JP2842421B2 - 圧縮機の鉄系摺動部品及びこれの表面処理方法と圧縮機 - Google Patents

圧縮機の鉄系摺動部品及びこれの表面処理方法と圧縮機

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ルームエアコンや冷蔵
庫などに用いる圧縮機に係り、特に高性能、高信頼性の
回転式圧縮機に好適な耐摩耗性、経済性を具備した鉄系
摺動部品の材料組合わせの技術に関する。 【0002】 【従来の技術】ルームエアコンや冷蔵庫などに用いる圧
縮機には、回転式、レシプロ式、スクロール式、スクリ
ュー式など多種多様のものがあるが、ここでは代表例と
して回転式のものについて説明する。回転式圧縮機は、
上部ベアリングと下部ベアリングにジャーナル軸受によ
って支持されたクランクシャフトと、このクランクシャ
フトにより、偏心回転されるローラとこのローラを収納
するシリンダと、このシリンダに形成されたベーン溝内
に摺動自在に設けられたベーンとを備え、上記ベーンの
先端部は、上記ローラの外周部に摺動可能に接触されて
いる。 【0003】上記圧縮機を構成する摺動部品は、フロン
ガスが溶解された冷凍機油の潤滑条件下において、フロ
ンガスの圧縮動作をする。上記摺動部品は適当な潤滑条
件および耐摩耗性が必要とされることから、従来の圧縮
機では、上部ベアリング、下部ベアリングに片状黒鉛鋳
鉄もしくは鉄系焼結材、クランクシャフトには共晶黒鉛
鋳鉄もしくは球状黒鉛鋳鉄、片状黒鉛鋳鉄、ベーンには
高速度鋼、シリンダには共晶黒鉛鋳鉄もしくは鉄系焼結
材のいずれも鉄系摺動部品より構成するのが一般的であ
る。 【0004】しかしながらこれらの構成部品の組合せで
は、ルームエアコンや冷蔵庫などの高機能化指向に対応
できる小形高出力の回転数制御方式の圧縮機において
は、フロンで稀釈された低粘度冷凍機油の潤滑油膜の運
転条件下では、高負荷低速運転や急速始動運転時に、油
膜切れによる金属接触を伴う、いわゆる、境界潤滑領域
が発生し、摩擦係数や摩耗量の増大により、また、摩耗
粉や製作時の微小異物の侵入が油膜切れを加速して、圧
縮機の機械的性能と長期間にわたる信頼性を損なうこと
が懸念されている。 【0005】このような問題を改善するための、摺動部
品の耐摩耗性強化を狙った従来例では、以下に述べる数
例があるが、それぞれ長所欠点があり、耐摩耗性と生産
性を兼ね備えた最適な材料組合せのものは見当らない。 【0006】例えば、特公昭55−4958号は鋳鉄製
シリンダとローラ及びベーンの双方、もしくはいずれか
一方を軟窒化処理した鉄系焼結合金の組合わせとしたロ
ータリー式コンプレッサーがあるが、鉄系焼結合金の多
孔質材の軟窒化処理では、空孔内部に優先的に窒化反応
が進行する反面、形状の変形が大きくなり寸法修正加工
や塩浴の付着が除去しずらいなどの問題があり、更には
空孔と窒化物がノッチ作用となるので疲労強度や機械的
強度が低いということから小形高出力の高性能圧縮機の
駆動部品としては不充分である。 【0007】また特開昭60−73082号ではシリン
ダ内面が鉄系酸化物を10〜40体積%含有する鉄系焼
結合金で、ロータおよび/またはベーンはマルテンサイ
トを焼戻すことにより生成した基地中に金属炭化物及び
金属酸化物が分散し、かつ窒素が前記基地中に固溶して
いる鉄系焼結合金で構成されたことを特徴とし、更に合
金成分として、鉄、クロム、炭素、ニッケル、銅、モリ
ブデンを規制し、全て焼結材にすることを特徴としてい
るが、小形高出力、高機能、高性能の圧縮機のベーン材
としては、機械的強度、疲労強度の面で溶製材の従来材
料に比べて前例と同様に著しく劣るものである。 【0008】一方特開昭62−13784号ではクラン
クシャフトにシアン酸アルカリ金属塩を主体とする塩浴
に浸漬し、硫化鉄を含む窒化鉄の多孔質層、その下層に
窒化鉄の合金層を形成することを特徴とすることがある
が、毒性の高い塩浴成分がクランクシャフトの中空部や
油孔に入り洗浄残りが発生しやすく、また鋳鉄中の黒鉛
の中に浸透するので、処理後の吹出物として問題となる
ので洗浄を強化する工程を必要とし、更に洗浄した廃液
を無公害化する処理が必要となり、この工程が、生産
性、経済的効果を著しく悪くするものである。 【0009】また、塩浴窒化処理をした場合のクランク
シャフトの面粗度は比較的大きくなるので、圧縮機構成
部品のごとき、数ミクロンメータの寸法精度管理を必要
とする精密部品に対しては、処理後、寸法を確保するた
めの修正加工を必要とする欠点があった。フロンと冷凍
機油の共存下における摺動部材の組合せにおける熱安定
性に対しては浸硫窒化層の硫化鉄成分がフロンの分解生
成物である塩酸と反応して溶解する作用があるので、高
温度での使用環境条件を必要とする用途には適さないと
いう難点があった。 【0010】以上のことから、小形、高出力の高性能圧
縮機に対して、十分な性能を有している摺動部材の最適
組合せのものは見当らなかった。 【0011】 【発明が解決しようとする問題点】上記従来技術は、小
形高出力の高性能圧縮機を駆動させる高強度の摺動部品
に対して、十分な機械的強度、フロンで稀釈された低粘
度の冷凍機油による境界潤滑条件において、十分な保油
性、なじみ性、耐摩耗性と、付着した塩浴成分の洗浄の
問題、寸法仕上げ加工などの複雑な後工程に対する生産
効率などの全てを満足させる点における配慮がされてお
らず、フロンを使用する圧縮機としては小形高性能化に
対する摺動材料の高強度化、圧縮機の機械損失や容積効
率などの機械的性能の強化、長期間の運転における信頼
性の向上および生産コストなどに問題があった。 【0012】本発明の目的は、充分な摺動材料の強度と
経済的特性を有する従来の溶製材の鋼や鋳鉄の鉄系摺動
部品の表層に、アンモニアガス、空気、水蒸気により、
多孔質の酸化鉄被膜と酸窒化層を形成して、上記の諸問
題を解決し、圧縮機の小形高性能化、機械的性能の向
上、長期間の信頼性の向上、生産性効果の拡大を図るこ
とにある。 【0013】 【問題点を解決するための手段】上記目的は、冷媒流体
を圧縮する圧縮機構を構成する鉄系摺動部品において、
前記鉄系摺動部品の表層を窒素拡散層とし、この窒素拡
散層の表面に窒化鉄と酸化鉄とを混在させた酸窒化層を
形成し、この酸窒化層の表面に四三酸化鉄を主成分とす
る酸化鉄皮膜を施したことにより、達成される。 【0014】特に表層部に薄く、一様に処理するために
は、空孔をもたない緻密な溶製材やこれと同等の密度を
有する液相焼結材を使用することが得策で、多孔質の基
地の鉄系焼結金属では、むしろ、内部にまで拡散浸透し
て、内部歪を発生し、機械的強度の低下や面粗度や寸法
精度の低下をきたす原因となるので好ましくなく、巣や
空孔の欠陥部を実質的には5%以下にする必要がある。 【0015】 【作用】圧縮機摺動部品の最表面に形成させた多孔質の
酸化鉄被膜と下層の酸窒化層は、相手側の鉄系摺動部材
に対して次のような動作をする。 【0016】(1) 苛酷な境界潤滑条件において、フロン
を溶解した低粘度の冷凍機油が多孔質層に保持され、ま
た浸透作用により油膜切れの回復作用が速く、油膜保持
能力にすぐれる。 【0017】(2) 相手摺動面の形状にならって塑性流動
して、良くなじんで密着しやすいので、真の摺動面圧を
軽減する作用がある。 【0018】(3) 四三酸化鉄を主体とする酸化鉄被膜は
相手側の鉄素地に対して、固溶や拡散を起しにくい特質
を有することから、摩擦面における非凝着性、非焼付性
の効果が得られる。 【0019】(4) 四三酸化鉄は化学的に安定なので、高
温運転条件においても、冷凍機油の劣化を抑制する。ま
た腐食摩耗を起し難い。 【0020】(5) 下層の硬質酸窒化層は鋳鉄においては
鉄と窒素と酸素の合金層を、高速度鋼においては窒化鉄
を分散した窒素拡散層を形成し、いずれも硬質で、多孔
質の酸化鉄との密着性、亀裂防止作用として働く。金属
接触時の摩耗粉や組立て時に侵入する微小硬質異物が摺
動面間に混入した場合にも、無処理の相手側摺動部品の
鉄素地面に埋設させるので酸化鉄被膜の損傷を最少限に
抑える効果がある。 【0021】上記理由により、圧縮機の苛酷な境界潤滑
条件下においても、摺動材間の焼付性、凝着性、耐摩耗
性、摩擦係数を著しく改善する能力があるので、圧縮機
としての機械的性能と長期間の信頼性を高めることが可
能となる。 【0022】また、本発明の表面改質法は、従来の安価
な溶製材をそのまま活用でき、処理層の薄層化により表
面粗度、形状寸法の変化を小さく抑え、寸法修正加工や
塩浴のごとき、洗浄や無公害化工程の省略がはかれるの
で、生産性が向上し、部品単価、しいては圧縮機の生産
コストの経済的効果をもたらす。これらの効果はフロン
を使用する圧縮機のうち、駆動系鉄系摺動部材、特に高
速度鋼を使用したベーン、共晶黒鉛鋳鉄、片状黒鉛鋳
鉄、または球状黒鉛鋳鉄などで構成するローラやクラン
クシャフトに本発明の表面処理を施し、固定系の鉄系焼
結材または鋳鉄性の上ベアリングおよび下ベアリングと
組合せた場合に、大きな改善効果が得られる。 【0023】 【実施例】以下、本発明の一実施例を図1乃至図9によ
り説明する。本発明が適用される回転式圧縮機を、その
縦断面図の図2および横断面図の図3により説明する。
図中1は密閉容器、2はクランクシャフト、3は電動機
部、4は圧縮機部である。 【0024】圧縮機部4は図2に示すごとくシリンダ
5、上部ベアリング6、下部ベアリング7、ローラ8、
クランクシャフトのピン部9およびベーン10より構成
される。上記クランクシャフト2は上部ベアリング6と
下部ベアリング7により、ジャーナル軸受支持され、ク
ランクシャフトピン部はジャーナル軸受の摺動により、
ローラ8に偏心回転を与える。 【0025】ローラ8を収納するシリンダ5に形成され
たベーン溝11と先端部が上記ローラ8の外周面にそれ
ぞれ摺動可能に接触されたベーン10が一方向、または
往復のスラスト軸受摺動する構造となっている。 【0026】これらの摺動部品は近年のルームエアコン
や冷蔵庫における小形化、高機能化に応じて、回転数制
御方式となり、低速から高速の広範囲領域で運転され
る。特にクランクシャフトのピン部9とローラ8、シリ
ンダ5のベーンスロット部11とベーン10、ベーンの
先端10aとローラ8の組合せにおいて、境界潤滑に伴
う問題を発生しやすい。 【0027】従来の鋼や鋳鉄よりなる鉄系摺動部品では
保油性、なじみ性を伴う耐摩耗性に乏しく、また従来の
表面処理例では素材の機械的強度特性、耐摩耗性、生産
性等の効果が乏しく現実性がないという問題に対して、
本発明の圧縮機は従来材料の緻密で機械的特性のすぐれ
た溶製材よりなる鉄系摺動部品の最表面に数ミクロンメ
ータの四三酸化鉄を主体とする多孔質の酸化鉄被膜とそ
の下層に硬質の酸窒化層を形成させることが、境界潤滑
条件においても、油膜切れを改善する効果が大であり、
以下述べることにより確実である。本発明の表層断面構
造を図1を用いて説明する。 【0028】下地の硬質の酸窒化層22は溶製の鋼もし
くは鋳鉄を摺動部品形状に精密加工した後、0.1〜5
%の空気を含むアンモニアガス中で、450〜650℃
の温度で処理することにより、窒化と酸化が混在する硬
質の酸窒化被膜を形成させ、更に最表面はスチーム処理
により、温度を400〜800℃に管理することによ
り、網目状多孔質の四三酸化鉄を主体とする酸化鉄被膜
21を隆起形成することができる。素地24との界面に
は窒素の拡散層23が生成する。 【0029】ここではまず始めに代表的実施例として従
来材料の溶製高速度鋼SKH51について説明する。S
KH51溶製材をJISの標準の熱処理によって焼人、
焼戻しにより調質したベーンを空気4%を含むアンモニ
アガス中で、540℃、40分間処理すると、図4の断
面のX線分析および図6の表層X線回折像により明らか
なように、表層に粒状の酸化鉄を含む酸窒化物を生成
し、更に450℃のスチーム中にて30分間処理する
と、粒状酸化鉄が膨張して、図5の表面写真に示すごと
く網目状多孔質の四三酸化鉄を形成することが、図7の
X線分析および図8のX線回折像より容易に確認でき
る。 【0030】ここに生ずる四三酸化鉄を主体とする酸化
鉄被膜の強度はマイクロビッカース硬さで表わすとHM
V300〜600、下層の酸窒化層はHMV600〜1
300と高く、相手側となる無処理の鉄系摺動部材の硬
さHMV300以下に対して、十分な強度を有してい
る。なお、圧縮機のごとく、同一摺動面をくり返し摺動
する場合においては、初期的に相手摺動面の形状に合わ
せて、塑性流動して、また微小な硬質異物に対しては相
手側に埋設させて、真の密着状態となり、摺動面圧を軽
減するいわゆる初期なじみ性を示すことが判る。 【0031】同様にしてクランクシャフト材共晶黒鉄鋳
鉄FCE20について酸窒化処理後スチーム処理を行っ
た場合の表面形状を図9に示す。ここでも多孔質の酸化
鉄被膜が得られ、フロン113を70%、ナフテン系鉱
油を30%の混合液中で、垂直に立て、液の浸透高さを
比較すると、無処理品に比べて、毛細管作用によって、
30〜50%高く浸透する。即ち、多孔質部分が油膜を
保持し、また油切れをおこしても、速やかに油膜を回復
させる能力を示すもので、耐摩耗性、凝着性、焼付性を
改善する効果がある。 【0032】また表面に形成した四三酸化鉄は相手の鉄
系摺動部に対して、固溶体や拡散性を持たないので凝着
や焼付現象をおこしにくい特質を有している。また化学
的に安定で、耐食性、耐油冷媒性、即ち高温に曝される
摩擦摺動面において、被膜が安定である。 【0033】以下、圧縮機の鉄系摺動部品の表面に施し
た多孔質の網目状の四三酸化鉄被膜と酸窒化層の組合せ
処理品の耐摩耗性に関する実用特性を、無処理品の従来
例と対比して掲げた表1により説明する。 【0034】 【表1】 【0035】ここでの耐摩耗性実用評価は回転式圧縮機
の実用条件に近似させるために、フロン12CCl22
やフロン22CHClF2と同様な特性を有するフロン
113C2Cl33を溶解して低粘度化したナフテン系
冷凍機油中で、周速5.7m/s、荷重75Kgf/cm2
の条件で、強制的に境界潤滑とした鈴木式摩耗試験機に
より実験し、円筒状試験片の摩耗量、摩擦係数、摩擦面
の形態により判定したものである。 【0036】実施例1のベーン材の高速度鋼SKH51
の酸窒化スチーム処理材とシリンダ材の共晶黒鉛鋳鉄F
CE20の組合せにおいては、従来例1の未処理組合せ
材に比べて、ベーンの摩耗量が無処理品の1/2、摩耗
係数が1/6、シリンダ側の摩耗量においては、1/1
00となり、摩耗の形態も凝着形から正常のアブレシブ
摩耗に改善でき、耐摩耗性を大巾に向上できることを示
すものである。これは前述した多孔質網目状酸化鉄被膜
と酸窒化層の保油性、なじみ性、非凝着性、非焼付性の
特質により、軟質(HMV約200)のシリンダ共晶黒
鉛鋳鉄FCE20の耐摩耗性を大巾に改善したものであ
る。 【0037】次に、実施例2のベーン材高速度鋼SKH
51の酸窒化スチーム処理材とローラ共晶黒鉛鋳鉄FC
C25調質材の組合せにおいても、従来例2の無処理材
の組合せに比べて、ローラ材の摩耗を1/100、摩擦
係数を1/4に軽減し、摩耗形態中凝着から正常なアブ
レシブへと改善されている。これも前述例と同様な理由
による改善効果である。 【0038】次にクランクシャフト共晶黒鉛鋳鉄FCE
20と代表的ジャーナル軸受を構成するローラFCC2
5調質材の組合せについては実施例3に示すごとく、従
来例3のリン酸マンガン処理品に比べてシャフト材の摩
耗量が1/100に軽減できた。一方比較例Aの浸流窒
化処理品に比べて、多孔質層の脱落が少なく、初期摩耗
量として1/2の値におさまることがわかった。 【0039】このように多孔質の酸化鉄被膜と酸窒化処
理品が摩耗量と摩擦係数において、飛躍的に改善した理
由として、フロン溶解の低粘度潤滑油が多孔質酸化鉄被
膜に吸着して保油性、なじみ性を発揮し、油膜切れによ
る摺動面の凝着性、焼付性を防止し、更に微量の摩耗粉
や硬質微細異物の混入に対して、十分な硬度を有する酸
窒化層の機械的強度と、素地および酸化鉄被膜への密着
性が多孔質酸化鉄被膜の損傷を防いでいることがわか
る。 【0040】また、寸法安定性に関しては面粗度をRm
ax0.5μmに仕上げた高速度鋼を浸硫窒化処理と酸
窒化処理を同時間処理した結果、面粗度は前者がRma
x2.5μm、後者がRmax1.0μmとなり、酸窒化
処理の方が面粗度が少なく、寸法修正の後加工無しでそ
のまま実用できることがわかった。即ち、後工程の省略
により、経済的効果を図ることができる。 【0041】次に、酸窒化処理品とスチーム処理被膜品
のフロン12とナフテン系冷凍機油の熱安定性を評価す
ると表2のごとくなる。即ち、酸窒化処理後スチーム処
理を施したものは、無処理品および浸硫窒化処理品に比
べて、油の色相の変化、冷媒の分解率を抑制する効果が
あり、高温時での使用に対して、信頼性の高いことを示
すものである。 【0042】 【表2】 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、圧縮機を構成する鉄系
摺動部品の表面に、多孔質の酸化鉄被膜とその下層に素
地との密着性のよい硬質酸窒化層を形成することが容易
にできるので、フロンにより稀釈されて低粘度化した潤
滑油膜切れの状態や異物混入等における異常運転におい
ても、油膜の保持性、浸透性や酸化鉄の非凝着性、非焼
付性の特性等により、摩擦係数を1/4〜1/6に、摩
耗量を1/100以下に軽減する効果が大きく、圧縮機
としての機械的性能および長期間運転における信頼性を
著しく改善する効果がある。 【0044】また本発明の表面処理は従来の安価な溶製
鉄系摺動部品の表面に簡単な方法で処理でき、塩浴を用
いる軟窒化や浸硫窒化でみられるような残塩の洗浄工程
や無公害化処理、更に寸法修正加工の工程を省略できる
ので、生産性を向上し、経済的効果が得られる。 【0045】本発明の効果はフロンを圧縮するレシプロ
式圧縮機、回転式圧縮機、スクロール式圧縮機、スクリ
ュー式圧縮機、斜板式圧縮機などを構成する全ての圧縮
機の鉄系摺動部品の組合せの一方もしくは双方に適用す
ることにより、同様の効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の多孔質酸化鉄被膜と酸窒化層の断面説
明図である。 【図2】回転式フロン圧縮機の縦断面図である。 【図3】図2の圧縮機構部のA−A線断面図である。 【図4】酸窒化処理品の断面X線分析図である。 【図5】酸窒化後スチーム処理品の表面の金属組織を電
子顕微鏡で4000倍に拡大して撮影した図面代用写真
である。 【図6】図5試料の断面X線回折図である。 【図7】図5の試料断面のX線分析図である。 【図8】図5の表面のX線回折図である。 【図9】共晶黒鉛鋳鉄に酸窒化処理後スチーム処理品の
表面の金属組織を電子顕微鏡で4000倍に拡大して撮
影した図面代用写真である。 【符号の説明】 1…密閉容器、 2…クランクシャフト、 3…電動機部、 4…圧縮機部、 5…シリンダ、 6…上部ベアリング、 7…下部ベアリング、 8…ローラ、 9…クランクピン部、 10…ベーン、 10a…ベーン先端部、 11…ベーン溝、 21…多孔質酸化鉄被膜、 22…硬質酸窒化層、 23…窒素の拡散層、 24…素地。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上妻 康夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 中川 雄策 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−186469(JP,A) 特開 昭62−13784(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 18/356 C23C 8/34 F04B 39/00 F04C 29/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.冷媒流体を圧縮する圧縮機構を構成する鉄系摺動部
    品において、前記鉄系摺動部品の表層を窒素拡散層と
    し、この窒素拡散層の表面に窒化鉄と酸化鉄とを混在さ
    せた酸窒化層を形成し、この酸窒化層の表面に四三酸化
    鉄を主成分とする酸化鉄皮膜を施した圧縮機の鉄系摺動
    部品。
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