JP2842977B2 - 木造建物 - Google Patents

木造建物

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JP2842977B2
JP2842977B2 JP5103699A JP10369993A JP2842977B2 JP 2842977 B2 JP2842977 B2 JP 2842977B2 JP 5103699 A JP5103699 A JP 5103699A JP 10369993 A JP10369993 A JP 10369993A JP 2842977 B2 JP2842977 B2 JP 2842977B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、いわゆる軸組工法において、そ
の軸組間にパネル体を嵌め込んで壁を形成するようにし
た木造建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の木造建物としては、例えば特開
昭62−10354号公報に示されるような木造建物が
知られている。この木造建物は、図7に示すように軸組
1間にパネル体2を嵌め込んで壁3を形成するようにな
っている。この場合、上記パネル体2は、上記軸組1間
に嵌め込まれる方形の木枠2aと、この木枠2aの表面
に固定された合板2bと、上記木枠2a内に充填された
発泡断熱材2cとから主に構成されている。特に、上記
合板2bは、木枠2aと同じ大きさに形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の木造建物においては、施工性を考慮してパネル
体2が軸組1間より若干小さく製作されているので、パ
ネル体2と軸組1との間に隙間Sが生じ、このままでは
気密性に欠ける問題がある。このため、上記隙間Sに現
場発泡ウレタンを注入発泡させて隙間Sを埋め、更に屋
内側に気密テープ4を貼り巡らしているのが現状であ
り、これら現場での作業に手間が掛かると共に、高所で
は足場を要する作業となるので作業効率が悪く、しかも
作業者によって施工品質にバラツキが生じる問題があっ
た。また、パネル体2を軸組1に固定するには、パネル
体2側から軸組1に向って釘を斜めに打ち付ける等しな
ければならず、パネル体2の固定作業が大変であった。
更に、パネル体2は耐力壁としての機能を備えていない
ので、軸組1には筋かいを設ける必要がある。
【0004】本発明は、上記問題点を解決すべくなされ
たものであり、気密性確保のための現場での作業がほと
んど不要であり、パネル体を軸組に簡単に固定すること
ができ、筋かいを不要にできる木造建物を提供すること
を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の木造建物は、軸組間にパネル体を嵌め込んで
壁を形成する木造建物において、上記パネル体を、上記
軸組間に嵌め込められる方形の枠部材と、この枠部材に
固定され上記軸組の屋外側面に当接される鍔部を周囲に
有する耐力壁用面部材と、この面部材の枠部材で囲まれ
る屋内側面に設けられた低透湿性の断熱部材と、上記鍔
部の屋内側面に周方向に沿って設けられた弾性気密部材
とから構成し、この気密部材を介して上記パネル体の鍔
部を軸組の屋外側面に釘等の固定手段で固定するように
したことを特徴としている。
【0006】
【作用】上記構成の木造建物によれば、パネル体を構成
する面部材が周囲に軸組の屋外側面に当接する鍔部を有
しているので、この鍔部を軸組の屋外側面に釘で打ち付
けるだけでパネル体を軸組に簡単に固定することができ
る。この場合、上記鍔部の屋内側面には周方向に沿って
弾性気密部材が設けられているので、釘打ちと同時に軸
組とパネル体との間の気密が確保されることになり、従
来の木造建物と異なり気密性確保のための現場での作業
がほとんど不要であり、労力の軽減、工期の短縮及び施
工品質の向上が図れる。また、上記パネル体を構成する
面部材が耐力壁としての強度ないし機能を備えているの
で、軸組に筋かいを設ける必要がなくなる。
【0007】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。図1は木造建物の断面図、図2は同側面
図、図3はパネル体の背面図、図4〜図6は同パネル体
の詳細断面図である。
【0008】図1、図2に示すように軸組工法により組
立てられるこの木造建物5は、布基礎6上に土台7を図
示しないアンカーボルトにより固定し、その土台7に柱
8を所定の間隔で設け、これら柱8の上部に桁9を横架
している。図示例では平屋の木造建物が示されている
が、木造建物は複数階のものであってもよく、例えば二
階建ての木造建物においては、桁の代わりに胴差しが横
架され、その胴差し上に更に柱が設けられ、その柱の上
部に桁が横架される。そして、このように構成された軸
組1間、すなわち上下の横架材(平屋の場合は土台7と
桁9、二階建ての場合は土台と胴差し及び胴差しと桁)
と左右の柱8,8とで囲まれた開口部10には、パネル
体20が嵌め込まれて壁3が形成される。
【0009】上記パネル体20は、図3〜図6に示すよ
うに上記軸組1間に嵌め込まれる方形の枠部材(例えば
木枠)21を有し、この枠部材21には軸組1の屋外側
面に当接する鍔部22を周囲(全周)に有する耐力壁用
面部材(例えばJASに適合する構造用合板、或いはJ
ISに適合するパーティクルボード等)23が釘打ち等
により固定されている。すなわち、上記面部材23は耐
力壁としての強度ないし機能を備えている構造用面材か
らなり、しかも周縁部が軸組1の屋外側面に当接する鍔
部22となるように上記枠部材21よりも大きめの方形
に形成されている。
【0010】また、上記面部材23の枠部材21で囲ま
れる屋内側面には低透湿性の断熱部材24が設けられ、
面部材23の鍔部22の屋内側面には周方向に沿って弾
性気密部材25が設けられている。この場合、低透湿性
の断熱部材24は、例えば発泡ポリスチレン製の断熱ボ
ードからなり、上記枠部材21の内側に嵌まる大きさに
形成され、面部材の内面に接着剤26で固定されてい
る。また、断熱部材24の枠部材21と接する周縁部に
はシリコン系のコーキング27が施され、気密性が確保
されている。上記弾性気密部材25は、例えば厚さ3.
2mm、幅20mmの帯状で片面に粘着材が塗布された
発泡塩ビ系のパッキン材からなり、面部材23の鍔部2
2の屋内側面に粘着材により周方向に沿って連続的に貼
り付けられている。
【0011】なお、上記パネル体20においては、その
枠部材21内に間柱等の補強部材28が適宜設けられて
いる。また、パネル体20は、施工性を考慮して枠部材
21が軸組1間よりも若干小さく製作されているため、
枠部材21と軸組1との間には隙間Sが生じる。この隙
間Sの内部に屋内の空気が入り込んで結露するのを防止
するため、及び上記隙間S内の空気を対流しない静止し
た空気とするために、枠部材21の屋内側外周面部には
上記弾性気密材25と同じ材質(但し、厚さ4.8m
m、幅10mm)のパッキン材からなる断熱パッキン2
9が周方向に沿って連続的に貼り付けられている。
【0012】このように構成されるパネル体20は、工
場で製作され、現場で木造建物5の軸組1間に取付けら
れる。パネル体20を軸組1間に取付ける場合は、先ず
断熱パッキン29を押し潰した状態で枠部材21を軸組
1間に屋外側から嵌挿する。断熱パッキン29は、自ら
の弾性力で復元して枠部材21と軸組1との間の隙間
(3mm)Sを埋める。次いで、面部材23の鍔部22
を軸組1の屋外側面に気密部材25を介して押し当て、
固定手段である釘30を所定ピッチ間隔で打ち付けるこ
とによりパネル体20を軸組1間に固定し、パネル体2
0の取付けが完了する。気密部材25は、面部材23の
鍔部22と軸組1との間で押し潰され、自らの弾性復元
力で面部材23の鍔部22と軸組1との間の気密性を確
保する。これにより気密性、断熱性及び耐力壁としての
強度ないし機能を備えた木造建物5の壁3が構成され
る。そして、その壁3の屋外側面にはサイディング等
が、屋内側面にはプラスターボード等が従来通り取付け
られることになる。
【0013】このようにパネル体20を構成する面部材
23が周囲に軸組1の屋外側面に当接する鍔部22を有
しているので、この鍔部22を軸組1の屋外側面に釘3
0で打ち付けるだけでパネル体20を軸組1に簡単に固
定することができる。なお、軸組1に対する鍔部22の
固定手段としては、上記釘30の他、ステープル、スク
リュー釘、木ネジ、鋲等であってもよい。そして、上記
鍔部22の屋内側面には周方向に沿って弾性気密部材2
5が設けられているので、釘打ちと同時に軸組1とパネ
ル体20との間の気密が確保されることになり、従来の
木造建物と異なり気密性確保のための現場での作業がほ
とんど不要であり、労力の軽減、工期の短縮及び施工品
質の向上が図れる。また、軸組1の屋外側面に多少の段
差(例えば、土台7と柱8の屋外側面の段差)があった
としても、上記気密部材25の弾性復元力によってその
段差を吸収することができる。更に、上記パネル体20
を構成する面部材23が耐力壁としての強度ないし機能
を備えているので、軸組1に筋かいを設ける必要がな
い。
【0014】なお、図1に示すように木造建物5の床部
分には大引31や根太掛32等を介して床用のパネル体
33が、屋根部分には母屋34や登り小梁35等を介し
て屋根用のパネル体36がそれぞれ面部材(図示省略)
を上にして取付けられている。これらのパネル体33,
36は、上記壁用のパネル体20とほぼ同じ構成である
が、面部材に鍔部を有しておらず、枠部材の外周面部に
設けられた弾性気密部材を介して隣接して配設されてい
る(図示省略)。
【0015】また、図2に示すように木造建物5の軸組
1間には窓サッシを取付けるための開口40を形成する
窓用パネル体41,42や、面部材に窓43を組み込ん
だ窓付きパネル体44が取付けられる。上記窓用パネル
体41,42は、軸組1間に開口40を形成すべく上下
に配置され、その上側パネル体41の下辺部と下側パネ
ル体42の上辺部とには窓サッシを取付けるために鍔部
が設けられていない。窓サッシと上下のパネル体41,
42及び左右の柱8,8との間の気密性は、窓サッシに
設けた弾性気密材により確保されるようになっている
(図示省略)。
【0016】なお、上記実施例では、パネル体20の枠
部材21内に設けられる断熱部材24として発泡ポリス
チレン製の断熱ボードが用いられているが、この断熱材
24はこれに限定されず、低透湿性を有するものであれ
ば、発泡ウレタン等であってもよい。また、上記実施例
では、パネル体20の枠部材21と軸組1との隙間Sに
生じる内部結露を防止する手段として枠部材21の外周
面部に断熱パッキン29が設けられているが、この断熱
パッキン29の代わりに例えば隙間Sを屋内側面から覆
うように気密シールを貼り付けてもよい。
【0017】
【発明の効果】以上要するに本発明の木造建物によれ
ば、次のような効果が得られる。
【0018】(1)パネル体を構成する面部材が周囲に
軸組の屋外側面に当接する鍔部を有しているので、この
鍔部を軸組の屋外側面に釘等の固定手段で固定するだけ
でパネル体を軸組に簡単に固定することができる。
【0019】(2)上記鍔部の屋内側面には周方向に沿
って弾性気密部材が設けられているので、釘打ちと同時
に軸組とパネル体との間の気密が確保されることにな
り、従来の木造建物と異なり気密性確保のための現場で
の作業がほとんど不要であり、労力の軽減、工期の短縮
及び施工品質の向上が図れる。
【0020】(3)また、上記パネル体を構成する面部
材が耐力壁としての強度ないし機能を備えているので、
軸組に筋かいを設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木造建物の一実施例を示す断面図
である。
【図2】図1における木造建物の側面図である。
【図3】図1の木造建物に用いられているパネル体の背
面図である。
【図4】図3のA−A線拡大断面図である。
【図5】図3のB−B線拡大断面図である。
【図6】図5のC部拡大断面図である。
【図7】従来の木造建物に用いられているパネル体の断
面図である。
【符号の説明】
1 軸組 3 壁 5 木造建物 20 パネル体 21 枠部材 22 鍔部 23 耐力壁用面部材 24 断熱部材 25 弾性気密部材 30 釘(固定手段)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸組間にパネル体を嵌め込んで壁を形成
    する木造建物において、上記パネル体を、上記軸組間に
    嵌め込められる方形の枠部材と、この枠部材に固定され
    上記軸組の屋外側面に当接される鍔部を周囲に有する耐
    力壁用面部材と、この面部材の枠部材で囲まれる屋内側
    面に設けられた低透湿性の断熱部材と、上記鍔部の屋内
    側面に周方向に沿って設けられた弾性気密部材とから構
    成し、この気密部材を介して上記パネル体の鍔部を上記
    軸組の屋外側面に釘等の固定手段で固定するようにした
    ことを特徴とする木造建物。
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