JP2821225B2 - 摺動構造物とそれを用いた圧縮機及び製造法 - Google Patents
摺動構造物とそれを用いた圧縮機及び製造法Info
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- JP2821225B2 JP2821225B2 JP2051692A JP5169290A JP2821225B2 JP 2821225 B2 JP2821225 B2 JP 2821225B2 JP 2051692 A JP2051692 A JP 2051692A JP 5169290 A JP5169290 A JP 5169290A JP 2821225 B2 JP2821225 B2 JP 2821225B2
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F05—INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
- F05C—INDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
- F05C2201/00—Metals
- F05C2201/04—Heavy metals
- F05C2201/0433—Iron group; Ferrous alloys, e.g. steel
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- F05C2201/0457—Cemented steel
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- F05C2253/00—Other material characteristics; Treatment of material
- F05C2253/12—Coating
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- Lubricants (AREA)
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
- Compressor (AREA)
- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、摺動構造物に係わり、得にルームエアコン
や冷蔵庫通の用いる圧縮機などの摺動構造に関し、摺動
部を高性能，高信頼性を得るために好適な耐摩耗性，経
済性を具備した材料組合せで構成した摺動構造物に関す
る。
や冷蔵庫通の用いる圧縮機などの摺動構造に関し、摺動
部を高性能，高信頼性を得るために好適な耐摩耗性，経
済性を具備した材料組合せで構成した摺動構造物に関す
る。
ルームエアコンや冷蔵庫等に用いる圧縮機には、回転
式，レシプロ式，スクロール式，スクリユー式など多種
多様のものがある。中でも代表的なものは回転式圧縮機
である。
式，レシプロ式，スクロール式，スクリユー式など多種
多様のものがある。中でも代表的なものは回転式圧縮機
である。
回転式圧縮機の部品構成は、ジヤーナル軸受によつて
上・下部のベアリングに支持されたクランクシヤフト
と、このクランクシヤフトにより偏心回転されるローラ
とこのローラを収納するシリンダと、該シリンダに形成
されたベーン溝内に摺動自在に設けられたベーンとを備
え、該ベーンの先端部は前記ローラの外周部に摺動可能
に接触されている。前記回転式圧縮機を構成する摺動部
材は、フロンガスが溶解された冷凍機油の潤滑条件下に
おいて、フロンガスの圧縮動作をする。前記摺動部材は
適当な潤滑条件及び耐摩耗性が必要とされることから、
従来の回転式圧縮機では上部ベアリング，下部ベアリン
グに片状黒鉛鋳鉄もしくは鉄系焼結材，クランクシヤフ
トには共晶黒鉛鋳鉄もしくは球状黒鉛鋳鉄，片状黒鉛鋳
鉄のいずれも鉄系摺動部材より構成するのが一般的であ
つた。
上・下部のベアリングに支持されたクランクシヤフト
と、このクランクシヤフトにより偏心回転されるローラ
とこのローラを収納するシリンダと、該シリンダに形成
されたベーン溝内に摺動自在に設けられたベーンとを備
え、該ベーンの先端部は前記ローラの外周部に摺動可能
に接触されている。前記回転式圧縮機を構成する摺動部
材は、フロンガスが溶解された冷凍機油の潤滑条件下に
おいて、フロンガスの圧縮動作をする。前記摺動部材は
適当な潤滑条件及び耐摩耗性が必要とされることから、
従来の回転式圧縮機では上部ベアリング，下部ベアリン
グに片状黒鉛鋳鉄もしくは鉄系焼結材，クランクシヤフ
トには共晶黒鉛鋳鉄もしくは球状黒鉛鋳鉄，片状黒鉛鋳
鉄のいずれも鉄系摺動部材より構成するのが一般的であ
つた。
しかし近年，小型高出力の回転数制御方式の回転式圧
縮機に移行する傾向にあり、フロンで希釈された低粘度
冷凍機油の潤滑油膜の運転条件下では、高負荷低速運転
や急速始動運転時に、油膜切れによる金属接触を伴う境
界潤滑領域が発生し、摩擦係数及び摩耗量の増大と、摩
耗粉及び微少異物の侵入が油膜切れを加速して、圧縮機
の長期間にわたる信頼を損うことが概念されている。
縮機に移行する傾向にあり、フロンで希釈された低粘度
冷凍機油の潤滑油膜の運転条件下では、高負荷低速運転
や急速始動運転時に、油膜切れによる金属接触を伴う境
界潤滑領域が発生し、摩擦係数及び摩耗量の増大と、摩
耗粉及び微少異物の侵入が油膜切れを加速して、圧縮機
の長期間にわたる信頼を損うことが概念されている。
上記のように概念の下、各摺動部材の耐摩耗性を強化
するための従来技術としては以下に述べるような数例が
あるが、これらはそれぞれに長所・欠点があり、耐摩耗
性と生産性とを兼ね備えた最適な材料組合せの技術は未
だ知られていなかつた。
するための従来技術としては以下に述べるような数例が
あるが、これらはそれぞれに長所・欠点があり、耐摩耗
性と生産性とを兼ね備えた最適な材料組合せの技術は未
だ知られていなかつた。
例えば、特公昭55−4958号は鋳鉄製シリンダとローラ
及びベーンの双方、もしくはいずれか一方を軟窒化処理
した鉄系焼結合金の組合わせとしたロータリー式コンプ
レツサーであるが、鉄系焼結合金の多孔質の軟窒化処理
では形状変形が大きく、空孔と窒化物とがノツチ作用を
起こし強度の点で問題がある。
及びベーンの双方、もしくはいずれか一方を軟窒化処理
した鉄系焼結合金の組合わせとしたロータリー式コンプ
レツサーであるが、鉄系焼結合金の多孔質の軟窒化処理
では形状変形が大きく、空孔と窒化物とがノツチ作用を
起こし強度の点で問題がある。
また特開昭60−73082号に記載のものはシリンダ内面
が鉄系酸化物を10〜40体積％含有する鉄系焼結合金で、
ローラ及びベーンはマルテンサイトを焼き戻すことによ
り生成した基地中に金属炭化物及び金属酸化物が分散
し、かつ窒素が前記基地中に固溶している鉄系焼結合金
で構成されていることを特徴したものであるが、小形高
出力，高機能，高性能の圧縮機のベーン材としては強度
の点で溶製材よりなる従来の材料に比べて著しく劣るも
のである。
が鉄系酸化物を10〜40体積％含有する鉄系焼結合金で、
ローラ及びベーンはマルテンサイトを焼き戻すことによ
り生成した基地中に金属炭化物及び金属酸化物が分散
し、かつ窒素が前記基地中に固溶している鉄系焼結合金
で構成されていることを特徴したものであるが、小形高
出力，高機能，高性能の圧縮機のベーン材としては強度
の点で溶製材よりなる従来の材料に比べて著しく劣るも
のである。
また特開昭62−13784号に記載のものはクランクシヤ
フトにシアン酸アルカリ金属塩を主体とする塩浴に浸漬
して、硫化鉄を含む窒化鉄の多孔質層、その下層に窒化
鉄の合金層を形成することを特徴とするものであるが、
毒性の高い塩浴成分がクランクシヤフトの中空部や油孔
に入り洗浄残りが発生しやすく、さらに洗浄した廃液を
無公害化する工程を必要とし、生産性，経済的効率を著
しく悪くするうえ、高寸法精度管理を必要とする部材に
は、処理後寸法を確保するための修正加工を必要とする
という欠点があつた。
フトにシアン酸アルカリ金属塩を主体とする塩浴に浸漬
して、硫化鉄を含む窒化鉄の多孔質層、その下層に窒化
鉄の合金層を形成することを特徴とするものであるが、
毒性の高い塩浴成分がクランクシヤフトの中空部や油孔
に入り洗浄残りが発生しやすく、さらに洗浄した廃液を
無公害化する工程を必要とし、生産性，経済的効率を著
しく悪くするうえ、高寸法精度管理を必要とする部材に
は、処理後寸法を確保するための修正加工を必要とする
という欠点があつた。
さらに、特開昭61−36166号に記載されたものは摺動
面がセラミツクからなる摺動部材において、摺動部材に
アルミナを主材料としてジルコニアを５〜50重量％、も
しくは無機繊維を５〜50重量％混入したことを特徴とす
るものであるが、Al2O3にジルコニアを分散したセラミ
ツクは非安定化ジルコニアが正方晶から単斜晶の変態膨
張によつて、アルミナ焼結体の内部に多数の微細亀裂を
発生させるため、強度の点で問題があり、高負荷用摺動
部材としては適用がむずかしかつた。
面がセラミツクからなる摺動部材において、摺動部材に
アルミナを主材料としてジルコニアを５〜50重量％、も
しくは無機繊維を５〜50重量％混入したことを特徴とす
るものであるが、Al2O3にジルコニアを分散したセラミ
ツクは非安定化ジルコニアが正方晶から単斜晶の変態膨
張によつて、アルミナ焼結体の内部に多数の微細亀裂を
発生させるため、強度の点で問題があり、高負荷用摺動
部材としては適用がむずかしかつた。
上記した従来の技術において、小形高出力の高性能圧
縮機を駆動させる高強度の摺動部材に対して、十分な機
械強度，フロンで希釈された低粘度の冷凍機油による境
界潤滑条件下における十分な保油性，なじみ性，耐摩耗
性と、付着した塩浴成分の洗浄の問題，寸法仕上げ加工
などの複雑な後工程に対する生産効率，等のすべてを満
足させる点における配慮がなされておらず、これらの点
に問題が多く、またフロンを使用する圧縮機において
は、小形高性能に対する摺動部材材料の高強度化，圧縮
機の機械損失や容積効率などの機械的性能の強化，長期
間の運転における信頼の向上、さらには生産コストなど
に多くの問題があつた。
縮機を駆動させる高強度の摺動部材に対して、十分な機
械強度，フロンで希釈された低粘度の冷凍機油による境
界潤滑条件下における十分な保油性，なじみ性，耐摩耗
性と、付着した塩浴成分の洗浄の問題，寸法仕上げ加工
などの複雑な後工程に対する生産効率，等のすべてを満
足させる点における配慮がなされておらず、これらの点
に問題が多く、またフロンを使用する圧縮機において
は、小形高性能に対する摺動部材材料の高強度化，圧縮
機の機械損失や容積効率などの機械的性能の強化，長期
間の運転における信頼の向上、さらには生産コストなど
に多くの問題があつた。
以上は圧縮機の代表例である回転式圧縮機について主
として述べたものであるが、他の、例えばレシプロ式，
スクロール式，スクリユー式等の圧縮機においても同様
の問題点がある。
として述べたものであるが、他の、例えばレシプロ式，
スクロール式，スクリユー式等の圧縮機においても同様
の問題点がある。
本発明の目的は、上記した従来技術における諸問題を
解決し、圧縮機などの摺動構造物の小形高性能化，機械
的性能の向上，長期間にわたる信頼性の向上，生産効率
の拡大及び生産コストの低下を図ることにある。
解決し、圧縮機などの摺動構造物の小形高性能化，機械
的性能の向上，長期間にわたる信頼性の向上，生産効率
の拡大及び生産コストの低下を図ることにある。
本発明の摺動構造物は、鉄系材料から成る部材と、こ
の部材と摺動可能に接する多孔質のセラミツク層を備え
た部材とを有し、鉄系材料の表面は四三酸化鉄を主成分
とする多孔質の酸化膜で構成され且つ酸化膜の下層に酸
窒化層が形成されていることを特徴とする。
の部材と摺動可能に接する多孔質のセラミツク層を備え
た部材とを有し、鉄系材料の表面は四三酸化鉄を主成分
とする多孔質の酸化膜で構成され且つ酸化膜の下層に酸
窒化層が形成されていることを特徴とする。
この明細書で「酸窒化層」という用語は、鉄系基体と
一体化している窒化物層と、該鉄系基体の反対側で窒化
物層と一体化している窒化物及び酸化物の混合物から成
る混在層と、によつて構成された層を意味する。
一体化している窒化物層と、該鉄系基体の反対側で窒化
物層と一体化している窒化物及び酸化物の混合物から成
る混在層と、によつて構成された層を意味する。
本発明の圧縮機は、鉄系材料から成るシヤフトと、該
シヤフトに連結され且つ圧縮をおこなう圧縮meansと、
シヤフトを回転可能に支持する軸受とを有し、シヤフト
表面が四酸三価鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で構成
され、酸化膜の下側に酸窒化層が形成され、軸受の摺動
面が多孔質のセラミツク層から成ることを特徴とする。
シヤフトに連結され且つ圧縮をおこなう圧縮meansと、
シヤフトを回転可能に支持する軸受とを有し、シヤフト
表面が四酸三価鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で構成
され、酸化膜の下側に酸窒化層が形成され、軸受の摺動
面が多孔質のセラミツク層から成ることを特徴とする。
本発明の回転圧縮機は、ジヤーナル軸受によつて上・
下部のベアリングに支持されたクランクシヤフトと、こ
のクランクシヤフトにより偏心回転させるローラとこの
ローラを収納するシリンダと、該シリンダに形成された
ベーン溝内に摺動自在に設けられ且つ先端部がローラの
外周部に摺動可能に接触しているベーンとを有し、クラ
ンクシヤフトは鉄系材料で作られ、クランクシヤフトの
摺動面が四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で形
成され、その下層に酸窒化層が形成されており、前記ク
ランクシヤフトの軸受の摺動面が多孔質のセラミツク層
からなることを特徴とする。
下部のベアリングに支持されたクランクシヤフトと、こ
のクランクシヤフトにより偏心回転させるローラとこの
ローラを収納するシリンダと、該シリンダに形成された
ベーン溝内に摺動自在に設けられ且つ先端部がローラの
外周部に摺動可能に接触しているベーンとを有し、クラ
ンクシヤフトは鉄系材料で作られ、クランクシヤフトの
摺動面が四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で形
成され、その下層に酸窒化層が形成されており、前記ク
ランクシヤフトの軸受の摺動面が多孔質のセラミツク層
からなることを特徴とする。
以下に本発明の構成について、さらに具体的に説明す
る。
る。
本発明における鉄系材料の部材あるいはシヤフト材と
しては、片状黒鉛鋳鉄，共晶黒鉛鋳鉄，球状黒鉛鋳鉄，
機械構造用炭素鋼，合金鋼などの従来の溶接鉄系摺動材
を使用し、これをアンモニアガスに0.5〜6Vol％の空気
を含有し且つ100〜200mmAqの圧力の混合ガス中で450〜6
50℃で15分〜３時間保持する酸窒化処理を施してまず表
面近傍に粒状の窒化鉄、及び酸化鉄の混在する混在層と
該混在層の下で該混在層と一体化している窒化鉄層とか
らなる酸窒化層を一様に形成し、次に300〜800℃の温度
で100〜200mmAqの圧力を有する水蒸気中で15〜２時間保
持するスチーム処理を施して酸窒化層の表面部の窒化鉄
を酸化させることにより、第４図及び第５図に示すよう
に空孔率10〜50％で0.1〜１μｍのサイズの空孔が多数
存在する網目状多孔質の化学的に安定な0.05〜10μｍの
厚さのFe3O4を主成分とする酸化鉄被膜21と、酸化鉄被
膜21と鉄系材料部材あるいはシヤフトの基体24との間で
これらと一体化した酸窒化層22（0.01〜２μｍの厚さの
混在層27＋１〜20μｍの厚さの窒化鉄層28）が形成され
る。この構成により黒鉛周囲を酸窒化層が補強し、黒鉛
部は固体潤滑孔及び強固な油留め孔となる。四三酸化鉄
は硬さがHv300〜600で、その下層の酸窒化層はHv600〜1
300であり、十分な強度を有している。このようにして
構成した鉄系材料部材あるいはシヤフトは前記したよう
な、摺動構造物あるいは圧縮機における苛酷な潤滑条件
に十分対応できる強度，機械的性能を有するものであ
る。
しては、片状黒鉛鋳鉄，共晶黒鉛鋳鉄，球状黒鉛鋳鉄，
機械構造用炭素鋼，合金鋼などの従来の溶接鉄系摺動材
を使用し、これをアンモニアガスに0.5〜6Vol％の空気
を含有し且つ100〜200mmAqの圧力の混合ガス中で450〜6
50℃で15分〜３時間保持する酸窒化処理を施してまず表
面近傍に粒状の窒化鉄、及び酸化鉄の混在する混在層と
該混在層の下で該混在層と一体化している窒化鉄層とか
らなる酸窒化層を一様に形成し、次に300〜800℃の温度
で100〜200mmAqの圧力を有する水蒸気中で15〜２時間保
持するスチーム処理を施して酸窒化層の表面部の窒化鉄
を酸化させることにより、第４図及び第５図に示すよう
に空孔率10〜50％で0.1〜１μｍのサイズの空孔が多数
存在する網目状多孔質の化学的に安定な0.05〜10μｍの
厚さのFe3O4を主成分とする酸化鉄被膜21と、酸化鉄被
膜21と鉄系材料部材あるいはシヤフトの基体24との間で
これらと一体化した酸窒化層22（0.01〜２μｍの厚さの
混在層27＋１〜20μｍの厚さの窒化鉄層28）が形成され
る。この構成により黒鉛周囲を酸窒化層が補強し、黒鉛
部は固体潤滑孔及び強固な油留め孔となる。四三酸化鉄
は硬さがHv300〜600で、その下層の酸窒化層はHv600〜1
300であり、十分な強度を有している。このようにして
構成した鉄系材料部材あるいはシヤフトは前記したよう
な、摺動構造物あるいは圧縮機における苛酷な潤滑条件
に十分対応できる強度，機械的性能を有するものであ
る。
前記鉄系材料部材と摺動関係に接する部材の材料ある
いは軸受材は従来の鋳鉄及び鉄系焼結材では摩耗及び凝
着が起こり耐焼付き性が劣るので、本発明においては、
金属系よりも高純度で耐焼付き性のすぐれた多孔質セラ
ミツク層を備えた部材あるいは軸受を使用する。
いは軸受材は従来の鋳鉄及び鉄系焼結材では摩耗及び凝
着が起こり耐焼付き性が劣るので、本発明においては、
金属系よりも高純度で耐焼付き性のすぐれた多孔質セラ
ミツク層を備えた部材あるいは軸受を使用する。
セラミツクは炭化物系，酸化物系，窒化物系などの材
料が考えられるが、特に前述したようなシヤフトに組み
合わせるセラミツクとして、炭化物系では炭化珪素（α
及びβ−SiC）が良好である。また窒化物系では窒化珪
素，窒化アルミ，サイアロン，窒化ボロンが良好であ
る。酸化物系ではアルミナ，ジルコニアが良好である。
さらに各炭化物，窒化物，酸化物の混合及びセラミツク
粒と反応して結合材となる金属を添加した複合材も良好
である。
料が考えられるが、特に前述したようなシヤフトに組み
合わせるセラミツクとして、炭化物系では炭化珪素（α
及びβ−SiC）が良好である。また窒化物系では窒化珪
素，窒化アルミ，サイアロン，窒化ボロンが良好であ
る。酸化物系ではアルミナ，ジルコニアが良好である。
さらに各炭化物，窒化物，酸化物の混合及びセラミツク
粒と反応して結合材となる金属を添加した複合材も良好
である。
前記各セラミツク，セラミツクの混合材、あるいはセ
ラミツクと金属との複合材は、２〜10μｍの粒径の粉体
を約2000℃で大気圧下で焼結体としこの焼結体の外側を
鋳鉄で鋳ぐるみとして裏金とすることにより、あるいは
焼結体単体を使用することにより厚さ0.5〜10mmのセラ
ミツク層あるいは複合材を表面層とする軸受とした。こ
の表面層はいずれも体積％で１〜50％好ましくは５〜20
％の空孔率を存在せしめることにより油溜りと油膜形成
が容易であり、耐焼付き性が向上する。裏金付き軸受の
場合、上記鋳ぐるみ以外に焼きばめによりセラミツク焼
結体を裏金に接合してもよい。
ラミツクと金属との複合材は、２〜10μｍの粒径の粉体
を約2000℃で大気圧下で焼結体としこの焼結体の外側を
鋳鉄で鋳ぐるみとして裏金とすることにより、あるいは
焼結体単体を使用することにより厚さ0.5〜10mmのセラ
ミツク層あるいは複合材を表面層とする軸受とした。こ
の表面層はいずれも体積％で１〜50％好ましくは５〜20
％の空孔率を存在せしめることにより油溜りと油膜形成
が容易であり、耐焼付き性が向上する。裏金付き軸受の
場合、上記鋳ぐるみ以外に焼きばめによりセラミツク焼
結体を裏金に接合してもよい。
セラミツク，セラミツクの混合材，セラミツクと金属
との複合材による軸受は、各材単独で構成されても、あ
るいは鉄系材料等の適宜基材の表面に複数材料の薄層を
形成することにより構成されてもよい。
との複合材による軸受は、各材単独で構成されても、あ
るいは鉄系材料等の適宜基材の表面に複数材料の薄層を
形成することにより構成されてもよい。
摺動面の最上面に四三酸化鉄を主成分とする多孔質の
酸化膜が形成され、その下層に酸窒化層が形成されてい
る圧縮機における摺動部材であるシヤフトと、該シヤフ
トに組み合わされる軸受との間においては、アブレシブ
及び凝着による焼付き及び摩耗防止等を考慮することが
必須要件であり、さらにできるだけ低摩擦係数の組合せ
であることが要求される。
酸化膜が形成され、その下層に酸窒化層が形成されてい
る圧縮機における摺動部材であるシヤフトと、該シヤフ
トに組み合わされる軸受との間においては、アブレシブ
及び凝着による焼付き及び摩耗防止等を考慮することが
必須要件であり、さらにできるだけ低摩擦係数の組合せ
であることが要求される。
例えば第１図に示すような斜板式圧縮機はカークーラ
ー等に適用され、また同じく第２図及び第３図に示すよ
うなロータリー圧縮機は冷蔵庫，エアコン等に適用され
るものであるが、このような構成の圧縮機の駆動軸５と
スラスト軸受13,14,クランクシヤフトのピン部109とロ
ーラ108,クランクシヤフト102と上部ベアリング106と下
部ベアリング107の組合せになる摺動部に本発明の圧縮
機におけるシヤフトと軸受の材料組合わせを適用する。
ー等に適用され、また同じく第２図及び第３図に示すよ
うなロータリー圧縮機は冷蔵庫，エアコン等に適用され
るものであるが、このような構成の圧縮機の駆動軸５と
スラスト軸受13,14,クランクシヤフトのピン部109とロ
ーラ108,クランクシヤフト102と上部ベアリング106と下
部ベアリング107の組合せになる摺動部に本発明の圧縮
機におけるシヤフトと軸受の材料組合わせを適用する。
これらの摺動部材は近年のルームエアコンや冷蔵庫に
おける小形式，高機能化に応じて、回転数制御方式が採
用され、低速から高速の広範囲領域で運転されるように
なつてきた。特にクランクシヤフトのピン部109とロー
ラ108,クランクシヤフト102と上部ベアリング106と下部
ベアリング107の組み合わせにおいて、境界潤滑に伴う
問題が発生しやすいが、本発明の摺動部材組合せを採用
すればこれらの問題は解決される。
おける小形式，高機能化に応じて、回転数制御方式が採
用され、低速から高速の広範囲領域で運転されるように
なつてきた。特にクランクシヤフトのピン部109とロー
ラ108,クランクシヤフト102と上部ベアリング106と下部
ベアリング107の組み合わせにおいて、境界潤滑に伴う
問題が発生しやすいが、本発明の摺動部材組合せを採用
すればこれらの問題は解決される。
冷蔵庫，エアコン，カークーラー等に用いられる圧縮
機は、例えばエアコンの場合、低速回転から建屋内の温
度立ち上がり時間や霜取り時間の短縮のため、使用条件
が非常に苛酷になる。この際、冷凍機油（潤滑油と冷媒
の混合油）がシヤフトと軸受間の摩擦部に行き渡るため
には時間がかかり、金属接触を伴う境界潤滑領域で使用
されるため摩耗が激しく、凝着を起こして運転不能とな
る原因となつていた。しかし本発明のように摺動面の最
上面に四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜が形成
され、その下層に酸窒化層が形成されたシヤフトと、摺
動面がセラミツク焼結体あるいは基材表面に薄層のセラ
ミツク焼結体を形成してなる軸受、とを組み合わせて適
用することにより、苛酷な境界条件においてふつ化炭素
系冷媒を溶解した低粘度の冷凍機油が多孔質層である前
記酸化鉄被膜に保持され、また浸透作用により油膜切れ
の回復作用が早く油膜保持力にすぐれ、また相手摺動面
の形状によくなじんで密着するため、負荷面圧を軽減す
る作用があるので、凝着による運転不能は防止できる。
酸化鉄被膜はセラミツクに対して固溶や拡散を起こしに
くく、摩擦面の凝着，焼付きを防止できる。さらに前記
各層は化学的に安定なため高温運転条件においても、冷
媒機油の劣化を防止し腐食摩耗を起こしにくくする作用
がある。
機は、例えばエアコンの場合、低速回転から建屋内の温
度立ち上がり時間や霜取り時間の短縮のため、使用条件
が非常に苛酷になる。この際、冷凍機油（潤滑油と冷媒
の混合油）がシヤフトと軸受間の摩擦部に行き渡るため
には時間がかかり、金属接触を伴う境界潤滑領域で使用
されるため摩耗が激しく、凝着を起こして運転不能とな
る原因となつていた。しかし本発明のように摺動面の最
上面に四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜が形成
され、その下層に酸窒化層が形成されたシヤフトと、摺
動面がセラミツク焼結体あるいは基材表面に薄層のセラ
ミツク焼結体を形成してなる軸受、とを組み合わせて適
用することにより、苛酷な境界条件においてふつ化炭素
系冷媒を溶解した低粘度の冷凍機油が多孔質層である前
記酸化鉄被膜に保持され、また浸透作用により油膜切れ
の回復作用が早く油膜保持力にすぐれ、また相手摺動面
の形状によくなじんで密着するため、負荷面圧を軽減す
る作用があるので、凝着による運転不能は防止できる。
酸化鉄被膜はセラミツクに対して固溶や拡散を起こしに
くく、摩擦面の凝着，焼付きを防止できる。さらに前記
各層は化学的に安定なため高温運転条件においても、冷
媒機油の劣化を防止し腐食摩耗を起こしにくくする作用
がある。
本発明のセラミツク軸受を用いた場合、セラミツクは
高硬度で化学的に安定なので、高温運転条件において腐
食摩耗を起こしにくく、耐熱性にすぐれ、非凝着性，非
焼付き性の効果があり、またポーラスであるため油の保
持力にすぐれ、油膜切れ回復作用にすぐれている。
高硬度で化学的に安定なので、高温運転条件において腐
食摩耗を起こしにくく、耐熱性にすぐれ、非凝着性，非
焼付き性の効果があり、またポーラスであるため油の保
持力にすぐれ、油膜切れ回復作用にすぐれている。
従つて、本発明の摺動構造物の焼付き面圧は100kgf/c
m2以上であり、好ましくは200kgf/cm2以上有する。
m2以上であり、好ましくは200kgf/cm2以上有する。
以上のような理由により、本発明のシヤフトと軸受の
組合せは両部材の長所を生かし、相互作用により圧縮機
の苛酷な境界潤滑条件下においても、焼付き性，凝着
性，耐摩耗性，摩擦係数を著しく改善でき、圧縮機とし
ての機械的性能と長期間の信頼性を高めることができる
ものである。
組合せは両部材の長所を生かし、相互作用により圧縮機
の苛酷な境界潤滑条件下においても、焼付き性，凝着
性，耐摩耗性，摩擦係数を著しく改善でき、圧縮機とし
ての機械的性能と長期間の信頼性を高めることができる
ものである。
実施例１ 第１図において、1,2はシリンダブロツクであり、互
いに対象な形状のシリンダブロツク1,2が２個合わせら
れることによつて圧縮機本体３を構成している。各シリ
ンダブロツク1,2は３個ずつのシリンダボア1a,2aに両頭
のピストン４が摺動可能に嵌合されている。圧縮機本体
３の中心孔3aは回転軸５に挿通され、軸受6,7によつて
回転可能に支承されている。この回転軸５の中央部に斜
板８がスプリングピン９によつて固定されている。そし
てこの斜板８が回転軸５とともに回転させられるときそ
の駆動力が摺動子10を介してピストン４に伝えられ、以
てピストン４が往復摺動させらるようになつている。1
3,14はスラスト軸受である。
いに対象な形状のシリンダブロツク1,2が２個合わせら
れることによつて圧縮機本体３を構成している。各シリ
ンダブロツク1,2は３個ずつのシリンダボア1a,2aに両頭
のピストン４が摺動可能に嵌合されている。圧縮機本体
３の中心孔3aは回転軸５に挿通され、軸受6,7によつて
回転可能に支承されている。この回転軸５の中央部に斜
板８がスプリングピン９によつて固定されている。そし
てこの斜板８が回転軸５とともに回転させられるときそ
の駆動力が摺動子10を介してピストン４に伝えられ、以
てピストン４が往復摺動させらるようになつている。1
3,14はスラスト軸受である。
回転軸５は以下の工程により製作した。第１表（重量
％）の成分を有する球状黒鉛鋳鉄丸棒材（JIS:FCD50）
及び第１表の成分を有する片状黒鉛鋳鉄丸棒を機械加工
することにより回転軸と同じ寸法を有する２個の鋳鉄体
を準備した。次にアンモニアガスに6Vol％の空気を含む
100〜200mmAq（ゲージ圧）の混合ガス中に540℃の温度
で40分間この鋳鉄体を保持し、厚さ約25μｍの基地の粒
界に添つて形成した網目上の窒化物を有する酸窒化層を
回転軸５の全体に設けた。最外表面には層状の窒化物が
形成されないようにした。より高温，長時間処理すると
層状の窒化層が形成されるが、形成されない方が好まし
い。酸窒化層のうち酸化鉄（主として四三酸化鉄と若干
のFeO,Fe2O3を含む）と400〜500Hvの硬度を有する窒化
鉄とが混合した混在層の厚さは0.05〜１μｍであつた。
次に500℃,525℃及び600℃の温度でスチーム中に酸窒化
層付き鋳鉄体を60分保持するスチーム処理をおこない、
第４図及び第５図に示す四三酸化鉄（Fe3O4）層21と酸
窒化層22（即ち混在層27及び窒化層28から成る層）とを
有する回転軸を得た。この時の四三酸化鉄層及び酸窒化
層の顕微鏡写真を観察した結果、四三酸化鉄層は面接率
で40〜50％の空孔率を有する網目状多孔質状態を有して
いた。
％）の成分を有する球状黒鉛鋳鉄丸棒材（JIS:FCD50）
及び第１表の成分を有する片状黒鉛鋳鉄丸棒を機械加工
することにより回転軸と同じ寸法を有する２個の鋳鉄体
を準備した。次にアンモニアガスに6Vol％の空気を含む
100〜200mmAq（ゲージ圧）の混合ガス中に540℃の温度
で40分間この鋳鉄体を保持し、厚さ約25μｍの基地の粒
界に添つて形成した網目上の窒化物を有する酸窒化層を
回転軸５の全体に設けた。最外表面には層状の窒化物が
形成されないようにした。より高温，長時間処理すると
層状の窒化層が形成されるが、形成されない方が好まし
い。酸窒化層のうち酸化鉄（主として四三酸化鉄と若干
のFeO,Fe2O3を含む）と400〜500Hvの硬度を有する窒化
鉄とが混合した混在層の厚さは0.05〜１μｍであつた。
次に500℃,525℃及び600℃の温度でスチーム中に酸窒化
層付き鋳鉄体を60分保持するスチーム処理をおこない、
第４図及び第５図に示す四三酸化鉄（Fe3O4）層21と酸
窒化層22（即ち混在層27及び窒化層28から成る層）とを
有する回転軸を得た。この時の四三酸化鉄層及び酸窒化
層の顕微鏡写真を観察した結果、四三酸化鉄層は面接率
で40〜50％の空孔率を有する網目状多孔質状態を有して
いた。
一方回転軸を支持する軸受は、２〜10μｍの粒寸法を
有するα−SiC,β−SiC,ジルコニア，窒化ケイ素，窒化
ボロン，アルミナ及びサイアロンの粉体のそれぞれを焼
結して空孔率約10％の円筒体を作り、この円筒体から軸
受を製造した。第６図はこの軸受のセラミツク表面層を
示し26はセラミツク粒、25は空孔を示す。
有するα−SiC,β−SiC,ジルコニア，窒化ケイ素，窒化
ボロン，アルミナ及びサイアロンの粉体のそれぞれを焼
結して空孔率約10％の円筒体を作り、この円筒体から軸
受を製造した。第６図はこの軸受のセラミツク表面層を
示し26はセラミツク粒、25は空孔を示す。
次に上記回転軸と軸受との組み合わせによる圧縮機の
性能を試験するため、上記回転軸の球状黒鉛鋳鉄及び軸
受と同じセラミツク材料並びに比較品用の材料として共
晶黒鉛鋳鉄を使用し、回転軸及び軸受製造と同じ工程に
より、内径20mm厚さ2.8mmの円筒状可動試験片（回転軸
に対応する）及び縦10mm横40mm厚さ5mmの板状固定試験
片（軸受に対応する）を作り、第9A図に示す焼付試験及
び第9B図に示す摩耗試験をおこない、それぞれ第７図及
び第８図に示す結果を得た。まず、第７図に示すもの
は、ふつ化炭素系冷媒C2Cl3F3を溶解して低粘度化した
潤滑油であるナフテン系冷凍機油の雰囲気中で、周速10
m/sで荷重を上昇させ、焼付き限界面圧を求めた結果で
ある。この結果から明らかなように、従来の鋳鉄同志の
組合わせによるものは75kgf/cm2が限界面圧であるのに
対し、本発明の組み合わせによるものはそれより高く、
100kgf/cm2以上である230kgf/cm2以上であり、従来のも
のに比べ３倍以上も限界値が高くなる。また特にβ−Si
C,セラミツクを用いた組合せの場合には470kgf/cm2と、
最も高い焼付き面圧を示すことがわかつた。
性能を試験するため、上記回転軸の球状黒鉛鋳鉄及び軸
受と同じセラミツク材料並びに比較品用の材料として共
晶黒鉛鋳鉄を使用し、回転軸及び軸受製造と同じ工程に
より、内径20mm厚さ2.8mmの円筒状可動試験片（回転軸
に対応する）及び縦10mm横40mm厚さ5mmの板状固定試験
片（軸受に対応する）を作り、第9A図に示す焼付試験及
び第9B図に示す摩耗試験をおこない、それぞれ第７図及
び第８図に示す結果を得た。まず、第７図に示すもの
は、ふつ化炭素系冷媒C2Cl3F3を溶解して低粘度化した
潤滑油であるナフテン系冷凍機油の雰囲気中で、周速10
m/sで荷重を上昇させ、焼付き限界面圧を求めた結果で
ある。この結果から明らかなように、従来の鋳鉄同志の
組合わせによるものは75kgf/cm2が限界面圧であるのに
対し、本発明の組み合わせによるものはそれより高く、
100kgf/cm2以上である230kgf/cm2以上であり、従来のも
のに比べ３倍以上も限界値が高くなる。また特にβ−Si
C,セラミツクを用いた組合せの場合には470kgf/cm2と、
最も高い焼付き面圧を示すことがわかつた。
次に第８図に示すものは、耐摩耗性についての試験結
果である。この結果を見ると、本発明のように軸受にセ
ラミツクを組み合わせると、従来のもののような組み合
わせによるものよりも可動片の摩耗量はいずれも1mm2当
りで0.025mm3以下と耐摩耗性がすぐれていることがわか
る。
果である。この結果を見ると、本発明のように軸受にセ
ラミツクを組み合わせると、従来のもののような組み合
わせによるものよりも可動片の摩耗量はいずれも1mm2当
りで0.025mm3以下と耐摩耗性がすぐれていることがわか
る。
上記の結果から本発明の摺動部材の組み合わせによる
圧縮機は、冷凍溶解の低粘度潤滑油が多孔質酸化鉄被覆
に吸着して保油性，なじみ性が発揮し、油膜切れによる
摺動面の凝着性，焼付き性を発揮し、従来に比べすぐれ
た摩擦摩耗特性を示すことがわかる。
圧縮機は、冷凍溶解の低粘度潤滑油が多孔質酸化鉄被覆
に吸着して保油性，なじみ性が発揮し、油膜切れによる
摺動面の凝着性，焼付き性を発揮し、従来に比べすぐれ
た摩擦摩耗特性を示すことがわかる。
第７図に示すように、β−SiCは最も焼付面圧が高
く、摩耗量も最も少ない。次いでα−SiC,窒化ケイ層が
優れており、可動片の表面酸化層に対して非酸化物系の
セラミツクが好ましい特性を有することがわかる。最も
アルミナとの組合せが劣るが、非セラミツク材に比べ著
しく優れている。次いで、ジルコニア，窒化ボロン，サ
イアロンの順に優れている。即ち、摺動部材として互い
に異なつた材質のセラミツクス層とすることが好まし
く、酸化物に対して非酸化物系とすることが好ましい。
く、摩耗量も最も少ない。次いでα−SiC,窒化ケイ層が
優れており、可動片の表面酸化層に対して非酸化物系の
セラミツクが好ましい特性を有することがわかる。最も
アルミナとの組合せが劣るが、非セラミツク材に比べ著
しく優れている。次いで、ジルコニア，窒化ボロン，サ
イアロンの順に優れている。即ち、摺動部材として互い
に異なつた材質のセラミツクス層とすることが好まし
く、酸化物に対して非酸化物系とすることが好ましい。
実施例２ 第２図及び第３図に示すように、主として冷蔵庫，エ
アコン等に用いられるロータリー式圧縮機である。第２
図，第３図において、101は密閉容器、102はクランクシ
ヤフト、103は電動機部、104は圧縮機部である。圧縮機
部104は第１図に示すようにシリンダ105,上部ベアリン
グ106,下部ベアリング107,ローラ108,クランクシヤフト
のピン部109、及びベーン110より構成される。前記クラ
ンクシヤフト102は上部ベアリング106と下部ベアリング
107によりジヤーナル軸受支持され、クランクシヤフト
ピン部はジヤーナル軸受の摺動によりローラ108に偏心
回転を与える。ローラ108を収容するシリンダ105に形成
されたベーン溝111と先端部が前記ローラ108の外周面に
それぞれ摺動可能に接触させたベーンが一方向、又は往
復のスラスト軸受摺動する構造となつている。
アコン等に用いられるロータリー式圧縮機である。第２
図，第３図において、101は密閉容器、102はクランクシ
ヤフト、103は電動機部、104は圧縮機部である。圧縮機
部104は第１図に示すようにシリンダ105,上部ベアリン
グ106,下部ベアリング107,ローラ108,クランクシヤフト
のピン部109、及びベーン110より構成される。前記クラ
ンクシヤフト102は上部ベアリング106と下部ベアリング
107によりジヤーナル軸受支持され、クランクシヤフト
ピン部はジヤーナル軸受の摺動によりローラ108に偏心
回転を与える。ローラ108を収容するシリンダ105に形成
されたベーン溝111と先端部が前記ローラ108の外周面に
それぞれ摺動可能に接触させたベーンが一方向、又は往
復のスラスト軸受摺動する構造となつている。
上記圧縮機における回転軸（クランクシヤフト）10
2、及び上部ベアリング106、及び下部ベアリング107よ
りなる軸受は、実施例１のものと同様である。前述の水
蒸気処理を施さないものについても同様に実施した。
2、及び上部ベアリング106、及び下部ベアリング107よ
りなる軸受は、実施例１のものと同様である。前述の水
蒸気処理を施さないものについても同様に実施した。
実施例３ 第４図及び第５図で示す黒鉛含有鋳鉄の表面にCVD（C
hemical Vapor Deposition:プラズマ化学的蒸着法）、
及びPVD（Physical Vapor Deposition:物理的蒸着法）
により空孔率10％の薄層のセラミツク焼結体を形成して
なる軸受材料、第1,第２実施例における軸受材に代えて
用いた。シヤフトは実施例1,実施例２のものと同様であ
る。本実施例におけるセラミツクもβ−SiCを用いれば
より効果的であつた。
hemical Vapor Deposition:プラズマ化学的蒸着法）、
及びPVD（Physical Vapor Deposition:物理的蒸着法）
により空孔率10％の薄層のセラミツク焼結体を形成して
なる軸受材料、第1,第２実施例における軸受材に代えて
用いた。シヤフトは実施例1,実施例２のものと同様であ
る。本実施例におけるセラミツクもβ−SiCを用いれば
より効果的であつた。
以上述べたように本発明の圧縮機は、圧縮機を構成す
るシヤフトの摺動面に多孔質の酸化鉄被膜とその下層に
酸窒化層を形成し、前記シヤフトの軸受は多孔質セラミ
ツク焼結体よりなるので、ふつ化炭素系冷媒により希釈
された低粘度化した潤滑油の油膜切れの状態や、異物混
入等における異常運転においても、油膜の保持性，浸透
性，非凝着性，非焼付き性が良くなり、圧縮機としての
機械的性能及び長期運転における信頼性を著しく改善す
る効果がある。
るシヤフトの摺動面に多孔質の酸化鉄被膜とその下層に
酸窒化層を形成し、前記シヤフトの軸受は多孔質セラミ
ツク焼結体よりなるので、ふつ化炭素系冷媒により希釈
された低粘度化した潤滑油の油膜切れの状態や、異物混
入等における異常運転においても、油膜の保持性，浸透
性，非凝着性，非焼付き性が良くなり、圧縮機としての
機械的性能及び長期運転における信頼性を著しく改善す
る効果がある。
又本発明はふつ化炭素系冷媒を圧縮するレシプロ式圧
縮機，回転圧縮機，スクリユー式圧縮機，斜板式圧縮機
などすべての圧縮機に適用することにより、同様の効果
を得ることができるものである。
縮機，回転圧縮機，スクリユー式圧縮機，斜板式圧縮機
などすべての圧縮機に適用することにより、同様の効果
を得ることができるものである。
第１図はカークーラー用斜板式圧縮機の概略図、第２図
はロータリー式圧縮機の概略図、第３図は第２図Ａ−Ａ
線断面図、第４図は四三酸化鉄層と酸窒化層と片状黒鉛
鋳鉄基体とを示した断面図、第５図は球状黒鉛鋳鉄から
なるシヤフト基体部に設けられた四三酸化鉄層及び酸窒
化鉄層を示す断面図、第６図は四三酸化鉄層表面と協働
する軸受表面のセラミツク層を示す例示図、第７図は耐
焼付き試験結果を示すグラフ、第８図は耐摩耗試験結果
を示すグラフであり、第9A図は焼付試験方法を示す断面
図であり、第9B図は摩耗試験の方法を示す斜視図であ
る。
はロータリー式圧縮機の概略図、第３図は第２図Ａ−Ａ
線断面図、第４図は四三酸化鉄層と酸窒化層と片状黒鉛
鋳鉄基体とを示した断面図、第５図は球状黒鉛鋳鉄から
なるシヤフト基体部に設けられた四三酸化鉄層及び酸窒
化鉄層を示す断面図、第６図は四三酸化鉄層表面と協働
する軸受表面のセラミツク層を示す例示図、第７図は耐
焼付き試験結果を示すグラフ、第８図は耐摩耗試験結果
を示すグラフであり、第9A図は焼付試験方法を示す断面
図であり、第9B図は摩耗試験の方法を示す斜視図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 ＦＩ Ｃ２３Ｃ 8/24 Ｃ２３Ｃ 8/24 Ｃ１０Ｎ 40:02 50:08 (72)発明者 大中 紀之 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 飯塚 董 栃木県下都賀郡大平町富田800番地 株 式会社日立製作所栃木工場内 (72)発明者 福田 和司 栃木県下都賀郡大平町富田800番地 株 式会社日立製作所栃木工場内 (56)参考文献 特公 昭58−38507（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) C10M 103/06 F24B 39/00 F16C 33/24 C23C 8/14 - 8/24 B32B 15/01 - 15/04 ＷＰＩ／Ｌ（ＱＵＥＳＴＥＬ)
Claims (10)
- 【請求項１】鉄系材料から成る部材と、この部材と摺動
可能に接する多孔質のセラミック層を備えた部材とを有
し、鉄系部材の表面は四三酸化鉄を主成分とする多孔質
の酸化膜で構成され且つ酸化膜の下層に酸窒化層が形成
されていることを特徴とする摺動構造物。 - 【請求項２】鉄系材料からなる部材は回転軸であり、多
孔質のセラミック層を備えた部材は該回転軸を支持する
軸受である請求項１の摺動構造物。 - 【請求項３】酸窒化層は、多孔質酸化膜と一体化して該
多孔質酸化膜の内側に配置され且つFe3O4を主成分とし
て若干量のFeO及び Fe2O3を含む酸化鉄と窒化鉄との混合した混在層と、該
混在層と一体化して該混在層の内側に配置され、且つ鉄
系材料の基板と一体化した窒化鉄層から成る請求項１の
摺動構造物。 - 【請求項４】鉄系材料から成るシャフトと、該シャフト
に連結され且つ流体の圧縮をおこなう圧縮手段と、シャ
フトを回転可能に支持する軸受とを有し、シャフト表面
が四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で構成さ
れ、酸化膜の下側に酸窒化層が形成され、軸受の摺動面
が多孔質のセラミック層から成ることを特徴とする圧縮
機。 - 【請求項５】鉄系材料から成るシャフトと、該シャフト
に連結され且つ流体の圧縮をおこなう圧縮手段と、シャ
フトを回転可能に支持する軸受とを有し、シャフト表面
は四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化膜で構成さ
れ、酸化膜の下側に酸窒化層が形成され、軸受は上部ベ
アリング、下部ベアリングから成りこのうちの少なくと
も一方の摺動面がセラミック層からなることを特徴とす
る圧縮機。 - 【請求項６】鉄系材料は、片状黒鉛鋳鉄，共晶黒鉛鋳
鉄，球状黒鉛鋳鉄，機械構造用炭素鋼及び合金鋼から成
る群から選択された１種であり、Fe3O4を主成分とする
多孔質の酸化膜は、10〜50％の空孔率と0.1〜１μｍ厚
さを有し、酸窒化層は、多孔質酸化膜と一体化して多孔
質酸化膜の内側に配置され且つFe3O4を主成分とし若干
量のFeO及びFe2O3を含む酸化鉄と窒化鉄との混合した混
在層と、該混在層と一体化して該混在層の内側に配置さ
れ、且つ鉄系材料の基板と一体化した窒化鉄層から成
り、前記混在層の厚さは0.01〜２μｍであり、窒化鉄層
の厚さは１〜20μｍであり、セラミック層を備えた軸受
は、鉄系材料から成る裏金と、この裏金に接合されたセ
ラミック層とから成るあるいはセラミックの単体から成
り、セラミック層は１〜50％の空孔率と、0.5〜10mmの
厚さとを有し、且つα−SiC,β−SiC,アルミナ，ジルコ
ニア，窒化珪素，窒化アルミニウム，サイアロン及び窒
化ボロンから成る群から選択された少なくとも１種であ
る請求項４又は５の圧縮機。 - 【請求項７】ジャーナル軸受によって上部・下部のベア
リングに支持されたクランクシャフトと、このクランク
シャフトにより偏心回転されるローラと、このローラを
収納するシリンダと、該シリンダに形成されたベーン溝
内に摺動自在に設けられ且つ先端部がローラの外周部に
摺動可能に接触しているベーンとを有し、流体を圧縮す
る圧縮機において、クランクシャフトは鉄系材料で作ら
れ、クランクシャフトの摺動面が四三酸化鉄を主成分と
する多孔質の酸化膜で形成され、その下層に酸窒化層が
形成されており、前記クランクシャフトの軸受の摺動面
が多孔質のセラミック層からなることを特徴とする回転
式圧縮機。 - 【請求項８】ジャーナル軸受によって上部・下部のベア
リングに支持されたクランクシャフトと、このクランク
シャフトにより偏心回転されるローラと、このローラを
収納するシリンダと、該シリンダに形成されたベース溝
内に摺動自在に設けられ且つ先端部がローラの外周部に
摺動可能に接触しているベースとを有し、流体を圧縮す
るクランクシャフトは鉄系材料で作られ、クランクシャ
フトの摺動面が四三酸化鉄を主成分とする多孔質の酸化
膜で形成され、その下層に酸窒化層が形成されており、
前記クランクシャフトの軸受における上部ベアリング，
下部ベアリングの少なくとも一方の摺動面が多孔質のセ
ラミック層からなることを特徴とする回転式圧縮機。 - 【請求項９】鉄系材料は、片状黒鉛鋳鉄，共晶黒鉛鋳
鉄，球状黒鉛鋳鉄，機械構造用炭素鋼及び合金鋼から成
る群から選択された１種であり、Fe3O4を主成分とする
多孔質の酸化膜は、10〜50％の空孔率と0.1〜１μｍの
厚さを有し、酸窒化層は、多孔質酸化膜と一体化して多
孔質酸化膜の内側に配置され且つFe3O4を主成分とし若
干量のFeO及びFe2O3を含む酸化鉄と窒化鉄との混合した
混在層と、該混在層と一体化して該混在層の内側に配置
され、且つ鉄系材料の基板と一体化して窒化鉄層から成
り、混在層の厚さは0.01〜２μｍであり、窒化鉄層の厚
さは１〜20μｍであり、セラミック層を備えた部材は、
鉄系材料から成る裏金と、この裏金に接合されたセラミ
ック層とから成るあるいはセラミックの単体から成り、
セラミック層又はセラミックの単体は１〜50％の空孔率
と、0.5〜10mmの厚さとを有し、且つセラミック層又は
セラミックの単体は、α−SiC,β−SiC,アルミナ，ジル
コニア，窒化珪素，窒化アルミニウム，サイアロン及び
窒化ボロンから成る群から選択された少なくとも１種で
ある請求項７又は８の回転式圧縮機。 - 【請求項１０】鉄系材料から成る部材と、この部材と摺
動可能に接する多孔質のセラミック層を備えた部材とを
有する摺動構造物の製造法において、前記鉄系材料から
成る部材を若干の空気を含む窒化ガス雰囲気中で窒化処
理した後、水蒸気雰囲気中で酸化処理を施すことを特徴
とする摺動構造物の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2051692A JP2821225B2 (ja) | 1989-03-06 | 1990-03-05 | 摺動構造物とそれを用いた圧縮機及び製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1-52110 | 1989-03-06 | ||
| JP5211089 | 1989-03-06 | ||
| JP2051692A JP2821225B2 (ja) | 1989-03-06 | 1990-03-05 | 摺動構造物とそれを用いた圧縮機及び製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0362890A JPH0362890A (ja) | 1991-03-18 |
| JP2821225B2 true JP2821225B2 (ja) | 1998-11-05 |
Family
ID=26392255
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2051692A Expired - Lifetime JP2821225B2 (ja) | 1989-03-06 | 1990-03-05 | 摺動構造物とそれを用いた圧縮機及び製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2821225B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010142350A (ja) * | 2008-12-17 | 2010-07-01 | Toshiba Corp | 洗濯機 |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE69213597T2 (de) * | 1991-06-07 | 1997-02-13 | Toshiba Kawasaki Kk | Kältemittelverdichter unter Verwendung der Kältemittel HFC134a und HFC152a |
| CN107420286B (zh) | 2012-02-20 | 2019-10-08 | 松下电器产业株式会社 | 滑动部件和使用其的制冷剂压缩机、以及冷藏库和空调机 |
| US10890363B2 (en) | 2015-09-07 | 2021-01-12 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Refrigerant compressor and refrigeration device including refrigerant compressor |
-
1990
- 1990-03-05 JP JP2051692A patent/JP2821225B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2010142350A (ja) * | 2008-12-17 | 2010-07-01 | Toshiba Corp | 洗濯機 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0362890A (ja) | 1991-03-18 |
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