JP3060809B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP3060809B2
JP3060809B2 JP5328428A JP32842893A JP3060809B2 JP 3060809 B2 JP3060809 B2 JP 3060809B2 JP 5328428 A JP5328428 A JP 5328428A JP 32842893 A JP32842893 A JP 32842893A JP 3060809 B2 JP3060809 B2 JP 3060809B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のバネ上上下加速
度を検出して、このバネ上上下加速度をローパスフィル
タ処理で積分してバネ上上下速度を算出し、このバネ上
上下速度に基づいてサスペンション特性を制御するよう
にしたサスペンション制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のサスペンション制御装置として
は、例えば本出願人が先に提案した特開平3−2277
11号公報に記載されているものがある。この従来例
は、車体に配設された上下加速度センサのバネ上上下加
速度検出信号をディジタルのローパスフィルタの畳込み
演算によって積分処理し、車体のバネ上上下速度を演算
し、このバネ上上下速度と車輪側部材と車体側部材との
間の相対変位検出値とに基づいて減衰力可変ショックア
ブソーバの減衰力を制御するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のサスペンション制御装置にあっては、上下加速度セ
ンサから出力されるバネ上上下加速度検出値には旋回時
のロール等による直流ドリフト分が重畳されていること
から、一般に、直流ドリフト成分を除去するために、ハ
イパスフィルタ処理を行うようにしているが、このハイ
パスフィルタ処理では、そのカットオフ周波数fC を高
くすれば直流ドリフト分の除去効果を効果的に発揮する
ことができるが、余りカットオフ周波数fC を高くする
と制御領域での位相ずれが発生することになると共に、
後にローパスフィルタ処理が控えていることとバネ上共
振周波数が1〜2Hz程度であることから、そのカットオ
フ周波数fC は0.1Hz以下に設定せざるを得ないのが
現状である。このように、ハイパスフィルタ処理のカッ
トオフ周波数fC を低い周波数に設定した場合には、平
坦な良路を直進走行している場合には問題がないが、例
えば旋回ロール時や高低差を生じる陸橋やバンク路を走
行するときに、実際のバネ上上下加速度に、横加速度や
路面の高低差による上下加速度成分が直流ドリフトとし
て重畳されることになり、この直流ドリフト成分を効果
的に除去することができず、乗心地が悪化したり、車高
変化を生じる等の未解決の課題がある。
【0004】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、バネ上上下加速度
に重畳される直流ドリフト分を効果的に除去して乗心地
の悪化や車高変化を防止することができるサスペンショ
ン制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係るサスペンション制御装置は、図1の
基本構成図に示すように、車両のバネ上上下加速度をバ
ネ上上下加速度検出手段で検出し、検出したバネ上上下
加速度の直流ドリフト分をハイパスフィルタ手段で除去
してからローパスフィルタ手段で積分してバネ上上下速
度を算出し、当該バネ上上下速度に基づいてサスペンシ
ョン特性を制御するようにしたサスペンション制御装置
において、前記バネ上上下加速度検出手段のバネ上上下
加速度に影響を与える走行状態を検出する走行状態検出
手段と、該走行状態検出手段で、バネ上上下加速度に影
響を与える走行状態を検出したときに、前記ハイパスフ
ィルタ手段のカットオフ周波数を高い値に変更するカッ
トオフ周波数変更手段とを備えたことを特徴としてい
る。
【0006】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置は、前記走行状態検出手段が、旋回ロール状態を検
出する車速センサ及び操舵角センサで構成されているこ
とを特徴としている。さらに、請求項3に係るサスペン
ション制御装置は、前記走行状態検出手段が、バネ上上
下速度の零クロス間の積分値に基づいて走行状態を検出
するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
【作用】本発明においては、旋回走行時の車体のロール
や立体交差の陸橋等を走行する場合に、これらの走行状
態によってバネ上加速度成分を生じることになり、この
バネ上加速度成分がバネ上上下加速度検出手段のバネ上
上下加速度に直流ドリフトとして一時的に重畳されるこ
とになるが、この走行状態を走行状態検出手段で検出す
ることができ、これに基づいてカットオフ周波数変更手
段で、ハイパスフィルタ手段のカットオフ周波数を高い
値に変更することにより、このハイパスフィルタ手段
で、バネ上上下加速度の直流ドリフト分を効果的に除去
する。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図2は、本発明の一実施例を示す概略構成図であ
り、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RRは前左
〜後右車輪を、12は能動型サスペンションを夫々示
す。
【0009】能動型サスペンション12は、車体側部材
10と車輪11FL〜11RRの各車輪側部材14との間に
各々介装されたアクチュエータとしての油圧シリンダ1
8FL〜18RRと、これら油圧シリンダ18FL〜18RRの
作動圧を個別に調整する圧力制御弁20FL〜20RRと、
これら圧力制御弁20FL〜20RRに所定圧力の作動油を
供給側配管21Sを介して供給すると共に、圧力制御弁
20FL〜20RRからの戻り油を戻り側配管21Rを通じ
て回収する油圧源22と、この油圧源22及び圧力制御
弁20FL〜20RR間の供給圧側配管21Sに介挿された
蓄圧用のアキュムレータ24F,24Rと、車速を検出
する車速センサ26と、ステアリングホイール(図示せ
ず)の操舵角を検出する操舵角センサ27と、各車輪1
1FL〜11RRに夫々対応する位置における車体の上下加
速度即ちバネ上上下加速度を夫々個別に検出するバネ上
上下加速度検出手段としての上下加速度センサ28FL〜
28RRと、車速センサ26の車速検出値V、操舵角セン
サ27の操舵角検出値δ及び各上下方向加速度センサ2
8FL〜28RRの上下加速度検出値ZFL〜ZRRに基づいて
各圧力制御弁20FL〜20RRを能動制御するコントロー
ラ30とを備えている。
【0010】油圧シリンダ18FL〜18RRの夫々は、シ
リンダチューブ18aを有し、このシリンダチューブ1
8aには、軸方向貫通孔を有するピストン18cにより
隔設された上下の圧力室Lが形成され、ピストン18c
の上下面の受圧面積差と内圧に応じた推力を発生する。
そして、シリンダチューブ18aの下端が車輪側部材1
4に取り付けられ、ピストンロッド18bの上端が車体
側部材10に取り付けられている。また、圧力室Lの各
々は、油圧配管38を介して圧力制御弁20FL〜20RR
の出力ポートに接続されている。また、油圧シリンダ1
8FL〜18RRの圧力室Lの各々は、絞り弁32を介して
バネ下振動吸収用のアキュムレータ34に接続されてい
る。また、油圧シリンダ18FL〜18RRの各々のバネ
上,バネ下相当間には、比較的低いバネ定数であって車
体の静荷重を支持するコイルスプリング36が配設され
ている。
【0011】圧力制御弁20FL〜20RRの夫々は、スプ
ールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジングとこれ
に一体的に設けられた比例ソレノイドとを有する、従来
周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭64−7
4111号参照)で構成されている。そして、比例ソレ
ノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指令値)を
調整することにより、弁ハウジング内に収容されたポペ
ットの移動距離、即ちスプールの位置を制御し、供給ポ
ート及び出力ポート又は出力ポート及び戻りポートを介
して油圧源22と油圧シリンダ18FL〜18RRとの間で
流通する作動油を制御できるようになっている。
【0012】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iFL〜iRR)と圧力制御弁20FL(〜20RR)の
出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図3に
示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のとき
には最低制御圧PNIM となり、この状態から電流値iを
増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧Pが
増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設定
ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図3
で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0013】また、操舵角センサ27は、例えば2相パ
ルス出力型のロータリエンコーダと、このロータリエン
コーダから出力されるアップ・ダウンパルスを計数して
ステアリングホイールの直進走行状態の中立位置からの
操舵角δを例えば右切りを正、左切りを負とするディジ
タル値で出力する。上下加速度センサ28FL〜28RLの
夫々は、図4に示すように、上下加速度が零であるとき
に予め設定した正の中立電圧VZN、上方向の加速度を検
出したときにその加速度値に応じた正の中立電圧VZN
り高い正の電圧、下方向の加速度を検出したときに、そ
の加速度値に応じた正の中立電圧VZNより低い正の電圧
でなる上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を出力するよう
に構成されている。
【0014】コントローラ30は、図5に示すように、
上下加速度センサ28FL〜28RRから入力される上下加
速度検出値ZFL″〜ZRR″をディジタル値に変換するA
/D変換器41FL〜41RRと、A/D変換器41Yから
出力される横加速度検出信号及びA/D変換器41FL〜
41RRから出力される上下加速度検出信号が入力される
マイクロコンピュータ42と、このマイクロコンピュー
タ42から出力される圧力指令値PFL〜PRRがD/A変
換器43FL〜43RRを介して供給され、これらを圧力制
御弁20FL〜20RRに対する駆動電流iFL〜iFRに変換
する例えばフローティング形定電圧回路で構成される駆
動回路44FL〜44FRとを備えている。
【0015】ここで、マイクロコンピュータ42は、少
なくとも入力側インタフェース回路42a、出力側イン
タフェース回路42b、演算処理装置42c及び記憶装
置42dを有する。入力インタフェース回路42aに
は、車速センサ26からの車速検出値V、操舵角センサ
27からの操舵角検出値δ及びA/D変換器41FL〜4
1RRの変換出力が入力され、出力側インタフェース回路
42bからは各圧力制御弁20FL〜20RRに対する圧力
指令値PFL〜PRRがD/A変換器43FL〜43RRに出力
される。また、演算処理装置42cは、後述する図6の
処理を実行して、車速検出値Vと操舵角検出値δとに基
づいて旋回走行状態を検出し、これらをもとに予め記憶
装置42dに記憶されたハイパスフィルタ処理時のカッ
トオフ周波数算出マップを参照して、ハイパスフィルタ
処理時のカットオフ周波数fHCを決定し、このカットオ
フ周波数fHCで上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″をハイ
パスフィルタ処理して、上下加速度検出値ZFL″〜
RR″に重畳された旋回ロールによる上下加速度成分に
よる直流ドリフト成分を除去し、次いでハイパスフィル
タ処理された上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を例えば
カットオフ周波数fLCが1.0Hz程度のローパスフィル
タ処理を行ことにより積分して車体上下速度ZFL′〜Z
RR′を算出し、算出した車体上下速度ZFL′〜ZRR′を
もとにスカイフックダンパ機能を発揮する各圧力制御弁
20FL〜20RRに対する圧力指令値PFL〜P RRを算出
し、算出した圧力指令値PFL〜PRRをD/A変換器43
FL〜43RRを介して駆動回路44FL〜44RRに出力す
る。
【0016】さらに、記憶装置42dは、予め演算処理
装置42cの演算処理に必要なプログラムが記憶されて
いると共に、演算処理装置42cの演算過程で必要な演
算結果を逐次記憶し、さらに前述したカットオフ周波数
算出マップが記憶されている。ここで、カットオフ周波
数算出マップは、図7に示すように、横軸に操舵角検出
値δの絶対値|δ|をとり、縦軸に車速検出値Vをと
り、実験によって設定された操舵角設定値δS と車速設
定値VS とを結ぶ直線L1 を境として、縦軸及び横軸と
直線L1 とによって囲まれる領域A1ではハイパスフィ
ルタ処理のカットオフ周波数fHCを例えば0.1Hzに、
他の領域A2ではハイパスフィルタ処理のカットオフ周
波数fHCを例えば0.5Hzに夫々設定する。
【0017】次に、上記実施例の動作を演算処理装置4
2cの処理手順の一例を示す図6のフローチャートを伴
って説明する。図6の処理は、所定のメインプログラム
に対して所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処
理として実行され、先ずステップS1で、車速検出値V
及び操舵角検出値δを読込み、次いでステップS2に移
行して、車速検出値V及び操舵角検出値δの絶対値|δ
|をもとに図7のカットオフ周波数算出マップを参照し
て、後述するハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数
HCを決定してからステップS3に移行する。
【0018】このステップS3では、上下加速度センサ
28FL〜28RRの車体上下加速度検出値ZFL″〜ZRR
を読込んで、この車体上下加速度検出値ZFL″〜ZRR
から中立電圧VZNを減算して、上下加速度が零のとき
零、上向きの上下加速度を正、下向きの上下加速度を負
とする車体上下加速度ZFL″〜ZRR″を算出する。次い
で、ステップS4に移行して、車体上下加速度検出値Z
FL″〜ZRR″に対して前記ステップS2で決定したカッ
トオフ周波数fHCのハイパスフィルタ処理を行うことに
より、車体上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳され
ている直流ドリフト成分を除去して、正規の車体上下加
速度検出値ZFL″〜ZRR″を抽出してからステップS5
に移行する。
【0019】このステップS5では、抽出された車体上
下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に対して例えばカットオ
フ周波数fLCが1.0Hzのローパスフィルタ処理を行う
ことにより積分して、車体上下速度ZFL′〜ZRR′を算
出する。次いで、ステップS6に移行して、車体上下速
度ZFL′〜ZRR′に基づいて下記(1)式〜(4)式の
演算を行って各圧力制御弁20FL〜20RRに対する圧力
指令値PFL〜PRRを算出する。
【0020】 PFL=PN −KB ・ZFL′ …………(1) PFR=PN −KB ・ZFR′ …………(2) PRL=PN −KB ・ZRL′ …………(3) PRR=PN −KB ・ZRR′ …………(4) ただし、PN は車両を標準車高に維持するために必要と
する中立圧指令値、KBはバウンス制御ゲインである。
【0021】次いで、ステップS7に移行して、算出し
た圧力指令値PFL〜PRRをD/A変換器43FL〜43RR
に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメイン
プログラムに復帰する。この図7の処理において、ステ
ップS1の処理と車速センサ26及び操舵角センサ27
でバネ上上下加速度検出値に影響を与えるロール走行状
態を検出する走行状態検出手段に対応し、ステップS2
の処理がカットオフ周波数変更手段に対応し、ステップ
S4の処理がハイパスフィルタ手段に対応し、ステップ
S5の処理がローパスフィルタ手段に対応し、ステップ
S6及びS7の処理が制御手段に対応している。
【0022】したがって、今、車体が凹凸の無い平坦な
良路を一定速度で直進走行しているものとする。この状
態では、車体が揺動することはなく、車速検出値Vが大
きな値となっていても操舵角検出値δは略零であり、車
体上下加速度ZFL″〜ZRR″及び車体上下速度ZFL′〜
RR′は零であるので、演算処理装置42cで図6の演
算処理を実行したときに、ハイパスフィルタ処理のカッ
トオフ周波数fHCがバネ上制御に影響を与えない小さい
周波数0.1Hzに決定され(ステップS2)、この直進
走行状態では、車体にロールを殆ど生じないことから、
車体上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳される車体
ロールによる上下加速度成分による直流ドリフト成分が
少ないため、小さな周波数のカットオフ周波数fHCで良
好な直流ドリフト成分の除去を行うことができる。
【0023】そして、直流ドリフト成分を除去した正規
の上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″をローパスフィルタ
処理によって積分して、車体上下速度ZFL′〜ZRR′を
算出し(ステップS5)、次いで前記(1)式〜(4)
式の演算を行って、圧力指令値PFL〜PRRを算出する。
このとき、車体上下速度ZFL′〜ZRR′が零であるの
で、圧力指令値PFL〜PRRは中立圧指令値PN のみとな
り、これらが各D/A変換器43FL〜43RRを介して駆
動回路44FL〜44RRに出力される。
【0024】このため、駆動回路44FL〜44RRから図
3の中立電流値iN に相当する駆動電流iFL〜iRRが圧
力制御弁20FL〜20RRに出力され、これに応じて圧力
制御弁20FL〜20RRの制御圧PC が中立圧PN とな
り、これが油圧シリンダ18FL〜18RRに出力されるの
で、これら油圧シリンダ18FL〜18RRで中立圧に応じ
た推力を発生し、車高を標準車高状態に維持する。
【0025】この定速直進状態から、例えばステアリン
グホイールを右切りして右旋回状態に移行すると、旋回
外輪となる車体左側が沈み込み、旋回内輪となる車体右
側が浮き上がり車体が左下がりに傾斜するロールを発生
させようとする。ここで、低速走行時には、車速検出値
Vが低い値であるので、旋回開始時には、操舵角検出値
δの絶対値|δ|も小さい値となるので、車速検出値V
と操舵角検出値δの絶対値|δ|との交点が領域A1に
存在することになるが、この場合には車体に生じるロー
ルも小さいので、前述した定速直進走行状態と同様に良
好な制御状態を維持することができる。
【0026】この状態から、操舵角検出値δの絶対値|
δ|及び/又は車速検出値Vが増加して、車体が大きく
ロールする状態となると、車速検出値Vと操舵角検出値
δの絶対値|δ|との交点が領域A2に入ることにな
り、図6の処理が実行されたときに、ハイパスフィルタ
処理のカットオフ周波数fHCがfHC=0.5Hzに決定
される。このため、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に
対するハイパスフィルタ処理でカットオフ周波数fHC
高い値となるので、車体のロールによる上下加速度成分
が直流ドリフト分として上下加速度検出値ZFL″〜
RR″に含まれている場合でも、これを迅速に除去して
真の上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を抽出することが
でき、この真の上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を使用
して姿勢変化抑制制御を行うことができるので、姿勢変
化抑制制御を正確に行うことができる。
【0027】因みに、車体のロールによる上下加速度成
分による直流ドリフト分を含んだ上下加速度検出値
FL″〜ZRR″を使用して姿勢変化抑制制御を行う場合
には、直流ドリフト分についても制御力を発生するた
め、車高変化を生じることになる。その後、旋回状態か
ら直進走行状態に復帰すると、これに応じて操舵角検出
値δの絶対値|δ|が小さい値となることにより、ハイ
パスフィルタ処理のカットオフ周波数fHCをfHC=0.
1Hzに復帰させ、通常制御状態に戻る。
【0028】このように、上記第1実施例によると、車
両の旋回時に、ロールによる上下加速度成分が上下加速
度検出値ZFL″〜ZRR″に直流ドリフト分として重畳さ
れたときに、ハイパスフィルタ処理でのカットオフ周波
数fHCを通常値より高い周波数に変更することにより、
上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳されている直流
ドリフト分を迅速に除去して、真の上下加速度検出値Z
FL″〜ZRR″を抽出することができ、車高変化を伴うこ
となく正確な姿勢変化抑制制御を行うことができる。
【0029】次に、本発明の第2実施例を図8について
説明する。この第2実施例は、ステアリングホイールの
操舵に伴って発生する横加速度の影響による上下加速度
成分を効果的に除去するようにしたものである。この第
2実施例では、コントローラ30のマイクロコンピュー
タ42cで図8に示す処理を実行することを除いては前
述した第1実施例と同様の構成を有する。この図8の処
理は、先ず、ステップS11で現在の操舵角検出値δN
を読込み、次いでステップS12に移行して読込んだ操
舵角検出値δN と前回読込んだ操舵角検出値δN-1 との
差値から単位時間当たりの操舵角変化量即ち操舵角速度
δ′を算出する。
【0030】次いで、ステップS13に移行して、操舵
角速度δ′の絶対値|δ′|が予め設定された操舵角速
度閾値δT ′より大きいか否かを判定する。この判定
は、操舵角速度δ′が速く発生する横加速度が大きいか
否かを判定するものであり、|δ′|≦δT ′であると
きには、発生する横加速度が小さく上下加速度検出値Z
FL″〜ZRR″に重畳される横加速度による上下加速度成
分ΔZY ″が小さくて殆ど影響がないものと判断し、ス
テップS14に移行して、後述するタイマTがタイムア
ップしているか否かを判定し、タイマTがタイムアップ
していないときには、直接ステップS18に移行し、タ
イマTがタイムアップしているときには、ステップS1
5に移行して、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波
数fHCを通常値の0.1Hzに設定してからステップS
18に移行する。
【0031】一方、ステップS13の半径結果が、|
δ′|>δT ′であるときには、発生する横加速度が大
きく上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳される横加
速度による上下加速度成分ΔZY ″が大きく、上下加速
度検出値ZFL″〜ZRR″に直流ドリフト分として影響す
るものと判断して、ステップS16に移行して、ハイパ
スフィルタ処理のカットオフ周波数fHCを通常値より高
い1.0Hzに設定し、次いでステップS17に移行し
て、タイマTをセットしてからステップS18に移行す
る。
【0032】ステップS18以降では、前述した第1実
施例のステップS4〜ステップS7に対応して、ステッ
プS18で前述したステップS15又はS17で設定さ
れたカットオフ周波数fHCのハイパスフィルタ処理を行
って上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″から横加速度によ
る上下加速度成分による直流ドリフト分を除去して、真
の上下加速度を抽出し、次いでステップS19に移行し
て、カットオフ周波数fLCが0.1Hzのローパスフィ
ルタ処理を行うことにより、上下加速度検出値ZFL″〜
RR″を積分して上下速度ZFL′〜ZRR′を算出し、次
いでステップS20に移行して算出した上下速度ZFL
〜ZRR′に基づいて前述した(1)〜(4)式の演算を
行って圧力指令値PFL〜PRRを算出し、次いでステップ
S21に移行して算出した圧力指令値PFL〜PRRをD/
A変換器45FL〜45RRを介して制御弁駆動回路46FL
〜46RRに出力してからタイマ割込処理を終了して所定
のメインプログラムに復帰する。
【0033】次に、上記第2実施例の動作を図9及び図
10を伴って説明する。今、車体側部材10に取付けら
れた上下加速度センサ28FL〜28RRが図9に示すよう
に、垂直Z軸に対して角度θだけ時計方向にずれて設置
されているものとすると、車両が旋回走行状態となっ
て、車体に横加速度Y″が作用した場合には、上下加速
度センサ28FL〜28RRに、横加速度Y″による上下加
速度成分ΔZ″=Y″・sin θが影響を与えることにな
る。また、上下加速度センサ28FL〜28RRが車体側部
材10に垂直状態で設置されている場合でも、車両が旋
回走行状態となって、車体にロールを生じた場合には上
下加速度センサ28FL〜28RRが垂直状態から傾斜する
ことになるので、上記と同様の横加速度Y″による上下
加速度成分ΔZ″が上下加速度センサ28FL〜28RRに
影響を与えることになる。
【0034】したがって、車両が良路を定速で直進走行
している状態から、ステアリングホイールを緩操舵して
旋回状態に移行した場合には、図8の処理が実行された
ときに、ステップS12で算出される操舵角速度δ′が
小さい値となるので、ステップS13からステップS1
4に移行し、前回の処理時に直進走行であるため、タイ
マTがセットされていないため、ステップS15に移行
して、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
通常値0.1Hzに設定され、ステップS18でカット
オフ周波数fHC=0.1Hzのハイパスフィルタ処理が
実行されて、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″から直流
ドリフト成分が除去された後、これをローパスフィルタ
処理で積分して上下速度ZFL′〜ZRR′を算出する。
【0035】このように、ステアリングホイールを緩操
舵した状態では、図10(b)で一点鎖線図示のよう
に、車体に生じる横加速度Y″が小さく、この横加速度
Y″による上下加速度成分ΔZ″も小さいので、これに
応じて上下加速度ZFL″〜ZRR″を積分した車体上下速
度ZFL′〜ZRR′も、図10(c)で一点鎖線図示のよ
うに、横加速度Y″が増加する旋回初期状態及び横加速
度Y″が減少する旋回終期状態に夫々比較的小さな変化
を生じるだけであり、したがって、図10(d)に示す
ように、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
を0.1Hzに設定し、このカットオフ周波数fHCで上
下加速度検出値ZFL″〜ZRR″をハイパスフィルタ処理
するだけで十分に横加速度Y″による上下加速度成分Δ
Z″でなる直流ドリフト分を除去することができ、横加
速度Y″の影響除去した真の上下加速度検出値ZFL″〜
RR″に基づいて車体上下速度ZFL′〜ZRR′を算出
し、これに応じた姿勢変化を正確に抑制できる圧力指令
値PFL〜PRRを算出することができる。
【0036】ところが、直進走行状態から図10(a)
で実線図示のように、急操舵を行って、急旋回状態に移
行すると、図10(b)で実線図示のように、車体に生
じる横加速度Y″が大きくなり、この横加速度Y″によ
る上下加速度成分ΔZ″も大きくなるので、これが直流
ドリフト分として上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重
畳されることになり、この上下加速度ZFL″〜ZRR″を
積分した車体上下速度ZFL′〜ZRR′も、図10(c)
で実線図示のように、横加速度Y″が増加する旋回初期
状態及び横加速度Y″が減少する旋回終期状態に夫々大
きな変化を生じることになる。しかしながら、この急操
舵状態では、図8の処理が実行されたときに、操舵角速
度δ′が大きな値となることから、ステップS13から
ステップS14に移行して、図10(c)に示すよう
に、図10(a)で破線図示のように、操舵角速度δ′
が閾値δT ′を越えた時点t1 で、ハイパスフィルタ処
理のカットオフ周波数fHCが図10(d)に示すよう
に、それまでの0.1Hzから比較的高い1.0Hzに
変更されるため、ステップS18のハイパスフィルタ処
理において、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳さ
れている横加速度Y″による上下加速度成分ΔZ″の直
流ドリフト分を迅速に除去することができ、この横加速
度Y″の影響を受けない真の上下加速度検出値ZFL″〜
RR″に基づいて車体上下速度ZFL′〜ZRR′を算出
し、これに応じた姿勢変化を正確に抑制できる圧力指令
値PFL〜PRRを算出することができる。
【0037】その後、時点t2 で操舵角速度δ′が閾値
δT ′より低下することになるが、図8の処理が実行さ
れたときに、前回の処理時にタイマTがセット状態にあ
るため、ステップS13からステップS14を経て直接
ステップS18に移行することになり、ハイパスフィル
タ処理のカットオフ周波数fHCは比較的高い周波数1.
0に維持されることになり、操舵角δに対する横加速度
Y″の位相遅れ分を十分に補償することができる。
【0038】その後、時点t3 で横加速度Y″が一定値
となる定常円旋回状態となると、タイマTがタイムアッ
プして、図8の処理が実行されたときに、ステップS1
4からステップS15に移行し、ハイパスフィルタ処理
のカットオフ周波数fHCが通常値の0.1Hzに復帰さ
れるので、以後の定常円旋回中では、ローパスフィルタ
処理で所定の制御周波数範囲例えば姿勢変化抑制制御を
有効に発揮することができる0.1Hz以上の領域で位
相遅れが90度となり、上下加速検出値ZFL″〜ZRR
から車体上下速度ZFL′〜ZRR′への変換を正確に行う
ことができる。
【0039】その後、時点t4 で操舵角δを中立位置側
に復帰させて直進走行状態に移行させる旋回終期状態と
なると、そのときの操舵角速度δ′に応じて横加速度
Y″が減少することから、前述した旋回初期状態と同様
に、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
1.0Hzに設定されて、横加速度Y″による上下加速
度成分ΔZ″を除去して正確な姿勢変化抑制制御を行う
ことができ、その後、操舵角速度δ′が閾値δT ′未満
となってからタイマTがタイムアップした時点でハイパ
スフィルタ処理のカットオフ周波数fHCが通常値の0.
1Hzに復帰される。
【0040】このように、上記第2実施例によると、操
舵角速度δ′に基づいて、上下加速度検出値ZFL″〜Z
RR″に対して横加速度Y″による上下加速度成分ΔZ″
が重畳される走行状態を検出し、この走行状態となった
ときに、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
を通常値より大きな値に設定して、上下加速度成分Δ
Z″による直流ドリフト分を迅速に除去するようにして
いるので、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に基づいて
正確な姿勢変化抑制を行うことができる。
【0041】なお、上記第2実施例においては、横加速
度Y″が上下速度算出処理に影響を与える走行状態であ
るか否かを操舵角速度δ′に基づいて検出する場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、車体
に別途横加速度センサを設けて、この横加速度センサの
横加速度検出値Y″に基づいてハイパスフィルタ処理の
カットオフ周波数fHCを変更するようにしてもよい。
【0042】次に、本発明の第3実施例を図11及び図
12に基づいて説明する。この第3実施例は、車両が立
体交差の陸橋やバンク路を走行して、路面の上下変化に
よる上下加速度成分が上下加速度検出値に直流ドリフト
分として重畳される場合に、この路面状況による上下加
速度成分を確実に除去するようにしたものである。
【0043】この第3実施例では、演算処理装置42c
で図11に示す処理を実行することを除いては、前述し
た第1実施例と同様の構成を有する。図11の処理は、
先ず、ステップS31で上下加速度センサ28FL〜28
RRの上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を読込み、次いで
ステップS32に移行して、上下加速度検出値ZFL″〜
RR″について後述するステップS38,S39で設定
されるカットオフ周波数fHCでハイパスフィルタ処理を
行って、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳されて
いる直流ドリフト分を除去した真の上下加速度検出値Z
RFL ″〜ZRRR ″を抽出し、次いでステップS33に移
行して、抽出した真の上下加速度検出値ZRFL ″〜Z
RRR ″に対してカットオフ周波数fLCが1.0Hzに設
定されたローパスフィルタ処理を行うことにより、上下
加速度検出値ZRFL ″〜ZRRR ″を積分して車体上下速
度ZFL′〜ZRR′に変換し、これを記憶装置42dの所
定記憶領域に更新記憶する。
【0044】次いで、ステップS34に移行して、車体
上下速度ZFL′〜ZRR′が零クロスしたか否かを判定
し、零クロスしたときには、ステップS35に移行し
て、零クロス間の車体上下速度積分値Aを“0”にクリ
アしてからステップS36に移行し、零クロスしていな
いときには直接ステップS36に移行する。ステップS
36では、現在の車体上下速度積分値Aに現在の車体上
下速度ZFL′〜ZRR′の絶対値|ZFL′|〜|ZRR′|
を加算した値を新たな車体上下速度積分値Aとして記憶
装置42dの所定記憶領域に更新記憶し、次いでステッ
プS37に移行して、更新記憶した車体上下速度積分値
Aが予め設定した閾値AT を越えているか否かを判定す
る。この判定は、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に車
両が陸橋やバンク路等を通過して路面状況による上下加
速度成分ΔZRS″が重畳されているか否かを判定するも
のであり、A≦AT であるときには、路面状況による上
下加速度成分ΔZRS″が重畳されていないものと判断し
て、ステップS38に移行し、タイマTがタイムアップ
しているか否かを判定し、タイマTがタイムアップして
いないときには直接ステップS42に移行し、タイマT
がタイムアップしたときにはステップS39に移行し
て、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHCを通
常値0.1Hzに設定してからステップS42及びS4
3に移行して、前述した第1実施例における図6のステ
ップS6及びS7と同様の処理を行って、圧力指令値P
FL〜PRRを算出し、これを制御弁駆動回路46FL〜46
RRに出力してからタイマ割込処理を終了して、所定のメ
インプログラムに復帰する。
【0045】一方、ステップS37の判定結果が、A>
T であるときには、路面状況による上下加速度成分Δ
RS″が重畳されているものと判断して、ステップS4
0に移行し、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数
HCを通常値0.1Hzより高い1.0Hzに設定し、
次いでステップS41に移行して、タイマTをセットし
てから前述したステップS42に移行する。
【0046】次に、上記第3実施例の動作を図12のタ
イムチャートを伴って説明する。今、車両が例えば平坦
であるが継ぎ目を有するコンクリート道路を走行してい
るものとすると、この状態では、車輪11FL〜11RRが
継ぎ目を通過する毎に車体側部材10に路面からの振動
入力が伝達されることにより、車体上下加速度センサ2
8FL〜28RRから出力され上下加速度検出値ZFL″〜Z
RR″は図12(a)に示すように、10Hz前後の周波
数で零を挟んで正負に振動している。
【0047】この状態で、図11の処理が実行されたと
きには、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数が通
常値の0.1Hzに設定されているものとして、上下加
速度検出値ZFL″〜ZRR″の周波数が比較的高く、これ
をローパスフィルタ処理で積分した車体上下速度ZFL
〜ZRR′の周波数も、図12(b)で示すように、周波
数が比較的高く、且つ零を挟んで上下に振動しているの
で、ステップS34〜S36で算出される車体上下速度
の積分値Aは、図12(c)に示すように、閾値AT
下回ることになり、ステップS37からステップS38
に移行して、タイマTがタイムアップしているので、ス
テップS39に移行し、ハイパスフィルタ処理のカット
オフ周波数fHCを通常値の0.1Hzに維持して、良好
な姿勢変化抑制制御を継続する。
【0048】ところが、時点t11で、例えば陸橋を上り
始めると、路面の上昇分による上下加速度成分ΔZRS
が上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に直流ドリフト分と
して重畳されることになり、このとき、ハイパスフィル
タ処理のカットオフ周波数f HCが通常値の0.1Hzに
設定されているため、上下加速度成分ΔZRS″を除去す
ることができず、ステップS33で算出される車体上下
速度ZFL′〜ZRR′が、図12(b)で実線図示のよう
に、零から徐々に離れる方向に増加することになる。こ
れに応じて、ステップS34〜S36で算出される車体
上下速度積分値Aが図12(c)に示すように、増加傾
向を継続し、時点t12で車体上下速度積分値Aが閾値A
T を越えると、ステップS37からステップS39に移
行して、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
が図12(d)に示すように通常値の0.1Hzからこ
れより高い1.0Hzに変更され、この状態がタイマT
がタイムアップするまで保持される。このため、次回の
処理時からステップS32のハイパスフィルタ処理によ
って、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳されてい
る陸橋を上ることによる直流ドリフト分を迅速に除去す
ることができ、したがって、ステップS33のローパス
フィルタ処理を行って算出した車体上下速度ZFL′〜Z
RR′は図12(b)で破線図示の如く、陸橋を走行する
ことによる上下加速度成分ΔZRS″を除去した真の車体
上下速度だけとなり、正確な姿勢変化抑制制御を行うこ
とができる。
【0049】因みに、ハイパスフィルタ処理のカットオ
フ周波数fHCを通常値の0.1Hzに維持した場合に
は、陸橋を上ることによる直流ドリフト分を除去するこ
とができないので、ローパスフィルタ処理を行って算出
した車体上下速度ZFL′〜ZRR′が図12(b)で実線
図示のように、陸橋を上るに従って上向きにドリフト分
が重畳されることになり、この車体上下速度ZFL′〜Z
RR′に基づいて圧力指令値PFL〜PRRを算出した場合に
は、車体が上動していないの上動したものとして、圧力
指令値を減少させてしまうことになり、車高が変化する
ことになる。
【0050】その後、時点t13でタイマTがタイムアッ
プすると、これに応じて図11の処理が実行されたとき
に、ステップS37からステップS38を経てステップ
S39に移行することにより、ハイパスフィルタ処理の
カットオフ周波数fHCが通常値の0.1Hzに復帰され
る。この時点t13では、車両が陸橋を上り切る直前であ
り、上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″に重畳される直流
ドリフト分が小さく、しかも時点t14で陸橋を上り切っ
て上下速度ZFL′〜ZRR′が零クロスするため、車体上
下速度積分値Aは閾値AT 以下の値となることにより、
ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数f HCが通常値
の0.1Hzに維持される。
【0051】その後、車両が陸橋を下ることにより、時
点t14で車体上下速度積分値Aが閾値AT を越えると、
タイマTがタイムアップするまでの間前述した陸橋上り
時と同様にハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数f
HCが通常値の0.1Hzより高い1.0Hzに変更され
るため、陸橋を下ることによる上下加速度成分ΔZRS
の影響を除去して、正確な姿勢変化抑制制御を行うこと
ができる。
【0052】なお、上記第3実施例では、車体上下速度
FL′〜ZRR′の零クロス間の車体上下速度積分値Aが
閾値AT を越えたときに、タイマTで設定された所定時
間ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHCを高い
周波数に変更する場合について説明したが、これに限定
されるものではなく、ステップS32のカットオフ周波
数fHCが変更されるハイパスフィルタ処理と並行して、
カットオフ周波数を通常値の0.1Hzに固定した第2
のハイパスフィルタ処理を行って、直流ドリフト分を含
んだ上下加速度検出値ZFL″〜ZRR″を算出し、これを
ローパスフィルタ処理で積分して図12(b)で実線図
示の車体上下速度ZFL′〜ZRR′を算出し、これに基づ
いて車体上下速度の零クロス間の積分値Aを算出するこ
とにより、図12(c)で実線図示のように、直流ドリ
フトが発生している状態を検出し、この間ステップS3
2のハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHCを高
い値に変更するようにしてもよい。
【0053】また、上記第1実施例〜第3実施例におい
ては、サスペンション装置として能動型サスペンション
を適用した場合について説明したが、これに限定される
ものではなく、図13で模式的に示す所謂セミ・アクテ
ィブサスペンションにも適用することができる。このセ
ミ・アクティブサスペンションは、図13に示すよう
に、車両のバネ下質量m1 とバネ上質量m2 との間に、
バネ51i(i=FL,FR,RL,RR)と例えば内蔵するス
テップモータを駆動することにより、減衰力を連続的に
変化させることが可能な減衰力可変ショックアブソーバ
52iとが並列に介装されていると共に、バネ上の上下
加速度を上下加速度センサ28iで検出すると共に、バ
ネ上及びバネ下間の相対変位ZD をストロークセンサ5
3iで検出するように構成されている。
【0054】そして、上下加速度センサ28iの上下加
速度検出値Zi ″及びストロークセンサ53iの相対変
位検出値ZD が制御装置54に入力され、この制御装置
54によって減衰力可変ショックアブソーバ52iのス
テップモータを駆動することにより、減衰力をスカイフ
ック制御する。制御装置54は、上下加速度センサ28
i(i=FL,FR,RL,RR)の上下加速度検出値Zi ″を
切換スイッチSWで選択されるカットオフ周波数fHC
通常値の0.1Hzのハイパスフィルタ55L及び通常
値の0.1Hzよりより高い1.0Hzのハイパスフィ
ルタ55Hの何れか一方に供給して、これらハイパスフ
ィルタ55L又は55Hで直流ドリフト分を除去して真
の上下加速度検出値ZRi″を抽出し、この上下加速度検
出値ZRi″をカットオフ周波数fLCが0.1Hzに設定
されたローパスフィルタ56に供給して、このローパス
フィルタ56で上下加速度検出値ZRi″を積分して車体
上下速度Zi ′を算出すると共に、バネ下及びバネ上間
の相対変位を検出するストロークセンサ53iの相対変
位検出値Z Diを微分回路57で微分して相対速度ZD
を算出し、車体上下速度Zi ′及び相対速度ZD ′を演
算回路58に供給して、この演算回路58で、下記
(5)式の演算を行うことにより減衰係数Cを算出し、
算出された減衰係数Cをモータ駆動回路59に供給し
て、減衰係数Cに応じた減衰力を発生するステップ制御
量を算出して、これに応じたステップパルスを減衰力可
変ショックアブソーバのステップモータに出力して、減
衰力をスカイフック制御する。
【0055】 C=CS ・Zi ′/ZDi′ …………(5) ここで、CS は予め設定されたダンパ減衰係数である。
なお、切換スイッチSWは、操舵角センサ27の操舵角
検出値δを絶対値回路60で絶対値に変換し、この操舵
角検出値の絶対値を微分器61で微分して操舵角速度
δ′を算出し、この操舵角速度δ′と閾値δT ′とを
δ′>δT ′のときに高レベルの比較出力を出力する比
較回路62で比較して、この比較回路62の比較出力の
低レベルから高レベルの立ち上がり時点でトリガされる
タイマとしての機能を有するリトリガブルモノマルチバ
イブレータ63の出力によって切換制御され、マルチバ
イブレータ63の出力がオフ状態であるときにハイパス
フィルタ55Lを、オン状態であるときにハイパスフィ
ルタ55Hを夫々選択する。
【0056】また、上記制御装置54のローパスフィル
タ56のカットオフ周波数fLCが第1〜第3実施例の能
動型サスペンションにおけるローパスフィルタ処理のカ
ットオフ周波数1.0Hzより低い0.1Hzに設定さ
れている理由は、減衰力可変ショックアブソーバ52i
の制御周波数領域が能動型サスペンションに比べて低い
ためである。
【0057】なお、上記第1実施例〜第3実施例におい
ては、各車輪位置に4つの上下加速度センサ28FL〜2
8RRを設けた場合について説明したが、これに限定され
るものではなく、何れか3つの車輪位置に上下加速度セ
ンサを設け、残りの車輪位置の上下加速度を3つの加速
度検出値に基づいて推測するようにしてもよい。また、
上記第1実施例〜第3実施例においては、マイクロコン
ピュータで車体上下加速度のハイパスフィルタ処理及び
ローパスフィルタ処理を行うようにした場合について説
明したが、これに限定されるものではなく、別途カット
オフ周波数を変更可能なハイパスフィルタ及びカットオ
フ周波数が固定されているローパスフィルタを設けて、
車体上下速度ZFL′〜ZRR′を算出し、これをマイクロ
コンピュータに入力するようにしてもよく、また、マイ
クロコンピュータに代えて、減算器、ローパスフィル
タ、バンドパスフィルタ、増幅器等の電子回路を組み合
わせてコントローラ30を構成することもできる。
【0058】さらに、上記第1実施例〜第3実施例にお
いては、ハイパスフィルタ処理のカットオフ周波数fHC
を高低2段階に変更する場合について説明したが、これ
に限らず走行時の状況に応じて多段階或いは無段階に変
更するようにしてもよい。さらにまた、上記第1実施例
〜第3実施例においては、流体シリンダとして油圧シリ
ンダを適用した場合について説明したが、他の液圧シリ
ンダ、空気圧シリンダ等を適用することもできる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係るサ
スペンション制御装置によれば、バネ上上下加速度検出
手段のバネ上上下加速度に影響を与える走行状態を検出
する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段で、バネ
上上下加速度に影響を与える走行状態を検出したとき
に、前記ハイパスフィルタ手段のカットオフ周波数を高
い値に変更するカットオフ周波数変更手段とを備えた構
成としたので、旋回走行時の車体のロールや立体交差の
陸橋等を走行する場合のように、これらの走行状態によ
ってバネ上加速度成分を生じて、このバネ上加速度成分
がバネ上上下加速度検出手段のバネ上上下加速度に直流
ドリフトとして一時的に重畳されたときに、この走行状
態を走行状態検出手段で検出し、これに基づいてカット
オフ周波数変更手段で、ハイパスフィルタ手段のカット
オフ周波数を高い値に変更することにより、このハイパ
スフィルタ手段で、バネ上上下加速度の直流ドリフト分
を迅速に除去することができ、誤動作を生じることなく
正確な姿勢変化抑制制御を行うことができるという効果
が得られる。
【0060】また、請求項2に係るサスペンション制御
装置によれば、走行状態検出手段が旋回ロール状態を検
出する車速センサ及び操舵角センサで構成されているの
で、車両の旋回時の車体のロールによる上下加速度成分
の増加を検出することができ、上下加速度検出値に重畳
されるロールによる直流ドリフト分を確実に除去するこ
とができるという効果が得られる。
【0061】さらに、請求項3に係るサスペンション制
御装置によれば、走行状態検出手段がバネ上上下速度の
零クロス間の積分値に基づいて走行状態を検出するよう
に構成されているので、立体交差の陸橋、バンク路等の
路面状況による上下加速度成分を正確に検出することが
でき、上下加速度検出値に重畳される路面状況による直
流ドリフト分を確実に除去することができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す概略構成図である。
【図3】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図4】上下加速度センサの出力特性を示す特性線図で
ある。
【図5】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図6】マイクロコンピュータの処理手順の一例を示す
フローチャートである。
【図7】カットオフ周波数算出マップを示す説明図であ
る。
【図8】本発明の第2実施例のマイクロコンピュータの
処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】上下加速度センサの取付状態を示す説明図であ
る。
【図10】第2実施例の動作の説明に供するタイムチャ
ートである。
【図11】本発明の第3実施例のマイクロコンピュータ
の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】第3実施例の動作の説明に供するタイムチャ
ートである。
【図13】本発明の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR 車輪 14 車輪側部材 18FL〜18RR 油圧シリンダ 20FL〜20RR 圧力制御弁 26 車速センサ 27 操舵角センサ 28FL〜28RR 上下加速度センサ 30 コントローラ 42 マイクロコンピュータ 52i 減衰力可変ショックアブソーバ 53i ストロークセンサ 54 制御装置 SW 切換スイッチ 55L,55H ハイパスフィルタ 56 ローパスフィルタ 57 微分回路 58 演算回路 61 微分器 62 比較回路 63 リトリガブルモノマルチバイブレータ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 17/015

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のバネ上上下加速度をバネ上上下加
    速度検出手段で検出し、検出したバネ上上下加速度の直
    流ドリフト分をハイパスフィルタ手段で除去してからロ
    ーパスフィルタ手段で積分してバネ上上下速度を算出
    し、当該バネ上上下速度に基づいて制御手段でサスペン
    ション特性を制御するようにしたサスペンション制御装
    置において、前記バネ上上下加速度検出手段のバネ上上
    下加速度に影響を与える走行状態を検出する走行状態検
    出手段と、該走行状態検出手段で、バネ上上下加速度に
    影響を与える走行状態を検出したときに、前記ハイパス
    フィルタ手段のカットオフ周波数を高い値に変更するカ
    ットオフ周波数変更手段とを備えたことを特徴とするサ
    スペンション制御装置。
  2. 【請求項2】 前記走行状態検出手段は、旋回ロール状
    態を検出する車速センサ及び操舵角センサで構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載のサスペンション制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記走行状態検出手段は、バネ上上下速
    度の零クロス間の積分値に基づいて走行状態を検出する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1記載の
    サスペンション制御装置。
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