JP2814174B2 - 感光材料組成物 - Google Patents

感光材料組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感光材料組成物に関す
る。詳しくはLSI等の半導体素子の製造に適した感光
材料組成物に関する。より詳しくは紫外線や遠紫外線、
X線、電子線等を光源とする半導体素子製造用フォトリ
ソグラフィーのレジストとして好適な感光材料組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】これまで半導体用レジストとしては、g
線(436nm)やi線(366nm)、KrFエキシ
マレーザ光(248nm)等の光源に対してはノボラッ
ク型フェノール樹脂に感光成分であるキノンジアジド化
合物を添加したポジ型レジストが、またX線や電子線に
対してはノボラック型フェノール樹脂に感光成分として
ポリ−2−メチルペンテン−1−スルホンを添加したポ
ジ型レジストが広く使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】LSI等の半導体素子
は近年ますます微細化しフォトリソグラフィーに対する
要求も年々厳しくなっている。現在では最小線幅がハー
フミクロン(0.5μm)、更にはクォーターミクロン
(0.25μm)という高解像度のパターン形成が可能
なレジストが求められるに至っている。また生産性を一
層高めるためにより高感度なレジストが求められてい
る。しかし従来のレジストではこの要求に十分に対応で
きないのが実情である。このため半導体業界では高解像
度化と高感度化の要求を満足する新しいレジストの出現
が強く求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来の問題点
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、従来全く使用
されていないフラーレンを含む組成物を用いることによ
り、高解像度で高感度化のレジストを提供し得ることを
見い出し、本発明を完成するに到った。すなわち本発明
感光基を有しないフラーレンと感光剤とから成る感光
材料組成物に関する。
【0005】本発明で用いるフラーレンとはカーボンク
ラスターと称される炭素同素体およびその誘導体をさ
す。これまでに知られているカーボンクラスターとして
は分子式でC60、C70、C76、C78、C82、
C84、C90、C96等がある。これらカーボンクラ
スターの1種類または2種類以上からなる混合物を本発
明のカーボンクラスターとして用いることができる。こ
れらのうちC60とC70が好ましく、特にC60が本
発明のカーボンクラスターとして好ましく使用できる。
【0006】本発明で用いるフラーレン、すなわち本発
明で用いるカーボンクラスターおよびその誘導体はいず
れでも使用できるので特に制限はないが、好ましく使用
できるフラーレンとして前述のカーボンクラスターの他
に、カーボンクラスターへのアルキルアミン付加物、カ
ーボンクラスターへのアルキル基付加物、カーボンクラ
スターへのハロゲン元素付加物を挙げることができ、ま
た成膜性に優れていてより好ましく使用できるフラーレ
ンとしてカーボンクラスターへのアルキルアミン付加物
およびカーボンクラスターへのアルキル基付加物を、特
に好ましく使用できるフラーレンとしてカーボンクラス
ターへのアルキルアミン付加物を挙げることができる。
【0007】上述のアルキルアミンとしては、通常のア
ルキル基を有するアミンならすべて使用でき特に制限は
なく、一級アミン、二級アミン、三級アミンのいずれも
使用できる。なお、一級アミンは二級アミンや三級アミ
ンよりカーボンクラスターへの付加反応性が優れている
ため特に好ましい。アルキル基としては通常炭素数1〜
24のものが好ましく、特に1〜12が好ましい。好ま
しく使用できるアルキルアミンとして、エチルアミン、
n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルア
ミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、n−ドデシルアミン、アニリンを挙げることができ
る。この中で特に好ましく使用できるアルキルアミンと
してn−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチ
ルヘキシルアミンを挙げることができる。
【0008】アルキルアミンをカーボンクラスターに付
加させる方法に特に制限はないが、例えば、アルキルア
ミン中にカーボンクラスターを溶解させ、これを0.2
〜50時間攪拌することによりアルキルアミンが付加し
たカーボンクラスターが得られる。
【0009】付加させるアルキルアミンの量はアルキル
基の種類に応じて選択することができるが、通常はカー
ボンクラスターの5〜100重量%、好ましくは10〜
60重量%、より好ましくは20〜40重量%の範囲で
ある。5重量%より少ないと成膜性が十分ではない。ま
た100重量%より多いと本発明の効果が十分ではな
い。
【0010】本発明で用いるフラーレンとしては、通常
上述のフラーレンの中の1種類を用いるが、必要に応じ
て2種類以上からなる混合物を用いることもできる。
【0011】一般に感光反応の種類としては架橋型(ネ
ガ型)と崩壊型(ポジ型)が知られており、本発明にお
いてもそのいずれも使用することができるが、架橋型の
反応がより好ましい。
【0012】本発明で用いる感光剤としては、紫外線や
遠紫外線、X線、電子線等の照射により化学反応を起こ
す感光剤はすべて使用することができ特に制限はない
が、分子中に感光基を2個以上有する多官能の感光剤が
好ましく使用できる。また必要に応じて2種以上の感光
剤を組み合わせて使用することもできる。
【0013】本発明で使用できる感光剤の中で好ましい
感光剤としてアジド化合物を挙げることができる。アジ
ド化合物としては、例えば、4−アジドベンザルアセト
フェノン、4−アジドベンザル−4′−メチルアセトフ
ェノン、4−アジドベンザル−4′−メトキシアセトフ
ェノン、4,4′−ジアジドベンザルアセトフェノン、
4−アジドベンゾフェノン、2,6−ジ(4′−アジド
ベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ジ(4′−アジ
ドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−
ジ(4′−アジドベンザル)−4−t−アミルシクロヘ
キサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、
4,4′−ジアジドジフェニルエーテル、4,4′−ジ
アジドフェニルスルフィド、4,4′−ジアジドジフェ
ニルメタン等を挙げることができる。この中で特に好ま
しく使用できるアジド化合物として二官能の4,4′−
ジアジドベンザルアセトフェノン、4−アジドベンゾフ
ェノン、2,6−ジ(4′−アジドベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ジ(4′−アジドベンザル)−4−
メチルシクロヘキサノン、2,6−ジ(4′−アジドベ
ンザル)−4−t−アミルシクロヘキサノン、4,4′
−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジ
フェニルエーテル、4,4′−ジアジドフェニルスルフ
ィド、4,4′−ジアジドジフェニルメタンを挙げるこ
とができる。
【0014】本発明の感光材料組成物においてフラーレ
ンに対する感光剤の量はその感光剤の光反応性および露
光に用いる光源の種類に応じて選択することができる
が、通常はフラーレンに対して0.3〜20重量%、好
ましくは1〜15重量%の範囲で使用できる。0.3重
量%よりも少ないと感光性が不足する。また20重量%
よりも多いと保存安定性が低下する。
【0015】本発明の感光材料組成物に、必要に応じ
て、ポリスチレンやフェノール樹脂等の樹脂を添加する
こともできるが、本発明の効果を十分に発揮するために
はこれら樹脂の添加量は20重量%以下であることが望
ましい。
【0016】本発明の感光材料組成物は従来の感光材料
と比べてドライエッチングに対する耐性が極めて高いと
いう特長を有している。例えばCF4 ガスを用いた反応
性イオンエッチングに対して、本発明の感光材料組成物
は従来の感光材料の30倍から50倍の耐性を有してい
る。このため感光材料組成物として使用する際にその膜
厚を通常の数十分の一にすることが可能である。この結
果、従来の感光材料よりも著しく高い解像度と感度を示
す。
【0017】本発明の感光材料組成物は基板上に通常2
〜200nm、好ましくは5から100nm、特に好ま
しくは10〜50nmの膜厚で被膜を形成して使用す
る。2nmよりも薄いと薄膜の均一性がやや低下する。
また200nmよりも厚いと本発明の特長を十分には発
揮できない。
【0018】被膜の形成法としてはスピンコート(回転
塗布)、蒸着等種々の方法が使用できるがスピンコート
が最も好ましい。その場合は本発明の組成物の溶液を塗
布することになる。溶剤としては本発明の組成物を溶解
するものはすべて使用できるが、好ましい溶剤として芳
香族系溶剤を、その中で特に好ましい溶剤としてトルエ
ン、キシレン、プソイドクメン等を挙げることができ
る。その濃度は形成する膜厚に応じて調整するが通常
0.1から1重量%である。
【0019】本発明の感光材料組成物は紫外線や遠紫外
線、X線、電子線等の種々の光源に対して高解像度で高
感度を示すので光源に制限はないが、X線と電子線に対
して効果が特に高い。
【0020】露光後に行う現像の条件は感光剤の種類に
よって選択することができる。ネガ型感光材料組成物と
して用いる際には、好ましい現像液として芳香族系溶剤
を、その中で特に好ましい現像液としてトルエンとキシ
レンを挙げることができる。現像の温度と時間に特に制
限は無いが、通常0〜80℃の温度で30〜200秒間
現像液に浸漬して行う。
【0021】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明はこれに限
定されるものではない。 (実施例)高純度C60(純度99.8%、真空冶金株
式会社製)0.5gとn−ヘキシルアミン50gとを混
合し室温で1時間攪拌した。これにメタノールを加えて
生成した沈殿をろ過により回収した。これをさらにメタ
ノールで洗浄した後に真空乾燥すると褐色の沈殿が得ら
れた。この沈殿を元素分析および質量分析したところ、
C60に対してn−ヘキシルアミンが29重量%付加し
たものであった。この褐色の沈殿0.3gと2,6−ジ
(4′−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノ
ン0.03gとをトルエン100gに溶解して均一な溶
液を調製した。この溶液をシリコンウエハーにスピンコ
ートし更に予備加熱することにより、レジスト薄膜を3
2.1nmの膜厚で形成した。このレジストに電子線を
所定量露光した後にトルエンで1分間現像することによ
り感度特性曲線を作成し、感度(数値が小さいほど高感
度)と解像度の目安であるγ値(数値が大きいほど解像
度が高い)を求めた。結果を表1に示す。
【0022】(比較例)フェノール11.4g、m−ク
レゾール26.1g、37%ホルムアルデヒド水溶液2
8.5g、シュウ酸二水物0.61g、イオン交換水
3.6g、エチルセロソルブアセテート12.0gを3
00mLのセパラブルフラスコに仕込み、110℃で3
時間加熱攪拌し反応させた。後処理の後エチルセロソル
ブアセテートを蒸留除去してノボラック型フェノール樹
脂を回収した。平均分子量は1万3000であった。こ
のノボラック型フェノール樹脂90重量部に、平均分子
量8万2000のポリー2−メチルペンテン−1−スル
ホン10重量部を均一に混合することによりレジストを
調製した。このレジストを10重量%含むエチルセロソ
ルブアセテート溶液をスピンコートし更に予備加熱する
ことにより1200nmの膜厚の被膜を形成した。電子
線露光後にアルカリ水溶液で1分間現像することによ
り、実施例と同様にして感度とγ値を求めた。結果を表
1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1からも明らかなように実施例のレジス
トは極めて高い感度と解像度を有していることが分か
る。
【0025】<CF4 反応性イオンエッチング試験>試
験用の被膜は実施例および比較例と同様に、スピンコー
トと予備加熱により作製した。実施例のレジストはネガ
型であるから感度相当量の電子線を露光しこれを現像し
たものを試験した。比較例のレジストはポジ型であるか
ら未露光で現像したものを試験した。試験はSamco
株式会社製の反応性イオンエッチング装置RIE−1を
用いてCF4 ガス圧力0.10torr、出力100W
の条件で行った。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】 CF4 反応性イオンエッチング試験の結果
【0027】表2からも明らかのように実施例のレジス
トは比較例のレジストの約40倍のエッチング耐性を有
している。このため、比較例のレジストに比してはるか
に薄い膜厚でもエッチングに耐える(膜厚がゼロになる
までの)時間の長さは同等である。
【0028】
【発明の効果】上述の通り本発明の感光材料組成物は紫
外線や遠紫外線、X線、電子線等を光源とする半導体素
子製造用フォトリソグラフィーのレジストとして好適な
感光材料組成物であって、ドライエッチング耐性が極め
て強いため極めて薄い膜厚で使用でき、このため非常な
高解像度と高感度を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光基を有しないフラーレンと感光剤と
    から成る感光材料組成物。
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