JP2821935B2 - プラスチック光ファイバ - Google Patents

プラスチック光ファイバ

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JP2821935B2 JP2101809A JP10180990A JP2821935B2 JP 2821935 B2 JP2821935 B2 JP 2821935B2 JP 2101809 A JP2101809 A JP 2101809A JP 10180990 A JP10180990 A JP 10180990A JP 2821935 B2 JP2821935 B2 JP 2821935B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は可視光領域の光はもちろんのこと近赤外領域
の光の伝送が可能であり、かつ、耐熱性をも備えたオー
ルプラスチック光ファイバに係り、更に詳しくは、光フ
ァイバコード、光ファイバケーブルなどに用いることの
できるプラスチック光ファイバに関する。
[従来の技術] 従来、光ファイバとしては、広い波長領域に亘って優
れた光伝送性を備えた無機ガラス系光学繊維が知られて
いるが、加工性が悪く、曲げ応力が弱いという難点があ
り、より加工性のよい光ファイバを得るため、プラスチ
ックを基材とする光ファイバが開発され、実用化されて
いる。
このプラスチック光フアイバは、屈折率が大きく、か
つ光の透過性が良好なポリメタクリル酸メチル(以下PM
MAという)、ポリカーボネート(以下PCという)等の重
合体を基材とする芯材層と、これよりも屈折率が小さく
かつ透明な含フッ素ポリマー等の重合体を基材とする鞘
材層とを基本構成単位としている。これらのコア・クラ
ッド型の光ファイバ(光ファイバ素線)の製品形態とし
ては、この光ファイバ素線や光ファイバ素線を機能性保
護層で被覆した光ファイバ芯線等のバルクファイバ、光
ファイバ素線を被覆材(ジャケット材)で被覆した光フ
ァイバコード、及びバルクファイバやバルクファイバの
集合体である集合ファイバとテンションメンバー等とを
組合わせた光ファイバケーブルなどが知られている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、これらのオールプラスチック光ファイバは芯
材を構成する重合体分子内にC−H結合を多数有し、そ
のC−H結合の伸縮、振動による吸収が低波長領域に存
在し、その5〜8倍音が近赤外、可視領域、波長で言え
ば400nm以上で存在し、その波長領域での伝送損失が大
きなものであった。例えばPMMAを芯材とする光ファイバ
においてはその吸収による伝送損失は650nmにおいて約1
00dB/Km、780nmにおいて約400dB/Kmとなる。またPMMA中
のH原子を重水素に置き換えたd8−PMMAを芯材とする光
ファイバの光伝送損失は780nmにおいて50dB/Kmとされて
いるが、吸水により伝送損失が大きく変動し、実用に耐
えられないものであった。また、近赤外領域においては
高出力、高速のLEDが存在することより近赤外領域の光
を効率よく伝送しうる実用的に使用可能なオールプラス
チック光ファイバの開発が大いに望まれていた。
[課題を解決するための手段] そこで本発明者等は上記課題を解決するための方法を
見出すべく検討した結果本発明を完成したものであり、
その要旨とするところは 一般式 (ただし式中nは1又は2を示す) で表される環構造の繰り返し単位群[I]又は[II]か
ら本質的に成る環構造含有フッ素重合体あるいは繰り返
し単位群[I]又は[II]の少なくとも1つと一般式 CF2−CFX [III] (ただし式中Xは−F,−Cl,−O−CF2CF2CF3,−O−CF
2CF(CF3)OCF2CF2-SO2F,−O−CF2CF2CF2COOCH3から
選ばれる基を示す)で表される繰り返し単位群[III]
とから本質的に成り少なくとも80重量%の繰り返し単位
群[I]又は[II]を含む重合体を芯とし、パーフルオ
ロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾール)と少なくとも
1個の他のエチレン系不飽和単量体との共重合体で芯形
成用重合体の屈折率よりも低い屈折率を有する重合体を
鞘とするオールプラスチック光ファイバにある。
従来開発されてきたオールプラスチック光ファイバの
芯材を構成する重合体はその分子内に多くのC−H結合
を有するがゆえ、その伝送損失は大きなものとなってい
る。これに対し本発明で用いる芯材形成用重合体はエス
テル基を構成するアルキル基がフッ素含有量の多い分子
とすることによりそのモノマー単位当りのC−H結合数
を極力減少させ、その振動、伸縮に起因する光の吸収損
失を大幅に低減し得たものと成し得ている。また該モノ
マー分子中に含まれるフッ素含量を多くすることによ
り、得られた重合体の吸収率を大幅に低下せしめること
ができるため該重合体を芯とする光ファイバの吸水によ
る光吸収をも低減することができた。芯形成用重合体分
子中のフッ素含量が多くなるとその重合体の屈折率が小
さくなり、鞘材の選定が困難となるのであるが、本発明
者等は屈折率の低い透明鞘材を得るため鋭意検討した結
果、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾー
ル)と少なくとも1個の他のエチレン系不飽和単量体と
の共重合体が高い透明性と上記芯形成用重合体の屈折率
に対し充分低い屈折率を有し、鞘材として十分使用可能
なことを見出した。
本発明の光ファイバの芯材は 一般式 (ただし式中nは1又は2を示す) で表される環構造の繰り返し単位群[I]又は[II]か
ら本質的に成る環構造含有フッ素重合体あるいは繰り返
し単位群[I]又は[II]と一般式 CF2−CFX [III] (ただし式中Xは−F,−Cl,−O−CF2CF2CF3,−O−CF
2CF(CF3)OCF2CF2-SO2F,−O−CF2CF2CF2COOCH3から
選ばれる基を示す)で表される繰り返し単位群[III]
とから本質的に成り少なくとも80重量%の繰り返し単位
群[I]又は[II]を含む重合体であるが、この重合体
は例えば特開平1−131215明細書記載の方法によって合
成することができる。
本発明の光ファイバ鞘材形成重合体はパーフルオロ
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾール)と少なくとも1
個の他のエチレン系不飽和単量体との共重合体である。
本発明に用いられるパーフルオロ(2,2−ジメチル−
1,3−ジオキゾール)は例えば米国特許3865845号明細書
に記載の方法によって合成することができる。また、そ
の共重合体は例えば米国特許3978030号明細書やWO89/11
495号明細書に記載の方法によって製造することができ
る。
パーフルオロ(2,2−ジメチルオキソール)と共重合
可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えばエチレ
ン、プロピレン、イソブチレン、ブテン−1、メチルビ
ニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニル
エーテル、ブチルビニルエーテル、CF2=CF2、CHF=C
F2、CH2=CF2、CH2=CHF、CCl=CF2、CHCl=CF2、CCl2
=CF2、CClF=CClF、CHF=CCl2、CH2=CClF、CCl2=CCl
F等、フルオロプロピレン系化合物例えばCF3CF=CF2、C
F3CF=CHF、さらに官能基を有する単量体、例えばパー
フルオロ(アルキルビニルエーテル)、メチル−3−
〔1−〔ジフルオロ〔(トリフルオロエテニル)オキ
シ〕メチル〕−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ〕−
2,2,3,3−テトラフルオロプロパノエート、2−〔1−
〔ジフルオロ〔(トリフルオロエテニル)オキシ〕メチ
ル〕−1,2,2,2−テトラフルオロエトキシ〕−1,1,2,2−
テトラフルオロエタンスルホニルフルオライド等を用い
ることもできる。
パーフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾー
ル)と前記の単量体との共重合体は、鞘材として必要な
透明性及び1.35〜1.29なる極めて低い屈折率を有する非
晶性のフッ素系重合体であるので式[I]又は[II]で
示される環構造の繰り返し単位群[I]又は[II]から
本質的に成る重合体を芯とする光ファイバ用鞘材として
十分に用いることができるのである。
鞘材形成用重合体中のパーフルオロ(2,2−ジメチル
−1,3−ジオキゾール)単位の共重合割合は得られる重
合体の屈折率を1.35〜1.29なる割合とするため、20モル
%以上100モル%の範囲、好しくは25〜99.7モル%の範
囲とするのがよい。
これらの芯材形成用重合体、鞘材形成用重合体の組合
せにより作られたオールプラスチック光ファイバは芯材
分子当りのC−H結合の割合が少なくまた吸収率がPMMA
系光ファイバの1/10以下と非常に少ないため水の吸収に
より伝送損失の増大がなく、可視域(400〜800nm)のみ
ならず近赤外領域(800〜1300nm)での伝送損失が少な
いという特異な特性を備えた光ファイバとなる。また芯
材形成用重合体の屈折率が1.34〜1.38程度に対し鞘材形
成用重合体の屈折率は1.29〜1.35と充分低く、大きな開
口数を備えたオールプラスチック光ファイバとすること
ができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 パーフルオロブテニルビニルエーテル(以下PBVEとい
う)重合体(ガラス転移温度108℃屈折率1.342)を210
℃に設定された複合紡糸機の芯材供給部に供給し、一
方、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾー
ル)/テトラフルオロエチレン=50/50モル%の共重合
体(屈折率1.308)を溶融押出機により溶融し、上記紡
糸機の鞘材供給部に供給した。
紡糸機内の複合紡糸ノズルにて芯−鞘構造とし、外径
1mmφの光ファイバを得た。得られた光ファイバの伝送
損失は650nmにて96dB/Km、770nmにて368dB/Km、950nmに
て826dB/Kmと非常に少ないものであった。また、50℃95
%RHの湿熱の条件下で24時間放置した後の光ファイバの
伝送損失は770nmにおいて386dB/Kmと伝送損失増加の少
ないものであった。
実施例2 芯形成用重合体としてPBVE95重量%とテトラフルオロ
エチレン5重量%よりなる屈折率1.347の共重合体を用
いる他は実施例1と全く同様の手法にて光ファイバを得
た。得られた光ファイバの伝送損失を表−1に示す。
実施例3 芯形成用重合体としてPBVE50重量%とパーフルオロア
リルビニルエーテル50重量%との共重合体(ガラス転移
温度91℃、屈折率1.343)を用いて実施例1と全く同様
にして光ファイバを得、その特性評価を行った結果を表
−1に示した。
実施例4 芯形成用重合体としてPBVE80重量部とクロロトリフル
オロエチレン20重量部との共重合体(屈折率1.371)を
用いる他は実施例1と全く同様にして光ファイバを得、
その特性評価を行った結果を表−1に示した。
比較例1 芯形成用重合体としてPMMAを、鞘材形成用重合体とし
てパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキゾール)
/テトラフルオロエチレン=50/50モル%の共重合体を
用い実施例1と同様にして光ファイバを得たが、該光フ
ァイバの近赤外領域での伝送損失は表−1に示す如く大
きく、かつ湿熱雰囲気下に放置するとその伝送損失は大
きく増加するものであった。結果を表−1に示す。
比較例2 芯材形成用重合体として重水素化PMMA(d8−PMMAを使
用)を鞘材形成用重合体としてパーフルオロ(2,2−ジ
メチル−1,3−ジオキゾール)/テトラフルオロエチレ
ン=50/50モル%なる共重合体を用いて紡糸し光ファト
バを得たが、初期伝送損失は表−1に示す如く少ないも
のの湿熱処理による伝送損失の増加が大きなものであっ
た。結果を表−1に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島田 勝彦 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイ ヨン株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平1−302303(JP,A) 特開 平1−131215(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (ただし式中nは1又は2を示す) で表される環構造の繰り返し単位群[I]又は[II]か
    ら本質的に成る環構造含有フッ素重合体あるいは繰り返
    し単位群[I]又は[II]の少なくとも1つと一般式 CF2−CFX [III] (ただし式中Xは−F,−Cl,−O−CF2CF2CF3,−O−CF
    2CF(CF3)OCF2CF2-SO2F,−O−CF2CF2CF2COOCH3から
    選ばれる基を示す)で表される繰り返し単位群[III]
    とから本質的に成り少なくとも80重量%の繰り返し単位
    群[I]又は[II]を含む重合体を芯とし、パーフルオ
    ロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)と少なくとも
    1個の他のエチレン系不飽和単量体との共重合体で芯形
    成用重合体の屈折率よりも低い屈折率を有する重合体を
    鞘とするオールプラスチック光ファイバ。
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