JP2801576B2 - カルボネート基含有オルガノポリシロキサンの製造方法 - Google Patents

カルボネート基含有オルガノポリシロキサンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環状カルボネート
基を含有し、求核性基を有する化合物とさらに反応させ
るための中間生成物として適当なオルガノポリシロキサ
ンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】極性媒体中でポリシロキサンを使用する
ためには、極性基をシロキサン中に組み入れることが必
要である。これについては、文献に多数の方法が記載さ
れている。
【0003】シロキサン−カルボネートブロック共重合
体の合成は、特許文献から公知である(たとえばUS3
189662;US3821325またはUS4657
989)。これらは過半数が、反応性末端基を有するポ
リシロキサンとビスフェノールとをホスゲンまたはジア
リールカルボネートの存在で反応させることによって得
られるビスフェノールA−末端ポリジメチルシロキサン
である。その際、結合は主として加水分解に不安定なS
i−O−C結合を介して行われる。
【0004】SiC結合カルボネート基を有するシロキ
サンは、ボワロ(Boileau)等により、Poly
m.Prepr.(Am.Chem.Soc.,Di
v.Polym.Chem.,1990,31(2),
ページ420〜1)に記載されている。製造は、SiH
−シロキサンのアリルフェニルカルボネートによるヒド
ロシリル化反応によって行われる。著者の記載によれ
ば、反応はまさに複雑で、満足に所望の方向に経過しな
い。それというのもカルボネート官能基の約50%が、
反応条件において二酸化炭素の脱離およびSi−O−C
官能性シロキサンの形成下に分解するからである。チュ
ウ(Zhu)等は、Polym.Prepr.(Am.
Chem.Soc.,Div.Polym.Che
m.,1994,35(1),ページ496〜7)に、
アリル官能性1,2−ジオール、たとえば5−ヘキセン
ー1,2−ジオールをジエチルカルボネートとエステル
交換し、引き続き生成物をアセトンまたはアセトニトリ
ルのような種々の溶媒中でSiHシロキサンに白金触媒
によるヒドロシリル化を行うことを記載している。著者
の記載によれば、副反応はこの工程によれば実際に十分
に避けられるが、それにもかかわらず完全に避けること
はできない。さらにこの方法の欠点は、反応が温和な温
度(60℃)で実施され、従って非常に長時間かかるこ
とである。さらに、溶媒の添加は方法の体積収率を減少
するだけでなく、溶媒の蒸留によりなお費用と結合した
付加的後処理工程が必要になる
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、環状カルボネート基を含有するポリシロキサンを簡
単かつ容易に製造できる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の対象は、一般平
均式
【0007】
【化5】
【0008】[式中基R1は同じかまたは異なり、1〜
4個の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基を
表わし、基Rの少なくとも90%はメチル基であり、
2は基R1の意味を有することができるが、少なくとも
1つの基R2は一般式
【0009】
【化6】
【0010】(式中Rは同じかまたは異なる、1〜4
個のC原子を有するアルキレン基であり、Rは1〜2
0個のC原子を有する、場合により枝分かれしたアルキ
レン基であり、RはHまたは1〜4個のC原子を有す
るアルキル基またはRと共に環を形成するアルキレン
基でありかつnは0〜20の値を有する)の基であり、
aは0〜1000の値を有し、bは0〜10の値を有す
る]で示される、環状カルボネート基を含有するポリシ
ロキサンの製造方法であって、一般平均式
【0011】
【化7】
【0012】[式中R5はR1であってもよいが、少なく
とも1つの基R5は一般式
【0013】
【化8】
【0014】の基であり、その他の基および指数は上記
の意味を有する]の化合物を二酸化炭素と反応させるこ
とを特徴とする。
【0015】それで、基R(R≠Rの場合)の例
は、下記のものである:
【0016】
【化9】
【0017】本発明により製造されるカルボネート基含
有ポリシロキサンの例としては、下記のものが挙げられ
る:
【0018】
【化10】
【0019】反応は、好ましくは大気圧、0〜180
℃、殊に70〜150℃の温度で、触媒反応で行われ
る。この場合、とくに溶媒なしに作業される。
【0020】オキシランをCO2で環状カルボネートに
する反応は、文献に記載されている。これに関して記載
された多数の触媒(ルイス酸、遷移金属錯体、有機金属
化合物および相間移動試薬)のうち、エポキシ官能性シ
ロキサンとの反応には、高い触媒活性を有すると同時
に、シロキサン基本構造に分解反応を惹起しないという
条件を満足するような触媒が好ましい。意外にも、第四
級オニウム塩ないしはリチウム塩がこれらの要件を高度
に満足することが判明した。
【0021】エポキシ官能基がSiC結合を介してシロ
キサンのSi原子に結合しているエポキシシロキサン
は、自体公知のように、SiH基を有するシロキサン
に、末端位にヒドロシリル化されやすい二重結合を有す
るエポキシアルケンまたはエポキシアルケンエーテル
を、ヒドロシリル化触媒の存在で付加することにより得
られる。市場で入手できるエポキシアルケンまたはエポ
キシアルケンエーテルは、たとえばリモネンオキシド、
アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキ
シドおよび3,4−エポキシ−1−ブテンである。
【0022】エポキシ官能基がSiO結合を介してシロ
キサンのSi原子と結合しているエポキシシロキサン
は、自体公知のように、SiCl基を有するシロキサン
にヒドロキシアルキル官能性エポキシドをHCl結合剤
として塩基の存在で付加することによって得られる。適
当なヒドロキシアルキル官能性エポキシドは、たとえば
2,3−エポキシ−1−プロパノール(グリシドール)
または2,3−エポキシ−3−フェニル−1−プロパノ
ールである。
【0023】本発明により得られるシロキサンは、アル
コール、メルカプタンおよびアミンのような求核性基を
有する化合物とさらに反応させるための中間生成物とし
て好適である。
【0024】この場合、反応は次式によって経過する:
【0025】
【化11】
【0026】第一級アミンを使用する場合、相応する二
量体生成物を製造することができる環状カルボネート基
を有する本発明によるシロキサンは、種々のポリマーと
良好な相溶性を有し(PVC),その高い極性および高
い屈折率により光学的および電子的適用のための新規ポ
リマー材料として使用することができるので、極めて重
要である。
【0027】カルボネート官能性シロキサンは、プラス
チック混合物中で、機械的性質を変えるため、相溶性化
剤として使用することができる。さらに、このような生
成物はカチオンまたはアニオン重合するか、ないしはエ
ポキシドまたはラクトンと共重合することができる。さ
らに、このような生成物は、かかるカルボネート官能性
シロキサンに基づき広い合成化学を組み立てることがで
きるので、付加的合成ポテンシャルをも有する。
【0028】それで、たとえば脂肪族アミンとの反応に
よりカルバメート官能性シロキサンが得られ、このもの
はさらにイソシアネート含有シロキサンに変換すること
ができる。他の求核試薬も、原則として誘導体化に適当
である。
【0029】シロキサン共重合体の官能価、つまり本発
明により使用されるオルガノポリシロキサン中のカルボ
ネート基とシロキサン基との割合が極めて重要である。
本発明により使用されるオルガノポリシロキサン中のカ
ルボネート基の含量が増加すると、材料の極性の特徴が
増加し、極性溶媒に対する溶解度が増加する。極性溶媒
の例は、水ならびに水溶性有機溶媒、たとえばメタノー
ル、エタノール、アセトン、ジオキサン、ジメチルホル
ムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド
ならびにそれらの混合物である。
【0030】シロキサン基本構造とカルボネート基との
間の結合部材として役立つアルキル置換基によっても、
極性割合を付加的に調節することができる。その際、ア
ルキル基の鎖長が増加すると非極性の特徴も増加し、こ
れに反してポリエーテル基の導入により極性系に対する
溶解度は付加的に増加する。
【0031】これにより当業者には、本発明により使用
されるオルガノポリシロキサンは、極性を使用される溶
媒の化学的特徴と、たとえば水溶性にまで同調させ、そ
のためその都度の使用目的に適合させるのにとくに適当
であるということが理解される。
【0032】このものは、分散染料または塗料の添加剤
としてまたは顔料および充填料の表面を被覆するために
使用される。
【0033】
【実施例】
製造例および使用例 例1 一般式MD36DH12M(式1)および平均全鎖長N=5
0の、側位のSiH官能化ポリジメチルシロキサン35
6.0g(0.1モル)を、トルオール100mlおよ
びヘキサクロロ白金酸H2PtCl64mg(=20pp
mPt)と共に、撹拌機、滴下ロ−ト、温度計および還
流冷却器を備えた800mlの四首フラスコに装入し、
撹拌下に110℃に加熱する。この温度で、アリルグリ
シドエーテル136.8g(1.2モル)を、生起する
発熱反応にも拘らず130℃の温度を上回らないように
滴加する。添加が終了した後、反応混合物をなお1〜2
h110℃で、SiH値による変換率制御が、アリルグ
リシドエーテルが完全にヒドロシリル化反応により付加
したことを示すまでさらに撹拌する。>99%の変換率
で反応を中断し、Pt触媒の残分を濾過により反応混合
物から除去する。オイルポンプ真空での蒸留によって、
過剰のアリルグリシドエーテルならびに溶媒および揮発
性副生成物を除去する。
【0034】こうして製造したエポキシシロキサン(式
2)49.1g(0.01モル)およびトルオール50
mlを、撹拌機、フリットを有するガス導入管、温度計
および還流冷却器を備える250mlの四首フラスコに
装入し、触媒としてテトラブチルアンモニウムブロミド
0.5gの添加後、撹拌下に100℃に加熱する。この
温度で、反応の間二酸化炭素の連続ガス気流(10NL
/h)を混合物に導通する。H−NMR分光分析によ
り、エポキシ基の減少を時間の関数として追跡する。3
hおよび6h後に、エポキシ基の73%ないしは90%
が相応する環状カルボネート単位に変わった。合計9h
の反応時間後、エポキシ基はもはや検出できなかった。
溶媒の蒸留後に、淡黄色の液状反応生成物が得られ、こ
のものは側位の4−(プロピルオキシメチル)−1.3
−ジオキソラン−2−オン基を有し、分析結果により期
待される平均組成MD36Dカルボネート12M(式
3)に相当する。
【0035】
【化12】
【0036】例2 例1に記載したと類似に、一般式MD15Dエポキシド8
M(式4)および平均全鎖長N=25のエポキシシラン
を、3,4−エポキシ1−ブテンを相応するSiHシロ
キサンに白金触媒での付加によって製造する。これに続
き、この材料200g(0.86モル)を、撹拌機、フ
リットを有するガス導入管、温度計および還流冷却器を
備える500mlの四首フラスコに装入し、触媒として
テトラブチルホスホニウムクロリド(イソプロパノール
中70%)2gの添加後、撹拌下に120℃に加熱す
る。二酸化炭素の連続ガス気流(8NL/h)の導通に
より、エポキシシロキサンをこの条件下で3h内に相応
する液状で黄色のカルボネート官能性シロキサン(式
5)に変性する。
【0037】
【化13】
【0038】例3 端位クロルジメチルシロキシ基(式6)を有する、平均
全鎖長N=6の線状ポリジメチルシロキサン100g
(0.2モル)を、グリシドール(2,3−エポキシ−
1−プロパノール)60g(0.4モル)およびトリエ
チルアミン40.4g(0.4モル)の添加下に塩基触
媒での縮合反応で50℃で撹拌下に互いに反応させてS
i−O−C−結合エポキシシランにする。沈殿したトリ
エチルアンモニウム塩酸塩の濾過後、反応生成物を例1
および2に記載したと類似に、ヘキサデシルトリメチル
アンモニウムブロミド0.5重量%の存在で100℃の
温度でガス状の二酸化炭素(22NL/h)の導入によ
って、平均式MカルボネートD4Mカルボネート(式
7)の相応するカルボネート官能性シロキサンに変え
る。
【0039】
【化14】
【0040】例4 ポリ(メチルヒドリドシロキシ)基を有するSiHシロ
キサンにアリルグリシドエーテルを白金触媒での付加に
より、平均式MDエポキシド30M(式8)の材料を得、
これを例1に記載した方法と類似に、触媒としてベンジ
ルトリエチルアンモニウムクロリド2重量%の存在で1
30℃で7hに,ガス状の二酸化炭素(0.2NL/
h)により相応するカルボネート官能性シロキサンMD
カルボナト30M(式9)に変換する。
【0041】
【化15】
【0042】例5 式MエポキシドDDエポキシドMエポキシド(式1
0)の端位および側位変性エポキシシランを、平均式C
=CH−CH−(O−C−)OHのポリ
オキシエチレンポリマーを相応するSiHシロキサンに
ヒドロシリル化し、これに続きシロキサンコポリマーの
第一級ヒドロキシ基をエピクロルヒドリンで末端封鎖す
ることによって得た。次ぎの反応でエポキシ基を、記載
のように触媒として塩化リチウム2重量%の添加下にガ
ス状の二酸化炭素(0.2NL/h)で、125℃で相
応するカルボネート基に変えた。
【0043】
【化16】
【0044】適用技術的試験 本発明により使用される変性カルボネート官能性ポリジ
メチルシロキサンの適用技術的性質を調べるために、例
4からの生成物をそれぞれ1%の濃度で種々の溶媒と混
合した。次表には、得られた結果を本発明によらない出
発物質と比較して記載されている。
【0045】
【表1】
【0046】記号の説明: 1=室温で可溶 2=温時に可溶 3=部分的に可溶、膨潤 4=不溶 表から、本発明により使用される変性オルガノポリシロ
キサンは所望の適用技術的性質を示すことが明らかとな
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 77/14 C08G 77/06 C08G 77/38

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般平均式 【化1】 [式中Rは同じかまたは異なり、1〜4個の炭素原子
    を有するアルキル基またはフェニル基を表わすが、R
    基の少なくとも90%はメチル基であり、 RはRの意味を有することができるが、少なくとも
    1つのR基は一般式 【化2】 (式中Rは同じかまたは異なる、1〜4個のC原子を
    有するアルキレン基であり、 Rは1〜20個のC原子を有する、場合により枝分か
    れしたアルキレン基であり、RはHまたは1〜4個の
    C原子を有するアルキル基であるかまたはRと共に環
    を形成するアルキレン基であり、 nは0〜20の値を有する)の基であり、 aは0〜1000の値を有し、 bは0〜10の値を有する]で示される、環状カルボネ
    ート基含有ポリシロキサンの製造方法において、一般平
    均式 【化3】 [式中RはRであってもよいが、少なくとも1つの
    基は一般式 【化4】 の基であり、その他の基および指数は上記の意味を有す
    る]の化合物を二酸化炭素と反応させることを特徴とす
    るカルボネート基含有オルガノポリシロキサンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 R4が1〜20個の炭素原子を有する炭
    化水素基であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 R3がアルキル−、シクロアルキル−ま
    たはエーテル基であることを特徴とする請求項1または
    2記載の方法。
  4. 【請求項4】 aが5〜200の値を有し、bが0〜2
    の値を有することを特徴とする請求項1から3までのい
    ずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 bが0の値を有することを特徴とする請
    求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 基R1がメチル基である事を特徴とする
    請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 反応を大気圧、0〜180℃の温度で触
    媒反応で実施することを特徴とする請求項1から6まで
    のいずれか1項記載の方法。
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