JP2806874B2 - Ecl回路 - Google Patents

Ecl回路

Info

Publication number
JP2806874B2
JP2806874B2 JP8105598A JP10559896A JP2806874B2 JP 2806874 B2 JP2806874 B2 JP 2806874B2 JP 8105598 A JP8105598 A JP 8105598A JP 10559896 A JP10559896 A JP 10559896A JP 2806874 B2 JP2806874 B2 JP 2806874B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transistor
transistors
circuit
electrode
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8105598A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09294068A (ja
Inventor
正明 石井
数洋 森
Original Assignee
日本電気アイシーマイコンシステム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本電気アイシーマイコンシステム株式会社 filed Critical 日本電気アイシーマイコンシステム株式会社
Priority to JP8105598A priority Critical patent/JP2806874B2/ja
Publication of JPH09294068A publication Critical patent/JPH09294068A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2806874B2 publication Critical patent/JP2806874B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Logic Circuits (AREA)
  • Amplifiers (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ECL回路に関
し、特に、差動増幅回路の出力抵抗と差動対トランジス
タとの間にカスケード接続のトランジスタを設けた型の
ECL回路における高速化の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に、この種のECL回路の一例の回
路図を示す。図2を参照して、この回路は、差動対をな
す二つのトランジスタQ1 ,Q6 と、それぞれのトラン
ジスタのコレクタ電極側に設けられた出力抵抗R1 ,R
2 とだけで構成される最も基本的なECL回路に、更に
トランジスタQ7 ,Q8 を設けた構成のものである。こ
の新たに設けられたトランジスタQ7 ,Q8 は、この回
路の動作速度を高めるためのもので、差動対のトランジ
スタQ1 ,Q6 のコレクタ電極と抵抗R1 ,R2との間
に、電流経路をなすようにカスケード接続される。すな
わち、トランジスタQ1 と抵抗R1 とからなる増幅回路
を例にして考えると、上記の(カスケードトランジスタ
7 ,Q8 を持たない)最も基本的なECL回路では、
入力端子8から見たトランジスタQ1 のコレクタ・ベー
ス間の容量CCBM は、トランジスタQ1 が本来持ってい
るコレクタ・ベース間接合容量CCB1 に対し、CCBM
(1+Av1)倍に大きくなる(但し、Av1はトランジス
タQ1 のゲイン)。その結果、容量CCBM と抵抗R1
による時定数が大きくなって、回路の高速動作が損われ
るのである。この現象は、ミラー効果として良く知られ
ているものである。これに対し、カスケードトランジス
タQ1 を挿入した場合は、Av1=re7/re1≒1となる
(但し、re7,re1はそれぞれ、カスケードトランジス
タQ7 ,差動対トランジスタQ1 それぞれのエミッタ内
部抵抗)ので、入力端子8から見たコレクタ・ベース間
の容量CCBM は、本来のコレクタ・ベース間接合容量C
CBのたかだか2倍にしかならない。その結果、ミラー効
果による動作速度の低下が軽減され、高速化される。こ
のように、新たに付け加えられたカスケードトランジス
タQ7 ,Q8 は、差動対トランジスタQ1 ,Q6 でのミ
ラー効果を打ち消して、高速動作を行わせるのである。
【0003】ところで、ECL回路はもともと高速動作
に特徴をもつ回路である。そして、その高速性を更に高
めるために、上記のようなカスケードトランジスタを設
けた回路が考えられたのであるが、この回路の特徴が本
来高速性にあるところから、高速化に対する要求は、常
に強い。そのような、高速化の要求に対応する方法の一
つとして、差動対トランジスタQ1 ,Q6 に対し、それ
ぞれのトランジスタがオフ状態にあっても、そのオフ状
態のトランジスタ側のカスケードトランジスタに微少な
電流が流れているようにする手段を設けることが、考え
られる。例えば特開昭57ー164618号公報に開示
された、微少電流の経路を備えるECL回路は、上記の
ような高速化技術の一例を示すものである。
【0004】図3に、上記公報に記載のECL回路(以
後、高速型の回路と記す)の回路図を示す。また図4
に、上記公報記載の発明の適用対象となった、高速化以
前のECL回路の回路図を示す。図4を参照して、この
ECL回路は、差動増幅用のトランジスタ対と、その差
動トランジスタ対の出力をラッチするラッチトランジス
タ対と、差動増幅動作とラッチ動作とを切り替える電流
スイッチトランジスタ対とからなる回路である。すなわ
ち図4において、二つのトランジスタQ1 ,Q6が、差
動トランジスタ対をなす。トランジスタQ2 ,Q4 は、
ラッチトランジスタ対をなす。トランジスタQ3 ,Q5
は、電流スイッチトランジスタ対をなす。いま図4にお
いて、入力端子2への信号がハイ(H)レベルで、入力
端子3への入力がロウ(L)レベルのとき、回路は入力
端子8,9への入力信号を差動増幅し出力端子4,5へ
出力する。一方、入力端子2への信号がLレベルで、入
力端子3への入力がHレベルのとき、回路は上記の差動
増幅の結果をラッチする。
【0005】次に、図3と図4とを比較すると、改良さ
れた高速型のECL回路では、図4に示す回路に加え、
電流スイッチトランジスタ対Q3 ,Q5 のそれぞれに対
し、それぞれ抵抗R3 ,R4 が並列に接続されている。
これら抵抗R3 ,R4 は、トランジスタQ3 (或いは、
トランジスタQ5 )がオフ状態になったときでも電流を
流し、トランジスタQ2 (同、トランジスタQ4 )がオ
フ状態にならないようにする。上記の抵抗R3 ,R4
効果について、以下に述べる。
【0006】図4において、差動増幅用入力端子8の電
圧V8 がHレベルで、入力端子9の電圧V9 がLである
ものとする。このとき、動作切替え用入力端子2の電圧
2がHレベルで、入力端子3の電圧V3 レベルで
あれば、この回路は差動増幅を行い、ラッチ動作のため
のトランジスタQ5 ,Q4 は、共にオフ状態にある。そ
して、トランジスタQ4 のベース・エミッタ間順方向電
圧VBEは、トランジスタQ4 がオフ状態にあるので、
0.3V程度になっている。尚、このトランジスタQ4
のベース・エミッタ間には、ベース・エミッタ間接合容
量CBE4 が存在している。
【0007】ここで、入力端子8の電圧V8 =Hレベ
ル、入力端子9の電圧V9 =Lレベルを保持したまま
で、入力端子2の電圧をV2 =Lレベルに、入力端子3
の電圧をV3 =Hレベルに切り替えると、トランジスタ
5 ,Q4 がオン状態に移る。このとき、トランジスタ
4 がオン状態に移るためには、そのトランジスタのベ
ース・エミッタ間接合容量CBE4 に約0.3Vに蓄積さ
れている電荷を放電し、ベース・エミッタ間電圧VBE4
を0.7V以上にする必要がある。この電圧VBE4の差
電圧をΔVBE4 とすると、トランジスタQ4 がオン状態
に遷移する迄には、次式で示す遅れ時間tON4 が生じ
る。 tON4 =CBE4 ×ΔVBE4 /I0 (1) 但し、I0 は、定電流源6の電流である。
【0008】ここで、例えばCBE4 =1pF,I0 =1
40μAであるとすると、 tON4 =2.86nS (2) という遅れが生じる。この遅れ時間 ON4 は、出力端子
4,5の出力信号が切り替るときの遅れ時間である。そ
の遅れ時間をtdOUTとすると、tdOUT=tON4 =2.8
6nSとなる。
【0009】次に、高速型のECL回路(図3)におい
て、電源端子1の電圧VCCは5V、入力端子8の電圧V
8 は4V、入力端子9の電圧V9 は3Vにそれぞれ固定
とする。そして、入力端子2の電圧V2 と入力端子3の
電圧V3 とが、2〜3Vの範囲で切り替るものとする。
抵抗R3 =R4 =100kΩとし、各トランジスタのベ
ース・エミッタ間順方向電圧VBEは、0.7Vとする。
更に、定電流源6の電流I0 は、図4に示す回路におけ
る値と同一で、140μAとする。尚、各トランジスタ
においては、直流電流増幅率hFE=∞、エミッタ電流I
E =コレクタ電流IC であるものとする。
【0010】先ず、時刻t1 において、V2 =3V,V
3 =2Vであるものとする。このときトランジスタQ4
に流れる電流IE4t1は、抵抗R4 に流れる電流値IR4t1
に等しく、 IE4t1=IR4t1={(VCC−VBE4 )−(V2t1 −VBE3 )}/R4 (3) となる。この式(3)に上記の定数を代入すると、 IE4t1=IR4t1=20μA (4) を得る。
【0011】次に、時刻t2 において、V2 =2V,V
3 =3Vに切り替ったとする。この切替りの時、トラン
ジスタQ4 のベース・エミッタ間接合容量CBEに蓄積さ
れていた電荷は放電されるので、その放電電流をI
dis4t2 とする。電流Idis4t2は、トランジスタQ5
のコレクタ電流IC5t2と抵抗R4 に流れる電流IR4t2
の和で表される。すなわち、 Idis4t2=IC5t2+IR4t2 (5) となる。ここで、 IR4t2={(VCC−VBE4 )−(V3t2 −VBE5 )}/R4 (6) であるので、 IR4t2=20μA である。一方、抵抗R3 に流れる電流IR3t2は、下記の
式(7)で表される。 IR3t2={(V8t2 −VBE1 )−(V2t2 −VBE3 )}/R3 (7) 従って、 IR3t2=20μA を得る。更に、 I0 =IC5t2+IR3t2+IR4t2=140μA (8) より、トランジスタQ5 のコレクタ電流IC5t2は、 IC5t2=I0 −(IR3t2+IR4t2)=100μA (10) となり、放電電流Idis4t2 は、 Idis4t2 =IR4t2+IC5t2=120μA (11) となる。これで各定数が確定する。
【0012】以上の結果に基いて、先ず、ラッチトラン
ジスタQ4 での遅れ時間tON4 を求める。トランジスタ
4 での遅れ時間tON4 は、 tON4 =CBE4 ・ΔVBE4 /Idis4t2 (12) である。ここで、 ΔVBE4 =VBE4t2 −VBE4t1 (13) で示され、又、VBE4t2 とVBE4t1 とは、 VBE4t1 =(kT/q)ln(IE4t1/IS ) (14) VBE4t2 =(kT/q)ln(IE4t2/IS ) (15) で表される。
【0013】但し、 IE :エミッタ電流 k:ボルツマン定数 T:絶対温度 q:電子の電荷 IS :順方向飽和電流(=約1×10-16 A) kt/q≒26mV である。そこで、式(14)にIE4t1=20μAを代入
する。又、式(15)に対しては、時刻t2 においては
トランジスタQ4 ,Q5 が共にオン状態にあり、IE4t2
=IR4t2+IC5t2=Idis4t2 であるので、IE4t2とし
てIdis4t2=120μAを代入する。そして、それぞれ
の代入結果を式(13)に代入すると、 ΔVBE4 =0.718−0.671 =0.047V (16) を得る。この代入結果を式(12)に代入すると、ラッ
チトランジスタQ4 での遅れ時間tON4 は、 tON4 =0.391nS (17) となる。
【0014】次に、電流スイッチトランジスタQ5 での
遅れ時間tON5 を考える。この遅れ時間tON5 は、以下
の式(18)で示される。 tON5 =2π・CBE5 ・re5 (18) 但し、re5はトランジスタのエミッタ内部抵抗であり、
トランジスタQ5 の場合は、 re5=kT/q/IE5 で表される。然るに、トランジスタQ5 の電流増幅率h
FE=∞としているので、IE5=IC5である。よって、 re5=kT/q/IC5 (19) である。
【0015】図4に示される従来のECL回路におい
て、入力端子2がLレベル、入力端子3がHレベルのと
き、定電流源6の電流I0 は、 I0 =IC5+IR3+IR4=140μA (20) である。
【0016】以下、上記の結果を用いて、トランジスタ
5 での遅れ時間tON5 を求める。式(19)に式(1
0)で得たIC5t2=100μAを代入すると、常温で、 re5=258Ω (21) を得る。従って、常温における遅れ時間tON5 は、式
(18)より、 tON5 =1.621nS (22) となる。
【0017】これまでの考察で、入力端子2と入力端子
3の入力信号が反転してから、ラッチ回路側のトランジ
スタQ4 ,Q5 がオン状態に遷移してそれまでの差動増
幅動作からラッチ動作に切り替わる迄の遅れ時間tdOUT
は、 tdOUT=tON5 +tON4 (23) =2.012nS となる。これより、図3に示す改良された高速型のEC
L回路は、それまでの一般的なECL回路(図4)に比
べ、遅れ時間tdOUTが小さくなっていることが分る。
【0018】これまで述べた高速型ECL回路のよう
に、電流切替えが行われるトランジスタQ3 ,Q5 に並
列に抵抗を設け、それらトランジスタがオフ状態にある
ときでもこれにカスケード接続されたトランジスタ
2 ,Q4 に微少電流が流れているようにすることによ
り、ECL回路を高速化することができる。ここで、図
4に示す回路と図に示す回路とは、ラッチ動作を行う
か行わないかという機能上の相違を持つものの、回路の
動作速度が決まるプロセスという観点からは、同一の回
路である。従って、上述した図3に示す高速化技術は、
これを図に示すECL回路に適用したときにも、同様
の作用効果を示すものと期待される。
【0019】すなわち、図4に示す回路においては、電
流スイッチトランジスタQ3 ,Q5 のオン、オフ状態
が、入力端子2,3への入力信号の切替えによって、切
り替えられる。そしてその切替えの結果、例えばトラン
ジスタQ5 がオフ状態からオン状態に遷移したものとす
ると、そのコレクタ電極に接続されている、オフ状態に
あるラッチトランジスタQ2 (又は、トランジスタ
4 )のベース・エミッタ間容量の蓄積電荷が、オン状
態になったトランジスタQ5 を通して放電される。差動
増幅動作からラッチ動作への移行に要する遅れ時間は、
トランジスタQ5 がオフ状態からオン状態に遷移するの
に要する時間と、トランジスタQ2 (同、トランジスタ
4 )のベース・エミッタ間に蓄積された電荷が放電さ
れるのに要する時間との和である。
【0020】一方、図に示す回路では、差動対のトラ
ンジスタQ1 ,Q6 のオン、オフ状態が、入力端子
8,9への入力信号の切替えによって、切り替えられ
る。そしてその切替えの結果、それ迄オフ状態にあった
差動対トランジスタQ1 (又は、トランジスタQ6 )の
コレクタ電極に接続されている、オフ状態にあったカス
ケードランジスタQ7 (又は、トランジスタ 8 )は、
ベース・エミッタ間容量に蓄積されていた電荷がオン状
態になったトランジスQ1 (同、トランジスタQ6)を
通して放電され、オン状態に遷移する。図に示す回路
で、入力信号の切替えから出力信号の切替えに要する時
間は、上記の差動対トランジスタQ1 (同、トランジス
タQ6 )がオン状態に移る時間と、カスケードトランジ
スタQ7 (同、トランジスタ 8 )のベース・エミッタ
間に蓄積されていた電荷が放電されるのに要する時間と
の和である。
【0021】つまり、図に示す回路と図4に示す回路
とでは、図中の差動対トランジスタQ1 ,Q6 と図4
中の電流スイッチトランジスタQ3 ,Q5 とが、オン、
オフ状態の切替えが入力信号により行われる(電流切替
え)という点で、それぞれ対応し、又、図中のカスケ
ードトランジスタQ7 ,Q8 と図4中の差動対トランジ
スタQ1 ,Q6 およびラッチトランジスタQ2 ,Q4
が、上記電流切替えの結果オン状態になったトランジス
タを通して、ベース・エミッタの蓄積電荷が放電されて
オフ状態からオン状態に遷移する(蓄積電荷放電)とい
う点で、それぞれ対応することなる。そして、いずれの
回路においても、回路の動作速度は、上記電流切替え段
階での、トランジスタのオフ状態からオン状態への遷移
時間と、蓄積電荷放電段階での、オフ状態にあるトラン
ジスタのベース・エミッタ間蓄積電荷の放電時間との和
であるという点で、二つの回路は同一である。従って、
図4に示す回路に対する図3の高速化技術を図に示す
回路に適用して、回路の高速化を計ることが可能であ
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、図3
に示す高速型のECL回路は、抵抗R3 ,R4 がない回
路(図4)に比べ、遅れ時間tdOUTを小さくできるとい
う長所を持つ。しかし、以下に示す欠点も合せ持ってい
る。すなわち、遅れ時間tdOUTが比較的大きな温度特性
を持つ点である。この遅れ時間における温度特性は、ト
ランジスタQ4 ,Q5 に流れる電流値が抵抗R3 ,R4
の温度係数により、変化してしまうことに起因する。以
下に、その説明を行う。
【0023】常温におけるトランジスタQ4 の遅れ時間
ON4 ,トランジスタQ5 の遅れ時間tON5 および出力
端子での遅れ時間tdOUTはそれぞれ、上述の通り、 tON4 =0.391nS tON5 =1.621nS tdOUT=tON4 +tON5 =2.012nS である。
【0024】次に、温度特性を考えるものとして、回路
のジャンクション温度Tj =125℃とすると、以下の
ようになる。すなわち、いま定電流源6の電流値I0
温度変化しないものとする。又、抵抗R3 ,R4 の温度
係数を例えば−3000ppm/℃とすると、温度Tj
=125℃での抵抗R3 ,R4 の抵抗値の変化の割合
は、常温での抵抗値に対し、 R3(125)/R3(25) =R4(125)/R4(25) ={1−3000×10-6×(125−25)}=0.7 (23) である。従って、温度Tj =125℃での放電電流I
dis4(125) は、抵抗R4 に流れる電流IR4(125) が式
(6)で示される常温での電流値IR4(25)に対し1/
0.7倍になるので、 Idis4(125) =I0 −IR4(25)/0.7 (24) =111.4μA (25) となる。よって、温度Tj =125℃での遅れ時間t
ON4(125)は、式(12)より、 tON4(125)=0.422nS (26) となる。
【0025】次に、温度Tj =125℃でのトランジス
タQ5 の遅れ時間tON5(125)を考える。トランジスタQ
5 の温度Tj =125℃でのコレクタ電流I
C5(125) は、 IC5(125) =I0(125)−IR3(125) −IR4(125) (27) である。ここで、定電流源6の電流値I0(125)は温度変
化せず140μA一定であるのに対し、抵抗R3 ,R4
の電流値IR3(125) ,IR4(125) は抵抗体の温度特性に
より、上述のような影響を受ける。これにより、 IC5(125) =I0(125)−IR3(25)/0.7−IR4(25)/0.7 (28) =82.8μA (29) に減る。又、トランジスタQ5 のエミッタ内部抵抗r
e5(125) も温度特性によって変化し、 re5(125) =416.6Ω (30) に上昇する。よって、温度Tj =125℃におけるトラ
ンジスタQ5 での遅れ時間tON5(125)は、式(18)に
これ迄に得た値を代入して、 tON5(125)=2.618nS (31) となる。
【0026】これまでの議論から、温度Tj =125℃
での遅れ時間tdOUT(125) は、tdOUT(125)=t
ON4(125) ON5(125) =3.040nSとなって、温度
125℃での出力端子の遅れ時間tdOUT(125)は常温2
5℃での遅れ時間tdOUT(25)(=2.012nS)に比
べ、50%以上も遅くなってしまうことが分る。このよ
うな回路の温度上昇に伴う遅れ時間の悪化は、温度上昇
による抵抗値R 3 、R 4 の低下とそれによるトランジス
タQ 5 のコレクタ電流の減少、放電電流の減少、トラン
ジスタQ 5 のエミッタ内部抵抗r e5 の増大によるもの
であるので、図2に示す回路に、図3に示す回路の高速
化技術を適用した回路においても、同様に生じる。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明のECL回路は、
差動増幅回路の出力抵抗とトランジスタのコレクタ電極
との間にカスケード接続のトランジスタを挿入したEC
L回路において、前記差動増幅回路の差動トランジスタ
対を第1の差動トランジスタ対とし、エミッタ電極が前
記第1の差動トランジスタ対と共通接続された第2の差
動トランジスタ対を設け、その第2の差動トランジスタ
対のコレクタ電極各各を前記第1の差動トランジスタ対
の逆相となるコレク電極各各に接続すると共に、前記第
2の差動トランジスタ対のエミッタ面積を前記第1の差
動トランジスタ対のエミッタ面積よりも小さくしたこと
を特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施
の形態によるECL回路の回路図である。図1を参照し
て、図3に示すECL回路と同一条件にするため、トラ
ンジスタQ8 のコレクタ接合容量CBE8を放電する電流
dis8を120μAに設定する。電源電圧VCC=5V、
バイアス電源7の電圧V7 =1.5V一定として、本実
施形態の動作速度を計算する。
【0029】一般に、トランジスタQ6 のコレクタ電流
C6とトランジスタQ10のコレクタ電流IC10 との比
は、エミッタ面積の比のみによって決る。すなわち、そ
れぞれのトランジスタのエミッタ面積をAE6,AE10
して、 IC6:IC10 =AE6:AE10 (33) である。従って、 I0 =IC6+IC10 =140μA (34) において、AE6:AE10 =6:1とすると、 IC6=120μA (35) IC10 =20μA (36) となる。
【0030】トランジスタQ8 での遅れ時間tON8 は、
式(12)より、tON8 =CBE8 ・ΔVBE8 /Idis8t2
で表される。時刻t1 において、入力端子2の電圧V2
=Lレベル、入力端子3の電圧V3 =Hレベルであると
すると、式(14)より、 VBE8t1 =0.720V である。同様にして、時刻t2 において、入力端子2の
電圧V2 =Hレベル、入力端子3の電圧V3 =Lレベル
であるとすると、 VBE8t2 =0.673V となる。従って、式(13)より、 ΔVBE8 =0.047V となる。
【0031】又、Idis8=120μAであるから、常温
におけるトランジスタQ8 での遅れ時間tON8 は、式
(12)より、 tON8 =0.391nS である。
【0032】これ迄の議論で、本実施の形態におけるト
ランジスタQ8 での遅れ時間tON8は、図3に示す従来
の高速型の回路におけると同等であることが分る。
【0033】次に、差動増幅回路を構成するトランジス
タQ6 での遅れ時間tON6 を、従来のECL回路におけ
る同様にして、求める。入力端子2がLレベル、入力端
子3がHレベルのとき、定電流源6の定電流I0 は、 I0 =IC6+IC10 (38) で表される。
【0034】そこで、トランジスタQ6 での遅れ時間t
ON6 を考える。ここに、式(35)で得られたIC6=1
20μAを代入すると、常温でのトランジスタQ6 のエ
ミッタ内部抵抗re6として、re6=215.6Ωを得
る。また、トランジスタQ6 のベース・エミッタ接合容
量CBE6 =1pFとすると、トランジスタQ6 での遅れ
時間tON6 は、式(18)より、 tON6 =1.355nS (39) を得る。
【0035】以上より、常温における出力端子4,子5
での遅れ時間tdOUTは、図3に示す従来の高速型ECL
回路におけると同様に、 tdOUT=tON8 +tON6 =1.746nS となる。
【0036】本実施の形態では、定電流源6の電流をI
0 =140μAと従来の回路と同じ条件にしたとき、遅
れ時間tdOUTは、{(2.012−1.746)/2.
012}×100=13.2%小さくなっている。換言
すれば、図3に示す従来のECL回路と同じ遅れ時間t
dOUTにするのであれば、定電流源電流I0 を13.2%
少くでき、低消費電力化を図れる。これは、図3に示す
従来のECL回路では、ラッチ動作を行わせるために電
流経路を三つの電流に分割せざるを得ないのに対し、本
発明では二つの経路に分割するだけですむからである。
つまり、同じ能力の定電流源を備えているとして、本発
明の方が機能が少い分効率的に電流を流すことができ
て、高速度化される。換言すれば、低消費電力化され
る。
【0037】次に、本実施の形態において、温度変化に
よる動作速度の変化を考察する。図1において、ジャン
クション温度Tj =125℃とする。このとき、 I0(125)=IC6(125) +IC10(125) (40) である。
【0038】ここで、定電流源電流I0 には温度変化が
ないものとし、140μA一定であるとする。すると、 IC6(125) =120μA (41) と、温度に拘らず一定となる。したがってトランジスタ
6 のエミッタ内部抵抗re6の温度特性のみが作用す
る。温度Tj =125℃におけるトランジスタQ6での
遅れ時間tON6(125)は、式(18)より、tON6(125)
1.806nSとなる。
【0039】又、トランジスタQ8 に流れる電流は、式
(41)より温度による変化を持たないので、温度Tj
=125℃のときも、 tON8(125)=0.391nS (42) となる。
【0040】以上の結果、温度125℃における遅れ時
間tdOUT(125) は、 tdOUT(125) =tON6(125)+tON8(125)=1.806+
0.391=2.197nSとなる。
【0041】これ迄の議論により、常温のときと温度T
j =125℃のときとで、遅れ時間の変化の割合は、従
来のECL回路と本実施の形態の回路とでそれぞれ、表
1のようになる。
【0042】
【表1】
【0043】表1を参照すると、微少電流経路をトトラ
ンジスタQ9 ,Q10で構成している本実施の形態の回路
の方が、抵抗R3 ,R4 (図4参照)で構成している従
来のECL回路より、温度変化による遅れ時間の変化が
小さいことが、分る。
【0044】本実施の形態では、微小電流を流すのに、
温度によってその絶対値が変ってしまう抵抗素子を使わ
ずに、トランジスタを用いている。エミッタ面積を違え
た二種類のトランジスタを組み合せることにより常時微
小電流を流しているので、電流値はエミッタ面積によっ
てのみ決定される。このように構成すると、温度変化が
あっても一つの回路内のトランジスタは同じ温度変化を
するので、温度によるトランジスタQ6 のコレクタ電流
C6の変化は無い。従って、温度による遅延の変化は、
微少電流経路を抵抗で構成する場合に比べ、非常に小さ
い。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
温度による動作速度の低下が、従来のECL回路に比べ
て非常に小さいECL回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるECL回路の回路
図である。
【図2】従来の技術によるECL回路の一例の回路図で
ある。
【図3】従来の技術によるECL回路の他の例の回路図
である。
【図4】従来の技術によるECL回路の更に他の例の回
路図である。
【符号の説明】
1 電源端子 2,3 入力端子 4,5 出力端子 6 定電流源 7 バイアス電源 8,9 入力端子 10 グランド端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H03K 19/086

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 差動増幅回路の各各の出力抵抗と差動対
    をなす各各のトランジスタのコレクタ電極との間に個別
    カスケード接続のトランジスタを挿入し、各各のカス
    ケード接続のトランジスタのベース電極に共通のバイア
    ス電圧を与えるECL回路において、差動増幅回路の差動対をなす各各のトランジスタに、エ
    ミッタ面積が差動対をなすトランジスタより小なるトラ
    ンジスタを、電流のバイパスをなすように並列に設け、 差動対をなすトランジスタ及び前記バイパスをなすトラ
    ンジスタのベース電極に、外部からの入力信号を、差動
    対をなすトランジスタどうしで互いに逆相であると共
    に、差動対をなすトランジスタとバイパスをなすトラン
    ジスタとで互いに逆相となるように入力する ことを特徴
    とするECL回路。
  2. 【請求項2】 第1乃至6のトランジスタから第1,第
    3,第5及び第6のトランジスタを選び、前記第3,第
    5のトランジスタ各各のエミッタ面積を同一とし、前記
    第1,第6のトランジスタ各各のエミッタ面積を前記第
    3,第5のトランジスタのエミッタ面積よりも小さい同
    一の面積とすると共に、前記第1,第3,第5及び第6
    のトランジスタのエミッタ電極を共通接続し、 前記第1,第3,第5及び第6のトランジスタの共通接
    続されたエミッタ電極を、定電流源を介して、第1電位
    の電源電位供給線に接続し、 前記第3のトランジスタのコレクタ電極と前記第6のト
    ランジスタのコレクタ電極とを共通接続すると共に第2
    のトランジスタのエミッタ電極に接続し、 前記第1のトランジスタのコレクタ電極と前記第5のト
    ランジスタのコレクタ電極とを共通接続すると共に第4
    のトランジスタのエミッタ電極に接続し、 前記第2のトランジスタのコレクタ電極を第1の抵抗素
    子を介して第2電位の電源電位供給線に接続し、前記第
    4のトランジスタのコレクタ電極を第2の抵抗素子を介
    して前記第2電位の電源電位供給線に接続し、 前記第2のトランジスタのベース電極と前記第のトラ
    ンジスタのベース電極とを共通接続して、第3電位の電
    源電位供給線に接続し、 前記第1のトランジスタのベース電極と前記第3のトラ
    ンジスタのベース電極とを共通接続して、第1の入力端
    子に接続すると共に、前記第5のトランジスタのベース
    電極と前記第6のトランジスタのベース電極とを共通接
    続して、第2の入力端子に接続し、 前記第2のトランジスタのコレクタ電極を第1の出力端
    子に接続すると共に、前記第4のトランジスタのコレク
    タ電極を第2の出力端子に接続したことを特徴とするE
    CL回路。
JP8105598A 1996-04-25 1996-04-25 Ecl回路 Expired - Fee Related JP2806874B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8105598A JP2806874B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 Ecl回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8105598A JP2806874B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 Ecl回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09294068A JPH09294068A (ja) 1997-11-11
JP2806874B2 true JP2806874B2 (ja) 1998-09-30

Family

ID=14411940

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8105598A Expired - Fee Related JP2806874B2 (ja) 1996-04-25 1996-04-25 Ecl回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2806874B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002344304A (ja) 2001-05-15 2002-11-29 Fujitsu Ltd 差動アンプ回路および半導体集積回路装置
EP1855380B1 (en) * 2005-02-28 2013-10-02 Fujitsu Ltd. Current controlled oscillator

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09294068A (ja) 1997-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05121973A (ja) 増幅器
JP2758594B2 (ja) チャージポンプ回路
WO1984002622A1 (en) Comparator circuit having reduced input bias current
CN113741610B (zh) 一种基准电压电路及芯片
JP2909382B2 (ja) 集積回路
JPH06268507A (ja) 入力回路
JP2806874B2 (ja) Ecl回路
TW201214952A (en) Differential amplifier
EP1422588A1 (en) Constant voltage power supply
JP2000268309A (ja) 書き込み電流駆動回路
JPH10126223A (ja) モノリシックmos−sc回路
JP3462952B2 (ja) 中間電位発生回路
EP0435335B1 (en) Transistor circuit and level converting circuit
KR100218197B1 (ko) 전류거울회로
JPS59178014A (ja) 発振回路
JP2981279B2 (ja) 入出力回路
JP2774120B2 (ja) 増幅回路配置
JP3166681B2 (ja) アクティブフィルタおよびアクティブフィルタ用集積回路
KR20000013815A (ko) 적분기 입력회로
JP3113420B2 (ja) Gm−Cフィルタ
JP2956609B2 (ja) バイポーラ・マルチプライヤ
JPH09116349A (ja) 演算増幅器
JP2737729B2 (ja) Ecl回路
JPH07105710B2 (ja) 論理回路
JPH09307379A (ja) Agc回路

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980623

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070724

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080724

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090724

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100724

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100724

Year of fee payment: 12

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100724

Year of fee payment: 12

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110724

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110724

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120724

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120724

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130724

Year of fee payment: 15

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees