JP2810783B2 - 4―位にエチル化されたビフェニル類の製造方法 - Google Patents

4―位にエチル化されたビフェニル類の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、4−位に置換器を有するビフェニル化合物
の中間対あるいは熱媒体や感圧紙溶剤として有用な4−
エチルビフェニル、4,4′−ジエチルビフェニル等のエ
チルビフェニル類の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
エチルビフェニル類は、熱媒体、感圧紙溶剤等として
有用である他、ビフェニルカルボン酸、ビニルビフェニ
ルの原料としても有用である。中でも、4−ビフェニル
カルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の4−
置換体及び4,4′−置換体はその対称性から有用性が高
い。
ビフェニルをアルキル化し4−位にアルキル基を置換
したビフェニル類を製造する方法としては、モルデナイ
ト型ゼオライトを触媒に用いオレフィンでアルキル化す
る方法が知られている(特開昭63−227,529号、特開昭6
3−122,635号の各公報)。しかしながら、モルデナイト
型ゼオライトを触媒に用いて4−位の選択率を高めるこ
とができるのはプロピレン、ブテンなど炭素数3以上の
オレフィンによるアルキル化であって、エチレンによる
ビフェニルのエチル化をモルデナイト型ゼオライトを触
媒に用いて行っても4−位に選択的にはエチル化され
ず、生成物は3−又は3,3′−置換体を中心とした種々
のエチルビェニル類の混合物となり、特にジエチルビフ
ェニル中の4,4′ジエチルビフェニルの選択率(異性体
中の選択率)は4〜10%程度、またエチル化生成物中の
4,4′−ジエチルビフェニルの収率(ビフェニル環を持
つ化合物中の重量%)は1〜4%程度と低いものであっ
た。
また、特開昭63−162,632号公報には固体酸触媒を用
いたビフェニルのポリエチルベンゼンによるトランスエ
チル化反応が記載されているが、4−位への選択率を高
める詳細な反応条件については特に記載はされていなか
った。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、かかる状況に鑑み、その目的とするところ
は、4−エチルビフェニル及び4,4′−ジエチルビフェ
ニルの選択率及び収率を高めたエチルビフェニル類の製
造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記方法を確立するため、鋭意研究を
行った結果、驚くべきことに触媒として固体酸触媒、ア
ルキル化剤にはエチル基/ベンゼン環のモル比が3.5以
上のポリエチルベンゼンを用い、しかも、反応温度等の
反応条件を選択することにより、効率よく4−エチルビ
フェニル、4,4′−ジエチルビフェニル等の4−位にエ
チル化されたビフェニル類(以下、4−位エチル化ビフ
ェニル類という)の選択率及び収率を高めることができ
ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ビフェニル及びエチルビフェニ
ルから選ばれた少なくとも1種の原料ビフェニル類とポ
リエチルベンゼンとを固体酸触媒の存在下反応させるに
当り、反応温度が50〜240℃、使用するポリエチルベン
ゼンのエチル基/ベンゼン環のモル比が3.5以上及びポ
リエチルベンゼン/原料ビフェニル類の重量比が1以上
で反応を行うビフェニル類の製造方法である。
以下、本発明方法を詳細に説明する。
本発明で使用する固体酸触媒の種類としては、シリカ
アルミナ、ゼオライト、複合金属酸化物、固体リン酸、
ヘテロポリ酸、イオン交換樹脂等の通常固体酸触媒とし
て知られている触媒であればよいが、工業的な入手の容
易さ等から、シリカアルミナ又はゼオライトが好まし
い。ゼオライトとしてはY型ゼオライト、L型ゼオライ
ト又はこれらのイオン交換、フッ素化処理等化学処理し
たものが好ましい。これらの固体酸触媒の酸強度として
は、アンモニア吸着熱が85Kジュール/モル以上の酸点
を0.1〜3モル/kg持つものが好ましい。酸点の数が0.1
モル/kgより少ないと工業的に充分な転化率を得るのが
難しく、3モル/kgより多いと炭素質の析出速度が速く
なり触媒寿命が短くなる。なお、活性を失った金属酸化
物系の固体酸触媒は、窒素で希釈した空気によって500
℃程度で焼成し、炭素質を取り除くという方法で容易に
再生することができる。
本発明で使用する原料ビフェニル類は、ビフェニル及
び/又はエチルビフェニルである。エチルビフェニルと
しては2−エチルビフェニル、3−エチルビフェニル、
4−エチルビフェニルから選ばれた1種又は2種以上の
混合物であるが、4−エチルビフェニルを多く含む方
が、4,4′−ジエチルビフェニルの選択率、収率が高く
なり有利である。これらの原料ビフェニル類は塩基性窒
素の含有量が50ppm以下、好ましは20ppm以下のものがよ
い。また、エチル化反応での生成物から4−エチルビフ
ェニル及び/又は4,4′−ジエチルビフェニルを分離し
た残りのビフェニル、モノエチルビフェニル、ジエチル
ビフェニル、トリエチルビフェニル等を反応系にリサイ
クルしてもよい。
エチル化剤として用いるポリエチルベンゼンは、エチ
ル基/ベンゼン環=3.5(モル比)以上、好ましくは3.8
(モル比)以上となるような化合物又は混合物である。
化合物としてはテトラエチルベンゼン、ペンタエチルベ
ンゼン及びヘキサエチルベンゼンなどがあり、混合物と
してはこれらの化合物同士の混合物やこれらの化合物の
1種又は2種以上とエチルベンゼン、ジエチルベンゼ
ン、トリエチルベンゼン等の他のポリエチルベンゼンの
1種又は2種以上との混合物などが挙げられるが、上記
モル比となるように混合される。なお、本発明でいうポ
リエチルベンゼンは、エチルベンゼン、1,2−エチルベ
ンエン、1,3−エチルベンゼン、1,4−エチルベンゼン、
1,2,3−トリエチルベンゼン、1,2,4−トリエチルベンゼ
ン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,2,3,4−テトラエチ
ルベンゼン、1,2,3,5−テトラエチルベンゼン、1,2,4,5
−テトラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ヘキ
サエチルベンゼンのような化合物をいう。エチル基/ベ
ンゼン環のモル比が小さいと、4−位エチル化ビフェニ
ル類の選択率又は収率が悪くなる。
ポリエチルベンゼンの使用量は原料ビフェニル類に対
して重量比で1以上、好ましくは1.5以上である。ポリ
エチルベンゼンの使用量が少ないと、反応の進行が遅
い。
本発明の反応温度は、50℃〜240℃、好ましくは50℃
〜220℃、更に好ましくは70℃〜200℃である。反応温度
が反応原料の融点以下の場合は、デカリン、n−パラフ
ィン等の反応に関与しない溶媒を用いることができる。
反応温度が50℃より低い反応温度では反応速度が遅く工
業的ではないし、240℃より高い反応温度では4−位エ
チル化ビフェニル類の選択率が低くなる。通常、反応温
度が低い方が4−エチル化ビフェニル類の選択性はよ
く、高い反応温度を選んだときは反応時間を短くするこ
とで高い4−位エチル化ビフェニル類選択率が得られ
る。
反応圧力は常圧〜50kg/cm2、好ましくは常圧〜kg/cm2
である。触媒寿命を考慮して、反応原料及び反応生成物
が反応器の中で液状となるように反応圧を選ぶのが適当
である。必要以上に反応圧力が高くても反応に悪影響を
及ぼすことはないが、特に高くする必要はない。
製造方法は流通反応形式、バッチ反応形式で行うこと
ができる。工業的レベルで大量に製造する場合は固定床
の流通反応形式が、少量を製造する場合はバッチ反応形
式が適している。
本発明の触媒量はバッチ反応形式の場合、触媒/(原
料ビフェニル類+ポリエチルベン)=0.05〜0.50(重量
比)、好ましくは0.10〜0.30(重量比)であり、流通反
応形式の場合、WHSV=0.1〜5h-1、好ましくは、0.2〜3h
-1である。
本発明の反応速度は、反応時間1時間当りでの原料ビ
フェニル類の転化率が、下式 Co≦15Et/(Bz+Bp) で定義される範囲に入るよう調節することが望ましい。
但し、Coは原料ビフェニル類の転化率(%)、Etは反応
器中のエチル基モル数、Bzは反応器中のベンゼン環モル
数、Bpは反応器中のビフェニル環モル数を表す。
すなわち、反応中の任意の1時間をとったときの転化
率がいずれも上記式の範囲内となるように反応すること
がよい。反応速度の調節は、反応温度、触媒使用量、反
応時間等のパラメーターを先に記載した範囲より選び、
組み合わせことにより行うことができる。通常、反応温
度は低く設定し、触媒使用量を多くする及び/又は反応
時間を長くすることにより反応速度を調節すれば、高い
選択率及び収率で4−位エチル化ビフェニル類が得られ
る。
このような条件で反応すると、トランスエチル化反応
が生じ、原料ビフェニル類がエチル化されると共にポリ
エチルベンゼンが脱エチル化される。従って、反応終了
後の混合物はビフェニル、エチルビフェニル、ジエチル
ビフェニル、トリエチルビフェニル等のエチルビフェニ
ル類とエチル基が減少したポリエチルベンゼン及びベン
ゼン類等を含む。
本発明の反応終了後の混合物は、上記のように4−位
エチル化ビフェニル類以外にエチルベンゼン類、ビフェ
ニル、モノエチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ト
リエチルビフェニル、テトラエチルビフェニル等を含む
が、反応での選択率が高いため、蒸留により4−エチル
ビフェニル又は4,4′−エチルビフェニルを純度80%以
上に濃縮することができる。従って濃縮した後、更に冷
却晶析、圧力晶析、吸着等の分離法を用いて4−エチル
ビフェニル又は4,4′−ジエチルビフェニルを分離する
といった方法は必ずしも必要でない。蒸留により分離し
た4−エチルビフェニル又は4,4′−ジエチルビフェニ
ルの純度が充分でないときは、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等の溶媒を用いて再結晶すること
により100%にまで純度を挙げることができる。
4−位エチル化ビフェニル類を分離した残りのビフェ
ニル、モノエチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ト
リエチルビフェニル等は熱媒、溶剤等に利用してもよい
し、反応器にリサイクルして4−位エチルビフェニル類
の原料とすることもできる。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明す
る。
実施例1〜9、比較例1〜2 撹拌機付きオートクレーブに、ビフェニル又は4−エ
チルビフェニルと、触媒としてシリカアルミナ又はY型
ゼオライト及びエチル化剤としてテトラエチルベンゼン
異性体混合物又はジエチルベンゼン異性体混合物を仕込
み、第1表に示す反応条件で反応を行った。なお、触媒
に用いたシリカアルミナ及びY型ゼオライトは、そのア
ンモニア吸着熱85Kジュール/モル以上の酸点をそれぞ
れ0.40モル/kg、1.40モル/kg有するものであった。
反応生成物中のビフェニル環を持つ化合物の重量割合
並びに4−エチルビフェニル及び4,4′−ジエチルビフ
ェニルの選択率、収率を第2表に示す。
〔発明の効果〕 本発明によれば、4−エチルビフェニル及び/又は4,
4′−ジエチルビフェニルを効率良く製造でき、工業的
に有意義なものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 15/14,6/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビフェニル及びエチルビフェニルから選ば
    れた少なくとも1種の原料ビフェニル類とポリエチルベ
    ンゼンとを固体酸触媒の存在下に反応させるに当り、反
    応温度が50〜240℃、使用するポリエチルベンゼンのエ
    チル基/ベンゼン環のモル比が3.5以上及びポリエチル
    ベンゼン/原料ビフェニル類の重量比が1以上の条件で
    反応を行うことを特徴とする4−位にエチル化されたビ
    フェニル類の製造方法。
  2. 【請求項2】反応時間1時間当りの原料ビフェニル類の
    転化率が、下式 Co≦15Et/(Bz+Bp) (但し、式中Coは原料ビフェニル類の転化率(%)を示
    し、Etは反応器中のエチル基モル数を示し、Bzは反応器
    中のベンゼン環モル数を示し、Bpは反応器中のビフェニ
    ル環モル数を示す)で定義される範囲で反応させる請求
    項1記載の4−位にエチル化されたビフェニル類の製造
    方法。
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