JP2823857B2 - スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物 - Google Patents
スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物Info
- Publication number
- JP2823857B2 JP2823857B2 JP62311057A JP31105787A JP2823857B2 JP 2823857 B2 JP2823857 B2 JP 2823857B2 JP 62311057 A JP62311057 A JP 62311057A JP 31105787 A JP31105787 A JP 31105787A JP 2823857 B2 JP2823857 B2 JP 2823857B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- cobalt
- boron
- steel cord
- adhesion promoter
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Tyre Moulding (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明はゴムとスチールとの接着促進剤の改良に関
し、特にゴムとスチールコードとの高温多湿下の長期に
わたる接着力の維持と共にゴムの弾性率の向上が可能な
改良された接着促進剤に関する。 (従来の技術) 従来、自動車タイヤ、コンベヤベルト等の性能を向上
させるために、スチールコードが補強材として使用され
ている。このようなスチールコードにはその補強効果を
高めるために真鍮メッキ、亜鉛メッキ、青銅メッキなど
ゴムとの接着力を高める金属メッキが施され、またスチ
ールコードの埋設ゴム組成物にはスチールコードとゴム
との接着力を向上させる接着促進剤、例えば有機酸のコ
バルト塩が使用されているが、湿熱条件に長期間さらさ
れると接着力が低下するという問題点があった。そこで
かかる問題点を改良する方法として特開昭55−17371号
公報および特開昭60−158230号公報においてゴム補強用
スチールコードとゴムとの接着改良、特に湿熱老化後の
接着改良のために有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金
属石鹸を接着促進剤として使用することが提案されてい
る。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金属
石鹸は接着の湿熱劣化に対しては著しい改良効果を示す
が、初期接着力、ゴムの弾性率などが変動しやすいとい
う欠点があることが判明した。即ち特開昭60−158230号
公報では有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金属石鹸を
配合したゴム組成物にスチールコードを埋め込み145℃
で30分間加硫して接着試験を実施しているが、低温長時
間加硫であるために工業的生産面からは好ましくない。
また特開昭60−124640号公報に接着促進剤として有機コ
バルト・ホウ素錯体を用いることが記載されているが、
この場合もスチールワイヤを埋め込んだゴム組成物を14
9℃で23分加硫して接着評価試料を作成している。更に
特開昭60−238326号公報にもコバルトのカルボン酸塩と
アルカリ土類金属の硼酸塩との反応生成物より成るゴム
と金属の接着促進剤が開示されているが、この場合もま
たスチールコードを埋め込んだ接着促進剤含有ゴム組成
物を153℃で25分加硫して接着評価試料を作成して接着
試験を行なっている。 このように接着性の良否を評価するのであれば、一定
温度で所定時間加硫した試料について判定すればよい
が、工業的に生産されるスチールコード補強ゴム製品で
は種々の加硫温度、時間が採用されているため製品性能
としてはその加硫条件で評価することも必要である。特
に生産性向上のためには高温、短時間加硫が好ましい。
従ってこのような高温、短時間の加硫条件におけるスチ
ールコードとゴムとの接着性を改善せしめることのでき
る接着促進剤の開発が望まれていた。 (問題点を解決するための手段) かかる状況下において、本発明者らはスチールコード
とゴムとの接着性を改善するためには有機カルボン酸の
コバルト・ホウ素金属石鹸を配合したゴム組成物を高温
短時間で加硫した際にゴムの弾性率の低下、接着性の低
下が見られることに着目し、その改善を試みて本発明を
達成したものである。本発明のスチールコード接着促進
剤は、有機カルボン酸と無機コバルト化合物および有機
ホウ酸エステルの反応生成物である有機カルボン酸コバ
ルト・ホウ素金属石鹸を主成分とする反応混合物から成
り、水で抽出されるホウ素の含有率が0.06重量%以下で
あることを特徴とする。 また、本発明のゴム組成物は、ゴム100重量部に対し
て、前記スチールコード接着促進剤をコバルト金属に換
算して0.02〜0.5重量部配合することを特徴とする。 ここで「水に抽出されるホウ素の含有率」とは、上記
反応混合物を非極性有機溶媒に溶解した後、水を加えて
混合し水層に抽出されたホウ素を定量して反応混合物に
対する重量百分率で示したものである。 (作 用) 本発明において有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金
属石鹸の水で抽出されるホウ素の量を0.06重量%以下と
限定した理由は0.06重量%を超えると加硫ゴムの弾性率
が低下しすぎて製品性能に悪影響を及ぼすからである。 例えば乗用車用ラジアルタイヤのスチールコードベル
ト層のゴムの弾性率が小さくなるとベルト層の剛性が低
下しコーナリングパワーが小さくなり操縦の応答性が悪
くなる。また耐久性、乗心地にも悪影響を及ぼす。 高内圧、高荷重で使用する大型ラジアルタイヤでは特
に耐久性を要求されるがスチールコードを埋設するゴム
の弾性率が低下すると耐久性が悪化し好ましくない。 水で抽出されるホウ素によりゴムの弾性率が低下する
度合が大きくなるのは加硫温度が高温において顕著であ
り低温では殆んど差がみられない。この理由は不明であ
るが、水に抽出されるホウ素化合物は高温になるほど硫
黄と反応しやすくなり、ゴム網目形成を減少させている
ものと推定される。 本発明の接着促進剤は、ゴム100重量部に対してコバ
ルト量に換算して0.02〜0.5重量部の範囲の割合で配合
される。 (実施例) 以下本発明を実施例および比較例により説明する。 実施例1〜5,比較例1〜2 有機カルボン酸コバルト・ホウ素金属石鹸の合成 バーサチックR10合成酸(シエル化学(株)製、商品
名)3モル、プロピオン酸3.1モル混合物に水酸化コバ
ルト3モルを添加した後190℃で反応させ約6モルの水
が生成留去するまで加熱を続けた。生成したコバルトの
有機カルボン酸塩にオルトホウ酸n−ブチル1モルを添
加した後220℃で反応させ生成したプロピオン酸ブチル
を減圧留去し、留去したプロピオン酸ブチルが約3モル
になるまで加熱を続けてバーサチック酸コバルト・ホウ
素金属石鹸を得た。 得られたバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸10
gを0.1mg単位まで精秤しトルエン300mlに溶解させた。
この溶液に精秤した蒸留水100mlを加え室温で1.5分間攪
拌したのち分液ロートに移し30分間静置後水層を採取し
た。採取した水層より5mlを精秤し100mlのメスフラスコ
に移したのち蒸留水を加えて100mlとして原子吸光測定
用試料を作製した。原子吸光による定量はホウ素の原子
吸光用標準溶液により検量線を作成して求めた。 上記のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸に対
する水に抽出されるホウ素の含有量は0.04重量%であっ
た。 上述のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸は合
成例からも判るように、厳密には未反応物、副生成物を
含有した反応混合物であり、これらが水に抽出されるホ
ウ素の生成原因と推定される。 上述の合成例と同様にして水酸化コバルトに対しバー
サチック酸およびオルトホウ酸ブチルを変量して、第1
表に示す水に抽出されるホウ素含有率の異なるものを合
成した。 ゴム組成物の調整 上述のようにして得られた各バーサチック酸コバルト
・ホウ素金属石鹸を下記組成のゴム組成物に配合し、実
施例1〜5,比較例1〜2のゴム組成物をつくり、物性を
評価し、得た結果を第1表に示す。 尚ゴムの100%モジュラスおよびスチールコードとゴ
ムとの接着評価はJIS−K−6301に準拠して実施した。 接着力指数は各加硫酸条件での比較例2の剥離抗力を
100として指数で示しており、指数の大きいほど接着が
良好であることを示す。使用したスチールコード種は1
×5×0.23である。 第1図は第1表の170℃、8分加硫のゴム組成物の水
で抽出されるホウ素の含有量(重量%)と100%モジュ
ラスをプロットした図で、この図から水で抽出されるホ
ウ素によりゴム弾性率の低下する度合が、高温加硫で顕
著であることがわかる。 実施例6および7 実施例1においてバーサチックR10合成酸の代りにナ
フテン酸とロジン酸を用いた以外は同様にしてナフテン
酸コバルト・ホウ素金属石鹸およびロジン酸コバルト・
ホウ素金属石鹸を製造した。 次いで実施例1で用いたゴム組成物にバーサチック酸
コバルト・ホウ素金属石鹸の代りにナフテン酸コバルト
・ホウ素金属石鹸およびロジン酸コバルト・ホウ素金属
石鹸を夫々コバルト元素含有量で0.5重量部添加し、実
施例6および7のゴム組成物をつくつた。これらのゴム
組成物につき実施例1と同様に物性を評価し、得た結果
を次の第2表に示す。 実施例8 実施例5のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸
を用い、評価に用いたゴム組成物として下記の如く、バ
ーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸の配合(重量
部)をコバルト元素含有量で0.1,0.3,0.5および0.6とし
た4種のゴム組成物(No.1〜4)を作製した。これ等の
ゴム組成物を夫々155℃で20分加硫し、JIS K6301に準じ
100℃の空気中において、24時間熱老化させ、そのゴム
の引張強度を測定し、熱老化させる前の強度との比(強
力保持率)を測定した。 この結果第3表に示す如く、バーサチック酸コバルト
・ホウ素金属石鹸の配合量が多くなる程、強力保持率が
低下するが0.5重量部を超えると低下が激しいことが判
った。 コバルト石鹸のゴム組成物への配合量を増加した場
合、一般的にゴムの弾性率は増大する。但しバーサチッ
ク酸コバルト・ホウ素金属石鹸の場合、第3表の如く配
合量の増大と供に、ゴム組成物中に含有される水に抽出
されるホウ素の量が増加し、その結果170℃で加硫した
場合の弾性率が0.6PHRの場合減少することが確認され
た。 (発明の効果) 以上説明してきたように、本発明のスチールコード接
着促進剤は、水で抽出されるホウ素の含有量が0.06重量
%以下である有機カルボン酸コバルト・ホウ素金属石鹸
を主成分とする反応混合物から構成したことにより、高
温でのゴムとスチールコードの接着の維持とともに、加
硫モールド当りのタイヤの生産本数を向上させるのに必
須要件である高温加硫におけるモジュラスの向上即ち弾
性率を向上せしめ、タイヤの操縦性(コーナリングパワ
ー)およびタイヤのベルト部耐久性の低下を防止するこ
とができるという効果が得られる。
し、特にゴムとスチールコードとの高温多湿下の長期に
わたる接着力の維持と共にゴムの弾性率の向上が可能な
改良された接着促進剤に関する。 (従来の技術) 従来、自動車タイヤ、コンベヤベルト等の性能を向上
させるために、スチールコードが補強材として使用され
ている。このようなスチールコードにはその補強効果を
高めるために真鍮メッキ、亜鉛メッキ、青銅メッキなど
ゴムとの接着力を高める金属メッキが施され、またスチ
ールコードの埋設ゴム組成物にはスチールコードとゴム
との接着力を向上させる接着促進剤、例えば有機酸のコ
バルト塩が使用されているが、湿熱条件に長期間さらさ
れると接着力が低下するという問題点があった。そこで
かかる問題点を改良する方法として特開昭55−17371号
公報および特開昭60−158230号公報においてゴム補強用
スチールコードとゴムとの接着改良、特に湿熱老化後の
接着改良のために有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金
属石鹸を接着促進剤として使用することが提案されてい
る。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金属
石鹸は接着の湿熱劣化に対しては著しい改良効果を示す
が、初期接着力、ゴムの弾性率などが変動しやすいとい
う欠点があることが判明した。即ち特開昭60−158230号
公報では有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金属石鹸を
配合したゴム組成物にスチールコードを埋め込み145℃
で30分間加硫して接着試験を実施しているが、低温長時
間加硫であるために工業的生産面からは好ましくない。
また特開昭60−124640号公報に接着促進剤として有機コ
バルト・ホウ素錯体を用いることが記載されているが、
この場合もスチールワイヤを埋め込んだゴム組成物を14
9℃で23分加硫して接着評価試料を作成している。更に
特開昭60−238326号公報にもコバルトのカルボン酸塩と
アルカリ土類金属の硼酸塩との反応生成物より成るゴム
と金属の接着促進剤が開示されているが、この場合もま
たスチールコードを埋め込んだ接着促進剤含有ゴム組成
物を153℃で25分加硫して接着評価試料を作成して接着
試験を行なっている。 このように接着性の良否を評価するのであれば、一定
温度で所定時間加硫した試料について判定すればよい
が、工業的に生産されるスチールコード補強ゴム製品で
は種々の加硫温度、時間が採用されているため製品性能
としてはその加硫条件で評価することも必要である。特
に生産性向上のためには高温、短時間加硫が好ましい。
従ってこのような高温、短時間の加硫条件におけるスチ
ールコードとゴムとの接着性を改善せしめることのでき
る接着促進剤の開発が望まれていた。 (問題点を解決するための手段) かかる状況下において、本発明者らはスチールコード
とゴムとの接着性を改善するためには有機カルボン酸の
コバルト・ホウ素金属石鹸を配合したゴム組成物を高温
短時間で加硫した際にゴムの弾性率の低下、接着性の低
下が見られることに着目し、その改善を試みて本発明を
達成したものである。本発明のスチールコード接着促進
剤は、有機カルボン酸と無機コバルト化合物および有機
ホウ酸エステルの反応生成物である有機カルボン酸コバ
ルト・ホウ素金属石鹸を主成分とする反応混合物から成
り、水で抽出されるホウ素の含有率が0.06重量%以下で
あることを特徴とする。 また、本発明のゴム組成物は、ゴム100重量部に対し
て、前記スチールコード接着促進剤をコバルト金属に換
算して0.02〜0.5重量部配合することを特徴とする。 ここで「水に抽出されるホウ素の含有率」とは、上記
反応混合物を非極性有機溶媒に溶解した後、水を加えて
混合し水層に抽出されたホウ素を定量して反応混合物に
対する重量百分率で示したものである。 (作 用) 本発明において有機カルボン酸のコバルト・ホウ素金
属石鹸の水で抽出されるホウ素の量を0.06重量%以下と
限定した理由は0.06重量%を超えると加硫ゴムの弾性率
が低下しすぎて製品性能に悪影響を及ぼすからである。 例えば乗用車用ラジアルタイヤのスチールコードベル
ト層のゴムの弾性率が小さくなるとベルト層の剛性が低
下しコーナリングパワーが小さくなり操縦の応答性が悪
くなる。また耐久性、乗心地にも悪影響を及ぼす。 高内圧、高荷重で使用する大型ラジアルタイヤでは特
に耐久性を要求されるがスチールコードを埋設するゴム
の弾性率が低下すると耐久性が悪化し好ましくない。 水で抽出されるホウ素によりゴムの弾性率が低下する
度合が大きくなるのは加硫温度が高温において顕著であ
り低温では殆んど差がみられない。この理由は不明であ
るが、水に抽出されるホウ素化合物は高温になるほど硫
黄と反応しやすくなり、ゴム網目形成を減少させている
ものと推定される。 本発明の接着促進剤は、ゴム100重量部に対してコバ
ルト量に換算して0.02〜0.5重量部の範囲の割合で配合
される。 (実施例) 以下本発明を実施例および比較例により説明する。 実施例1〜5,比較例1〜2 有機カルボン酸コバルト・ホウ素金属石鹸の合成 バーサチックR10合成酸(シエル化学(株)製、商品
名)3モル、プロピオン酸3.1モル混合物に水酸化コバ
ルト3モルを添加した後190℃で反応させ約6モルの水
が生成留去するまで加熱を続けた。生成したコバルトの
有機カルボン酸塩にオルトホウ酸n−ブチル1モルを添
加した後220℃で反応させ生成したプロピオン酸ブチル
を減圧留去し、留去したプロピオン酸ブチルが約3モル
になるまで加熱を続けてバーサチック酸コバルト・ホウ
素金属石鹸を得た。 得られたバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸10
gを0.1mg単位まで精秤しトルエン300mlに溶解させた。
この溶液に精秤した蒸留水100mlを加え室温で1.5分間攪
拌したのち分液ロートに移し30分間静置後水層を採取し
た。採取した水層より5mlを精秤し100mlのメスフラスコ
に移したのち蒸留水を加えて100mlとして原子吸光測定
用試料を作製した。原子吸光による定量はホウ素の原子
吸光用標準溶液により検量線を作成して求めた。 上記のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸に対
する水に抽出されるホウ素の含有量は0.04重量%であっ
た。 上述のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸は合
成例からも判るように、厳密には未反応物、副生成物を
含有した反応混合物であり、これらが水に抽出されるホ
ウ素の生成原因と推定される。 上述の合成例と同様にして水酸化コバルトに対しバー
サチック酸およびオルトホウ酸ブチルを変量して、第1
表に示す水に抽出されるホウ素含有率の異なるものを合
成した。 ゴム組成物の調整 上述のようにして得られた各バーサチック酸コバルト
・ホウ素金属石鹸を下記組成のゴム組成物に配合し、実
施例1〜5,比較例1〜2のゴム組成物をつくり、物性を
評価し、得た結果を第1表に示す。 尚ゴムの100%モジュラスおよびスチールコードとゴ
ムとの接着評価はJIS−K−6301に準拠して実施した。 接着力指数は各加硫酸条件での比較例2の剥離抗力を
100として指数で示しており、指数の大きいほど接着が
良好であることを示す。使用したスチールコード種は1
×5×0.23である。 第1図は第1表の170℃、8分加硫のゴム組成物の水
で抽出されるホウ素の含有量(重量%)と100%モジュ
ラスをプロットした図で、この図から水で抽出されるホ
ウ素によりゴム弾性率の低下する度合が、高温加硫で顕
著であることがわかる。 実施例6および7 実施例1においてバーサチックR10合成酸の代りにナ
フテン酸とロジン酸を用いた以外は同様にしてナフテン
酸コバルト・ホウ素金属石鹸およびロジン酸コバルト・
ホウ素金属石鹸を製造した。 次いで実施例1で用いたゴム組成物にバーサチック酸
コバルト・ホウ素金属石鹸の代りにナフテン酸コバルト
・ホウ素金属石鹸およびロジン酸コバルト・ホウ素金属
石鹸を夫々コバルト元素含有量で0.5重量部添加し、実
施例6および7のゴム組成物をつくつた。これらのゴム
組成物につき実施例1と同様に物性を評価し、得た結果
を次の第2表に示す。 実施例8 実施例5のバーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸
を用い、評価に用いたゴム組成物として下記の如く、バ
ーサチック酸コバルト・ホウ素金属石鹸の配合(重量
部)をコバルト元素含有量で0.1,0.3,0.5および0.6とし
た4種のゴム組成物(No.1〜4)を作製した。これ等の
ゴム組成物を夫々155℃で20分加硫し、JIS K6301に準じ
100℃の空気中において、24時間熱老化させ、そのゴム
の引張強度を測定し、熱老化させる前の強度との比(強
力保持率)を測定した。 この結果第3表に示す如く、バーサチック酸コバルト
・ホウ素金属石鹸の配合量が多くなる程、強力保持率が
低下するが0.5重量部を超えると低下が激しいことが判
った。 コバルト石鹸のゴム組成物への配合量を増加した場
合、一般的にゴムの弾性率は増大する。但しバーサチッ
ク酸コバルト・ホウ素金属石鹸の場合、第3表の如く配
合量の増大と供に、ゴム組成物中に含有される水に抽出
されるホウ素の量が増加し、その結果170℃で加硫した
場合の弾性率が0.6PHRの場合減少することが確認され
た。 (発明の効果) 以上説明してきたように、本発明のスチールコード接
着促進剤は、水で抽出されるホウ素の含有量が0.06重量
%以下である有機カルボン酸コバルト・ホウ素金属石鹸
を主成分とする反応混合物から構成したことにより、高
温でのゴムとスチールコードの接着の維持とともに、加
硫モールド当りのタイヤの生産本数を向上させるのに必
須要件である高温加硫におけるモジュラスの向上即ち弾
性率を向上せしめ、タイヤの操縦性(コーナリングパワ
ー)およびタイヤのベルト部耐久性の低下を防止するこ
とができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1〜5、比較例1〜2のゴム組成物を
170℃、8分間の高温加硫した場合の水で抽出されるホ
ウ素の含有率(重量%)とゴムの100%モジュラスの関
係を示すグラフである。
170℃、8分間の高温加硫した場合の水で抽出されるホ
ウ素の含有率(重量%)とゴムの100%モジュラスの関
係を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 昭60−15444(JP,A)
特開 昭60−193701(JP,A)
特開 昭62−146936(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
C09J 5/02
B29D 30/40
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.有機カルボン酸と無機コバルト化合物および有機ホ
ウ酸エステルの反応生成物である有機カルボン酸コバル
ト・ホウ素金属石鹸を主成分とする反応混合物から成
り、水で抽出されるホウ素の含有率が0.06重量%以下で
あることを特徴とするスチールコード接着促進剤。 2.ゴム100重量部に対して、請求項1記載のスチール
コード接着促進剤をコバルト金属に換算して0.02〜0.5
重量部配合することを特徴とするゴム組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62311057A JP2823857B2 (ja) | 1987-12-10 | 1987-12-10 | スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62311057A JP2823857B2 (ja) | 1987-12-10 | 1987-12-10 | スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01153783A JPH01153783A (ja) | 1989-06-15 |
JP2823857B2 true JP2823857B2 (ja) | 1998-11-11 |
Family
ID=18012593
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62311057A Expired - Lifetime JP2823857B2 (ja) | 1987-12-10 | 1987-12-10 | スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2823857B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4015379B2 (ja) | 2001-06-01 | 2007-11-28 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム補強用スチールコード、ゴム補強用スチールコードの製造方法、および、空気入りタイヤ |
JP4553682B2 (ja) * | 2004-10-27 | 2010-09-29 | 住友ゴム工業株式会社 | スチールコード被覆用ゴム組成物およびそれにより被覆されたスチールコード |
JP4844085B2 (ja) * | 2005-10-28 | 2011-12-21 | Dic株式会社 | 水性塗料用硬化促進剤 |
JP4844727B2 (ja) * | 2006-04-12 | 2011-12-28 | Dic株式会社 | 酸化重合硬化型油性塗料用ドライヤー及びそれを用いた塗料 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6015444A (ja) * | 1983-07-08 | 1985-01-26 | Bridgestone Corp | 改良されたタイヤ用ゴム組成物 |
JPS60193701A (ja) * | 1984-03-15 | 1985-10-02 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | スチ−ルラジアルタイヤ |
JPS62146936A (ja) * | 1985-12-20 | 1987-06-30 | Bridgestone Corp | スチ−ルコ−ド接着用ゴム組成物 |
-
1987
- 1987-12-10 JP JP62311057A patent/JP2823857B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01153783A (ja) | 1989-06-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2516199C2 (ru) | Аминоалкоксимодифицированные силсесквиоксановые адгезивы для улучшения и сохранения адгезии металлов к вулканизированному каучуку | |
EP0307341B1 (en) | A method of preparing pneumatic tire compounds containing syndiotactic-1,2-polybutadiene | |
JPH04275349A (ja) | ゴム加硫物 | |
JPS6317292B2 (ja) | ||
JP5806403B2 (ja) | 架橋有機ケイ素ポリスルフィド | |
JP4282261B2 (ja) | 環状ポリスルフィド化合物の製造方法 | |
JPH08217855A (ja) | タイヤ用ゴム組成物 | |
EP0287806A1 (en) | Rubber compositions modified with hydroxy-benzimidazole oxides | |
JP2823857B2 (ja) | スチールコード接着促進剤およびこれを含有したゴム組成物 | |
US4975497A (en) | Rubber compositions containing furazan oxides and transition metal salts | |
JP3323279B2 (ja) | スチールコード接着用ゴム組成物 | |
JP5954504B1 (ja) | 変性ゴム及びその製造方法、ゴム組成物、並びにタイヤ | |
JPS61278502A (ja) | 硬化賦活剤としての重合体結合界面活性剤 | |
JP3116239B2 (ja) | ゴム組成物 | |
JPH0711052A (ja) | ゴムとスチールコードの接着促進剤 | |
JPH07118621A (ja) | 接着剤およびそれのゴムへの適用 | |
JP2007112833A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JPH0625285B2 (ja) | ゴム組成物 | |
JP4067391B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物 | |
JP4811506B2 (ja) | スチール線材被覆用ゴム組成物 | |
JP5094003B2 (ja) | 金属補強材用のゴム組成物及びゴム−金属補強材間の接着向上剤 | |
JP6841226B2 (ja) | スチールコード被覆用ゴム組成物及びタイヤ | |
JP2007084706A (ja) | ゴム組成物 | |
JP4358415B2 (ja) | 新規なコバルト化合物、ゴム組成物、ゴム−スチールコード複合体、および空気入りタイヤ | |
US5098946A (en) | Promotor for bonding between rubber and steel cord, and rubber composition and rubber product containing the bonding promotor |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080904 Year of fee payment: 10 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080904 Year of fee payment: 10 |