JPH0683082A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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Publication number
JPH0683082A
JPH0683082A JP23448592A JP23448592A JPH0683082A JP H0683082 A JPH0683082 A JP H0683082A JP 23448592 A JP23448592 A JP 23448592A JP 23448592 A JP23448592 A JP 23448592A JP H0683082 A JPH0683082 A JP H0683082A
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JP
Japan
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group
chemical
substituent
carrier
compound
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Application number
JP23448592A
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English (en)
Inventor
Akihiro Kondo
晃弘 近藤
Masaru Machino
賢 町野
Akiko Masuda
晶子 増田
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Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
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Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP23448592A priority Critical patent/JPH0683082A/ja
Publication of JPH0683082A publication Critical patent/JPH0683082A/ja
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 導電性支持体上に形成させた感光層中に下記
一般式(I)で示されるビスエナミン化合物を含有させ
てなる電子写真感光体。 〔式中Aはアリール基、複素環基、アラルキル基を、R
はアリール基、複素環基などを示し、aは炭素数1〜
5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などであ
り、nは1〜3の整数である。〕 【効果】 高感度で高耐久性を有する電子写真感光体で
あり、有機系の感光体の特徴を備えながら、温度、湿度
に対する安定性に優れ、かつ帯電特性が高く、繰り返し
使用でも光感度の低下がほとんど起らない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体に関
し、さらに詳しくは、導電性支持体上に形成せしめた感
光層の中にビスエナミン化合物を含有させた電子写真感
光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真技術において、電子写真
感光体の感光層には、無機物であるセレン、硫化カドミ
ウム、アモルファスシリコン、酸化亜鉛などが広く使用
されているが、近年有機物質の光導電性材料を電子写真
感光体として用いる研究が多く行われている。ここで、
電子写真感光体として必要とされる基本的な性質を掲げ
ると、 1)暗所においてコロナ放電による電荷の帯電性が高い
こと。 2)得られたコロナ放電による電荷が暗所において減衰
の少ないこと。 3)光照射によって電荷が速やかに散逸すること。 4)光の照射後の残留電荷が少ないこと。 5)繰り返し使用時による残留電位の増加、初期電位の
減少がすくない事。 6)気温、湿度により電子写真特性の変化が少ないこと
等である。
【0003】従来の無機物質電子写真感光体であるセレ
ン、硫化カドミウムなどは、基本的な性質の面では感光
体としての条件を備えているが、製造上の問題、例えば
毒性が強い、皮膜性が困難である、可塑性が余りない、
製造コストが高いなどの欠点を有している。更に将来的
に見るならば、資源の枯渇により、生産に限りのあるこ
れら無機物質よりも、又毒性による公害の面において
も、無機物質より有機物質の感光体の使用が望まれてい
る。これらの点に鑑みて、近年有機物質からなる電子写
真感光体の研究が盛んに行われてきており、この結果種
々の有機物質を用いた電子写真感光体が提案され、実用
化されているものもある。
【0004】一般的に見て、有機系のものは、無機系の
ものに比べて、透明性が良く、軽量で成膜性も容易で、
正、負の両帯電性を有しており、感光体の製造も容易で
あるなどの利点を有する。今までに提案されている有機
系の電子写真感光体の代表的なものとして、例えば、ポ
リビニルカルバゾールおよびその誘導体があるが、これ
らは必ずしも皮膜性や可塑性、溶解性、接着性等充分で
なく、また、ポリビニルカルバゾールをピリリュウム塩
色素で増感したもの(特公昭48−25658号公報)
や、ポリビニルカルバゾールと2,4,7‐トリニトロ
フロレノンで増感したもの(米国特許3484237
号)などの改良されたものもあるが、先に掲げた感光体
としての要求される基本的な性質、更には機械的強度、
高耐久性などの要求を満足するものは、未だ充分に得ら
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度で高耐久性を有する電子写真感光体を提供することで
ある。特に、無機系の感光体にくらべ、透明性がよく、
軽量で、成膜性も容易で、正負の両帯電性を有してお
り、感光体の製造も容易な有機系の感光体の特徴を備え
ながら温湿度に対する安定性に優れ、かつ帯電特性が高
く、繰り返し使用でも光感度の低下がほとんど起こらな
い感光体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
の高感度及び高耐久性を有する光導電性物質の研究を行
なった結果、上記一般式(I)で示される新規なビスエ
ナミン化合物、特にp‐ビニルフェニル基含有ビスエナ
ミン化合物が有効であることを見いだし、本発明に至っ
た。即ち本発明は次の通りである。
【0007】(1) 導電性支持体上に形成せしめた感
光層中に下記一般式(I)で示されるビスエナミン化合
物を含有させてなる電子写真感光体。
【化3】 〔式中Aは置換基を有してもよいアリール基、置換基を
有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキ
ル基;R1 は置換基を有してもよいアリール基、置換基
を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラル
キル基、炭素数1〜5のアルキル基、または水素原子;
aは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
キシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミノ基、ハロゲン
原子、水素原子であり;nは1〜3の整数である(但
し、nが2以上のとき、aは同一でも異なっていてもよ
く、またお互いに環を形成してもよい)。〕
【0008】(2) 一般式(I)記載のビスエナミン
化合物が、下記一般式〔II〕で示されるp‐ビニルフェ
ニル基含有ビスエナミン化合物である前項(1)記載の
電子写真感光体。
【化4】 〔式中、R2 ,R3 ,R4 は置換基を有してもよいアリ
ール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有し
てもよいアラルキル基、炭素数1〜5のアルキル基また
は水素原子であり(但し、R3 とR4 が共に水素原子の
場合は除く);bは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミ
ノ基、ハロゲン原子または水素原子であり;mは1〜4
の整数である(但し、mが2以上の時、bは同一でも異
なっていてもよい)。〕
【0009】(3) 感光層がキャリアー移動物質とキ
ャリアー発生物質を含有し、該キャリアー移動物質が一
般式I又はIIのビスエナミン化合物を含有する前項
(1)又は(2)記載の電子写真感光体。
【0010】(4) 感光層がキャリアー発生物質を含
有するキャリアー発生層と、キャリアー移動物質を含有
するキャリアー移動層との積層体において、該キャリア
ー移動物質が一般式I又はIIで示されるビスエナミン化
合物である前項(1)又は(2)記載の電子写真感光
体。
【0011】本発明にかかわる一般式(I)のビスエナ
ミン化合物は種々の方法で合成することができるが、通
常下記の合成過程で容易に合成される。
【化5】 式中の各記号は一般式(I)における定義と同一の意味
を示す。すなわち上記構造式(III)で示される置換フェ
ニルアセトアルデヒド誘導体2分子と、上記構造式(I
V)で示される1級アミン誘導体との脱水縮合により、
本発明のビスエナミン化合物を得ることができる。
【0012】ここで各置換基について説明すると、Aと
しては、フェニル基、p‐トリル基、p‐メトキシフェ
ニル基、3,5‐キシリル基、3,5‐ジメトキシフェ
ニル基、1‐ナフチル基、2‐ナフチル基、2‐メチル
‐1‐ナフチル基、などのアリール基;N‐エチル‐3
‐カルバゾール基などの複素環基;ベンジル基、p‐メ
トキシベンジル基、p‐メチルベンジル基などのアラル
キル基があげられるが、無置換体及び電子供与基で置換
されたアリール基が有効であった。特に後記のR2 ,R
3 ,R4 で置換されたp‐ビニルフェニル基が有効であ
った。
【0013】R1 ,R2 ,R3 ,R4 としては、フェニ
ル基、p‐トリル基、p‐メトキシフェニル基、3,5
‐キシリル基、1‐ナフチル基、2‐ナフチル基、2‐
メチル‐1‐ナフチル基、などのアリール基;2‐ピリ
ジル基、N‐エチル‐3‐カルバゾール基、2‐フリル
基、3‐フリル基、4‐メチル‐2‐フリル基、3‐エ
チル‐2‐フリル基などの複素環基;メチル基、エチル
基、n‐プロピル基、sec‐プロピル基、n‐ブチル
基などのアルキル基および水素原子が挙げられるが、電
子供与基で置換されたアリール基が有効であった。
【0014】a,bとしては、メチル基、エチル基、n
‐プロピル基、iso‐プロピル基、n‐ブチル基等の
アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基な
どのアルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ
基などのジアルキルアミノ基、フッ素原子、塩素原子、
臭素原子などのハロゲン原子が挙げられるが、水素原
子、電子供与置換基が有効であった。
【0015】本発明にかかわる一般式(I)のビスエナ
ミン化合物の一種である一般式(II)のp‐ビニルフェ
ニル基含有ビスエナミン化合物の合成も、種々の方法で
合成することができるが、通常以下の合成過程で容易に
合成される。すなわち、下記構造式(V)で示される種
々の置換p‐ニトロフェニルケトン誘導体あるいは種々
の置換p‐ニトロベンズアルデヒド誘導体と、下記構造
式(VI)で示される種々のビッティヒ試薬をテトラヒド
ロフラン(THF)/N,N‐ジメチルホルムアミド
(DMF)溶媒中でカリウム‐t‐ブトキサイド(t‐
BuOK)により反応させ、下記構造式(VII )で示さ
れるp‐ビニルニトロベンゼン化合物を得る。但し、式
中前出の記号と同一の記号は、一般式(I)(II)にお
ける定義と同一の意味であり、またR5 は炭素数1〜5
のアルキル基か、アリール基である。
【0016】
【化6】
【0017】ついで、鉄粉、酢酸存在下、1,4ジオキ
サン/水中で還元することにより、下記構造式(VIII)
で示されるp‐ビニルアニリン誘導体(VIII) を得る、
このp‐ビニルアニリン誘導体を化5に示す1級アミン
誘導体の代替として用いて、本発明のp‐ビニルフェニ
ル基含有ビスエナミン化合物を得る。
【化7】
【0018】本発明の(I)、(II)式の一般式で示さ
れるビスエナミン化合物、その特別な例としてのp‐ビ
ニルフェニル基含有ビスエナミン化合物の具体的な例と
して、(I)式のR、(a)n ,A,(II)式のR1
2 ,(a)n ,(b)m ,R3 ,R4 が次の諸表に掲
げる構造を有するものが挙げられるが、これによって、
本発明のビスエナミン化合物、又はp‐ビニルフェニル
基含有ビスエナミン化合物が限定されるものではない。
次の諸表において用いる化学式として次の化学式を用い
る。
【0019】
【化8】
【0020】
【化9】
【0021】
【化10】
【0022】
【化11】
【0023】
【化12】
【0024】
【化13】
【0025】
【化14】
【0026】
【化15】
【0027】
【化16】
【0028】
【化17】
【0029】
【化18】
【0030】
【化19】
【0031】
【化20】
【0032】
【化21】
【0033】
【化22】
【0034】
【化23】
【0035】
【化24】
【0036】
【化25】
【0037】
【化26】
【0038】
【化27】
【0039】
【化28】
【0040】
【化29】
【0041】
【化30】
【0042】
【化31】
【0043】
【化32】
【0044】
【化33】
【0045】
【化34】
【0046】
【化35】
【0047】
【化36】
【0048】
【化37】
【0049】
【化38】
【0050】
【化39】
【0051】
【化40】
【0052】
【化41】
【0053】
【化42】
【0054】
【化43】
【0055】
【化44】
【0056】
【化45】
【0057】
【化46】
【0058】
【化47】
【0059】
【化48】
【0060】
【化49】
【0061】
【化50】
【0062】
【化51】
【0063】
【化52】
【0064】
【化53】
【0065】
【化54】
【0066】
【化55】
【0067】
【化56】
【0068】
【化57】
【0069】
【化58】
【0070】
【化59】
【0071】
【化60】
【0072】
【化61】
【0073】
【化62】
【0074】
【化63】
【0075】
【化64】
【0076】
【化65】
【0077】
【化66】
【0078】
【化67】
【0079】
【化68】
【0080】
【化69】
【0081】
【化70】
【0082】
【化71】
【0083】
【化72】
【0084】
【化73】
【0085】
【化74】
【0086】
【化75】
【0087】
【化76】
【0088】
【化77】
【0089】
【化78】
【0090】
【化79】
【0091】
【化80】
【0092】
【化81】
【0093】
【化82】
【0094】一般式(I)で示される例示化合物として
は、次の表1〜表14で示される化合物が挙げられる。
またその化合物の内、特に一般式(II)で示されるp‐
ビニルフェニル基含有ビスエナミン化合物の例示化合物
としては、次の表15〜表18で示される化合物が挙げ
られる。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
【表6】
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
【表9】
【0104】
【表10】
【0105】
【表11】
【0106】
【表12】
【0107】
【表13】
【0108】
【表14】
【0109】
【表15】
【0110】
【表16】
【0111】
【表17】
【0112】
【表18】
【0113】一般式(I)で示される例示化合物の中
で、電子写真特性に優れ、かつコスト面、合成面で優れ
る化合物は、Aがp‐メトキシフェニル基、フェニル
基、p‐トリル基などのアリール基であり、R1 がフェ
ニル基、p‐トリル基、p‐メトキシフェニル基、p‐
N,N‐ジメチルフェニル基などのアリール基であり、
aが水素原子、メチル基、メトキシ基である化合物等が
挙げられる。
【0114】一般式(II)で示される例示化合物の中
で、電子写真特性に優れ、かつコスト面、合成面で優れ
る化合物は、R1 がフェニル基、p‐トリル基、p‐メ
トキシフェニル基であり、R2 が水素原子、メチル基で
あり、aが水素原子、メチル基、メトキシ基であり、b
が水素原子、メチル基、メトキシ基であり、R3 ,R4
の一方がフェニル基、p‐トリル基、p‐メトキシフェ
ニル基、p‐ジメチルアミノフェニル基である化合物等
が挙げられる。
【0115】本発明にかかる電子写真感光体は前記に示
した化合物を1種類あるいは2種類以上含有させること
により得られる。また場合によっては、他のキャリアー
移動物質として、次のスチリル化合物、例えばβ‐フェ
ニル‐〔4‐(ジベンジルアミノ)〕スチルベン、β‐
フェニル‐〔4‐(N‐エチル‐N‐フェニルアミ
ノ)〕スチルベン、1,1‐ビス(4‐ジエチルアミノ
フェニル)‐4,4‐ジフェニルブタジエン、あるい
は、次のヒドラゾン化合物、例えば4‐(ジベンジルア
ミノ)ベンズアルデヒド‐N,N‐ジフェニルヒドラゾ
ン、4‐(エチル、フェニルアミノ)ベンズアルデヒド
‐N,N‐ジフェニルヒドラゾン、3,3‐ビス
{(4′‐ジエチルアミノ)フェニル}アクロレイン‐
N,N‐ジフェニルヒドラゾンあるいは次のトリフェニ
ルアミン化合物、例えば4‐メトキシ‐4′‐(4‐メ
トキシスチリル)トリフェニルアミン、4‐メトキシ‐
4′‐スチリルトリフェニルアミン等を含有させること
もできる。
【0116】これらビスエナミン化合物を電子写真感光
体として用いる態様には、種々の方法が考えられる。例
えば、ビスエナミン化合物と増感染料を必要によっては
化学増感剤や電子吸引性化合物を添加して、結合剤樹脂
中に溶解もしくは分散させたものを導電性支持体上に設
けて成る感光体あるいは、電荷キャリアー発生効率の高
いキャリアー発生層とキャリアー移動層とからなる積層
構造の形態において、導電性支持体上に増感染料又はア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料を代表とする顔料を主
体として設けられたキャリアー発生層上に本ビスエナミ
ン化合物を必要によって、酸化防止化合物や電子吸引性
化合物を添加して結合剤中に溶解もしくは分散させ、こ
れをキャリアー移動層として設けて成る積層感光体など
があるが、いずれの場合にも適用することが可能であ
る。本発明の化合物を用いて感光体を作成するに際して
は、金属ドラム、金属板、導電性加工を施した紙、プラ
スチックフィルムの様な支持体上へ重合体フィルム形成
性結合剤の助けを借りて皮膜にする。この場合、更に感
度を上げるためには、後述するような増感剤及び重合性
フィルム形成結合剤に対する可塑性を付与する物質を加
えて均一な感光体皮膜にするのが望ましい。
【0117】これら重合性フィルム形成結合剤として
は、利用分野に応じて種々のものがあげられる。すなわ
ち、複写機用もしくはプリンター用感光体の分野では、
ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリス
ルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオ
キサイド樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポ
リアリレート樹脂等が好ましい。これらは、単独又は2
種以上混合して用いてもよい。中でも、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンオ
キサイド等の樹脂は、体積抵抗値が1013Ω以上であ
り、又、皮膜性、電位特性等にも優れている。又、これ
ら結合剤の本発明のビスエナミン化合物に対して加える
量は、重量比で0.2〜20倍の割合で、好ましくは
0.5〜5倍の範囲で、0.2未満になるとビスエナミ
ン化合物が感光体表面より析出してくるという欠点が生
じ、又、20倍超になると著しく感度低下をまねく。
【0118】印刷版に使用するためには、特にアルカリ
性結合剤が必要である。アルカリ性結合剤とは、水また
はアルコール性のアルカリ性溶剤(混合系も含む)に可
溶な酸性基、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、フ
ェノール性水酸基、スルホン酸基、スルホンアミド基、
又はスルホンイミド基を有する高分子物質である。これ
らアルカリ性結合剤樹脂は、通常、酸価が100以上の
高い値を持っていることが好ましい。酸価の大きな結合
剤樹脂は、アルカリ性溶剤に易溶もしくは容易に膨潤化
する。これら結合剤樹脂としては、例えば、スチレン:
無水マレイン酸共重合体、酢ビ:無水マレイン酸共重合
体、酢ビ:クロトン酸共重合体、メタクリル酸:メタク
リル酸エステル共重合体、フェノール樹脂、メタクリル
酸:スチレン:メタクリル酸エステル共重合体等であ
る。又、これら樹脂の光導電性有機物質に対して加える
割合は、複写機用感光体の場合と大略同じでよい。
【0119】次に、感光層中に添加される増感染料とし
ては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、
ナイトブルー、ビクトリアブルー等で代表されるトリフ
ェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ロ
ーダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に
代表されるアクリジン染料、メチレンブルー、メチレン
グリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー、
メルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、その他
シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、チオ
ピリリウム塩染料などがある。
【0120】又、感光層において、光吸収によって極め
て高い効率で電荷キャリアーを発生させる光導電性の顔
料としては、各種金属フタロシアニン、無金属フタロシ
アニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロ
シアニン系顔料、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物等
のペリレン酸顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料
等のアゾ系顔料、その他キナクリドン系顔料、アントラ
キノン系顔料などがある。特に、電荷キャリアーを発生
する顔料に無金属フタロシアニン顔料、チタロニウムフ
タロシアニン顔料、フロレニリデン、フロレノン環を含
有するビスアゾ顔料、芳香族アミンから成るビスアゾ顔
料、トリスアゾ顔料を用いたものは、高い感度を与え優
れた電子写真感光体を与える。又、前述の染料も電荷キ
ャリアー発生物質として用いてもよい。これら染料は、
単独で使用してもよいが、顔料を共存させることにより
更に高い効率で電荷キャリアーを発生させる場合が多
い。
【0121】以上にあげた分光増感剤とは別に、繰り返
し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、感
度の低下等を防止する目的で種々の化学物質を添加する
場合が必要となってくる。これら添加する物質として
は、トリベンジルアミン、テトラベンジル‐p‐キシレ
ンジアミン、1‐クロルアントラキノン、ベンゾキノ
ン、2,3‐ジクロロナフトキノン、ナフトキノン、
4,4′‐ジニトロベンゾフェノン、4,4′‐ジクロ
ロベンゾフェノン、4‐ニトロベンゾフェノン、4‐ニ
トロベンザルマロンジニトリル、α‐シアノ‐β‐(p
‐シアノフェニル)アクリル酸エチル、9‐アントラセ
ニルメチルマロンジニトリル、1‐シアノ‐1‐(p‐
ニトロフェニル)‐2‐(p‐クロルフェニル)エチレ
ン、2,7‐ジニトロフルオレノン等の電子吸引性化合
物があげられる。その他、感光体中への添加物として、
酸化防止剤、カール防止剤、レベリング剤などを必要に
応じて添加することができる。
【0122】本発明のビスエナミン化合物は、感光体の
形態に応じて上記の種々の添加物質と共に適当な溶剤中
に溶解又は分散し、その塗布液を先に述べた導電性支持
体上に塗布し、乾燥して感光体を製造する。塗布溶剤と
しては、塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン
化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロ
ルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジオキサン、ジメト
キシメチルエーテル、ジメチルホルムアミドなどの溶剤
の単独又は2種以上の混合溶剤、または必要に応じてア
ルコール類、アセトニトリル、メチルエチルケトンなど
の溶剤を更に加え使用することができる。
【0123】
【実施例】本発明を合成例や実施例により更に詳細に説
明するが、本発明は、この実施例により何等限定される
ものではない。
【0124】〔合成例1〕p‐メトキシアニリンとフェ
ニルメチルアセトアルデヒド2当量をベンゼン中、p‐
トルエンスルホン酸触媒のもとで脱水縮合させることに
より、例示化合物No.92(融点95〜96℃)を得
た。なお再結晶はエタノールより行なった。図1に例示
化合物No.92のC13−NMRによる測定図を示す。
【0125】〔合成例2〕3‐アミノ‐1‐フェニル‐
2‐ピラゾリン‐5‐オンとα‐フェニルプロピオンア
ルデヒド2当量をベンゼン中、p‐トルエンスルホン酸
触媒のもとで脱水縮合させることにより、例示化合物N
o.20(融点131〜133℃)を得た。なお再結晶
はエタノールより行なった。
【0126】〔合成例3〕3‐アミノ‐1‐フェニル‐
2‐ピラゾリン‐5‐オンとα‐フェニルブチルアルデ
ヒド2当量をベンゼン中、p‐トルエンスルホン酸触媒
のもとで脱水縮合させることにより、例示化合物No.2
1(融点127〜129℃)を得た。なお再結晶はエタ
ノールより行なった。
【0127】〔合成例4〕4‐アミノ‐2,1,3‐ベ
ンゾチアジアゾールとα,β‐ジフェニルプロピオンア
ルデヒド2当量をベンゼン中、p‐トルエンスルホン酸
触媒のもとで脱水縮合させることにより、例示化合物N
o.24(融点96〜98℃)を得た。なお再結晶はエ
タノールより行なった。
【0128】〔合成例5〕1‐アミノインダンとα‐フ
ェニルプロピオンアルデヒド2当量をベンゼン中、p‐
トルエンスルホン酸触媒のもとで脱水縮合させることに
より、例示化合物No.128(融点89〜92℃)を得
た。なお再結晶はエタノールより行なった。
【0129】〔合成例6〕2‐アミノ‐4‐メトキシベ
ンゾチアゾールとα‐フェニル‐β‐チェニルプロピオ
ンアルデヒド2当量をベンゼン中、p‐トルエンスルホ
ン酸触媒のもとで脱水縮合させることにより、例示化合
物No.135(融点113〜115℃)を得た。なお再
結晶はエタノールより行なった。
【0130】〔合成例7〕3‐アミノ‐5‐メチルイン
オキサゾールとα‐フェニルプロピオンアルデヒド2当
量をベンゼン中、p‐トルエンスルホン酸触媒のもとで
脱水縮合させることにより、例示化合物No.164を得
た。なお再結晶はエタノールより行なった。
【0131】〔合成例8〕アミノピラジンとα‐フェニ
ル‐β‐メチルブチルアルデヒド2当量をベンゼン中、
p‐トルエンスルホン酸触媒のもとで脱水縮合させるこ
とにより、例示化合物No.213(融点85〜87℃)
を得た。なお再結晶はエタノールより行なった。
【0132】〔実施例1〜5〕アルミ蒸着のポリエステ
ルフィルム(膜厚80μ)を支持体とし、その上に下記
構造式(IX)
【0133】
【化83】
【0134】示されるビスアゾ顔料をフェノキシ樹脂
(ユニオンカーバイド製;PKHH)を溶かした1%の
THF溶液中に重量で樹脂と同量加え、次いでペイント
コンディショナー(レッドレベル社製)中で直径1.5
mmのガラスビーズと一緒の状態で約2時間分散を行い
ドクターブレイド法により塗布、乾燥した。乾燥後の膜
厚は、0.2μであった。この顔料層(電荷発生層)の
上に本発明の例示化合物No.20,No.21,No.9
2,No.164,No.236を各1gをポリアリレート
樹脂(ユニチカ製:U−100)1.2gを塩化メチレ
ンに溶かした15%の溶液をスキージングドクターによ
り塗布し、乾燥膜厚25μの樹脂−ビスエナミン化合物
固溶層(電荷移動層)を作成した。このようにして作成
した積層型電子写真感光体を静電記録紙試験装置(川口
電機製:SP−428)により電子写真特性を評価し
た。
【0135】測定条件は、加電圧:−6KV、スタティ
ック:No.3であり白色光照射(照射光:5lux )によ
る−700Vから−100Vに減衰させるに要する露光
量E100 (ルックス・秒)及び初期電位V0 (−ボル
ト)を測定し、その値を表19に示した。更に同装置を
用いて、加電−除電(除電光:白色光で40ルックスで
1秒照射)を1サイクルとして1万回同様の操作を行っ
た後の初期電位V0 (−ボルト)及びE100 (ルックス
・秒)を測定し、V0 及びE100 の変化を調べた。表1
9より本発明のビスエナミン化合物は感度、繰り返し特
性共に良好であることがわかった。
【0136】
【表19】
【0137】〔実施例6〕アルミ蒸着のポリエステルフ
ィルム上に、x型無金属フタロシアニン(大日本インキ
社製:ファストゲンブルー8120)0.4gを塩ビ:
酢ビ共重合体樹脂(積水化学社製:エスレックスM)
0.3gを溶かした酢酸エチル溶液30ml中に加え、ペ
イントコンディショナー中で約20分間分散を行い、ド
クターブレイド法により塗布し、乾燥後の膜厚0.4μ
になる様に電荷発生層を形成させた。この電荷発生層の
上に例示化合物No.93のビスエナミン化合物を重量比
50%含有したポリアリレート層を積層して2層構成か
らなる感光体を作成した。本感光体の780nmの分光
した光を用いて電位半減に要したエネルギー(E50)及
び初期電位(−V0 )を求めたところ、V0 =870
(ボルト)、E50=2.8(エルグ/cm2 )と非常に
感度の高い、かつ高帯電性の感光体であった。また、シ
ャープ社製レーザープリンター(WD−580P)を改
造し、ドラム部に本感光体を張り付け、連続空コピー
(Non Copy Aging)を1万回行った後、初期電位低下、
感度の低下の度合いを調べた。その結果は、V0 =86
0(ボルト)、E50=2.8(エルグ/cm2 )と第1
回目と比べてほとんど値の変動は見られなかった。
【0138】〔実施例7〜10〕アルミ基盤表面をアル
マイト加工(アルマイト層:7μ)した支持体の上に本
発明のビスエナミン化合物である例示化合物No.24,
No.128,No.135,No. 213各1g及び下記構
造式(X)で示されるポリアリレート樹脂1.1gおよ
びN,N‐3,5‐キシリル‐3,4‐キシリル‐3,
4,9,10‐ペリレンテトラカルボキシルイミド0.
15gおよび紫外線吸収剤0.05gを塩化メチレン中
に溶解した(イミド化合物は一部分散状態)溶液をアプ
リケーターにより塗布し、乾燥膜厚20μの単層感光体
を得た。
【0139】
【化84】
【0140】この様にして感光体を静電記録紙試験装置
により電子写真特性を測定した。測定条件は、印加電
圧:+5.5KV、スタティック:No.3で行った。白
色光照射による+700Vから+100Vに減少させる
のに必要な露光量E100 (ルックス・秒)を測定し、そ
の値を表20に示した。また1万回の空コピーテストを
行い、感度(E100 )の低下の度合いも表20に示し
た。これにより本発明のビスエナミン化合物を用いた感
光体は、正帯電においても優れた感度および繰り返し特
性を有する感光体であることがわかった。
【0141】
【表20】
【0142】〔合成例9〕(例示化合物No.366) p‐ジメチルアミノベンズアルデヒドとp‐ニトロベン
ジルホスホン酸ジエチルをテトラヒドロフラン中、カリ
ウムt‐ブトキシドでビッティヒ反応を行わせ、4‐ジ
メチルアミノ‐4′‐ニトロスチルベンを合成し、つい
でこの化合物に鉄粉/酢酸を1,4ジオキサン‐水中で
加熱反応させることにより、ニトロ基を還元し、4‐ジ
メチルアミノ‐4′‐アミノスチルベンを合成する。そ
して、2当量のβ‐フェニルプロピオンアルデヒドと脱
水縮合させることにより、例示化合物No.366(融
点:124〜125℃)を得た。
【0143】〔合成例10〕2‐メチル‐1‐ホルミル
ナフタレンとp‐ニトロ‐α‐メチルベンジルホスホン
酸ジエチルをテトラヒドロフラン中、カリウムt‐ブト
キシドでビッティヒ反応を行わせ、1‐[2′‐メチル
‐2′‐(p‐ニトロフェニル)ビニリデン]‐2′‐
メチルナフタレンを合成し、ついでこの化合物に鉄粉/
酢酸を1,4ジオキサン‐水中で加熱反応させることに
より、ニトロ基を還元し、1‐[2′‐メチル‐2′‐
(p‐アミノフェニル)ビニリデン]‐2′‐メチルナ
フタレンを合成する。そして、2当量のα‐フェニルプ
ロピオンアルデヒドと脱水縮合させることにより、例示
化合物No.290(融点:133〜135℃)を得た。
【0144】〔合成例11〕p‐メチルベンズアルデヒ
ドとp‐ニトロ‐α‐メチルベンジルホスホン酸ジエチ
ルをテトラヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシドで
ビッティヒ反応を行わせ、β,4‐ジメチル‐4′‐ニ
トロスチルベンを合成し、ついでこの化合物に鉄粉/酢
酸を1,4ジオキサン‐水中で加熱反応させることによ
り、ニトロ基を還元し、β,4‐ジメチル‐4′‐アミ
ノスチルベンを合成する。そして、2当量のα‐(p‐
メトキシフェニル)プロピオンアルデヒドと脱水縮合さ
せることにより、例示化合物No.308(融点:121
〜123℃)を得た。
【0145】〔合成例12〕2‐メトキシベンズアルデ
ヒドとp‐ニトロ‐α‐エチルベンジルホスホン酸ジエ
チルをテトラヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシド
でビッティヒ反応を行わせ、β‐エチル‐4‐メトキシ
‐4′‐ニトロスチルベンを合成し、ついでこの化合物
に鉄粉/酢酸を1,4ジオキサン‐水中で加熱反応させ
ることにより、ニトロ基を還元し、β‐エチル‐4‐メ
トキシ‐4′‐アミノスチルベンを合成する。そして、
2当量の(α‐フリル)フェニルアセトアルデヒドと脱
水縮合させることにより、例示化合物No.316(融
点:142〜144℃)を得た。
【0146】〔合成例13〕ベンズアルデヒドとp‐ニ
トロ‐α‐フェニルベンジルホスホン酸ジエチルをテト
ラヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシドでビッティ
ヒ反応を行わせ、β‐フェニル‐4′‐ニトロスチルベ
ンを合成し、ついでこの化合物に鉄粉/酢酸を1,4ジ
オキサン‐水中で加熱反応させることにより、ニトロ基
を還元し、β‐フェニル‐4′‐アミノスチルベンを合
成する。そして、2当量のジフェニルアセトアルデヒド
と脱水縮合させることにより、例示化合物No.325
(融点:155〜157℃)を得た。
【0147】〔合成例14〕ベンズアルデヒドとp‐ニ
トロ‐α‐トリルベンジルホスホン酸ジエチルをテトラ
ヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシドでビッティヒ
反応を行わせ、β‐トリル‐4′‐ニトロスチルベンを
合成し、ついでこの化合物に鉄粉/酢酸を1,4ジオキ
サン‐水中で加熱反応させることにより、ニトロ基を還
元し、β‐トリル‐4′‐アミノスチルベンを合成す
る。そして、2当量のジフェニルアセトアルデヒドと脱
水縮合させることにより、例示化合物No.326(融
点:161〜162℃)を得た。
【0148】〔合成例15〕ベンズアルデヒドとp‐ニ
トロ‐α‐フリルベンジルホスホン酸ジエチルをテトラ
ヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシドでビッティヒ
反応を行わせ、β‐フリル‐4′‐ニトロスチルベンを
合成し、ついでこの化合物に鉄粉/酢酸を1,4ジオキ
サン‐水中で加熱反応させることにより、ニトロ基を還
元し、β‐フリル‐4′‐アミノ‐スチルベンを合成す
る。そして、2当量のジフェニルアセトアルデヒドと脱
水縮合させることにより、例示化合物No.332(融
点:149〜151℃)を得た。
【0149】〔合成例16〕ベンズアルデヒドとp‐ニ
トロ‐α‐(p‐トリル)メチルベンジルホスホン酸ジ
エチルをテトラヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシ
ドでビッティヒ反応を行わせ、β‐(p‐トリル)メチ
ル‐4′‐ニトロスチルベンを合成し、ついでこの化合
物に鉄粉/酢酸を1,4ジオキサン‐水中で加熱反応さ
せることにより、ニトロ基を還元し、β‐(p‐トリ
ル)メチル‐4′‐アミノスチルベンを合成する。そし
て、2当量のジフェニルメアセトアルデヒドと脱水縮合
させることにより、例示化合物No.340(融点:14
7〜149℃)を得た。
【0150】〔合成例17〕p‐メトキシベンズアルデ
ヒドとp‐ニトロ‐α‐メチルベンジルホスホン酸ジエ
チルをテトラヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシド
でビッティヒ反応を行わせ、β‐メチル‐4‐メトキシ
‐4′‐ニトロスチルベンを合成し、ついでこの化合物
に鉄粉/酢酸を1,4ジオキサン‐水中で加熱反応させ
ることにより、ニトロ基を還元し、β‐メチル‐4‐メ
トキシ‐4′‐アミノスチルベンを合成する。そして、
2当量のジフェニルアセトアルデヒドと脱水縮合させる
ことにより、例示化合物No.345(融点:169〜1
71℃)を得た。
【0151】〔合成例18〕ベンズアルデヒドとp‐ニ
トロ‐α‐メチルベンジルホスホン酸ジエチルをテトラ
ヒドロフラン中、カリウムt‐ブトキシドでビッティヒ
反応を行わせ、β‐メチル‐4′‐ニトロスチルベンを
合成し、ついでこの化合物に鉄粉/酢酸を1,4ジオキ
サン‐水中で加熱反応させることにより、ニトロ基を還
元し、β‐メチル‐4′‐アミノスチルベンを合成す
る。そして、2当量のビス(p‐メトキシフェニル)ア
セトアルデヒドと脱水縮合させることにより、例示化合
物No.346(融点:175〜177℃)を得た。
【0152】〔実施例11〜15〕アルミ蒸着のポリエ
ステルフィルム(膜厚80μ)を支持体とし、その上に
前記構造式(IX)(化83)に示したビスアゾ顔料をフ
ェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド製;PKHH)を溶
かした1%のTHF溶液中に重量で樹脂と同量加え、次
いでペイントコンディショナー(レッドレベル社製)中
で直径1.5mmのガラスビーズと一緒の状態で約2時
間分散を行いドクターブレイド法により塗布、乾燥し
た。乾燥後の膜厚は、0.2μであった。この顔料層
(電荷発生層)の上に本発明の例示化合物No.308,
No.325,No.332,No.340,No.346を各
1gをポリアリレート樹脂(ユニチカ製:U−100)
1.2gを塩化メチレンに溶かした15%の溶液をスキ
ージングドクターにより塗布し、乾燥膜厚25μの樹脂
−p‐ビニルフェニル基含有ビスエナミン化合物固溶層
(電荷移動層)を作成した。このようにして作成した積
層型電子写真感光体を静電記録紙試験装置(川口電機
製:SP−428)により電子写真特性を評価した。
【0153】測定条件は、加電圧:−6KV、スタティ
ック:No.3であり白色光照射(照射光:5lux )によ
る−700Vから−100Vに減衰させるに要する露光
量E100 (ルックス・秒)及び初期電位V0 (−ボル
ト)を測定し、その値を表21に示した。更に同装置を
用いて、加電−除電(除電光:白色光で40ルックスで
1秒照射)を1サイクルとして1万回同様の操作を行っ
た後の初期電位V0 (−ボルト)及びE100 (ルックス
・秒)を測定し、V0 及びE100 の変化を調べた。表2
1より、本発明のp‐ビニルフェニル基含有ビスエナミ
ン化合物は感度、繰り返し特性共に良好であることがわ
かった。
【0154】
【表21】
【0155】〔実施例16〕アルミ蒸着のポリエステル
フィルム上に、x型無金属フタロシアニン(大日本イン
キ社製:ファストゲンブルー8120)0.4gと塩
ビ:酢ビ共重合体樹脂(積水化学社製:エスレックス
M)0.3gを溶かした酢酸エチル溶液30ml中に加
え、ペイントコンディショナー中で約20分間分散を行
い、ドクターブレイド法により塗布し、乾燥後の膜厚
0.4μになる様に電荷発生層を形成させた。この電荷
発生層の上に例示化合物No.355のp‐ビニルフェニ
ル基含有ビスエナミン化合物を重量比50%含有したポ
リアリレート層を積層して2層構成からなる感光体を作
成した。本感光体の780nmの分光感度を電位半減に
要したエネルギー(E50)及び初期電位(−V0 )を求
めたところ、V0 =870(ボルト)、E50=2.8
(エルグ/cm2 )と非常に感度の高い、かつ高帯電性
の感光体であった。また、シャープ社製レーザープリン
ター(WD−580P)を改造し、ドラム部に本感光体
を張り付け、連続空コピー(Non Copy Aging)を1万回
行った後、初期電位低下、感度の低下の度合いを調べ
た。その結果は、V0 =860(ボルト)、E50=2.
8(エルグ/cm2 )と第1回目と比べてほとんど値の
変動は見られなかった。
【0156】〔実施例17〜20〕アルミ基盤表面をア
ルマイト加工(アルマイト層:7μ)した支持体の上に
本発明のp‐ビニルフェニル基含有ビスエナミン化合物
(例示化合物No.290,316,326,345)各
1g、前記構造式(X)で示されるポリアリレート樹脂
1.1gおよびN,N‐3,5‐キシリル‐3,4‐キ
シリル‐3,4,9,10‐ペリレンテトラカルボキシ
ルイミド0.15gおよび紫外線吸収剤0.05gを塩
化メチレン中に溶解した(イミド化合物は一部分散状
態)溶液をアプリケーターにより塗布し、乾燥膜厚20
μの単層感光体を得た。この様にして感光体を静電記録
紙試験装置により電子写真特性を測定した。測定条件
は、印加電圧:+5.5KV、スタティック:No.3で
行った。白色光照射による+700Vから+100Vに
減少させるのに必要な露光量E100 (ルックス・秒)を
測定し、その値を表22に示した。また、1万回の空コ
ピーテストを行い、感度(E100 )の低下の度合いも表
22に示した。表22より本発明のp‐ビニルフェニル
基含有ビスエナミン化合物を用いた感光体は、正帯電に
おいても優れた感度および繰り返し特性を有する感光体
であることがわかった。
【0157】
【表22】
【0158】
【発明の効果】電子写真感光体に、本発明のビスエナミ
ン化合物、又p‐ビニルフェニル基含有ビスエナミン化
合物を含有させることにより高感度で、高耐久性を有す
る電子写真感光体が得られる。無機系の感光体にくら
べ、透明性がよく、軽量で、成膜性も容易で、正負の両
帯電性を有しており、感光体の製造も容易な有機系の感
光体の特徴を備えながら、温度、湿度に対する安定性に
優れ、かつ帯電特性が高く、繰り返し使用でも光感度の
低下がほとんど起らない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の電子写真感光体に含有させるビ
スエナミン化合物の1種である例示化合物No.92のC
13−NMR測定チャートである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に形成せしめた感光層中
    に下記一般式(I)で示されるビスエナミン化合物を含
    有させてなる電子写真感光体。 【化1】 〔式中Aは置換基を有してもよいアリール基、置換基を
    有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラルキ
    ル基;R1 は置換基を有してもよいアリール基、置換基
    を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアラル
    キル基、炭素数1〜5のアルキル基、または水素原子;
    aは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
    キシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミノ基、ハロゲン
    原子、水素原子であり;nは1〜3の整数である(但
    し、nが2以上のとき、aは同一でも異なっていてもよ
    く、またお互いに環を形成してもよい)。〕
  2. 【請求項2】 一般式(I)記載のビスエナミン化合物
    が、下記一般式〔II〕で示されるp‐ビニルフェニル基
    含有ビスエナミン化合物である請求項1記載の電子写真
    感光体。 【化2】 〔式中、R2 ,R3 ,R4 は置換基を有してもよいアリ
    ール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有し
    てもよいアラルキル基、炭素数1〜5のアルキル基また
    は水素原子であり(但し、R3 とR4 が共に水素原子の
    場合は除く);bは炭素数1〜5のアルキル基、炭素数
    1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のジアルキルアミ
    ノ基、ハロゲン原子または水素原子であり;mは1〜4
    の整数である(但し、mが2以上の時、bは同一でも異
    なっていてもよい)。〕
  3. 【請求項3】 感光層がキャリアー移動物質とキャリア
    ー発生物質を含有し、該キャリアー移動物質が一般式I
    又はIIのビスエナミン化合物を含有する請求項1又は2
    記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 感光層がキャリアー発生物質を含有する
    キャリアー発生層と、キャリアー移動物質を含有するキ
    ャリヤー移動層との積層体において、該キャリアー移動
    物質が一般式I又はIIで示されるビスエナミン化合物で
    ある請求項1又は2記載の電子写真感光体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5501930A (en) * 1993-08-26 1996-03-26 Sharp Kabushiki Kaisha Electrophotographic photoreceptor containing enamine derivative
US6011052A (en) * 1996-04-30 2000-01-04 Warner-Lambert Company Pyrazolone derivatives as MCP-1 antagonists
US6713231B1 (en) 2000-02-17 2004-03-30 Renesas Technology Corporation Method of manufacturing semiconductor integrated circuit devices

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