JPH0790324A - 耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部材 - Google Patents
耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部材Info
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- JPH0790324A JPH0790324A JP5251196A JP25119693A JPH0790324A JP H0790324 A JPH0790324 A JP H0790324A JP 5251196 A JP5251196 A JP 5251196A JP 25119693 A JP25119693 A JP 25119693A JP H0790324 A JPH0790324 A JP H0790324A
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- Japan
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- sintered alloy
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 ロータリーコンプレッサやスクロールコンプ
レッサなどのコンプレッサの構造部材である耐摩耗性の
すぐれた摺動部材を提供する。 【構成】 コンプレッサ用摺動部材が、分散相形成成分
としてMo−Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−
Ni−Co合金のうちの1種以上:2〜20%を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜16%、M
o:1〜5%、V:0.4〜3%を含有し、さらに必要
に応じてNi:0.1〜2%およびCo:0.1〜8%
のうちの1種以上を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成(以上重量%)、並びに5〜20%の空孔
率を有するFe基焼結合金に、CuまたはCu合金を溶
浸してなる銅溶浸Fe基焼結合金からなる。
レッサなどのコンプレッサの構造部材である耐摩耗性の
すぐれた摺動部材を提供する。 【構成】 コンプレッサ用摺動部材が、分散相形成成分
としてMo−Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−
Ni−Co合金のうちの1種以上:2〜20%を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜16%、M
o:1〜5%、V:0.4〜3%を含有し、さらに必要
に応じてNi:0.1〜2%およびCo:0.1〜8%
のうちの1種以上を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成(以上重量%)、並びに5〜20%の空孔
率を有するFe基焼結合金に、CuまたはCu合金を溶
浸してなる銅溶浸Fe基焼結合金からなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、苛酷な条件下での使
用でもすぐれた耐摩耗性を発揮し、かつ相手攻撃性も著
しく低いコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部
材に関するものである。
用でもすぐれた耐摩耗性を発揮し、かつ相手攻撃性も著
しく低いコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば冷蔵庫やエアコンなどに組
込まれて使用されるロータリーコンプレッサの構造部材
であるベーン部材やローラ部材、さらにスクロールコン
プレッサのスクロール部材などのコンプレッサ用摺動部
材の製造に、特開平1−188649号公報に記載され
るFe基焼結合金や、その他多くのFe基焼結合金が用
いられていることは良く知られるところである。
込まれて使用されるロータリーコンプレッサの構造部材
であるベーン部材やローラ部材、さらにスクロールコン
プレッサのスクロール部材などのコンプレッサ用摺動部
材の製造に、特開平1−188649号公報に記載され
るFe基焼結合金や、その他多くのFe基焼結合金が用
いられていることは良く知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年のロータリ
ーコンプレッサやスクロールコンプレッサなどの各種コ
ンプレッサの高性能化および小型化はめざましく、これ
に伴ない、これらの構造部材である摺動部材にも薄肉化
および小型化が要求され、かつ一段と苛酷な条件下での
使用を予儀なくされ、さらに最近ではオゾン層破壊の原
因となっているフロンR12に代ってフロンR134a
を冷媒として使用する傾向になりつつあるが、かかる使
用環境下では、従来の各種Fe基焼結合金製摺動部材
は、摩耗進行が速く、比較的短時間で使用寿命に至るの
が現状である。
ーコンプレッサやスクロールコンプレッサなどの各種コ
ンプレッサの高性能化および小型化はめざましく、これ
に伴ない、これらの構造部材である摺動部材にも薄肉化
および小型化が要求され、かつ一段と苛酷な条件下での
使用を予儀なくされ、さらに最近ではオゾン層破壊の原
因となっているフロンR12に代ってフロンR134a
を冷媒として使用する傾向になりつつあるが、かかる使
用環境下では、従来の各種Fe基焼結合金製摺動部材
は、摩耗進行が速く、比較的短時間で使用寿命に至るの
が現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、より一段と耐摩耗性のすぐれた
コンプレッサ用摺動部材を開発すべく研究を行なった結
果、摺動部材を、分散相形成成分として、望ましくはN
i:0.1〜10%含有のMo−Ni合金、同じくC
o:0.1〜10%含有のMo−Co合金、および同じ
くNi+Co:0.1〜10%含有のMo−Ni−Co
合金のうちの1種または2種以上:2〜20%、を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜
16%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、を含
有し、さらに必要に応じて、Ni:0.1〜2%、
Co:0.1〜8%、のうちの1種または2種、を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成(以上重
量%、以下組成に関する%は重量%を示す)、並びに5
〜20%の空孔率を有し、かつ素地が、微細な炭化物が
分散析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合
金に、CuまたはCu合金を溶浸してなる銅溶浸Fe基
焼結合金で構成すると、この結果の銅溶浸Fe基焼結合
金製摺動部材は、苛酷な条件下での実用に際してすぐれ
た耐摩耗性を示し、相手攻撃性も低く、著しく長期に亘
ってすぐれた性能を発揮するという研究結果を得たので
ある。
上述のような観点から、より一段と耐摩耗性のすぐれた
コンプレッサ用摺動部材を開発すべく研究を行なった結
果、摺動部材を、分散相形成成分として、望ましくはN
i:0.1〜10%含有のMo−Ni合金、同じくC
o:0.1〜10%含有のMo−Co合金、および同じ
くNi+Co:0.1〜10%含有のMo−Ni−Co
合金のうちの1種または2種以上:2〜20%、を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜
16%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、を含
有し、さらに必要に応じて、Ni:0.1〜2%、
Co:0.1〜8%、のうちの1種または2種、を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成(以上重
量%、以下組成に関する%は重量%を示す)、並びに5
〜20%の空孔率を有し、かつ素地が、微細な炭化物が
分散析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合
金に、CuまたはCu合金を溶浸してなる銅溶浸Fe基
焼結合金で構成すると、この結果の銅溶浸Fe基焼結合
金製摺動部材は、苛酷な条件下での実用に際してすぐれ
た耐摩耗性を示し、相手攻撃性も低く、著しく長期に亘
ってすぐれた性能を発揮するという研究結果を得たので
ある。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、分散相形成成分として、Mo−
Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合
金のうちの1種または2種以上:2〜20%、を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜
16%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、を含
有し、さらに必要に応じて、Ni:0.1〜2%、
Co:0.1〜8%、のうちの1種または2種、を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並びに
5〜20%の空孔率を有し、かつ素地が、微細な炭化物
が分散析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結
合金に、CuまたはCu合金を溶浸してなる銅溶浸Fe
基焼結合金で構成したコンプレッサ用摺動部材に特徴を
有するものである。
なされたものであって、分散相形成成分として、Mo−
Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合
金のうちの1種または2種以上:2〜20%、を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜
16%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、を含
有し、さらに必要に応じて、Ni:0.1〜2%、
Co:0.1〜8%、のうちの1種または2種、を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成、並びに
5〜20%の空孔率を有し、かつ素地が、微細な炭化物
が分散析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結
合金に、CuまたはCu合金を溶浸してなる銅溶浸Fe
基焼結合金で構成したコンプレッサ用摺動部材に特徴を
有するものである。
【0006】つぎに、この発明のコンプレッサ用摺動部
材を構成するFe基焼結合金の成分組成および空孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。 (a) 分散相形成成分 これらの成分は、望ましくはNiおよび/またはCoを
0.1〜10%の割合で含有するMo−Ni合金、Mo
−Co合金、およびMo−Ni−Co合金からなり、焼
結時のNiおよび/またはCoの素地への拡散によって
素地と強固に接合し、かつ素地に分散して耐焼付性を向
上させ、苛酷な条件下での実用に際してもスムーズな運
転を可能として、摩耗進行を抑制する作用をもつが、そ
の含有量が2%未満では前記作用に所望の効果が得られ
ず、一方その含有量が20%を越えると強度が急激に低
下するようになることから、その含有量を2〜20%と
定めた。
材を構成するFe基焼結合金の成分組成および空孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。 (a) 分散相形成成分 これらの成分は、望ましくはNiおよび/またはCoを
0.1〜10%の割合で含有するMo−Ni合金、Mo
−Co合金、およびMo−Ni−Co合金からなり、焼
結時のNiおよび/またはCoの素地への拡散によって
素地と強固に接合し、かつ素地に分散して耐焼付性を向
上させ、苛酷な条件下での実用に際してもスムーズな運
転を可能として、摩耗進行を抑制する作用をもつが、そ
の含有量が2%未満では前記作用に所望の効果が得られ
ず、一方その含有量が20%を越えると強度が急激に低
下するようになることから、その含有量を2〜20%と
定めた。
【0007】(b) C C成分には、素地に固溶して、これを強化するほか、焼
入れおよび焼戻しの熱処理によって素地中に微細に析出
する炭化物を形成して素地の硬さを高め、もって耐摩耗
性向上に寄与する作用があるが、その含有量が1%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が3%を越えると靭性が急激に低下するようになること
から、その含有量を1〜3%と定めた。
入れおよび焼戻しの熱処理によって素地中に微細に析出
する炭化物を形成して素地の硬さを高め、もって耐摩耗
性向上に寄与する作用があるが、その含有量が1%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が3%を越えると靭性が急激に低下するようになること
から、その含有量を1〜3%と定めた。
【0008】(c) Si Si成分には、素地に固溶して、これの硬さを向上させ
るほか、脱酸作用があるが、その含有量が0.3%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が1.5%を越えると靭性が低下するようになることか
ら、その含有量を0.3〜1.5%と定めた。
るほか、脱酸作用があるが、その含有量が0.3%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が1.5%を越えると靭性が低下するようになることか
ら、その含有量を0.3〜1.5%と定めた。
【0009】(d) Cr Cr成分には、素地に固溶して耐食性を向上させるほ
か、平均粒径で10μm以下の微細な炭化物を形成して
素地の硬さを一段と向上させ、耐摩耗性向上に寄与する
作用があるが、その含有量が8.5%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その含有量が16%を越
えると相手攻撃性が急激に増大するようになることか
ら、その含有量を8.5〜16%と定めた。
か、平均粒径で10μm以下の微細な炭化物を形成して
素地の硬さを一段と向上させ、耐摩耗性向上に寄与する
作用があるが、その含有量が8.5%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その含有量が16%を越
えると相手攻撃性が急激に増大するようになることか
ら、その含有量を8.5〜16%と定めた。
【0010】(e) Mo Mo成分にも、Crと同様に素地中に微細に分散析出す
る炭化物を形成して素地の硬さを向上させるほか、分散
相形成成分が含有するNiおよび/またはCoの焼結時
の素地への拡散を促進して、これの素地に対する接合強
度を向上させる作用があるが、その含有量が1%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
5%を越えると靭性が低下するようになることから、そ
の含有量を1〜5%と定めた。
る炭化物を形成して素地の硬さを向上させるほか、分散
相形成成分が含有するNiおよび/またはCoの焼結時
の素地への拡散を促進して、これの素地に対する接合強
度を向上させる作用があるが、その含有量が1%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
5%を越えると靭性が低下するようになることから、そ
の含有量を1〜5%と定めた。
【0011】(f) V V成分にも、CrおよびMoと同様に平均粒径で10μ
m以下の微細な析出炭化物を形成して硬さを向上させる
ほか、結晶粒を微細化して強度を向上させる作用がある
が、その含有量が0.4%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その含有量が3%を越えると相手攻
撃性が増すようになることから、その含有量を0.4〜
3%と定めた。
m以下の微細な析出炭化物を形成して硬さを向上させる
ほか、結晶粒を微細化して強度を向上させる作用がある
が、その含有量が0.4%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その含有量が3%を越えると相手攻
撃性が増すようになることから、その含有量を0.4〜
3%と定めた。
【0012】(g) NiおよびCo これらの成分には、素地に固溶して、強度と靭性を向上
させる作用があるので、必要に応じて含有されるが、そ
の含有量がいずれの場合もそれぞれ0.1%未満では前
記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が
Ni:2%、およびCo:5%を越えると素地の硬さが
低下し、耐摩耗性が低下するようになることから、その
含有量をNi:0.1〜2%およびCo:0.1〜5%
と定めた。
させる作用があるので、必要に応じて含有されるが、そ
の含有量がいずれの場合もそれぞれ0.1%未満では前
記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が
Ni:2%、およびCo:5%を越えると素地の硬さが
低下し、耐摩耗性が低下するようになることから、その
含有量をNi:0.1〜2%およびCo:0.1〜5%
と定めた。
【0013】(h) 空孔率 その割合が5%未満では、銅溶浸が十分に行なわれず、
この結果十分な気密性および耐食性、さらになじみ性を
確保することができないばかりでなく、相手攻撃性が現
われるようになり、一方その割合が20%を越えると耐
摩耗性が急激に低下するようになることから、その割合
を5〜20%と定めた。
この結果十分な気密性および耐食性、さらになじみ性を
確保することができないばかりでなく、相手攻撃性が現
われるようになり、一方その割合が20%を越えると耐
摩耗性が急激に低下するようになることから、その割合
を5〜20%と定めた。
【0014】
【実施例】つぎに、この発明のコンプレッサ用摺動部材
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも100mesh以下の粒度をもち、かつ表1〜3に示
される成分組成をもった水アトマイズの素地形成用Fe
基合金粉末A1〜A17並びにB1〜B5、さらに10
〜50μmの範囲内の所定の平均粒径をもち、かつ表3
に示される成分組成をもった分散相形成用Mo基合金粉
末a〜l並びに金属Mo粉末、そして粒度:−325me
sh以下の黒鉛粉末を用意し、これら原料粉末を、表4,
5に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、5〜7ton /cm2 の範囲内の
所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、真
空中、1090〜1120℃の範囲内の所定の温度に
1.5時間保持の条件で焼結して、実質的に配合組成と
同一の成分組成を有し、いずれも幅:20mm×長さ:1
7mm×厚さ:4mmの長方形板状にして、相手部材である
ローラーピストンと当接する長手方向の片側端面をR4
の曲面とし、かつ表4,5にそれぞれ示される空孔率を
もつものとし、さらに引続いてこれに、無酸素銅(純銅
という)、Cu−3%Coの組成をもったCu合金(C
u合金1という)、およびCu−2.5%Fe−1.5
%Zn−1.5%Mnの組成をもったCu合金(Cu合
金2という)を、同じく表4,5に示される組合せで載
置し、この状態で真空中、温度:1090℃に15分間
保持の条件で銅溶浸を行ない、銅溶浸後、1000〜1
050℃の範囲内の所定温度からガス強制冷却による焼
入れと、500〜600℃の範囲内の所定温度に2時間
保持の焼戻しの熱処理を2回繰り返し施して素地に炭化
物を十分に分散析出させることによりロータリーコンプ
レッサのベーン部材形状をもった本発明銅溶浸Fe基焼
結合金製摺動部材(以下、本発明銅溶浸焼結摺動部材と
いう)1〜17をそれぞれ製造した。また、比較の目的
で、表5に示されるように上記の特開平1−18864
9号公報に記載されるFe基焼結合金に相当する組成と
し、かつ上記の銅溶浸および熱処理を行なわない以外は
同一の条件で従来Fe基焼結合金製摺動部材(以下、従
来焼結摺動部材という)1〜5を製造した。
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも100mesh以下の粒度をもち、かつ表1〜3に示
される成分組成をもった水アトマイズの素地形成用Fe
基合金粉末A1〜A17並びにB1〜B5、さらに10
〜50μmの範囲内の所定の平均粒径をもち、かつ表3
に示される成分組成をもった分散相形成用Mo基合金粉
末a〜l並びに金属Mo粉末、そして粒度:−325me
sh以下の黒鉛粉末を用意し、これら原料粉末を、表4,
5に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、5〜7ton /cm2 の範囲内の
所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を、真
空中、1090〜1120℃の範囲内の所定の温度に
1.5時間保持の条件で焼結して、実質的に配合組成と
同一の成分組成を有し、いずれも幅:20mm×長さ:1
7mm×厚さ:4mmの長方形板状にして、相手部材である
ローラーピストンと当接する長手方向の片側端面をR4
の曲面とし、かつ表4,5にそれぞれ示される空孔率を
もつものとし、さらに引続いてこれに、無酸素銅(純銅
という)、Cu−3%Coの組成をもったCu合金(C
u合金1という)、およびCu−2.5%Fe−1.5
%Zn−1.5%Mnの組成をもったCu合金(Cu合
金2という)を、同じく表4,5に示される組合せで載
置し、この状態で真空中、温度:1090℃に15分間
保持の条件で銅溶浸を行ない、銅溶浸後、1000〜1
050℃の範囲内の所定温度からガス強制冷却による焼
入れと、500〜600℃の範囲内の所定温度に2時間
保持の焼戻しの熱処理を2回繰り返し施して素地に炭化
物を十分に分散析出させることによりロータリーコンプ
レッサのベーン部材形状をもった本発明銅溶浸Fe基焼
結合金製摺動部材(以下、本発明銅溶浸焼結摺動部材と
いう)1〜17をそれぞれ製造した。また、比較の目的
で、表5に示されるように上記の特開平1−18864
9号公報に記載されるFe基焼結合金に相当する組成と
し、かつ上記の銅溶浸および熱処理を行なわない以外は
同一の条件で従来Fe基焼結合金製摺動部材(以下、従
来焼結摺動部材という)1〜5を製造した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】つぎに、この結果得られた本発明銅溶浸焼
結摺動部材1〜17および従来焼結摺動部材1〜5を、 圧縮室の寸法:内径41mm×幅20mm、 ローラーピストンの材質:FC300の熱処理材、 ローラーピストンの寸法:外径32mm×幅20mm、 からなるロータリーコンプレッサに組込み、 使用冷媒:フロン134a、 ローラーピストンへの押付力:21kgf 、 ローラーピストンの回転数:1100r.p.m 、 試験時間:700時間、 の条件で実機試験を行ない、最大摩耗深さを測定した。
これらの測定結果を表4,5に相手部材であるローラー
ピストンの最大摩耗深さと共に示した。
結摺動部材1〜17および従来焼結摺動部材1〜5を、 圧縮室の寸法:内径41mm×幅20mm、 ローラーピストンの材質:FC300の熱処理材、 ローラーピストンの寸法:外径32mm×幅20mm、 からなるロータリーコンプレッサに組込み、 使用冷媒:フロン134a、 ローラーピストンへの押付力:21kgf 、 ローラーピストンの回転数:1100r.p.m 、 試験時間:700時間、 の条件で実機試験を行ない、最大摩耗深さを測定した。
これらの測定結果を表4,5に相手部材であるローラー
ピストンの最大摩耗深さと共に示した。
【0021】
【発明の効果】表4,5に示される結果から、本発明銅
溶浸焼結摺動部材1〜17は、いずれも厳しい腐食環境
下で従来焼結摺動部材1〜5に比して一段とすぐれた耐
摩耗性を示し、かつ相手攻撃性も著しく低いことが明ら
かである。上述のように、この発明のコンプレッサ用銅
溶浸Fe基焼結合金製摺動部材は、苛酷な条件下での実
用に際しても、きわめて低い相手攻撃性を保持した状態
で、すぐれた耐摩耗性を発揮し、ロータリーコンプレッ
サやスクロールコンプレッサなどのコンプレッサの小型
化および軽量化、さらに高性能化に十分対応することが
できるのである。
溶浸焼結摺動部材1〜17は、いずれも厳しい腐食環境
下で従来焼結摺動部材1〜5に比して一段とすぐれた耐
摩耗性を示し、かつ相手攻撃性も著しく低いことが明ら
かである。上述のように、この発明のコンプレッサ用銅
溶浸Fe基焼結合金製摺動部材は、苛酷な条件下での実
用に際しても、きわめて低い相手攻撃性を保持した状態
で、すぐれた耐摩耗性を発揮し、ロータリーコンプレッ
サやスクロールコンプレッサなどのコンプレッサの小型
化および軽量化、さらに高性能化に十分対応することが
できるのである。
Claims (2)
- 【請求項1】 分散相形成成分として、Mo−Ni合
金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合金のう
ちの1種または2種以上:2〜20%、を含有し、以下
いずれも素地形成成分として、 C:1〜3%、 Si:0.3〜1.5%、 Cr:8.5〜16%、 Mo:1〜5%、 V:0.4〜3%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成(以
上重量%)、並びに5〜20%の空孔率を有し、かつ素
地が、微細な炭化物が分散析出したマルテンサイト組織
からなるFe基焼結合金に、CuまたはCu合金を溶浸
してなる銅溶浸Fe基焼結合金で構成したことを特徴と
する耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼
結合金製摺動部材。 - 【請求項2】 分散相形成成分として、Mo−Ni合
金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合金のう
ちの1種または2種以上:2〜20%、を含有し、以下
いずれも素地形成成分として、 C:1〜3%、 Si:0.3〜1.5%、 Cr:8.5〜16%、 Mo:1〜5%、 V:0.4〜3%、 を含有し、さらに、 Ni:0.1〜2%、 Co:0.1〜8%、 のうちの1種または2種、を含有し、残りがFeと不可
避不純物からなる組成(以上重量%)、並びに5〜20
%の空孔率を有し、かつ素地が、微細な炭化物が分散析
出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合金に、
CuまたはCu合金を溶浸してなる銅溶浸Fe基焼結合
金で構成したことを特徴とする耐摩耗性のすぐれたコン
プレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5251196A JPH0790324A (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5251196A JPH0790324A (ja) | 1993-09-13 | 1993-09-13 | 耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用銅溶浸Fe基焼結合金製摺動部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0790324A true JPH0790324A (ja) | 1995-04-04 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1331395A3 (en) * | 2002-01-24 | 2003-09-10 | Copeland Corporation | Powder metal scrolls |
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-
1993
- 1993-09-13 JP JP5251196A patent/JPH0790324A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1331395A3 (en) * | 2002-01-24 | 2003-09-10 | Copeland Corporation | Powder metal scrolls |
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US7845918B2 (en) | 2002-01-24 | 2010-12-07 | Emerson Climate Technologies, Inc. | Powder metal scrolls |
EP2282060A3 (en) * | 2002-01-24 | 2013-05-01 | Emerson Climate Technologies, Inc. | Powder metal scrolls |
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