JP2816773B2 - 刺繍機における枠送り補正装置 - Google Patents

刺繍機における枠送り補正装置

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JP2816773B2
JP2816773B2 JP4069191A JP4069191A JP2816773B2 JP 2816773 B2 JP2816773 B2 JP 2816773B2 JP 4069191 A JP4069191 A JP 4069191A JP 4069191 A JP4069191 A JP 4069191A JP 2816773 B2 JP2816773 B2 JP 2816773B2
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郁夫 田島
伊藤  隆
悟 鈴木
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Tokai Kogyo Sewing Machine Co Ltd
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Tokai Kogyo Sewing Machine Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、刺繍機における枠送
り補正装置に関し、特に、刺繍枠送り方向を反転した際
のバックラッシュによって生ずる誤差や、サテンステッ
チ等の特殊な模様縫いを行う際に素材の歪み等によって
生ずる誤差を、刺繍枠送り量を補正することにより、修
正できるようにしたことに関する。
【0002】
【従来の技術】自動刺繍機においては、所望の刺繍柄模
様の予めプログラムされたデータに従い、順次縫われる
べき複数のステッチに関して夫々のステッチの縫幅及び
方向を示す縫いデータを順次供給する。縫いデータは、
数値データの形で与えられて記憶されており、これが縫
幅及び縫い方向に対応するパルス列信号に変換され、出
力される。刺繍枠は、パルスモータ(ステップモータ又
はステッピングモータとも言われる)によってX−Y駆
動される。この刺繍枠駆動用のパルスモータに対して、
所望の縫幅及び縫い方向に対応するパルス列信号を供給
し、該パルス数分だけパルスモータを回動させることに
より刺繍枠の移動が実現される。
【0003】パルスモータの回転角度が誤差なく刺繍枠
の移動量として伝達されれば、問題ないが、通常は伝達
機構のバックラッシュにより、特に刺繍枠の送り方向を
反転したときに、伝達誤差が生じる。すなわち、図5に
示すように、パルスモータ11の回転は、パルスモータ
軸のプーリ50を介してタイミングベルト51に伝達さ
れ、このタイミングベルト51に取付けられた玉コロ5
2を介して刺繍枠10を水平移動する。この伝達機構に
おいて、例えば玉コロ52と刺繍枠10の内側との接触
箇所にある遊びaがバックラッシュの一因となり、ま
た、プーリ50とタイミングベルト51との間にもバッ
クラッシュが存在する。各ステッチ毎の刺繍枠送りにお
いて、送り方向が前ステッチと同じであればバックラッ
シュは問題とならないが、反転した場合はバックラッシ
ュによる誤差が問題となる。例えば図5において玉コロ
50が左側に移動する場合は、上記遊びaの分だけ刺繍
枠の移動量が減少され、刺繍枠10を目標の縫幅分だけ
移動させることが達成できず、aだけ不足するものとな
る。
【0004】仮りに上記バックラッシュの問題がなかっ
たとしても、刺繍枠の負荷が重かったり、布の素材等の
理由により、十分な枠送り乃至は布送りが達成されず、
プログラムデータ通りの予定の縫幅が得られないことが
ある。また、サテンステッチのような特殊な縫い模様の
場合は、刺繍枠送り方向を絶えず交互に反転させる縫い
方となるため、布の縮み上がりが生じ易く、プログラム
データ通りの予定の縫幅が得られないことがある。そう
すると、縫幅が不均一になり、見栄えの悪い仕上りとな
ってしまう。
【0005】サテンステッチのような特殊な縫い模様の
ときに上記の問題が生じることは従来より知られてお
り、そのための対策としては、縫い模様がサテンステッ
チであることを予め判定し、その場合はコントローラ側
で縫いデータに所定補正値を加減算してやり、その結
果、枠送り量が所定補正値分だけ補正されるようにする
ことが考えられている。しかし、伝達機構のバックラッ
シュや刺繍枠の負荷あるいは布の材質などによる上記問
題点に対する対策は考えられていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】伝達機構のバックラッ
シュ量つまりガタツキは個別の機械ごとに異なり、また
刺繍枠の負荷や布の材質などもその都度異なるので、こ
れらに対しては、サテンステッチのような特殊な縫い模
様のときの対策をそのまま適用して、所定補正値によっ
て一律に補正する方式を採用したのでは、十分な補正を
行うことができない。また、コントローラ側で縫いデー
タを補正演算する構成ではコントローラの負担が大き
い、という問題点がある。更に、伝達機構のバックラッ
シュ量つまりガタツキは、x軸とy軸とで同じではな
く、異なるのが普通であるので、それを考慮する必要も
ある。
【0007】この発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、刺繍枠送り方向を反転した際のバックラッシュによ
って生ずる誤差や刺繍枠の負荷や布の材質などによって
生ずる誤差、更にはサテンステッチ等の特殊な模様縫い
を行う際に素材の歪み等によって生ずる誤差などを、刺
繍枠送り量を任意の補正量で補正することにより、修正
できるようにした刺繍機における枠送り補正装置を提供
しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明に係る刺繍機に
おける枠送り補正装置は、刺繍枠を駆動するためのモー
タと、順次縫われるべき複数のステッチに関して夫々の
ステッチの縫幅及方向を示す縫いデータを順次供給する
縫いデータ供給手段と、前記縫いデータに基づき、前記
刺繍枠の送り方向が反転されることを判別する反転判別
手段と、所望の枠送り補正データを設定する設定手段
と、前記枠送り方向が反転されることが判別されたと
き、前記縫いデータを前記枠送り補正データによって補
正し、判別されなかったときは該補正を行わずに該縫い
データを出力する補正手段と、前記補正手段を経由した
縫いデータに従って前記モータを駆動制御し、これによ
り前記刺繍枠を駆動する駆動制御手段とを具えたもので
ある。
【0009】
【作用】縫いデータ供給手段では、通常知られているよ
うに、順次縫われるべき複数のステッチに関して縫いデ
ータを順次供給する。反転判別手段では、供給される縫
いデータに基づき、前のステッチと今回のステッチとの
刺繍枠の送り方向が異なる場合は、該刺繍枠の送り方向
が反転されることを判別する。設定手段では、所望の枠
送り補正データを任意に設定することができる。従っ
て、個別の刺繍機毎に及び個別の刺繍縫い作業毎に、夫
々のバックラッシュ誤差やそのときの刺繍枠の負荷ある
いは布の素材等に応じて、適切な補正データを設定する
ことができる。反転判別手段により枠送り方向が反転さ
れることが判別されたときは、縫いデータを、設定され
た枠送り補正データによって補正する。これにより、刺
繍枠は、該縫いデータによって指定された予定の送り量
のみならず、枠送り補正データによって補正された量の
分まで、送り制御される。従って、枠送り方向の反転に
よって今回のステッチ縫いにおいては、バックラッシュ
誤差やそのときの刺繍枠の負荷あるいは布の素材あるい
はサテンステッチにおける布の縮み上がり等による誤差
が生じるが、これらの誤差を補償するように上記補正が
なされ、これにより刺繍枠がプログラムされた量よりも
余分に駆動され、結果的に、プログラムされた所望の縫
幅の仕上りが実現できるようにすることができる。
【0010】
【実施例】以下、添付図面を参照してこの発明の一実施
例を詳細に説明しよう。図1は刺繍機のパルスモータド
ライブ回路の一実施例を示すものであり、この発明に係
る枠送り補正装置の主要部を含んでいる。図2は同パル
スモータドライブ回路を具備した刺繍機の一実施例全体
構成ブロック図である。
【0011】まず、図2により刺繍機の全体構成につき
概略説明する。データ入力器1は、所望の刺繍柄をプロ
グラムした刺繍柄データを入力するためのものであり、
周知のように、刺繍柄データを記録した紙テープあるい
はフロッピーディスクなどの記録媒体をセットし、そこ
に記録された刺繍柄データを読み取り、読み取った刺繍
柄データを刺繍機コントローラユニット2に対して供給
入力する装置からなる。刺繍機コントローラユニット2
はコントローラ3と操作パネル4を有し、データ入力器
1から入力された刺繍柄データと操作パネル4で設定さ
れた各種データ又は命令等とに基づき、刺繍機の動作を
制御するものである。コントローラ3はマイクロコンピ
ュータを具備しており、データ入力器1から入力された
刺繍柄データに基づき、1縫い毎の縫幅と方向を示す縫
いデータに対応するパルス信号を出力する。周知のよう
に、1ステッチの縫いデータはx軸及びy軸成分に分解
されて与えられるようになっており、x軸に関する正負
移動方向に応じてパルス列CWx又はCCWxが出力さ
れ、y軸に関する正負移動方向に応じてパルス列CWy
又はCCWyが出力される。これらのパルス列CWx,
CCWx,CWy,CCWyにおけるパルス数Pが所望
の縫幅に対応しており、CWxとCWyが正方向(パル
スモータの時計回り方向)に対応し、CCWxとCCW
yが負方向(パルスモータの反時計回り方向)に対応し
ている。つまり縫い方向のx,y成分が正方向のときは
パルス列CWx,CWyに所望の縫幅分のパルス数が生
じ、負方向のときはパルス列CCWx,CCWyに所望
の縫幅分のパルス数が生じる。データ入力器1と刺繍機
コントローラユニット2の部分は、公知のどのような構
成を使用してもよい。
【0012】パルスモータドライブユニット5は、x軸
用のパルスモータドライブ回路6とy軸用のパルスモー
タドライブ回路7及び枠送り補正データ設定器8x,8
yを具備している。枠送り補正データ設定器8x,8y
は、それぞれ刺繍枠10の送り軸x、y別に独立に、所
望の枠送り補正データを任意に設定することができるも
のであり、例えば設定スイッチ等からなる。個別の刺繍
機毎に夫々のバックラッシュ誤差を考慮して、あるいは
個別の刺繍縫い作業毎にそのときの刺繍枠の負荷や布の
素材等を考慮して、又はサテンステッチ等の特殊な縫い
模様を考慮して、x、y軸別に夫々適切な枠送り補正デ
ータを設定することができる。
【0013】パルスモータドライブ回路6,7は、刺繍
枠10を駆動するためのx軸及びy軸パルスモータ1
1,12を夫々駆動制御するためのものである。ここで
特徴的なことは、枠送り量の補正をコントローラ3側で
行うのではなく、このパルスモータドライブ回路6,7
の側で行うことである。すなわち、このパルスモータド
ライブ回路6,7では、追って詳述するように、所望の
縫幅と方向を示す上記パルス列CWx,CCWx,CW
y,CCWyと、上記設定器8x,8yで設定された補
正データとに基づき、刺繍枠10の送り方向を反転すべ
きときに適切な枠送り補正処理を行い、x軸及びy軸パ
ルスモータ11,12の駆動を適切に制御する。
【0014】公知のように、ミシンヘッド9における針
棒駆動機構が主軸モータ13の回転に応じて駆動され、
針棒の1縫いの動作の間で、x軸及びy軸パルスモータ
11,12の回転に応じて刺繍枠が1縫幅分だけx−y
移動され、こうして所望の縫幅の1縫いが実現される。
一例として、パルスモータ11,12としては基本ステ
ップ角0.72度の5相励磁のモータを使用し、ハーフ
ステップ駆動を行うことにより1パルスにつき0.36
度の回転が得られる。また、モータの回転を刺繍枠10
に直線運動として伝達する機構は、0.36度のモータ
回転を0.1mmの直線移動量に変換して伝達する。従っ
て、仮りにバックラッシュ等の誤差が生じないとすれ
ば、1パルスにつき0.1mmの刺繍枠送りが得られる。
【0015】パルスモータドライブ回路6,7の一例と
して、x軸用のパルスモータドライブ回路6の実施例を
図1に示す。y軸用のパルスモータドライブ回路7も同
一構成のものを用いることができる。所望の縫幅に対応
するパルス数Pからなるパルス列CWx又はCCWxが
コントローラ3からパルス入力部14に与えられ、そこ
からパルス遅延回路15及び反転判別回路16に与えら
れる。反転判別回路16では、前のステッチと今回のス
テッチとで同じ方向のパルス列CWx又はCCWxが与
えられたか否かを検出し、これにより刺繍枠10の送り
方向が反転されるか否かを判別する。つまり、同じ方向
のパルス列CWx又はCCWxが与えられれば、刺繍枠
10の送り方向は反転されず、異なっていれば反転され
る。
【0016】刺繍枠10の送り方向が反転されると判定
した場合は、補正パルス発生回路17を作動させ、補正
データ設定器8xで設定された補正量に相当する数の補
正パルスを該補正パルス発生回路17から発生させる。
発生された補正パルスはミキシング及び波形整形回路1
8に与えられる。反転すると判定されなかった場合は補
正パルスは発生されない。一方、パルス入力部14から
パルス遅延回路15に与えられた正規のパルス数からな
るパルス列信号は、該パルス遅延回路15で所定時間遅
延された後、ミキシング及び波形整形回路18に与えら
れる。
【0017】ミキシング及び波形整形回路18では、補
正パルス発生回路17から発生された補正パルスとパル
ス遅延回路15から遅延出力される正規のパルス列信号
とをミキシングし、かつ所定の矩形波に波形整形して、
出力する。これにより、パルス遅延回路15から遅延出
力される正規のパルス列信号のパルス数に対して補正パ
ルス分のパルス数が加算される。正規のパルス列信号を
パルス遅延回路15で遅延する理由は、ミキシングの際
に正規のパルス列と補正パルスとが重なったり密集した
りしないようにするためである。この回路はドライバ側
にあるため、正規のパルス列のパルス数がいくつあるか
は事前には分からない。そのために、正規のパルス列信
号を所定時間遅延させ、その前に補正パルスを付加する
ようにしたものである。こうすることにより、正規のパ
ルス列のパルス数がいくつあるかは分からなくても、必
ず補正パルスが正規のパルス列の前に来るようにミキシ
ングされ、正規のパルス列と補正パルスとが重なったり
密集したりしないようにミキシングすることができる。
従って、正規のパルス列と補正パルスとが重なったり密
集したりした場合に生じるパルスモータの脱調やパルス
抜けを防止することができる、というメリットがある。
【0018】ミキシング及び波形整形回路18から出力
された補正済みのパルス列信号は、相ディストリビュー
タ回路19に与えられる。相ディストリビュータ回路1
9では、与えられたパルスに応じて5相パルスモータ1
1の各相A〜Eに対して適切な組合せで駆動電流を供給
するものであり、公知又は未公知の如何なる構成を使用
してもよい。各相の駆動電流はアンプ部20A〜20E
で増幅され、これがパルスモータ11の各相A〜Eの励
磁コイルに夫々供給される。
【0019】こうして、刺繍枠10の送り方向を反転す
べきか否かが、x,y各軸毎に、それぞれに対応するパ
ルス列CWx,CCWx及びCWy,CCWyに基づき
独立に判定され、反転すると判定された軸に関して設定
器8x及び8yによってそれぞれ独立に設定された枠送
り補正データに従って縫幅を指示するパルス数が補正さ
れ、これに基づきx軸及びy軸パルスモータ11,12
が駆動制御されることにより、刺繍枠10は、縫いデー
タ(パルス列CWx,CCWx及びCWy,CCWy)
によって指定された予定の送り量のみならず、枠送り補
正データによって補正された量の分まで、余分に送り制
御される。従って、枠送り方向の反転によって今回のス
テッチ縫いにおいては、バックラッシュ誤差やそのとき
の刺繍枠の負荷あるいは布の素材あるいはサテンステッ
チにおける布の縮み上がり等による誤差が生じるが、こ
れらの誤差を補償するように上記補正がなされ、これに
より刺繍枠10がプログラムされた量よりも余分に駆動
され、結果的に、プログラムされた所望の縫幅の仕上り
が実現できるようにすることができる。
【0020】図1に示されたパルスモータドライブ回路
6の詳細例を図3により説明する。また、同回路の動作
例のタイミングチャートを図4に示し、併せて参照す
る。パルス入力部14に相当するのは入力端子21,2
2とオア回路23とフリップフロップ24である。正方
向のパルス列信号CWxは正転入力端子21に入力さ
れ、負方向のパルス列信号CCWxは逆転入力端子22
に入力され、オア回路23では両者をオア論理で合成
し、方向性のない縫幅のみを示すパルス数からなるパル
ス列に変換する。なお、入力端子21,22に入力され
るパルス列信号CWx,CCWxはアクティブローであ
るとする。パルス遅延回路15に相当するのは6ビット
シフトレジスタ25であり、オア回路23から出力され
たパルス列信号をこのシフトレジスタ25に入力し、発
振器26の発振クロックパルスに従って6ビットクロッ
ク遅延して出力する。
【0021】フリップフロップ24は、入力端子21,
22から与えられるパルス列信号CWx,CCWxをセ
ット入力S及びリセット入力Rにそれぞれ入力する。ア
クティブローの正方向パルス列信号CWxが生ずると、
フリップフロップ24がセットされ、セット出力Qはハ
イになる。アクティブローの負方向パルス列信号CCW
xが生ずると、フリップフロップ24がリセットされ、
セット出力Qはローになる。このフリップフロップ24
のセット出力信号は、ハイのとき正転を示し、ローのと
き逆転を示すCW/CCW制御信号として利用される。
【0022】反転判別回路16に相当するのは上記フリ
ップフロップ24とエッジトリガタイプのワンショット
マルチバイブレータ27の部分である。また、補正パル
ス発生回路17に相当するのは上記ワンショットマルチ
バイブレータ27と発振器28の部分である。ワンショ
ットマルチバイブレータ27は上記フリップフロップ2
4のセット出力QからCW/CCW制御信号を入力し、
該信号のハイからローへの立下り及びローからハイへの
立上りの両方に応答して、所定時間幅のワンショットパ
ルスを出力する。すなわち、CW/CCW制御信号の変
化を検出し(変化に応答して)刺繍枠10の送り方向を
反転すべきことを判定し、ワンショットパルスを出力す
る。
【0023】このワンショットパルスの時間幅は、コン
デンサC1とスイッチSW1を介して該コンデンサC1
に接続されるいずれかの抵抗R1〜R5の値によって決
定される時定数によって可変的に決定される。スイッチ
SW1と抵抗R1〜R5は枠送り補正データ設定器8x
に相当するもので、抵抗R1〜R5の値は5通りの補正
データに夫々対応しており、スイッチSW1によりその
うちいずれか1つを選択する。一例として、各抵抗R1
〜R5の値はそれぞれ1ms,2ms,3ms,4ms,5msの
時間幅に対応している。また、スイッチSW1は0msの
時間幅に対応する接点(アースされた接点)を有してお
り、この接点に接続したときは補正量零であり、事実上
枠送り補正を行わない。
【0024】発振器28はワンショットマルチバイブレ
ータ27から与えられるワンショットパルスの時間幅の
間だけ一定周波数のパルス列を発振出力する。発振器2
6と28の発振周波数は同一であり、例えば1kHzで
ある。従って、ワンショットパルスのとり得る各時間幅
1ms,2ms,3ms,4ms,5msに対応して、それぞれ1
乃至5個のパルスを補正パルスとして発振器28は発生
する。図4では、5msの時間幅を持つワンショットパル
スが発生される場合について例示してある。なお、枠送
り方向が反転されない場合はワンショットパルスが発生
されず、従って、発振器28からの補正パルスも発振さ
れない。
【0025】ミキシング及び波形整形回路18に相当す
るのは、パルスミキシング用のオア回路29と波形整形
用のワンショットマルチバイブレータ30の部分であ
る。オア回路29は、シフトレジスタ25から出力され
る本来の縫幅に対応するパルス数からなるパルス列信号
と発振器28から出力される補正パルス列とをオア合成
し、波形整形用のワンショットマルチバイブレータ30
に入力する。本来の縫幅に対応するパルス数からなるパ
ルス列信号はシフトレジスタ25で6ビットクロックつ
まり6ms遅延されるので、最大数5個(5ms)の補正パ
ルスが発生される場合でも、補正パルスが発生し終わる
までは、シフトレジスタ25の出力パルス列は発生しな
い。従って、補正パルスを本来の縫幅に対応するパルス
数からなるパルス列信号の前に確実に付加することがで
きる。
【0026】相ディストリビュータ回路19に相当する
のはカウンタ31、デコーダ32及びそれに関連するオ
アロジック回路群の部分である。波形整形用のワンショ
ットマルチバイブレータ30から与えられるパルス列を
カウンタ31でカウントし、そのカウント出力をデコー
ダ32でデコードし、各デコード出力を所定の組合せで
オア論理合成してパルスモータ11の各相A〜Eに対応
する出力端子OA〜OEに与える。各出力端子OA〜O
Eの出力は各相A〜Eのアンプ部20A〜20Eに与え
られる。なお、カウンタ31はCW/CCW制御信号に
よって増減方向が制御されるアップ/ダウンカウンタか
らなる。
【0027】なお、枠送り補正データ設定器の構成は、
上記例のようなスイッチと抵抗の組合せに限らず、どの
ような構成でもよい。また、上記実施例では、パルス列
信号化された状態の縫いデータに対して同じくパルス列
化した補正データによって補正を行うようにしている
が、これに限らず、ディジタル数値データの段階で補正
を行うようにしてもよい。また、モータの構成はパルス
モータに限らず、他の構成であってもよく、また、パル
スモータの場合も相数や各相の励磁制御方法は実施例に
示したものに限らず、どのようなものを用いてもよい。
【0028】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、所望の
枠送り補正データを任意に設定する一方で、各ステッチ
毎に刺繍枠を反転するか否かを判定し、反転する場合は
所望の縫幅を指示する縫いデータを設定された補正デー
タによって補正するようにしたので、枠送り方向の反転
によって生ずるバックラッシュ誤差やそのときの刺繍枠
の負荷あるいは布の素材あるいはサテンステッチにおけ
る布の縮み上がり等による誤差を補償するように上記補
正がなされ、これにより刺繍枠がプログラムされた量よ
りも余分に駆動され、結果的に、プログラムされた所望
の縫幅の仕上りが実現できるようにすることができる、
という優れた効果を奏する。しかも、補正データの任意
の設定が可能であるので、個別の刺繍機毎に及び個別の
刺繍縫い作業毎に、夫々のバックラッシュ誤差やそのと
きの刺繍枠の負荷あるいは布の素材等に応じて、適切な
補正量の設定を行うことができる、という効果を奏す
る。また、刺繍枠の送り軸毎に独立に適切な補正量の設
定を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う刺繍機における枠送り補正装置
の一実施例をパルスモータドライブ回路について示す回
路ブロック図。
【図2】図1に示すパルスモータドライブ回路を具備し
た刺繍機の一実施例につき全体構成を略示するブロック
図。
【図3】図1の要部詳細例を示す回路図。
【図4】図3の動作例を示すタイミングチャート図。
【図5】刺繍枠に対する駆動力伝達機構におけるバック
ラッシュの問題点を示すための機構側面略図。
【符号の説明】
1…データ入力器1、2…刺繍機コントローラユニッ
ト、3…コントローラ、 4…操作パネル、5…パルスモータドライブユニット、
6,7…x軸用及びy軸用ののパルスモータドライブ回
路、8x,8y…枠送り補正データ設定器、9…ミシン
ヘッド、10…刺繍枠、11,12…x軸及びy軸パル
スモータ、13…主軸モータ、14…パルス入力部、1
5…パルス遅延回路、16…反転判別回路 、17…補正パルス発生回路、18…ミキシング及び波
形整形回路、19…相ディストリビュータ回路、24…
フリップフロップ、27…ワンショットマルチバイブレ
ータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D05B 19/00 - 21/00 D05B 69/00 - 69/36

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刺繍枠を駆動するためのモータと、順次
    縫われるべき複数のステッチに関して夫々のステッチの
    縫幅及び方向を示す縫いデータを順次供給する縫いデー
    タ供給手段と、前記縫いデータに基づき、前記刺繍枠の
    送り方向が反転されることを判別する反転判別手段と、
    所望の枠送り補正データを設定する設定手段と、前記枠
    送り方向が反転されることが判別されたとき、前記縫い
    データを前記枠送り補正データによって補正し、判別さ
    れなかったときは該補正を行わずに該縫いデータを出力
    する補正手段と、前記補正手段を経由した縫いデータに
    従って前記モータを駆動制御し、これにより前記刺繍枠
    を駆動する駆動制御手段とを具えた刺繍機における枠送
    り補正装置。
  2. 【請求項2】 前記縫いデータ供給手段は、所望の縫幅
    及び方向を示すパルス列信号を出力するものであり、前
    記補正手段は、前記枠送り補正データに対応する数のパ
    ルス信号を該パルス列信号の前に付加することにより前
    記補正を行うものである請求項1に記載の刺繍機におけ
    る枠送り補正装置。
  3. 【請求項3】 前記設定手段は、前記刺繍枠のx軸送り
    方向とy軸送り方向に関してそれぞれ個別に枠送り補正
    データを設定することができるものである請求項1に記
    載の刺繍機における枠送り補正装置。
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