JP2797302B2 - 昇華型感熱転写記録材 - Google Patents

昇華型感熱転写記録材

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、熱転写記録用フィルムに関する。 〔従来の技術と発明が解決しようとする問題点〕 感熱転写記録方式は、音の静かな記録方式として最近
は事務機器のプリンターを中心に発展している。感熱転
写記録方式では、熱溶融転写型と比較して、昇華転写型
が諧調を出しやすいことからビデオプリンターなど映像
コピー用を中心として開発、商品化が進展している。し
かるに、昇華型インク層のバインダーは、あまり昇華型
インクと親和性が高いと昇華型インクが昇華しにくくな
り、諧調が出にくくなる。昇華型インクに適するバイン
ダーを選択した場合には、基体となるポリエステルフィ
ルムと接着性が悪化し、感熱転写時にインク層自体がイ
ンク受像体に転着する場合があった。インク層とポリエ
ステルフィルムの接着性を改良するためには、インク層
とポリエステルフィルム相方に接着性のある下引き層を
選定することと、この下引き層が薄層で均一性のある塗
布層であることが精度のある転写画像を得るために必要
である。 感熱転写用シートの下引き層を形成するには、基体の
ポリエステルフィルムが通常3〜7μと薄膜で取り扱い
にくく、これに精密塗布を要求されるため、製品歩留り
が低くなるという問題があった。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、塗布剤を塗布後フィルムを延伸する塗
布延伸法を用いた場合、塗布層と基体のフィルムの接着
性が延伸後のフィルムに塗布する方法と比較して良好で
あることと、塗布後延伸することにより、塗布層を薄層
化できることに着目し、感熱転写インク層のバインダー
と接着性の良い塗布剤を選定し、これと塗布延伸法と組
み合わせることにより、本発明に至った。 すなわち、本発明の要旨は、下記置換基群から選ばれ
る少なくとも一つの置換基および重合性のある炭素−炭
素不飽和結合を有する化合物を、ポリエステルを含有す
る水溶液または水分散液中で重合して得られる反応生成
物を含有する塗布液を、ポリエステルフィルムの少なく
とも片面に塗布後、該フィルムを延伸し、得られる二軸
延伸ポリエステルフィルムの塗布層上に形成させた昇華
方インク層と該インク層を形成させたポリエステルフィ
ルム面と反対面に形成させた易滑層を含むことを特徴と
する昇華型感熱転写記録材に存する。 置換基群:エステル基、カルボキシル基、エポキシ基、
アミド基、ハロゲン基、不飽和ジカルボン酸エステル
基、フェニル基、置換基を有するフェニレン基 本発明における基体を構成するポリエステルフィルム
のポリエステルとは、その構成成分の80モル%以上がエ
チレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレー
トあるいは80モル%以上がエチレンナフタレートである
ポリエチレンナフタレートである。 本発明のポリエステルフィルムは、必要に応じて無機
粒子、有機粒子、有機系潤滑剤、帯電防止剤、安定剤、
染料、顔料、有機高分子を組成物として含有していても
よい。ポリエステルフィルムに滑り性を付与するために
は、フィルム組成物として微粒子を含有させるが、使用
される製品の滑り性、透明性などの要求特性に応じて突
起形成剤の種類、大きさ、配合量は適宜、選択される。 本発明における重合性のある炭素−炭素不飽和結合を
有する化合物とは、例えばメチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アク
リレートアルキルエステル、2−ヒドロキシエチルアク
リレートなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の
ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸、クロトン酸
などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエ
ーテルなどのエポキシ基含有化合物、アクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルア
ミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホ
ン酸などのアミド基を有する化合物、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン系ビニル化合
物、ジブチルマレートなどの不飽和ジカルボン酸のエス
テル化合物、スチレン、N−ビニルピロリドン、のよう
な化合物、酢酸ビニルのようなビニルエステル、スチレ
ンスルホン酸およびその誘導体などである。 本発明における重合性のある炭素−炭素不飽和結合を
有する化合物と反応するポリエステルとは、溶剤あるい
は水に対して溶解性あるいは分散性のあるものであり、
要すれば炭素−炭素不飽和結合を有する化合物との反応
が均一系であってもよく、不均一系で行なわれてもよ
い。例えばこのポリエステルが分散体として媒体中に存
在している場合は、反応においてポリエステルが核とな
り、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物が外核を形成
するいわゆるシェル−コア構造となる。このポリエステ
ルは、飽和ポリエステルであってもよく、不飽和ポリエ
ステルでもよく、イオン性であってもよく、非イオン性
であってもよい。飽和かつ非イオン性のポリエステル
は、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカ
ルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸など
の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸などのオキシカ
ルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体などを用
いることができ、グリコール成分としては、エチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールなどの脂肪族グリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコ
ール、p−キシレンジオールなどの芳香族ジオール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコールなどのポリ(オキシアルキ
レン)グリコールを用いることができる。これらのポリ
エステルは、線状であるが、3価以上のエステル形成成
分を用いて分枝状ポリエステルとすることもできる。 これらのポリエステルにイオン性基を導入し、ポリエ
ステルを更に水分散性あるいは水溶性を向上させること
が好ましい。ここでイオン性基としては、アニオン性基
が好ましく、このアニオン性基とは、スルホン酸あるい
はカルボン酸あるいはその塩類である。 このスルホン酸塩、カルボン酸塩の塩とは、アンモニ
ウム塩、メチルアミンやエタノールアミンなどのアミン
塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムな
どの金属塩である。スルホン酸塩基を有するポリエステ
ルとしては、特公昭47−40873号、特開昭50−83497号、
特開昭50−121336号、特開昭52−155640号などで公知の
ポリエステルあるいはそれらに準じたポリエステルを用
いることができる。スルホン酸塩基のポリエステルへの
導入方法としては、スルホイソフタル酸、スルホテレフ
タル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸お
よびそのエステル形成性誘導体などの金属塩をポリエス
テルのエステル交換あるいは重合工程中に添加し、共重
合する方法、エステル形成性脂肪族不飽和化合物を共重
合したポリエステルの不飽和基を亜硫酸水素ナトリウム
あるいはメタ亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤でス
ルホン化する方法、スチレンスルホン酸塩、メタクリル
スルホン酸塩などをラジカル開始剤などを用いてポリエ
ステルにグラフトする方法などがある。カルボン酸塩基
をポリエステルに導入する方法としては、特開昭61−22
8030号に示されているようなカルボン酸塩基を有するジ
オキシ化合物をポリエステルと反応させる方法、アクリ
ル酸塩、メタクリル酸塩などをラジカル開始剤などを用
いてポリエステルに導入する方法などがある。 不飽和ポリエステルとしては、特公昭45−2201、46−
20502、44−7134、特開昭48−78233、50−58123などで
知られている様に、共重合性不飽和基を有する原料成分
を必須として、他の原料成分と反応させて得られる樹脂
骨格中に共重合性不飽和基を保有せしめたもの、あるい
は、特公昭49−47916、50−6223などの様にまず共重合
性不飽和基をもたない飽和ポリエステルをえたのち、そ
の飽和ポリエステル中に存在すると水酸基又はカルボキ
シル基などの官能基と反応性を有する官能基とビニル基
をもった、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートな
どのエポキシ基とビニル基を有するもの、ビニルメトキ
シシラン、(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシ
ランなどのアルコキシシラノール基とビニル基を有する
もの、無水マレン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの
酸無水基とビニル基を有するもの、2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート−ヘキサメチレンジイソシア
ネート等モル付加物などのイソシアネート基とビニル基
を有するものなどのビニル系モノマーを飽和ポリエステ
ルに付加させて得られるものなどがあるがこれらに限定
されるものではない。 本発明における炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
とポリエステルとの反応生成物を得る方法は、ポリエス
テルを水あるいは溶媒に分散あるいは溶解した状態で炭
素−炭素不飽和結合を有する化合物と混合し、反応触媒
として、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、第3
級ブチルパーオキサイド、ジ−第3級ブチルパーオキサ
イド、アセチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニ
トリル、クメンハイドロパーオキサイド、過硫酸アンモ
ニウム、過硫酸カリウム、2,2−アゾビスアミジノメタ
ン、2,2−アゾビスアミノエタンまたはこれらの塩酸
塩、硫酸塩、硝酸第2セリウムアンモニウムなどの重合
開始剤あるいは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェ
ニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェ
ニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オ
ンなどの光重合開始剤を用いて公知の方法で実施できる
が、これらに限定されるものではない。 本発明における重合性のある炭素−炭素不飽和結合を
有する化合物とポリエステルとの反応生成物中のポリエ
ステルの割合いは、要求される特性に応じて異なるが、
好ましくは5重量%〜95重量%、さらに好ましくは10重
量%〜80重量%である。ポリエステルが5重量%よりも
少ない場合は、ポリエステルフィルムへの接着性や塗膜
強度が低下する場合があり、95重量%よりも多い場合
は、炭素−炭素不飽和結合を有する化合物の有用な特性
が反応生成物に有効に導入されない場合があるため好ま
しくない。 本発明における塗布剤からなる塗布液は、有機溶剤に
溶解した状態でも用いることができるが、塗布延伸法で
用いるためには水溶性あるいは水分散体であることが好
ましい。この反応生成物を水溶性あるいは水分散体とす
る方法は、ポリエステルにアニオン性基などの親水性基
を結合したものを用いる方法あるいは炭素−炭素不飽和
結合化合物として親水性化合物を併用する方法などによ
り、反応生成物を親水化しておくことにより、公知の方
法で可能となる。本発明における塗布液の媒体は好まし
くは水であるが、塗布剤の凝集安定性、基体のポリエス
テルフィルムへの塗布性、塗布剤の造膜性などの改良の
ため、アルコール類、セルソルブ類、N−メチルピロリ
ドンなどの有機溶剤を塗布液に配合してもよい。 本発明における塗布液には、塗布層の固着性(ブロッ
キング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のた
め架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化し
た尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド
系、ポリアミド系などの化合物、エポキシ化合物、アジ
リジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカ
ップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミ
ネートカップリング剤、熱、過酸化物、光反応性のビニ
ル化合物や感光性樹脂などを含有していてもよい。ま
た、固着性や滑り性の改良のため無機系微粒子としてシ
リカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、ジルコニ
ウムゾル、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チ
タン、バリウム塩、カーボンブラック、硫化モリブデ
ン、酸化アンチモンゾルなどを含有していてもよく、更
に必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防
止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していて
もよい。また、本発明の塗布液には、本発明におけるポ
リマー以外のポリマーを塗布液あるいは塗布層の特性改
良のため含有していてもよい。 上述した塗布液をポリエステルフィルムに塗布する方
法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーテ
ィング方式」に示されるリバースロールコーター、グラ
ビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーターあ
るいはこれら以外の塗布装置を用いてポリエステル未延
伸フィルムに塗布液を塗布し、逐次あるいは同時に2軸
延伸する方法、1軸延伸されたポリエステルフィルムに
塗布し、さらに先の1軸延伸方向と直角の方向に延伸す
る方法、あるいは2軸延伸ポリエステルフィルムに塗布
し、さらに横および/または縦方向に延伸する方法など
がある。 上述の延伸工程は、好ましくは60−130℃でおこなわ
れ、延伸倍率は、面積倍率で少なくとも4倍以上、好ま
しくは6〜20倍である。延伸されたフィルムは150〜250
℃で熱処理される。 更に、熱処理の最高温度ゾーン及び/又は熱処理出口
のクーリングソーンにて縦方向及び横方向に0.2〜20%
弛緩するのが好ましい。 特に、60〜130℃でロール延伸法により2〜6倍に延
伸された1軸延伸ポリエステルフィルムに塗布液を塗布
し、適当な乾燥を行ない、あるいは乾燥を施さずポリエ
ステル1軸延伸フィルムをただちに先の延伸方向とは直
角方向に80〜130℃で2〜6倍に延伸し、150〜250℃で
1〜600秒間熱処理を行なう方法が好ましい。 本方法によるならば、延伸と同時に塗布層の乾燥が可
能になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄くす
ることができ、ポリエステルフィルム基材として好適な
フィルムを比較的に安価に製造できる。 本発明における塗布液は、ポリエステルフィルムの片
面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。片
面にのみ塗布した場合、その反対面には本発明における
塗布液以外の塗布層を必要に応じて形成し、本発明のポ
リエステルフィルムに他の特性を付与することもでき
る。 なお、塗布剤のフィルムへの塗布性、接着性を改良す
るため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理を施し
てもよい。また、 また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの塗布
層への接着性、塗布性などを改良するため、塗布層形成
後に塗布層に放電処理を施してもよい。 上述のようにして得られる本発明の塗布液を塗布され
たポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの厚
さが1ないし10であることが好ましく、塗布層の厚さ
は、0.01μから1μの範囲が好ましく、さらに好ましく
は0.02μから0.5μの範囲である。塗布層の厚さが0.01
μ未満では均一な塗布層が得にくいため製品に塗布むら
が生じやすく、1μより厚い場合は、昇華型インクによ
る画像形成の精度が低下し好ましくない。 本発明における昇華型インク層とは、イエロー、マゼ
ンタ、シアンの昇華性固体染料をバインダーに分散させ
たものである。昇華性固体染料の代表的な例を示す。 イエロー:Color Index Disperse Yellow 7、例えばBASF
社製 パラニールイエロー 5RX(商品名) マゼンタ:Color Index Disperse Red 60例えば住友化学
工業社製スミカロンRED−FBL(商品名) シアン:Color Index Solvent Blue 108 昇華型染料としては、転写温度が適温付近の比較的せ
まい温度で急激に昇華するものが理想である。熱転写に
適応できる染料は、大部分が分子量230〜370の範囲の染
料で、この範囲の染料は昇華特性が染色に適しているば
かりでなく、被染物の内部に拡散しやすい大きさでもあ
る。構造的にはスルホン酸、カルボキシル基などのイオ
ン性基は含まず、水酸基、アミノ基、ニトロ基、スルホ
ン基などの極性基を適度に有する構造となっているのが
好ましい。 本発明における昇華型インク層のバインダーとして
は、染料分子がよりよく昇華しやすいものであること
と、染料が均一に分散しやすいものであることが好まし
い。このようなバインダーとしては、セルロース系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミ
ドなどがあるが、これらに限定されるものではない。 昇華型インク層中の染料の含有量は、多いほど染色濃
度は高くなるが、バインダー中での分散性に問題があ
り、使用される用途の必要特性な応じて、決めるのがよ
い。 昇華型インク層の厚さは、好ましくは0.5μ〜10μ、
さらに好ましくは1μ〜5μである。 本発明における易滑層とはサーマルヘッドや通電感熱
型ならばピン電極との滑り性を付与して、情報の精密な
伝達を達成するために必要である。特にサーマルヘッド
を用いる場合は、易滑層のないポリエステルフィルムの
ままでは、サーマルヘッドによりフィルムが溶融し、サ
ーマルヘッドとフィルムが粘着し、良好な滑り性が得ら
れないのである。 易滑層の組成は、バインダー樹脂と表面粗度を適度に
与え滑り性を付与するための粒子、滑り性を付与するた
めの潤滑剤を組合せ、必要に応じて帯電防止剤などを使
用する。バインダー樹脂としては、シリコーンやフッ素
成分を導入して、それによって滑り性を付与することが
できる。易滑層に耐熱性が必要とされる場合は、ポリイ
ミドなどのいわゆる耐熱性樹脂を用いても良いが、フッ
素樹脂や架橋性のシリコーン樹脂を用いることが良い。
また、耐熱性を良くするため、熱硬化性樹脂や紫外線な
どの活性架橋性樹脂などを用い、架橋密度を上げること
によっても対処できる。易滑層は、塗布延伸法を用いて
形成することもできるが、耐熱性に重点をおく場合に
は、2軸延伸後のポリエステルフィルムに形成するの
が、塗布剤の選択、架橋条件の範囲が広くなり好まし
い。易滑層の厚さは、好ましくは、0.05μ〜5μ、さら
に好ましくは0.1μ〜1μである。 〔実施例〕 以下、本発明を実施例において更に詳細に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限
定されない。なお、実施例における評価方法は、次に述
べる方法による。 (1)昇華型インク層と基体フィルムとの接着性 粘着テープとしてニチバン社製のセロハンテープ(商
品名)あるいはスリーエム社製のスコッチ メンティン
グテープ810(商品名)を昇華型インク層に貼りつけ、
急速剥離を行ない、インク層の剥離の有無を評価した。 (2)転写記録 厚さ200μの上質紙に東洋紡績社製のポリエステルで
あるバイロナールMD−1200(商品名)10部(固型分重
量、以下同様)、日本シリカ工業社製のシリカであるニ
ップシルE220A(商品名)1部からなる厚さ5μの染着
受像層を形成した受像紙と熱転写記録シートを重ね、8
ドット/mmの発熱抵抗体記録密度を有するサーマルヘッ
ドで0.3W/ドットの電力を10ミリ秒間印加して転写記録
を行なった。評価は、下記の(A)、(B)で判定し
た。 (A)受像紙に昇華型インク層自体が転着しているかど
うかを目視で観察した。 (B)色濃度は、マクベス社製のデンシトメーターRD−
514型(商品名)を用い、下記の式により算出した。 色濃度:log10(Io/I) Io:標準白色板からの反射光の強さ I :受像紙に染着された面からの反射光の強さ 実施例1 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを280〜3
00℃の温度で冷却ドラム上に溶融押出しし、厚さ50μの
無定形フィルムを得た。このフィルムを95℃で縦方向に
延伸し、このフィルムの片面にアクリレート化合物とポ
リエステルの反応生成物である高松油脂社製ペスレジン
A517(商品名)90部(固型分重量、以下同様)とアルキ
ロールメラミン10部からなる塗布液を塗布し、さらに11
0℃で横方向に3.5倍延伸し、215℃で熱処理して、塗布
層の厚さ0.11μ、基体のフィルムの厚さ4.1μの二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。 このフィルムの塗布層のない面にベンゾフェノン−3,
3′,4,4′−テトラカルボン酸無水物とトリレンジイソ
シアネート(80モル%)及び4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(20モル%)から得られるポリイミド
86部、平均粒径0.07μの炭酸カルシウム粒子7部、信越
化学工業社製のフッ素系シリコンオイルであるFL−100
(商品名)7部からなる塗布厚さ0.10μの易滑層を設け
た。該易滑層の裏面の塗布層上に で表わされる色素17部、ダイセル化学工業社製の酢酸セ
ルロースであるL−30(商品名)83部からなる厚さ1.5
μの昇華型インク層を設け、熱転写記録材を作成した。 得られた熱転写記録昇華型インク層と基体フィルムと
の接着性は、急速剥離試験によっても剥離はなく良好で
あった。また、転写記録法で評価したところ、受像紙へ
のインク層の転着はなく、インク層と基体フィルムとの
接着性は良好であった。受像紙の色濃度は、いわゆるべ
た印刷状で1.8と実用上問題はなかった。 比較例1 実施例1において塗布しない以外は実施例1と同様に
して塗布層のない厚さ4.1μの二軸延伸ポリエステルフ
ィルムを得た。該フィルムに実施例1と同様にして、易
滑層と昇華型インク層を設け、熱転写記録材を作成し
た。 昇華型インク層と基体フィルムとの接着性試験は、急
速剥離試験で容易に剥離し、不良なものであった。ま
た、転写記録法で評価したところ、べた印刷での色濃度
では、実施例1と大差ないものの、受像面を観察すると
インク層が転着している部分があり、べた印刷ではない
実画像としてカラー化した場合、その転着部分の画像精
度および色調が不良部分となっており、製品として使用
できるものではなかった。 実施例2 固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを280〜3
00℃の温度で冷却ドラム上に溶融押出しし、厚さ52μの
無定形フィルムを得た。このフィルムを90℃で縦方向に
3.4倍延伸し、このフィルムの片面にエポキシ基を有す
るアクリレート化合物とポリエステルの反応生成物であ
る高松油脂社製ペスレジンA517G(商品名)90部とアル
キロールメラミン10部からなる塗布液を塗布し、さらに
110℃で横方向に3.5倍に延伸し、このフィルムをさらに
120℃で縦方向に1.05倍延伸後、220℃で熱処理して塗布
層の厚さ0.07μ、基体のフィルムの厚さ4.2μの二軸延
伸ポリエステルフィルムを得た。 該フィルムの塗布層のない面にトリメチロールプロパ
ントリアクリレート30部、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート70部、分子量が約650の両末端シラノール
ジメチロールポリシロキサン2部、分子量が約2500のメ
チルハイドロジエンポリシロキサン1部、ベンゾイルエ
チルエーテル3部、ジブチル錫ジラウレート0.1部を酢
酸エチル溶媒中で反応させ得られた生成物85部、日本触
媒化学工業社製のベンゾグアナミン系の粒子であるエポ
スターS(商品名)10部、トーレシリコーン社製のポリ
エーテル変成シリコーンであるDC11PA(商品名)5部か
らなる塗布層をメタルハライドランプで照射し、厚さ0.
6μの硬化塗膜による易滑層を形成した。 易滑層の裏面の塗布層上に日本化薬社製のカヤセット
B(商品名)10部、セルロースアセテートプロピオネー
ト15部、シリカゲル2部、メチロールメラミン1部から
なる厚さ2.0μの昇華型インク層を形成し、熱転写記録
材を作成した。 得られた感熱転写記録材のインク層と基体のポリエス
テルフィルムの接着性は、急速剥離試験においても剥離
もなく良好であった。また、転写記録法で評価したとこ
ろ、受像紙へのインク層の転着はなく、転写後の色濃度
および画像精度は良好であった。 実施例3 実施例1で用いた塗布剤の代わりにアクリルアミドと
ポリエステルの反応生成物である高松油脂社製NT−2
(商品名)を塗布する以外は、実施例1と同様に塗布層
の厚さ0.15μ、基体のフィルムの厚さ4.1μの二軸延伸
ポリエステルフィルムを得た。このフィルムに実施例1
と同様にして、易滑層と昇華型インク層を形成して、熱
転写記録材を得た。 得られた熱転写記録材のインク層と基体ポリエステル
フィルムの接着性は、急速剥離試験で剥離もなく良好で
あった。 また、転写記録法で評価したところ、受像紙へのイン
ク層の転着はなく、転写後の色濃度および画像精度は良
好であった。 〔発明の効果〕 本発明の昇華型感熱転写記録材は、昇華型インク層と
基体のポリエステルフィルムとの接着性が良好であるた
め、転写記録時にインク層が受像紙に剥離によって転着
することもなく、且つ良好な染料の昇華性を示し、優れ
た画像形成性を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 能彦 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 ダイアホイル株式会社研究所内 (72)発明者 木下 信一 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 ダイアホイル株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−45089(JP,A) 特開 昭62−251190(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/38

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.下記置換基群から選ばれる少なくとも一つの置換基
    および重合性のある炭素−炭素不飽和結合を有する化合
    物を、ポリエステルを含有する水溶液または水分散液中
    で重合して得られる反応生成物を含有する塗布液を、ポ
    リエステルフィルムの少なくとも片面に塗布後、該フィ
    ルムを延伸し、得られる二軸延伸ポリエステルフィルム
    の塗布層上に形成させた昇華方インク層と該インク層を
    形成させたポリエステルフィルム面と反対面に形成させ
    た易滑層を含むことを特徴とする昇華型感熱転写記録
    材。 置換基群:エステル基、カルボキシル基、エポキシ基、
    アミド基、ハロゲン基、不飽和ジカルボン酸エステル
    基、フェニル基、置換基を有するフェニレン基
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