JP3837922B2 - 記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録において、インク吸収性に優れ、良好なカラー記録が可能で、画像濃度が高く、画像の色調が鮮明で発色性(艶)が良好で、しかも耐水性、耐湿性に優れたインクジェットプリンター用記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、OAの普及により、オフィス内で文書を作成し記録する要求が高まっており、低騒音で画像品質に優れたプリンターが求められている。これらの要求を満たすものとして電子写真複写機やインクジェットプリンター、熱転写プリンターが実用化されている。また、近年カラーコピー技術が完成の域に達し、カラー複写機/プリンターが徐々に普及している。中でもインクジェットプリンターの普及にはめざましいものがある。
インクジェットプリンターにはノズルのつまりを防ぐために乾燥しにくいインクが用いられ、このインクの成分は、バインダー、染料、溶媒、添加剤などを水に溶解したものが一般的である。従って記録シートは吸水性の良いものを用いることが必要であり、通常、インク吸収性の良い特別な紙が用いられている。
【0003】
従来から多種多様の記録シートが提案されてきた。
【0004】
例えば、特開昭52−53012号公報には、原紙に表面加工用塗料を含浸させる記録シートが開示されている。特開昭53−49113号公報には尿素−ホルマリン樹脂粉末を内添したシートに水溶性高分子を含浸させる記録シートが開示されている。特開昭55−146786号公報には水溶性高分子を塗工した例が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来の記録シートには、インク吸収性は速いが、ドット径が大きくなりやすく、ドット周辺がぼけやすい、記録後の用紙の寸法変化が大きい等の欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、紙は耐水性、耐湿性等に劣ることから、これらの欠点を有していないプラスチックフィルムが適応できれば、種々の分野でその利点が生かされる。
【0007】
インクジェットプリンターによる記録においてインク吸収性の低いシートを用いると、インクの乾燥が不十分となったり、あるいはまったく乾燥しないことも起こり、指でこすったり、重ね合わされたりすると、記録部分が汚れて事実上使用できない。これらの点を改良するために、基材のインク吸収性を向上させるために、例えばポリビニルアルコール、でんぷん、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸やその塩類などの水溶性高分子記録層を設けることが提案されている(例えば、特開昭61−59239号公報、特公平−27941号公報、特公平2−34792号公報)。しかし、従来の記録層は、インク吸収性を満足しているにしても、耐水性が悪く、記録層や記録部が水に溶けて記録画像が消失したり、また表面がべとついて記録画像が滲んだり、シートを積層した場合ブロッキングを生じたりする問題点を有するものであった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決し、インク吸収性に優れ、しかも耐水性、耐湿性、発色性(艶)に優れたインクジェットプリンター用記録シートを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する本発明のインクジェット用記録シートは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にインク受容層が設けられてなるインクジェット用記録シートにおいて、該インク受容層が水溶性あるいは水分散性の、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であるポリエステル樹脂と、カルボン酸基、第4級アンモニウム塩基、及びエーテル基を有するカチオン性高分子樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の態様】
以下、さらに詳しく本発明のインクジェット用記録シートについて説明をする。
【0011】
本発明のインクジェット用記録シートは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面にインク受容層が設けられてなり、かつ、該インク受容層は、水溶性あるいは水分散性の、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であるポリエステル樹脂と、カルボン酸基、第4級アンモニウム塩基及びエーテル基を有するカチオン性高分子樹脂を含有してなるものである。
【0012】
該インク受容層は、水溶性あるいは水分散性の前記特定のポリエステル樹脂と、前記特定なカチオン性高分子樹脂の双方を含有することが必須であるが、かかる水溶性あるいは水分散性のポリエステル樹脂を含有しない場合には、インク吸収性が低下し好ましくない。また、かかるカチオン性高分子樹脂を含有しない場合には、耐水性が低下し好ましくない。本発明においては、好ましくは、該ポリエステル樹脂と、該カチオン性高分子樹脂を主たる成分として、インク受容層が構成されてなり、これら樹脂が含有されていることにより、インク染着性や耐湿性の向上という相乗的効果も得られている。
【0013】
本発明のインクジェット用記録シートにおいて、基材としては、耐水性、耐湿性の点からポリエステルフィルムが用いられる。
【0015】
さらに、上記ポリエステルフィルムの中でも、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリエチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましいものであり、これらの中で機械的特性、作業性などの品質、経済性などを総合的に勘案すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレートがさらに好ましい。
【0016】
本発明におけるポリエステルとは、具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス−α,β(2−クロルフェノキシ)エタン4,4’−ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの2官能カルボン酸の少なくとも1種と、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどのグリコールの少なくとも1種とを重縮合して得られるポリエステルである。また、該ポリエステルには、本発明の効果が損なわれない範囲内で多種ポリマーがブレンドされたり、共重合されていてもよいし、さらには、酸化防止剤、熱安定剤、滑材、顔料、紫外線吸収剤などが含まれていてもよい。ポリエステルの固有粘度(25℃オルトクロルフェノール中で測定)は、通常0.4〜2.0、好ましくは0.5〜1.0の範囲にするとよい。
【0017】
本発明において、基材として白色のものを用いても良く、例えば、基材に用いられる上述ポリエステルフィルムとして、ポリエステル中に白色無機粒子を含有させること等により白色化させているものを用いることもできる。
【0018】
白色無機粒子とは、無着色に近い無機粒子をいい、炭酸カルシウム、非晶質ゼオライト粒子、アナターゼ型の二酸化チタン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、クレーなどを用いることができる。このような無機粒子以外にも、ポリエステル重合反応系で触媒残査とリン化合物との反応により析出した微粒子を用いることもできる。
【0019】
また、フィルム内部に微細な気泡を含有させ、該気泡で光を散乱させることにより白色化させているものを用いることもできる。このような微細な気泡の形成は、フィルム母材、例えばポリエステル中に、非相溶ポリマー、例えばポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、セルローストリアセテート、セルローストリプロピオネート、ポリクロロトリフルオロエチレンなどを細かく分散させる、あるいは上述した白色化微粒子を添加して、それを1軸または2軸に延伸することにより形成される。これは、延伸に際して、非相溶ポリマー粒子の周りにボイド(気泡)が形成され、これが光の散乱作用を発揮するため白色化されるものである。また、そのようなフィルムは、微細気泡を有するため比重が低くなり、クッション性も有するため、鮮明な画像が得られ、好ましいものである。
【0020】
このような気泡含有ポリエステルフィルムを用いる場合、該気泡含有ポリエステルフィルムの見掛け比重は0.4以上1.3以下、好ましくは0.6以上1.2以下であるのが望ましい。見掛け比重が上記範囲より低いと機械的性質や熱寸法安定性が劣り好ましくない。
【0021】
ポリエステルフィルムは、適宜の表面処理、すなわち、例えばコロナ放電処理(空気中、窒素中、炭酸ガス中など)や易接着処理が施されたフィルムである場合、記録層との密着性、耐水性、耐溶剤性などが改良されるので、好ましく使用される。易接着処理は各種の方法を用いることができ、フィルム製造工程中でアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系などの各種接着剤を塗布したもの、あるいは一軸または二軸延伸後のフィルムに上述したような各種接着剤を塗布したものなどを好適に用いることができる。
【0022】
また、基材フィルムは透明フィルムでも着色されたフィルムでもよい。
【0023】
この基材の厚みは特に限定されないが、通常10μm以上500μm以下、好ましくは20μm以上300μm以下、更に好ましくは30μm以上250μm以下であるのが望ましい。
【0025】
本発明に用いられる水溶性あるいは水分散性ポリエステル樹脂は、好ましくは、ポリエステル樹脂が、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体、又は親水性のラジカル重合性ビニルモノマーおよび他の共重合可能なビニルモノマーとの共重合体である。特に、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体の場合には、インク吸水性が向上するので好ましく、また、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーおよび他の共重合可能なビニルモノマーとの共重合体の場合には、更に、耐水性が向上するので好ましいものである。
【0026】
本発明に用いられる水溶性あるいは水分散性ポリエステル樹脂は、例えば、従来から知られている製造技術によりジカルボン酸とジオールとを、エステル化(エステル交換)、重縮合させることによって製造され得るが、その製造方法については特に限定されるものではない。
【0027】
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸またはそのエステルを主体とすることが好ましいが、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸のような脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸またはこれらのエステルを、ジカルボン酸成分として、あるいはその一部として使用することもできる。
【0028】
一方、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール類等が使用される。
【0029】
さらに本発明においては水溶性を付与するために、親水性基を有する成分、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジオール成分が共重合される。またインクの染着性を向上させるためにアクリル酸アミノアルキル、メタクリル酸アミノアルキルの4級アンモニウム塩等のカチオン系モノマーを共重合することが好ましい。
【0030】
本発明において、好ましく使用できる親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアクリル酸エステル、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のグリコールエステル、さらにはアクリルアミド系化合物、グリシジルアクリレート系化合物、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和酸およびその塩等を例示できる。
【0031】
本発明において使用できる共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、ジメチルビニルメトキシシラン等のビニルシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物を例示できる。
【0032】
本発明において使用できる親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとしては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアクリル酸エステル、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等のグリコールエステル、さらにはアクリルアミド系化合物、グリシジルアクリレート系化合物、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の含窒素ビニル系化合物、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和酸およびその塩などがある。
【0033】
本発明において使用できる共重合可能な他のビニルモノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル、ジメチルビニルメトキシシラン等のビニルシラン、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン等のオレフィンやジオレフィン化合物などがある。
【0034】
本発明に用いることのできるカチオン性高分子樹脂は、カルボン酸基、第4級アンモニウム塩基およびエーテル基を有するものである。例えば、これらとスチレンやアクリル酸系エステルとの共重合物等を用いることができるものである。かかる官能基を含有するカチオン性高分子樹脂は、ポリエステルフィルムとの接着性が向上し、さらに、インク染着性、受容層の耐水性が向上する。カルボン酸基を有する具体例としては、例えば、アクリル酸を用いることができる。エーテル基を有する具体例としては、例えば、メトキシエチルメタクリレートを用いることができる。
【0035】
第4級アンモニウム塩に代表されるカチオン性単量体としては、具体的には、例えば(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシトリメチルアンモニウムメチルサルフェ−ト等の(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルアミド系カチオン性単量体を用いることができる。
【0036】
ここでいうアクリル酸系エステルとは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを指すもので、好ましくは脂肪酸アルコールのエステルである。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート、プロピルメタアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシルエチルアクリレート等を用いることができる。
【0037】
本発明において、インク受容層に、該インク受容層の耐水性を向上させるために、メラミン、エポキシ、イソシアネート、オキサゾリン化合物、ジルコニウム化合物等の中から選ばれた硬化剤のうち少なくとも1種を用いることが好ましく、中でもジルコニウム系硬化剤が耐水性、塗液の安定性等からより好ましい。
【0038】
さらに本発明において、インク受容層のレベリング性、インクの染着性を向上させるために、フッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。フッ素界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩等パーフルオロアルキル基含有フッ素系界面活性剤等を用いることができるが、これらに限定されない。中でも、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物が各種溶剤に対する溶解性、低起泡性、表面張力低下能等に優れており好ましい。
【0039】
本発明のインク受容層には、必要に応じて他の親水性樹脂を混合することができる。親水性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアルキレンオキシド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ゼラチン等を用いることができるが、これらに限定されない。
【0040】
インク受容層の塗布厚さは特に限定されないが、1〜50μm、好ましくは2〜30μmである。これより薄いと得られる記録層のインク吸収性が劣り、これより厚いと作業性が悪くなったり、ブロッキングを生じやすくなり好ましくない。
【0041】
本発明では、インクジェット用記録シートとして用いたとき、静電気による塵埃等の付着や走行性の点から帯電防止機能を付与させるのが好ましい。帯電防止性を付与させるには、ポリエステルフィルム基材の一方の面に受容層を設け、他方の面に帯電防止層を設けたり、受容層に帯電防止剤を添加するのが望ましい。
【0042】
本発明でいう帯電防止層とは、帯電防止剤からなる被覆層、帯電防止剤を含む樹脂層、金属あるいは金属酸化物からなる蒸着層等であって、帯電防止剤には界面活性剤、導電性ポリマ、導電性カーボン微粒子、金属あるいは金属酸化物微粒子等を用いることができる。
【0043】
本発明において、インクジェット用記録シート(以下、単に記録シートという)の走行性、重走性を改良するために受容層と反対面のポリエステルフィルム基材表面に帯電防止剤を塗布したり、無機や有機の微粒子を含む塗剤を塗布してもよい。
【0044】
本発明において、記録特性をより高めるために受容層や帯電防止層に、無機/およびまたは有機粒子を分散させてもよい。無機粒子としては例えば、シリカ、クレー、タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミ、合成ゼオライト、アルミナ、酸化亜鉛、雲母などを用いることができる。有機粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、それらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネートなどのプラスチックピグメントを好ましく用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本発明における記録シートの受容層には、本発明の効果が損なわれない範囲で各種の添加剤、例えば、シリコーン系レベリング剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、蛍光増白剤、染料などを含有せしめてもよい。
【0046】
記録層の塗布方法は特に限定されないが、グラビアコート法、リバースコート法、キスコート法、ダイコート法、バーコート法などの方法を用いることができる。この際、フィルム上には塗布する前に必要に応じて空気中あるいはそのほかの雰囲気中でのコロナ放電処理や、プライマー処理などの表面処理を施すことによって、塗布性が良化するのみならず、受容層をより強固にフィルム上に形成することができる。尚、塗剤濃度、塗膜乾燥条件は特に限定されるものではないが、塗膜乾燥条件は基材の諸特性に悪影響を及ぼさない範囲で行うのが望ましい。
【0047】
【実施例】
まず、本発明における各種特性の評価方法について説明する。
【0048】
(1)インクジェット記録性:
エプソン(株)製インクジェットプリンターPM700Cを用い、ベタ画像及び写真画像をインクジェット記録し、画像品質、インク吸収性を評価し、記録性を以下のように判定した。なお、画像品質は拡大鏡を用いて肉眼観察にて評価し、インク吸収性は記録直後記録部分を指で1回こすった場合のインクによる記録層の汚れ度合いにより評価した。
【0049】
画像品質:
◎:非常に良好(ドットが均一で鮮明)である。
【0050】
○:良好である。
【0051】
△:やや劣る。
【0052】
×:ドットの流れ、はじき、にじみなどがある。
【0053】
インク吸収性:
◎:非常に良好(記録層がまったく汚れない)である。
【0054】
○:良好である。
【0055】
△:やや劣る。
【0056】
×:インクがとれ、記録層が汚れる。
【0057】
(2)記録画像の耐水性:
インクジェット記録した記録シートを水中に1分間浸漬し、画像の流れ度合いを評価した。
【0058】
○:画像が全く流れない。
【0059】
△:画像が僅かに流れる。
【0060】
×:画像が流れる。
【0061】
(3)記録画像の耐湿性:
インクジェット記録した記録シートを40℃/80%RHの雰囲気中に1日間放置し、画像のにじみ度合いを評価した。
【0062】
○:画像が全くにじまない。
【0063】
△:画像が僅かににじむ。
【0064】
×:画像がにじむ。
【0065】
(4)比重:
フィルムを100×100mm角に切り、ダイアルゲージ(三豊製作所製No.2109−10)に直径10mmの測定子(No.7002)を取り付けたものにて最低10点の厚みを測定し、厚みの平均値d(μm)を計算する。また、このフィルムを直示天秤にて秤量し、重さw(g)を10-4gの単位まで読みとる。このとき、比重=w/d×100とした。
【0066】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0067】
実施例1
常法によって製造されたポリエチレンテレフタレートのホモポリマーチップ(固有粘度:0.62、融点:259℃)を用いて、常法によって厚み100μm、比重1.4の2軸延伸ポリエステルフィルムを得た。このようにして得られたポリエステルフィルムの上にコロナ放電処理を行った。次にコロナ放電処理面に受容層として、親水性ラジカル重合性ビニルモノマーを共重合したポリエステル樹脂(高松油脂(株)製、NS141LX)と、第4級アンモニウム塩、カルボン酸およびエーテル基を有するカチオン性アクリル樹脂(日本純薬(株)製 ジュリマーSPO−602)及びジルコニウム系硬化剤(第一希元素化学工業(株)、ジルコゾールZC−2)が固形分比で100/100/2となるように水/メタノール=2/1溶媒に溶解し、固形分17%の溶液とし、乾燥後の厚みが10μmになるようにリバースコーターにて塗布し、120℃で1分間乾燥させ本発明の記録シートを得た。
【0068】
かくして得られた記録シートの記録特性は第1表に示した通りで、記録性が良好で、耐水性、耐湿性も優れているものであった。また、オーバーヘッドプロジェクターで投影した場合、画像が鮮明でオーバーヘッドプロジェクター用シートとして良好であった。
【0069】
実施例2
実施例1において受容層として、親水性ラジカル重合性ビニルモノマーを共重合したポリエステル樹脂(高松油脂(株)製、NS141LX)と第4級アンモニウム塩、カルボン酸およびエーテル基を有するカチオン性アクリル樹脂(日本純薬(株)製、ジュリマーSPO−602)とポリビニルピロリドン(BASF社製 ルビスコールK−90)及びジルコニウム系硬化剤(第一希元素化学工業(株)、ジルコゾールZC−2)が固形分比で100/100/50/2となるように水/メタノール=2/1溶媒に溶解し、固形分15%の溶液として塗布した以外は同様にして本発明の記録シートを得た。
【0070】
かくして得られた記録シートの記録特性は表1に示した通りで、記録性が良好で、耐水性、耐湿性も優れているものであった。また、オーバーヘッドプロジェクターで投影した場合、画像が鮮明でオーバーヘッドプロジェクター用シートとして良好であった。
【0071】
実施例3
ポリエテレンテレフタレートのチップおよび分子量4000のポリエチレングリコールをポリエチレンテレフタレートの重合時に添加したマスターチップを180℃で真空乾燥した後に、ポリエチレンテレフタレート89重量%、ポリエチレングリコール1重量%、ポリメチルペンテン10重量%となるように混合し、270〜300℃に加熱された押出機Bに供給する。また、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを10重量%含有したポリエチレンテレフタレートを上記のように乾燥した後に、押出機Aに供給する。押出機A、Bより押出されたポリマーをA/B/Aの3層構成となるように積層し、Tダイよりシート状に成形した。
【0072】
さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜95℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。
【0073】
続いて縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一冷却後、室温まで冷やして巻き取り、厚み100μm、比重1.0の白色フィルムを得た。該フィルムの積層構成は5/90/5μmであった。上述方法によって得られたポリエステルフィルムの上に受容層として実施例2と同様にして記録シートを得た。かくして得られた記録シートの記録特性は表1に示した通りで、記録性が良好で、耐水性、耐湿性も優れているものであった。
【0074】
実施例4
実施例1において受容層として、親水性ラジカル重合性ビニルモノマーを共重合したポリエステル樹脂(高松油脂(株)製、NS141LX)と第4級アンモニウム塩、カルボン酸およびエーテル基を有するカチオン性アクリル樹脂(日本純薬(株)製 ジュリマーSPO−602)とポリビニルピロリドン(BASF社製、ルビスコールK−90)とフッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−142D)及びジルコニウム系硬化剤(第一希元素化学工業(株)、ジルコゾールZC−2)が固形分比で100/100/50/1/2となるように水/メタノール=2/1溶媒に溶解し、固形分15%の溶液として塗布した以外は同様にして本発明の記録シートを得た。
【0075】
かくして得られた記録シートの記録特性は第1表に示した通りで、記録性が良好で、耐水性、耐湿性も優れているものであった。また、オーバーヘッドプロジェクターで投影した場合、画像が鮮明でオーバーヘッドプロジェクター用シートとして良好であった。
【0076】
比較例1
実施例1において、受容層として、親水性ラジカル重合性ビニルモノマーを共重合したポリエステル樹脂(高松油脂(株)製、NS141LX)を含まない以外は同様にして記録シートを得た。かくして得られた記録シートの記録特性は第1表に示した通りで、画像品質、インク吸収性に劣るものであった。
比較例2
実施例1において、受容層として、第4級アンモニウム塩、カルボン酸およびエーテル基を有するカチオン性アクリル樹脂(日本純薬(株)製、ジュリマ−SPO−602)を含まない以外は同様にして記録シートを得た。かくして得られた記録シートの記録特性は第1表に示した通りで、画像品質、インク吸収性に劣るものであった。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明のインクジェット用記録シートは、インク吸収性、印字性、画像品質、耐水性、耐湿性が非常に優れたものであり、特にカラーインクジェットプリンター用記録シートとして好ましく用いられる。
Claims (8)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面にインク受容層が設けられてなるインクジェット用記録シートにおいて、該インク受容層が水溶性あるいは水分散性の、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーとの共重合体であるポリエステル樹脂と、カルボン酸基、第4級アンモニウム塩基及びエーテル基を有するカチオン性高分子樹脂を含有することを特徴とするインクジェット用記録シート。
- ポリエステル樹脂が、親水性のラジカル重合性ビニルモノマーおよび他の共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用記録シート。
- インク受容層が、メラミン、エポキシ、イソシアネート、オキサゾリンおよびジルコニウム系硬化剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用記録シート。
- インク受容層が、フッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
- フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である請求項4に記載のインクジェット用記録シート。
- ポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン2,6−ナフタレートで構成されたフィルムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
- ポリエステルフィルムが、白色ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット用記録シート。
- 白色ポリエステルフィルムが、見かけ比重0.4以上1.3以下の白色ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット用記録シート。
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