているものとする。この状態では、車両が平坦な良路
で目標車高を維持していることから、前輪側に配設され
たストロークセンサ27FL及び27FRのストローク検出
値SFL及びSFRは略零となっており、且つ車体側部材1
0に揺動を生じないので、各上下方向加速度センサ28
FL〜28RRの加速度検出値ZGFL 〜ZGRR は略零となっ
ている。このため、振動入力推定回路41の微分回路4
1a及び41bから出力されるストローク微分値SVFL
及びSVFR と、積分回路41c及び41dから出力され
るばね上変位の微分値xFL ′及びxFR′とが夫々略零
となるので、加算器41e及び41fから出力される路
面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′も略零となる。一
方、上下方向加速度検出値ZGFL〜ZGRR が略零である
ので、積分回路42FL〜42RRから出力されるばね上速
度ZVFL 〜ZVRR も略零となっている。
【0034】そして、路面変位の微分値x0FL ′及びx
0FR ′と、ばね上速度ZVFL 〜ZVR R とが車速検出値V
と共にマイクロコンピュータ44に入力される。このよ
うに、平坦な良路走行を継続している状態では、マイク
ロコンピュータ44で、所定サンプリング時間TS 毎に
実行される図7の処理において、ステップS11で順次
シフトレジスタ領域に格納される補正予見制御力UpRL
及びUpR R が零の状態を継続するので、ステップS10
で算出される遅延時間τR が経過した後の補正予見制御
力UpRL 及びUpRR も零となっており、一方ばね上速度
VFL 〜ZVRR も零であるので、ステップS12で算出
される総合制御力UFL〜U RRは目標車高に維持する中立
圧制御力UN のみに対応した値となり、これらが出力側
インタフェース回路44b及びD/A変換器45FL〜4
5RRを介して駆動回路46FL〜46RRに出力される。
【0035】このため、駆動回路46FL〜46RRで圧力
指令値PFL〜PRRに対応した指令電流iFL〜iRRに変換
されて前輪側の圧力制御弁20FL〜20RRに供給され
る。この結果、圧力制御弁20FL〜20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNが前輪側及び後輪側
の油圧シリンダ18FL,18FR及び18RL,18RRに出
力され、これら油圧シリンダ18FL〜18RRで車体側部
材10及び車輪側部材14間のストロークを目標車高に
維持する推力を発生する。
【0036】このように、良路走行状態では、油圧シリ
ンダ18FL〜18RRに供給される油圧が中立圧PCNに維
持されるので、圧力制御弁20FL及び20RRで消費され
る作動油量が少なく、例えば油圧源22から各圧力制御
弁20FL〜20RRに供給される供給油圧は基準圧力PN
より高い状態にある。このため、図7の処理におけるス
テップS5で算出される制御力補正係数α及びステップ
S6の処理で算出される遅延時間補正係数βが共に
“1”より小さい値となり、図7の処理におけるステッ
プS8で算出される予見制御力UpRL 及びUpRR よりテ
ップS9で算出される補正予見制御力が小さい値となる
と共に、補正遅延時間τS が予め設定された油圧系の応
答遅れ時間τ1 が予め設定された値τ1 より小さい値と
なるため、ステップS10で算出される遅延時間τR
長くなり、圧力制御弁20FL〜20RRに対する供給圧が
高く、制御圧PC との差圧が大きくなって圧力制御弁2
0FL〜20RRの応答性が高まった分を補償して、最適時
点で適切な制御力を発生することができる。
【0037】このため、良路直進走行状態で、例えば前
左右輪11FL及び11FRが同時に路面がステップ状に上
昇する段差でなる所謂ランプステップ路を通過する状態
となると、前左右輪の段差乗り上げによって前輪11FL
及び11FRがバウンドし、これによってストロークセン
サ27FL及び27FRのストローク検出値SFL及びSFR
零から正方向に急増すると共に、車体側部材10に上方
向の加速度が発生し、前左右輪の上下方向加速度センサ
28FL及び28FRの加速度検出値ZGFL 及びZ GFR が正
方向に増加する。
【0038】そして、これらストローク検出値SFL及び
FRと、上下方向加速度検出値ZGF L 及びZGFR とが振
動入力推定回路41に入力されるので、この振動入力推
定回路41で、前述したように車体側部材10の上下動
に影響されない真に路面形状に応じた正の値となる路面
変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′がマイクロコンピュ
ータ44に出力される。
【0039】したがって、マイクロコンピュータ44で
は、ステップS8の処理で路面変位の微分値x0FL ′及
びx0FR ′をもとに前記(4) 式及び(5) 式に従って算出
される予見制御力UpRL 及びUpRR が負となり、これら
予見制御力UpRL 及びUpRRがステップS10で算出さ
れる前輪11FL及び11FRが通過した路面に後輪11RL
及び11RRが到達する迄の遅延時間τR と共にシフトレ
ジスタ領域の先頭位置に格納すると共に、前回までの零
の予見制御力UpRL 及びUpRR と遅延時間τ R とを順
次1つずつシフトし、このとき各遅延時間τR からサン
プリング時間T S を減算した値を新たな遅延時間τR
して更新する。
【0040】この時点では、シフトレジスタ領域に格納
されている前回までの各予見制御力UpRL 及びUpRR
零であるので、後輪側の制御力URL及びURRは中立制御
力U N を維持するが、前輪11FL及び11FR位置での上
下方向加速度センサ28FL及び28FRの加速度検出値Z
GFL 及びZGFR が正方向に増加しているので、ステップ
S8で算出される前輪側の総合制御力UFL及びUFRが段
差乗り上げによる車体上昇速度に応じて中立制御力UN
より低下され、これに応じて駆動回路46FL及び46FR
から出力される指令電流iFLが低下し、これによって圧
力制御弁20FL及び20FRから出力される制御圧PC
中立圧PCNより低下して、油圧シリンダ18FL及び18
FRの推力が低下され、前輪側のストロークを減少させる
ことにより、スカイフックダンパ機能を発揮して前輪1
1FL及び11FRの段差乗り上げによる車体側部材10の
揺動を抑制することができる。
【0041】その後、前輪11FL及び11FRがランプス
テップ路を通過し終わると、再度前輪11FL及び11FR
については目標車高を維持する制御力UFL及びUFRに復
帰するが、後輪11RL及び11RRについては、ステップ
S10で算出した遅延時間τ R が零となる時点即ち後輪
11RL及び11RRがランプステップ路を通過する時点
で、ステップS12で前輪11FL及び11FRが段差乗り
上げ時に算出した負の予見制御力UpFL 及びUpRR が読
出され、これらに基づいて後輪に対する総合制御力URL
及びURRが算出されるので、これら総合制御力URL及び
RRが中立圧制御力UN より低下することになり、後輪
11RL及び11RRの段差乗り上げ時の衝撃力を大幅に緩
和することができ、前述した(9) 式で表されるように、
路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達されずに、良好な
乗心地を確保することができる。しかも、後輪11RL及
び11RRの段差乗り上げによって、後輪側の車体側部材
10に上方向の加速度が生じたときには、この加速度が
上下方向加速度センサ28RL及び28RRで検出され、積
分回路42RL及び42RRで積分されたばね上速度ZVR L
及びZVRR がマイクロコンピュータ44に入力されるの
で、ステップS12でスカイフックダンパ機能を発揮し
て車体側部材10の上昇を抑制する能動制御力が発生さ
れ、これによって、圧力制御弁20RL及び20RRが制御
されることにより、油圧シリンダ18RL及び18RRに供
給される油圧が制御されて、車体の揺動が抑制される。
【0042】このように、予見制御及び能動制御によっ
て車体の揺動が抑制される状態では、圧力制御弁20FL
〜20RRでの作動油消費量が増えるので、圧力制御弁2
0FL〜20RRへの供給圧が基準圧PN 近傍の値となり、
このためステップS5で算出される制御力補正係数αが
“1”となると共に、ステップS6で算出される遅延時
間補正係数βが“1”となり、供給圧の低下による圧力
制御弁20FL〜20RRの応答特性の低下を補償して、最
適時点で適切な予見制御力を発生させることができる。
【0043】ところが、悪路を走行する状態となると、
圧力制御弁20FL〜20RRで消費される作動油量がさら
に増加することにより、圧力制御弁20FL〜20RRに対
する供給圧がさらに低下することになる。このように、
圧力制御弁20RL,20RRへの供給圧が低下することに
なると、これが圧力センサ29で検出され、これらがロ
ーパスフィルタ47を介してマイクロコンピュータ44
に入力されるので、ステップS5で算出される制御力補
正係数α及びステップS6で算出される遅延時間補正係
数βが図8及び図9に示すように、“1”より大きい値
に設定され、これによってステップS9で算出される補
正予見制御力UpRL 及びUpRR がステップS8で算出さ
れる予見制御力UpRL 及びUpRR より大きい値となると
共に、ステップS10で算出される遅延時間τR が前述
した基準圧力PN 状態より短くなり、供給圧の低下によ
って圧力制御弁20FL〜20RRの応答性が低下した分を
補償して、最適時点で適切な予見制御力を発生すること
ができる。
【0044】ところで、前述した(4) 式及び(5) 式でω
1 =0として制御力UpRL 及びUpR R を算出すると、制
御力UpRL 及びUpRR の路面変位(車輪変位)x0FL
びx 0FR に対する定常ゲイン(s=0とした場合のゲイ
ン)がKとなるため、一過性の凹凸については問題がな
いが、前述したランプステップ路のように路面変位X
0FL (≒x0FL )及びX0FR (≒x0FR )が変化したま
ま戻らないような路面を走行した場合、平坦な路面に出
ても制御力UpRL 及びUpRR が“0”とならず、制御力
pRL 及びUpRR とサスペンションのばね定数Kがつり
合うだけストロークしたままとなり、車高がもとに復帰
しない状態即ち車高の初期値をhとすると、(X0 −x
0 )−h=U/K≠0となる状態となる。したがって、
このような路面を走行した後、平坦な路面に出たときに
車高がもとに戻るようにするためには、制御力UpRL
びUpRR の車輪上下速度推定値x0 に対する定常ゲイン
が“0”となるように、(4) 式及び(5) 式でω1 >0に
選定すればよい。
【0045】一方、前輪11FL,11FRの何れか一方例
えば前左輪11FLのみが一過性の凸部に乗り上げた場合
には、左輪側の油圧シリンダ18RLについてのみ上記予
見制御が行われ、凸部乗り上げを生じない右輪側の油圧
シリンダ18RRについては、中立圧を維持する制御が行
われる。また、前輪11FL、11FRが一過性の凹部に落
ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車体の揺動
を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に限らず不
整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合でも前輪の
挙動に応じて後輪を予見制御することができる。
【0046】なお、上記実施例においては、圧力センサ
29の圧力検出値PH から低周波成分を抽出するローパ
スフィルタをアナログ回路で構成する場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、マイクロコン
ピュータ44でディジタルフィルタ処理するようにして
もよい。次に、本発明の第2実施例を図12〜図16を
伴って説明する。
【0047】この第2実施例は、圧力制御弁20FL〜2
0RRに対する供給圧力の低下をエンジン回転数を用いて
間接的に推定するようにしたものである。すなわち、油
圧源22内の油圧ポンプはエンジンによって駆動される
ためエンジン回転数によって図14に示すように、エン
ジン回転数がNO 以上あるときは供給圧が低下しにくい
が、車速が低くエンジン回転数がN0 未満のときは十分
な流量を確保できないため、路面入力や圧力制御弁20
FL〜20RRの圧力指令値変化による僅かな負荷変動で供
給圧力が低下してしまう。そして、油圧制御系における
正弦波電流を圧力制御弁20FL〜20RRに入力したとき
の作動流体供給量の変化による油圧系応答特性を測定し
たところ、そのゲイン特性及び位相特性は図15(a) 及
び(b) に示すように、測定時の制御弁負荷に応じて流量
が少ないほど供給圧低下が行っており、応答性の悪化を
招いている。この結果、エンジン回転数によって流量が
決定され、さらに供給圧力の低下を推定することが可能
となる。
【0048】このため、第2実施例では、図12に示す
ように、前述した第1実施例における圧力センサ29を
省略し、これに代えてエンジン回転数センサ71が設け
られ、そのエンジン回転数センサ71の回転数検出値N
H がローパスフィルタ72を介してマイクロコンピュー
タ44に入力され、このマイクロコンピュータ44で図
13に示す制御処理が実行される。
【0049】すなわち、図13の制御処理においては、
前述した第1実施例における図7の処理におけるステッ
プS4の処理で圧力検出値PL に代えてローパスフィル
タ72から出力されるエンジン回転数検出値NL を読込
み、次いでステップS21に移行して、エンジン回転数
検出値NL が予め設定した基準回転数N0 以上であるか
否かを判定し、NL <N0 であるときには、直接前述し
たステップS5に移行し、NL ≧N0 であるときにはス
テップS22に移行して、補正係数α及びβを夫々
“1”に設定してから前述したステップS7の補正遅延
時間算出処理に移行することを除いては、図7と同様の
処理を実行する。ただし、記憶装置44dに予め図16
に示す制御力補正用マップ及び図17に示す遅延時間補
正用マップが格納され、両マップとも基準回転数N0
補正係数α及びβが“1”となり、この基準回転数N0
よりエンジン回転数NL が低下すると、補正係数α及び
βが非線形に増加するように設定されている。
【0050】この第2実施例によると、車両が高速走行
していてエンジン回転数NL が基準回転数N0 以上であ
るときには、油圧源22からの圧力制御弁20FL〜20
RRに対する供給油圧が十分に高く、圧力制御弁20FL〜
20RRでの応答性が高いので、ステップS21からステ
ップS22に移行して補正係数α及びβが夫々“1”に
設定されて、ステップS8で算出された予見制御力U
pRL 及びUpRR に基づいて後輪側の圧力制御弁20RL及
び20RRが予見制御される。
【0051】しかしながら、車両が低速走行していてエ
ンジン回転数NL が基準回転数N0より低い状態となる
と、油圧源22から出力される作動油供給量が図14に
示すように少なくなることから、供給圧力が低下するこ
とになり、圧力制御弁20FL〜20RRの応答特性が低下
するが、エンジン回転数NL の低下に応じて制御力補正
係数α及び遅延時間補正係数βが“1”より大きくなる
ため、ステップS9で算出される補正予見制御力UpRL
及びUpRR がステップS8で算出される予見制御力U
pRL 及びUpRR より大きな値に補正されると共に、ステ
ップS7で算出される補正遅延時間τS がエンジン回転
数NL が基準回転数N0 以上である場合より長く補正さ
れ、これによってステップS10で算出される遅延時間
τR が短くなって、圧力制御弁20RL及び20RRの応答
特性の低下を補償して、油圧シリンダ18RL及び18RR
により最適時点で適切な予見制御力を発生することがで
きる。この第2実施例では、圧力センサを必要とせず、
しかもエンジン回転数センサは通常のエンジン制御装置
で使用しているものを流用することができるので、別途
センサを設ける必要がない利点がある。
【0052】なお、上記第2実施例においては、制御力
補正係数α及び遅延時間補正係数βをエンジン回転数の
低下によって連続的に変化させる場合について説明した
が、これに限定されるものではなく、図18及び図19
に示すように、制御力補正係数α及び遅延時間補正係数
βを段階的に切り換えるようにしてもよい。また、上記
各実施例においては、マイクロコンピュータ44で、予
見制御力U pRL 及びUpRR を遅延時間τR と共にシフト
レジスタ領域に順次シフトしながら格納し、遅延時間τ
R が零となった予見制御力UpRL 〜UpRR に基づいて予
見制御を行う場合について説明したが、これに限らず路
面変位の微分値x0FL ′及びx0FR ′を遅延時間τR
共にシフトレジスタ領域に順次シフトしながら格納し、
遅延時間が零となった路面変位の微分値x0FL ′及びx
0FR ′をもとに予見制御力UpRL 及びUpRR を算出する
ようにしてもよい。
【0053】さらに、上記各実施例においては、予見制
御力UpRL 及びUpRR と遅延時間τ R の双方を補正する
場合について説明したが、これに限らず両者の何れか一
方のみを補正するようにしてもよい。さらにまた、上記
各実施例においては、前輪位置のストロークセンサ27
FL,27FR、上下方向加速度センサ28FL,28FR及び
振動入力推定回路41で前方路面情報検出手段を構成し
た場合について説明したが、これに限定されるものでは
なく、前輪11FL及び11FRより前方位置に超音波距離
センサ、レーザ距離センサ等の非接触式距離センサを配
置し、この非接触式距離センサの距離検出値に基づいて
前輪側油圧シリンダ18FL及び18FRと後輪側油圧シリ
ンダ18RL及び18RRとを予見制御することもできる。
【0054】また、上記各実施例においては、サスペン
ションの能動制御を上下方向加速度に基づいてのみ行う
場合について説明したが、これに限定されるものではな
く、他の横方向加速度センサ、前後方向加速度センサ等
の加速度検出値に基づくロール、ピッチ、バウンスを抑
制する制御信号を算出し、これらを前記圧力指令値P FL
〜PRRに加減算してトータル制御を行うようにしてもよ
い。
【0055】さらに、上記各実施例においては、制御弁
として圧力制御弁20FL〜20RRを適用した場合につい
て説明したが、これに限定されるものではなく、他の流
量制御型サーボ弁等を適用し得るものである。また、上
記各実施例においては、コントローラ30をマイクロコ
ンピュータ62で構成した場合について説明したが、こ
れに限定されるものではなく、シフトレジスタ、演算回
路等の電子回路を組み合わせて構成するようにしてもよ
いことは言うまでもない。
【0056】さらに、上記各実施例においては、作動流
体として作動油を適用した場合について説明したが、こ
れに限らず圧縮率の少ない流体であれば任意の作動流体
を適用し得る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、圧力制御弁に供給され
る作動流体圧を圧力検出・推定手段で直接検出するか間
接的に推定し、その圧力検出又は推定値に基づいて予見
制御力及び遅延時間の少なくとも一方を補正するように
したので、圧力制御弁に対する供給流体圧の変化による
圧力制御弁の応答特性の変化を補償して、最適時点で適
切な予見制御力を発生させることができ、優れた乗心地
向上効果を発揮することができるという効果が得られ
る。
【0058】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、ポンプの回転数から圧力制御弁に供給さ
れる作動流体の圧力を推定したので、新たに圧力センサ
を設ける必要がなくなるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図4】ストロークセンサの出力特性を示す特性線図で
ある。
【図5】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図6】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図7】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図8】低周波圧力検出値と制御力補正係数との関係を
示す特性線図である。
【図9】低周波圧力検出値と遅延時間補正係数との関係
を示す特性線図である。
【図10】油圧制御系の圧力変化による周波数応答特性
を示す特性線図であって、(a) は周波数に対するゲイン
特性を、(b) は周波数に対する位相特性を夫々示す。
【図11】1輪1自由度モデルを示す説明図である。
【図12】本発明の第2実施例を示すコントローラを含
むブロック図である。
【図13】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示
すフローチャートである。
【図14】エンジン回転数と油圧源のポンプ流量との関
係を示す特性線図である。
【図15】油圧制御系の流量変化による周波数応答特性
を示す特性線図であって、(a) は周波数に対するゲイン
特性を、(b) は周波数に対する位相特性を夫々示す。
【図16】エンジン回転数と制御力補正係数との関係を
示す特性線図である。
【図17】エンジン回転数と遅延時間補正係数との関係
を示す特性線図である。
【図18】エンジン回転数と制御力補正係数との関係の
他の例を示す特性線図である。
【図19】エンジン回転数と遅延時間補正係数との関係
の他の例を示す特性線図である。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 22 油圧源 26 車速センサ 27FL,27FR ストロークセンサ 28FL,28FR 上下方向加速度センサ 29 圧力センサ 30 コントローラ 71 エンジン回転数センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 健 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−319064(JP,A) 特開 平3−31014(JP,A) 特開 平3−182825(JP,A) 特開 平3−104723(JP,A) 特開 平4−191112(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 23/00 B60G 17/015

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象車輪と車体との間に介装された
    流体圧シリンダと、該流体圧シリンダの圧力室に連通さ
    れてその作動流体圧力を制御する圧力制御弁と、前記制
    御対象車輪より前方の路面情報を検出する前方路面情報
    検出手段と、該前方路面情報検出手段の路面情報に基づ
    いて算出した前記圧力制御弁に対する圧力指令値を当該
    前方路面情報検出手段で検出した路面に制御対象車輪が
    到達するまでの遅延時間経過時点で当該圧力制御弁に出
    力する制御手段とを備えたサスペンション制御装置にお
    いて、前記圧力制御弁に供給される作動流体の圧力を検
    出又は推定する圧力検出・推定手段と、該圧力検出・推
    定手段の圧力検出値に応じて前記圧力指令値及び前記遅
    延時間の少なくとも一方を補正する補正手段とを備えた
    ことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 前記作動流体はポンプにより供給される
    ものであり、前記圧力検出・推定手段は、ポンプの回転
    数から圧力制御弁に供給される作動流体の圧力を推定す
    るものであることを特徴とする請求項1記載のサスペン
    ション制御装置。
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