JP3146648U - 耐力壁パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】木造軸組建築物の耐力壁として構造合板と、杉、松、檜などの板または石膏ボードとの積層複合パネルを使用して、高い耐震性を有しながら、内装壁施工を省略または簡略化される木造軸組の耐力壁パネルの製作。
【解決手段】 構造用合板と、杉、松、檜などの板または石膏ボードとの積層複合パネル2枚を上下隣接させて、木造軸組の外側から構造躯体に釘うち固定し、かつ2枚のパネルの隣接部に室外側から帯状鋼板を設けてビスでパネルに留めつけ、2枚のパネルを継合一体化して耐力壁パネルとすることで、高い耐震性と内装壁施工を省略または簡略化した施工性の優れた木造軸組建築物用の耐力壁パネルとする。
【選択図】図2

Description

本考案は木造軸組建築物の耐震性向上に必要な耐力壁パネルに関する。
従来の木造軸組建築物は、柱間及び横軸組材の間に筋交いを固定して耐震性を確保し、柱の室内側には杉や檜などの板を打ちつけ内装壁の仕上げとするか、または木板の代わりに石膏ボードを用いて内装壁の下地材としている。近年木造軸組建築物の耐震性を高めるために、構造用合板などの面材を梁、桁、土台などの横軸組材及び柱や間柱などの縦軸組材に釘にて打ちつける工法が用いられている。この工法は壁倍率1.5の筋交いより高い壁倍率2.0〜2.5として平成2年11月26日建設省告示第1897号に認定されている。なお構造用合板や筋交いを横軸組材と縦軸組材とに打ち付けて壁倍率が1.5以上を得るためには縦軸組材である柱間に間柱を設け、柱と間柱との間隔は500mm以下が好ましく、間柱は該建設省告示第1897号の認定の必須要件である。内装壁の施工としては柱の室内側に木板を打って内装壁仕上げとしたり、石膏ボードを張りこれに漆喰などの左官仕上げや壁紙を貼り内装仕上げとしている。
曲げ強度の高い耐力壁パネルを柱や横軸組材の外側に固定することによって、筋交いや間柱を使用しないで高い耐震性を得ることができる。このようなパネルとしては特許公開2003−306993には小角材を複数個接着してパネル化し、2枚のパネルを上下隣接して使用し、その隣接部には室内側から柱間に角材を設け、室外側から釘でパネルを角材に打ちつけ、2枚のパネルを角材によって継合一体化して耐力壁パネルとしている。しかし該角材の施工はコストアップ要因であるとともに、室内側で使用するために、耐力壁パネルの室内側をそのまま内装壁として使用する場合はパネル接合部の角材が内装壁に現れるために内装壁デザインとして大きな制約材料となる。またパネルは小角材を縦方向に並べて製作されるが、湿度の変化によって小角材の含水率が変化し幅方向での寸法変化が大きい。その結果パネルの幅方向で伸縮する欠点を有し、施工後の室内湿度の変化によってパネルは幅方向で大きく伸縮する。湿度が高い場合はパネルは幅方向に伸長し、その結果パネル両端の柱の間隔を押し広げ、湿度が低い場合は柱間を縮める寸法安定性に欠ける短所を有している。
特開2003−306993号公報
本考案が解決しようとする耐力壁パネルの課題は耐力壁パネルを木造軸組の室外側に設けるが、耐力壁パネルは軽量化で現場施工性を高めるために2枚のパネルを施工時に接合して使用するが、1枚のパネルで施工すると同等の耐震性を有し、かつ室内側の内装仕上げを省略または簡略化でき、外壁の施工性も1枚のパネルと同等である優れた施工性と高耐震性の耐力壁パネルを製作する。
木造軸組建築物の横軸組材及び縦軸組材の室外側に上下に隣接する2枚のパネルを設け、その周辺を釘にて横軸組材及び縦軸組材に打ち付ける。また2枚のパネルの隣接部に室外側から帯状鋼板を設け、ビスにて帯状鋼板と2枚のパネルとを継合一体化して耐力壁パネルとする。該2枚のパネルは構造用合板と、杉、松または檜などからなる木板又は石膏ボードとからなる積層複合パネルで、厚さ20mmから40mm、幅900mmから1000mmで、長さは600mmから1000mmのパネルと1800mmから2000mmのパネルの2枚で構成される。構造用合板と面取りされた杉板との積層複合パネルの断面図を図1に示す。帯状鋼板は厚み0.4mm〜1.2mm、幅30mmから90mmで、長さは耐力壁パネルの横幅に相当し、ビスの長さは12mm以上耐力壁パネル厚み以下であることを特徴とする耐力壁パネル。耐力壁パネルに使用する構造用合板は厚さ12mmから28mmで、日本農林規格の構造用合板、特類2級以上で、これに含水率15%以下、幅70mm〜180mmの杉、松又は檜などの木板をイソシアネート系接着剤を用いて隙間なく貼り合わせ積層複合パネルとする。または杉、松又は檜などの木板の代わりに厚さ9mmから20mmの石膏ボードをイソシアネート系接着剤の代わりに酢酸ビニール系接着剤を用いて積層複合パネルとする。
構造用合板と杉、松、檜などの木板との積層複合パネルを木造軸組建築物の構造躯体の室外側で構造用合板が室外側に施工すると、杉、松、檜などの木板は室内側となり、そのまま内装壁として使用できるので、内装壁施工を省略できる。また構造用合板と石膏ボードとの積層複合パネルを使用した場合には室内側は石膏ボード仕上げとなるので、内装仕上げの下地材となり、石膏ボードに壁紙を貼るか、漆喰などの左官施工で内装仕上げとするので、内装壁施工の簡略化ができる。
本考案になる構造用合板と杉、松、檜などの板との積層複合板からなる2枚のパネルを鋼板で継合一体化することからなる耐力壁パネルの木造軸組建築の壁倍率は筋交いの壁倍率よりも大きく、木造軸組建築物において同じ耐震性を保持するために使用しなければならない建築基準法で定められた耐力壁の箇所は少ない数量で良い。使用しなければならない耐力壁の数量が少ない分、住宅に大きな開口部を設けることが可能となり、また間柱が不要のために施工が簡略化できるし、耐力壁パネルの施工時には室内側には板張りが完了しているので、そのまま内装壁仕上げとすることができ、施工の簡略化でコストダウンに大きな効果がある。また積層複合板に使用する杉、松、檜の板の代わりに石膏ボードを使用すると、耐力壁の施工ととも、通常行う室内側の内装下地施工の石膏ボード張りを簡略化できる。耐力壁の外壁側には突起物が無いので、1枚のパネルと同様に外壁側の断熱施工や仕上げ施工ができる。
本考案の耐力壁パネルを説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例の記載の例に限定されるものではない。
日本農林規格、構造用合板特類2級の厚さ24mm、幅910mm、長さ1812mmの構造用合板に塗布量250g/m2のイソシアネート系接着剤を塗布し、これに厚さ6mm、幅151mm、長さ910mmの含水率10%の杉板で、幅方向の表面両辺に3mmの面取りを行った板を12枚、隙間なく並列で構造用合板に積層して貼り合わせ厚さ30mm、幅910mm、長さ1812mmのパネル(以下長パネルという)を作製した。次に同じ方法で同じ材料で、厚さ24mm、幅910mm、長さ906mmの構造用合板に杉板6枚を用いて、厚さ30mm、幅910mm、長さが906mmのパネル(以下短パネルという)を作製した。本パネルの耐力壁パネルとして壁倍率の性能を評価すするために、図2に示す縦軸組が1辺105mm、長さ2420mmの杉の柱で、柱の芯々距離が910mmで合計3本、横軸組が上は幅120mm、厚み105mm、長さ2200mm、下は1辺が105mm、長さ2200mmの松の土台で、縦軸組と横軸組とがほぞ加工で接合され軸組構造体を作製し、これに長パネルと短パネルの2枚を上下に隣接した状態で設け、パネルの周辺を釘(JISA5788,N75)を用いて縦軸組および横軸組に打ち付けた。釘間隔は150mmでパネルからのへり空き20mmとした。2枚のパネルの隣接部には幅60mm、厚み0.8mm、長さ895mmの鋼板を設け、軸長25mm、軸径3mmのビスにて、鋼板からのへりあき10mm、ビス間隔150mmで留めつけ固定した。このようにして製作された試験体をアンカーボルトで加力フレームに固定した。上の横軸組への正負繰り返しの応力によって得られるせん断力実験から耐力壁パネルとしての建築基準法に基づく壁倍率の評価を行った。本発明になる耐力壁パネルの建築基準法上の壁倍率は3.8であった。試験体に剪断力が加わった時においても2枚のパネルと鋼板との継合部にはひずみや変形がなった。本耐力壁パネルは木造軸組建築物に使用されたが、上下に隣接されたパネルの接合部の内装側からの外観は1枚のパネルと区別ができない様相で内装壁施工をしないでも杉板仕上げ内装壁として機能をしており、内装壁の仕上げ施工を省略できた。またパネルの釘打ち固定後2年の経過後も耐力壁パネルの表裏にはひび割れなどが全く見られなかったし、柱間の距離の伸縮も全くなかった。
「比較例1」
実施例1において、2枚のパネルの隣接部に鋼板を設けない場合の壁倍率は1.8で、かつ試験体に剪断力が加わった時には、2枚のパネルの隣接部付近ではパネルにズレが発生し、かつこの部分で柱に集中的に応力が加わった結果、柱が曲った。この結果鋼板を使用しない場合は木造軸組建築物の耐震性は大きく低下することが判った。
「比較例2」
実施例1において鋼板留めつけビスの代わりに、軸長25mm、軸径3mmの釘にて固定して、同等の壁倍率測定を行った。試験体に剪断力が加わると鋼板固定の釘はめくり上がり、試験体の壁倍率は2.8であった。鋼板の固定金具に釘の使用は耐力壁パネルとしての壁倍率が小さい。
本考案の構造用合板と杉板との積層複合パネルの断面図である。 本考案の耐力壁パネルの剪断力試験体を示す図である。
符号の説明
1 構造用合板
2 杉板
3 杉板の面取り部
4 柱
5 上の横組材
6 土台

Claims (1)

  1. 木造軸組建築物の横軸組材及び縦軸組材の室外側に2枚のパネルを上下隣接して横軸組材及び縦軸組材に釘にて打ち付け、且つ2枚のパネルの隣接部に室外側から帯状鋼板を設けてビスにてパネルに留めつけ、2枚のパネルを継合一体化する耐力壁パネルで、該2枚のパネルは構造用合板と、木板又は石膏ボードとからなる積層複合パネルで、厚さ20mmから40mm、幅900mmから1000mmで、長さは600mmから1000mmのパネルと1800mmから2000mmのパネルとから構成される。帯状鋼板は厚み0.4mm〜1.2mm、幅30mmから90mmで、長さは耐力壁パネルの横幅に相当し、ビスの長さは12mm以上耐力壁パネル厚み以下であることを特徴とする耐力壁パネル
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