JPH10141269A - ロータリ圧縮機および冷凍サイクル装置 - Google Patents

ロータリ圧縮機および冷凍サイクル装置

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JPH10141269A
JPH10141269A JP30488196A JP30488196A JPH10141269A JP H10141269 A JPH10141269 A JP H10141269A JP 30488196 A JP30488196 A JP 30488196A JP 30488196 A JP30488196 A JP 30488196A JP H10141269 A JPH10141269 A JP H10141269A
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JP
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refrigerant
rotary compressor
vane
oil
roller
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JP30488196A
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English (en)
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Masao Ozu
政雄 小津
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オゾン層を破壊しない冷媒を使用することがで
き、しかも、摺動部の耐摩耗性と潤滑性の向上とを共に
図る。 【解決手段】ベーン15を、少なくともクロム(Cr)
を含有する鋼または鋳鉄により形成すると共に、その表
面に、窒化処理によりCrと窒素(N)の化合物を形成
する。ローラー12を、少なくともCr、モリブデン
(Mo)、ニッケル(Ni)のいずれか1つ以上を含有
する鋳鉄または合金鋼により形成すると共に、熱処理で
HRC40以上の硬度とする。シリンダー8を、黒鉛を
含有する鋳鉄、焼結合金、表面に潤滑性有機材料を塗布
または拡散させた焼結合金のいずれかにより形成する。
潤滑油としてポリオール・エステル・オイル系油または
エーテル系油を使用する。冷媒として塩素(Cl)を含
まない冷媒を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はロータリ圧縮機およ
び冷凍サイクル装置に係り、特に、オゾン層を破壊しな
い冷媒を使用することができると共に、摺動部の耐摩耗
性と潤滑性の向上とを共に図ることができるロータリ圧
縮機および冷凍サイクル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】来るべき1998年頃から地球オゾン層
保護のために従来のHCFC(ハイドロクロロフルオロ
カーボン)冷媒に代えてHFC(ハイドロフルオロカー
ボン)冷媒への切換が始まろうとしている。HCFC冷
媒に対してHFC冷媒は塩素基を含まないことが特徴
で、それ故にオゾン層を破壊しない化学構造となってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このHFC冷
媒を空気調和機等冷凍サイクル装置の圧縮機で使用する
場合には、このHFC冷媒が塩素(Cl)基を含まない
故に冷媒の潤滑性効果が極度に低下して、ロータリ圧縮
機では特にベーン先端とローラー外周面との摺動部の摩
耗問題が発生することが判明し、種々の検討がなされて
いる。
【0004】つまり、ベーン先端とローラー外周面との
摺動部に作用する力は、ベーンの背部が高圧側であるの
で、シリンダー室が全部低圧側となるようなローラーの
位置にあっては最も大きな力が作用する。このために、
Cl基を持たないHFC冷媒では最も摺動部の摩耗が深
刻となる上、HFC冷媒の中で高圧が上がる冷媒では、
さらに深刻となる。例えば冷媒として従来のHCFC−
22(R22)の代りに空調機用冷媒として使用される
HFC−32(R32)とHFC−125(R125)
の2成分で構成されるHFC410A(R410A)を
例にとってみると、高圧側作動圧力が従来のR22に対
し約1.5倍以上となるから、ベーン先端とローラー外
周面との作用力はその分増大し、摩耗が増大する。ま
た、ベーンとシリンダー溝との摺動部の摩耗も重要であ
る。
【0005】さらに、HFC冷媒は従来の潤滑油である
鉱油とは基本的に相溶性が殆どないので、圧縮機から冷
媒と共に冷凍サイクルに排出された潤滑油は、冷凍サイ
クルを循環する冷媒と共に圧縮機内に戻ることが困難
で、圧縮機の潤滑油の欠乏を招いたり、冷凍サイクルに
滞留した潤滑油が熱交換器の熱交換機能を阻害するとい
う課題がある。
【0006】そこで本発明はこのような事情を考慮して
なされたもので、その目的は、オゾン層を破壊しない冷
媒を使用することができ、しかも、摺動部の耐摩耗性と
潤滑性の向上とを共に図ることができるロータリ圧縮機
および冷凍サイクル装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応するロー
タリ圧縮機は、潤滑油を収容した密閉容器内に、その潤
滑油に少なくとも一部が浸漬される状態で収容されるシ
リンダーと、このシリンダー内に偏心回転自在に収容さ
れて冷媒を圧縮するローラーと、上記シリンダーのベー
ン溝内に摺動自在に収容されて、先端部が上記ローラー
の外周面に摺動自在に当接して上記ローラーを収容する
シリンダー室の高圧側と低圧側とをシールするベーン
と、を具備するロータリ圧縮機において、上記ベーン
を、少なくともクロム(Cr)を含有する鋼または鋳鉄
により形成すると共に、その表面に、窒化処理によりC
rと窒素(N)の化合物を形成し、上記ローラーを、少
なくともCr、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)
のいずれか1つ以上を含有する鋳鉄または合金鋼により
形成すると共に、熱処理でHRC40以上の硬度とし、
上記シリンダーを、黒鉛を含有する鋳鉄、焼結合金、表
面に潤滑性有機材料を塗布または拡散させた焼結合金の
いずれかにより形成し、上記潤滑油としてポリオール・
エステル・オイル系油またはエーテル系油を使用し、上
記冷媒として塩素(Cl)を含まない冷媒を使用するこ
とを特徴とする。
【0008】この発明によれば、塩素(Cl)基を含ま
ないHFC冷媒を使用するので、この冷媒が万一外気中
に放出されても地球のオゾン層を破壊することがない。
【0009】そして、この冷媒は塩素基を含まない故に
潤滑性が低下するが、ベーンの外表面には、極めて摩耗
しにくい窒素とクロムの化合物である窒化クロム化合物
(CrN)層を形成して耐摩耗性を向上させている。
【0010】また、この窒化クロム化合物層は相手材の
ローラーにアタックして摩耗させる傾向があるが、この
ローラーを、焼き入れ性のよいCrやNiを含む鋳鉄ま
たは合金鋼により形成して耐摩耗性を向上させると共
に、これにMoを配合することにより固体潤滑性を向上
させているので、このローラーとベーンとの摺動部の耐
摩耗性と潤滑性の向上とを共に図ることができる。
【0011】さらに、シリンダーを、耐摩耗材料とし
て、組織において黒鉛が分散する鋳鉄、またはその代替
として使用可能な焼結合金、あるいは焼結合金は鋳鉄よ
りも若干耐摩耗性で劣るので、表面に潤滑性有機材料を
塗布または拡散させた焼結合金のいずれかにより形成し
たので、ベーン側面とシリンダーのベーン溝との摺動部
の耐摩耗性と潤滑性とを共に向上させることができる。
【0012】さらにまた、潤滑油としてHFC冷媒と相
溶性に優れたPOE系油(ポリオール・エステル・オイ
ル)を使用し、しかも、そのPOE系油のうち、VG
(粘度グレード)が32以上100以下のものを使用す
るので、HFC冷媒との相溶性と潤滑性とを共に向上さ
せることができる。
【0013】また、エーテル系油はPOE系油と同様、
HFC冷媒との相溶性に優れているので、POE系油の
代替として使用することができ、そのVGも同程度が好
ましい。
【0014】請求項2に対応するロータリ圧縮機は、請
求項1記載のロータリ圧縮機において、ベーンの摺動側
面を、窒化クロムが拡散した拡散層により形成したこと
を特徴とする。
【0015】請求項3に対応するロータリ圧縮機は、請
求項1または2記載のロータリ圧縮機において、ローラ
ーの外周面に摺動自在に当接するベーンの摺動先端面
を、窒化クロムが拡散した拡散層により形成したことを
特徴とする。
【0016】これらの発明によれば、ベーンの摺動側面
と摺動先端面の表面から、極めて摩耗しにくいが、相手
の材料にアタックして摩耗させ易い窒化クロム層を削除
して、その下層の窒化クロム拡散層を露出させており、
この拡散層は窒化クロム層よりも若干硬度は低いが相手
材料へのアタック性は小さいので、このベーンの摺動先
端面に当接するローラーの外周面の摩耗と、ベーンの摺
動側面に当接するシリンダーのベーン溝の摩耗とを共に
低減することができる。
【0017】請求項4に対応するロータリ圧縮機は、請
求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機にお
いて、潤滑油の粘度グレードがVG32以上100以下
であることを特徴とする。
【0018】この発明によれば、POE系油(ポリオー
ル・エステル・オイル)やエステル系油の潤滑油は塩素
(Cl)基のないHFC冷媒とは相溶性に優れるが、む
しろこれら潤滑油中にHFC冷媒が溶け込み過ぎて潤滑
油の粘度が低過ぎると、潤滑性が低下する。そこで、こ
の潤滑油としては、その粘度を32以上100付近のも
のを使用するので、潤滑性を向上させることができる。
【0019】請求項5に対応するロータリ圧縮機は、請
求項1〜4のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機にお
いて、冷媒がR32、またはこれを含むR410A,R
407C、R32とR134aの混合冷媒R134a、
R404Aのいずれかであることを特徴とする。
【0020】この発明によれば、オゾン層を破壊しない
冷媒を使用することができると共に、摺動部の耐摩耗性
と潤滑性とを共に向上させることができる。
【0021】請求項6に対応するロータリ圧縮機は、請
求項1〜5のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機と、
この圧縮機からの冷媒を循環させる冷凍サイクルと、を
具備することを特徴とする。
【0022】この発明によれば、オゾン層を破壊しない
冷媒を使用することができると共に、摺動部の耐摩耗性
と潤滑性とを共に向上させることができるロータリ圧縮
機を組み込んでいるので、これと同様の効果を得ること
ができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1〜
図3に基づいて説明する。なお、これらの図中、同一ま
たは相当部分には同一符号を付している。
【0024】図1は本発明の一実施形態に係るロータリ
圧縮機1の要部縦断面図であり、この図において、ロー
タリ圧縮機1は密閉容器である密閉ケーシング2内に、
モーター3と、このモーター3により駆動されるロータ
リ圧縮機構4が収容されており、モーター3の回転シャ
フト5によりロータリ圧縮機構4を駆動するようになっ
ている。
【0025】モーター3は密閉ケーシング2内に圧入等
により固定されるステータ6と、このステータ6内に同
心状に回転自在に収容されるローター7とを有し、ロー
ター7の中央部には回転シャフト5が同心状に固着され
ている。
【0026】一方、ロータリ圧縮機構4は密閉ケーシン
グ2内に、圧入等により固定されるシリンダー8を有
し、このシリンダー8の少なくとも図中下部は密閉ケー
シング2内の油溜めに収容されている潤滑油9に浸漬さ
れ、シリンダー8の上下端をメインベアリング10とサ
ブベアリング11とにより挟持して回転シャフト5の下
部を回転自在に支承すると共に、シリンダー室8aの開
口上,下端を気密に閉じている。
【0027】図2はシリンダー8の斜視図であり、この
シリンダー8はシリンダー室8a内に環状のローラー1
2を偏心回転自在に収容している。ローラー12の環状
空間部内には回転シャフト5のクランク部5aが摺動回
転自在に嵌入され、回転シャフト5の回転によりローラ
ー12がシリンダー室8a内で偏心回転するようになっ
ている。
【0028】シリンダー8はその環状の外周壁8bに、
シリンダー室8aに連通するベーン溝13を径方向に沿
って形成すると共に、シリンダー室8aに径方向で連通
する図示しない吸込みポートを穿設し、この吸込みポー
トからシリンダー室8a内に吸い込まれた冷媒をローラ
ー12の偏心回転により圧縮し、メインベアリング10
に穿設された図示しない吐出ポートからバルブカバー1
4内へ吐出させるようになっている。さらに冷媒はバル
ブカバー14の吐出孔14aから密閉ケーシング2内を
経て図示しない吐出管から外部へ吐出される。
【0029】ベーン溝13内には、ベーン15と、この
ベーン15をその背面からローラー12側へ常時弾性的
に付勢するベーンスプリング16とを収容し、ベーン1
5の先端15aをローラー12の外周面に摺動自在に常
時弾性的に当接させることにより、ベーン溝13内を軸
方向に往復動する一方、シリンダー室8a内を高圧側と
低圧側とにシールするようになっている。
【0030】そして、冷媒としては塩素(Cl)基のな
い冷媒としてHFC冷媒等を使用している。したがっ
て、このHFC冷媒等により地球のオゾン層を破壊する
ことがない。HFC冷媒としてはR32(ジフルオロメ
タン)、またはこれを含む冷媒でR32とR125(ペ
ンタフルオロエタン)の混合冷媒のR410A,R32
とR125とR134a(テトラフルオロエタン)の混
合冷媒のR407C,R32とR134aの混合冷媒、
R134a,R125とR134aとR143a(トリ
フルオロエタン)の混合冷媒のR404Aのいずれかを
使用する。
【0031】そして、これらHFC冷媒はCl基がない
ので、地球のオゾン層を破壊することはないが、Cl基
を含まない故に冷媒の潤滑性効果が低下するので、その
潤滑性,耐摩耗性を向上させるために、摺動部を有する
シリンダー8,ローラー12,ベーン15の材料とその
処理の最適化を次の通りに図っている。
【0032】つまり、シリンダー8はベーン溝13の摩
耗を低減するために、耐摩耗材料として金属組織におい
て黒鉛が分散する鋳鉄により形成する。また、粉末焼結
合金はその鋳鉄の代替として使用が可能であるが、鋳鉄
よりも耐摩耗性で若干劣ることがあり、固体潤滑性を良
くするために、少なくともシリンダー溝13に有機性の
潤滑被膜を塗布するか、または拡散しておくことが望ま
しい。
【0033】また、上記ベーン15は少なくともクロム
(Cr)を含有する鋼または鋳鉄により形成されると共
に、その外表面に、窒化処理を施す。これにより、Cr
と窒素(N)の化合物である窒化クロム化合物(Cr
N)層が外表面から数十μmの厚さで形成される。
【0034】この窒化クロム化合物層は、一般に10μ
m以下の窒化クロム層の非常に固い、通称白層部とその
下層の窒化クロムが拡散する層(拡散層)の2つの層か
ら構成される。この白層は極めて摩耗しにくいが相手の
材料にアタックして摩耗させる傾向が若干ある。
【0035】このために、相手材のローラー12は、焼
き入れがし易く硬度を上げ易い材料として、Cr,Ni
を含む鋳鉄または合金鋼に、さらにモリブテン(Mo)
を配合して、固体潤滑性を改良した合金の鋳鉄、または
焼結合金により形成されている。そして、このローラー
12を熱処理でHRC(ロックウェル硬さ)40以上の
硬度に設定している。
【0036】しかし、この場合でもローラー12の摩耗
が多く発生する場合はベーン15の先端15aと側面の
摺動部の白層(窒化クロム層)を後加工で削除して拡散
層を露出させて使うことにより調和をとることも必要で
ある。拡散層は白層に比べ、硬度は若干低いが、相手材
へのアタック性は小さい。このために、シリンダー8の
ような焼き入れができにくい材料ではベーン15は拡散
層で使用することが望ましい。
【0037】そして、潤滑油9としてはPOE系油(ポ
リオール・エステル・オイル)かエーテル系油を使用す
る。但し、このPOE系油はHFC冷媒との相溶性に優
れるが、従来のHCFC冷媒と鉱油などの組合せに対し
て、逆に、これら潤滑油9に冷媒が溶け込み過ぎてオイ
ルの粘度が落ち過ぎること、さらに潤滑性で劣る欠点が
ある。このために、かなり高めの粘度グレードを選択す
る必要がある。
【0038】つまり、現在POE系油の粘度グレード
(VG)は、通常32以下のものが多用されているが、
上記のように粘度の低下によるベーン15とローラー1
2との摩耗を抑制するにはVGが32以上100付近の
ものを選択するのが望ましい。また、エーテル系油はP
OE系油と同様、相溶性に優れているので、POE系油
の代替として使用してもよい。その場合、VGも同等レ
ベルが好ましい。なお、以上の材料組合せでは若干摩耗
が増加するがVGがもっと低いものでも耐摩耗効果は高
い。
【0039】図3は本発明の第2の実施形態に係る冷凍
サイクル装置の一種である空気調和機21の一例の冷凍
サイクル図であり、この図において、空気調和機21は
上記ロータリ圧縮機1に、四方弁22,室外ファン23
を備えた室外熱交換器24,膨張弁25,室内ファン2
6を備えた室内熱交換器27を冷媒配管28によりこの
順に順次かつループ状に接続して冷媒を循環させる閉じ
た冷凍サイクルを構成している。
【0040】この冷凍サイクルは四方弁22の切換操作
により、冷媒を図中実線矢印方向に循環させると、冷房
運転され、図中破線矢印方向に循環させると、暖房運転
される。
【0041】次に、このように構成される空気調和機2
1の実施例と比較例による摩耗試験結果を説明する。
【0042】
【外1】
【0043】そして、POE/VG32では冷凍能力が
約2%低下し、ベーン溝とベーン側面の摩耗はノーマル
でほぼ良好であった。
【0044】一方、POE/VG58ではローラーとベ
ーン先端の摩耗量はVG32よりも若干良好であった。
【0045】
【外2】
【0046】また、VG32とVG58共に冷凍能力の
低下は認められず、シリンダー8とベーン15の側面の
摩耗もノーマルで問題は無い。
【0047】そして、冷媒R410AとHFC407C
(R407C)の比較ではR407Cの方がさらに摩耗
量は少なかった。その理由は、R407CではR410
Aに対し作動圧力が、かなり低いことによるものと思わ
れる。
【0048】また、ベーン先端15aの白層部を取り除
いて拡散層で使用すると、このベーン先端15aの摩耗
が僅かに(例えば1μm以下)認められるが、ローラー
12の外周部の摩耗が特にR410Aにおいて少なくな
ることが確認された。なお、ローラー12の摩耗はシリ
ンダー8内でのローラー12の外周とシリンダー8の内
径の隙間(サイドクリアランス)S(図2参照)を増加
させて圧縮機1の冷凍性能を阻害するのに対し、ベーン
15の若干の摩耗は性能低下を招くことがない。
【0049】すなわち、上記比較例のベーンとローラー
材料と熱処理は現行の冷媒R22と鉱油の組合せとして
かなり使われている従来例であるが、その鉱油を単にP
OEに置換し、その構成のままでHFCの冷媒に切り換
えた場合では20000時間以上の運転保証を必要とす
るエアコン、冷凍機器では摩耗量が大きく、問題であ
り、摩耗による性能低下と故障が多発する危険性が大き
いことを示している。
【0050】これに対し、実施例の摩耗量は現行冷媒R
22として長時間使用されている摩耗量と同等以下であ
り、上記保証時間では何ら問題が生じない。すなわち、
実施例で代表される本発明の材料組合せによれば、HF
C冷媒に対しても十分に使用可能であることが判明し
た。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、塩素(Cl)基を含まないHFC冷媒を使用する
ので、この冷媒が万一外気中に放出されても地球のオゾ
ン層を破壊することがない。
【0052】そして、この冷媒は塩素基を含まない故に
潤滑性が低下するが、ベーンの外表面には、極めて摩耗
しにくい窒素とクロムの化合物である窒化クロム化合物
(CrN)層を形成して耐摩耗性を向上させている。
【0053】また、この窒化クロム化合物層は相手材の
ローラーにアタックして摩耗させる傾向があるが、この
ローラーを、焼き入れ性のよいCrやNiを含む鋳鉄ま
たは合金鋼により形成して耐摩耗性を向上させると共
に、これにMoを配合することにより固体潤滑性を向上
させているので、このローラーとベーンとの摺動部の耐
摩耗性と潤滑性の向上とを共に図ることができる。
【0054】さらに、シリンダーを、耐摩耗材料とし
て、組織において黒鉛が分散する鋳鉄、またはその代替
として使用可能な焼結合金、あるいは焼結合金は鋳鉄よ
りも若干耐摩耗性で劣るので、表面に潤滑性有機材料を
塗布または拡散させた焼結合金のいずれかにより形成し
たので、ベーン側面とシリンダーのベーン溝との摺動部
の耐摩耗性と潤滑性とを共に向上させることができる。
【0055】さらにまた、潤滑油としてHFC冷媒と相
溶性に優れたPOE系油(ポリオール・エステル・オイ
ル)を使用し、しかも、そのPOE系油のうち、VG
(粘度グレード)が32以上100以下のものを使用す
るので、HFC冷媒との相溶性と潤滑性とを共に向上さ
せることができる。
【0056】また、エーテル系油はPOE系油と同様、
HFC冷媒との相溶性に優れているので、POE系油の
代替として使用することができ、そのVGも同程度が好
ましい。
【0057】請求項2および3の発明によれば、ベーン
の摺動側面と摺動先端面の表面から、極めて摩耗しにく
いが、相手の材料にアタックして摩耗させ易い窒化クロ
ム層を削除して、その下層の窒化クロム拡散層を露出さ
せており、この拡散層は窒化クロム層よりも若干硬度は
低いが相手材料へのアタック性は小さいので、このベー
ンの摺動先端面に当接するローラーの外周面の摩耗と、
ベーンの摺動側面に当接するシリンダーのベーン溝の摩
耗とを共に低減することができる。
【0058】請求項4の発明によれば、POE系油(ポ
リオール・エステル・オイル)やエステル系油の潤滑油
は塩素(Cl)基のないHFC冷媒とは相溶性に優れる
が、むしろこれら潤滑油中にHFC冷媒が溶け込み過ぎ
て潤滑油の粘度が低過ぎると、潤滑性が低下する。そこ
で、この潤滑油としては、その粘度を32以上100付
近のものを使用するので、潤滑性を向上させることがで
きる。
【0059】請求項5の発明によれば、オゾン層を破壊
しない冷媒を使用することができると共に、摺動部の耐
摩耗性と潤滑性とを共に向上させることができる。
【0060】請求項6の発明によれば、オゾン層を破壊
しない冷媒を使用することができると共に、摺動部の耐
摩耗性と潤滑性とを共に向上させることができるロータ
リ圧縮機を組み込んでいるので、これと同様の効果を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るロータリ圧縮機の要
部縦断面図。
【図2】図1で示すシリンダーの斜視図。
【図3】図1で示すロータリ圧縮機を具備した空気調和
機の冷凍サイクル図。
【符号の説明】
1 ロータリ圧縮機 2 密閉ケーシング 3 モーター 4 ロータリ圧縮機構 5 回転シャフト 8 シリンダー 8a シリンダー室 9 潤滑油 10 メインベアリング 11 サブベアリング 12 ローラー 13 ベーン溝 15 ベーン 21 空気調和機 22 四方弁 24 室外熱交換器 27 室内熱交換器

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油を収容した密閉容器内に、その潤
    滑油に少なくとも一部が浸漬される状態で収容されるシ
    リンダーと、このシリンダー内に偏心回転自在に収容さ
    れて冷媒を圧縮するローラーと、上記シリンダーのベー
    ン溝内に摺動自在に収容されて、先端部が上記ローラー
    の外周面に摺動自在に当接して上記ローラーを収容する
    シリンダー室の高圧側と低圧側とをシールするベーン
    と、を具備するロータリ圧縮機において、上記ベーン
    を、少なくともクロム(Cr)を含有する鋼または鋳鉄
    により形成すると共に、その表面に、窒化処理によりC
    rと窒素(N)の化合物を形成し、上記ローラーを、少
    なくともCr、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)
    のいずれか1つ以上を含有する鋳鉄または合金鋼により
    形成すると共に、熱処理でHRC40以上の硬度とし、
    上記シリンダーを、黒鉛を含有する鋳鉄、焼結合金、表
    面に潤滑性有機材料を塗布または拡散させた焼結合金の
    いずれかにより形成し、上記潤滑油としてポリオール・
    エステル・オイル系油またはエーテル系油を使用し、上
    記冷媒として塩素(Cl)を含まない冷媒を使用するこ
    とを特徴とするロータリ圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のロータリ圧縮機におい
    て、ベーンの摺動側面を、窒化クロムが拡散した拡散層
    により形成したことを特徴とするロータリ圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のロータリ圧縮機
    において、ローラーの外周面に摺動自在に当接するベー
    ンの摺動先端面を、窒化クロムが拡散した拡散層により
    形成したことを特徴とするロータリ圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロ
    ータリ圧縮機において、潤滑油の粘度グレードがVG3
    2以上100以下であることを特徴とするロータリ圧縮
    機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のロ
    ータリ圧縮機において、冷媒がR32、またはこれを含
    むR410A,R407C、R32とR134aの混合
    冷媒R134a、R404Aのいずれかであることを特
    徴とするロータリ圧縮機。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のロ
    ータリ圧縮機と、この圧縮機からの冷媒を循環させる冷
    凍サイクルと、を具備することを特徴とする冷凍サイク
    ル装置。
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