JP2825334B2 - 圧縮機 - Google Patents

圧縮機

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JP2825334B2 JP27911990A JP27911990A JP2825334B2 JP 2825334 B2 JP2825334 B2 JP 2825334B2 JP 27911990 A JP27911990 A JP 27911990A JP 27911990 A JP27911990 A JP 27911990A JP 2825334 B2 JP2825334 B2 JP 2825334B2
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健治 小峰
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【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は圧縮機に係り、特に摺動部の耐摩耗性および
耐焼付性を改善し耐久性に優れた圧縮機に関する。
(従来の技術) 冷凍機、冷蔵庫、空調機やショーケースにおいては冷
媒を圧縮する圧縮機が主要機器として装備されている。
上記用途例において一般的に使用されている圧縮機とし
て、第1図および第2図に示すような密閉型のロータリ
圧縮機がある。
この圧縮機1は、ケーシング2の内部にモータ3aと圧
縮要素3bとを内装し、圧縮要素3bはモータ3から延びる
回転軸4を主軸受5と副軸受6に挿通させ、この主軸受
5と副軸受6との間に、仕切板7を介して2基のシリン
ダ8a,8bを配設し、各シリンダ8a,8b内において、前記回
転軸4に形成された偏心部9a,9bにそれぞれ円筒状のロ
ーラ10a,10bを嵌合させる一方、第2図に示すように偏
心回転するローラ10a,10bに対して常時押し付けて接触
するように、ベーン11a,11bが配設されて構成される。
ベース11a,11bは偏心部9a,9bおよびローラ10a,10bの回
転に応じて往復動し、各シリンダ8a,8b内部を圧力的に
仕切る役割を果している。こうして圧縮機1は、モータ
3の駆動によって前記ローラ10a,10bをシリンダ8a,8b内
において偏心回転させることにより、シリンダ8a,8b内
に吸入したガスを圧縮して吐出するものである。
上記のような圧縮機1においては、主副軸受5,6と回
転軸4、シリンダ8とベーン11、仕切板7とローラ10な
ど相互に摺接する摺動部における摩耗が特に顕著になる
ため、高い耐摩耗性を有する摺動材で形成する必要があ
る。
従来、この種の摺動材としては、高速度鋼や共晶黒鉛
鋳鉄の溶解材、さらにより具体的には1.5wt%Cu−0.8wt
%C−残部Feから成るFC鋳造材、SMF4030などのSMF−4
種材(鉄−炭素−銅系合金)など耐摩耗性を高めた材料
が一般に使用されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、近年、圧縮機は冷凍機用、冷蔵庫用、
空調機用などの用途を問わず、高性能化や使用条件の拡
大が求められている。特に空調機においては、使用者の
住空間の変化や快適性の要求水準の高まりが著しく、イ
ンバータを装備したものが標準品になりつつある。この
ような空調機に使用される圧縮機では従来以上に苛酷な
運転条件、すなわち高負荷条件下での高速運転や変速運
転が要求されている。
特に回転軸と、軸受との摺動部における潤滑状態も、
いわゆる流体潤滑から境界潤滑に移行し易くなり、PV値
も増大する。すなわち高速運転域では、PV値が増大し、
圧縮機内の潤滑湯も吐出され易くなり、潤滑状態が悪化
して焼付きを生じる危険性が高くなる。
逆にエネルギ効率を高めるために圧縮機のON−OFF動
作の回数を低減して、より低速域での運転を行なうと、
回転軸と主副軸受との間の摺動部への給油量が減少して
焼付きが生じ易くなるとともに、ジャーナル軸受として
の軸受負荷が低下して、回転軸と主副軸受とが金属接触
する機会が増大して摩耗が急速に進行してしまう問題点
がある。
このような問題点を改善し、摺動特性を向上させるた
めに、給油構造の改善や軸受構造の改良および耐摩耗性
に優れた軸受や回転軸の材料開発や摺動材の表面処理方
法が種々検討されている。
例えば、インバータ駆動の圧縮機の低速運転時のよう
に潤滑状態の悪化により潤滑油膜厚さが充分に保持でき
ない場合には、摩耗が急速に進行する場合があり、この
対策として硬度が高い材料を使用したり、表面処理によ
って摺動材の表面硬度を高める方法も採用されている。
しかしながら、摺動材の表面硬度を高めるのみでは、
耐摩耗性は向上するが、摺動部におけるかじりを生じ易
く、起動直後における初期なじみまたは耐焼付性が悪化
する場合も多い。
また表面処理による摺動材の表面硬度を高めること
は、形状が単純な回転軸等においては、比較的に容易で
ある一方、主副軸受などのように凹部を有する複雑形状
の部品では均一な表面処理が困難であり、摺動特性が全
体として低下してしまう問題点もある。
一方、摺動材として鉄系粉末から成る焼結体を使用す
る場合もあるが、焼結体には無数の微細な連通孔が形成
されており、この焼結体でシリンダや軸受、仕切板やロ
ーラを形成した場合には、圧縮機内の冷媒の一部が連通
孔を通り抜けることにより圧縮機の体積効率が大幅に低
下してしまう問題点がある。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもの
であり、耐摩耗性および耐焼付性が共に優れ、耐久性が
著しく改善され、かつ体積効率の低下が少ない圧縮機を
提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段と作用) 本発明者等は上記を目的を達成するため、圧縮機の摺
動部を構成する材料を種々変えて、その摺動特性を比較
検討し、さらに摺動材の表面処理方法が摺動特性に及ぼ
す影響について研究し、本発明を完成した。
すなわち本発明に係る圧縮機は、回転軸と軸受など相
互に摺動する少なくとも一対の摺動材から成る摺動部を
有する圧縮機において、上記摺動材の一方を、重量%で
C0.9〜3%、Cu1〜9%、Sn0.3〜3%、残部Feから成
り、フェライトまたはパーライト基地に黒鉛、青銅およ
び鉄酸化物が分散した組織を有する鉄系焼結合金で形成
する一方、他方の摺動材を鉄系鋳物、アルミニウム系鋳
物および鋼のいずれかで形成したことを特徴とする。
さらに鉄系焼結合金は、封孔処理したものを使用する
とよい。
また他方の摺動材の表面に窒化処理層を形成するとよ
い。
さらに一対の摺動材の少なくとも一方の摺動材表面
に、リン酸塩皮膜、二硫化モリブデン皮膜および硫化鉄
皮膜の少なくとも一層から成る表面改質層を形成して構
成することもできる。
以下本発明において使用する摺動材の組成等について
以下に順次説明する。
Cは、基地を構成するFeと反応して耐摩耗性を有する
パーライトを生成する元素であり、かつ基地中に遊離黒
鉛として分散し、摺動面の潤滑性を高めて摺動材のかじ
りを防止し、初期摺動特性を改善するために0.9〜3重
量%(wt%)添加される。C添加量が0.9%未満の場合
には摺動特性の改善効果が少ない一方、添加量が3%を
超える場合には、脆化し成形性が低下し、高密度かつ高
強度の焼結体が得られにくい。また基地中に分散した遊
離黒鉛量はCの総添加量の30%以上が望ましい。
またCuはSnと合金化されて青銅となり、摺動材の初期
摺動特性を改善するために1〜9wt%添加される。Cuの
添加量が1wt%未満の場合には、添加の効果が少ない一
方、添加量が9wt%を超えると、硬度が低下し、摺動材
としての耐久性が低下してしまう。Snは、青銅合金を形
成するためCuの添加量の1/3程度、すなわち0.3〜3%添
加される。但し、添加する場合は青銅粉末として添加す
ることも可能である。
さらに摺動材の耐摩耗性および摺動特性を改善するた
めに上記Cu,Sn,Cの他にNi,Mo,Siから選択される少なく
とも1種の元素を所定量添加するとよい。例えばNiの場
合は、その添加量を0.5〜4%、Moの場合は0.5〜10%、
Siの場合は0.3〜4%の範囲に設定するとよい。
本発明に係る圧縮機において使用される一方の摺動材
は、鉄粉に重量%で0.9〜3%のカーボン粉末、1〜9
%のCu粉末、0.3〜3%のSn粉末を添加混合し所定形状
に成形した後に、成形体を1000程度℃の温度で焼結し、
得られた焼結体を水蒸気処理法等によって封孔処理して
製造される。ここで焼結体の密度は6.0〜7.0g/cm3の範
囲が好ましい。この密度が6.0g/cm3以下であると摺動材
の部品としての構造強度が低下する一方、密度が7.0g/c
m3を超えると、潤滑油の保油性が優れる鉄酸化物の生成
量が減少して摺動特性および耐久性が共に低下してしま
う。
ここで水蒸気処理は温度500〜600℃、圧力0.3〜1kg/c
m2の過熱水蒸気中に焼結体を2〜3時間保持するもので
ある。
この水蒸気処理により焼結体の基地組織の空孔に鉄酸
化物が分散生成される。この鉄酸化物量は焼結体の全容
積に対して5〜20vol%に設定するとよい。この鉄酸化
物は焼結体の耐摩耗性を向上させるとともに、焼結体の
基地組織の空孔を封じさせる役割(封孔作用)を果して
気密性を与える。この封孔処理を行なうことにより、圧
縮機内の冷媒ガスが焼結体中を通り抜けることが防止で
きるため、圧縮機の体積効率を大幅に改善することがで
きる。鉄酸化物はまた潤滑油の保油性に優れている。鉄
酸化物の生成量が5vol%未満であると上記効果が少な
く、一方生成量が20vol%を超えると、焼結体の強度が
低下してしまう。さらに、水蒸気処理により焼結体の基
地組織に存在している窒素分が拡散して、基地組織の分
子中に固溶するために、窒素分の存在による焼結体の脆
化を大幅に改善できる。
一方、摺動部を形成する他方の摺動材は、FC材(ねず
み鋳鉄材)またはFCD材(球状黒鉛鋳鉄材)のような鉄
系鋳物材、SCM材(クロムモリブデン鋼)、STKM材(機
械構造用炭素鋼)のような鋼材、あるいはシリコンを含
有するアルミニウム鋳物材や鍛造材で形成するとよい。
これらの材料で形成された摺動材は、上記の焼結体で形
成した一方の摺動材(相手材)とのなじみが良く、かじ
り等を発生することが少なく、優れた摺動特性を発揮す
る。
さらに少なくとも一方の摺動材表面に窒化処理層を形
成することにより、摺動材の耐摩耗性を大幅に向上させ
ることができる。この窒化処理層は、例えばアンモニア
30〜60vol%を含む雰囲気中で、温度500〜700℃、15分
〜2時間の条件で形成される。この窒化処理により焼結
体の基地組織に鉄窒化物等が分散され、焼結体に耐摩耗
性が付与される。
また互いに摺接する一対の摺動材の少なくとも一方の
摺動緬は、研摩後に実機にそのまま装着してもよいが、
研摩後にリン酸塩皮膜や二硫化モリブデン皮膜、硫化鉄
皮膜を表面改質層として単層で、また複層に形成するこ
とにより、摺動材の耐焼付性がさらに向上する。上記各
皮膜で形成した表面改質層はいずれも摺動面の潤滑性を
向上させる作用があり、耐摩耗性としても機能する。上
記各種皮膜は、それぞれの成分を含有する溶液中に、脱
脂した摺動材を含浸したり、溶液を塗布した後に焼付け
したりすることにより形成される。
特に封孔処理した焼結体で形成した摺動材の表面を研
摩後に、上記皮膜を形成する一方、相手材となる摺動材
表面に窒化処理層を形成した摺動部を有する圧縮機は特
に耐久性が優れることが確認された。すなわち相手材と
なる摺動材表面を窒化処理することにより、表面硬度が
上昇することに加えて、生成した窒化鉄が鋳鉄と比較し
て、上記組成の焼結体と化合物を形成しにくいという特
徴があり、この特徴により、耐摩耗性が著しく向上する
ためである。
また相手材となる摺動材の表面に、リン酸塩皮膜、二
硫化モリブデン皮膜および窒化処理層を組み合せて複合
的に形成した摺動材も、優れた摺動特性を示す。
また前記焼結耐で形成した摺動材の相手材となる摺動
材がアルミニウム系材料で形成されている場合には、そ
の相手材の表面に陽極酸化層を形成すると摺動特性がよ
り向上する。さらに陽極酸化後、四フッ化エチレンまた
はモリブデンを含浸させる表面処理を行なうことによ
り、摺動特性をより向上させることができる。
このようにして製造された摺動材は、従来一般に使用
されているSMF−4種材やFC材と比較して強靭な基地組
織に加え、硬度が大きく耐摩耗性が大幅に向上する。さ
らに基地組織中に存在する錫や黒鉛の潤滑作用により摺
動材の耐焼付性が大幅に向上し、苛酷な使用条件に耐え
得る優れた耐摩耗材料となる。したがってこれらの摺動
材を軸受と回転軸、シリンダとベーン、仕切板とローラ
などの摺動部に使用した圧縮機は、優れた耐摩耗性およ
び耐焼付性を有し、長期間に亘って安定した状態で運転
することができる。
特に封孔処理を行なった摺動材は、気密性に優れ、冷
媒ガス等の被圧縮ガスを透過させることがないため、圧
縮機の体積効率を高く維持することができる。
(実施例) 次に本発明に係る圧縮機に使用する摺動材の特性を従
来材と比較して説明する。
摺動材は以下に述べる方法で製造した焼結体を使用し
た。すなわち平均粒径30〜60μmの鉄粉に重量%で黒鉛
粉を2%、10%錫からなる青銅粉を5%添加して均一に
混合した原料粉末を成形圧6ton/cm2で加圧して厚さ2cm
のブロック状の粉末成形体を成形し、この成形体を非酸
化性雰囲気中で温度1030℃で1時間焼結して徐冷した。
こうして製造された焼結体を温度600℃で圧力0.5kg/cm2
の過熱水蒸気中に3時間保持する水蒸気処理を施すこと
により封孔処理したブロック状の焼結体を形成し、この
焼結体で上記摺動材(試料1)を形成した。
一方、上記焼結体と比較するため、従来材であるSMF
−4種材およびFC材で試料1と同一寸法の摺動材ブロッ
ク(試料2、試料3)をそれぞれ形成した。
こうして得られた試料1〜3の摺動特性を比較するた
め、円柱状のピンをブロックのV溝に装着して相互に摺
動させるファレックス法による摩耗試験を行ない、各試
料の耐焼付性および耐摩耗性を評価した。摺動部の相手
材となるピンはFCDにて形成したものを使用した。また
耐焼付性については、ピンとブロックとの摺動部に潤滑
油を供給しない無潤滑状態(Dry)において焼付きを生
じるまでの時間を測定する一方、摺動部を冷凍機油中に
浸漬した状態において、ブロックに負荷する荷重を徐々
に増加させて、焼付きを生じた時点での荷重量を測定し
た。また耐摩耗性を表わす指標として、ピンおよびブロ
ックの双方の摩耗量の総和を示す比摩耗量およびブロッ
ク材の硬度を測定し下記第1表に示す結果を得た。
第1表に示す結果から明らかなように、本発明に係る
圧縮機に使用する試料1の摺動材は、試料2,3に示す従
来材と比較して硬度が95HRB(ロックウェル B スケ
ール)と大きく、比摩耗量も1/2〜1/5程度に減少し、優
れた耐摩耗特性を示す。特に無潤滑状態において焼付き
を生じるまでの時間が長く、圧縮機において油潤滑が不
充分な場合においても、焼付きを発生する可能性を排除
することができ、圧縮機の耐久性を大幅に改善すること
ができる。
次に第1図に示すロータリー式圧縮機の回転軸4と副
軸受6とで構成される一対の摺動材を試料1〜3の他の
種々の材料で形成し、耐久試験を行なった。
すなわち第2表の左欄に示すように、実施例1に示す
圧縮機においては、回転軸をFCD材で形成する一方、副
軸受は、前記試料1と同一組成の焼結体を同一の封孔処
理をして形成した鉄系焼結合金で形成した。
実施例2では、FCD製の回転軸を温度600℃の下でRXガ
ス(CO−CO2ガス)23vol%−アンモニアガス60%−窒素
ガス17%から成る雰囲気中で1時間保持し、表面を窒化
処理して硬化層を形成する一方、副軸受は実施例1と同
一組成の焼結体で窒化処理を施さない材料で形成したも
のである。
実施例3の圧縮機は実施例2で調製した回転軸を、60
℃のリン酸マンガン溶液中に浸漬して、厚さ5μmのリ
ン酸マンガン皮膜を表面改質層として形成したものであ
る。
実施例4の圧縮機は、実施例3において調製した回転
軸に、バインダ液で分散した二硫化モリブデンを塗布し
た後に焼き付けて、回転軸表面にさらに厚さ5μmのMo
S2皮膜(表面改質層)を形成した回転軸を実装してい
る。
実施例5の圧縮機においては、実施例4で調製した回
転軸を使用する一方、実施例2で調製した副軸受の表面
に厚さ5μmのMoS2皮膜を形成した副軸受を実装してい
る。
一方、比較例1の圧縮機は、窒化処理を施さないFCD
材で形成した回転軸を使用する一方、従来材であるFC材
で形成した副軸受を実装している。
また比較例2の圧縮機は、実施例1と同一組成の鉄系
焼結体で封孔処理および窒化処理を施さない副軸受を実
装したものである。さらに比較例3では従来材であるSM
F−4種材で形成した副軸受を装着している。
こうして得られた実施例1〜5、比較例1〜3の各圧
縮機を、高負荷でかつ低周波数条件という最も潤滑条件
が悪化する条件下で連続的に1000時間運転する耐久試験
を行ない、回転軸および副軸受の摩耗量および表面粗さ
の測定を行なうとともに、圧縮機の体積効率をそれぞれ
測定し、下記第2表右欄に示す結果を得た。
第2表に示す結果から明らかなように、実施例1〜5
に係る圧縮機においては、耐摩耗性に優れた摺動材で副
軸受を構成しているため、苛酷な運転条件下で長時間運
転した後においても、回転軸および副軸受の双方の摩耗
量が、比較例1または3で示す従来材で形成した副軸受
を使用したものよりも小さくなり、優れた耐久性を有し
ている。また表面粗さも小さくなっており、摺動部にお
けるかじりの発生が少なく、初期摺動特性が改善される
ことがわかる。
特に実施例1と比較例2との比較で明らかなように、
副軸受として、同一組成の焼結体を使用した場合におい
ても、焼結体に封孔処理を施した実施例1の方が潤滑油
の保持性が優れているため摩耗量が小さくなっている。
さらに封孔処理を施した副軸受を使用した実施例1の圧
縮機では、冷媒ガスが副軸受を透過することがないた
め、圧縮機全体としての体積効率が比較例2の圧縮機よ
り5〜6%改善される。
また実施例1と実施例2〜5との比較で明らかなよう
に、封孔処理した鉄系焼結合金で副軸受を形成する一
方、摺動する相手材となる回転軸表面に窒化処理層を形
成した実施例2〜5の圧縮機の方が実施例1の場合より
も摺動特性が大幅に改善される。
これは、窒化処理により回転軸表面の硬度が増大する
ことに加え、本実施例において調製した鉄系焼結合金
が、窒化処理層に生成した窒化鉄と反応しにくいことに
起因することが発明者らの研究によって判明した。
すなわち摺動部を構成する一対の摺動材の一方を本実
施例に示した鉄系焼結合金で形成する一方、他方の摺動
材の表面に窒化処理層を形成することにより、特に耐摩
耗性および耐久性に優れた圧縮機を提供することが可能
になる。
以上の実施例においては、摺動部を構成する一対の摺
動材としてロータリー式圧縮機の回転軸と副軸受とを例
にとって説明したが、摺動部はこれに限定されない。す
なわち本発明者らは、第1図に示すような圧縮機1の圧
縮要素3bを形成するシリンダ8a,8bを上記鉄系焼結体で
形成する一方、シリンダの半径方向に進退するようにシ
リンダに摺接し、シリンダ内の高圧側と低圧側とを仕切
るベーン11a,11bを鉄系スチール材で形成して、耐久試
験を行なったところ、実施例1〜5と同傾向の効果が得
られた。
また第1図の圧縮機1において、隣接する複数の圧縮
部を仕切る仕切板7と仕切板7に回転しながら摺接する
ローラ10a,10bとで形成される摺動部についても、同様
に適用することができる。
さらに上記実施例においては、ロータリ圧縮機に本願
発明を適用した例で示しているが、適用対象はロータリ
圧縮機に限定されず、例えば、スクロール圧縮機、レシ
プロ圧縮機等の種々の形式の圧縮機についても同様に適
用することができる。例えば、スクロールタイプの圧縮
機において、旋回スクロールの位置規制を行なうととも
に自転の防止を図るために用いるオルダムリングを上記
の鉄系焼結合金で形成する一方、旋回スクロールおよび
固定スクロールを鋳物あるいはアルミニウム系鋳物で構
成した場合においても、従来材を使用した場合よりも、
優れた耐摩耗性および耐焼付性が発揮された耐久性が優
れた圧縮機とすることができた。
〔発明の効果〕
以上説明の通り、本発明に係る圧縮機によれば、従来
材と比較して耐摩耗性および耐焼付性に優れた摺動材に
て摺動部を構成しているため、長期間に亘って苛酷な条
件で運転した場合においても、優れた耐久性を発揮す
る。
特に封孔処理を施した焼結体で摺動材を形成している
ため、潤滑油の保持性および気密性に優れ、冷媒ガス等
の被圧縮ガスを透過させることがなく、圧縮機の体積効
率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は密閉型ロータリ圧縮機の構造を示す縦断面図、
第2図は第1図に示す圧縮機のロータ部を示す平断面図
である。 1……圧縮機、2……ケーシング、3a……モータ、3b…
…圧縮要素、4……回転軸、5……主軸受、6……副軸
受、7……仕切板、8,8a,8b……シリンダ、9,9a,9b……
偏心部、10,10a,10b……ローラ、11,11a,11b……ベー
ン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小峰 健治 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝富士工場内 (72)発明者 藤井 栄一郎 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝富士工場内 (72)発明者 池田 亘 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝富士工場内 (56)参考文献 特開 昭58−224147(JP,A) 特開 昭60−114505(JP,A) 特開 昭57−35193(JP,A) 特開 昭62−44556(JP,A) 実開 昭63−31270(JP,U) 実開 昭61−3984(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04C 18/356 F04B 39/00 F04B 29/00 F16C 33/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸と軸受など相互に摺動する少なくと
    も一対の摺動材から成る摺動部を有する圧縮機におい
    て、上記摺動材の一方を、重量%でC0.9〜3%、Cu1〜
    9%、Sn0.3〜3%、残部Feから成り、フェライトまた
    はパーライト基地に黒鉛、青銅および鉄酸化物が分散し
    た組織を有する鉄系焼結合金で形成する一方、他方の摺
    動材を鉄系鋳物、アルミニウム系鋳物および鋼のいずれ
    かで形成したことを特徴とする圧縮機。
  2. 【請求項2】一方の摺動材を構成する鉄系焼結合金は封
    孔処理されてなる請求項1記載の圧縮機。
  3. 【請求項3】他方の摺動材の表面に窒化処理層を形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
  4. 【請求項4】一対の摺動材の少なくとも一方の摺動材表
    面に、リン酸塩皮膜、二硫化モリブデン皮膜および硫化
    鉄皮膜の少なくとも一層から成る表面改質層を形成した
    ことを特徴とする請求項1または2記載の圧縮機。
  5. 【請求項5】鉄系焼結合金は、Cu1〜9%、、Sn0.3〜3
    %、C0.9〜3%含有するとともに、Ni0.5〜4%、Mo0.5
    〜10%およびSi0.3〜4%のうち少なくとも1種を含有
    することを特徴とする請求項1記載の圧縮機。
JP27911990A 1990-10-19 1990-10-19 圧縮機 Expired - Lifetime JP2825334B2 (ja)

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