JP2841910B2 - 動力車両における油圧昇降制御装置 - Google Patents

動力車両における油圧昇降制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】この発明は、トラクタ−の動力車
両の油圧昇降制御装置に関するものである。
【従来の技術】所謂電子制御付きのトラクタ−には、作
業機を昇降させるポジション操作レバ−と、ON−OF
F式スイッチで構成された作業機昇降スイッチと、作業
機の最大上昇高さを設定する上げ位置設定器が備えられ
ている。通常、作業機の高さはポジション操作レバ−に
て設定されるが、機体の旋回時の油圧操作を簡略化する
ために、昇降スイッチのON−OFF操作で作業機を昇
降させる方式が確立されており、この場合、作業機の最
小の下降位置はポジション操作レバ−にて設定された高
さであり、最大上昇位置は別に備えられた上げ位置設定
器にて行なわれる。即ち、畦際で昇降スイッチを操作す
ると、作業機は上げ位置設定器にて定まる高さまで上昇
し、再度昇降スイッチを操作すると、作業機はポジショ
ン操作レバ−にて設定された高さまで下降すべく構成さ
れている。また、近年のトラクタ−はエンジン始動直後
に、油圧昇降機構が直ちに動作しないような安全装置、
即ちセ−フティ機構が設けられ、ポジション操作レバ−
の設定とリフトア−ムの現実の高さが一致していない場
合には、その一致動作が行なわれた後でなければセ−フ
ティ機構の解除が行なえないように構成されている。
【発明が解決しようとする課題】ところで、こうした従
来装置において、例えばロ−タリ耕耘装置から他の作業
機に付け代えた際に、オペレ−タがいきなり昇降スイッ
チを押して作業機を上昇させると、その作業機がライム
ソアやブロ−ドキャスタのように前方へ大きく突出する
レバ−を有するものの場合、そのレバ−がトラクタ−の
フェンダ−や機体後部の燃料タンク等に当たることがあ
った。特に、トラクタ−がキャビン付きであるときに
は、前記した操作レバ−がキャビンのリヤウインドを突
き破ることがあり、甚だ危険でもあった。
【課題を解決するための手段】この発明は、前記した問
題点に鑑みて提案するものであって、操作性の向上と安
全性の確保を図らんとするものであり、このため、次の
ような技術的手段を講じた。即ち、ポジション操作レバ
−20と、昇降スイッチ28と、上げ位置設定器29と
を備え、前記昇降スイッチ28を一度押すと上げ位置設
定器29にて設定した高さまで作業機14が上昇し、再
び昇降スイッチ28を押すとポジション操作レバ−20
にて設定された高さまで下降するように油圧昇降機構8
を作動させ、また、エンジン1b始動直後はポジション
操作レバ−20による設定高さとリフトア−ム7の高さ
が略一致しなければ油圧昇降動作を禁ずるセ−フティ機
構を備えた動力車両において、エンジン1b始動直後の
昇降スイッチ28による作業機14の昇降動作は、ポジ
ション操作レバ−20を一旦上昇側へ操作して、前記上
げ位置設定器29による設定高さと略一致させた段階か
ら可能となる制御手段41が設けられていることを特徴
とするものである。
【実施例】以下、図面に基づいてこの発明の実施例を説
明する。まず、構成から説明すると、1はトラクタ−で
機体の前後部に夫々前輪2、2と後輪3、3とを備え、
ボンネット1a内のエンジン1bの回転動力をミッショ
ンケ−ス4内の変速装置により適宜減速して前記前輪
2、2と後輪3、3とに伝えるように構成している。ミ
ッションケ−ス4の後上部には油圧シリンダケ−ス5を
固着して設けている。油圧シリンダケ−ス5内には単動
式の油圧シリンダ6を設け、また、この油圧シリンダケ
−ス5の左右両側にはリフトア−ム7、7を回動自由に
枢支している。 なお、ここでは油圧シリンダ6、リフ
トア−ム7、7をまとめて油圧昇降機構8と総称する。
トップリンク10、ロワ−リンク11、11からなる3
点リンク機構12の後端部には、ロ−タリ耕耘装置14
が昇降自在に連結され、リフトア−ム7、7とロワ−リ
ンク11、11との間にはリフトロッド15、15が介
装連結されている。20はポジション操作レバ−で、こ
のポジション操作レバ−20の回動基部には、トラクタ
−1の後部に連結される対地作業機の対地高さを設定す
る対地高さ設定器21が取り付けられている。一方、片
側リフトア−ム7の回動基部にもそれの回動角度、即
ち、対地作業機の高さを検出する対地高さ検出器23が
取り付けられ、ポジション操作レバ−20にて設定され
た位置にリフトア−ム7、7が回動してその位置で停止
するように構成され、ここにポジションコントロ−ル系
が構成される。操縦席24の近傍に設けたコントロ−ル
パネル25には、前記ポジション操作レバ−20と共
に、ロ−タリ耕耘装置14を昇降させるON−OFF式
の昇降スイッチ28、ロ−タリ耕耘装置14の最大上昇
位置を設定する上げ位置設定ダイヤル29、ロ−タリ耕
耘装置14の耕深を設定する耕深ダイヤル30が設けら
れている。機体後部に連結されたロ−タリ耕耘装置14
は、耕耘部34と、耕耘部34の上方を覆う主カバ−3
5と、主カバ−35の後部において回動自由に枢着され
たリヤカバ−36等を備え、リヤカバ−36の下端部を
地面に摺接させて耕起土壌面を均平にすべく弾性押圧す
るように構成し、主カバ−35の上部後端にはリヤカバ
−36の回動角度を検出する耕深検出器37を設けてい
る。次に図3に示すブロック図に基づいてこの装置の制
御系を説明する。ロ−タリ耕耘装置14の高さを設定す
る対地高さ設定器21と、実際のリフトア−ム7、7の
位置を検出する対地高さ検出器23はA/D変換器40
を介してCPUを有する制御装置41に接続される。前
記昇降スイッチ28はA/D変換器40を経ることなく
直接制御装置41に接続され、この昇降スイッチ28を
ONにするとロ−タリ耕耘装置14は上げ位置設定ダイ
ヤル29にて設定された高さまで上昇し、OFFにする
と、ポジション操作レバ−20にて定まる高さまで下降
する。操縦席24近傍に設けられた耕深設定ダイヤル3
0と、ロ−タリ耕耘装置14の耕深を検出する耕深検出
器37はA/D変換器40を介して制御装置41に接続
される。通常はポジション操作レバ−20にてロ−タリ
耕耘装置14を昇降させるが、畦際での旋回時のように
急いでロ−タリ耕耘装置14を上下動させるときにはこ
の昇降スイッチ28を押す。制御装置41の出力側には
ロ−タリ耕耘装置14を昇降動させるための上昇用比例
制御弁44と下降用比例制御弁45が接続されている。
ポジションコントロ−ルの場合も耕深制御(デプス制
御)の場合も、偏差に比例したパルス制御、所謂デュ−
ティ制御がなされ、上昇用あるいは下降用のいずれかの
比例制御弁44、45を作動させてロ−タリ耕耘装置1
4を昇降動させる。また、この発明に係るトラクタ−1
はエンジン1bの始動直後はセ−フティ機構が働くよう
に構成されているもので、エンジン1b始動時にリフト
ア−ム7の位置とポジション操作レバ−20によって設
定された位置とが不一致の場合、例えばエンジン始動前
に誰かがポジション操作レバ−20を動かしていたよう
なときには、油圧昇降機構8は動作しないように構成さ
れているのである。次にこの実施例の作用を図4のフロ
−チャ−トに基づいて説明する。まず、最初に各設定器
と検出器及びスイッチの状態を読み込み(ステップS
1)、エンジン1bが始動操作されてセ−フティ機構が
作動しているか否かが判別される(ステップS2)。セ
−フティ状態が作動しているときには、ポジション操作
レバ−20とリフトア−ム7の高さが一致しているかど
うかを見、一致していないときには、そのままセ−フテ
ィ状態を維持する(ステップS3、S4)。そして、一
致していることが確認された後は、セ−フティ状態を解
除する(ステップS5)。この状態では昇降スイッチ2
8を押してもロ−タリ耕耘装置14は昇降せず、昇降ス
イッチ28により作業機14を動作させるためには次の
操作を行なわなければならない。即ち、ポジション操作
レバ−20が上げ側に操作され、上げ位置設定ダイヤル
29にて設定した高さまでポジション操作レバ−20が
移動操作されたかどうかを判別する(ステップS6)。
ポジション操作レバ−20による設定位置が上げ位置設
定ダイヤル29指定位置以下にあれば、昇降スイッチ2
8の動作を禁じ(ステップS7)、両者が一致した後
は、昇降スイッチ28の動作を許容する(ステップS
8)。通常、オペレ−タは後方の作業機を見ながらポジ
ション操作レバ−20を操作するものであり、特に、ロ
−タリ耕耘装置14に代えて他のブロ−ドキャ−スタや
ライムソア等の大型の作業機を連結したときには、ポジ
ション操作レバ−20を徐々に上げながら作業機を吊り
挙げて行くのが普通である。これまで装着していたロ−
タリ耕耘装置14に代えて他の作業機を付け、昇降スイ
ッチ28を押すと作業機が上昇し、その作業機に付いて
いるレバ−等がキャビンのリヤウインドを突き破る恐れ
が出てくるが、この実施例で説明した装置の場合には、
昇降スイッチ28を押しても動かない。昇降スイッチ2
8によって作業機を昇降動させるためにはポジション操
作レバ−20による上げ操作を必要とし、しかも、上げ
位置設定ダイヤル29にて設定された高さまでポジショ
ン操作レバ−20を移動させなければならない。もし、
そのままポジション操作レバ−20を上げ位置設定ダイ
ヤル29にて設定された位置まで上昇させて行くと作業
機がトラクタ−に干渉する恐れが出たときには、設定ダ
イヤル29の設定値を下げて行かなければならないので
ある。このように、この実施例で説明した装置によれ
ば、エンジン1b始動直後は、ポジション操作レバ−2
0が上げ位置設定ダイヤル29にて設定された位置まで
上昇操作されたかどうかの確認を取ってから昇降スイッ
チ28の押動操作を可能にするので安全であると共に機
器類の破損も防止できる。図5に示すフロ−チャ−トも
同様の内容であり、前記した例と異なる部分は、後者の
場合、耕深検出器37が接続状態にあって正常な検出が
可能な状態にあるかどうかの判断が加わっている点であ
る。即ち、何らかの原因でコネクタが外れたりハ−ネス
が切断したときにはセ−フティ状態となって油圧昇降機
構8が作動しない安全な状態が保たれるが、その場合に
おいても、ポジション操作レバ−20の操作が、上げ位
置設定ダイヤル29の設定と一致しない限り昇降スイッ
チ28の操作を禁じているのである。
【発明の作用効果】以上説明したように、この発明は、
ポジション操作レバ−20と、昇降スイッチ28と、上
げ位置設定器29とを備え、前記昇降スイッチ28を一
度押すと上げ位置設定器29にて設定した高さまで作業
機14が上昇し、再び昇降スイッチ28を押すとポジシ
ョン操作レバ−20にて設定された高さまで下降するよ
うに油圧昇降機構8を作動させ、また、エンジン1b始
動直後はポジション操作レバ−20による設定高さとリ
フトア−ム7の高さが略一致しなければ油圧昇降動作を
禁ずるセ−フティ機構を備えた動力車両において、エン
ジン1b始動直後の昇降スイッチ28による作業機14
の昇降動作は、ポジション操作レバ−20を一旦上昇側
へ操作して、前記上げ位置設定器29による設定高さと
略一致させた段階から可能となる制御手段41が設けら
れていることを特徴とする動力車両における油圧昇降制
御装置ものであるから、作業機14を付け代えたときに
誤って作業機の一部がトラクタ−側に干渉し、フェンダ
−やキャビン仕様のトラクタ−のリヤウインドウ等を破
損させるといった恐れがなくなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクタ−とロ−タリ耕耘装置の側面図であ
る。
【図2】要部の斜視図である。
【図3】制御系を示すブロック図である。
【図4】この制御装置の作用を示すフロ−チャ−トであ
る。
【図5】別実施例のフロ−チャ−トである。
【符号の説明】
1 トラクタ− 2 前輪 3 後輪 8 油圧昇降機構 14 ロ−タリ耕耘装置 41 制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポジション操作レバ−20と、昇降スイッ
    チ28と、上げ位置設定器29とを備え、前記昇降スイ
    ッチ28を一度押すと上げ位置設定器29にて設定した
    高さまで作業機14が上昇し、再び昇降スイッチ28を
    押すとポジション操作レバ−20にて設定された高さま
    で下降するように油圧昇降機構8を作動させ、また、エ
    ンジン1b始動直後はポジション操作レバ−20による
    設定高さとリフトア−ム7の高さが略一致しなければ油
    圧昇降動作を禁ずるセ−フティ機構を備えた動力車両に
    おいて、エンジン1b始動直後の昇降スイッチ28によ
    る作業機14の昇降動作は、ポジション操作レバ−20
    を一旦上昇側へ操作して、前記上げ位置設定器29によ
    る設定高さと略一致させた段階から可能となる制御手段
    41が設けられていることを特徴とする動力車両におけ
    る油圧昇降制御装置。
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