JP2845016B2 - 真球状ポリウレタンゲル微粒子及びその製造方法 - Google Patents

真球状ポリウレタンゲル微粒子及びその製造方法

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JP2845016B2 JP4072984A JP7298492A JP2845016B2 JP 2845016 B2 JP2845016 B2 JP 2845016B2 JP 4072984 A JP4072984 A JP 4072984A JP 7298492 A JP7298492 A JP 7298492A JP 2845016 B2 JP2845016 B2 JP 2845016B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料、コーティング
剤、樹脂、ゴム、エラストマー等に吸油性、耐熱性、耐
摩耗性等の優れた性能を与える改質剤等として有益な真
球状ポリウレタンゲル微粒子及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリイソシアネートと活性水素を
有する化合物とを三次元的に反応させた架橋型ポリウレ
タン樹脂は公知であり、優れた耐溶剤性、耐熱性、耐摩
耗性や耐油性を有している。この様な優れた性能を応用
する方法としては、塗料、コーテイング剤、樹脂成形
品、ゴム、エラストマー等に架橋前のポリウレタン原料
(ポリイソシアネート)をブレンドし、塗膜や成形品に
した後に架橋を完結させる方法がある。しかしながら、
かかる方法では架橋密度のコントロールが困難であり、
架橋の程度によって架橋物の塗膜や成形品との相溶性が
低下したり、逆に塗膜や成形品の物性を低下させる場合
があり、応用範囲が限定されている。
【0003】かかる問題を解決する方法として、ポリウ
レタンゲル粒子を製造し、これを塗料原料や成形用樹脂
にブレンドする方法もあるが、ポリウレタンゲル粒子の
従来の製造方法としては、固形状のポリウレタンを低温
で機械的に粉砕する方法、水性エマルジョンからポリウ
レタンゲル粒子を析出及び乾燥させる方法、噴霧乾燥方
法、更に溶液重合ポリウレタンに貧溶剤を添加してポリ
ウレタンを粒状に析出及び濾過し、乾燥させて溶剤を除
去する方法等がある。これらの従来の方法では、得られ
る粉末の形状が不定形であると同時に、微細なポリウレ
タンゲル微粒子が得られないと云う問題があり、又、製
造経費が著しく高くつくと云う問題がある。他方、不活
性液体を使用する方法としては、米国特許第3,78
7,525号明細書、特開昭53−129295号公報
及び特開平2−38453号公報に記載の方法が知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとしている問題点】上記の前者の方
法は、生産性に劣り実用的な方法とは云えない。又、後
者の方法は全て特殊な有機系界面活性剤を使用しなけれ
ばならず、又、この界面活性剤はその一部が重合媒体で
ある不活性液体に溶解しなければならない為に、使用す
ることが出来る不活性液体が制限されると云う問題があ
る。又、界面活性剤が、得られるポリウレタンゲル粒子
に混入することが避けられず、ポリウレタンの物性に悪
影響を及ぼすと云う問題がある。更に、反応物質の乳化
(懸濁)安定化の為に強力な撹拌が必要であり、撹拌が
不十分であると、低軟化点又は低硬度ポリウレタンゲル
粒子は、分散液中で重合したポリウレタン分散体同士の
凝集や、分散液から粉末化する工程でポリウレタンゲル
粒子同士が融着して、粒子が粗大化する為に製造するこ
とが出来ないと云う欠点がある。従って本発明の目的
は、従来の上記の欠点を解決すると共に、広範囲の用途
に適応可能なポリウレタンゲル微粒子を容易に提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、三次元架橋した
真球状吸水性ポリウレタンゲル微粒子であって、ポリウ
レタンは分子中にポリエチレンオキサイド基を有さず、
ポリウレタンゲル微粒子の表面が疎水性シリカによって
被覆されていることを特徴とする真球状ポリウレタンゲ
ル微粒子、及び少なくとも一方が3官能以上であるポリ
イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物(但
し、分子中にポリエチレンオキサイド基を有する該化合
物は除く)とを不活性液体中で乳化重合で三次元反応さ
せるに当り、乳化剤として疎水性シリカを使用すること
を特徴とするポリウレタンゲル微粒子の製造方法であ
る。
【0006】
【作用】本発明者は、不活性液体中に分散した疎水性シ
リカが、ポリウレタンゲルの合成原料であるポリイソシ
アネート化合物及び活性水素を有する化合物を、不活性
液体中に容易にしかも微粒子に乳化することが出来るこ
とを見出して本発明を完成した。更に、本発明に使用す
る疎水性シリカの特徴として、ポリウレタンゲル微粒子
の合成過程に発生する粘性の為に、乳化されたポリウレ
タンゲル微粒子の分散体が凝結して大きい塊となるのを
防ぐ働きがある。この作用は不活性液体からポリウレタ
ンゲル微粒子を分離してポリウレタンゲル微粒子を製造
する際に発生するポリウレタンゲル微粒子の凝集を防
ぎ、微粒子のポリウレタンゲル粒子を製造するのに非常
に有益に働く。これは公知の有機の乳化剤や分散安定剤
とは根本的に異なる作用である。
【0007】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明においては、少なく
とも一方が3官能以上であるポリイソシアネート化合物
及び活性水素を有する化合物を不活性液体中に添加及び
乳化し、これらの合成原料を反応させてポリウレタンゲ
ル微粒子を合成するには、疎水性シリカを分散した不活
性液体を撹拌機や乳化機付きのジャケット式合成釜に仕
込み、予めポリイソシアネート化合物と活性水素を有す
る化合物とを混合したものを、不活性液体の撹拌下に徐
々に添加し乳化を行い、撹拌を続けて両者を反応させて
ポリウレタンゲル微粒子を合成し、その分散体を製造す
る方法が好ましい。又、ポリイソシアネート化合物と活
性水素を有する化合物の添加は、上記の方法の他にポリ
イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物とを別
々に乳化したものを合成釜に添加する等の方法でもよ
い。合成の為の温度は特に限定されないが、好ましい温
度は40℃〜120℃である。疎水性シリカの使用量
は、ポリイソシアネート化合物及び活性水素を有する化
合物夫々100重量部当たり0.5重量部以上を使用す
ることが出来、好ましくは1.0〜20重量部である。
0.5重量部未満では原料の乳化性が不十分で、合成過
程でポリウレタンの大きい塊が発生し、目的とする微細
な重合体の分散体が得難い。一方、20重量部を越える
と原料の乳化性には問題はなく、ポリウレタンの分散体
は製造することが出来るが、乳化剤としての作用として
過剰な量であり特に利点はない。
【0008】本発明に使用される疎水性シリカは、親水
性シリカ表面のOH基を置換してシリカを疎水性にする
ことが出来る化合物であれば特に限定されないが、好ま
しい例としては、−(CH−CH又は−[Si
(CHO]−Si(OCH)3、−(C
)p−CFの基(n=0〜7、m=1〜7、p=
3〜11)を有する化合物が挙げられる。得られる疎水
性シリカの好ましい一次粒子の平均径は7nm〜50n
mであるが、これに限定されない。特に好ましい疎水化
剤は、アルキル基又はアリール基等の炭化水素基の少な
くとも1個の水素原子を弗素原子で置換した基を有する
化合物であり、例えば、好ましい具体例としては、(C
)[CF(CF]SiCl(好ましくは
n=3〜11)で表されるクロルシラン化合物、(CH
)[CF(CF]Si(OR)(好ましくは
n=3〜11、R=メチル基又はエチル基)で表される
アルコキシシラン化合物、{(CH)[CF(CF
]SiO}(好ましくはn=3〜11)で表さ
れる環状トリオキサン化合物、及び下記の式で表される
如きパフルオロアルキアルコール(又はチオアルコ
ール)が挙げられる。
【0009】
【化1】 (CF3 )(CF2n24 OH(好ましくはn=
3〜11) 上記の種々のの弗素化合物の中では、特に上記のパーフ
ルオロアルキルアルコール類がシリカとの反応性に優
れ、且つ本発明の目的に最も適した疎水性シリカを与え
ることが出来る。
【0010】親水性シリカとしては、硅酸ソーダと酸と
の反応、アルコキシシランの加水分解又はカルシウムシ
リケートと酸との反応によって合成される湿式法シリカ
又はハロゲン化硅素の酸水素焔中で高温加水分解するか
或は石英からアーク法によって合成される乾式法シリカ
が好ましく使用される。又、かかるシリカ粉末は30〜
400m2 /gの表面積を有し、その種類及び表面積に
より一定量のシラノール基(SiOH)を有している親
水性シリカである。以上の如き疎水化用化合物と親水性
シリカのSiOH基との反応は両者を接触させることに
よって容易に達成される。この際、必要に応じて加熱処
理或は触媒添加等により処理効率を向上させることが出
来る。この様にして得られる疎水化シリカは、表面積
1,000m2 /gになる親水性シリカ(例えば、表面
積100m2 /gのシリカ10g)に対して疎水化用化
合物中のシラノール基と反応性を有する官能基濃度が1
ミリモル〜5ミリモル相当の疎水化用化合物で処理する
ことが好ましい。この処理量は、処理前後においてシリ
カ表面の撥水性を測定(協和界面化学(株)製の接触角
測定機を用いシリカ表面にイオン交換水を用いて測定)
することによって決定することが出来る。
【0011】本発明で使用する疎水性シリカは、上記特
定の割合で処理することによって、本発明においてポリ
ウレタンゲル微粒子を製造する際に生成粒子の凝集を最
も有効に防ぐことが出来、本発明の真球状ポリウレタン
ゲル微粒子を得ることが出来る。疎水性シリカの好まし
い一次粒子の平均径は7nm〜50nmであるが、これ
に限定されない。実際の使用に際しては、疎水性シリカ
を不活性液体中に微細に分散する必要があり、分散機と
して超音波分散機、ホモジナイザー、サンドグラインド
ミル、ボールミル、高速ミキサー、アトライター等の公
知の分散機を使用することが出来る。
【0012】本発明で使用することが出来るポリイソシ
アネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネー
ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、キ
シレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘ
キシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,
4−(又は−2,6−)−ジイソシアネート、1,3−
ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホ
ロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の2個の
イソシアネート基を有するものが挙げられる。
【0013】又、これらの化合物をイソシアヌレート
体、ビューレット体、アダクト体、ポリメリック体とし
た多官能のイソシアネート基を有するもの、例えば、
4,4’、4”−トリフェニルメタントリイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネートの環状三量体、
2,6−トリレンジイソシアネートの環状三量体、混合
した3モルの2,4−及び2,6−トリレンジイソシア
ネートの環状三量体、ジフェニールメタン−4,4’−
ジイソシアネートの三量体、3モルのジフェニールメタ
ン−4,4’−ジイソシアネートと1モルのトリメチロ
ールプロパンとの反応生成物、3モルの2,4−トリレ
ンジイソシアネートと1モルのトリメチロールプロパン
との反応生成物、3モルの2,6−トリレンジイソシア
ネートと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成
物、3モルの2,4−トリレンジイソシアネートと1モ
ルのトリメチロールエタンとの反応生成物、3モルの
2,6−トリレンジイソシアネートと1モルのトリメチ
ロールエタンとの反応生成物、混合した3モルの2,4
−及び2,6−トリレンジイソシアネートと1モルのト
リメチロールプロパンとの反応生成物等、及びこれらの
ポリイソシアネートを、メタノール、エタノール、フェ
ノール、クレゾール、ε−カプロラクタム、メチルエチ
ルケトンオキシム、アセトンオキシム、N,N−ジメチ
ルヒドロキシアミン、マロン酸ジエチル、アセチルアセ
トン等の活性水素を分子内に1個有する化合物とポリイ
ソシアネート化合物のイソシアネート基の一部又は全部
を反応したもの等を使用することが出来る。
【0014】本発明で使用することが出来る分子中にポ
リエチレンオキサイド基を有さない活性水素を有する化
合物の例として、水、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチ
ルロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノー
ルアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、1,4−ベン
ゼンチオール、ソルビトール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレ
ンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヘキサ
メチレンカーボネート、水素添加ダイマーポリオール、
ヒマシポリオール、ポリオレフイン系ポリオール、酸
化プロピレンとテトラヒドロフランとの共重合体やグリ
セリン付加物等の単独、混合物、ポリイソシアネート
化合物と反応するものは全て使用することが出来る。
【0015】本発明に使用されるポリイソシアネート化
合物及び活性水素を有する化合物の種類、使用量及び使
用比率は、得られるポリウレタンゲル微粒子の使用目的
によって決定されるが、いずれか一方の成分が3官能以
上であることが必要である。例えば、ポリイソシアネー
トが2官能である場合には、活性水素を有する化合物は
3官能以上であり、又、活性水素を有する化合物が2官
能である場合には、ポリイソシアネートが3官能以上が
必要であり、両成分とも3官能以上であってもよい。
又、NCO/OH比は、使用する化合物と生成物に要求
される性能によって決定されるが、好ましくは0.5〜
1.2の範囲である。
【0016】本発明において使用される連続相を形成す
る不活性液体は、実質的にポリウレタンに対して非溶媒
であり且つ活性水素を有しないものである。その例とし
て、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、石油ス
ピリット、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の
炭化水素、トリクロロフルオロエタン、テトラクロロジ
フルオロエタン、パーフルオロエーテル等の弗素化油等
の弗素系不活性液体、パーフルオロシクロヘキサン、パ
ーフルオロブチルテトラヒドロフラン、パーフルオロデ
カリン、パーフルオロ−n−ブチルアミン、パーフルオ
ロポリエーテル、ジメチルポリシロキサン等の単独又は
混合物が挙げられ、これらの不活性液体は、該不活性液
体とポリウレタンの分離工程の生産性の点からは150
℃以下の沸点を有するものが好ましい。合成に際しては
公知の触媒が使用すれば低温でもよいが、作業面から4
0℃以上の反応温度が好ましい。以上の如きポリウレタ
ン分散液から、常圧又は減圧下で不活性液体を分離する
ことによって、本発明のポリウレタンゲル微粒子が得ら
れる。粒子化に用いる装置としてスプレイドライヤー、
濾過装置付き真空乾燥機、撹拌装置付真空乾燥機、棚式
乾燥機等公知のものがいずれも使用出来、好ましい乾燥
温度は不活性液体の蒸気圧、ポリウレタンゲル微粒子の
軟化温度、粒径等に影響されるが、好ましくは減圧下4
0℃〜80℃である。
【0017】この様にして製造されたポリウレタンゲル
微粒子の粒径は、0.5μm〜100μmで真球状であ
る。粒径のコントロールは、ポリウレタンの組成が同一
の場合、合成釜の乳化型式(プロペラ式、錨型式、ホモ
ジナイザー、螺旋帯式等)及び撹拌力の大小に左右され
るが、特に不活性液体中のポリイソシアネート化合物及
び活性水素を有する化合物の濃度、疎水性シリカの種類
及び添加量に影響される。ポリイソシアネート化合物及
び活性水素を有する化合物を乳化する為の機械的撹拌や
剪断力は乳化の初期段階で決定され、これが強力な程分
散体の粒径が小さくなる。その後の撹拌及び剪断力は大
きくは影響しない。かえってその力が強すぎると分散体
同士の凝集を促進することになり好ましくない。
【0018】ポリイソシアネート化合物及び活性水素を
有する化合物の不活性液体中における濃度は、低い程小
さい粒径のものが得られ易く、生産性から好ましい濃度
は20〜50重量部である。疎水性シリカで重要な因子
は、その表面基の種類及び濃度であり、更には不活性液
体中における分散性と分散粒径である。即ち、疎水性シ
リカの乳化剤としての作用は、W/O、O/O型の乳化
剤であり、ポリイソシアネート化合物及び活性水素を有
する化合物の親水性、疎水性の強さと不活性液体との相
関性で作用する。これらの条件を加味して検討を加えた
結果として、ポリイソシアネート化合物及び活性水素を
有する化合物に対する疎水性シリカの添加量の調整で、
ポリウレタンゲル微粒子の粒径をコントロールすること
が可能であり、前記の範囲で添加量が多い程粒径は小さ
くなり、少ない程粒径が大きくなる。
【0019】又、本発明では、上記のポリウレタンゲル
微粒子の製造に当たり、原料の少なくとも一部又は微粒
子に染料や顔料等の着色剤、可塑剤、安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、研磨剤、体質顔料等の
各種添加剤を混合して、ポリウレタンの合成を行い種々
の用途に適したポリウレタンゲル微粒子を得ることも可
能である。これらの微粒子は、図1の電子顕微鏡写真
(倍率750倍)に示す様に、ほぼ完全に真球状の微粒
子であり、図2の想像図に示す如く個々のポリウレタン
ゲル微粒子の表面には疎水性シリカが付着或は被覆され
ている為、該微粒子を分散媒体から単に除去するのみで
極めて流動性に富んだ微粒子となり、微粒子化に当たっ
ては従来技術における如き煩雑且つコスト高な粉砕工程
や分級操作を何ら要しない等の種々の利点を有してい
る。
【0020】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものでない。尚、文中部又は%とあるのは特に断り
のない限り重量基準である。 実施例1−1(疎水性シリカ分散液の作成) 疎水性シリカを表1の如く不活性液体に配合し、超音波
分散機を使用して分散が安定するまで分散して下記表1
の疎水性シリカ分散液を得た。
【0021】
【表1】 *1:パーフルオロエーテル弗素化油 *2:液の流動性(○:流動性あり、△:やや有り、
×:無し) *3:液の透明性(○:透明性大、△:中、×:小)
【0022】実施例1−2(弗素化合物処理シリカの合
成) アエロジル300(日本アエロジル(株)製、表面積約
300m/g)20gを500mlのフラスコに入
れ、激しく撹拌しながらヘプタデカフルオロデシルメチ
ルジメトキシシラン6gと脱イオン水6gとを徐々に滴
下混合した後、120℃に昇温し、3時間反応させた。
次に窒素ガス雰囲気下に150℃に昇温し、3時間反応
させて弗素化合物で処理したシリカ(13)を得た。こ
のシリカの撥水性は148°であった。
【0023】実施例1−3(弗素化合物処理シリカの合
成) アエロジル130(日本アエロジル(株)製、表面積約
130m/g)20gを500mlのフラスコに入
れ、激しく撹拌しながらヘプタデカフルオロデシルメチ
ルジメトキシシラン3gと脱イオン水3gとを徐々に滴
下混合した後、120℃に昇温し、3時間反応させた。
次に窒素ガス雰囲気下に150℃に昇温し3時間反応さ
せて弗素化合物で処理したシリカ(14)を得た。この
シリカの撥水性は152°であった。
【0024】実施例1−4(弗素化合物処理シリカの合
成) アエロジル300(日本アエロジル(株)製、表面積約
300m/g)20gを500mlのフラスコに入
れ、激しく撹拌しながらヘプタデカフルオロデシルアル
コール8g、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン8
g及びスタナスオクテート0.02gの混合物を徐々に
滴下混合した後、120℃に昇温し、3時間反応させ
た。次に窒素ガス雰囲気下に170℃に昇温し6時間反
応させて弗素化合物で処理したシリカ(15)を得た。
このシリカの撥水性は146°であった。
【0025】実施例1−5(弗素化合物処理シリカの合
成) アエロジル130(日本アエロジル(株)製、表面積約
130m /g)20gを500mlのフラスコに入
れ、激しく撹拌しながらヘプタデカフルオロデシルアル
コール5g、パーフルオロブチルテトラヒドロフラン5
g及びスタナスオクテート0.02gの混合物を徐々に
滴下混合した後、120℃に昇温し、3時間反応させ
た。次に窒素ガス雰囲気下に170℃に昇温し6時間反
応させて弗素化合物で処理したシリカ(16)を得た。
このシリカの撥水性は150°であった。
【0026】実施例2 平均分子量1,000のポリブチレンアジペート20部
を60℃で溶解し、この中にヘキサメチレンジイソシア
ネートのイソシアヌレートポリイソシアネート8.12
部を添加し均一に混合した。この物を予め2リットルの
ステンレス容器に準備した実施例1のシリカ分散液
(3)50部とnヘプタン50部の混合液の中にの中に
徐々に加え、ホモジナイザーで15分間乳化した。この
乳化液は分散質の平均分散粒子径が12μmで分離もな
く安定な乳化液であった。次にこれを錨型撹拌機付き反
応釜に仕込み、400rpmの回転をさせながら温度を
80℃まで上げ、6時間の反応を終了しポリウレタンゲ
ル微粒子の分散液を得た。この分散液を100Toor
で真空乾燥を行ってn−ヘプタンを分離しポリウレタン
ゲル微粒子(1)を得た。このものは平均粒子径が12
μmの真球状の白色粉末状であった。
【0027】実施例3 錨型撹拌機付反応釜に平均分子量2,000のポリテト
ラメチレンアジペート100部を仕込み、70℃に加熱
溶解して撹拌しながらジフェニルメタンジイソシアネー
チ(MDI)25部を徐々に添加し、5時間の反応を行
いNCO/OH=2のプレポリマーを得た。このものに
トリメチロールプロパン4.5部を添加混合した。この
物の25部をを予め2リットルのステンレス容器に準備
した実施例1のシリカ分散液(7)75部とnヘプタン
50部の混合液の中にの中に徐々に加え、ホモジナイザ
ーで25分間乳化した。この乳化液は分散質の平均分散
粒子径が8μmで分離もなく安定な乳化液であった。次
にこれを錨型撹拌機付き反応釜に仕込み、500rpm
の回転をさせながら温度を100℃まで上げ、5時間の
反応を終了しポリウレタンゲル微粒子の分散液を得た。
この分散液から実施英2と同様にしてポリウレタンゲル
微粒子(2)を得た。このものは平均粒子径が8μmの
真球状の白色粉末状であった。
【0028】実施例4 平均分子量1,630の3官能のヒマシ油ポリオール2
0部中にトリレンジイソシアネート3.2部を添加しN
CO/OH=1.0に調製して低速で混合した。この物
を予め2リットルのステンレス容器に準備した実施例1
のシリカ分散液(13)3部をパーフルオロブチルテト
ラヒドロフラン97部に添加して超音波による分散を行
った分散液は分散質の平均分散粒子径が5μmで分離も
なく安定な乳化液であった。次にこれを錨型撹拌機付き
反応釜に仕込み、500rpmの回転をさせながら温度
を80℃まで上げ、2時間の反応後に反応触媒としてジ
ブチル錫ジラウレート0.01部を加え、更に3時間反
応を行ってポリウレタンゲル微粒子の分散液を得た。こ
の分散液実施例2と同様に処理してポリウレタンゲル
微粒子(3)を得た。このものは平均粒子径が5μmの
真球状の白色粉末状であった。
【0029】
【表2】 *1:25℃で吸収前後の粒子の大きさ(直径)の変化
(吸収前を1とした場合を顕微鏡で観察した顕微鏡によ
り観察した。 *2:微粒子20部を溶剤80部に添加し軽く手で撹拌
したときに分散液の状態を肉眼で観察した。○;分散
△;ペースト ×;ゲル 溶剤1:エチルアセテ−ト 溶剤2:ジメチルホルムアミド 3:ミネラルスピリット *3:コジュラーホットベンチで滴定して測定した。
【0030】実施例5 実施例2〜4と同様にして、夫々疎水性シリカ1〜15
の残りの疎水性シリカを用いて本発明のポリウレタンゲ
ル微粒子を得た。これらの微粒子も前記表2と同様な性
質を有していた。
【0031】
【発明の効果】本発明は下記の効果を奏する。 1.粒径のコントロールされた真球状ポリウレタンゲル
微粒子の製造が可能である。 2.得られたポリウレタンゲル微粒子は真球状であり、
該ポリウレタンゲル微粒子の表面には弗素化合物で処理
したシリカが均一に付着又は被覆されている為、該微粒
子は極めて流動性に優れ、取り扱いが容易であり、例え
ば、輸送、計量、液体や樹脂中への再分散が極めて容易
である等の種々の利点がある。 3.以上の効果から、本発明の真球状ポリウレタンゲル
微粒子は、塗料、コーティング剤、樹脂、ゴム、エラス
トマー等に可塑剤や有機溶剤等に対する優れた吸油性、
耐熱性、耐摩耗性等の性能を与える改質剤等として有益
である。
【0032】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真球状ポリウレタンゲル微粒子の状態
の1例を示す図。
【図2】本発明の真球状ポリウレタンゲル微粒子の断面
の想像図。
【符号の説明】
1:ポリウレタンゲル微粒子 2:弗素化合物で処理したシリカ粒子 特許出願人 大日精化工業株式会社 他1名代理人
弁理士 吉 田 勝 広 他1名
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 75:04 (72)発明者 黒田 郊一 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 佐々木 敏晴 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6 号 大日精化工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−56951(JP,A) 特開 平5−214054(JP,A) 特開 平5−239341(JP,A) 特開 平5−70539(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 18/00 - 18/87 C08L 75/00 - 75/16

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元架橋した真球状ポリウレタンゲル
    微粒子であって、ポリウレタンは分子中にポリエチレン
    オキサイド基を有さず、ポリウレタンゲル微粒子の表面
    が疎水性シリカによって被覆されていることを特徴とす
    る真球状ポリウレタンゲル微粒子。
  2. 【請求項2】 疎水化シリカが、親水性シリカ表面のO
    H基を−(CH−CH又は−[Si(CH
    O]−Si(OCH又は−(CF−C
    の基(n=0〜7、m=1〜7、p=3〜11)で
    置換した疎水性シリカである請求項1に記載の真球状ポ
    リウレタンゲル微粒子。
  3. 【請求項3】 弗素化合物基がフルオロアルキルアルコ
    ールの残基である請求項1に記載の真球状ポリウレタン
    ゲル微粒子。
  4. 【請求項4】 粒子径が0.5〜100μmの範囲であ
    る請求項1に記載の真球状ポリウレタンゲル微粒子。
  5. 【請求項5】 少なくとも一方が3官能以上であるポリ
    イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物(但
    し、分子中にポリエチレンオキサイド基を有する該化合
    物は除く)とを不活性液体中で乳化重合で三次元反応さ
    せるに当り、乳化剤として疎水性シリカを使用すること
    を特徴とするポリウレタンゲル微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 疎水化シリカが、親水性シリカ表面のO
    H基を−(CH−CH又は−[Si(CH
    O]−Si(OCH又は−(CF−C
    の基(n=0〜7、m=1〜7、p=3〜11)で
    置換した疎水性シリカである請求項5に記載のポリウレ
    タンゲル微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 弗素化合物基がフルオロアルキルアルコ
    ール残基である請求項5に記載の真球状ポリウレタンゲ
    ル微粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 乳化重合物を不活性液体から粉末状とし
    て取り出す請求項5に記載のポリウレタンゲル微粒子の
    製造方法。
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