JPH0826683B2 - パレットの昇降機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、立体駐車装置や立体倉
庫等において用いられ、車両や貨物等を載せるパレット
の昇降機構に関する。

【０００２】

【従来技術】立体駐車装置や立体倉庫等において用いら
れるパレットの昇降機構には、パレットが昇降するスペ
ースの上方後部、すなわち機枠の天井後部に回転自在に
軸支され、左右の各端部にスプロケットを一対づゝ取付
けた駆動軸と、駆動軸を回転駆動するモータと、パレッ
トが昇降するスペースの上方前部、すなわち機枠の天井
前部の左右に軸支されるスプロケットと、駆動軸の第１
のスプロケットと上端前部のスプロケットとに掛けられ
たのち、パレットの前部隅に連結される第１のチェーン
及び上記第１のスプロケットに連設される第２のスプロ
ケットに掛けられたのち、パレットの後部隅に連結され
る第２のチェーンとからなり、パレットを四隅で吊上げ
るチェーンをモータにより回転駆動されるスプロケット
で巻上げ或いは巻下すことにより、パレットの昇降を行
うようにしたタイプのものが多いが、パレットが昇降す
るスペースの上方後部にウインチを設け、ウインチの巻
胴に巻付けたワイヤーを四隅に配したシーブを介してパ
レットの四隅に連結し、ウインチによるワイヤーの巻取
り或いは巻戻しにより、パレットの昇降を行うようにし
たタイプのものもある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述するパレットの昇
降機構のうち、前者のチェーンを用いるタイプのもの
は、左右のスプロケットを同調させるための軸が必要で
あり、またチェーンにはスプロケットでの噛合いをスム
ースに行わせるため潤滑油が使用されていることから、
運転者や作業者がパレットに出入りする際、衣服を汚し
たり、車両の出入りや積荷の積卸し、チェーンとの接触
により車両や積荷が傷付くことがあるうえ、運転時にチ
ェーンとスプロケットとの噛み合いによる騒音が発生す
る難点がある。

【０００４】後者のワイヤーを用いるタイプのもので
は、上述する問題は少ないが、ウインチの巻胴より前後
のシーブを介してパレットの前部に連結されるワイヤー
と、後部のシーブを介してパレットの後部に連結される
ワイヤーとでは、ワイヤーの長さが異なり、前者のワイ
ヤーの方が長いため、前者のワイヤーの伸び量が大き
く、その結果、パレットが前下がりとなって、車両の積
荷が滑り落ちる危険性があると共に、パレットのスムー
スな昇降が困難となる難点がある。

【０００５】しかも上述する従来のタイプはいづれも、
規定以上の重量を有する車両や積荷を載せてオーバーロ
ードがかゝり、モータの駆動回路に過電流が流れると、
電源が切れるようにしてあり、またパレットが上限位置
に達すると、リミットスイッチが起動し、モータが停止
するようにしてあるが、オーバーロードがかゝっても、
電流値が設定値になるまではモータが駆動されてパレッ
トが昇降し、また電流値が設定値に達してから電源が切
れるまでに時間遅れがあるため、リミットスイッチが故
障した場合ことに問題となる。リミットスイッチの故障
によりパレットが上限位置を越えて上昇し、天井で支え
て上昇を止められたのち、なおもモータが駆動をつゞ
け、モータが停止するまでに時間がかゝると、機器を損
傷したり、積込んだ車両や積荷が天井に当たって損傷す
るおそれがあることである。

【０００６】本発明は、上記の問題を解消することがで
きるパレットの昇降機構を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題の解決手段】本発明のパレットの昇降機構は、パ
レットの四隅に水平に軸支されるシーブと、各シーブに
掛け渡されるエンドレスな索条と、パレットに支持さ
れ、シーブの一つを回転駆動するモータと、パレットの
左右両側において、前部及び後部に垂直に軸支される方
向転換用シーブと、各一端が方向転換用シーブ上方の機
枠に固定されると共に、他端が上記索条に連結され、中
間部が方向転換用シーブに掛けられる吊り索条とから構
成されるものである。

【０００８】別の発明のパレットの昇降機構では、シー
ブと、方向転換用シーブと、シーブの一つを回転駆動す
るモータがパレットに取付けられる代わりに機枠に取付
けられる。したがってこの場合のパレットの昇降機構
は、パレットの四隅に対応するパレット上方の機枠にお
いて水平に軸支されるシーブと、各シーブに掛け渡され
るエンドレスな索条と、機枠に取着され、シーブの一つ
を回転駆動するモータと、パレットの左右両側に対応す
るパレット上方の機枠において、前部及び後部に垂直に
軸支される方向転換用シーブと、各一端がパレットに固
定されると共に、他端が上記索条に連結され、中間部が
方向転換用シーブに掛けられる吊り索条とから構成され
る。

【０００９】上述する機構の吊り索条には、好ましくは
適所にターンバックルを設けて、吊り索条の長さが調節
できるようにされ、またエンドレスな索条にはテンショ
ンシーブが設けられ、索条のテンションに緩みが生じな
いようにされる。

【００１０】

【作用】パレットを支持する吊り索条は長さがそれぞれ
等しいため、伸び量も等しくなる。重量超過の車両や積
荷によりパレットの吊上げにオーバーロードがかゝり、
或いはパレットが天井で支えて一定以上の負荷がかゝる
と、駆動用のシーブがスリップして空回りをし、パレッ
トを持上げようとする力が作用しない。

【００１１】本発明に係るパレットの昇降機構において
も、パレットを上限位置及び下限位置で停止させるため
のリミットスイッチが設けられ、リミットスイッチが故
障するようなことがあっても安全性のため、パレットが
上限位置から一定以上上昇しないように、或いは下限位
置から一定以上降下しないように、吊り索条を索条に連
結する金具或いは索条の適所に固着したストッパーの動
く範囲を規制するロック装置を設け、索条の循環駆動に
より移動する連結金具或いはストッパーがロック装置で
その動きを止められることにより、パレットの昇降が阻
止されるようにしておくのが望ましい。

【００１２】

【実施例】パレット１の四隅には、シーブ２ａ、２ｂ、
２ｃ、２ｄが水平に軸支され、そのうちの後部の一つ２
ｃがギャードモータ３により正或いは逆方向に回転駆動
されるようにしてある。四囲のシーブ２ａ、２ｂ、２
ｃ、２ｄには、エンドレスな索条としてのワイヤー４が
掛け渡され、シーブ２ｃの回転駆動により図１の矢印方
向或いは矢印と反対方向に循環駆動されるようにしてあ
り、ワイヤー４は常に、テンションシーブ５により緩み
を生じないように張設されている。

【００１３】パレット１にはまた、左右両側の前後部に
方向転換用のシーブ６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄが垂直に軸
支され、各シーブには一端を機枠７に、他端をワイヤー
４に金具８により連結し、それぞれに同じ長さを有する
吊り索条としてのワイヤーロープ９ａ、９ｂ、９ｃ、９
ｄが掛けられてあり、ギャードモータ３によりシーブ２
ｃを回転駆動し、ワイヤー４が図の矢印方向に循環駆動
されると、パレット１が上昇し、ワイヤー４が矢印と反
対方向に循環駆動されると、パレット１が降下するよう
になっている。

【００１４】以上のように、シーブ２ｃによりワイヤー
４が循環駆動されるが、パレット１に載せる車両や積荷
の重量超過により、ワイヤー４の駆動に一定以上の負荷
がかゝるようになると、シーブ２ｃがスリップして空回
りし、パレット１が上昇することはない。この場合、車
両がパレットより出て空になったり、積荷の重量を軽減
して負荷が軽減されると、上昇できるようになる。

【００１５】パレット１の上昇は、上限位置に設けたリ
ミットスイッチ（図示省略）の作動により停止される。
すなわち、パレット１が上昇してリミットスイッチが作
動すると、その出力によりギャードモータ３が停止する
ようにされるが、リミットスイッチが故障したときの安
全対策のため、金具８の移動経路上に索条４を囲うロッ
ク装置１１がパレット１に固定して設けられ、リミット
スイッチが不作動となるようなことがあっても、金具８
がロック装置１１に当たってその動きが止められるよう
にしてある。

【００１６】図中、１２はワイヤーロープ９ａ、９ｂ、
９ｃ、９ｄの長さを調節するために設けられるターンバ
ックルである。図示する実施例では、シーブ２ａ、２
ｂ、２ｃ、２ｄ、テンションシーブ５、方向転換用シー
ブ６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄ、ギャードモータ３及びロッ
ク装置１１がパレット１に取付けられているが、別の実
施例では、これらが機枠に取付けられ、ワイヤーロープ
９ａ、９ｂ、９ｃ、９ｄの各一端が索条４に連絡される
と共に、各他端がパレット１に連結される。

【００１７】

【発明の効果】本発明は以上のように構成され、次のよ
うな効果を奏する。請求項１及び２記載のパレットの昇
降機構によれば、索条はシーブを介して動かされるた
め、静寂な運転ができる上、チェーンに比べ接触によっ
て車両や貨物が傷付くことが少なく、しかも索条によっ
ては給油が不要となり、運転者や作業者の衣服を汚すの
を防ぐことができる。

【００１８】またパレットを吊上げる吊り索条は、長さ
が等しいため、伸び量も等しくなり、パレットが傾いて
車両や積荷が滑り落ちる危険性がなく、常にスムースな
昇降が行えるようになる。またパレットの上昇に一定以
上の負荷がかゝると、シーブが索条をスリップし、空回
りするため安全性が確保される。

【００１９】請求項３記載のように、吊り索条にターン
バックルを設ければ、吊り索条が使用により伸びた分だ
け長さを調節することが可能となる。請求項４記載のよ
うに、テンションシーブを設ければ、索条を常に緩みな
く張設することができる。請求項５記載のように、ロッ
ク装置を設ければ、リミットスイッチが故障することが
あっても、索条の動きを物理的に止めてパレットの動き
を停止させることができ、安全性が確保される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るパレットの昇降機構の概略的な
斜視図。

【符号の説明】

１・・・パレット ２ａ、２ｂ、２ｃ、
２ｄ・・・シーブ ３・・・ギャードモータ ４・・・ワイヤー ５・・・テンションシーブ ６ａ、６ｂ、６ｃ、６ｄ・・・方向転換用シーブ ８・・・金具 ９ａ、９ｂ、９ｃ、９ｄ・・・ワイヤーロープ １１・・・ロック装置 １２・・・ターンバ
ックル

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パレットの四隅に水平に軸支されるシー
   ブと、各シーブに掛け渡されるエンドレスな索条と、パ
   レットに支持され、シーブの一つを回転駆動するモータ
   と、パレットの左右両側において、前部及び後部に垂直
   に軸支される方向転換用シーブと、各一端が方向転換用
   シーブ上方の機枠に固定されると共に、他端が上記索条
   に連結され、中間部が方向転換用シーブに掛けられる吊
   り索条とからなるパレットの昇降機構。
2. 【請求項２】 パレットの四隅に対応するパレット上方
   の機枠において水平に軸支されるシーブと、各シーブに
   掛け渡されるエンドレスな索条と、機枠に取着され、シ
   ーブの一つを回転駆動するモータと、パレットの左右両
   側に対応するパレット上方の機枠において、前部及び後
   部に垂直に軸支される方向転換用シーブと、各一端がパ
   レットに固定されると共に、他端が上記索条に連結さ
   れ、中間部が方向転換用シーブに掛けられる吊り索条と
   からなるパレットの昇降機構。
3. 【請求項３】 吊り索条には適所にターンバックルが設
   けられる請求項１又は２のいづれかの請求項に記載の記
   載のパレットの昇降機構。
4. 【請求項４】 索条には、テンションが弛まないように
   するためのテンションシーブが設けられる請求項１又は
   ２のいづれかの請求項に記載のパレットの昇降機構。
5. 【請求項５】 索条の適所に設けたストッパー或いは吊
   り索条を連結する金具と干渉し、その動きを止めるロッ
   ク装置が設けられる請求項１又は２のいづれかの請求項
   に記載のパレットの昇降機構。