JP2816064B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2816064B2
JP2816064B2 JP29985892A JP29985892A JP2816064B2 JP 2816064 B2 JP2816064 B2 JP 2816064B2 JP 29985892 A JP29985892 A JP 29985892A JP 29985892 A JP29985892 A JP 29985892A JP 2816064 B2 JP2816064 B2 JP 2816064B2
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清文 森本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に関
し、さらに詳しくは、導電性支持体上に形成せしめた感
光層中に新規なエナミン基含有化合物を含有せしめた電
子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真プロセスにおいては種
々の方式があり、その代表的な例として、直接方式や潜
像転写方式等が知られている。これら電子写真プロセス
に使用される電子写真感光体において、その感光層には
光導電性材料が使用されている。ここで、電子写真感光
体として必要とされる基本的な性質を掲げると、1)暗
所においてコロナ放電による電荷の帯電性が高いこと、
2)得られたコロナ放電による電荷が暗所において減衰
の少ないこと、3)光照射によって電荷が速やかに散逸
すること、4)光の照射後の残留電荷が少ないこと、
5)繰り返し使用時による残留電位の増加、初期電位の
減少が少ないこと、6)気温、湿度により電子写真特性
の変化が少ないこと、などである。
【0003】この様な基本的な性質を有する電子写真感
光体における感光層に使用される光導電性材料として、
従来は酸化亜鉛(特公昭57−19780号公報)、硫
化カドミウム(特公昭58−46018号公報)、非晶
質セレン合金等の無機系の光導電性材料が用いられてき
たが、近年さまざまな問題点が指摘されるようになっ
た。すなわち、酸化亜鉛系の材料においては、増感剤の
添加による増感効果を必要とするが、これら増感剤がコ
ロナ放電による帯電劣化や露光による光退色を生じるた
め、長期にわたって安定した画像を与えることができな
い点である。硫化カドミウム系の材料においては、多湿
の条件下で安定した感度が得られない点である。セレン
系の材料においては、温度、湿度等の外的要因で容易に
結晶化が進行する点、帯電性が低下する点、画像に白点
が発生する点、製造条件が難しい点、及び毒性が強い点
等である。
【0004】そこで将来的な展望から、資源の枯渇によ
る生産面の問題や、毒性による公害の心配、さらには環
境面への問題がある無機系の材料よりも、有機系の材料
よりなる電子写真感光体の研究が盛んに行われるように
なり、その結果、さまざまな有機化合物を用いた電子写
真感光体が研究されるようになった。とりわけ、ここ数
年の研究開発は、機能分離型の感光体の概念を積極的に
導入する方向にあり、その中でも特に導電層の上に電荷
キャリヤ発生層と、正孔移動性の電荷キャリヤ移動層と
を順に積層し、電荷キャリヤ移動層表面を負に帯電させ
る方法が主流となっている。
【0005】そしてこの様に、機能を分離させることに
より、電荷キャリヤ発生と電荷キャリヤ移動とのそれぞ
れの機能を個別に有する材料を独立して開発できるよう
になり、その結果、さまざまな分子構造を有する電荷キ
ャリヤ発生物質、並びに電荷キャリヤ移動物質が多数開
発された。
【0006】電荷キャリヤ移動物質に注目して、それら
の中から代表的なものを構造的特徴から分類すると、ヒ
ドラゾン系(特開昭54−59143号公報)、スチル
ベン・スチリル系(特開昭58−198043号公
報)、トリアリールアミン系(特公昭58−32372
号公報)、フェノチアジン系、トリアゾール系、キノキ
サリン系、オキサジアゾール系、オキサゾール系、ピラ
ゾリン系、トリフェニルメタン系、ジヒドロニコチンア
ミド化合物、インドリン化合物、セミカルバゾン化合物
等が開発されている。
【0007】しかしながら、この様に電荷キャリヤ移動
物質として数多くの有機化合物が開発されているにもか
かわらず、1)結着剤に対する相溶性が低い、2)結晶
が析出しやすい、3)繰り返し使用した場合に感度変化
が生じる、4)帯電能、繰り返し特性が劣る、5)残留
電位特性が劣る、等の問題点を全て解決する有機化合物
はなく、先に揚げた電子写真感光体として要求される基
本的な性質、更には機械的強度、高耐久性等を満足する
ものは未だ充分に得られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度で高耐久性を有する電子写真感光体を提供することで
ある。特に、本発明は、温度、湿度に対す安定性に優
れ、かつ帯電特性が高く、繰り返し使用でも光感度の低
下がほとんど起こらない電子写真感光体を提供すること
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の高感度及び高耐久性を有する光導電性物質の研究を行
った結果、特定のエナミン基含有化合物が有効であるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、
【0010】本発明の電子写真感光体の第一の発明は、
導電性支持体上に形成せしめた感光層中に下記一般式
(I)で示されるエナミン基含有化合物を含有せしめた
ことを特徴とする。
【化5】 〔式中、Arは、置換基を有してもよいアリーレン基で
あり、A,Bは、それぞれ置換基を有してもよいアリー
ル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有して
もよいアラルキル基、炭素数1〜5のアルキル基、ある
いは水素原子であり(但し、A,Bが同時に水素原子の
場合は除く)、aは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素
数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルア
ミノ基、ハロゲン、あるいは水素原子であり、mは、1
〜4の整数であり(但し、mが2以上のとき、aは同一
でも異なってもよい)、nは2〜4の整数である。〕本
明細書において、「エナミン基含有」とは、化合物中
に、=C=CH−N=で示される結合を有することを意
味する。
【0011】前記一般式(I)で示されるエナミン基含
有化合物の好ましい化合物としては、つぎの一般式(I
I)で示される化合物を挙げることができる。
【化6】 〔式中、bは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜
3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ
基、ハロゲン、あるいは水素原子であり、rは1〜4の
整数であり(但し、rが2以上のとき、bは同一でも異
なってもよい)、Ar,A,a,mは請求項1と同義で
ある。〕
【0012】また、本発明の電子写真感光体の第二の発
明は、導電性支持体上に形成せしめた感光層中に下記一
般式(III)及び(IV)で示されるエナミン基含有化合物
のうち少なくとも1種を含有せしめたことを特徴とす
る。
【化7】 〔式中Dは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換
基を有してもよい2価の複素環基、置換基を有してもよ
いアルキレン基であり、R1 ,R2 は、それぞれ置換基
を有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素
環基、置換基を有してもよいアラルキル基、低級アルキ
ル基であり、dは、水素原子、低級アルキル基、低級ア
ルコキシ基、低級ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子で
あり、fは1〜5の整数である(ただし、fが2以上の
ときdは同一でも異なっていてもよく、さらにお互いに
環を形成してもよい)。〕
【化8】 〔式中Dは、置換基を有してもよいアリーレン基、置換
基を有してもよい2価の複素環基、置換基を有してもよ
いアルキレン基であり、R1 は、置換基を有してもよい
アリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換
基を有してもよい複素環基、低級アルキル基、dは、水
素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級ジア
ルキルアミノ基、ハロゲン原子であり、eは2〜4の整
数であり、fは1〜5の整数である(ただし、fが2以
上のときdは同一でも異なっていてもよく、さらにお互
いに環を形成してもよい)。〕
【0013】また、前記第一又は第二の発明における電
子写真感光体において、感光層が電荷キャリヤ発生物質
と電荷キャリヤ移動物質とを含有し、該電荷キャリヤ移
動物質が前記一般式(I)、(III) 及び(IV)で示され
るエナミン基含有化合物から選ばれる少なくとも1種で
ある電子写真感光体が好ましい。
【0014】さらに、前記第一又は第二の発明における
電子写真感光体において、感光層が電荷キャリヤ発生物
質を含有する電荷キャリヤ発生層と、電荷キャリヤ移動
物質を含有する電荷キャリヤ移動層からなり、該電荷キ
ャリヤ移動物質が前記一般式(I)、(III)及び(IV)
で示されるエナミン基含有化合物から選ばれる少なくと
も1種である電子写真感光体が好ましい。
【0015】本発明における前記一般式(I)で示され
るエナミン基含有化合物は、種々の方法で合成すること
かできるが、通常、以下の反応式(1)、(2)、
(3)のプロセスで容易に合成される。すなわち、下記
反応式(1)
【0016】
【化9】 により、アセトアルデヒド誘導体(V)とジアリールア
ミン誘導体(VI)とを脱水縮合させてエナミン誘導体
(VII)を得る。次いで、下記反応式(2)
【0017】
【化10】 により、このエナミン誘導体(VII)をオキシ塩化リンと
ジメチルホルムアミド、あるいはフェニルメチルホルム
アミドによりホルミル化置換反応を行ないアルデヒド化
合物(VIII)を得る。次いで、下記反応式(3)
【0018】
【化11】 により、このアルデヒド化合物(VIII)を種々の置換基
からなるウィッチヒ(Wittig)試薬(IX)とカリウム‐t
‐ブトキシド存在下、テトラヒドロフラン中で反応させ
ることにより本発明の一般式(I)で示されるエナミン
基含有化合物を得ることができる。なお、上記反応式
(1)、(2)、(3)中の各記号は一般式(I)と同
義である。
【0019】また、本発明における前記一般式(III)及
び(IV)で示されるエナミン基含有化合物は、種々の方
法で合成することができるが、通常、以下の合成過程で
容易に合成される。すなわち、下記反応式(4)
【化12】 により、3置換ジアミン誘導体(X)と種々の置換アセ
トアルデヒド誘導体(XI)又は(XII)とを脱水縮合させ
ることにより本発明の一般式(III)又は(IV)で示され
るエナミン基含有化合物を得ることができる。なお、上
記反応式(4)中の各記号は、一般式(III)又は(IV)
と同義である。
【0020】本発明の電子写真感光体に用いる一般式
(I)又は(II)で示されるエナミン基含有化合物の各置
換基について説明すると、Arとしては、p‐フェニレ
ン、3‐メチル‐p‐フェニレン、3‐メトキシ‐p‐
フェニレン、1,4‐ナフチレン、3‐メチル‐1,4
‐ナフチレン、3‐メトキシ‐1,4‐ナフチレンなど
のアリーレン基が挙げられ、A,Bとしては、それぞ
れ、フェニル、p‐トリル、3,5‐キシリル、p‐メ
トキシフェニル、p‐クロロフェニル、1‐ナフチル、
9‐アントラセニル、2‐メチル‐1‐ナフチルなどの
アリール基、2‐フリル、3‐フリル、2‐チエニル、
3‐チエニル、2‐ピリジル、1‐ベンゾチアゾール、
1‐ベンゾオキサゾールなどの複素環基、ベンジル、p
‐メトキシベンジル、p‐メチルベンジル、p‐クロロ
ベンジルなどのアラルキル基、メチル、エチル、n‐プ
ロピル、iso‐プロピル、n‐ブチル、sec‐ブチ
ル、n‐ペンチルなどのアルキル基、あるいは水素原子
が挙げられ、a,bとしては、それぞれメチル、エチ
ル、n‐プロピル、iso‐プロピル、n‐ブチル、s
ec‐ブチル、n‐ペンチルなどのアルキル基、メトキ
シ、エトキシ、n‐プロピルオキシ、iso‐プロピル
オキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチル
アミノ、ジn‐プロピルアミノ、ジiso‐プロピルア
ミノなどのジアルキルアミノ基、フッ素、塩素、臭素な
どのハロゲン原子、あるいは水素原子が挙げられる。
【0021】また、本発明の電子写真感光体に用いる一
般式(I)で示されるエナミン基含有化合物の具体的な
例としては、例えば、一般式(I)の置換基がそれぞれ
次の表1〜9に示すような、例示化合物が挙げられる
が、これによって本発明のエナミン基含有化合物が限定
されるものではない。ただし、表1〜表9中の化13〜
化47は下記の式で示す基を表し、Phはフェニル基を
示す。
【0022】
【化13】
【0023】
【化14】
【0024】
【化15】
【0025】
【化16】
【0026】
【化17】
【0027】
【化18】
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】
【化21】
【0031】
【化22】
【0032】
【化23】
【0033】
【化24】
【0034】
【化25】
【0035】
【化26】
【0036】
【化27】
【0037】
【化28】
【0038】
【化29】
【0039】
【化30】
【0040】
【化31】
【0041】
【化32】
【0042】
【化33】
【0043】
【化34】
【0044】
【化35】
【0045】
【化36】
【0046】
【化37】
【0047】
【化38】
【0048】
【化39】
【0049】
【化40】
【0050】
【化41】
【0051】
【化42】
【0052】
【化43】
【0053】
【化44】
【0054】
【化45】
【0055】
【化46】
【0056】
【化47】
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【表5】
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】表1〜9の例示化合物の中で、特に、電子
写真特性、コスト面及び合成面で優れているものは、A
rがp‐フェニレン基、1,4‐ナフチレン基であり、
A,Bのいずれか一方が水素原子であり、残り一方がフ
ェニル基、p‐トリル基、p‐メトキシフェニル基、1
‐ナフチル基、4‐クロロフェニル基、又はA,B両方
がフェニル基であり、aが水素原子、電子供与性の置換
基体である化合物が挙げられる。
【0067】また、本発明の電子写真感光体に用いる一
般式(III)及び(IV)で示されるエナミン基含有化合物
の置換基について説明すると、Dとしては、p‐フェニ
レン、m‐フェニレン、o‐メチル‐p‐フェニレン、
p,p′‐ジフェニレン、1,5‐ナフチレンなどのア
リーレン基、N‐エチル‐2,7‐カルバゾリレンなど
の複素環基、エチレン、1,2‐ジクロロエチレンなど
のアルキレン基が挙げられ、R1 としては、フェニル、
p‐トリル、m‐トリル、p‐メトキシフェニル、1‐
ナフチル、2‐ナフチルなどのアリール基、ベンジル、
メチルベンジル、メトキシベンジルなどのアラルキル
基、およびメチル、エチルなどのアルキル基、2‐ピリ
ジル、N‐エチル‐3‐カルバゾール、2‐フリル、5
‐メチル‐2‐フリル、2‐チエニルなどの複素環基が
挙げられ、dとしては、メチル、エチル、n‐プロピ
ル、イソプロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキ
シなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミ
ノなどのジアルキルアミノ基、フッ素、塩素などのハロ
ゲン原子、および水素原子が挙げられる。また、一般式
(I)におけるR2 としては、フェニル、p‐トリル、
p‐メトキシフェニル、2‐ナフチルなどのアリール
基、2‐フリル、5‐メチル‐2‐フリル、2‐チエニ
ルなどの複素環基、ベンジル、メチルベンジル、メトキ
シベンジルなどのアラルキル基、およびメチル、エチル
などのアルキル基が挙げられる。
【0068】次に前記一般式(III)で示される本発明の
エナミン基含有化合物の具体的な例としては、例えば、
一般式(III)の置換基がそれぞれ表10〜11に示すよ
うな例示化合物が挙げられるが、これによって本発明の
エナミン基含有化合物が限定されるものではない。ただ
し、表10〜11中の化13〜化47までは上述の式で
示す基を表し、また、化48〜化58は下記の式で示す
基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0069】
【化48】
【0070】
【化49】
【0071】
【化50】
【0072】
【化51】
【0073】
【化52】
【0074】
【化53】
【0075】
【化54】
【0076】
【化55】
【0077】
【化56】
【0078】
【化57】
【0079】
【化58】
【0080】
【表10】
【0081】
【表11】
【0082】表10〜11の例示化合物の中で、特に、
電子写真特性、コスト面及び合成面で優れているもの
は、Dがp‐フェニレン基、p,p′‐ジフェニレン基
であり、R1 ,R2 がそれぞれフェニル基、p‐トリル
基、p‐メトキシフェニル基であり、かつdが水素原
子、メチル基、メトキシ基であるエナミン基含有化合物
等が挙げられる。
【0083】さらに前記一般式(IV)で示される本発明
のエナミン基含有化合物の具体的な例としては、例え
ば、一般式(IV)の置換基がそれぞれ次の表12〜13
に示すような例示化合物が挙げられるが、これによって
本発明のエナミン基含有化合物が限定されるものではな
い。ただし、表12〜13中の化13〜化58、またP
hは上述で示した基を表す。
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】表12〜13の例示化合物の中で、特に、
電子写真特性、コスト面及び合成面で優れているもの
は、Dがp‐フェニレン基、p,p′‐ジフェニレン基
であり、R1 がフェニル基、p‐トリル基、p‐メトキ
シフェニル基であり、かつdが水素原子、メチル基、メ
トキシ基、eが3であるエナミン基含有化合物等が挙げ
られる。
【0087】本発明の電子写真感光体は、以上に示した
エナミン基含有化合物を感光層中に1種類または2種類
以上含有させることにより、極めて高性能を発揮する。
【0088】次に、本発明の電子写真感光体を模式的に
図1〜図6で説明する。図1は導電性支持体1の上に感
光層4として、電荷キャリヤ発生物質2を主成分として
バインダー中に分散させた電荷キャリヤ発生層5と電荷
キャリヤ移動物質3を主成分としてバインダー中に分散
させた電荷キャリヤ移動層6との積層よりなる機能分離
型感光体であり、電荷キャリヤ発生層5の表面に電荷キ
ャリヤ移動層6が形成されており、この電荷キャリヤ移
動層6中に電荷キャリヤ移動物質3として、本発明のエ
ナミン基含有化合物を用いた感光体の構成を示すもので
ある。
【0089】図2は、図1と同一の電荷キャリヤ発生層
5と、電荷キャリヤ移動層6との積層よりなる機能分離
型感光体であるが、図1とは逆に電荷キャリヤ移動層6
の表面に電荷キャリヤ発生層5が形成されており、この
電荷キャリヤ移動層6中に電荷キャリヤ移動物質3とし
て、本発明のエナミン基含有化合物を用いた感光体の構
成を示すものである。
【0090】図3は導電性支持体1の上に感光層4aと
して、電荷キャリヤ発生物質2と電荷キャリヤ移動物質
3をバインダー中に分散させた単層よりなる感光体の構
成を示すものである。
【0091】図4は図3の感光体の表面にさらに表面保
護層7を設けたものであり、単層よりなる感光体の構成
を示すものである。
【0092】図5は図1の導電性支持体1と感光層4と
の間に中間層8を設けたものであり、積層よりなる機能
分離型感光体の構成を示すものである。
【0093】図6は図3の導電性支持体1と感光層4a
との間に中間層8を設けたものであり、単層よりなる感
光体の構成を示すものである。
【0094】本発明の感光体における導電性支持体(図
面符号1)としては、例えば、導電性を有する金属ドラ
ム、もしくは金属板、または導電性加工を施した紙、プ
ラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0095】本発明の感光体の感光層に含有される電荷
キャリヤ移動物質(図面符号3)としては、前述の一般
式(I)〜(IV)で示されるエナミン基含有化合物が単
用または併用され、具体的には、前述の表1〜13の例
示化合物である。また、必要に応じて、他の電荷キャリ
ヤ移動物質として、次のスチリル化合物、例えば、β‐
フェニル‐〔4‐(ベンジルアミノ)〕スチルベン、β
‐フェニル‐〔4‐(N‐エチル‐N‐フェニルアミ
ノ)〕スチルベン、1,1‐ビス(4‐ジエチルアミノ
フェニル)‐4,4‐ジフェニルブタジエン、あるい
は、次のヒドラゾン化合物、例えば、4‐(ジベンジル
アミノ)ベンズアルデヒド‐N,N‐ジフェニルヒドラ
ゾン、4‐(エチルフェニルアミノ)ベンズアルデヒド
‐N,N‐ジフェニルヒドラゾン、4‐ジ(p‐トリル
アミノ)ベンズアルデヒド‐N,N‐ジフェニルヒドラ
ゾン、3,3‐ビス(4′‐ジエチルアミノフェニル)
‐アクロレイン‐N,N‐ジフェニルヒドラゾン、ある
いは、次のトリフェニルアミン化合物、例えば、4‐メ
トキシ‐4′‐(4‐メトキシスチリル)トリフェニル
アミン、4‐メトキシ‐4′‐スチリルトリフェニルア
ミン等も用いることができる。
【0096】本発明の感光体の感光層に含有される電荷
キャリヤ発生物質(図面符号2)としては、つぎに示す
増感染料、顔料などが用いられる。この増感染料として
は、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレ
ット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどで代表され
るトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミ
ンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオ
シンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブル
ー、メチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、
カプリブルー、メルドラブルーなどに代表されるオキサ
ジン染料、その他シアニン染料、スチリル染料、ピリリ
ウム塩染料、チオピリリウム塩染料などが挙げられる。
【0097】これら染料は、単独で使用してもよいが、
顔料を共存させることにより更に高い効率で電荷キャリ
ヤを発生させる場合が多い。光吸収によって極めて高い
効率で電荷キャリヤを発生させる光導電性の顔料として
は、各種金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、
ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン
系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリ
レン系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料などの
アゾ系顔料、その他キナクリドン系顔料、アントラキノ
ン系顔料などがある。特に電荷キャリヤを発生する顔料
に無金属フタロシアニン顔料、チタロニウムフタロシア
ニン顔料、フロレニリデン、フロレノン環を含有するビ
スアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリ
スアゾ顔料などを用いたものは、高い感度を与え優れた
電子写真感光体を形成する。
【0098】以上に挙げた電荷キャリヤ発生物質とは別
に、繰り返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位
の低下、感度の低下などを防止する目的で種々の化学物
質を添加する場合が必要となってくる。これら添加する
物質としては、トリベンジルアミン、テトラベンジル‐
p‐キシレンジアミン、1‐クロルアントラキノン、ベ
ンゾキノン、2,3‐ジクロロナフトキノン、ナフトキ
ノン、4,4′‐ジニトロベンゾフェノン、4,4′‐
ジクロロベンゾフェノン、4‐ニトロベンゾフェノン、
4‐ニトロベンザルマロンジニトリル、α‐シアノ‐β
‐(p‐シアノフェニル)アクリル酸エチル、9‐アン
トラセニルメチルマロンジニトリル、1‐シアノ‐1‐
(p‐ニトロフェニル)‐2‐(p‐クロルフェニル)
エチレン、2,7‐ジニトロフルオレノンなどの電子吸
引性化合物が挙げられる。その他、感光体中への添加物
として、酸化防止剤、カール防止剤、レベリング剤など
を必要に応じて添加することができる。
【0099】本発明の感光体におけるエナミン基含有化
合物、すなわち、電荷キャリヤ移動物質は、導電性支持
体上へフィルム形成能を有する結合剤樹脂の助けを借り
て皮膜にする。この場合、更に感度を上げるためには、
前述の増感剤、および結合剤樹脂に可塑性を付与する物
質を加えて均一な感光体皮膜にするのが望ましい。
【0100】これらフィルム形成能を有する結合剤樹脂
としては、利用分野に応じて種々のものが挙げられる。
すなわち、複写機用もしくはプリンター用感光体の分野
では、ポリスチレン、ポリビニルアセタール、ポルスル
ホン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、
ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアリレートなどが
好ましい。これらは、単独または2種以上混合して用い
てもよい。中でも、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリアリレート、ポリフェニレンオキサイドなどの樹脂
は、体積抵抗値が1013Ω以上であり、また、皮膜性、
電位特性などにも優れている。
【0101】また、これら結合剤樹脂の量は、エナミン
基含有化合物に対して、重量比で0.2〜20倍で、好
ましくは、0.5〜5倍の範囲である。0.2倍未満の
場合は、化合物が感光体表面より析出してくるという欠
点が生じ、また、20倍を超えると感度の低下が著しく
好ましくない。
【0102】印刷版に使用するためには、特にアルカリ
性結合剤が必要である。アルカリ性結合剤とは、水また
はアルコール性のアルカリ性溶剤(混合系も含む)に可
溶な酸性基、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、フ
ェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、
またはスルホンイミド基を有する高分子物質である。こ
れらアルカリ性結合剤は、通常、酸価が100以上の高
い値を持っていることが好ましい。これらの酸価の高い
高分子物質、すなわち、結合剤樹脂は、アルカリ性溶剤
に易溶もしくは容易に膨潤化する。これら結合剤樹脂と
しては、例えば、スチレン‐無水マレイン酸共重合体、
酢酸ビニル‐無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル‐ク
ロトン酸共重合体、メタクリル酸‐メタクリル酸エステ
ル共重合体、フェノール樹脂、メタクリル酸‐スチレン
‐メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。ま
た、これら結合剤樹脂の量は、前記複写機用感光体の場
合とほとんど同じでよい。
【0103】本発明の電子写真感光体において、感光層
の表面に設けられる表面保護層(図面符号7)は、機械
的ストレスに対して耐久性を向上し、暗所でコロナ放電
の電荷を受容し保持することを目的としたものであり、
化学的に安定な物質で構成され、電荷キャリヤ発生層が
感光する光を透過する性能を有し、露光時に光を透過し
て電荷キャリヤ発生層に到着させ、発生した電荷の注入
を受けて表面電荷を中和消滅させる必要があり、さらに
電荷キャリヤ発生物質の光の吸収極大の波長領域におい
て、できるだけ透明であることが要求される。
【0104】この様な性質を有する材料としては、アク
リル樹脂、ポリアリール、ポリカーボネート、ウレタン
樹脂などの有機絶縁性皮膜形成材料に、単独あるいは、
酸化スズや酸化インジウム等の低抵抗化合物を分散させ
たもの、変性シリコン樹脂として、アクリル変性シリコ
ン樹脂、エポキシ変性シリコン樹脂、アルキッド変性シ
リコン樹脂、ポリエステル変性シリコン樹脂、ウレタン
変性シリコン樹脂、ハードコート剤としてのシリコン樹
脂を単独あるいは、より耐久性を向上させる目的で酸化
ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ジルコニウ
ムを主成分とし、被膜を形成できる金属アルコキシ化合
物の縮合物との混合材料などが適当である。また、有機
プラズマ重合膜も使用でき、必要に応じて、酸素、窒
素、ハロゲン、周期律表の第III 、第V族原子を含める
ことも可能で、さらには無機材料の金属、金属酸化物な
どを蒸着、スパッタリングなどの手法により、形成させ
ることも可能である。また、この表面保護膜の膜厚は、
0.2μ〜10μ程度が好ましい。
【0105】本発明の電子写真感光体において、導電性
支持体と感光層との間に設けられる中間層(図面符号
8)は、保護機能や接着機能を付与し、塗工性を高め、
さらには基盤から感光層への電荷注入改善を目的とした
ものであり、この様な材料としては、カゼイン、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルアルコール、ニトロセルロ
ース、エチレン‐アクリル酸コポリマー、ポリアミド
(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合
ナイロン、アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウ
レタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどが適当であ
る。この中間層の厚みは、0.1〜3μ程度が好まし
い。
【0106】本発明の感光体は、感光体の形態に応じ
て、上記の種々の添加物質と共に、エナミン基含有化合
物を適当な溶剤中に溶解または分散して、塗布液とし、
この塗布液を前述の導電性支持体上に塗布し、乾燥して
製造する。
【0107】溶剤としては、塩化メチレン、ジクロロエ
タンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、
キシレン、モノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、
ジオキサン、ジメトキシメチルエーテル、ジメチルホル
ムアミドなどの溶剤の単独または、2種以上の混合溶
剤、あるいは、必要に応じてアルコール類、アセトニト
リル、メチルエチルケトンなどの溶剤を更に加えて使用
することができる。
【0108】本発明の感光体において、エナミン基含有
化合物を用いる態様には種々の方法が考えられる。
【0109】たとえば、エナミン基含有化合物を電荷キ
ャリヤ移動物質とし、電荷キャリヤ発生物質や電子吸引
性化合物を添加して、結合剤樹脂中に溶解もしくは分散
したものを感光層として導電性支持体上に形成した単層
型の感光体を挙げることができる。
【0110】また、電荷発生効率の高い電荷キャリヤ発
生層と電荷キャリヤ移動層とからなる積層構造の感光層
とする場合である。すなわち、増感染料もしくは顔料を
主体とした電荷キャリア発生層の上に、該エナミン基含
有化合物を、必要によって、酸化防止剤や電子吸引性化
合物などを添加して結合剤樹脂中に溶解もしくは分散さ
せ、これを電荷キャリヤ移動層として積層して感光層と
し、この感光層を導電性支持体上に形成した機能分離型
の感光体を挙げることができる。
【0111】
【実施例】本発明の電子写真感光体を実施例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれらにより、なんら限定
されるものではない。実施例で使用する例示化合物の合
成例の数例を下記する。
【0112】合成例1(例示化合物No.38の合成) ジフェニルアミンと、1‐ホルミル‐1,2,3,4‐
テトラヒドロナフタレンをベンゼン中でp‐トルエンス
ルホン酸を触媒として、脱水縮合させてエナミン化合物
(融点135.0〜136.0℃)を得る。このエナミ
ン化合物をジメチルホルムアミドとオキシ塩化リンとに
よりホルミル化を行ないアルデヒド化合物(融点17
9.0〜181.0℃)を得る。このアルデヒド化合物
をカリウム‐t‐ブトキサイド存在下、テトラヒドロフ
ラン中でp‐メチルベンジルホスホン酸ジエチルと反応
させることにより例示化合物No.38(融点122.5
〜124.0℃)を得る。尚、再結晶はエタノール/酢
酸エチルより行なった。
【0113】得られた化合物は13C−NMRスペクトル
により例示化合物No.38であることを確認した。すな
わち、図7は、通常の13C−NMRスペクトルであり、
図8は、DEPF135による13C−NMRスペクトル
であり、これら図7及び図8に示される2つのスペクト
ルにより例示化合物No.38を特徴づけるピークとし
て、21.18ppm にメチル基、22.76,26.9
4,30.28ppm にそれぞれ3個のメチレン基が観測
されている。
【0114】合成例2(例示化合物No.163の合成) N,N,N′‐トリフェニル‐1,4‐フェニレンジア
ミンとジフェニルアセトアルデヒドを、D,L‐10‐
カンファースルホン酸触媒下で2時間加熱還流させるこ
とにより脱水縮合し、例示化合物No.163(融点8
8.5〜91.0℃)を得た。
【0115】合成例3(例示化合物No.208の合成) N,N,N′‐トリフェニル‐1,4‐フェニレンジア
ミンと1,2,3,4‐テトラヒドロ‐1‐ホルミルナ
フタレンを、D,L‐10‐カンファースルホン酸触媒
下で2時間加熱還流させることにより脱水縮合し、例示
化合物No.208(融点112.5〜114.5℃)を
得た。
【0116】実施例で用いる他の例示化合物も上記合成
例1〜3に準じて容易に合成することができる。
【0117】つぎに、実施例1〜5及び実施例11〜1
5で作製した電子写真感光体は、静電記録紙試験装置
(川口電機製;SP−428)により電子写真特性を評
価した。測定条件は、加電圧:−6kV,スタティッ
ク:No.3であり、白色光照射(照射光:5 lux)によ
る−700Vから−100Vに減衰させるに必要な露光
量E100 (ルックス・秒)及び初期電位Vo (−ボル
ト)を測定した。更に同装置を用いて、加電−除電(除
電光:白色光で40ルックスで1秒照射)を1サイクル
として1万回同様の操作を行なった後の初期電位V
o (−ボルト)及びE100 (ルックス・秒)を測定し、
o 及びE100 の変化を調べた。これらの結果を表14
及び表16に示す。
【0118】また、実施例7〜10及び実施例17〜2
0で作製した電子写真感光体も上記の静電記録紙試験装
置により電子写真特性を評価した。ただし、測定条件
は、加電圧:+5.5kV、スタテック:No.3であ
り、白色光照射による+700Vから+100Vに減衰
させるのに必要な露光量E100 (ルックス・秒)を測定
し、また、1万回の空コピーテストを行い、感度(E
100 )の低下の度合いを測定した。これらの結果を表1
5及び表17に示す。
【0119】なお、実施例6及び実施例16で作製した
電子写真感光体の評価については、上記の特性評価と相
違するため実施例6及び実施例16中で説明する。
【0120】実施例1(機能分離型感光体) フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製;PKHH)
を溶解した1%テトラヒドロフラン(THF)溶液中
に、式
【化59】 で示されるビスアゾ顔料を該樹脂と同重量加え、つい
で、直径1.5mmのガラスビーズと一緒にペイントコン
ディショナー(レッドレベル社製)中で約2時間分散を
行ない電荷キャリヤ発生物質溶液を調製した。
【0121】つぎに、アルミ蒸着のポリエステルフィル
ム(膜厚80μ)を導電性支持体とし、この支持体上に
上記で得られた溶液をドクターブレイド法により塗布
し、乾燥して、電荷キャリヤ発生層を形成した。乾燥後
の膜厚は、0.2μであった。
【0122】この電荷発生層の上に、合成例1で合成し
た例示化合物No.38の1gと、ポリアリレート(ユニ
チカ製;U−100)1.2gを塩化メチレンに溶解し
た15%の溶液をスキージングドクターにより塗布し、
乾燥膜厚25μの電荷キャリヤ移動層を形成して、機能
分離型の電子写真感光体を作製した。特性評価を表14
に示す。
【0123】実施例2〜5(機能分離型感光体) 例示化合物をそれぞれ、No.2,No.10,No.24、
No.45に変える以外は実施例1と同様にして電子写真
感光体を作製し、特性を評価した。特性評価を表14に
示す。
【0124】
【表14】
【0125】表14に示した結果から明らかなように、
実施例1〜5の電子写真感光体は、繰り返し使用でも光
感度の低下が起こらないことが判る。
【0126】実施例6(機能分離型感光体) 塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体(積水化学社製;エス
レックスM)0.3gを溶かした酢酸エチル溶液30ml
中にx型無金属フタロシアニン(大日本インキ社製、フ
ァストゲンブルー8120)0.4gを加え、ペイント
コンディショナー中で約20分間分散を行い電荷キャリ
ヤ発生物質溶液を調製した。
【0127】つぎに、アルミ蒸着のポリエステルフィル
ム(膜厚100μ)を導電性支持体とし、この支持体上
に上記で得られた溶液をドクターブレイド法により塗布
し、乾燥して、電荷キャリヤ発生層を形成した。乾燥後
の膜厚は、0.4μであった。この電荷キャリヤ発生層
の上に例示化合物No.64の化合物を重量比50%含有
したポリアリレート層(膜厚20μ)を積層して、機能
分離型の電子写真感光体を作製した。
【0128】この感光体の780nmの分光した光を用い
て、電位半減に要したエネルギー(E50)及び初期電位
(−Vo )を求めたところ、Vo =890ボルト、E50
=2.6(エルグ/cm2 )と非常に感度の高い、かつ高
帯電性の感光体であった。また、シャープ社製レーザー
プリンター(WD−580P)を改造し、ドラム部に、
この感光体を張り付け、連続空コピー(Non Copy Agin
g)を1万回行なった後、初期電位低下、感度の低下の
度合いを調べた。その結果は、Vo =885(ボル
ト)、E50=2.7(エルグ/cm2 )と第1回目と比べ
てほとんど値の変動は見られなかった。
【0129】実施例7(単層型感光体) 構造式
【化60】 で示されるポリアリレート1.1gと、例示化合物No.
11の1gと、N,N‐3,5‐キシリル‐3,4‐キ
シリル‐3,4,9,10‐ペリレンテトラカルボキシ
ルイミド0.15gと、紫外線吸収剤0.05gとを塩
化メチレン中に溶解し(イミド化合物は一部分散状
態)、この溶液をアプリケーターによりアルミ基盤表面
をアルマイト加工(アルマイト層7μ)した導電性支持
体上に塗布して、乾燥膜厚20μの単層型の電子写真感
光体を作製した。特性結果を表15に示す。
【0130】実施例8〜10(単層型感光体) 例示化合物をそれぞれ、No.57、No.81、No.11
5に変える以外は、実施例7と同様にして電子写真感光
体を作製し、特性を評価した。特性結果を表15に示
す。
【0131】
【表15】
【0132】表15に示した結果から明らかなように、
実施例7〜10の電子写真感光体は、正帯電においても
優れた感度および繰り返し特性を有することが判る。
【0133】実施例11〜15(機能分離型感光体) 下式
【化61】 で示されるビスアゾ顔料を使用すると共に、例示化合物
をそれぞれNo.163,No.183,No.191,No.
199,No.214に変える以外は実施例1と同様にし
て電子写真感光体を作製し、特性を評価した。特性評価
を表16に示す。
【0134】
【表16】
【0135】表16に示した結果から明らかなように、
実施例11〜15の電子写真感光体は、優れた感度およ
び繰り返し特性を有することが判る。
【0136】実施例16(機能分離型感光体) 例示化合物をNo.178に変える以外は実施例6と同様
にして、2層からなる機能分離型の電子写真感光体を作
製した。
【0137】この感光体の780nmの分光した光を用い
て電位半減に要したエネルギー(E50)及び初期電位
(−Vo )を求めたところ、Vo =780ボルト、E50
=3.2(エルグ/cm2 )と非常に感度の高い、かつ高
帯電性の感光体であった。また、シャープ社製レーザー
プリンター(WD−580P)を改造し、ドラム部に、
本感光体を張り付け、連続空コピー(Non Copy Aging)
を1万回行なった後、初期電位低下、感度の低下の度合
いを調べた。その結果は、Vo =770(ボルト)、E
50=3.1(エルグ/cm2 )と第1回目と比べてほとん
ど値の変動は見られなかった。
【0138】実施例17〜20(単層型感光体) 例示化合物をそれぞれ、No.170,No.189,No.
208,No.271に変える以外は、実施例7と同様に
して電子写真感光体を作製し、特性を評価した。特性評
価を表17に示す。
【0139】
【表17】 表17に示した結果から明らかなように、実施例17〜
20の電子写真感光体は、正帯電においても優れた感度
および繰り返し特性を有することが判る。
【0140】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、温度、湿度
に対する安定性に優れ、かつ、帯電特性が高く、繰り返
し使用でも光感度の低下が起らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】機能分離型の電子写真感光体の一例を示す模式
的な断面図である。
【図2】機能分離型の電子写真感光体のその他の例を示
す模式的な断面図である。
【図3】単層型の電子写真感光体の一例を示す模式的な
断面図である。
【図4】表面保護層を設けた単層型の電子写真感光体の
一例を示す模式的な断面図である。
【図5】中間層を設けた機能分離型の電子写真感光体の
一例を示す模式的な断面図である。
【図6】中間層を設けた単層型の電子写真感光体の一例
を示す模式的な断面図である。
【図7】例示化合物No.38の13C−NMR測定チャー
トを示す図面である。
【図8】例示化合物No.38のDEPT−135による
13C−NMR測定チャートを示す図面である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷キャリヤ発生物質 3 電荷キャリヤ移動物質 4 感光層 4a 感光層 5 電荷キャリヤ発生層 6 電荷キャリヤ移動層 7 表面保護層 8 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 清文 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 榎本 和弘 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−51162(JP,A) 特開 平2−189553(JP,A) 特開 昭62−272268(JP,A) 特開 昭62−272269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に形成せしめた感光層中
    に下記一般式(I)で示されるエナミン基含有化合物を
    含有せしめたことを特徴とする電子写真感光体。 【化1】 〔式中、Arは、置換基を有してもよいアリーレン基で
    あり、 A,Bは、それぞれ置換基を有してもよいアリール基、
    置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい
    アラルキル基、炭素数1〜5のアルキル基、あるいは水
    素原子であり(但し、A,Bが同時に水素原子の場合は
    除く)、 aは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜3のアル
    コキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、ハロゲ
    ン、あるいは水素原子であり、mは、1〜4の整数であ
    り(但し、mが2以上のとき、aは同一でも異なっても
    よい)、nは2〜4の整数である。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で示されるエナミン基
    含有化合物が下記一般式(II)で示される化合物である
    請求項1に記載の電子写真感光体。 【化2】 〔式中、bは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜
    3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ
    基、ハロゲン、あるいは水素原子であり、rは1〜4の
    整数であり(但し、rが2以上のとき、bは同一でも異
    なってもよい)、Ar,A,a,mは請求項1と同義で
    ある。〕
  3. 【請求項3】 導電性支持体上に形成せしめた感光層中
    に下記一般式(III)及び(IV)で示されるエナミン基含
    有化合物のうち少なくとも1種を含有せしめたことを特
    徴とする電子写真感光体。 【化3】 〔式中、Dは、置換基を有してもよいアリーレン基、置
    換基を有してもよい2価の複素環基、置換基を有しても
    よいアルキレン基であり、 R1 ,R2 は、それぞれ置換基を有してもよいアリール
    基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有しても
    よいアラルキル基、低級アルキル基であり、 dは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、
    低級ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子であり、fは1
    〜5の整数である(ただし、fが2以上のときdは同一
    でも異なっていてもよく、さらにお互いに環を形成して
    もよい)。〕 【化4】 〔式中、Dは、置換基を有してもよいアリーレン基、置
    換基を有してもよい2価の複素環基、置換基を有しても
    よいアルキレン基であり、 R1 は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有
    してもよいアラルキル基、置換基を有してもよい複素環
    基、低級アルキル基であり、 dは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、
    低級ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子であり、eは2
    〜4の整数であり、fは1〜5の整数である(ただし、
    fが2以上のときdは同一でも異なっていてもよく、さ
    らにお互いに環を形成してもよい)。〕
  4. 【請求項4】 前記感光層が電荷キャリヤ発生物質と電
    荷キャリヤ移動物質とを含有し、該電荷キャリヤ移動物
    質が前記一般式(I)、(III) 及び(IV)で示されるエ
    ナミン基含有化合物から選ばれる少なくとも1種である
    請求項1又は3に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記感光層が電荷キャリヤ発生物質を含
    有する電荷キャリヤ発生層と、電荷キャリヤ移動物質を
    含有する電荷キャリヤ移動層からなり、該電荷キャリヤ
    移動物質が前記一般式(I)、(III)及び(IV)で示さ
    れるエナミン基含有化合物から選ばれる少なくとも1種
    である請求項1又は3に記載の電子写真感光体。
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