JP3007284B2 - 代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーン - Google Patents
代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーンInfo
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Description
ッサー、ベーンポンプ等の圧縮機とりわけ代替フロンを
冷媒としたロータリー型圧縮機に使用されるのに適した
代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーンに関する。
プレッサーとこれを組み込んだ代表的ロータリー型圧縮
機の概略回路をブロック図で示す。本発明のサーメット
合金製ベーンはかかるロータリー型圧縮機に使用される
のに適したベーンの改良に関する。ベーン1はスプリン
グ3によりピストン2に常に押しつけられてシリンダー
4を漏れのない形で2つの空間に分ける仕切板としての
作用をしており、ピストン2の偏心回転によってピスト
ン2とシリンダー4によって形成される2空間の容量変
化により、気体(冷媒)の吸入、圧縮排気を交互に繰り
返している。ピストン2が固定軸10を中心にして回転す
るとき、シリンダー4はスプリング3に押されたベーン
の反力を受けて矢印11の方向に往復運動をして、ピスト
ン2はシリンダー4内周と常に摺接するようにされてい
る。従来、冷媒としての気体は、フロンガスが用いられ
ている。
めの条件を考えてみると、ベーンの先端は常にピストン
とそしてベーンの側面はシリンダー側面と密接して摺動
しているため、ベーンに要求される特性は、ベーン自身
が摩耗しない即ち自己摩耗が小さいと同時に、相手のピ
ストンやシリンダーも摩耗させないこと即ち相手材攻撃
性が低いことである。また圧縮機内には潤滑性を高める
ために、フロンガスに相溶性のある例えばアルキルベン
ゼン系の潤滑油が充填されている。こうした潤滑環境で
持続的に良好な作動状態を確保するには、ベーンとピス
トンが互いになじみ性があり、自己潤滑性が高いことが
必要である。このためベーンとピストンとの相互間の摩
擦係数が低いことが重要である。この摩擦係数が高いと
自己潤滑性が悪いだけでなく、潤滑油の温度が上昇し
て、カルボン酸が生じベーン材に腐食摩耗が生起するな
どの課題が考えられる。以上前記圧縮機に必要な重要要
件をまとめると、ベーンの自己摩耗が小さいこと、ベー
ンのピストンやシリンダーに対する相手材攻撃性が低い
こと、ベーンとピストン相互間の摩擦係数が低いことで
ある。
種相当の溶製高速度工具鋼またはFe系焼結材が主とし
て用いられてきている。また一部には相手材攻撃性を低
くすることを重視してカーボンを用いたり、高出力型で
耐摩耗性を重視する必要がある場合には、Al2 O3 ,
SiC等のセラミックを用いたりしてきた。そしてベー
ンの耐摩耗性や自己潤滑性を向上する目的で、ベーンの
材質面に関して、特開昭56−47550号では鉄クロ
ムカーボン系の硬質合金層を分散させたベーンが、特開
昭61−48556号ではアルミ・シリコン合金製のベ
ーンが、特開昭64−35091号では摺動面に窒化層
を処理した中空軽量ベーンが、そして特開平2−102
392号ではポーラス鉄系焼結ベーンが、それぞれ提案
されている。更に最近ではAlや高速度工具鋼を母材と
してその表面にNi−Pメッキ層あるいはフッソ樹脂粒
子の分散したNi−Pメッキ層といった硬質被覆層を形
成したベーンも提案されている。この中でAlを母材と
したものは特開昭64−32087号公報,特開平3−
18682号公報に、また高速度工具鋼を母材としたも
のは特開平6−033256号公報に開示されている。
使用されている冷媒は、クロロフルオロカーボン(以下
CFCと記す)系の所謂特定フロンとりわけ塩素(C
l)原子を2個有するCFC−12と呼ばれる特定フロ
ンが主に用いられた。このCFC系フロンは成層圈にま
で達すると紫外線に当たって分解しClを放出するので
オゾン層が破壊される。このためにCFC系フロンは国
際的にモントリオール議定書により西暦2004年まで
に全廃することが決められており、これに代替する冷媒
の開発が進められている。
ないハイドロフルオカーボン(以下HFCと記す)系の
フロンとりわけHFC−134aまたはこれを含む混合
冷媒が最も有望であり、この種の代替フロン冷媒はオゾ
ン破壊係数は0である。然るにベーンポンプやロータリ
ーコンプレッサーにHFC系代替フロンを用いると従来
のCFC系フロンを用いた場合に比べて、塩素を含まな
いため冷媒の潤滑性が劣ること、冷媒の吸湿性が大きい
こと、圧縮比を高くする必要があるためベーンに加わる
負荷が大となるなどの課題があった。特にCFC系フロ
ン用に用いられるアルキルベンゼン系潤滑油はHFC系
代替フロンに対して相溶性がないため使用できないので
相溶性のあるエステル系潤滑油が主として用いられる
が、エステル系油は潤滑性が悪く、吸湿性が大である。
従って加水分解を起こしてカルボン酸を生じ、腐食摩耗
などの悪作用をする場合があるといった課題があった。
としてHFC系フロンを用いた場合に、ベーンが具備す
べき要件を再度整理してみると、まず高負荷のため従来
より耐摩耗性の高い材質であること(自己耐摩耗性)、
次に低潤滑性環境下で焼付、カジリを起こさず持久的に
作動するためにはベーンとピストン相互間のなじみ性が
高く、従って摩擦係数が低く、自己潤滑性が高いこと
(相手材攻撃性が低いこと)、またエステル系潤滑油が
分解して生じるカルボン酸などの酸による腐食作用に十
分耐える材料であること(耐食性)などが挙げられる。
こうした点に関して、HFC系代替フロン使用下では、
従来の高速度工具鋼やFe系焼結材からなるベーンで
は、ピストンとの摺動で自己摩耗が過大となり、ついに
はカジリを起こすことが実証されており、実用に供し得
ない。またセラミックは相手材攻撃性が過大のため課題
がある。カーボンは自己摩耗が大きく強度的に脆い点が
弱点である。更に前記したNi−Pメッキ層といった硬
質層被覆したものは、耐剥離性において信頼性の課題が
解決されていない。
FC系代替フロン用に高速度工具鋼を母材として、T
i、またはCrの窒化物などを物理的あるいは化学的に
蒸着することにより、硬質層被覆をしたベーンが試験さ
れている。この種のベーンは比較的良好な特性を示すが
被覆であるが故に最終的に耐剥離性の点で信頼性が問題
となり実用面で採用となっていない。このように、従来
のCFC系フロンの場合に実用になったベーンあるいは
HFC系代替フロン用に研究されているベーンで、現在
までに分かっているものはHFC系代替フロンに対して
は表1に示すように、本発明品は別として、全て一長一
短があり実用上満足すべきものは見出されていない。
ルボン酸の生成による腐食摩耗の危険性等の悪条件が存
在する代替冷媒のHFC系代替フロンに対して要求され
る諸特性即ち相手材となるピストンを摩耗させずにベー
ン自身の摩耗も少ないという相反する特性を同時に満た
し、耐食性が良好で、長時間運転においても表層部が突
然剥離するといった危険性がなく、信頼性が確保される
ような、十分実用可能な、好適な代替フロン用耐摩耗ベ
ーンを提供することにある。
替フロンを使用した場合に要求される諸特性即ち相手材
となるピストンを摩耗させずにベーン自身の摩耗も少な
いという相反する特性を同時に満たすこと、耐食性が良
好なこと、長時間運転においても表層部が突然剥離する
といった危険性がなく、信頼性が確保されることなどと
いった事柄を全て満足する好適なベーン部材として、窒
化物を含有し、均一微細な特定の粒子径をもった硬質相
と、Niに富んだ結合相を有する代替フロン用耐摩耗サ
ーメット合金ベーンを開発した。即ち本発明によると、
重量%で5〜20%のNi及び/またはCoからなる結
合相と、残部がTiの炭化物又は窒化物もしくはこれら
の相互固容体化合物からなる芯部粒子(コアー)及びそ
の周辺組織よりなる2重有芯構造を有する硬質相と、不
可避不純物とからなる代替フロン用耐摩耗サーメット合
金であって、前記硬質相が、それぞれ重量%で、Tiを
30〜60%、Wを10〜30%、Moを0.5〜10
%、Ta,Nb,Cr,V,Zrの中の少なくとも1種
を1〜25%、Nを2〜5.4%、及びCを4〜12%
の組成からなると共に組織中に均一分散し、2重有芯構
造を有する硬質相をなし、更に平均芯部粒子径が1.5
μm以下かつ最大粒子径が5μm以下であることを特徴
とする代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーンを提
供することによって上述した従来技術の課題を解決し
た。
Tiの炭窒化物でなる芯部粒子(コアー)及びその周辺
組織よりなる2重有芯構造を有する硬質相と、重量%で
5〜20%のNi及び/またはCoからなり、耐摩耗性
と靱性を微妙にバランスさせている。そして切削工具材
料として、特に高速切断領域における耐摩耗性と靱性、
特に耐熱衝撃性が要求される分野で実用化されている。
本発明はかかる耐摩耗性を有するサーメット合金を代替
フロン用ベーンとして開発したものである。好ましく
は、前記結合相は、重量%で5〜10%のNi及びCo
を主成分とし、かつ前記結合相に占めるNiの割合が重
量%で50%以上とするができる。更に好ましくは、前
記サーメット合金中に遊離炭素を晶出させ又は析出させ
る。
プレッーにおいては、前記したように低潤滑性、高負荷
運転、カルボン酸の生成による腐食摩耗の危険性等の悪
条件が存在する。そのため本発明ベーンにおいては、ベ
ーン部材として窒化物含有型のサーメット合金を用いた
ので、耐摩耗性、耐食性がセラミック並み、相手材攻撃
性がカーボン並みで自己潤滑性が高く、セラミックやカ
ーボンのように脆くなく、高速度工具鋼に次いで十分な
強度を有するものとなった。そして、硬質相芯部にTi
の炭化物を用いることによりセラミック並の耐摩耗性を
得るものとなり、Niを結合相に用いることで耐食性に
対応するものとなった。又硬質相にTiの窒化物又は炭
窒化物を含有させることにより摩擦係数を低減して自己
潤滑性を高め相手材攻撃性の緩和を図るものとなった。
更に粒子径を均一微細な特定範囲に規定することによ
り、硬質相粒子が脱落して相手材を損傷させたり、ベー
ン自身の摩耗を促進したりすることを防止するものとな
った。
値の限定理由について述べる。 結合相量:結合相量は硬質相量に逆対応する量であっ
て、合金の耐摩耗性と靱性のバランスを設定する。結合
相量が5%未満(重量%以下同じ)の場合は、未焼結に
なりやすく、仮に焼結したとしても硬さが高過ぎとな
り、ベーン部材として相手材攻撃性が過大となり不適で
ある。又結合相量が20%を越えると、硬さが低くなる
ため耐摩耗性が低下し、場合によっては結合相金属の凝
着が生じ焼付けに発展することがある。このような理由
から結合相量を5〜20%とした。 結合相組成:サーメット合金の強度、耐食性は結合相
に大きく左右される。W,Mo,Ta,Nb,Crとい
ったものの炭化物はCo中に固溶し、歪硬化を起こし、
結合相の塑性変形能に影響を及ぼし、強度向上に寄与す
る。Coは酸により腐食されるが、Niはほとんど腐食
されない。上記により結合相中に占めるNiの割合が5
0%未満の場合はカルボン酸による腐食の影響が大き
く、実用上問題が出るためNiの下限値を50%と規定
した。
炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタンとして存在し、
この内炭化チタン、炭窒化チタンが耐摩耗性を高める作
用を行い、窒化チタン、炭窒化チタンが自己潤滑性を高
める作用と合金組織中の硬質相の微細化作用をしている
ものである。Tiが30%未満の場合は耐摩耗性が不足
し、60%を越える場合は、合金が脆くなると共に相手
材攻撃性が大となる。従ってTiの成分範囲を30〜6
0%とした。 W:硬質相の微細化と共に結合相強化作用をし、合金
の強度を確保する成分である。Wが10%未満の場合は
合金が脆くなる。また30%を越える場合も低次炭化物
として中間化合物が析出するなどの現象が起き、合金強
度が低下する。このためWを10〜30%とした。 Mo:硬質相中に存在するMoが硬質相の均一微細化
作用をし、合金の強度を高める作用をしていると共に焼
結性を改善して硬質相粒子と結合相の接合力を高め、摺
動摩擦に際して粒子の脱落を防止する役目をなしてい
る。Moが0.5%未満の場合では上記効果が得られず
10%を越えると周辺組織が厚くなり過ぎ却って硬質相
が脆くなり粒子脱落を招く。従ってMoを0.5〜10
%とした。
金属元素はTi,Mo,Wと共に複合炭窒化物を形成し
たり、金属間化合物を生成して合金の強度,耐塑性変形
性、及び耐熱性を向上する作用をしている。この内T
a,Nbは耐熱性、耐酸化性にCrは耐食性および耐塑
性変形性の向上に主として寄与する。これらの元素が1
%未満では上記の効果がなく、25%を越えると却って
脆くなる。従って1〜25%とした。 C(炭素):Cは前記硬質相形成元素(Ti,Mo,
W,Ta,Nb,Cr,V,Zr)と硬い炭化物または
炭窒化物を形成して耐摩耗性を高めカジリを少なくする
効果がある。従って硬質相形成元素の含有量との兼ね合
いでC含有量も決まってくるが、過剰に存在した場合遊
離炭素として晶出又は析出して摩擦係数の低減に寄与す
る。Cが4%未満の場合低次炭化物として脆弱な金属間
化合物が生成し合金が劣化する。また12%越えると析
出した遊離炭素が多くなり、摩耗粉となり却って相手材
を損傷させたりする。上記よりCの成分範囲を4〜12
%とした。
または炭窒化物の形で存在し、硬質相粒子の微細化作用
を有する。また窒化物としての靭さから靭性を高めると
同時に、自己潤滑性を改善する効果がある。Nが2%未
満の場合硬質相粒子の微細化作用が不十分で、自己潤滑
性も悪いため、摺動中に粒子の脱落が生じ、ピストンに
摩耗痕を生ぜしめる。Nが5.4%を越える場合は、硬
質相の硬さが低くなるため耐摩耗性が悪くなる。上記よ
りNについては2〜5.4%とした。硬質相における
芯部粒子の粒子径:本件のようなロータリーコンプレッ
サーにおけるベーンの摺動状態は、いわゆる低摩擦速度
域における摩擦−摩耗特性と考えられる。従って摩耗形
態は機械的破壊摩耗であって、凝着摩耗、アブレッシブ
摩耗、すきとり摩耗が考えられる。今回の場合は、硬質
相粒子の脱落によるアブレッシブ摩耗が主である。これ
は硬質相−結合相両者の結合力および硬質相そのものの
脆さに起因したものである。これについては粒子径を抑
制することで解決可能となった。上記より硬質相の芯部
粒子の平均粒子径を1.5μm以下、最大粒子径を5μ
m以下と規定した。
た。この中、本発明の代替フロン用耐摩耗サーメット合
金製ベーンとなるNoA〜NoHのサーメット合金およ
び比較用ベーンとなるNoI〜NoQのサーメット合金
については炭化物、窒化物、炭窒化物、金属成分等の原
料粉末をボールミルで湿式混合粉砕し、スプレードライ
ヤーで造粒した後、プレスでベーンに近似した形(ニア
ネットシェイプ)に成形し、真空炉で1400℃で焼結
して得られたものをダイヤモンド砥石で研削して完成ベ
ーンとして用いた。NoMは従来の溶製高速度工具鋼S
KH51であり、大気溶解、造塊した鋼塊を熱間鍛造と
熱間圧延および冷間引抜で平角鋼とし、熱処理後研削し
たものを用いた。NoM,NoNは各々市販のAl2O
3系セラミック、Al含浸カーボンを研削してベーンと
して用いた。NoOはNoLの高速度工具鋼SKH51
を機材としこの上にCrNを5〜10μmだけPVDコ
ーティングにより被覆したものを用いた。又NoPも同
様に上記NoLのSKH51に対しNi−Pメッキを施
したものを用いた。NoRはFe−Cr系原料粉末をプ
レスでニアネットシェイプ成形後真空炉で焼結し、その
後焼鈍、熱処理を経たものを研削して用いた。
ピストン材に相当するミーハーナイト鋳鉄(NCM)を
ディスクとして回転させ、これに対し、完成ベーンを一
定の荷重で押し付け互いに摺動させ、その摩耗量および
摩擦係数を測定した。この際、HFC系フロンの代表で
あるHFC134aを溶解したポリオールエステル油を
液槽に満たし、上記ベーンとディスクの摺動部がこの油
中に完全に浸漬した状態で試験を実施した。摺動条件と
しては、押付荷重150kgf 、油温110°C、回転速
度1.5m/sで行った。
oA〜NoHのサーメット合金であり、この中のNoA
〜NoFは健全相合金、NoG、NoHは遊離炭素の晶
出又は析出したものである。HFC系フロン存在下での
摺動特性としては、NoA〜NoFのベーン材は、CF
C系フロン存在下で主として使用されているNoL(高
速度工具鋼)、NoQ(Fe系焼結材)に比べて耐摩耗
性が格段に良く、摩擦係数の点でも優れていることが判
る。またNoG、NoHは遊離炭素による効果で、摩擦
係数がNoOのコーティング品より低く、相手材攻撃性
が低い点で優位であることが分かる。然るに、NoIの
結合相量が限界値を越えたベーン材は、耐摩耗性が著し
く悪く、C%が限界値を越えたベーン材NoJは析出し
た遊離炭素が多くなり、摩耗粉により相手材攻撃性が著
しく悪化していることが分かる。更に、硬質相粒子径が
限界値を越えたベーン材NoKは、粒子脱落により過大
摩耗となっている。
を冷媒とする圧縮機においては、従来のFe系を始めと
するベーンおよび代替フロン用に現在研究されているベ
ーンでは不十分で実用に供し得ない状況にあるのに対
し、本発明代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーン
によれば、耐摩耗性の向上と相手材攻撃性の改善により
HFC系フロン冷媒において実用可能となった。又本発
明ベーンは、チタンの炭化物または窒化物もしくは炭窒
化物を硬質相として均一微細に分散させると共に、結合
相組成をバランスさせることにより、自己潤滑性を高め
ピストンやシリンダとのカジリを抑制するだけてなく、
HFC系フロンの潤滑油が分解して生成するカルボン酸
による摩食摩耗に対しても十分な耐食性を有し、更には
硬質相被覆品などと比べて一体もののため耐剥離性の点
で信頼性が高く、総合評価で抜群の優位性を持ち、HF
C系フロン用として現在実用可能な唯一のベーン材とな
った。従って本発明の代替フロン用耐摩耗サーメット合
金製ベーンを用いれば、環境規制に対応した代替フロン
を冷媒とした圧縮機の実用化が可能となった。
10%のNi及び/またはCoからなり、かつ前記結合
相に占めるNiの割合が重量%で50%以上とすること
により、W,Mo,Ta,Nb,Crといったものの炭
化物がCo中に固溶し、歪硬化を起こし、結合相の塑性
変形能に影響を及ぼし、より強度を向上させて耐摩耗性
を向上させることに寄与する。更に好ましくは、前記サ
ーメット合金中に遊離炭素を晶出させ又は析出してなる
ことにより、摩擦係数を格段に低減して自己潤滑性の向
上を図ると共に潤滑油の昇温を防止して、カルボン酸の
生成を抑制するものとなった。
ベーンが使用される代替フロンを冷媒としたロータリー
型圧縮機の概略回路を示すブロック図。
ミクロ組織模式図。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で5〜20%のNi及び/またはC
oからなる結合相と、残部がTiの炭化物又は窒化物も
しくはこれらの相互固容体化合物からなる芯部粒子(コ
アー)及びその周辺組織よりなる2重有芯構造を有する
硬質相と、不可避不純物とからなる代替フロン用耐摩耗
サーメット合金であって、前記硬質相が、それぞれ重量
%で、Tiを30〜60%、Wを10〜30%、Moを
0.5〜10%、Ta,Nb,Cr,V,Zrの中の少
なくとも1種を1〜25%、N(窒素)を2〜5.4
%、及びC(炭素)を4〜12%の組成からなると共に
基地中に均一分散し、2重有芯構造を有する硬質相をな
し、更に平均芯部粒子径が1.5μm以下かつ最大粒子
径が5μm以下であることを特徴とする代替フロン用耐
摩耗サーメット合金製ベーン。 - 【請求項2】前記結合相に占めるNiの割合が重量%で
50%以上であることを特徴とする請求項1記載の代替
フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーン。 - 【請求項3】前記サーメット合金中に遊離炭素を晶出又
は析出してなることを特徴とする請求項1又は請求項2
記載の代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーン。
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JP7187683A JP3007284B2 (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 代替フロン用耐摩耗サーメット合金製ベーン |
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