JP2802044B2 - 昇降ユニット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、重量物を昇降させる
ための昇降ユニットに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の昇降装置としては、例えば図１
０に示すような立体駐車場用のものがある。この装置
は、車両を地面から上の各階に引き上げたり、この車両
を降ろすために利用される。この図１０において、車両
積載用パレット１０１の右縁には２本の昇降チェーン１
０２が連結されている。これらの昇降チェーン１０２
は、各従動スプロケット１０３、及び各従動スプロケッ
ト１０４を介して各駆動スプロケット１０５に掛けら
れ、これらの駆動スプロケット１０５から垂れ下がって
いる。

【０００３】これらの昇降チェーン１０２の下端にはカ
ウンターウエイト１０６が連結されている。同様に、車
両積載用パレット１０１の左縁にも各昇降チェーン１０
７が連結されている。これらの昇降チェーン１０７は、
各従動スプロケット１０８、及び各従動スプロケット１
０９を介して各駆動スプロケット１１０に掛けられ、こ
れらの駆動スプロケット１１０から垂れ下がり、図示さ
れないカウンターウエイトに連結されている。

【０００４】各駆動スプロケット１０５、及び各駆動ス
プロケット１１０は、共通の駆動軸１１１の両側に固定
されている。この駆動軸１１１は、その両端を軸支され
ており、減速ギヤ付きのモータ１１２によってこの駆動
軸１１１が回動される。ここで、モータ１１２を作動さ
せて各駆動スプロケット１０５、及び各駆動スプロケッ
ト１１０を一方向に回転させると、これに伴って各昇降
チェーン１０２、及び各昇降チェーン１０７が駆動軸１
１１側へと引き込まれ、車両積載用パレット１０１が上
昇するとともに各カウンターウエイトが下降する。

【０００５】また、モータ１１２を逆転させて各駆動ス
プロケット１０５，１１０を逆方向に回転させると、こ
れに伴って各昇降チェーン１０２，１０７が引き出さ
れ、車両積載用パレット１０１が下降するとともに各カ
ウンターウエイトが上昇する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
装置では各カウンターウエイトを車両積載用パレットの
背後で昇降させており、これらのウエイトのスペースを
必要とする。このため、立体駐車場の占有面積に十分な
余裕を必要とした。

【０００７】そこで、この発明の課題は、カウンターウ
エイトを必要とせず、天井スペースを有効利用でき、小
型化に適した構造であり、小さな占有スペースで済む昇
降ユニットを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決する手段として、一対の駆動用スプロケットを水平
方向に並設してこれらの駆動用スプロケットに環状チェ
ーンを架け渡し、この環状チェーンに昇降チェーンを接
続してこの昇降チェーンを吊下げ用スプロケットに掛け
て垂れ下げ、各駆動用スプロケットの少なくとも一方を
駆動する昇降装置を２台１組として昇降装置の環状チェ
ーンが対向するようにこれらの昇降装置を並設し、それ
ぞれの昇降装置の昇降チェーンの下端を積載用パレット
の対向する各縁にそれぞれ接続し、各昇降装置を建造物
の天井に固定して成る昇降ユニットの構成としたのであ
る。

【０００９】

【作用】この発明の昇降ユニットによれば、昇降チェー
ンを環状チェーンに接続し、この昇降チェーンを吊り下
げ用スプロケットに掛けて垂れ下げ、この昇降チェーン
の下端を積載用パレットに連結している。各駆動用スプ
ロケットの一方を駆動して環状チェーンを一方向に回転
させるとこれに伴って昇降チェーンが環状チェーン側へ
引き込まれ、この昇降チェーンの下端と共に積載用パレ
ットが上昇する。また、環状チェーンを他方向に回転さ
せると昇降チェーンが引き出され、この昇降チェーンの
下端と共に積載用パレットが下降する。下降した積載用
パレットに自動車を搭載するとこれを上昇させ自動車を
吊り下げる。上記昇降装置は建造物天井に固定されてい
るから、積載用パレットは天井スペースを有効利用す
る。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
して説明する。図１及び図２は、この発明の一実施例の
全体概略構成を示しており、図１は斜視図、図２は側面
図である。この実施例では、第１昇降装置１及び第２昇
降装置２を２台１組で用いた昇降ユニットを示してい
る。これらの装置１，２は、略同様の構成であるが、ブ
レーキ並びに減速ギヤ付きモータ３を第１昇降装置１だ
けに設け、第２昇降装置２に設けていない点が異なる。

【００１１】これらの装置１，２は、それぞれの筐体枠
４を有している。筐体枠４には各第１駆動用スプロケッ
ト５，５、各第２駆動用スプロケット６，６、第１吊り
下げ用スプロケット７，７、各第２吊り下げ用スプロケ
ット８，８、各折り返し用スプロケット９，９、各ウエ
イト用スプロケット１０，１０、各張力用スプロケット
１１，１１が軸支されている。図３からも明らかなよう
に、これらのスプロケットは、２枚重ねで軸支されてお
り、これらのスプロケットに２本のチェーン１２，１３
が並行に架け渡されている。

【００１２】一方のチェーン１２は、その下端を図２上
での車両積載用パレット１４の左側に接続され、第１吊
り下げ用スプロケット７及び第２吊り下げ用スプロケッ
ト８を介して折り返し用スプロケット９に至っている。
また、他方のチェーン１３は、その下端を車両積載用パ
レット１４の右側に接続され、第２吊り下げ用スプロケ
ット８を介して折り返し用スプロケット９に至ってい
る。これらのチェーン１２，１３は、各折り返し用スプ
ロケット９，９から各第１駆動用スプロケット５，５を
介して各第２駆動用スプロケット６，６へと導かれ、各
第１駆動用スプロケット５，５と各第２駆動用スプロケ
ット６，６間に架け渡されている。

【００１３】さらに、これらのチェーン１２，１３は、
各折り返し用スプロケット９，９と各ウエイト用スプロ
ケット１０，１０に掛けられ、これらのチェーン１２，
１３の一端がそれぞれの連結金具１５，１５に接続され
ている。これらの連結金具１５，１５は、各チェーン１
２，１３の途中に固定されている。図４には、連結金具
１５が拡大して示されている。この連結金具１５は、チ
ェーンの１つの駒の側板１６を変形してこの側板１６に
突起片１６ａを設け、この突起片１６ａにＬ字形金具１
７を接続し、このＬ字形金具１７にボルト１８を通して
このボルト１８の頭部１８ａにチェーンの一端のピン１
９を通し、このボルト１９をチェーンの一端に連結した
ものである。

【００１４】各連結金具１５，１５によって各チェーン
１２，１３の一端が該各チェーン１２，１３の途中に接
続されているので、これらのチェーン１２，１３は、各
第１駆動用スプロケット５，５と各第２駆動用スプロケ
ット６，６間に架け渡されるそれぞれの環状部分（以
下、各環状チェーン１２ａ，１３ａと称す）と、各連結
金具１５，１５から車両積載用パレット１４に至るそれ
ぞれの吊り下げ用部分（以下、各吊り下げ用チェーン１
２ｂ，１３ｂと称す）に区分される。

【００１５】各ウエイト用スプロケット１０，１０には
テンションウエイト２０が吊り下げられている。このテ
ンションウエイト２０は、各環状チェーン１２ａ，１３
ａに対して張力を与え、これらの環状チェーンが各スプ
ロケットから外れ難くする役目をする。駆動軸２１の両
端には第１及び第２昇降装置１，２の各第２駆動用スプ
ロケット６，６が固定されている。第１昇降装置１側で
この駆動軸２１の一端がブレーキ並びに減速ギヤ付きモ
ータ３の出力軸に接続されている。

【００１６】このモータ３を作動させて駆動軸２１を回
動させると、第１及び第２昇降装置１，２の両方におい
て各第２駆動用スプロケット６，６が回動し、これに伴
って各環状チェーン１２ａ，１３ａが回動する。このよ
うに駆動軸２１を第１及び第２昇降装置１，２によって
共用しているので第１昇降装置１の各環状チェーンと、
第２昇降装置２の各環状チェーンが相互に同期して回動
する。

【００１７】図１及び図２に示す状態では、各連結金具
１５，１５が各第１駆動用スプロケット５，５の近傍に
移動されており、各吊り下げ用チェーン１２ｂ，１３ｂ
が筐体枠４の内側に引き込まれ、車両積載用パレット１
４が筐体枠４の近傍まで上昇している。モータ３を作動
させて各環状チェーン１２ａ，１３ａを回転させ、各連
結金具１５，１５を各第２駆動用スプロケット６，６の
方へと移動させていくと、各吊り下げ用チェーン１２
ｂ，１３ｂが筐体枠４から引き出されていく。これに伴
い車両積載用パレット１４が下降していく。この車両積
載用パレット１４が所定の位置まで下降すると下限スイ
ッチ２２がオンとなり、これに応答してモータ３が停止
される。

【００１８】図５及び図６には下限スイッチ２２が示さ
れている。この下限スイッチ２２は揺動ピン２３を備え
ており、この揺動ピン２３が矢印Ａの方向に揺動する
と、この下限スイッチ２２がオンとなる。一方、環状チ
ェーン１３ａの１つの駒の側板２４が変形され、この側
板２４に接触ピン２５が取り付けられ、この接触ピン２
５が水平方向に突設されている。各環状チェーン１２
ａ，１３ａを回転させると、環状チェーン１３ａの１つ
の駒の接触ピン２５が移動し、車両積載用パレット１４
が所定の位置まで下降すると、この接触ピン２５が下限
スイッチ２２の揺動ピン２３に接触して、この下限スイ
ッチ２２がオンとなる。この結果、車両積載用パレット
１４が所定の位置で停止する。

【００１９】さて、このような２台１組の第１及び第２
昇降装置１，２（以下、昇降ユニット３１と称す）は、
例えば図７、図８及び図９に示すような駐車場に適用さ
れる。図７は平面図、図８は図７のＩ−Ｉの範囲で見た
正面図、図９は図８のII−IIの範囲で見た側面図であ
る。この駐車場では、図７に示すように２本の柱３２の
間に１つの駐車エリア３３を定めており、この駐車エリ
ア３３内で地上には７台の自動車３４，３５を駐車する
ことができる。これらのうちの４台の自動車３４は、地
面に直接接している。また、３台の自動車３５は、３枚
の移動用パレット３６に載せられている。

【００２０】移動用パレット３６の底には図８及び図９
に示すように２本の車軸３７が軸支されている。これら
の車軸３７の両端には各車輪３８が固定されている。地
上には２本のレール３９が敷設されており、移動用パレ
ット３６の各車輪３８が２本のレール３９の上に載って
いる。また、移動用パレット３６の各車軸３７の一方に
は駆動用プーリ４１が固定され、この上方近傍に走行用
モータ４２が配置され、駆動用プーリ４１と走行用モー
タ４２のプーリ４３間にチェーンが架け渡されている。

【００２１】走行用モータ４２を作動させると一方の車
軸３７が駆動され、車軸３７が従動して他方の各車輪３
８が回動し、移動用パレット３６が各レール３９に沿っ
て移動する。各移動用パレット３６の上方において、４
台の昇降ユニット３１が天井に並設されている。これら
の昇降ユニット３１を天井に固定するために昇降ユニッ
ト３１の第１及び第２昇降装置１，２が各取り付け金具
４５によって天井の梁４６に固定されている。これらの
昇降ユニット３１の車両積載用パレット１４には４台の
自動車４７が搭載されている。

【００２２】各レール３９が敷設されている場所では、
４台の自動車の駐車スペースに３枚の移動用パレット３
６が配置されているので、１台分の駐車スペースが空
く。これに対してこの場所の上方には４台の昇降ユニッ
ト３１が配置されているので、天井側には空きスペース
が無い。これは、地上側の各移動用パレット３６を移動
させれば天井側の各昇降ユニット３１のいずれの下方で
も空きの駐車スペースを確保できるようにし、各昇降ユ
ニット３１のいずれであっても常に自動車４７の昇降並
びに出し入れを可能にするためである。

【００２３】ここで、駐車エリア３３では地上側に７台
の自動車３４，３５、天井側に４台の自動車４７、合計
１１台の自動車を駐車することができる。これに対して
天井のスペースを利用しなかった場合は、各レール３９
が敷設されている場所に仮に４台の自動車を駐車したと
しても合計８台の自動車しか駐車することができない。

【００２４】また、昇降ユニット３１の各昇降装置１，
２は、図１及び図２から明らかなようにカウンターウエ
イトを持たない。このため、従来の装置と比較するとこ
の昇降ユニット３１の設置スペースは明らかに狭い。こ
れにより自動車の走路４８の上方であっても一点鎖線で
示すように各昇降ユニット３１を設置することが可能に
なる。すなわち、天井側のスペースを有効に利用してこ
れまでの駐車台数を大幅に上回ることができる。

【００２５】なお、天井側の各昇降ユニット３１を利用
する場合、地上側よりも出し入れを行う機会が少ない各
自動車を選択してこれらの自動車をそれぞれの昇降ユニ
ット３１に搭載することが好ましい。例えば、大きな店
舗や会社の駐車場であればこれらの昇降ユニット３１を
従業員や社員の自動車に専用のものとし、地上側を客の
自動車専用とする。

【００２６】一方、昇降ユニット３１の各昇降装置１，
２においては各第１駆動用スプロケット５，５と各第２
駆動用スプロケット６，６間に各環状チェーン１２ａ，
１３ａが水平に細長く架け渡されている。このような構
造であるから各環状チェーン１２ａ，１３ａが高さ方向
に嵩張らず、各昇降装置１，２の筐体枠４を低くするこ
とができる。

【００２７】このようにカウンターウエイトを持たない
ことや筐体枠４の低さは、この昇降ユニット３１の小型
化やこの昇降ユニット３１の設置スペースの節減を可能
にする。しかも昇降ユニットのための柱が不要なので、
既設の駐車場においてもこの昇降ユニット３１の設置を
容易に行え、駐車スペースを簡単に増設することが可能
である。

【００２８】なお、この実施例では、テンションウエイ
トによって張力を環状チェーンに与えているが、各種の
バネによって張力を与えても構わない。また、チェーン
の接続方法、チェーンの本数、各スプロケットの配置、
モータの配置等は、適宜に設定すれば良い。さらに、第
１昇降装置１の各環状チェーンと、第２昇降装置２の各
環状チェーンを同期させるために駆動軸２１を共通化し
ているが、第１及び第２昇降装置１，２の駆動軸を分割
してこれらの装置の両方に駆動用の各モータを設け、こ
れらのモータを同期運転してもよい。

【００２９】

【効果】以上説明したように、この発明の昇降ユニット
では、昇降チェーンを環状チェーンに接続し、この昇降
チェーンを吊り下げ用スプロケットに掛けて垂れ下げ、
環状チェーンの回転によって昇降チェーンを昇降させる
ようにした昇降装置を建物天井に２台１組で固定して設
けている。このような構造であるからカウンターウエイ
トを必要とせず、天井スペースを有効に利用でき、ユニ
ットの小型化を図ることができ、小さなスペースへの設
置が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例である昇降ユニットを示す
斜視図

【図２】図１の昇降ユニットを示す側面図

【図３】図１の昇降ユニットの各スプロケットを拡大し
て示す図

【図４】図１の昇降ユニットの連結金具を拡大して示す
図

【図５】図１の昇降ユニットの下限スイッチを拡大して
示す正面図

【図６】図５の下限スイッチを示す側面図

【図７】図１の昇降ユニットを適用した駐車場を示す平
面図

【図８】図７のＩ−Ｉの範囲で見た正面図

【図９】図８のII−IIの範囲で見た側面図

【図１０】従来の装置を例示する斜視図

【符号の説明】

１ 第１昇降装置 ２ 第２昇降装置 ３ モータ ４ 筐体枠 ５，６，７，８，９，１０，１１ スプロケット １２，１３ チェーン １４ 車両積載用パレット １５ 連結金具 ２０ テンションウエイト ２１ 駆動軸

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の駆動用スプロケットを水平方向に
   並設してこれらの駆動用スプロケットに環状チェーンを
   架け渡し、この環状チェーンに昇降チェーンを接続して
   この昇降チェーンを吊下げ用スプロケットに掛けて垂れ
   下げ、各駆動用スプロケットの少なくとも一方を駆動す
   る昇降装置を２台１組として昇降装置の環状チェーンが
   対向するようにこれらの昇降装置を並設し、それぞれの
   昇降装置の昇降チェーンの下端を積載用パレットの対向
   する各縁にそれぞれ接続し、各昇降装置を建造物の天井
   に固定して成る昇降ユニット。
2. 【請求項２】 各昇降装置の環状チェーンを相互に同期
   して回動させることを特徴とする請求項１に記載の昇降
   ユニット。
3. 【請求項３】 各駆動用スプロケットに掛け渡された環
   状チェーンに張力を付与する張力付与手段を備えたこと
   を特徴とする請求項１に記載の昇降ユニット。