JP2798368B2 - ロープの巻付切断装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はロープの巻付切断装置に
係り、例えば動力伝動ベルトを成型する場合、ベルトの
心線となるロープをモールド等の円筒体に巻付けるスピ
ニング工程があり、この工程においてロープを自動的に
円筒体に設置するとともに巻き付けて切断し、切断した
ロープ端部を円筒体に固着することができる装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の動力伝動ベルトを成形する工程の
１つであるスピニング工程では、回転可能に設置したモ
ールドに近接する方向へ回動し、しかもモールドの軸方
向へ移動する回動アームと、これに取り付けられたスピ
ニングロールとから構成されたロープの巻付装置が使用
されていた。

【０００３】この装置では、まず回動アームを回動軸を
中心にして旋回させて未加硫のゴム付帆布を装着したモ
ールドに近接させた後、手動にてロープを一定長だけ引
出して、そしてこれを手動にてモールドに１〜２周巻付
け、続いてロープ先端部をモールド一端部に設けた止め
部に固定していた。その後、ハサミにてモールド表面か
ら離れたロープの先端部を切断し、モールドを回転させ
ながらスピニングを行なっていた。この時、回動アーム
はモールドの一方の端部から他方の端部へと連続して平
行移動する。スピニングが完了すると、ロープを鋏で切
断し、ロープの先端部をモールド他端部に設けた止め部
に固定した後、回動アームを設置した移動台を元のスタ
ートの位置にもどしていた。

【０００４】しかし、従来のロープ巻付装置では、引出
されたロープの先端部をモールド表面に置き、ロープを
モールドに巻付けてその先端部をモールド止め部に係止
した後にこれを切断する作業、そしてスピニング後にロ
ープを切断する作業については、すべて作業者によって
行なわれていた。このため、ロープの巻付作業では作業
者の経験、熟練に依存するところが多いために生産性が
安定せず、これを自動化することが強く望まれていた。
この要求に応えたものとして、本出願人は特公平６−９
２１３３号公報に開示している自動巻付装置を提案し
た。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、この装置で
は、スピニング終了後、先端にカッター部を装着したピ
ックアップアームを旋回して、タッチプーリと円筒体
（ドラム）との間に位置するロープを切断していたた
め、ロープの端部は円筒体から浮いた状態になり、円筒
体表面から離れた部分が尻尾状に垂れ、次の工程ではゴ
ムもしくは帆布からなるシートの巻付作業を阻害してい
た。また、特にロープの粘着性が少ない仕様では、スピ
ニングした円筒体を搬送するとき、ロープが巻き戻さ
れ、作業者によるロープ止め作業を必要としていた。本
発明は、このような諸問題を考慮し、スピニング開始時
にロープ端部を容易に円筒体に設置し、そしてスピニン
グ終了後、作業者によるロープ止め作業を必要とせず
に、スピニングを終えることができるロープの巻付切断
装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ロープ
設置装置を回転可能な円筒体の軸方向に沿って平行移動
させながらロープを回転中の円筒体にスピニングし、そ
の後にロープを切断するロープの巻付切断装置におい
て、上記ロープ設置装置が、軸を中心にして円筒体の方
向へ向かって旋回できる回動アームと、該回動アームと
共に移動してロープと係合する回転可能なタッチプーリ
と、ロープを把持しこれを開放するクランプ部を具備し
たピックアップア−ムと、回動アームと独立して旋回で
きるとともにロープを巻き付けた円筒体の表面まで移動
できる加熱切断部材を有するロープの巻付切断装置にあ
る。

【０００７】

【０００８】

【作用】本発明に係るロープの巻付切断装置では、スピ
ニングが完了すると、ピックアップアームを円筒体に近
づけるように旋回させて、このアームの先端に装着した
クランプ部によってロープを把持した後、加熱切断部材
を旋回して円筒体の表面で当接させ、ロープを加熱によ
り切断する。加熱溶融により切断したロープ端部は円筒
体に巻かれたゴムシートや帆布に付着することができ
る。ロープの端部は円筒体表面から離れた部分がなく垂
れることがないため、次の工程であるゴムもしくは帆布
からなるシートの巻付作業をスムーズに行うことができ
る。

【０００９】また、スピニング開始時には、回動アーム
を円筒体へ近接する方向へ旋回してタッチプーリを円筒
体表面の近くまで位置させ、続いてピックアップアーム
を上記回動アームと同方向へ旋回させた後、更にタッチ
プーリを円筒体表面に圧接させてロープの端部を把持
し、この状態でピックアップアームのクランプを開放し
てロープ端部を自動的に円筒体表面に設置することがで
きる。続いて、ロープを円筒体にほぼ１周巻付けて、こ
の先端部を円筒体のクリップ部に係止した後、スピニン
グを開始する。

【００１０】

【実施例】以下、添付図面を参照し、本発明の実施例を
説明する。図１は、本発明のロープの巻付切断装置の正
面図、図２は図１の側面図、そして図３は本発明のロー
プの巻付切断装置を構成する移動装置を示す図である。
本発明に係るロープの巻付切断装置１は、回転可能に設
置された円筒体２と、円筒体の長手軸に沿って平行移動
する移動装置３と、そしてこの移動装置３の上に固定さ
れたロープ設置装置４から構成されている。

【００１１】円筒材２は、例えばベルトスリーブを成形
するときに使用するモールド等であり，その表面にはゴ
ム付カバー帆布あるいは未加硫ゴムが巻付けられてい
る。この円筒体２の一方の端部は固定された回転可能な
支持軸に嵌着され、また他端は移動可能な支持軸に脱着
可能に嵌合している。

【００１２】移動装置３はロープ設置装置４を円筒体２
の軸方向へ移動させるものであり、これは支持台７上に
平行に配置された２本のレール８、８と、これに嵌合し
たスライド材９と、このスライド材９に固定した可動台
６とからなっている。可動台６は、これに固着している
ガイド材１０をねじ状のシャフト１１に螺着させること
で移動可能になっている。即ち、該シャフト１１は支持
台６の両端部に据え付けられた軸受１２によって支持さ
れ、クラッチ１３を介してギャードモータ１４に連結さ
れ、可動台６はこのギャードモータ１４の回転によって
移動する。

【００１３】前記可動台６上に設置されたロープ設置装
置４は、シリンダー１９の作動によって基台１７に固定
された軸１８を中心にして円筒体２の方向へ旋回移動す
る回動アーム２０を有している。この回動アーム２０は
上部において突出した状態で設けられた端部２１の先端
に回転可能なタッチプーリ２２を具備しているが、この
タッチプーリ２２はロープ２３を適当な角度まで巻き付
けると共に一定の張力、いわゆるスピニングテンション
を付与して円筒体２に巻き付けるようになっている。回
動アーム２０を旋回させるシリンダー１９は可動台６に
固定された基台１７と回動アーム２０にまたがって連結
されている。尚、前記タッチプーリ２２の表面には溝が
設けられ、この溝にロープ２３を嵌入してロープのスピ
ニングピッチの精度をあげている。

【００１４】使用するロープ２３は、ポリエステル繊
維、アラミド繊維、ガラス繊維等を素材としており、表
面にＲＦＬ処理、あるいはゴム糊等の接着処理をするこ
とができる。特に、ガラス繊維の場合には接着処理が必
要である。

【００１５】ピックアップアーム３０は回動アーム２０
の上方に設けた回転軸３１に嵌入され、シリンダー３２
の作動によって旋回可能になっている。即ち、連結部材
３３と所定角度をもって連結された前記ピックアップア
ーム３０の端部は、回動アーム２０にその一端を回転可
能に取付けられたシリンダー３２と連結している。ピッ
クアップアーム３０は回動アーム２０と独立して回動す
ればよいため、前述のようにピックアップアーム３０を
回動アーム２０に設けた回転軸３１に嵌入する必要はな
い。

【００１６】ピックアップアーム３０の先端部には、ロ
ープ２３を把持するクランプ部３５が装着されている。
図４は、これを詳細に示したものである。これによる
と、クランプ部３５は、ピックアップアーム３０の壁に
はシリンダー３７が直立するようにボルト等によって固
定されている。各シリンダー３７はロッド３９を有して
いる。ロッド３９には凹凸面をもったゴム、合成樹脂等
の押え板４１が装置されている。

【００１７】クランプ部３５は、ピックアップアーム３
０とこの壁に取り付けた固定支持材４６とによって形成
される空間内に位置している。固定支持材の内壁４７と
押え板４１との間には、ロープ２３が侵入するに充分な
間隙を有している。ロープ２３がこの間隙に介在する
と、クランプ部のシリンダー３７の作動により押え板４
１をカバー部材の内壁４７へ圧接させてロープ２３を挟
持する。

【００１８】前記タッチプーリ２２の回転軸２８には、
加熱切断部材２９を装置したアーム３７が取り付けられ
ている。このアーム３７はシリンダー３８の作動により
旋回するが、このシリンダー３８の一端は回動アーム２
０に、また他端はアーム３７と所定角度で接続した連結
部材３９に接続している。

【００１９】加熱切断部材２９はタッチプーリ２２の外
周面の外方を大きく旋回して円筒体２の表面まで移動
し、そして表面を軽く当接しつつロープ２３を加熱溶融
して切断する。切断したロープ端部は加熱によって予め
円筒体２に巻かれたゴムシートや帆布に付着する。加熱
切断部材２９はクランプ部３５に近づけて、クランプ部
３５から突出するロープ２３の長さを小さくする。加熱
切断部材２９は、通常電気半田ごてであり、ロープに接
する溶接部４０は平坦あるいは鋭い角度をもった形状で
あってもよい。加熱切断部材２９は、その周囲が断熱材
で包囲され、安全性を確保している。

【００２０】次に、本発明に係るロープの巻付切断装置
の動作を図１および図５〜図７を用いて説明する。図１
はロープ２３を円筒体２に巻き付ける前であり、ロープ
２３は直立したピックアップアーム３０に固定されたク
ランプ部３５に把持され、タッチプーリ２２に係合して
ロープ巻取部へと至っている。また、ロープ設置装置４
は円筒体２の端部であるスタ−トの位置にある。

【００２１】次いで、図５に示すように回動アーム２０
を旋回させてタッチプーリ２２を円筒体２表面のごく近
くまで移動させた後、ピックアップアーム３０を移動し
てロープ２３の端部を円筒体２表面の近くまで位置させ
る。そして、更にタッチプーリ２２を移動してロープ２
３を円筒体２へ押圧した後、クランプ部３５のシリンダ
ーを作動させてロープ２３の挟持を開放し、該ピックア
ップアーム３０のみを元の位置まで旋回させる。このと
き、クランプ部３５から突出したロープ２３の長さは短
いため、ロープ２３を巻き付ける際には何ら支承がな
い。

【００２２】この状態で円筒体２を１回転させることで
ロープ２３を円筒体２に巻き付けた後、更に円筒体２を
回転させると同時に、可動台６を円筒体の軸方向へ移動
させながらスピニングを行なう。スピニング時には、タ
ッチプーリ２２を円筒体２からわずかに離してもよく、
また円筒体２に接触させてもよい。

【００２３】スピニングが完了すると、図７に示すよう
に、上記タッチプーリ２２を元の状態にもどし、これと
同時にピックアップアーム３０を円筒体２に近接する方
向へたおしてクランプ部３５を作動させる。固定支持材
４６と押え板４１との間に設けた間隙に傾斜状態のロー
プ２３を介在させ、クランプ部のシリンダー３７の作動
により押え板４１を固定支持材４６に押え付けることに
よりロープ２３をこれらで挟持する。

【００２４】そして、シリンダー３１の作動によりアー
ム３７を旋回して加熱切断部材２９を円筒体２の表面で
軽く当接させ、ロープ２３を加熱溶融して切断する。切
断したロープ端部は加熱によって予め円筒体２に巻かれ
たゴムシートや帆布に付着する。尚、この場合、加熱切
断部材２９とクランプ部３５の間隔を出来る限り小さく
して、クランプ部３５から突出するロープ２３の長さを
短くすることが好ましい。クランプ部３５から突出する
ロープ２３の長さが短くすれば、スピニング開始時にロ
ープ端部を確実に円筒体に設置することができる。

【００２５】そして、ピックアップアーム３０と回動ア
ーム２０を元の状態に直立させるとともに可動台６を最
初の原位置までもどしてロープの巻付けを完了させる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明に係るロープの巻
付切断装置では、スピニングが完了すると、ピックアッ
プアームを円筒体に近づけるように旋回させて、このア
ームの先端に装着したクランプ部によってロープを把持
した後、加熱切断部材を旋回して円筒体の表面で当接さ
せ、ロープを加熱により切断することにより、切断した
ロープ端部を円筒体に巻かれたゴムシートや帆布に付着
することができるため、次の工程であるゴムもしくは帆
布からなるシートの巻付作業をスムーズに行うことがで
きる。また、スピニング開始時には、ピックアップアー
ムに装着したクランプ部によってロープ端部を自動的に
円筒体表面に設置することができ、続いてロープを円筒
体にほぼ１周巻付けて、円筒体に巻き付けた後、スピニ
ングを開始できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るロープの巻付切断装置の正面図で
ある。

【図２】図１を円筒体側から見た要部側面図である。

【図３】本発明に係るロープの巻付切断装置を構成する
移動装置の正面図である。

【図４】本発明に係るロープの巻付切断装置に使用する
クランプ部の部分拡大図である。

【図５】本発明に係るロープの巻付切断装置がロープを
円筒体に巻き付けるときの動作図である。

【図６】本発明に係るロープの巻付切断装置がスピニン
グをしているときの動作図である。

【図７】本発明に係るロープの巻付切断装置がスピニン
グを完了し、ロープ端部を切断しているときの動作図で
ある。

【符号の説明】

１ ロープの巻付切断装置 ２ 円筒体 ３ 移動装置 ４ ロープ設置装置 １９ シリンダー ２０ 回動アーム ２２ タッチプーリ ２３ ロープ ２９ 加熱切断部材 ３０ ピックアップアーム ３５ クランプ部 ３７ アーム

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平８−318499（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−34197（ＪＰ，Ｕ) 特公 平６−92133（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B26F 3/08 B29D 29/00 B65H 54/71

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロープ設置装置を回転可能な円筒体の軸
   方向に沿って平行移動させながらロープを回転中の円筒
   体にスピニングし、その後にロープを切断するロープの
   巻付切断装置において、上記ロープ設置装置が、軸を中
   心にして円筒体の方向へ向かって旋回できる回動アーム
   と、該回動アームと共に移動してロープと係合する回転
   可能なタッチプーリと、ロープを把持しこれを開放する
   クランプ部を具備したピックアップア−ムと、回動アー
   ムと独立して旋回できるとともにロープを巻き付けた円
   筒体の表面まで移動できる加熱切断部材を有することを
   特徴とするロープの巻付切断装置。