JP2827559B2 - 磁石発電機の回転検出器 - Google Patents

磁石発電機の回転検出器

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JP2827559B2
JP2827559B2 JP3081775A JP8177591A JP2827559B2 JP 2827559 B2 JP2827559 B2 JP 2827559B2 JP 3081775 A JP3081775 A JP 3081775A JP 8177591 A JP8177591 A JP 8177591A JP 2827559 B2 JP2827559 B2 JP 2827559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二輪車等のエンジンにお
いて、点火時期算出用の基準クランク位置信号を出力す
る回転検出器に関し、特に磁石発電機に一体に設ける回
転検出器の構造改良に関する。
【0002】
【従来の技術】二輪車等においては慣性モ−メントを小
さくして加速性を向上せしめるために、いわゆる内転型
の磁石発電機が使用されており、これは外周面に磁極が
形成されクランクシャフトに連結されて回転するロ−タ
を、多数の発電コイルを設けたリング状ステ−タ内に配
した構造となっている。
【0003】ところで、エンジン点火時期算出用の基準
クランク位置信号を得る回転検出器を設けることがあ
り、かかる回転検出器としては、クランクシャフトと一
体回転する軸の外周所定位置に凸部を形成し、該凸部の
通過による磁気抵抗の変化をセンサコイルにより検知す
るものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、省スペ−ス
の観点からすると、上記回転検出器を磁石発電機に一体
に設けることが好ましいが、内転型の発電機ではロ−タ
外周面に既述の如く発電用の強力な磁極が形成されてい
るため、ロ−タに凸部を設けてもセンサコイルが磁極か
らの磁界で誤作動するおそれがあり、これが省スペ−ス
化のネックとなっていた。
【0005】本発明はかかる課題を解決するもので、発
電機内にコンパクトに設けられるとともに確実な回転位
置検出がなされる磁石発電機の回転検出器を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成を説明する
と、外周面に等間隔で磁極を形成したロ−タ1と、該ロ
−タ1の外方に配設したリング状ステ−タ2に設けられ
て上記外周面に近接対向する複数の発電コイル3とを有
する磁石発電機に使用される回転検出器において、上記
ロ−タ1には周方向の一部に径方向外方へ突出する凸部
41を形成するとともに、上記ステ−タ2には、中央に
磁石5を介在せしめて全体をコ字形に成形したコア6を
設けてその両脚部61,62先端が上記凸部41の先端
に近接対向するようになし、かつ上記磁石5周りにセン
シングコイル7を配設するとともに、上記凸部41は周
方向の両側面41aを傾斜面となし、該傾斜面の形成角
度θ1 を、上記コア両脚部61,62の間隔角度θ2
ほぼ等しく設定したものである。
【0007】
【作用】上記構成の回転検出器は、コアをコ字形として
あるから、凸部通過時にその先端との間で閉磁路が形成
され、ロ−タ磁極の強い磁界が作用しても充分なS/N
比が得られる。また、凸部の両側面の傾斜面の角度θ1
をコア両脚部の間隔θ2 にほぼ等しく設定したから、セ
ンサコイルより得られるパルスは凸部の通過毎に必ず単
一のものとなり、確実な回転位置検出ができる。
【0008】
【実施例】図1、図2において、厚肉円筒状のロ−タ1
は中心がエンジンクランクシャフト(図略)に固定さ
れ、外周面には周方向一定間隔で複数の磁極が形成され
ている。ロ−タ1の小径とした端部外周には磁性体板よ
りなる誘導子4が嵌着してあり、誘導子4は周方向の一
部が径方向外方へ山形に突出して凸部41となってい
る。この凸部41は先端面41bがロ−タ1と同心の弧
面となっており、周方向の両側面41aは互いに対称的
な傾斜面となっている。
【0009】ロ−タ1の周囲には一定空間をおいて同心
状にリング状のステ−タ2が設けてあり、ステ−タ2の
内周面は周方向等間隔の複数位置で内方へ突出してロ−
タ1外周面に近接対向し、これら突出部に発電コイル3
が巻回してある。
【0010】ステ−タ2の周方向の一か所にコア6とセ
ンサコイル7よりなる位置センサが設けてある。その詳
細を図3で説明する。コア6は対称的なL字形をなす左
右一対の脚部61,62を有し、脚部61,62間に磁
石5を介在せしめて全体がコ字形となっている。そし
て、磁石5を配したコア6の基部周りにはコイルボビン
71に巻回してセンサコイル7が設けてある。コア6は
両脚部61,62の取付穴63によりステ−タ2側面に
固定され、この状態で両脚部61,62の先端はロ−タ
凸部41の先端面に平行な小間隙をなして近接対向して
いる(図1)。
【0011】ここで、上記凸部傾斜面41aの形成角度
θ1 範囲はコア脚部外側面間の角度θ2 範囲にほぼ等し
くしてある。
【0012】上記構造の回転検出器において、クランク
シャフトと一体にロ−タ4が回転すると、凸部41が周
期的にコア脚部61,62の近傍を通過し、磁石7の磁
気抵抗が大きく変化する。この時の磁束変化によりセン
サコイル7にパルス状の信号電圧が誘起される。これを
以下に詳述する。
【0013】回転検出器の磁気回路は漏洩を無視すると
図4(1)に示すようになり、Rg1 +Rg2 ≫2Rc
+RR より図4(2)のように簡略化できる。ここで、
Rcは脚部61、62の磁気抵抗、Rg1 、Rg2 はそ
れぞれ脚部61、62と凸部41間のエアギャップの磁
気抵抗、RR は凸部の磁気抵抗である。また、エアギャ
ップの磁気抵抗は、
【数1】 で表され、ここにlg:ギャップ長、Sg:ギャップの
断面積、u0 :空気の透磁率である。センサロータが回
転することによりギャップ長lgが変化し、これにより
図4(2)のエアギャップの磁気抵抗Rg1 +Rg2
変化する。
【0014】次に、このRg1 +Rg2 から磁石5の動
作点を求める方法を下記に示す。パーミアンスは、
【数2】 これから、磁石の単位体積当たりのパーミアンス即ちパ
ーミアンス係数は、
【数3】 ここに、tr:磁石軸長、am:磁石断面積である。コ
ア6と凸部41の相対位置によりエアギャップ長lgが
変化し、磁石抵抗Rg1 +Rg2、パーミアンス係数P
が変化する。エアギャップ最小の時のパーミアンス係数
をP1 、最大の時のパーミアンス係数をP2 とすると、
図5に示すB−H特性上で動作点は図示のように変化
し、磁束密度はB1 とB2 の間で、磁石から出る磁束は
1 amとB2 amの間で変化する。
【0015】センサコイル7に1パルス/1回転の信号
を発生させる為には、ロータ凸部41の通過による磁束
変化をB1 amからB2 amの間で連続的に行わせる必
要があり、そのためには、パーミアンス係数、磁気抵
抗、つまりエアギャップ長を連続的に変化させる必要が
あり、θ1 ≒θ2 とすることにより、これを実現でき
る。即ち、θ1 ≒θ2 とすることにより、実効エアギャ
ップ長を連続的に変化させることができ、図6(1)に
示す如く、磁束は立ち上がりおよび立ち下がりが連続的
に変化するパルス状となる。しかして、この時の信号電
圧は図6(2)に示す如く正負にそれぞれ1パルス現わ
れ、正パルスのみ検出すれば単一の信号パルスが得られ
る。本発明の構造によれば、凸部41がコア6に近接し
た時にコア両脚部61,62とロ−タ凸部41により閉
磁路が形成されるから、ロ−タ1外周面の強力な磁極の
影響を受けることなく充分な磁束変化が得られ、信号S
/N比は大きい。
【0016】なお、角度θ1 >θ2 (図7)の場合に
は、磁束はゆっくりとした変化の後に急激に変化し、な
いしはその逆になり(図8(1))、信号電圧には図8
(2)に示す如く正負にそれぞれピ−クが二つ現れ、ロ
−タ高速回転時には低い側のピ−クが次第に高くなって
単一の信号パルスが得られない。
【0017】角度θ1 <θ2 (図9)の場合には、磁束
は段付き状に変化し(図10(1))、信号電圧には正
負にそれぞれパルスが二つ現れて(図10(2)),や
はり単一の信号パルスは得られない。
【0018】
【発明の効果】以上の如く本発明の磁石発電機の回転検
出器は、発電機内にコンパクトに設けられるとともに誤
作動することなく確実な回転位置検出をなすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転検出器を設けた磁石発電機の正面図であ
る。
【図2】回転検出器を設けた磁石発電機の断面図であ
る。
【図3】回転検出器の断面図である。
【図4】回転検出器の等価回路図である。
【図5】回転検出器のH−B特性図である。
【図6】回転検出器の作動波形図である。
【図7】比較例における回転検出器を設けた磁石発電機
の正面図である。
【図8】比較例における回転検出器の作動波形図であ
る。
【図9】比較例における回転検出器を設けた磁石発電機
の正面図である。
【図10】比較例における回転検出器の作動波形図であ
る。
【符号の説明】
1 ロ−タ 2 ステ−タ 3 発電コイル 4 誘導子 41 凸部 41a 側面 5 磁石 6 コア 61,62 脚部 7 センシングコイル

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に等間隔で磁極を形成したロ−タ
    と、該ロ−タの外方に配設したリング状ステ−タに設け
    られて上記外周面に近接対向する複数の発電コイルとを
    有する磁石発電機において、上記ロ−タには周方向の一
    部に径方向外方へ突出する凸部を形成するとともに、上
    記ステ−タには、中央に磁石を介在せしめて全体をコ字
    形に成形したコアを設けてその両脚部先端が上記凸部の
    先端に近接対向するようになし、かつ上記磁石周りにセ
    ンシングコイルを配設するとともに、上記凸部は周方向
    の両側面を傾斜面となし、該傾斜面の形成角度を、上記
    コア両脚部の間隔角度にほぼ等しく設定したことを特徴
    とする磁石発電機の回転検出器。
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