JP2813562B2 - 椅 子 - Google Patents

椅 子

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JP2813562B2
JP2813562B2 JP7280546A JP28054695A JP2813562B2 JP 2813562 B2 JP2813562 B2 JP 2813562B2 JP 7280546 A JP7280546 A JP 7280546A JP 28054695 A JP28054695 A JP 28054695A JP 2813562 B2 JP2813562 B2 JP 2813562B2
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chair
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保 安 博 久
水 敏 成 清
田 不 二 夫 肥
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エビスヤ工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は足腰の不自由者や老
人等の着座と離座をきめ細かく援助し、無理なく安全か
つ安心した使用を図れるとともに、これを安価に製造で
きるようにした椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】椅子の着座や離座およびその立上がりに
は、足腰の一定の筋力とそれに対応した身のこなしを要
し、これらを十分に望めない足腰の不自由者や老人等の
椅子の使用に対しては、無理なく安全かつ安心して使用
できるように着座や離座を援助する必要がある。従来、
このような要請に応ずるものとして、例えば実開平6ー
26592号公報では、背当て部に補助用座部を昇降可
能に設け、該座部を所定高さで前傾可能に設けて、着座
姿勢から起立姿勢までの立ち上がり動作を援助するよう
にした椅子が示されている。
【0003】しかし、この従来の椅子はスイッチ操作に
よって着座姿勢から起立姿勢を自動的に移行できる反
面、身体の立ち上がり体勢が十分に整わないまま起立姿
勢を強いられるため、立ち上がり時の身体の負担が大き
く、よろけたり前のめりになって身体のバランスを失
い、転倒したりつまづき易い等の不安があり、しかも着
座時に身体の体勢と座部の下降動作とを整合させること
が難しく、概して座部の下降動作が先行しがちになっ
て、身体のバランスを失い易く、着座時の不安を助長す
る等の問題があった。
【0004】しかも、前記従来の椅子は、モータや巻き
掛け伝動機構を駆使して座部を作動させているため、構
成が複雑で高価になる等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題を解決し、足腰の不自由者や老人等の着座から離座お
よび立ち上がり時に至る一連の動作をきめ細かく援助
し、無理なく安全かつ安心した使用を図れるとともに、
これを安価に製造できる椅子を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1の発
明は、複数の脚と、折畳み可能な四節回転リンク機構と
を設け、該リンク機構は座板を直接固定するリンクと、
該リンクに上端部を回動可能に連結する前後方向へ起倒
可能な一対のリンクと、該一対のリンクの下端部を回動
可能に連結する不動のリンクとからなり、該不動のリン
クに伸縮可能なピストンロッドを有する弾性手段を起倒
可能に設け、かつ前記ピストンロッドの先端部を、前記
リンク機構の起倒可能なリンクに回動可能に連結した
子において、前記ピストンロッドの先端部を前記起倒可
能な前部側リンクの中間部に回動可能に連結し、前記ピ
ストンロッドに連係して起倒するリンクを直杆状に形成
し、前記弾性手段を前記リンクの起倒変位に応じて起倒
可能に設け、かつその起倒速度を可変にし、足腰の不
自由者や老人等の着座から離座および立ち上がりに時に
至る一連の動作をきめ細かく援助し、無理なく安全かつ
安心した使用を図れるとともに、構造を簡潔にし、これ
を安価に製作できるようにしている。請求項2の発明
は、着座時、前記リンク機構の起倒可能なリンクを、そ
の後方回動初期から中期に亙って速やかに回動させ、前
後部座板による着座姿勢を速やかに形成し、その着座面
積を増大して中腰状態から安定した着座環境を整える一
方、後方回動後期にはゆっくり回動させて、前後部座板
による最終的な着座姿勢をゆっくり形成し、着座姿勢を
安定させて使用者に安心感を与えるようにしている。請
求項3の発明は、起立時、前記リンク機構の起倒可能な
リンクを、その前方回動初期にゆっくり回動させ、前方
回動中期から後期に亙って速やかに回動させ最終的な
立ち上がり姿勢を速やかに形成し、使用者の椅子からの
脱出動作を促すようにしている。請求項4の発明は、
板の前端部に、前後幅が前記座板と同幅または幅広な
部座板を上下方向に回動可能に連結し、前記座板に連動
させて移動可能にし、中腰状態の着座時に後部座板に奥
深く着座させ、その後も当該着座姿勢を変える必要がな
いようにしている
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を図面により説明すると、図1乃至図7において1,1
は椅子2の前部に配置した一対の前部脚で、これらの下
端部に床面3に着地可能なゴム脚4,4が取付けられて
いる。前部脚1,1は図示のように後方へ若干傾倒して
配置され、これらは後述する座板よりも若干幅広に配置
されていて、これらをその中高位置に配置した連結枠5
を介して連結している。
【0008】前部脚1,1の上端には略L字形状のグリ
ップ6,6が取付けられ、その高さは直立状態の使用者
7の略上腿部に位置し、その上端の腕掛部6a,6aを
椅子2の前方に向けて平行に突出している。図中、7a
は使用者7の臀部、8は一方の前部脚1の上端に上下方
向に回動可能に連結したブレーキ機構を構成するブレー
キレバーで、捩りバネ(図示略)を介して下方に回動可
能に付勢され、常時は後述する作動シリンダの作動をロ
ック可能にしている。
【0009】前部脚1,1の中高位置で後述する座板の
外側には、後部脚9,9が後方下向きに斜状に配置さ
れ、その下端部を水平に折り曲げて床面2に着地可能に
しており、この下端部間を接続枠10で連結している。
後部脚9,9の間隔は、図7のように後方に向かって次
第に幅狭に形成され、椅子2の保管時には後部脚9,9
の間に他の椅子2の後部脚9,9を挿入可能にし、それ
らのスタッキングを可能にしている。図中、11は後部
脚9の下端に装着したキャップである。
【0010】前記連結枠5には一対のブラケット12,
12が後向きに突設され、該ブラケット12,12の基
端部間に軸13が回動可能に連結され、またブラケット
12,12の先端部間に軸14が回動可能に連結されて
いる。前記軸13にはリンク15の一端が固定され、こ
の他端に支軸16が軸13と平行に接続され、また軸1
4には前記リンク15よりも長尺なリンク17,17の
一端が固定され、この他端に支軸18が軸14と平行に
接続されている。
【0011】支軸16,18は座板取付枠19の屈曲片
19a,19a間に平行かつ回動可能に連結され、前記
取付枠19は略逆U字形断面に形成され、該枠19上に
後部座板20が取付けられている。これら座板取付枠1
9とリンク15,17とブラケット12とは、四節回転
リンク機構を構成し、使用者7の着座動作と立ち上がり
動作時に、後部座板20と後述する前部座板とを上下か
つ前後方向へ略平行移動可能にしている。
【0012】後部座板20は上面が内側に緩やかに湾曲
する曲面板で構成され、その前後幅は単一の座板の場合
の略半分に相当し、その後端部に背当板21を上向きに
一体に突設している。背当板21は実施形態の場合、図
示のように下半部が内側に湾曲し、上半部が外側に湾曲
していて、その高さは後部座板20の前後幅よりも高く
形成されている。
【0013】後部座板20の前端部には、複数の蝶番
(図示略)を介して前部座板22が下方に回動可能に連
結され、該座板22は上面が内側に緩やかに湾曲する曲
面板で構成されていて、その前後幅は後部座板20の幅
と同幅かそれ以上に幅広に形成され、その着座時に前部
座板22の前部下面を連結枠5の上端に係合可能にして
いる。
【0014】前記ブラケット12,12の先端部間には
枢軸23が回動可能に連結され、該軸23に弾性手段で
ある作動シリンダ24の上部が同動可能に固定されてい
る。作動シリンダ24は実施形態の場合、内部に窒素ガ
ス等の高圧の非圧縮性流体を封入しており、その内部に
ピストンロッド25が摺動可能に収容され、該ロッド2
5を作動シリンダ24の上端部から上向きに伸縮可能に
突設して、前記リンク15を上方へ付勢している。
【0015】作動シリンダ24はリンク15の回動角度
に応じて起倒可能に構成され、リンク15に対する反力
と、リンク15の回動速度を可変にしている。すなわ
ち、着座時にはリンク15の後方回動角度に応じて、ピ
ストンロッド25が押し縮められ、該ロッド25の軸方
向に作用する弾性力が増大する一方、リンク15の後方
回動角度に応じて作動シリンダ24が起立回動し、リン
ク15に対する反力の作用角度が漸増して、リンク15
に対する反力の増加率を相対的に減少させている。
【0016】したがって、リンク15は後方回動初期か
ら中期に亙って速やかに回動し、前後部座板22,20
による着座姿勢を速やかに形成し、後方回動後期にはリ
ンク15の回動速度を減速して、前後部座板22,20
による最終的な着座姿勢をゆっくりと形成可能にしてい
る。
【0017】また、立ち上がり時にはリンク15の前方
回動角度に応じて、ピストンロッド25が伸長し、該ロ
ッド25の軸方向に作用する弾性力が減少する一方、リ
ンク15の前方回動角度に応じて作動シリンダ24が前
方へ傾倒し、リンク15に対する反力の作用角度が漸減
して、リンク15に対する反力の増加率を相対的に増加
させている。
【0018】したがって、リンク15は前方回動初期に
ゆっくり回動し、前後部座板22,20による立ち上が
り姿勢をゆっくり形成し、前方回動中期から後期に亙っ
てリンク15の回動速度を増速して、前後部座板22,
20による最終的な立ち上がり姿勢を速やかに形成可能
にしている。
【0019】ピストンロッド25の上端には取付金具2
6が固定され、該金具26は略コ字形断面形状に形成さ
れ、その一対の屈曲片27,27を、リンク15に突設
したピン28に回動可能に連結している。屈曲片27,
27間には、ロック解除レバー29が上下方向に回動可
能に支持され、該レバー29の中間部は、ピストンロッ
ド25の上端に付勢したロック解除ピン(図示略)と係
合可能に配置されている。
【0020】ロック解除レバー29の先端部には、ブレ
ーキワイヤ30の一端が連結され、該ワイヤ30の他端
がブレーキレバー8の基端部に突設した係止片31に連
結されていて、上記レバー8の操作時にロック解除レバ
ー29を介して、ロック解除ピンを押し下げ、ピストン
ロッド25を伸縮作動可能にしている。すなわち、ピス
トンロッド25は常時はロック状態に置かれて伸縮作動
不能にされ、ブレーキレバー8操作によってロック状態
を解除後、伸縮作動可能にされている。
【0021】この他、図中32,33,34はブラケッ
ト12と屈曲片19aに形成した通孔で、これらに取付
ビス35ないし取付ボルトが回動可能に挿入され、該ビ
ス35の先端のネジ部を軸13,14、枢軸23、支軸
16,18の両端にねじ込んでいる。
【0022】このように構成した椅子は、四節回転リン
ク機構を構成する座板取付枠19と、リンク15,17
とブラケット12、およびその弾性源となる作動シリン
ダ24とで前後部座板21,22を作動させ、従来の電
動構造のようなモータや伝動装置を要しないから、その
分構成が簡潔になり、これを安価に製作することができ
る。
【0023】また、弾性手段として作動シリンダ24を
使用し、これを吊下げて組付けているから、その下端部
の支持手段が不要になり、その分構造が簡単になる。こ
のことは、弾性手段としてスプリングやオイルダンパを
用いた場合でも、これらがその支持手段を要する点で有
利である。
【0024】上記椅子2は不使用時には図1のように、
作動シリンダ24が前方へ傾倒し、そのピストンロッド
25が伸長してロックされ、リンク15がピストンロッ
ド25に付勢されて起立し、これにリンク17が連係し
て起立している。したがって、座板取付枠19がその最
上位置で水平に置かれ、該枠19に取付けた後部座板2
0が、グリップ6と略同高の最上位置で略水平に位置付
けられている。
【0025】上記後部座板20の前端部は前部脚1の上
端に位置し、該前端部に連結した前部座板22が蝶番
(図示略)を中心に下向きに折畳まれ、図示のように垂
れ下がっている。したがって、この状況下でのコンパク
ト化を図れる。この場合、ブレーキレバー8は常時はロ
ック状態に置かれ、ピストンロッド25の伸縮作動をロ
ックして、リンク15,17と座板取付枠19との前記
姿勢を保持する。
【0026】このような状況から椅子2に着座する場合
は、椅子2の前に背を向けて立ち、両手でグリップ6,
6に捕まりながら腰をゆっくり降ろし、臀部7aを後部
座板20上に載せる。この状況は図4のようで、使用者
7は略中腰状態で後部座板20に着座する。この場合、
後部座板20の前後幅は単一の座板の場合の略半分に形
成されているから、例えばその前端部に臀部7aの座骨
結節を載せることで、後部座板20の奥部に容易かつ安
定して着座でき、以後も当該着座位置を変える必要がな
い。
【0027】また、この際、後部脚9下端の水平折曲部
が床面2に着地し、それらの間隔は後方に向かって幅狭
に形成されているから、床面2との間に大きな摩擦力を
得られ、しかも後方への移動を抑制されて、上記着座時
における椅子2の移動や使用者7の転倒を防止する。
【0028】こうして、後部座板20に中腰状態で着座
後、ブレーキレバー8に手を掛け、これを基端部を支点
に捩りバネ(図示略)の弾性に抗して上方へ引き上げ
る。このようにすると、係止片31がブレーキレバー8
と同動し、該片31に連結したブレーキワイヤ30が外
側へ引張られ、該ワイヤ30の他端を連結したロック解
除レバー29が引き下げられて、ロック解除ピン(図示
略)が押し下げられる。
【0029】このため、作動シリンダ24のロック状態
が解除され、ピストンロッド25が伸縮可能になる。し
たがって、後部座板20上の使用者7の重心位置が、前
記四節回転リンク機構の重心位置よりも後方に位置する
中腰状態の着座時には、リンク15,17が後方へ回動
し、これに座板取付枠19が追随して、該枠19に固定
した後部座板20が水平状態を維持しながら後方かつ下
方へ略平行移動する。その際、リンク15に同動してピ
ン28が後方へ移動し、これにピストンロッド25が同
動して、作動シリンダ24が枢軸23を支点に後方へ起
立回動する。
【0030】こうして、後部座板20が後方へ移動する
と、その前端に蝶番(図示略)連結した前部座板22が
同方向へ引き動かされ、その下端部を連結枠5の上面に
係合して、当該部を支点に上記座板22が図4上時計方
向へ回動し、その上端部が使用者7の下肢部下面に順次
当てがわれる。したがって、その分下肢部が安定し、着
座姿勢が安定する。
【0031】このように作動シリンダ24のロック状態
が解除されると、上記リンク15の後方回動角度に応じ
て、ピストンロッド25が押し縮められ、該ロッド25
の軸方向に作用する弾性力が増大する一方、リンク15
の後方回動角度に応じて作動シリンダ24が起立回動
し、リンク15に対する反力の作用角度が漸増して、リ
ンク15に対する反力の増加率が相対的に減少する。
【0032】この結果、リンク15は後方回動初期から
中期に亙って速やかに回動し、前後部座板22,20に
よる着座姿勢を速やかに形成し、その着座面積を増大し
て中腰状態から安定した着座環境を速やかに整える一
方、後方回動後期にはリンク15の回動速度が減速し、
前後部座板22,20による最終的な着座姿勢をゆっく
り形成して、使用者7の着座姿勢を安定させ安心感を与
える。
【0033】こうして後部座板20は、水平状態を維持
しながら後方かつ下方へ略平行移動するから、上記座板
20上の使用者7の着座姿勢が次第に安定するととも
に、後部座板20に一旦着座後、使用者7の意思で作動
シリンダ24のロック状態を解除し、後部座板20を移
動させるようにしているから、着座姿勢が十分に整わな
いまま後部座板20が移動し、これに使用者7が同動し
て転倒する事故の発生を未然に防止し得る。しかも、使
用者7が上記座板20の移動を予見し得るから、上記移
動に伴う不安がなく、また必要な姿勢を予め整えられて
事故の発生を未然に防止し得る。
【0034】こうして、ピストンロッド25が最大量押
し縮められ、支軸16,18がその最下位置に移動し、
リンク15,17の思案点位置に到達すると、リンク1
5,17と座板取付枠19の移動が拘束されて、これら
が自然に停止する。したがって、従来の電動構造のもの
のようにモータスイッチを適時操作する面倒がなく、し
かも良好な着座状態を得られる。
【0035】この後、ブレーキレバー8から手を離す
と、該レバー8が捩りバネの弾性によって原位置に復帰
し、またロック解除レバー29とロック解除ピン(図示
略)が原位置に復帰して、作動シリンダ24がロックさ
れ、リンク15,17と座板取付枠19との位置が拘束
されて、前後部座板22,20の位置が拘束される。
【0036】この状況は図4のようで、前後部座板2
2,20が対向端面を突き合わせて略水平に位置付けら
れ、その広域な座面上に使用者7の下肢と臀部7aとが
載置され、また足裏を床面2上に着地し得る安定した着
座姿勢が得られる。その際、グリップ6の腕掛部6aに
手を載せれば、着座姿勢が一層安定する。そして、前部
座板22の一端は後部座板20側の蝶番(図示略)に支
持され、他端は連結枠5の上面に係合して支持され、ま
た後部座板20はリンク15,17を介してブラケット
12,12に支持されていて、それらに負荷を作用させ
ている。
【0037】この場合、リンク15,17は図示のよう
に上下に若干位置をずらせて略V字形状に折畳まれ、ブ
ラケット12と座板取付枠19と協同して略三角トラス
状の枠体を形成しているから、これらを一直線状に配置
した場合に比べて、外力に対する強度が強化され、堅牢
な着座構造が得られる。
【0038】次に、このような着座姿勢から離座し立ち
上がる場合は、グリップ6,6に手を掛けてゆっくり立
ち上がるとともに、ブレーキレバー8に手を掛けて、こ
れを基端部を支点に捩りバネの弾性に抗して引き上げ
る。このようにすると、係止片31がブレーキレバー8
と同動し、該片31に連結したブレーキワイヤ30が外
側へ引張られ、該ワイヤ30の他端を連結したロック解
除レバー29が引き下げられて、ロック解除ピン(図示
略)が押し下げられる。
【0039】このため、作動シリンダ24のロック状態
が解除され、ピストンロッド25が伸縮可能になる。そ
して、後部座板20上の使用者7が立ち上がると、リン
ク15に作用する負荷、つまり使用者7の体重が低下
し、該リンク15が作動シリンダ24の弾性によって押
し上げられ、これが支軸13を支点に起立回動する。
【0040】この結果、上記リンク15に連係する座板
取付枠19とリンク17とが連動して起立し、座板取付
枠19上の後部座板20が前方かつ上方へ略平行移動す
るとともに、該座板20に連結した前部座板22が先端
部内面を連結枠5の上面に係合しながら前方へ押し出さ
れる。
【0041】このような立ち上がり作動時には、リンク
15の前方回動角度に応じて、ピストンロッド25が伸
長し、該ロッド25の軸方向に作用する弾性力が減少す
る一方、リンク15の前方回動角度に応じて作動シリン
ダ24が前方へ傾倒し、リンク15に対する反力の作用
角度が漸減して、リンク15に対する反力の増加率を相
対的に増加させる。
【0042】したがって、リンク15は前方回動初期に
はゆっくり回動し、前後部座板22,20による立ち上
がり姿勢をゆっくり形成して、前記座板22,20を使
用者7の下肢と臀部7aに当てがい、使用者7の立ち上
がり動作を援助する。そして、前方回動中期から後期に
亙っては、リンク15の回動速度を増速して、前後部座
板22,20による最終的な立ち上がり姿勢を速やかに
形成し、使用者7の椅子2からの脱出動作を促す。
【0043】こうして、ピストンロッド25が最大量伸
長し、支軸16,18がその最上位置に移動し、リンク
15,17の思案点位置に到達すると、リンク15,1
7と座板取付枠19の移動が拘束されて、これらが自然
に停止する。したがって、従来の電動構造のもののよう
にモータスイッチを適時操作する面倒がない。
【0044】この後、ブレーキレバー8から手を離す
と、該レバー8が捩りバネの弾性によって原位置に復帰
し、またロック解除レバー29とロック解除ピン(図示
略)が原位置に復帰して、作動シリンダ24がロックさ
れ、リンク15,17と座板取付枠19との位置が拘束
されて、図1のような原状を回復する。したがって、こ
の後誤って後部座板20に着座しても、これが下方へ移
動することがなく、不慮の事故発生を未然に防止し得
る。
【0045】一方、上記椅子2を使用後、これを適所に
保管する場合は、前述のように原状を回復し、かつ作動
シリンダ24をロック状態にした椅子2を、保管後の椅
子2と同一向きに移動し、該椅子2の後部脚9,9を保
管後の椅子2の前部脚1,1の間に押し込み、背当板2
1の下端部が前部座板22の上端部に係合したところで
停止する。
【0046】この場合、前部脚1,1を保管後の椅子2
の後部脚9,9に差し込むことも可能であるが、前部脚
1,1の床面2上での移動に円滑性を欠く惧れがあり、
一方、後部脚9,9の下端部は水平に折り曲げられて滑
走性に優れ、床面2上を円滑に移動できるから、上記の
ように作業することが望ましい。
【0047】このようにすると、上記二つの椅子2,2
が前後に重合して配置され、後方に向かって幅狭な後部
脚9,9の略半分が、前方に向かって幅広な前部脚1,
1の間に挿入され、その分保管スペースの低減を図れ
る。図6,7は上記スタッキング状況を示している。
【0048】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明は、ピスト
ンロッドの先端部を前記起倒可能な前部側リンクの中間
部に回動可能に連結し、前記ピストンロッドに連係して
起倒するリンクを直杆状に形成し、前記弾性手段を前記
リンクの起倒変位に応じて起倒可能に設け、かつその起
倒速度を可変にしたから、足腰の不自由者や老人等の着
座から離座および立ち上がりに時に至る一連の動作をき
め細かく援助し、無理なく安全かつ安心した使用を図れ
るとともに、従来のこの種のものに比べて、構成が簡
安価に製作することができる。請求項2の発明は、
座時、前記リンク機構の起倒可能なリンクを、その後方
回動初期から中期に亙って速やかに回動させたから、前
後部座板による着座姿勢を速やかに形成し、その着座面
積を増大して中腰状態から安定した着座環境を整えるこ
とができる一方、後方回動後期にはゆっくり回動させた
から、前後部座板による最終的な着座姿勢をゆっくり形
成し、着座姿勢を安定させて使用者に安心感を与える
とができる。請求項3の発明は、起立時、前記リンク機
構の起倒可能なリンクを、その前方回動初期にはゆっく
り回動させ、前後部座板による立ち上がり姿勢をゆっく
り形成し使用者の立ち上がり動作を援助することができ
る一方、前記リンクを前方回動中期から後期に亙って速
やかに回動させたから、最終的な立ち上がり姿勢を速や
かに形成し、使用者の椅子からの脱出動作を促すことが
できる。請求項4の発明は、座板の前端部に、前後幅が
前記座板と同幅または幅広な部座板を上下方向に回動
可能に連結し、該前部座板を常時は折畳み、前記座板に
連動させて移動可能にしたから、中腰状態の着座時には
後部座板に奥深く着座でき、その後も当該着座姿勢を変
える必要がない等の効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す正面図で、着座使用前
の状況を示している。
【図2】本発明の実施形態の要部を分解して示す斜視図
である。
【図3】本発明の実施形態を示す正面図で、着座使用前
後の状況を示している。
【図4】本発明の実施形態を示す正面図で、使用者によ
る実際の使用状況を示している
【図5】本発明の実施形態を示す正面図で、着座使用時
の状況を示している。
【図6】本発明の実施形態のスタッキング状態を示す正
面図である。
【図7】図6の簡略平面図である。
【符号の説明】
1 脚(前部脚) 2 椅子 6 グリップ 9 脚(後部脚) 15 リンク 19 リンク(座板取付枠) 20 座板(後部座板) 22 座板(前部座板) 24 弾性手段(作動シリンダ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 平7−22729(JP,U) 実開 平1−108142(JP,U) 実開 平3−21242(JP,U) 実開 昭56−4469(JP,U) 実公 平7−1005(JP,Y2) 実公 昭54−23737(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47C 3/36 - 3/38 A47C 3/04 A61G 5/00 502

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の脚と、折畳み可能な四節回転リン
    ク機構とを設け、該リンク機構は座板を直接固定するリ
    ンクと、該リンクに上端部を回動可能に連結する前後方
    向へ起倒可能な一対のリンクと、該一対のリンクの下端
    部を回動可能に連結する不動のリンクとからなり、該不
    動のリンクに伸縮可能なピストンロッドを有する弾性手
    段を起倒可能に設け、かつ前記ピストンロッドの先端部
    を、前記リンク機構の起倒可能なリンクに回動可能に連
    結した椅子において、前記ピストンロッドの先端部を前
    記起倒可能な前部側リンクの中間部に回動可能に連結
    し、前記ピストンロッドに連係して起倒するリンクを直
    杆状に形成し、前記弾性手段を前記リンクの起倒変位に
    応じて起倒可能に設け、かつその起倒速度を可変にした
    ことを特徴とする椅子。
  2. 【請求項2】 着座時、前記リンク機構の起倒可能なリ
    ンクを、その後方回動初期から中期に亙って速やかに回
    動させ、後方回動後期にはゆっくり回動させた請求項1
    記載の椅子。
  3. 【請求項3】 起立時、前記リンク機構の起倒可能なリ
    ンクを、その前方回動初期にゆっくり回動させ、前方回
    動中期から後期に亙って速やかに回動させた請求項1記
    載の椅子。
  4. 【請求項4】 前記座板の前端部に、前後幅が前記座板
    と同幅または幅広な前部座板を上下方向に回動可能に連
    した請求項1記載の椅子。
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