JP2815794B2 - 播種プラント - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、作物の植付け用の苗を
育成させる育苗箱内に連続的に土や種を順序立てて入れ
て行く播種プラントに係り、詳しくは、多段に積層され
た播種済育苗箱の上段のものへ蓋を供給する装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】播種プラントでは土や種が入れられた播
種済育苗箱を、発芽室へ運ぶ等のための移動台車へ積み
込むべく多段に積んだ積層状態にする工程を備えてある
のが一般的であり、例えば、特開平４−２５１０２８号
公報で示されたものでは、播種済育苗箱を一旦上方に持
上げてからコンベヤで横送りし、それから順次下方に落
し込んで多段に積層する構造の積重ね装置を設けてあ
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】発芽室での育苗箱は、
多段に積層された状態で発芽するようになるのである
が、最上段のもの以外は全て上側の育苗箱で蓋をされた
状態であるに対し、最上段のものだけ蓋がないことに起
因してその発芽状態が異なる不都合があった。そのた
め、以前では播種済育苗箱が所定段数積重ねられると、
土のみの入った育苗箱を人為作業によって最上段の育苗
箱に被せるようにしており、それによって以後の発芽成
育状態に差が出ないようにしていた。しかしながら、多
段（３０段）に積まれた育苗箱群の最上段には手が届き
難く、蓋用育苗箱の装填操作が面倒でやりづらいととも
に、その間欠的な作業のために装填忘れもあり、蓋装着
工程には改善の余地があった。本発明の目的は、高い位
置における間欠蓋供給作業を機械化して、労力軽減や装
着忘れを図る点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明は、育苗箱に床土を入れる床土供給装置と、床土
の供給された育苗箱に種を蒔く播種装置と、種の蒔かれ
た育苗箱に覆土を供給する覆土供給装置と、覆土が供給
された播種済育苗箱を運搬手段に積み込むべく横移送す
る横送りコンベヤを有した搬出部とを備えてある播種プ
ラントにおいて、搬出部に、横送りコンベヤで運ばれて
くる播種済育苗箱を下ろして所定段数に積重ねる積層手
段と、種済育苗箱の上面を覆う蓋部材を横送りコンベヤ
に供給可能な蓋供給手段とを備え、横送りコンベヤを逆
転駆動自在に構成するとともに、積層手段によって積層
される種済育苗箱が所定段数に達したことを検知する段
数検出手段を設け、この段数検出手段が検出作動する
と、横送りコンベヤを逆転駆動して蓋部材が積層育苗箱
群の最上段のものに供給されるよう、横送りコンベヤと
段数検出手段と蓋供給手段とを連係する制御装置を設け
てあることを特徴とするものである。

【０００５】

【作用】図２を参照して説明すると、積層装置９におい
て積重ねられる種済育苗箱２が所定段数に達したら段数
検出手段２２が作動し、横送りコンベヤ８が矢印イ方向
から矢印ロ方向に移動するように逆転駆動される。する
と、横送りコンベヤ８のアーム８ｂが蓋用の空の育苗箱
２Ｈの最上段のものを押して横移送させ、３０段の播種
済育苗箱２の最上段のものの上に被せるのである。従っ
て、移動台車１２に育苗箱群Ｇを移し換える際には、既
に蓋２Ｈがされた状態になっている。

【０００６】つまり、蓋部材の装着自動化により、蓋部
材を人為的に運んで被せる必要がなくなり、その労力や
蓋忘れから解放されるとともに、播種済育苗箱の積重ね
部のために備わっている横送りコンベヤを利用するもの
であるから、蓋部材を育苗箱群最上段へ移送するための
専用の移送手段を省くことができる。

【０００７】

【発明の効果】その結果、苗の発芽状態を一律に揃える
ことに寄与する蓋部材の供給工程を自動化することがで
き、労力軽減が図れるとともに蓋忘れのない好ましいも
のを、機能の兼用化を図りながら経済的に実現させるこ
とができた。

【０００８】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図３に、播種部Ａと蓋供給部Ｂと搬出部Ｃから
構成される播種プラントの略全体レイアウトが示され、
図１に示すように、０は貯留された空の育苗箱２を順次
繰り出す箱供給機、１は育苗箱２の搬送コンベヤ、３は
育苗箱２に床土を入れる床土供給装置、４は床土の供給
された育苗箱に水を蒔く灌水装置、５は灌水装置４通過
後の育苗箱２に種を蒔く播種装置、６は種の蒔かれた育
苗箱２に覆土を供給する覆土供給装置、７は覆土が供給
された播種済育苗箱２上方に持上げる揚送装置である。

【０００９】又、図２に示すように、８は持上げられた
育苗箱２を横送りする横送りコンベヤ、９は横送りコン
ベヤ８で横送りされてきた育苗箱２を下方に落とし込み
移送して積重ねる積層装置、１０は積層装置９で積重ね
られた育苗箱２の最上段のものに蓋用の育苗箱２Ｈを供
給する蓋供給装置、１１は蓋育苗箱２Ｈが装填された育
苗箱２群を運搬手段である移動台車１２に積み込むべく
横移送する搬出コンベヤである。

【００１０】図１、図６に示すように、覆土供給装置５
の搬送下手側位置には、回転型の覆土均平ブラシ１３が
前部支点の上下揺動型ステー１４に駆動回転自在に支承
されており、このステー１４の揺動調節によってブラシ
作用位置の高さ設定が可能に構成してある。又、均平ブ
ラシ１３の左右両端部に常時接触するスクレーパ状の土
除去板１５，１５が配備されている。これは、育苗箱２
左右の折り返し側上面２ｓ，２ｓ上の土が均平ブラシ１
３の毛先に付着堆積し、それによって育苗箱２内の覆土
を掻き乱すおそれがあるため、土除去板１５，１５の除
去作用で土が毛先に付かないようにするものである。

【００１１】図１に示すように、播種部Ａは、箱供給機
０と搬送コンベヤ１と床土供給装置３と灌水装置４と播
種装置５と覆土供給装置６とから構成されている。これ
らの各装置は公知技術に付き詳細な説明は省略する。こ
の播種プラントでは播種済育苗箱２を積層装置９で３０
段に積重ねたら、その最上段の育苗箱２に重しの土が入
った蓋用育苗箱２Ｈを被せ、合計３１段の育苗箱群Ｇと
してから移動台車１２へ移送するように構成してあり、
次に、その積層装置９周辺部分の詳細構造について説明
する。

【００１２】図２〜図５に示すように、蓋供給部Ｂは、
逆送りコンベヤ２６上に、前述した蓋供給装置１０の
他、空の育苗箱２の貯留部１８と、重し用の土を供給す
る重し土供給装置１９と、重し土に水を供給する灌水装
置２０とを備えて構成されている。つまり、蓋用育苗箱
２Ｈには灌水された状態の重し土が自動的に搬入され、
その灌水重し土入りの蓋育苗２Ｈを蓋供給装置１０で揚
送する。尚、蓋供給装置（蓋供給手段に相当）１０の育
苗箱揚送構造は、揚送装置７と同一のものであるため、
その詳細構造は割愛する。

【００１３】搬出部Ｃは、揚送装置７と横送りコンベヤ
８と積層装置９と搬出装置１１とから構成されている。
揚送装置７は、搬送コンベヤ１の左右に配置される縦回
し式のチェーン７ａ，７ａで構成され、チェーン７ａに
適宜の間隔で取付けられた載置爪７ｂ，７ｂに育苗箱２
を載付けて揚送する構造である。横送りコンベヤ８は、
回転駆動されるベルト８ａに複数組の押出しアーム８ｂ
を固定して構成され、揚送装置７の上部から蓋供給装置
１０の上部に亘って架設されている。

【００１４】積層装置（積層手段に相当）９は、横送り
コンベヤ８によって横送りされてきた育苗箱２を受け取
って一旦保持する保持機構１６と、左右一対の縦回し式
下降チェーン１７ａ，１７ａに固定された積層爪１７
ｂ，１７ｂ上に育苗箱２を積重ねる積層機構１７とから
構成されている。保持機構１６は、前後軸心Ｐ周りで揺
動開閉自在な左右一対の鉤状部材であるオープナー１６
ａ，１６ａで構成されており、これらオープナー１６
ａ，１６ａは、図５に実線で示す育苗箱受止め姿勢か
ら、仮想線で示す外方に開いた解放姿勢とすることで育
苗箱２を積層機構１７へ落下移送する。又、オープナー
１６ａ，１６ａの下方には、発光器２２ａと受光器２２
ｂとから成るカウンタ２２が設けてあり、落下供給され
る育苗箱の数を計測できるようにしてある。積層機構１
７は、保持機構１６から育苗箱２が供給されたら箱１段
分だけ下降移動するように構成されている。

【００１５】搬出装置１１は、多数のローラ１１ａによ
るローラコンベヤ構造であり、搬送コンベヤ１の搬送方
向と直交する方向に育苗箱を搬送する状態に、積層装置
９と蓋供給装置１０との間に配置されている。最上段に
蓋育苗箱２Ｈが装填された計３１段の育苗箱群Ｇを送出
しコンベヤ２５で搬出装置１１へ横移送し、その移送終
端には図示しない発芽室へ育苗箱群Ｇを移送するための
移動台車１２が横付けされている。又、この搬出装置１
１の始端部の上方位置には、蓋育苗箱２Ｈとの上下間隔
を測定して積層段数を検出する光学式の段数検出センサ
２１が配設してある。

【００１６】そして、図７に示すように、カウンタ２
２、揚送装置７のチェーン駆動用の第１モータ７ｍ、横
送りコンベヤ８のベルト駆動用の第２モータ８ｍ、蓋供
給手段１０のチェーン駆動用の第３モータ１０ｍを制御
装置２３に接続して蓋装着制御回路Ｌを構成してある。

【００１７】すなわち、蓋装着制御回路Ｌは、カウンタ
２２が積層装置９によって積層される種済育苗箱２が３
０段に達した情報を出力すると、第２モータ８ｍを逆回
転させて横送りコンベヤ８を逆転駆動し、蓋供給装置１
０の蓋育苗箱２Ｈの最上段のものを積層装置９での最上
段の育苗箱２上に供給されるよう連係制御するものであ
る。このとき、押出しアーム８ａと揚送装置７最上段の
育苗箱２との干渉を避けるべく、第１モータ７ｍを箱１
段分の下降量だけ逆駆動するとか、蓋供給装置１０での
最上段の蓋育苗箱２Ｈを押出しアーム８ｂの作用領域に
上昇させるべく、第３モータ１０ｍを箱１段分の上昇量
だけ駆動させるといった制御も行われている。

【００１８】又、前述した段数検出センサ２１とこのセ
ンサ２１の検出段数を表示するカウンタ表示装置２４が
制御装置２３に接続されており、搬出コンベヤ１１上に
おいて、移動台車１２へ移送する育苗箱群Ｇに蓋育苗箱
２Ｈが装填された３１段の正規の段数が組まれているか
の最終チェックができるようにしてある。

【００１９】〔別実施例〕蓋部材Ｈとしては、育苗箱２
の他、専用の蓋を用意するものでも良い。又、積層手段
９や蓋供給手段１０、及び段数検出手段２１は、本実施
例の構造以外の種々の構造でも良いことは当然である。

【００２０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】播種部の側面図

【図２】蓋供給部と搬出部の構造を示す側面図

【図３】播種プラントの概略レイアウトを示す要部の平
面図

【図４】揚送装置の構造を示す正面図

【図５】積層装置の構造を示す背面図

【図６】均平ブラシ部分の平面図

【図７】蓋装着制御回路を示す系統図

【符号の説明】

２ 育苗箱 ２Ｈ 蓋育苗箱 ３ 床土供給装置 ５ 播種装置 ６ 覆土供給装置 ８ 横送りコンベヤ ９ 積層手段 １０ 蓋供給手段 ２２ 段数検出手段 ２３ 制御装置 Ｃ 搬出部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 育苗箱（２）に床土を入れる床土供給装
   置（３）と、床土の供給された育苗箱（２）に種を蒔く
   播種装置（５）と、種の蒔かれた育苗箱（２）に覆土を
   供給する覆土供給装置（６）と、覆土が供給された播種
   済育苗箱（２）を運搬手段に積み込むべく横移送する横
   送りコンベヤ（８）を有した搬出部（Ｃ）とを備えてあ
   る播種プラントであって、 前記搬出部（Ｃ）に、前記横送りコンベヤ（８）で運ば
   れてくる前記播種済育苗箱（２）を下ろして所定段数に
   積重ねる積層手段（９）と、種済育苗箱（２）の上面を
   覆う蓋部材（２Ｈ）を前記横送りコンベヤ（８）に供給
   可能な蓋供給手段（１０）とを備え、前記横送りコンベ
   ヤ（８）を逆転駆動自在に構成するとともに、前記積層
   手段（９）によって積層される種済育苗箱（２）が所定
   段数に達したことを検知する段数検出手段（２２）を設
   け、この段数検出手段（２２）が検出作動すると、前記
   横送りコンベヤ（８）を逆転駆動して前記蓋部材（２
   Ｈ）が積層育苗箱群の最上段のものに供給されるよう、
   前記横送りコンベヤ（８）と前記段数検出手段（２２）
   と前記蓋供給手段（１０）とを連係する制御装置（２
   ３）を設けてある播種プラント。