JPH0114202Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は背凭れ部の傾きを調節できるリクライ
ニングチエアに関する。

従来のリクライニングチエアは一般に座部の後
端に背凭れ部を前後方向に回動自在に枢着したも
のであり、背凭れ部の傾きを任意の角度に調節す
るためのロツク機構を有している。このような従
来のリクライニングチエアは、単に座部に対する
背凭れ部の傾き角度が変わるだけである。つま
り、座部自体は常に一定の形状であることから尻
を支える位置すなわちヒツプポイントが背凭れ部
の角度にかかわりなく常に一定であり、例えば背
凭れ部を後ろに倒して楽な姿勢で座る場合などに
おいて安楽性に多少難点があつた。

また、実開昭54−7814号公報に見られる椅子の
ように、背凭れ部を備えた後方支持枠と、前方支
持枠とを互いに蝶番によつて回動自在に連結する
とともに後方支持枠を傾倒装置の軸回りに回転自
在となし、背凭れ部に体重を寄り掛けることによ
る後方支持枠の後方への傾斜に伴つて、前方支持
枠全体と後方支持枠の前部が上記傾倒装置を中心
に回動上昇するようにした椅子も提案されてい
る。しかしながらこの先行技術の場合には、後方
支持枠を後倒させると同時に前方支持枠が連動し
てシーソーのように上昇する構造であるから、前
方支持枠に腿の重さが加わつた状態では後方支持
枠を後倒させにくい。このため後方支持枠を後倒
させるには腿を浮かせぎみにしながら背凭れ部に
かなり大きな後方荷重を掛けなければならず、勢
い余つて後方に倒れそうになるといつた問題があ
る。しかもこの先行技術は、前方支持枠や後方支
持枠を所定の位置にロツクするための機構がかさ
ばり、座部の厚み方向の寸法が大きくならざるを
えないため、外観がすつきりとせずスマートさに
欠けるといつたデザイン上の問題もある。

従つて本考案の目的は、背凭れ部が設けられて
いる座部後半部の傾動操作を行ない易いととも
に、ロツク機構を含む座部まわりをコンパクトに
構成でき、しかも座り心地の良いリクライニング
チエアを提供することにある。

上記目的を果たすために本考案では下記構成を
採用する。すなわち本考案のリクライニングチエ
アは、座部本体を構成するパイプ材を用いた本体
フレームと、この本体フレームに固定されかつ座
部のほぼ前半部分を構成する第１のの座部構成体
と、この第１の座部構成体の後側に水平方向の枢
軸によつて前端部が上下方向に回動可能に枢着さ
れかつ座部のほぼ後半部分を構成する第２の座部
構成体と、この第２の座部構成体に設けられた背
凭れ部と、シリンダおよびこのシリンダに対し軸
方向に移動自在でかつ任意の軸方向位置でロツク
可能なロツドを備えるとともに上記第２の座部構
成体に沿つて配置されていて一端側が上記第１の
座部構成体側に支持され他端側が第２の座部構成
体に支持されることにより上記第２の座部構成体
を第１の座部構成体に対して任意の傾き角度で係
止するシリンダ・ロツド状のロツク機構とを具備
したものである。

上記構成の本考案のリクライニングチエアは、
ロツク機構のロツクを解除するとともに第２の座
部構成体に体重をかけることによつて、背凭れ部
と第２の座部構成体が一体となつて後ろ下方に回
動降下してヒツプポイントを下げることができ
る。この場合、座部の前側に位置する第１の座部
構成体上の腿を浮かせたり背凭れ部に大きな後方
荷重を掛けずにすむから、勢い余つて後ろに倒れ
そうになるといつた問題はない。

また、パイプ材からなる本体フレームと第２の
座部構成体に沿つて上記シリンダ・ロツド状の摩
擦ロツク機構が配置されているので、このロツク
機構を含む座部まわりをコンパクトに構成でき
る。

以下本考案の一実施例について図面を参照して
説明する。図中１は座席本体を構成する本体フレ
ームである。この本体フレーム１は、左右の脚フ
レーム部２，２と、これら脚フレーム部２，２を
互いに連結するフロントフレーム部３とバツクフ
レーム部４、およびサイドフレーム部５，５など
から構成されている。これらフレーム部３，４，
５，５は例えば１本のパイプ材を折曲成形してな
り、溶接によつて脚フレーム部２，２に固定され
ている。また上記サイドフレーム部５，５の前部
には、後述する第１の座部構成体９を取付けるた
めのブラケツト６，６が溶接等によつて取着され
ている。

そして上記本体フレーム１に座部８が取付けら
れている。この座部８は、以下述べるように第１
の座部構成体９と、第２の座部構成体１０と、背
凭れ部１１などから構成されている。

すなわち第１の座部構成体９は、パイプ材９ａ
を折曲成形してその両端部をボルト１２…によつ
て上記ブラケツト６，６に固定するとともに、適
宜位置にＳばね等のばね構体１３…を張設し、更
にその外側に外装材（図示せず）を設けたもので
あつて、座部８のほぼ前半部分を構成する。ま
た、この第１の座部構成体９の左右両端部には、
それぞれ支持部材１４，１４が例えば溶接によつ
て固定されている。

そして上記支持部材１４，１４に、枢軸１６，
１６によつて第２の座部構成体１０の前端部が上
下方向に回動可能に枢着されている。この第２の
座部構成体１０は、１本のパイプ材１０ａを折曲
形成して背凭れ部１１と一体に成形されたもので
あつて、適宜位置にＳばね等を利用したばね構体
１７…を張設するとともに、その外側を図示しな
い外装材によつて被うようになつている。すなわ
ちこの第２の座部構成体１０は、座部８のほぼ後
半部分を構成するとともに、上記枢軸１６，１６
を中心として背凭れ部１１と一体に上下方向に回
動可能なものである。

また、上記第２の座部構成体１０を任意の傾き
で固定するためのロツク機構２０，２０が設けら
れている。これらロツク機構２０，２０は、一例
として摩擦ロツク機構を使用している。摩擦ロツ
ク機構は、例えば第３図に示したように、一端を
ピン２１によつて第２の座部構成体１０に枢着し
たシリンダ２２内に、コイルばね（図示せず）を
収容するとともに、このコイルばねの内径よりも
僅かに大きな外径のロツド２３をコイルばねの内
側に挿通し、そのロツドエンド２３ａを枢軸２４
によつて支持部材１４に枢着したものであり、上
記コイルばねを操作レバー２５によつて巻き弛み
方向にねじることによりコイルばねの径が拡が
り、ロツド２３との摩擦係合が解除されてロツド
２３がシリンダ２２に対して自由に移動できるよ
うに構成してある。従つて操作レバー２５から手
を離した自由状態では上記コイルばねの巻き締め
力によつてロツド２３とシリンダ２２が一体とな
り、ロツド２３を固定できる。

なお、上記操作レバー２５は第１図中の右側に
位置する一方のロツク機構２０にのみ設けられて
おり、図示左側に位置する他方のロツク機構２０
には動力伝達ケーブル２６を介して操作力が同時
に伝達できるようになつている。

また、双方のロツク機構２０，２０に圧縮スプ
リング２７，２７が設けられている。これら圧縮
スプリング２７，２７は、それぞれシリンダ２２
とロツドエンド２３ａとの間に圧縮した状態で設
けられており、シリンダ２２，２２を常時後方に
付勢している。従つて上記ロツク機構２０，２０
によるロツク状態を解除すれば、これら圧縮スプ
リング２７，２７の弾発力によつて第２の座部構
成体１０は背凭れ部１１とともに回動上昇力を受
ける。すなわち上記圧縮スプリング２７，２７
は、第２の座部構成体１０に復帰回動力を与える
弾性部材として機能する。

本実施例は以上のように構成されるから、操作
レバー２５を操作してロツクを解除すれば、第２
図に想像線で示すように背凭れ部１１を後ろ下方
に傾けることができるとともに、これと一体に第
２の座部構成体１０が回動降下し、尻を支持する
ヒツプポイントが落ち込むため非常に楽な座り心
地となる。この状態で操作レバー２５から手を離
してロツク状態とすれば、第２の座部構成体１０
と背凭れ部１１の傾きを固定することができる。

また、背凭れ部１１を元の起立状態に戻すには
操作レバー２５を操作してロツク解除すればよ
く、背凭れ部１１の傾きはその回動範囲内であれ
ば着座者の好みに合わせて任意に調節可能であ
る。

また上記実施例によれば、背凭れ部１１を倒し
た場合、座部８の中央に位置する枢軸１６，１６
が回動中心となつて中折れ式に第２の座部構成体
１０が倒れるため、単に背凭れ部のみを倒すよう
にした場合に比べて背凭れ部を倒した際の大きさ
が小さくて済み、コンパクトに構成できるという
利点がある。

また、ロツク機構は少なくとも１つ設けてあれ
ばよい。また、これらを始めとして本考案の実施
に際しては本体フレームや第１および第２の座部
構成体、背凭れ部等の形状、構造等の具体的態様
を本考案の要旨に反しない範囲で種々に変形して
実施できることは言うまでもない。

前述したように本考案によれば、背凭れ部が設
けられている座部後半部の後方への傾動操作を容
易にかつ安全に行なうことができるとともに、ロ
ツク機構を含む座部まわりをコンパクトに構成で
きる。そして必要に応じてヒツプポイントを下げ
ることができるため座り心地の良いリクライニン
グチエアである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は外装
材を省略したリクライニングチエアの斜視図、第
２図は同側面図、第３図は第２図中の方向から
見たロツク機構部分の平面図、第４図は同ロツク
機構部分の側面図である。 １……本体フレーム、８……座部、９……第１
の座部構成体、１０……第２の座部構成体、１１
……背凭れ部、２０……ロツク機構。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 座席本体を構成するパイプ材を用いた本体フレ
   ーム１と、 この本体フレーム１に固定されかつ座部８のほ
   ぼ前半部分を構成する第１の座部構成体９と、 この第１の座部構成体９の後側に水平方向の枢
   軸１６によつて前端部が上下方向に回動可能に枢
   着されかつ座部８のほぼ後半部分を構成する第２
   の座部構成体１０と、 この第２の座部構成体１０に設けられた背凭れ
   部１１と、 シリンダ２２およびこのシリンダ２２に対し軸
   方向に移動自在でかつ任意の軸方向位置でロツク
   可能なロツド２３を備えるとともに上記第２の座
   部構成体１０に沿つて配置されていて一端側が上
   記第１の座部構成体９側に支持され他端側が第２
   の座部構成体１０に支持されることにより上記第
   ２の座部構成体１０を第１の座部構成体９に対し
   て任意の傾き角度で係止するシリンダ・ロツド状
   のロツク機構２０と を具備したことを特徴とするリクライニングチエ
   ア。