JPH06330223A - 耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用Fe基焼結合金製摺動部材 - Google Patents

耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用Fe基焼結合金製摺動部材

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JPH06330223A
JPH06330223A JP14571493A JP14571493A JPH06330223A JP H06330223 A JPH06330223 A JP H06330223A JP 14571493 A JP14571493 A JP 14571493A JP 14571493 A JP14571493 A JP 14571493A JP H06330223 A JPH06330223 A JP H06330223A
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JP
Japan
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sliding member
sintered alloy
compressor
wear resistance
alloy
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JP14571493A
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English (en)
Inventor
Koji Kobayashi
孝司 小林
Kazuyuki Hoshino
和之 星野
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロータリーコンプレッサなどのコンプレッサ
の構造部材である耐摩耗性にすぐれた摺動部材を提供す
る。 【構成】 コンプレッサ用摺動部材を、分散相形成成分
としてMo−Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−
Ni−Co合金のうちの1種以上:2〜20%を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜16%、M
o:1〜5%、V:0.4〜3%、Mn:0.1〜2%
を含有し、さらに必要に応じてNi:0.1〜2%およ
びCo:0.1〜8%のうちの1種以上を含有し、残り
がFeと不可避不純物からなる組成(以上重量%)を有
し、かつ素地が、微細な炭化物が分散析出したマルテン
サイト組織からなるFe基焼結合金で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、苛酷な条件下での使
用でもすぐれた耐摩耗性を発揮し、かつ相手攻撃性も著
しく低いコンプレッサ用Fe基焼結合金製摺動部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば冷蔵庫やエアコンなどに組
込まれて使用されるロータリーコンプレッサの構造部材
であるベーン部材やローラ部材、さらにスクロールコン
プレッサのスクロール部材などのコンプレッサ用摺動部
材の製造に、特開平1−188649号公報に記載され
るFe基焼結合金や、その他多くのFe基焼結合金が用
いられていることは良く知られるところである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年のロータリ
ーコンプレッサやスクロールコンプレッサなどのコンプ
レッサの高性能化および小型化はめざましく、これに伴
ない、これらの構造部材である摺動部材にも薄肉化およ
び小型化が要求されるほか、その使用環境も一段と苛酷
さを増す状況にあるが、かかる使用環境下では、従来の
各種Fe基焼結合金製摺動部材は、摩耗進行が速く、比
較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、より一段と耐摩耗性のすぐれた
コンプレッサ用摺動部材を開発すべく研究を行なった結
果、コンプレッサ用摺動部材を、重量%で(以下、%は
重量%を示す)、分散相形成成分として、望ましくはN
i:0.1〜10%含有のMo−Ni合金、同じくC
o:0.1〜10%含有のMo−Co合金、および同じ
くNi+Co:0.1〜10%含有のMo−Ni−Co
合金のうちの1種または2種以上:2〜20%、含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜1
6%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、 M
n:0.1〜2%、を含有し、さらに必要に応じて、N
i:0.1〜2%、 Co:0.1〜8%、のうちの
1種または2種、を含有し、残りがFeと不可避不純物
からなる組成を有し、かつ素地が、微細な炭化物が分散
析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合金で
構成すると、この結果のコンプレッサ用Fe基焼結合金
製摺動部材は、コンプレッサの構造部材として苛酷な条
件下での実用に際しても一段とすぐれた耐摩耗性を示
し、著しく長期に亘ってすぐれた性能を発揮するという
研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、分散相形成成分として、Mo−
Ni合金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合
金のうちの1種または2種以上:2〜20%、を含有
し、以下いずれも素地形成成分として、C:1〜3%、
Si:0.3〜1.5%、Cr:8.5〜1
6%、 Mo:1〜5%、V:0.4〜3%、 M
n:0.1〜2%、を含有し、さらに必要に応じて、N
i:0.1〜2%、 Co:0.1〜8%、、のうち
の1種または2種、を含有し、残りがFeと不可避不純
物からなる組成を有し、かつ素地が、微細な炭化物が分
散析出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合金
で構成してなる耐摩耗性にすぐれたコンプレッサ用摺動
部材に特徴を有するものである。
【0006】つぎに、この発明の摺動部材を構成するF
e基焼結合金の成分組成を上記の通りに限定した理由を
説明する。 (a) 分散相形成成分 これらの成分は、望ましくはNiおよび/またはCoを
0.1〜10%の割合で含有するMo−Ni合金、Mo
−Co合金、およびMo−Ni−Co合金からなり、焼
結時のNiおよび/またはCoの素地への拡散によって
素地と強固に接合し、かつ素地に分散して耐焼付性を向
上させ、苛酷な条件下での実用に際してもスムーズな運
転を可能として、摩耗進行を抑制する作用をもつが、そ
の含有量が2%未満では前記作用に所望の効果が得られ
ず、一方その含有量が20%を越えると強度が急激に低
下するようになることから、その含有量を2〜20%と
定めた。
【0007】(b) C C成分には、素地に固溶して、これを強化するほか、焼
入れおよび焼戻しの熱処理によって素地中に微細に析出
する炭化物を形成して素地の硬さを高め、もって耐摩耗
性向上に寄与する作用があるが、その含有量が1%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が3%を越えると靭性が急激に低下するようになること
から、その含有量を1〜3%と定めた。
【0008】(c) Si Si成分には、素地に固溶して、これの硬さを向上させ
るほか、脱酸作用があるが、その含有量が0.3%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が1.5%を越えると靭性が低下するようになることか
ら、その含有量を0.3〜1.5%と定めた。
【0009】(d) Cr Cr成分には、素地に固溶して耐食性を向上させるほ
か、平均粒径で10μm以下の微細な炭化物を形成して
素地の硬さを一段と向上させ、耐摩耗性向上に寄与する
作用があるが、その含有量が8.5%未満では前記作用
に所望の効果が得られず、一方その含有量が16%を越
えると相手攻撃性が急激に増大するようになることか
ら、その含有量を8.5〜16%と定めた。
【0010】(e) Mo Mo成分にも、Crと同様に素地中に微細に分散析出す
る炭化物を形成して素地の硬さを向上させるほか、分散
相形成成分が含有するNiおよび/またはCoの焼結時
の素地への拡散を促進して、これの素地に対する接合強
度を向上させる作用があるが、その含有量が1%未満で
は前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が
5%を越えると靭性が低下するようになることから、そ
の含有量を1〜5%と定めた。
【0011】(f) V V成分にも、CrおよびMoと同様に平均粒径で10μ
m以下の微細な析出炭化物を形成して硬さを向上させる
ほか、結晶粒を微細化して強度を向上させる作用がある
が、その含有量が0.4%未満では前記作用に所望の効
果が得られず、一方その含有量が3%を越えると相手攻
撃性が増すようになることから、その含有量を0.4〜
3%と定めた。
【0012】(g) Mn Mn成分には、素地に固溶して、これの靭性を向上させ
る作用があるが、その含有量が0.1%未満では、所望
の靭性向上効果が得られず、一方その含有量が2%を越
えると炭化物の素地への析出が抑制させるようになるこ
とから、その含有量を0.1〜2%と定めた。
【0013】(h) NiおよびCo これらの成分には、素地に固溶して、強度と靭性を向上
させる作用があるので、必要に応じて含有されるが、そ
の含有量がいずれの場合もそれぞれ0.1%未満では前
記作用に所望の向上効果が得られず、一方その含有量が
Ni:2%、およびCo:8%を越えると素地の硬さが
低下し、耐摩耗性が低下するようになることから、その
含有量を、Ni:0.1〜2%およびCo:0.1〜8
%と定めた。
【0014】
【実施例】つぎに、この発明のコンプレッサ用摺動部材
を実施例により具体的に説明する。原料粉末として、い
ずれも100mesh以下の粒度をもち、かつ表1,2に示
される成分組成をもった水アトマイズの素地形成用Fe
基合金粉末A1〜A17並びにB1〜B5、さらに10
〜50μmの範囲内の所定の平均粒径をもち、かつ表3
に示される成分組成をもった分散相形成用Mo基合金粉
末a〜l並びに金属Mo粉末、そして粒度:−325me
sh以下の黒鉛粉末を用意し、これら原料粉末を、表4,
5に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間
湿式混合し、乾燥した後、7ton /cm2 の圧力で圧粉体
にプレス成形し、この圧粉体を、真空中、1070〜1
120℃の範囲内の所定の温度に1.5時間保持の条件
で焼結し、引続いて1000〜1050℃の範囲内の所
定温度からガス強制冷却による焼入れと、500〜60
0℃の範囲内の所定温度に2時間保持の焼戻しの熱処理
を2回繰り返し施して、マルテンサイト素地に平均粒径
で10μm以下の微細な炭化物を均一に析出させること
により、実質的に配合組成と同一の成分組成を有し、か
ついずれも幅:20mm×長さ:17mm×厚さ:4mmの長
方形板状にして、相手部材であるローラーピストンと当
接する長手方向の片側端面をR4の曲面としてロータリ
ーコンプレッサ用とし、かつ同じく表4,5に示される
理論密度比をもった本発明Fe基焼結合金製ベーン部材
(以下、本発明焼結ベーン部材という)1〜17、およ
び上記特開平1−188649号公報に記載されるFe
基焼結合金に相当する組成をもったFe基焼結合金で構
成された従来Fe基焼結合金製ベーン部材(以下、従来
焼結ベーン部材という)1〜5を製造した。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】つぎに、この結果得られた各種の焼結ベー
ン部材を、 圧縮室の寸法:内径41mm×幅20mm、 ローラピストンの材質:FC300の熱処理材、 ローラピストンの寸法:外形32mm×幅20mm、 からなるロータリーコンプレッサに組込み、 使用冷媒:フロン134a、 ローラピストンへの押付力:16kgf 、 ローラピストンの回転数:750r.p.m.、 試験時間:800時間、 の条件で実機試験を行ない、最大摩耗深さを測定した。
これらの測定結果を表4,5に相手部材であるローラピ
ストンの最大摩耗深さと共に示した。
【0021】
【発明の効果】表4,5に示される結果から、本発明焼
結ベーン部材1〜17は、いずれも厳しい腐食環境下で
従来焼結ベーン部材1〜5に比して一段とすぐれた耐摩
耗性を示し、かつ相手攻撃性も低いことが明らかであ
る。上述のように、この発明のコンプレッサ用Fe基焼
結合金製摺動部材は、苛酷な条件下での実用に際して
も、低い相手攻撃性を保持した状態で、すぐれた耐摩耗
性を発揮し、ロータリーコンプレッサやスクロールコン
プレッサなどコンプレッサの小型化および軽量化、さら
に高性能化に十分対応することができるのである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散相形成成分として、Mo−Ni合
    金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合金のう
    ちの1種または2種以上:2〜20%、を含有し、以下
    いずれも素地形成成分として、 C:1〜3%、 Si:0.3〜1.5%、 Cr:8.5〜16%、 Mo:1〜5%、 V:0.4〜3%、 Mn:0.1〜2%、 を含有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成(以
    上重量%)を有し、かつ素地が、微細な炭化物が分散析
    出したマルテンサイト組織からなるFe基焼結合金で構
    成したことを特徴とする耐摩耗性のすぐれたコンプレッ
    サ用Fe基焼結合金製摺動部材。
  2. 【請求項2】 分散相形成成分として、Mo−Ni合
    金、Mo−Co合金、およびMo−Ni−Co合金のう
    ちの1種または2種以上:2〜20%、を含有し、以下
    いずれも素地形成成分として、 C:1〜3%、 Si:0.3〜1.5%、 Cr:8.5〜16%、 Mo:1〜5%、 V:0.4〜3%、 Mn:0.1〜2%、 を含有し、さらに、 Ni:0.1〜2%、 Co:0.1〜8%、 のうちの1種または2種、を含有し、残りがFeと不可
    避不純物からなる組成(以上重量%)を有し、かつ素地
    が、微細な炭化物が分散析出したマルテンサイト組織か
    らなるFe基焼結合金で構成したことを特徴とする耐摩
    耗性のすぐれたコンプレッサ用Fe基焼結合金製摺動部
    材。
JP14571493A 1993-05-25 1993-05-25 耐摩耗性のすぐれたコンプレッサ用Fe基焼結合金製摺動部材 Withdrawn JPH06330223A (ja)

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