JP2839511B2 - 脱水洗濯機の駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、洗濯時に撹拌翼を回転駆動し、且つ、洗
濯物脱水時に洗濯兼脱水槽を回転駆動する脱水洗濯機の
駆動装置に関するものである。

［従来の技術］ 従来の脱水洗濯機の駆動装置として、例えば特公昭61
−42598号公報に記載されたものなどがあり、半径方向
空隙型の誘導モータの動力を、プーリとベルトの組合
せ、あるいは歯車類の組合せによる減速機構を介して洗
濯兼脱水槽や撹拌翼に伝達し、これを回転させる構成と
なっている。

また、他の従来例として、例えば特公昭62−18196号
公報に記載のように、洗濯兼脱水槽回転用と撹拌翼回転
用として、各々専用の半径方向空隙型の誘導モータを配
した構成のものもある。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の脱水洗濯機の駆動装置は以上のように構成され
ているので、プーリやベルトあるいは複数の歯車を組み
合わせて減速機構を構成したり、また、複雑なクラッチ
機構が必要としたり、さらには、脱水終了時における洗
濯兼脱水槽の複雑な制動機構や、洗濯時の撹拌翼回転に
よる洗濯脱水槽の共回り防止のための制動機構や、それ
らの制動機構を作動させるための電磁マグネットおよび
そのストローク伝達機構等が必要であるなど、部品点数
が多くなって構造が極めて複雑化し、コスト高になると
共に、装置全体が大型化し、また、前記プーリとベルト
および複数歯車の組合せによる減速機構は作動時に大き
な騒音を発するなどの課題があった。

この発明は上記のような課題を解決するためになされ
たもので、従来の脱水洗濯機に不可決であった減速機構
やクラッチ機構の廃止、もしくは、部品点数の減少によ
る構成の大幅な簡素化、コスト低減、騒音低減などを一
挙に図ることができる脱水洗濯機の駆動装置を得ること
を目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る脱水洗濯機の駆動装置は、内部に撹拌
翼を配設する洗濯兼脱水槽を収容する水槽の下部に配置
され、前記洗濯兼脱水槽および前記撹拌翼に回転駆動力
を伝達するモータ出力軸を有した永久磁石同期モータ
と、前記モータ出力軸に同期回転可能に設けられた回転
子と、この回転子の対向位置に配置され、通電時に前記
回転子との間に磁気吸引力を発生させ、当該磁気吸引力
で前記回転子の回転を制動する固定子とからなる電磁ブ
レーキを備えたものである。

［作用］ この発明における脱水洗濯機の駆動装置は、洗濯兼脱
水槽および撹拌翼を回転駆動する永久磁石同期モータの
モータ出力軸に回転子を同期回転可能に設け、この回転
子の対向位置に固定子を配置した構成としたことによ
り、従来に比して部品点数が大幅に減少し、コスト低減
が図れ、構成が頗る簡素化して小型化が図れると共に、
前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転駆動源を前記永久
磁石同期モータとしたことにより、作動時の騒音低減が
図れる。また、洗濯脱水終了後において、前記固定子に
通電すると、当該固定子と前記回転子との間に磁気吸引
力が発生することにより、この磁気吸引力によって、前
記回転子すなわち前記洗濯兼脱水槽の回転を停止させる
ことができる。

［実施例］ 以下、この発明の一実施例を図について説明する。図
はこの発明の一実施例による脱水洗濯機の駆動装置を示
す断面図である。図において、（１）は脱水洗濯機の水
槽、（２）は水槽（１）内に収容され内部に撹拌翼（図
示せず）が配設される洗濯兼脱水槽、（３）は前記撹拌
翼に結合されるモータ出力軸、（４）はそのモータ出力
軸（３）を有する永久磁石同期モータであり、この永久
磁石同期モータ（４）は、外周に永久磁石（4a）を同期
回転可能に有する回転子ヨーク（4b）と、前記永久磁石
（4a）の対向位置に配設固定された固定子鉄心（4c）
と、この固定子鉄心（4c）に接続されて通電される固定
子コイル（4d）とから構成されている。従って、前記回
転子ヨーク（4b）は永久磁石同期モータ（４）のロータ
を構成し、前記固定子鉄心（4c）と前記固定子コイル
（4d）は永久磁石同期モータのステータを構成してい
る。

（5c）は前記回転子ヨーク（4b）の上部に設けられた
制動用の回転子、（5b）は前記水槽（１）の外底部に設
けられた固定子ヨーク、（5a）はその固定子ヨーク（5
b）に接続保持されて前記回転子（5c）に対向位置する
固定子コイルであり、これらによって電磁ブレーキ
（５）が構成されている。

（６）はトルク伝達用ハブ、（７）はそのトルク伝達
用ハブ（６）を前記回転ヨーク（4b）に押し付けるため
の押し付けバネ、（８），（９）はストッパ、（10）〜
（14）は軸受である。

次に動作について説明する。

洗濯に際しては、押し付けバネ（７）によってトルク
伝達ハブ（６）が回転ヨーク（4b）に押し付けられた定
常状態とされ、この状態において、永久磁石同期モータ
の固定子コイル（4d）に通電すると、固定子鉄心（4c）
と永久磁石（4a）との間に回転子ヨーク（4b）を回転さ
せる方向の回転磁界が形成され、これにより、回転子ヨ
ーク（4b）とモータ出力軸（３）と撹拌翼が一体に回転
して洗濯が行われる。

また、洗濯後の脱水に際しては、図示しない操作機構
でトルク伝達用ハブ（６）が押し付けバネ（７）に抗し
て押し上げられ、モータ出力軸（３）と洗濯兼脱水槽
（２）とが結合された状態となる。この状態において、
永久磁石同期モータ（４）の固定子（4d）に通電する
と、上述した洗濯時の場合と同様に、固定子鉄心（4c）
と永久磁石（4a）との間に回転磁界が発生することによ
り、回転子翼（4b）とモータ出力軸（３）と洗濯兼脱水
槽（２）とが一体に回転して脱水が行われる。

ここで、前記洗濯時と前記脱水時の回転の切り換え
は、例えば、前記固定子コイル（4d）に対する通電の周
波数を変えることによって実施される。

さらには、前記脱水終了の際、電磁ブレーキ（５）の
固定子コイル（5a）に通電すると、当該固定子コイル
（5a）と前記回転子ヨーク（4b）上の回転子（5c）との
間に磁気吸引力が発生することにより、この磁気吸引力
が前回回転子（5c）の制動トルクとなって、当該回転子
（5c）と永久磁石同期モータ（４）の回転系統が停止す
る。

なお、上述した実施例において、電磁ブレーキ（４）
の回転子（5c）は、永久磁石同期モータ（４）の回転子
ヨーク（4b）とは別体のものを当該回転子ヨーク（4b）
に取り付け固定したもの、あるいは回転子ヨーク（4b）
に一体形成したものの何れであってもよい。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によれば、洗濯兼脱水槽およ
び撹拌翼を回転駆動する永久磁石同期モータのモータ出
力軸に回転子を同期回転可能に設け、この回転子の対向
位置に固定子を配置して電磁ブレーキを構成したので、
従来に比して部品点数が大幅に減少し、コスト低減が図
れ、構成が頗る簡素化して小型化が図れるという効果が
ある。また、前記洗濯兼脱水槽および撹拌翼の回転駆動
源を前記永久磁石同期モータとしたことにより、作動時
の騒音低減が図れるという効果がある。さらには、洗濯
脱水終了後において、前記電磁ブレーキの固定子に通電
すると、当該固定子と前記回転子との間に磁気吸引力が
発生し、この磁気吸引力が前記回転子の制動トルクとし
て作用することにより、複雑構成の制動機構を必要とせ
ずに前記回転子すなわち前記洗濯兼脱水槽の回転を停止
させることができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の一実施例による脱水洗濯機の駆動装置
を示す断面図である。 （１）……水槽、（２）……洗濯兼脱水槽、（３）……
モータ出力軸、（４）……永久磁石同期モータ、（4a）
……永久磁石、（５）……電磁ブレーキ、（5a）……固
定子コイル（固定子）、（5b）……固定子ヨーク（固定
子）、（5c）……回転子。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部に撹拌翼を配設する洗濯兼脱水槽を収
   容する水槽の下部に配置され、前記洗濯兼脱水槽および
   前記撹拌翼に回転駆動力を伝達するモータ出力軸を有し
   た永久磁石同期モータと、前記モータ出力軸に同期回転
   可能に設けられた回転子と、この回転子の対向位置に配
   置され、通電時に前記回転子との間に磁気吸引力を発生
   させ、当該磁気吸引力で前記回転子の回転を制動する固
   定子とからなる電磁ブレーキを備えたことを特徴とする
   脱水洗濯機の駆動装置。