JP2801027B2 - 免疫機能賦活剤 - Google Patents

免疫機能賦活剤

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は免疫機能賦活剤、特に吸気により免疫機能を
高めることのできる免疫機能賦活剤に関する。
[従来の技術] 例えば細菌感染症、自己免疫疾患等、各種の疾患が免
疫機能の低下に起因しており、免疫機能が低下した場合
にはその回復を行ない、また更に免疫機能を高めること
が健康維持の上で極めて重要な意義を持つ。
ところで、従来の免疫機能賦活剤としては、例えばポ
リプレニルアルコール系化合物等が知られている(特開
昭59−73513)。
これらは例えば筋肉内投与を行なう等して免疫機能を
賦活を行なうものである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来の免疫機能賦活剤は、注射等の手
段で筋肉内投与することによりその効果を発揮するもの
であり、より簡単に、免疫機能を高める手法が望まれて
いた。
すなわち、免疫機能の低下は、短時間、一時的に生じ
る場合は少なく、むしろ各種要因の複合化により慢性
的、長期的に生じる場合の方が多い。
また、手術時等積極的に免疫機能を高める必要のある
場合には、すこしでも患者の身体的、心理的負担を軽減
しなくてはならない。
このような状況下で、従来の免疫機能賦活剤は、その
使用性の改善が強く求められていた。
一方、従来から香料等の芳香物質を吸入させることに
より、心身のコントロールを行なういわゆるアロマテラ
ピー(芳香療法)が知られている。
このアロマテラピーの中で用いられてきた香料は、古
来からの伝承をもとにした天然精油が中心であり、意識
水準を鎮静させたり高揚させたりする効果の高い精油
(奥田地「アロマテラピー展望」香料;No.140(1983)P
P19−26)、或いはエアゾールを用いて神経症患者に吸
入投与したところ心理的抑圧、心理的不安、心理的緊張
等を緩和する働きのある精油等が多数報告されている
(P.Rovesti et.al S.P.C Aug.475−478 1973)。
更に各種香料に鎮静或いは睡眠効果があることも知ら
れており(特開昭63−199292)、香気が精神状態に大き
な影響を及ぼすことも周知である。
しかしながらこれらの香料の効果は殆ど伝承の域を脱
しておらず、その解明が待たれている。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであ
り、その目的は容易に適用が可能で、しかも効果的に免
疫機能の賦活を行なうことのできる免疫機能賦活剤を提
供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討した
結果、ある特定の香料に優れた免疫機能賦活効果がある
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる免疫機能賦活剤は、人また
は動物の吸引空気中に、チュベローズ、ラブダナム、オ
ークモスから選択される一又は二以上の免疫機能賦活性
香料を気中濃度で0.4μg/cm3以上となるように存在さ
せ、これを吸引させることを特徴とする免疫機能賦活方
法に使用するものであり、チュベローズ、ラブダナム、
オークモスから選択される一又は二以上の香料を含有す
る。
以下、本発明の構成を詳述する。
本発明において、免疫機能を高める効果とは、生体の
防御機能を高め、人間ないし動物の免疫機能不全による
疾患及びこれに伴う心身ストレスの増大を予防・治療す
るものである。
また、本発明にかかる免疫機能賦活剤は、前記有効成
分が有効量吸気され、嗅覚受容体を刺激もしくは経気道
的に体内に吸収されることにより効果が発現するものを
指し、香水、コロン、室内芳香剤等のフレグランス製品
の外、石鹸、歯磨等の化粧料、吸入薬等の医薬品等も包
括するものである。
また、本発明におけるチュベローズ油、ラブダナム
油、オークモス油は公知の精油であり、標準商業品種が
本発明に用い得るが、世界各国に産生するチュベローズ
油、ラブダナム油、オークモス油のどのような成分組成
を持つものでも用いることができる。
更に天然のチュベローズ、ラブダナム、オークモスか
ら蒸留、抽出等の方法で得られた精油を本発明に用いる
ことができる。
従って、チュベローズ(Polyanthes tuberosa L及び
その亜種)、ラブダナム(Cistus ladaniferus L及びそ
の亜種)、オークモス(Evernia prunastri L及びその
亜種)の各植物から水蒸気蒸留、抽出等、種々の手段に
より得られた香料混合物を得ることもできる。
尚、吸気により効果を発するものであるため、気中濃
度に効果が存在するが、各免疫機能賦活香料とも0.4μg
/cm3以上で優れた効果が得られることが確認されてい
る。
このように、本発明にかかる免疫機能賦活剤は、特定
の香料を一定濃度以上で気中に存在させ、人間ないし動
物に吸気させることで、容易に優れた免疫機能賦活効果
を得ることができる。
[実施例] 以下、本発明のより具体的な実施例を説明する。
尚、本発明はこれにより限定されるものではない。ま
た、配合量は特に指定がない限り重量%で示す。
免疫機能賦活性試験 まず、免疫機能賦活性の評価法を説明する。
実験動物;BALB/c雄マウスを8週齢で搬入し、環境変化
によるストレスの影響を除くために一定の環境下で7日
間飼育した後、一群を6匹として実験を行なった。
ストレスサー;高圧ストレスを用いた。すなわち、小動
物用高圧チェンバー(内径125mm、全長180mm、内容積22
10cm3、耐圧力7kg/cm2)にマウスを入れ、空気ボンベを
用いて2.2Kg/cm3の圧力を加え、1日60分間の高圧負荷
を2日間行なった。
免疫学的パラメーター;ストレス付加後にSRBCを1×10
cells/0.2mlマウスの尾静脈に注射し、4〜5日後に脾
臓を採取し、脾細胞を分離した。E−MEMで細胞数を1
×107cells/mlに調整し、その細胞浮遊液400ulに50%
(v/v)SRBCを50ul、更に補体を50ul加えて混合した。C
ouninghamらの方法に準じて、37℃、60分間インキュベ
ートした後、SRBCに対する抗体産生細胞(PFC)数を測
定し、1×106脾細胞あたりのPFC数を算出した。
香料;ラブダナム、ジャスミン、カルダモン、チュベロ
ーズ、オークモスの5種類を用いて検討した。
嗅覚刺激;マウスのゲージをポリ袋で多い、その中に脱
脂綿に香料を10%含むエチルアルコール溶液0.1ml含ま
せたものを入れ、24時間刺激した。
以上の実験では、脾細胞に対しSRBCは異物となり、免
疫性が高ければ脾細胞にSRBCが溶血する割合が多くな
る。
従って、溶血細胞数をカウントすることにより、その
マウスの免疫活性を把握することができる。
そこで、高圧ストレスも負荷せず何も香料を与えない
マウス群をコントロール1、高圧ストレスを負荷し何も
香料を与えないマウス群をコントロール2とし、更に高
圧ストレス負荷後、ラブダナム、ジャスミン、カルダモ
ン、チュベローズ及びオークモスを与えたマウス群につ
いて実験を行ない、それぞれ溶血細胞数をカウントし
た。
結果を次の第1表に示す。
尚、PFCは高圧ストレスを付加することで減少する。
これに負荷後24時間嗅覚刺激を加えると、ジャスミンお
よびカルダモンでは回復は認められなかったが、ラブダ
ナム、チュベローズ、オークモスでは回復し、更にコン
トロール1の平常状態よりも免疫性が向上する傾向が見
られた。
特に、チュベローズではコントロール1を100%とす
ると240%、オークモスでは202%と、著しい免疫回復、
増強作用が見られた。
このように、香料全般に免疫機能賦活効果が有るので
はなく、特定の香料にのみ優れた賦活効果があることが
理解される。
また、効果の顕著なチュベローズ、ラブダナム、オー
クモスの各香料の濃度は年齢、性別、心身状態等に大き
く影響すると考えられるが、前記実験例では気中の香料
濃度は0.4μg/cm3であり、この程度の濃度で十分な免疫
機能賦活効果が期待される。
なお、このような気中濃度を得るためには、チュベロ
ーズ油、ラブダナム油では2重量%以上、オークモス油
では7重量%以上配合した調香料を得、それを有効成分
として各種組成物に配合することが好適である。
また、本発明にかかる免疫機能賦活剤は、つぎのよう
な各種用途に使用可能である。
(1)特に免疫賦活を目的とした使用例(例えば手術
時、手術後の免疫機能賦活) 酸素ボンベ、酸素吸入器に封入する。
ネブライザーのなかに入れる。
病院のベッドの頭部へ取り付ける。
手術後の病室へ香料を噴霧する。
手術後に患者を一定時間休ませる香料室を設ける。
手術衣や患者の寝間着に賦香する。
(2)ストレスによる免疫機能低下の回復を目的とした
使用法 マスクに賦香する。
禁煙用パイプの中に入れる。
音響チェアのフードの中で香料を流す。
フロートカプセル内で香料を流す。
(3)各種香粧品としての使用法 香水、オーデコロン、化粧品等。
次に各種配合例を示し、より詳細に発明を説明する。
尚、各実施例とも優れた免疫賦活効果を示した。
実施例1 香水及びオーデコロン 標準商業品種の免疫機能賦活香料を重量濃度で5%、
10%、15%、20%加えたフレグランス用調合香料を95%
の水性アルコールに重量濃度で3%になるように溶解
し、オーデコロンを調整する。
また、同じ調合香料を95%水性アルコールに重量濃度
で20%になるように溶解して香水とする。
尚、調香のため他の各種香料を添加しても効果に特に
影響はない。
実施例2 室内用エアスプレー チュベローズを15%含む調香料 5 エチルアルコール95% 56 スパン85 2 ツイン81 1 プロペラント 36 実施例3 石鹸 石鹸素地 95.0 ラブダナミを15%含む調香料 5.0 色素 適量 (製法) 前記調香料及び色素を石鹸素地に添加後、機械練り、
或いは枠練りして石鹸を製造した。
実施例4 シャンプー アルキル硫酸トリエタノールアミン塩 15.0 ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド 5.0 エチレングリコールモノステアレート 2.0 防腐剤 適量 色素 適量 オークモスを15%含む調香料 3.0 精製水 残余 (製法) 精製水中に他の成分を撹拌溶解し、シャンプーを得
た。
実施例5 ヘアリンス 塩化アルキルトリメチルアンモニウム 3.0 セチルアルコール 1.0 防腐剤 0.1 グリセリン 5.0 チュベローズを15%含む調香料 0.4 色素 適量 POE(8モル)ステアリルエーテル 0.6 精製水 残余 (製法) 各成分を80℃にて混合溶解し、室温まで放冷してヘア
リンスを得た。
実施例6 バスパウダー タルク 80.0 ラブダナムを15%含む調香料と流動パラフィンを1:20の
比で配合した組成物 20.0 (製法) 各成分を混合撹拌してバスパウダーを得た。
実施例7 練香水 オークモスを15%含む調香料と流動パラフィンを5:4の
比で配合した組成物 90.0 トリミリスチン酸グリセリン 10.0 (製法) 各成分を混合撹拌して練香水を得た。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明にかかる免疫機能賦活剤
によれば、吸気により容易に免疫機能を回復ないし向上
させることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川添 泰晴 東京都中央区銀座7丁目5番5号 株式 会社資生堂内 (72)発明者 藤原 良一 福岡県久留米市東櫛原町377―4 久留 米大学職員住宅3棟322 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 35/78 A61K 7/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】人または動物の吸引空気中に、チュベロー
    ズ、ラブダナム、オークモスから選択される一又は二以
    上の免疫機能賦活性香料を気中濃度で0.4μg/cm3以上と
    なるように存在させ、これを吸引させることを特徴とす
    る免疫機能賦活方法に使用する、チュベローズ、ラブダ
    ナム、オークモスから選択される一又は二以上の香料を
    含有する免疫機能賦活剤。
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JP2003206237A (ja) * 1999-10-08 2003-07-22 Shiseido Co Ltd 皮膚免疫機能調節剤
JP2005104938A (ja) * 2003-10-02 2005-04-21 Matsukawa Kagaku:Kk 皮膚用化粧料

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