JP2806545B2 - 自動変速機の変速制御方法 - Google Patents

自動変速機の変速制御方法

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JP2806545B2
JP2806545B2 JP1060325A JP6032589A JP2806545B2 JP 2806545 B2 JP2806545 B2 JP 2806545B2 JP 1060325 A JP1060325 A JP 1060325A JP 6032589 A JP6032589 A JP 6032589A JP 2806545 B2 JP2806545 B2 JP 2806545B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、自動変速機の変速制御方法に関するもので
あって、とくに目標ギヤ位置の設定方法に関するもので
ある。
[従来の技術] 一般に自動変速機においては、エンジントルクを自動
的に変速するためにトルクコンバータが設けられ、さら
に変速範囲を広げるために、プラネタリギヤ列等で構成
される機械式の補助変速機が設けられる。従来このよう
な自動変速機に対しては、車速に対応する油圧を出力す
るガバナバルブと、エンジン負荷に対応する油圧を出力
するスロットバルブと、上記両油圧の差に応じて補助変
速機をシフトアップまたはシフトダウンするシフトバル
ブとを備えた油圧制御式の変速制御装置が設けられてい
た。
しかし、このような油圧制御式の変速制御装置を備え
た従来の自動変速機では、補助変速機が車速とエンジン
負荷とのみによって画一的にシフトされるだけなので、
車速、エンジン負荷以外の要素を考慮したり、あるいは
運転者の要求に応じて変速特性を変えたりするといった
きめ細かな変速制御ができない。
そこで、吸気量、スロットル開度、車速、冷却水温等
を検出する各種センサを設け、これらのセンサの出力を
マイクロコンピュータで構成されるコントロールユニッ
トに入力し、予めコントロールユニット内のROMに記憶
された変速マップに従って変速制御を行うようにし、さ
らに異なるモードを有する複数の変速マップを設け、走
行状態あるいは運転者の要求等に応じて上記マップを切
り替え、きめ細かな変速制御を行えるようにした電子制
御式自動変速機が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、上記電子制御式自動変速機では各モード毎
にマップを作成しなければならないが、マップを記憶す
るROMの容量には限りがあるので、マップの数をそれほ
ど増やすことができない。このため、設定できるモード
数は2〜3に限られ、実際には車速とエンジン負荷とを
パラメータとするマップを、出力を重視するパワーモー
ドと燃費性能を重視するエコノミーモードとの2つのモ
ードで設定して、これらを切り替えているのが実状であ
る(例えば、特開昭59−134338号公報参照)。
また、マップを作成する際の各マップの変速ポイント
の決定作業が容易ではないので、マップ開発にかなりの
期間を要し、これが新車開発における開発期間短縮のネ
ックとなっているといった問題がある。
さらに、マップの検索によってギヤ位置を決定する関
係上、同一変速段のシフトアップ位置とシフトダウン位
置とのずれ(いわゆるヒステリシス)を設ける必要があ
るが、このヒステリシスの幅を小さく設定すると変速ポ
イント近傍の運転領域で走行する場合には変速が頻繁に
起こり、その度に変速ショックが生じるといった問題が
あり、一方ヒステリシスの幅を大きく設定すると、変速
操作が遅れ気味となるので走行性あるいは燃費性能が低
下するといった問題がある。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであ
って、コントロールユニット内のROMを大容量化する必
要なしに、走行状態あるいは運転者の要求に応じてきめ
細かい変速制御を行うことができ、走行性、燃費性能等
の向上を図ることができる自動変速機の変速制御方法を
提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達すべくなされた本発明の第1の態様
は、変速機に要求される性能を示す評価関数を複数設定
し、ギヤ比毎に各評価関数の関数値を演算し、さらにギ
ヤ比毎に各評価関数の関数値の総合評価値を算出し、こ
れらの総合評価値の中で評価が最良となったものに対す
るギヤ比を目標ギヤ比に設定して自動変速機を制御する
ようになっている自動変速機の変速制御方法において、
評価関数がエンジン騒音による不快感を示す関数を含む
ことを特徴とするものである。
本発明の第2の態様は、変速機に要求される性能を示
す評価関数を複数設定し、ギヤ比毎に各評価関数の関数
値を演算し、さらにギヤ比毎に各評価関数の関数値の総
合評価値を算出し、これらの総合評価値の中で評価が最
良となったものに対するギヤ比を目標ギヤ比に設定して
自動変速機を制御するようになっている自動変速機の変
速制御方法において、評価関数が、エンジン騒音による
不快感を示す関数、加速不足による不快感を示す関数、
燃費による不快感を示す関数及び変速ショックによる不
快感を示す関数であることを特徴とするものである。
本発明の第3の態様は、第2の態様にかかる自動変速
機の変速制御方法において、エンジン騒音による不快感
を示す上記関数がエンジン回転数を独立変数とする関数
であり、加速不足による不快感を示す上記関数がスロッ
トル開度と車速と予想加速度とを独立変数とする関数で
あり、燃費による不快感を示す上記関数が予想吸気量を
独立変数とする関数であり、変速ショックによる不快感
を示す上記関数が現在のシフト位置と目標シフト位置と
前回変速してからの経過時間とを独立変数とする関数で
あることを特徴とするものである。
本発明の第4の態様は、第2又は第3の態様にかかる
自動変速機の変速制御方法において、総合評価値が、各
評価関数の関数値の総和であらわされ、該総和が小さい
ときほど上記評価が良好とされることを特徴とするもの
である。
本発明の第5の態様は、変速機に要求される性能を示
す評価関数を複数設定し、ギヤ比毎に各評価関数の関数
値を演算し、さらにギヤ比毎に各評価関数の関数値の総
合評価値を算出し、これらの総合評価値の中で評価が最
良となったものに対するギヤ比を目標ギヤ比に設定して
自動変速機を制御するようになっている自動変速機の変
速制御方法において、評価関数が変速ショックによる不
快感を示す関数を含むことを特徴とするものである。
[発明の作用・効果] 本発明の第1〜第5の態様にかかる変速制御方法によ
れば、いずれも、基本的には次のような作用・効果を奏
する。すなわち、変速制御は複数の評価関数に従って行
なわれ、これらの評価関数はROMに記憶されるが、各評
価関数は数個の定数をもつだけなので、これらを記憶す
るためのROMのメモリ容量は、マップを記憶する場合に
比べて非常に少なくてすむ。また、各評価関数の定数を
切り替えるだけで各種モードを設定することができるの
で、わずかなメモリ容量で多数のモードを記憶すること
ができる。このため、限られらROMのメモリ容量内に多
数の評価関数とモードとを記憶させることができ、運転
状態あるいは運転者の要求等の多数の要素を考慮するこ
とができる。
そして、現在の走行状態において変速機を各ギヤ比に
セットしたと仮定した場合の変速機の各種性能、例えば
騒音、燃費、加速、変速頻度等が、夫々ギヤ比毎に各評
価関数を用いて共通の評価基準をもつ関数値(評価要
素)としてあらわされる。そして、各ギヤ比毎に例えば
各関数値の和を求めるなどして総合評価値が演算され、
これらの総合評価値の中で評価が最も良いもの(運転者
が最も満足するもの)に対応するギヤ比が変速機の目標
ギヤとして採用される。したがって、変速機の各種性能
を総合的に考慮して、車両の運転状態が最も良好となる
ようなギヤ比(シフト位置)に変速機がシフトされるの
で、走行性、燃費性能、加速性、騒音等を総合的に良好
に保持することができる。
また、各関数値の演算は、評価関数にいくつかの入力
情報を代入するだけでよいので、マップを用いる場合の
ような検索動作を必要としない。したがって、変速制御
が高速化されるので、制御の応答性を高めることができ
る。
さらに、評価関数中の定数を変更するだけで新たなモ
ードを設定することができるので、変速制御システムの
開発が迅速化され、新車の開発期間を短縮することがで
きる。
そして、とくに本発明の第1の態様によれば、評価関
数がエンジン騒音による運転者の不快感を示す関数を含
むので、運転者に騒音による不快感が生じない変速制
御、すなわち運転者の要求に合致する良好な変速制御が
行なわれる。
本発明の第2の態様によれば、評価関数が、エンジン
騒音、加速不足、燃費及び変速ショックによる運転者の
不快感を示す関数とされるので、運転者に上記各事項に
起因する不快感が生じない変速制御、すなわち運転者の
要求に合致する良好な変速制御が行なわれる。
本発明の第3の態様によれば、基本的には本発明の第
2の態様にかかる自動変速機の変速制御方法の場合と同
様の作用・効果が得られる。さらに、各評価関数が該評
価関数を左右する所定の要因を独立変数する関数とされ
るので、該変速制御の精度が高められる。
本発明の第4の態様によれば、基本的には本発明の第
2又は第3の態様にかかる自動変速機の変速制御方法の
場合と同様の作用・効果が得られる。さらに、総合評価
値が、各評価関数の関数値の総和であらわされ、該総和
の大小でもって上記評価が行われるので、該評価の演算
が容易である。
また、本発明の第5の態様によれば、評価関数が変速
ショックによる運転者の不快感を示す関数を含むので、
運転者に変速ショックによる不快感が生じない変速制
御、すなわち運転者の要求に合致する良好な変速制御が
行われる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
第2図に示すように、6気筒V型エンジンVE(第1,第
2気筒#1,#2のみ図示)は、例えば第1気筒#1につ
いては、吸気弁1が開かれたときに独立吸気通路2から
燃焼室3内に吸気(混合気)を吸入し、この吸気をピス
トン4で圧縮して点火プラグ(図示せず)で着火燃焼さ
せ、排気弁5が開かれたときに排気ガスを独立排気通路
6に排出し、これに伴ってクランク軸7が回転するよう
になっている。なお、第2気筒#2についても第1気筒
#1と同様の構成となっており、また図示していないが
第3〜第6気筒についても同様の構成となっている。
そして各気筒に吸気を供給するために共通吸気通路11
が設けられ、この共通吸気通路11には上流から順に、吸
気中の浮遊塵を除去するエアクリーナ12と、吸気量を検
出するエアフローメータ13とが設けられている。
上記共通吸気通路11は分岐部14で、第1気筒#1と同
じバンク側の各気筒に吸気を供給する第1吸気通路15
と、第2気筒#2と同じバンク側の各気筒に吸気を供給
する第2空気通路16とに分岐している。第1吸気通路15
にはアクセルペダル10と連動して開閉される第1スロッ
トル弁17が介設され、第1吸気通路15の下流側端部は2
室で構成されるサージタンク18の第1室と連通してい
る。一方、第2吸気通路1にはリンク機構(図示せず)
を介して第1スロットル弁17と連動して開閉される第2
スロットル弁19が介設されている。第2吸気通路16の下
流側端部はサージタンク18の第2室と連通している。な
お、サージタンク18は中央の壁部21で第1,第2室に仕切
られ、この壁部21には両室の連通を制御する連通制御弁
22が設けられている。なお、本願発明の要旨に直接関係
しないので、詳しい説明は省略するが、高回転時には連
通制御弁22が開かれ、慣性効果による圧力波過給が行な
われるようになっている。上記サージタンク18には、対
応する各気筒に吸気を供給する独立吸気通路2が接続さ
れ、この独立吸気通路2には燃料噴射弁23が設けられて
いる。なお、アイドル時のアイドル吸気量を調節するた
めにアイドル吸気量調節手段24が設けられている。ま
た、各独立排気通路6は1つの共通排気通路25に集合さ
れ、この共通排気通路25には排気ガス浄化装置26が介設
されている。
また、エンジンVのトルクを自動的に変速して車輪側
に伝達するために自動変速機ATが設けられている。この
自動変速機ATは、クランク軸7のトルクをオイルを介し
て変速するトルクコンバータ29と、トルクコンバータ29
の出力トルクをさらに変速する機械式の補助変速機28と
で構成されている。上記補助変速機28は、コントロール
ユニット31からの信号に従って作動するソレノイドバル
ブ30によって4種のギヤ比(シフト位置)に切り替えら
れるようになっている。
そして、エンジンVE及び自動変速機ATの各種制御を行
うためにマイクロコンピュータで構成されるコントロー
ルユニット31が設けられ、このコントロールユニット31
は、吸気温度センサ32によって検出される吸気温、エア
フローメータ13によって検出される吸気量、スロットル
ポジションセンサ33によって検出されるスロットル開
度、水温センサ34によって検出される水温、O2センサ35
によって検出される排気ガス中のO2濃度、触媒温度セン
サ36によって検出される触媒温度、ディストリビュータ
37に対して設けられたクランク角センサ38によって検出
されるクランク角、イグニッションコイル39からの点火
信号、トルクコンバータ29に対して設けられたタービン
回転数センサ41によって検出されるタービン回転数、イ
ンヒビタスイッチ42からの変速監禁止信号、ブレーキペ
ダル43に対して設けられたストップランプスイッチ44に
よって検出されるブレーキ信号、アクセルペダル10に対
して設けられたキックダウンスイッチ46によって検出さ
れるキックダウンスイッチ信号、車速センサ47によって
検出される車速、スタータ信号、パワステアリングスイ
ッチ信号、エアコンスイッチ信号、電気負荷電気信号等
を入力情報として、所定の制御を行うようになってい
る。
以下、第1図に示すフローチャートに従って、本願発
明の要旨に直接関係する自動変速機ATの変速制御方法に
ついてのみ説明する。
ステップS1では、現在の車速Vspeedとスロットル開度
Tvoとに基づいて、ギヤ位置(シフト位置)iを1速〜
4速とした場合の、予想タービン回転数Nt(i)と予想
エンジン回転数Ne(i)と予想吸気量Qa(i)と予想加
速度Greal(i)とが、次の式1〜式4を用いて計算さ
れる。
Nt(i)=D(i)・Vspeed ……式1 Ne(i)=m1(Nt(i),Tvo) ……式2 Qa(i)=m2(Nt(i),Tvo) ……式3 Greal(i)=(D(i)・Qa(i)/Ne(i))・τ ……式4 ただし D(i)…i速におけるギヤ比 τ…走行抵抗 なお、上記のNe(i)とQa(i)とは、夫々所定の関
数m1とm2とを用いて算出されるが、関数m1,m2のかわり
に所定のマップを用いるようにしてもよい。このような
マップは比較的メモリ容量が小さいからである。
ステップS2では、ギヤ位置i(i=1〜4)毎に、4
つの不快感関数F1(i),F2(i),F3(i),F4(i)
の関数値と、これらの関数値の和F(i)とが、次の式
5〜式9を用いて計算される。なお、これらの不快感関
数は本願請求項1に記載された評価関数に相当し、関数
値の和F(i)は本願請求項1に記載された総合評価値
に相当する。
F1(i)=C1・f1(Ne(i)) ……式5 F2(i)=C2・f2(|(C21・Tvo+C22・Vspeed) −Greal(i)|) ……式6 F3(i)=C3・f3(Qa(i)) ……式7 F4(i)=C4・f4(i,j,t) ……式8 F(i)=Fl(i)+F2(i)+F3(i)+F4(i) ……式9 ただし、 i=1〜4 F1(i)…エンジン騒音による不快感 F2(i)…加速不足による不快感 F3(i)…燃費による不快感 F4(i)…変速ショックによる不快感 F(i)…総不快感 f1,f2,f3,f4…基本関数 C1,C2,C3,C4,C21,C22…定数 本実施例においては、自動変速機ATの性能を示す各評
価関数の共通の評価基準として運転者の不快感を用いて
いる。すなわち、走行状態が運転者の要求に合致すれば
運転者はその走行状態に満足するのであるから、走行状
態に関する各評価要素を運転者が好むか好まないかの度
合、すなわち不快感を基準にして統一的に評価すること
ができるからである。
そして、走行状態を示す評価要素として騒音と加速不
快感と燃費と変速ショックとを用いているが、これら以
外の評価要素を加えてもよいのはもちろんである。な
お、上記評価要素の1つである燃費による不快感とは、
燃料消費量が増加して燃料費がかさむことによる不快
感、すなわち燃費性能が低下することによって生じる不
快感を意味する。そして、上記の各評価要素は夫々運転
者に不快感を与えるが、各評価要素の不快感を全てなく
すことは不可能である。そこで、各評価要素を、式5〜
式8により共通の評価基準である不快感に換算し、4つ
の評価要素の不快感の和が最小となるようなギヤ位置に
補助変速機28をシフトするようにしている。このように
して、走行状態に対する運転者の満足度が最も大きくな
るギヤ位置にシフトされるようになっている。
具合的には、エンジン騒音による不快感F1(i)が式
5を用いて計算される。エンジン騒音はエンジン回転数
Ne(i)が高いほど大きくなるので、エンジン騒音によ
る不快感はエンジン回転数Ne(i)の関数としてあらわ
すようにしている。この不快感のエンジン回転数に対す
る基本関数f1は第3図に示すような特性に設定されてい
る。そして、不快感F1(i)は上記基本関数f1によって
算出された値に、定数C1を乗じて計算される。この定数
C1は、運転者の要求等に基づく各モード毎に異なる位置
が設定されており、モード選択はこれらの中から1つ定
数C1を選択することにより行なわれる。
加速不足による不快感F2(i)は式6を用いて計算さ
れる。式6の右辺において(C21,Tvo+C22・Vspeed)は
運転者の要求加速度をあらわし、Greal(i)は補助変
速機28をi速にセットした場合の実際の予想加速度をあ
らわす。したがって、これらの差が加速不足量をあらわ
すことになり、加速不足による不快感F2(i)は上記加
速不足量の関数としてあらわすようにしている。この不
快感の加速不足量に対する基本関数f2は第4図に示すよ
うな特性に設定されている。そして、不快感F2(i)は
上記基本関数f2によって算出された値に、定数C2を乗じ
て計算される。この定数C2は、C1と同様に運転者の要求
等に基づく各モード毎に異なる値が設定されている。
燃費による不快感F3(i)は式7を用いて計算され
る。燃費すなわち燃料消費量は吸気量Qa(i)にほぼ比
例するので、この不快感F3(i)は吸気量Qa(i)の関
数としてあらわすようにしている。この不快感の吸気量
Qa(i)に対する基本関数f3は第5図に示すような特性
に設定されている。そして、不快感F3(i)は上記異基
本関数f3によって算出された値に、定数C3を乗じて計算
される。この定数C3には、C1と同様に運転者の要求等に
基づく各モード毎に異なる値が設定されている。
変速ショックによる不快感F4(i)は式8を用いて計
算される。変速ショックは補助変速機28の変速が行なわ
れるたびに起こる。そして、現在のシフト位置と目標シ
フト位置とが異なる場合のみ変速が起こり、また一定時
間内の変速回数が多いときほど変速ショックの生じる頻
度が高くなるので、この不快感F4(i)は、現在のシフ
ト位置jと、目標シフト位置iと、前回変速してからの
経過時間tの関数としてあらわすようにしている。ここ
において、i=jのときには現在のシフト位置と目標シ
フト位置とが一致しており変速が生じることがないので
不快感は0となるようにしている。i≠jのときには、
この不快感の前回変速後の経過時間tに対する基本関数
f4は第6図に示すような特性に設定されている。そし
て、不快感F4(i)は上記基本関数f4によって算出され
た値に、定数C4を乗じて計算される(ただし、i=jの
場合はF4(i)=0となる)。この定数C4は、C1と同様
に運転者の要求等に基づく各モード毎に異なる値が設定
されている。なお、上記不快感関数F1,F2,F3,F4は非線
型であるが、これらを線型関数に設定してもよい。
そして、式9により各ギヤ位置(シフト位置)毎に、
各不快感の和、すなわち総不快感F(i)が計算され
る。
ステップS3では、総不快感F(i)が最小となるシフ
ト位置iが選択され、この選択されたギヤ位置がjに代
入される。そして、このフローチャートには示していな
いが、べつの制御ルーチンにより、補助変速機28が目標
ギヤ位置をjとして変速制御が行なわれる。
この後、制御ルーチンはステップS1に復帰して続行さ
れる。
なお、上記実施例のように不快感関数のみを用いて変
速制御を行うのではなく、従来のマップ検索方法を兼用
した制御方法を用いてもよい。本実施例のように、不快
感関数のみを用いて変速制御を行った場合、実際に使用
されるギヤ位置が不明瞭となるので、排出ガス規制をク
リアするのがやや難しくなる。このため、排出ガスが規
制される運転領域では、従来のマップ検索方法により変
速制御を行い、その他の領域では不快感関数に基づいて
変速制御を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明にかかる自動変速機の変速制御方法を
示すフローチャートである。 第2図は、自動変速機を備えた6気筒V型エンジンのシ
ステム構成図である。 第3図はエンジン騒音による不快感の基本関数のエンジ
ン回転数に対する特性を示す図である。 第4図は加速不足による不快感の基本関数の加速不足量
に対する特性を示す図である。 第5図は燃費による不快感の基本関数の吸気量に対する
特性を示す図である。 第6図は変速ショックによる不快感の基本関数の前回変
速後の経過時間に対する特性を示す図である。 VE……エンジン、AT……自動変速機、3……燃焼室、7
……クランク軸、13……エアフローメータ、23……燃料
噴射弁、28……補助変速機、29……トルクコンバータ、
31……コントロールユニット、33……スロットルポジシ
ョンセンサ、37……ディストリビュータ、38……クラン
ク角センサ、41……タービンセンサ、47……車速セン
サ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/24 F16H 63/40 - 63/48 B60K 41/00 - 41/28

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】変速機に要求される性能を示す評価関数を
    複数設定し、ギヤ比毎に各評価関数の関数値を演算し、
    さらにギヤ比毎に各評価関数の関数値の総合評価値を算
    出し、これらの総合評価値の中で評価が最良となったも
    のに対するギヤ比を目標ギヤ比に設定して自動変速機を
    制御するようになっている自動変速機の変速制御方法で
    あって、上記評価関数がエンジン騒音による不快感を示
    す関数を含むことを特徴とする自動変速機の変速制御方
    法。
  2. 【請求項2】変速機に要求される性能を示す評価関数を
    複数設定し、ギヤ比毎に各評価関数の関数値を演算し、
    さらにギヤ比毎に各評価関数の関数値の総合評価値を算
    出し、これらの総合評価値の中で評価が最良となったも
    のに対するギヤ比を目標ギヤ比に設定して自動変速機を
    制御するようになっている自動変速機の変速制御方法で
    あって、上記評価関数が、エンジン騒音による不快感を
    示す関数、加速不足による不快感を示す関数、燃費によ
    る不快感を示す関数及び変速ショックによる不快感を示
    す関数であることを特徴とする自動変速機の変速制御方
    法。
  3. 【請求項3】エンジン騒音による不快感を示す上記関数
    がエンジン回転数を独立変数とする関数であり、加速不
    足による不快感を示す上記関数がスロットル開度と車速
    と予想加速度とを独立変数とする関数であり、燃費によ
    る不快感を示す上記関数が予想吸気量を独立変数とする
    関数であり、変速ショックによる不快感を示す上記関数
    が現在のシフト位置と目標シフト位置と前回変速してか
    らの経過時間とを独立変数とする関数であることを特徴
    とする、請求項2に記載された自動変速機の変速制御方
    法。
  4. 【請求項4】上記総合評価値が、各評価関数の関数値の
    総和であらわされ、該総和が小さいときほど上記評価が
    良好とされることを特徴とする、請求項2又は請求項3
    に記載された自動変速機の変速制御方法。
  5. 【請求項5】変速機に要求される性能を示す評価関数を
    複数設定し、ギヤ比毎に各評価関数の関数値を演算し、
    さらにギヤ比毎に各評価関数の関数値の総合評価値を算
    出し、これらの総合評価値の中で評価が最良となったも
    のに対するギヤ比を目標ギヤ比に設定して自動変速機を
    制御するようになっている自動変速機の変速制御方法で
    あって、上記評価関数が変速ショックによる不快感を示
    す関数を含むことを特徴とする自動変速機の変速制御方
    法。
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