JP2797046B2 - プレーナ構造を有する静電誘導ダイオード - Google Patents

プレーナ構造を有する静電誘導ダイオード

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JP2797046B2
JP2797046B2 JP4204434A JP20443492A JP2797046B2 JP 2797046 B2 JP2797046 B2 JP 2797046B2 JP 4204434 A JP4204434 A JP 4204434A JP 20443492 A JP20443492 A JP 20443492A JP 2797046 B2 JP2797046 B2 JP 2797046B2
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尚茂 玉蟲
公裕 村岡
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Toyo Electric Manufacturing Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力用半導体素子とし
て、ダイオードに関し、特に高抵抗層領域内にキャリア
のライフタイム分布を持たせアノード層,カソード層近
傍はライフタイムを長く設定して静電誘導効果を顕著に
働かせるとともにアノード層,カソード層から離隔する
に従ってライフタイムを徐々に短く設定する特徴を有
し、アノード層,カソード層の両方もしくはカソード層
のみに静電誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、
比較的構造が簡単でかつ高速化・低損失化,高耐圧化を
達成できるプレーナ構造を有する静電誘導ダイオードに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来高速ダイオードとしては、村岡、井
口、堀田、清水により開示された「高速ダイオード」特
許第1607804号、村岡により開示された「高速ダ
イオード」特許第1607805号等がある。上記ダイ
オードの構造においてはカソード側をN+ + + +
……構造とすることによって、カソード側に短絡構造を
設け、逆回復時におけるキャリアの蓄積を抑制し、かつ
オン電圧を低減化する工夫が施されている。
【0003】一方、静電誘導効果を利用する構造をアノ
ード側もしくはカソード側或いは両方の側において設定
する静電誘導ダイオードについては、乾田、西澤、玉蟲
により「pn接合ダイオード」特開平1−91475号
公報において開示されている。
【0004】従来の静電誘導ダイオードにおいては、高
耐圧化のための具体的構造が開示されていなかった。ま
たアノード層,カソード層において静電誘導効果を充分
に発揮させるためのライフタイム分布について、特にア
ノードからカソード方向の縦方向についてのライフタイ
ム分布について、何ら提案されていなかった。更にま
た、高耐圧化に伴なう静電誘導障壁の低下を防止するた
めの電界緩和層を設定する等の工夫も配慮されていなか
った。また、アノード層もしくはカソード層の両方の層
においてそれぞれ設定する静電誘導短絡領域に対して広
い領域からキャリアを取り込むための構造的工夫につい
ても何ら提案されていなかった。更にまた、カソード層
のみにおいて積極的に静電誘導効果をもたらすための構
造的工夫とその理由についても配慮されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高耐圧の静電誘導ダイ
オードにおいては高抵抗層領域を比較的厚く形成する必
要がある。更に高電界が高抵抗層領域に印加される方が
高速動作に向くため、高抵抗層領域は、i層に近い方が
よい。一方、このような高電界が印加される高耐圧ダイ
オードにおいては、アノード層及びカソード層内にも電
界が侵入するため、アノード層及びカソード層を比較的
厚く形成する必要が生ずる。更に、このような高電界の
侵入を緩和するためアノード層,カソード層にはp
- 層,n- 層を介在させて、電界緩和層を形成する必要
が生ずる。
【0006】更に、静電誘導ダイオード構造において
は、キャリアを吸収するためのn+ アノード短絡領域及
びp+ カソード短絡領域の前面には実質的にp+ アノー
ド領域及びn+ カソード領域でそれぞれ挟まれたチャネ
ル領域が形成され、しかもこのチャネル領域内の電位障
壁によってそれぞれの短絡領域は充分に電気的にシール
ドされている必要がある。しかしながら、高耐圧化を指
向し、強電界がアノード側,カソード側に侵入しやすい
構造においては、これらのダイオードの電位障壁の低下
を招き、リーク電流の増大、高耐圧化に対する抑制効果
を生ずるもととなる。
【0007】更に、高耐圧でしかも大電流のダイオード
に対しては、これらの高耐圧化のための問題点の克服の
みならず、オン状態における電流を均一化する構造的工
夫が必要となる。
【0008】更に、逆回復時の電荷量を低減化するとと
もに、アノード及びカソード側から深さ方向に広い領域
に高速に空乏層を広げ、アノード層,カソード層からキ
ャリアを吸収するとともに、短絡領域からのキャリアの
吸収効果を高め、アノード側近傍,カソード側近傍のキ
ャリアを広く吸収できる構造が望ましい。
【0009】更に、高耐圧化に伴なう高抵抗層領域の厚
さの増大によって高抵抗層領域の厚さ方向の深い領域に
おける残留キャリアによる逆回復時間の増大を抑制する
必要が生ずる。
【0010】本発明の目的はアノード層,カソード層の
両方の層に静電誘導効果を利用したプレーナ構造を設定
し、高抵抗層領域内にライフタイム分布を設定し、しか
も高耐圧に伴なう強電界を緩和する電界緩和層をアノー
ド層,カソード層の両方に設定して、高耐圧,大電流,
高速,低損失のプレーナ構造を有する静電誘導ダイオー
ドを提供することにある。
【0011】本発明の別の目的の1つはアノード層,カ
ソード層の内、カソード層のみに静電誘導効果を利用し
たプレーナ構造を有し、高抵抗層領域内にはライフタイ
ム分布を設定し、しかも高耐圧化に伴なう強電界を緩和
する電界緩和層をカソード層に設定して、比較的構造が
簡単で高耐圧,大電流,高速,低損失のプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードを提供することにある。
【0012】更に、本発明の目的の一つは、強電界を緩
和する電界緩和層を平坦な形状もしては波形形状に形成
して、強電界に伴なう静電誘導障壁の低下を抑制し、高
耐圧化に向いたプレーナ構造を有する静電誘導ダイオー
ドを提供することを目的とする。
【0013】更に、本発明の目的の一つは、静電誘導短
絡領域を従来の静電誘導ダイオード構造と比べ比較的広
く拡張された領域に形成し、キャリアの吸収の効果を高
めたプレーナ構造を有する静電誘導ダイオードを提供す
ることを目的とする。
【0014】更に具体的に本発明の目的の一つは、アノ
ード層よりはむしろカソード層に、プレーナ構造の静電
誘導効果を効果的に引き起こす構造を積極的に導入する
ことによって、カソード層内のp+ 静電誘導短絡領域に
対する正孔の取り込み効率を高め、n+ カソード領域か
ら広がる空乏層によって正孔のシャッター効果を高め、
逆回復時間の短縮されたプレーナ構造の静電誘導ダイオ
ードを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の構造的特徴は高
耐圧化静電誘導ダイオードとしての構造上、高抵抗層領
域中にライフタイムの分布を持たせ、アノード層,カソ
ード層の内、両方もしくはカソード層のみにプレーナ構
造の静電誘導短絡構造を有することを特徴とする。また
アノード層,カソード層の両方もしくはカソード層のみ
には電界緩和層を具備し、静電誘導短絡領域から広い範
囲のキャリアを吸収する構造にある。
【0016】従って、本発明の構成は以下に示す通りで
ある。即ち、本発明は、アノード層(1)と、カソード
層(2)と、前記アノード層(1)と前記カソード層
(2)に挟まれた高抵抗層領域(5,8,9)と、及び
前記アノード層(1),前記カソード層(2)にそれぞ
れ接触するアノード電極(10),カソード電極(1
1)を具備するダイオードにおいて、前記アノード層
(1),前記カソード層(2)の両方の層に静電誘導効
果を利用したプレーナ構造を設定し、前記高抵抗層領域
(5,8,9)は、該高抵抗層領域(5,8,9)内に
おいて、キャリアのライフタイム分布に前記アノード層
(1)から前記カソード層(2)に向かう前記高抵抗層
領域(5,8,9)の厚さ方向において場所的に変化す
るライフタイム分布を具備し、前記アノード層(1)及
び前記カソード層(2)近傍においてライフタイムが長
く、前記アノード層(1)及び前記カソード層(2)か
ら前記高抵抗層領域(5,8,9)内の厚さ方向に離隔
するに従ってライフタイムが徐々に短くなり、前記アノ
ード電極(10)及び前記カソード電極(11)間に印
加する逆バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記
アノード層(1)及び前記カソード層(2)から前記高
抵抗層領域(5,8,9)内に広がる最大空乏層幅をW
A ,WK とし、前記高抵抗層領域(5,8,9)の中性
領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高抵
抗層領域(5,8,9)内に最小のライフタイムτO
分布し、前記アノード層(1)は、所定の厚さWp を有
するp- 電界緩和層(12)と、前記p- 電界緩和層
(12)中に形成されかつ前記アノード電極(10)に
接触して短絡された高不純物密度のp+ アノード領域
(3)とn+ 静電誘導短絡領域(4)とを含み、前記p
+ アノード領域(3)から広がる空乏層によって前記n
+ 静電誘導短絡領域(4)は電気的にシールドされると
ともに、前記n+ 静電誘導短絡領域(4)前面の前記p
+ アノード領域(3)で挟まれたチャネル領域には電子
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記n+
静電誘導短絡領域(4)と前記電子に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は電子の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記カソード層(2)は、所定の厚さWn
有するn- 電界緩和層(13)と、前記n- 電界緩和層
(13)中に形成されかつ前記カソード電極(11)に
接触して短絡された高不純物密度のn+ カソード領域
(6)とp+ 静電誘導短絡領域(7)とを含み、前記n
+ カソード領域(6)から広がる空乏層によって前記p
+ 静電誘導短絡領域(7)は電気的にシールドされると
ともに、前記p+ 静電誘導短絡領域(7)前面の前記n
+ カソード領域(6)で挟まれたチャネル領域には正孔
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記p+
静電誘導短絡領域(7)と前記正孔に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は正孔の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層
(12)と、前記所定の厚さWnを有するn- 電界緩和
層(13)とは、前記高抵抗層領域(5,8,9)に対
して平坦な形状に形成されたことを特徴とするプレーナ
構造を有する静電誘導ダイオードとしての構成を有す
る。
【0017】或いはまた、アノード層(1)と、カソー
ド層(2)と、前記アノード層(1)と前記カソード層
(2)に挟まれた高抵抗層領域(5,8,9)と、及び
前記アノード層(1),前記カソード層(2)にそれぞ
れ接触するアノード電極(10),カソード電極(1
1)を具備するダイオードにおいて、前記アノード層
(1),前記カソード層(2)の両方の層に静電誘導効
果を利用したプレーナ構造を設定し、前記高抵抗層領域
(5,8,9)は、該高抵抗層領域(5,8,9)内に
おいて、キャリアのライフタイム分布に前記アノード層
(1)から前記カソード層(2)に向かう前記高抵抗層
領域(5,8,9)の厚さ方向において場所的に変化す
るライフタイム分布を具備し、前記アノード層(1)及
び前記カソード層(2)近傍においてライフタイムが長
く、前記アノード層(1)及び前記カソード層(2)か
ら前記高抵抗層領域(5,8,9)内の厚さ方向に離隔
するに従ってライフタイムが徐々に短くなり、前記アノ
ード電極(10)及び前記カソード電極(11)間に印
加する逆バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記
アノード層(1)及び前記カソード層(2)から前記高
抵抗層領域(5,8,9)内に広がる最大空乏層幅をW
A ,WK とし、前記高抵抗層領域(5,8,9)の中性
領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高抵
抗層領域(5,8,9)内に最小のライフタイムτO
分布し、前記アノード層(1)は、所定の厚さWp を有
するp- 電界緩和層(12)と、前記p- 電界緩和層
(12)中に形成されかつ前記アノード電極(10)に
接触して短絡された高不純物密度のp+ アノード領域
(3)とn+ 静電誘導短絡領域(4)とを含み、前記p
+ アノード領域(3)から広がる空乏層によって前記n
+ 静電誘導短絡領域(4)は電気的にシールドされると
ともに、前記n+ 静電誘導短絡領域(4)前面の前記p
+ アノード領域(3)で挟まれたチャネル領域には電子
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記n+
静電誘導短絡領域(4)と前記電子に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は電子の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記カソード層(2)は、所定の厚さWn
有するn- 電界緩和層(13)と、前記n- 電界緩和層
(13)中に形成されかつ前記カソード電極(11)に
接触して短絡された高不純物密度のn+ カソード領域
(6)とp+ 静電誘導短絡領域(7)とを含み、前記n
+ カソード領域(6)から広がる空乏層によって前記p
+ 静電誘導短絡領域(7)は電気的にシールドされると
ともに、前記p+ 静電誘導短絡領域(7)前面の前記n
+ カソード領域(6)で挟まれたチャネル領域には正孔
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記p+
静電誘導短絡領域(7)と前記正孔に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は正孔の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層
(12)は、前記高抵抗層領域(5,8,9)に対し
て、前記高不純物密度のp+ アノード領域(3)の周囲
を実質的に囲む波形形状に形成され、前記所定の厚さW
n を有するn- 電界緩和層(13)は、前記高抵抗層領
域(5,8,9)に対して、前記高不純物密度のn+
ソード領域(6)の周囲を実質的に囲む波形形状に形成
されたことを特徴とするプレーナ構造を有する静電誘導
ダイオードとしての構成を有する。
【0018】或いはまた、アノード層(1)と、カソー
ド層(2)と、前記アノード層(1)と前記カソード層
(2)に挟まれた高抵抗層領域(5,8,9)と、及び
前記アノード層(1),前記カソード層(2)にそれぞ
れ接触するアノード電極(10),カソード電極(1
1)を具備するダイオードにおいて、前記アノード層
(1),前記カソード層(2)の両方の層に静電誘導効
果を利用したプレーナ構造を設定し、前記高抵抗層領域
(5,8,9)は、該高抵抗層領域(5,8,9)内に
おいて、キャリアのライフタイム分布に前記アノード層
(1)から前記カソード層(2)に向かう前記高抵抗層
領域(5,8,9)の厚さ方向において場所的に変化す
るライフタイム分布を具備し、前記アノード層(1)及
び前記カソード層(2)近傍においてライフタイムが長
く、前記アノード層(1)及び前記カソード層(2)か
ら前記高抵抗層領域(5,8,9)内の厚さ方向に離隔
するに従ってライフタイムが徐々に短くなり、前記アノ
ード電極(10)及び前記カソード電極(11)間に印
加する逆バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記
アノード層(1)及び前記カソード層(2)から前記高
抵抗層領域(5,8,9)内に広がる最大空乏層幅をW
A ,WK とし、前記高抵抗層領域(5,8,9)の中性
領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高抵
抗層領域(5,8,9)内に最小のライフタイムτO
分布し、前記アノード層(1)は、所定の厚さWp を有
するp- 電界緩和層(12)と、前記p- 電界緩和層
(12)中に形成されかつ前記アノード電極(10)に
接触して短絡された高不純物密度のp+ アノード領域
(3)とn+ 静電誘導短絡領域(4)とを含み、前記p
+ アノード領域(3)から広がる空乏層によって前記n
+ 静電誘導短絡領域(4)は電気的にシールドされると
ともに、前記n+ 静電誘導短絡領域(4)前面の前記p
+ アノード領域(3)で挟まれたチャネル領域には電子
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記n+
静電誘導短絡領域(4)と前記電子に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は電子の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記カソード層(2)は、所定の厚さWn
有するn- 電界緩和層(13)と、前記n- 電界緩和層
(13)中に形成されかつ前記カソード電極(11)に
接触して短絡された高不純物密度のn+ カソード領域
(6)とp+ 静電誘導短絡領域(7)とを含み、前記n
+ カソード領域(6)から広がる空乏層によって前記p
+ 静電誘導短絡領域(7)は電気的にシールドされると
ともに、前記p+ 静電誘導短絡領域(7)前面の前記n
+ カソード領域(6)で挟まれたチャネル領域には正孔
に対する充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記p+
静電誘導短絡領域(7)と前記正孔に対する充分に高い
電位障壁との間の距離は正孔の拡散長よりも短いことを
特徴とし、前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層
(12)は、前記高抵抗層領域(5,8,9)に対し
て、前記高不純物密度のp+ アノード領域(3)の周囲
を実質的に囲む波形形状に形成され、前記所定の厚さW
n を有するn- 電界緩和層(13)は、前記高抵抗層領
域(5,8,9)に対して、前記高不純物密度のn+
ソード領域(6)の周囲を実質的に囲む波形形状に形成
され、更に、前記n+ 静電誘導短絡領域(4)は前記高
不純物密度のp+ アノード領域(3)と接するか一部分
において重複した拡張された静電誘導短絡領域(16)
を形成し、前記p+ 静電誘導短絡領域(7)は前記高不
純物密度のn+ カソード領域(6)と接するか一部分に
おいて重複した拡張された静電誘導短絡領域(17)を
形成することを特徴とするプレーナ構造を有する静電誘
導ダイオードとしての構成を有する。
【0019】或いはまた、アノード層(1)と、カソー
ド層(2)と、前記アノード層(1)と前記カソード層
(2)に挟まれた高抵抗層領域(5,8,9)と、及び
前記アノード層(1),前記カソード層(2)にそれぞ
れ接触するアノード電極(10),カソード電極(1
1)を具備するダイオードにおいて、前記カソード層
(2)に静電誘導効果を利用したプレーナ構造を設定
し、前記高抵抗層領域(5,8,9)は、該高抵抗層領
域(5,8,9)内において、キャリアのライフタイム
分布に前記アノード層(1)から前記カソード層(2)
に向かう前記高抵抗層領域(5,8,9)の厚さ方向に
おいて場所的に変化するライフタイム分布を具備し、前
記アノード層(1)及び前記カソード層(2)近傍にお
いてライフタイムが長く、前記アノード層(1)及び前
記カソード層(2)から前記高抵抗層領域(5,8,
9)内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが徐
々に短くなり、前記アノード電極(10)及び前記カソ
ード電極(11)間に印加する逆バイアス電圧の印加時
において、それぞれ前記アノード層(1)及び前記カソ
ード層(2)から前記高抵抗層領域(5,8,9)内に
広がる最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領
域(5,8,9)の中性領域の厚さをWi とすると、W
i の幅を有する前記高抵抗層領域(5,8,9)内に最
小のライフタイムτO が分布し、前記アノード層(1)
は、前記高抵抗層領域(5,8,9)に対して平坦な
状のpもしくはp+ 層(1)として形成され、前記カソ
ード層(2)は、所定の厚さWn を有するn- 電界緩和
層(13)と、前記n- 電界緩和層(13)中に形成さ
れかつ前記カソード電極(11)に接触して短絡された
高不純物密度のn+ カソード領域(6)とp+ 静電誘導
短絡領域(7)とを含み、前記n+ カソード領域(6)
から広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導短絡領域
(7)は電気的にシールドされるとともに、前記p+
電誘導短絡領域(7)前面の前記n+ カソード領域
(6)で挟まれたチャネル領域には正孔に対する充分に
高い電位障壁が形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領
域(7)と前記正孔に対する充分に高い電位障壁との間
の距離は正孔の拡散長よりも短いことを特徴とし、前記
所定の厚さWn を有するn- 電界緩和層(13)は前記
高抵抗層領域(5,8,9)に対して平坦な形状に形成
され、前記p+ 静電誘導短絡領域(7)は前記高不純物
密度のn+ カソード領域(6)と接するか一部分におい
て重複した拡張された静電誘導短絡領域(17)を形成
することを特徴とするプレーナ構造を有する静電誘導ダ
イオードとしての構成を有する。
【0020】或いはまた、アノード層(1)と、カソー
ド層(2)と、前記アノード層(1)と前記カソード層
(2)に挟まれた高抵抗層領域(5,8,9)と、及び
前記アノード層(1),前記カソード層(2)にそれぞ
れ接触するアノード電極(10),カソード電極(1
1)を具備するダイオードにおいて、前記アノード層
(1),前記カソード層(2)の両方の層に静電誘導効
果を利用したプレーナ構造を設定し、前記高抵抗層領域
(5,8,9)は、該高抵抗層領域(5,8,9)内に
おいて、キャリアのライフタイム分布に前記アノード層
(1)から前記カソード層(2)に向かう前記高抵抗層
領域(5,8,9)の厚さ方向において場所的に変化す
るライフタイム分布を具備し、前記アノード層(1)及
び前記カソード層(2)近傍においてライフタイムが長
く、前記アノード層(1)及び前記カソード層(2)か
ら前記高抵抗層領域(5,8,9)内の厚さ方向に離隔
するに従ってライフタイムが徐々に短くなり、前記アノ
ード電極(10)及び前記カソード電極(11)間に印
加する逆バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記
アノード層(1)及び前記カソード層(2)から前記高
抵抗層領域(5,8,9)内に広がる最大空乏層幅をW
A ,WK とし、前記高抵抗層領域(5,8,9)の中性
領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高抵
抗層領域(5,8,9)内に最小のライフタイムτO
分布し、前記アノード層(1)は、所定の厚さWp を有
する(p,p- )電界緩和層(12)と、前記(p,p
- )電界緩和層(12)中に形成されかつ前記アノード
電極(10)に接触して短絡された高不純物密度のp+
アノード領域(3)とn+ 静電誘導短絡領域(4)とを
含み、前記p+ アノード領域(3)から広がる空乏層に
よって前記n+ 静電誘導短絡領域(4)は電気的にシー
ルドされるとともに、前記n+ 静電誘導短絡領域(4)
前面の前記p+ アノード領域(3)で挟まれたチャネル
領域には電子に対する充分に高い電位障壁が形成され、
かつ前記n+ 静電誘導短絡領域(4)と前記電子に対す
る充分に高い電位障壁との間の距離は電子の拡散長より
も短いことを特徴とし、前記カソード層(2)は、所定
の厚さWn を有する(n,n- )電界緩和層(13)
と、前記(n,n- )電界緩和層(13)中に形成され
かつ前記カソード電極(11)に接触して短絡された高
不純物密度のn+ カソード領域(6)とp+ 静電誘導短
絡領域(7)とを含み、前記n+ カソード領域(6)か
ら広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導短絡領域
(7)は電気的にシールドされるとともに、前記p+
電誘導短絡領域(7)前面の前記n+ カソード領域
(6)で挟まれたチャネル領域には正孔に対する充分に
高い電位障壁が形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領
域(7)と前記正孔に対する充分に高い電位障壁との間
の距離は正孔の拡散長よりも短いことを特徴とし、前記
所定の厚さWp を有する(p,p- )電界緩和層(1
2)と前記所定の厚さWn を有する(n,n- )電界緩
和層(13)とは前記高抵抗層領域(5,8,9)に対
して平坦な形状に形成され、更に、前記n+ 静電誘導短
絡領域(4)は前記高不純物密度のp+ アノード領域
(3)と接するか一部分において重複した拡張された静
電誘導短絡領域(16)を形成し、前記p+ 静電誘導短
絡領域(7)は前記高不純物密度のn+ カソード領域
(6)と接するか一部分において重複した拡張された静
電誘導短絡領域(17)を形成することを特徴とするプ
レーナ構造を有する静電誘導ダイオードとしての構成を
有する。
【0021】或いはまた、前記高抵抗層領域(5)は真
性半導体からなるi層(5)であることを特徴とするプ
レーナ構造を有する静電誘導ダイオードとしての構成を
有する。
【0022】
【作用】本発明によるプレーナ構造を有する静電誘導ダ
イオードの動作原理を図1乃至図6を用いて説明する。
【0023】 図1は(p+ ,p,p- )(1)i(5)
(n+ ,n,n- )(2)ダイオードの模式的構造図と
その縦方向のi層内におけるキャリアのライフタイム分
布を表わした図である。図中〜は8種類のライフタ
イム分布を示している。(p+ ,p,p- )或いは(n
+ ,n,n- )層として表わされた領域はそれぞれアノ
ード層1,カソード層2を表わしており、特に後述の図
7乃至図9の比較例及び図10乃至図22に示す実施例
を含めて種々な形状にて形成されるプレーナ構造の静電
誘導ダイオードのアノード層1,カソード層2を代表的
に示している。Aはアノード側,Kはカソード側である
ことを示す。Wp ,Wn はそれぞれアノード層1,カソ
ード層2の厚さである。LA ,LK はi層の中央点
(0)からアノード層1,カソード層2までの寸法を表
わしている。WA ,WK はそれぞれ逆回復動作時におい
てアノード層1,カソード層2から高抵抗層領域(i)
5内に広がる空乏層の幅の最大値を示している。特に高
耐圧のダイオードにおいては高抵抗(i)層(5)の厚
さを厚く設定することから、高抵抗層領域5内に中性領
域が残ることがあるであろう。この幅をWi としてい
る。実際の動作状態においていかなる電圧がアノード,
カソード間に印加されるか及びi層の厚さと不純物密
度,(p+ ,p,p- )アノード層1の形状と不純物密
度,(n+ ,n,n-)カソード層2の形状と不純物密
度によってWA ,WK の値は変動し、Wi が非常に薄く
なる場合もある。
【0024】 図1において、τA はアノード側近傍のi
層(5)内におけるキャリアのライフタイム分布を示
し、τK はカソード側近傍のi層(5)内におけるキャ
リアのライフタイム分布を示している。τA は実際上は
i層(5)であることから、τA の分布によってi層
(5)中における正孔のライフタイムτp の分布もしく
は,電子のライフタイムτn の分布が表わされている。
但し、(p+ ,p,p- )アノード層1内においては、
τA =τn であって、静電誘導ダイオードのアノード側
におけるn+ 静電誘導短絡領域4に吸収されるべき電子
のライフタイムτnの分布に対応している。
【0025】 同様にτK の分布によってi層(5)内に
おいては、正孔のライフタイムτpの分布もしくは、電
子のライフタイムτn の分布が表わされている。
(n+ ,n,n- )カソード層2内においては、τK
τp であって、静電誘導ダイオードのカソード側におけ
るp+ 静電誘導短絡領域7に吸収されるべき正孔のライ
フタイム分布に対応している。
【0026】 本発明においては、アノード層1,カソー
ド層2近傍のライフタイムを長く設定し、これらの層か
ら離れるに従って、徐々にライフタイム分布を短く設定
することを1つの特徴としている。これらのライフタイ
ム分布を(p+ ,p,p- )(1)i(5)(n+
n,n- )(2)構造の静電誘導ダイオードにおいて、
形成する例が〜である。
【0027】 の例はWi 層内(Wi >0。Wi ≒0の
場合は、非常に薄い層に対応)に所定の幅で、徐々にτ
A からτO に減少し、或いはまたτK からτO に減少す
るU字型或いは放物型或いはV字型等のライフタイム分
布を示している。ここでτOは最小のライフタイムであ
る。
【0028】 はこれらのライフタイムの分布が溝型の
例である。即ち、矩型状にτA τOτK の分布を有する
例である。
【0029】 の分布例は、WA の端からWK の端に致
るi層(5)の幅Wi の幅にライフタイム分布をU字型
或いは放物型形状に有する例である。
【0030】 の分布例は、Wi の幅のみτO の分布を
有する溝型の例である。即ち、矩型状にτA τ
O (Wi )τK の分布を有する例である。
【0031】 の分布例は、WA の内部から徐々にライ
フタイムτA が減少し、中心点(0)近傍において最小
のライフタイムτO となり、同様にWK の内部から徐々
にライフタイムτK が減少し、中心点(0)近傍におい
て最小のライフタイムτO となる分布を有する例であ
る。
【0032】 の分布例は、WA の内部のある点から矩
型状にτA τO に分布し、同様にWK の内部のある点か
ら矩型状にτK τO に分布する例であってτA τO τK
の溝型上の分布を有する例である。
【0033】 の分布例は、Wp の端(アノード側i層
の端)からWn の端(カソード側i層の端)までの間を
τA τO τK の範囲に放物型或いはU字型或いはV字型
にライフタイム分布を有する例である。
【0034】 の分布例は、i層(5)の内部のみτO
に分布し、アノード層1,カソード層2はそれぞれ
τA ,τK に分布する例である。
【0035】 上記〜の分布例に限らず、複数の溝を
有する例,τp ,τn にそれぞれ別々の分布を持たせる
例等も考えられるが、要は、本発明においては、アノー
ド層1近傍,カソード層2近傍はライフタイムを長く設
定し、i層(5)内を相対的にライフタイムを短く設定
することを1つの特徴としている。
【0036】 図2は(p+ ,p,p- )(1)n
- (8)(n+ ,n,n- )(2)静電誘導ダイオード
の模式的構造図とn- 層(8)内におけるキャリアのラ
イフタイム分布を表わした図である。Wp ,Wn
i ,WA ,WK はそれぞれアノード層1の厚さ,カソ
ード層2の厚さ,n- 層(8)の中性領域の厚さ,アノ
ード側空乏層の最大幅,カソード側空乏層の最大幅であ
る。図1におけるi層(5)に比べ図2においてはn-
層(8)となったことから、図1においてWA ≒WK
あったものが、図2においてはWA >WK となり、Wi
が結果的に厚くなっている。LA ,LK はn- 層(8)
の中心点(0)からアノード層1,カソード層2までの
距離である。(p+ ,p,p- )アノード層1,
(n+ ,n,n- )カソード層2はそれぞれ静電誘導ダ
イオードのアノード層1,カソード層2であることを示
している。
【0037】 図2の構造においてもライフタイム分布を
〜の如く考えることができる。ライフタイム分布の
最小値τO が得られる点(場所)はn- 層(8)の中心
点(0)に限られることなく、,,,のU字
溝,V字溝,或いは放物型分布においてはWi の中心近
傍、即ち中心点(0)からカソード側に移動していても
よい。何故ならば、逆回復時において、アノード側,カ
ソード側から引き抜かれずに残留するキャリア分布が最
も高いのはn- 層(8)の中心点(0)からWi層の中
心点近傍に移行するからである。〜のライフタイム
分布の特徴については図1と同様である。
【0038】 但し、図2においては、図1の例と相違し
てτA は主としてアノード側n- 層(8)近傍における
正孔のライフタイムτp の分布,(p+ ,p,p- )ア
ノード層1内においてはn+ 静電誘導短絡領域4に吸収
されるべき電子のライフタイムτn の分布を表わし、τ
K は主としてカソード側n- 層(8)近傍における正孔
のライフタイムτp の分布を表わし、(n+ ,n,
- )カソード層2内においてはp+ 静電誘導短絡領域
7に吸収されるべき正孔のライフタイムτp の分布を表
わしている。
【0039】 図3は(p+ ,p,p- )(1)p
- (9)(n+ ,n,n- )(2)静電誘導ダイオード
の模式的構造図とp- 層(9)内におけるキャリアのラ
イフタイム分布を表わした図である。Wi はp-
(9)の中性領域の厚さである。高抵抗層がp-
(9)となったことからWA <WK であり、カソード側
からの空乏層の広がり幅WK の方がアノード側からの空
乏層の広がり幅WA よりも大きい。〜はそれぞれ8
種類のライフタイム分布を表わしている。これらの特徴
は図1,2と同様である。但し、,,,のU
字,V字,或いは放物型分布においては、ライフタイム
分布の最小となる点(場所)はp- 層(9)の中心点
(0)より、アノード側に移動していることが望まし
い。これは、逆回復時において、Wi の幅のp-
(9)内に分布する残留キャリア分布が最も高い場所は
iの中央近傍だからである。図3においては、図1,
2の例と相違して、τA はアノード側p- 層(9)近傍
における電子のライフタイム分布を表わし、(p+
p,p- )アノード層1内においてはn+ 静電誘導短絡
領域4に吸収されるべき電子のライフタイム分布を表わ
している。τK は主としてカソード側p- 層(9)近傍
における電子のライフタイム分布,(n+ ,n,n-
カソード層2においてはp+ 静電誘導短絡領域7に吸収
されるべき正孔のライフタイム分布を表わしている。
【0040】 図4は本発明の静電誘導ダイオードの原理
的な動作を説明する図であって、p+ アノード領域3の
近傍を示している。図4においてオン状態におけるp+
アノード領域3の近傍の正孔(hole)の動きを白丸(○)
の矢印の向きで示し、電子の動きを黒丸(●)の矢印の
向きで示している。また、図中には順方向電流IF の逆
回復特性が模式的に示されているが(a)は従来のpi
nダイオード、(b)は静電誘導ダイオードに対応して
いる。図4のオン状態のキャリアの動きは、IF 特性上
の黒丸の点に対応しており、p+ アノード領域3からの
正孔電流と、高抵抗層領域5側からの電子電流のn+
電誘導短絡領域4への流入の様子が示されている。
【0041】 図5は図4における静電誘導ダイオードが
オン状態からオフ状態に移行する逆回復時においてIF
=0となる時のp+ アノード領域3の近傍のキャリアの
動きを模式的に示す図である。即ち、高抵抗層領域5内
に広がる空乏層幅WA 内の正孔及びWA の端から拡散距
離Lp 内の正孔はp+ アノード領域3に吸収される。
【0042】 一方、電子の取り込み領域内の電子は、n
+ 静電誘導短絡領域4内に吸収される。電子の取り込み
領域とはn+ (4)i(5)p+ (3)間の拡散電位に
よって広がる空乏層の厚さに等しく、i層(5)と一部
+ 層(3)内に広がっている。この電子の取り込み領
域内の電子が主としてn+ 静電誘導短絡領域4に吸収さ
れる。従って、逆回復時には、WA はなるべく広い範囲
に及んで正孔を吸収する構造がよく、また電子の取り込
み領域の幅もなるべく広範囲に及ぶ方がよい。
【0043】 従って、p+ アノード領域3の近傍Wp
A の範囲のライフタイムτp ,τA を長く設定するこ
とが望ましい。また、高抵抗層領域5のより深い領域の
ライフタイムは短く設定することが望ましい。
【0044】 更に、電子の取り込み領域の幅をより広く
設定する構造例が図6である。
【0045】 即ち、図6は図5の構造に比べてn+ 静電
誘導短絡領域16を広い領域に形成している点に特徴を
有する。n+ 静電誘導短絡領域16とp+ アノード領域
3は電気的に短絡されることから、n+ 静電誘導短絡領
域16とp+ アノード領域3との間に逆バイアス電圧等
が印加されることはない。従って、n+ 静電誘導短絡領
域16がp+ アノード領域3内に充分な重なり領域をも
って形成されたとしても、p+ アノード領域3,n+
電誘導短絡領域16間の逆方向リーク電流等が特性に悪
影響を及ぼすことはない。何故ならば、短絡モードで動
作しているからである。従って、p+ アノード領域3に
印加される逆電圧によってなるべく広範囲のWA 内の正
孔を取り込み、かつn+ 静電誘導短絡領域16を広く形
成して電子の取り込み領域の幅を図5に比べて広く形成
したものが図6の構造ということになる。明らかに電子
の取り込み量が多くなることから、逆回復電荷量も小さ
くなる。図6中の(c)が拡張された静電誘導ダイオー
ドに対応し、(b)は図5の場合の静電誘導ダイオー
ド、(a)は従来のpinダイオードに対応することを
模式的に示している。
【0046】 このような拡張された静電誘導効果をアノ
ード側のみならずカソード側にも実現することができる
ことはもちろんである。更に高耐圧化のために、電界緩
和層を設定することも必要である。また図1乃至図3に
示したようにライフタイム分布を組み合わせることによ
って、静電誘導効果を高め、かつ高耐圧化に向き、逆回
復特性に優れ高速なダイオードを実現することができ
る。
【0047】 以下、図面を参照して本発明の実施例を説
明する。図7乃至図9は比較例であり、図10乃至図2
2が本発明の実施例に対応している。
【0048】
【実施例】(比較例1) 図7は第1の比較例としてのプレーナ構造を有する静電
誘導ダイオードの模式的断面構造図を示す。図7におい
てp+ アノード領域3,n+ カソード領域6はいずれも
表面ゲート構造を有している。p+ アノード領域3から
の注入正孔は主としてカソード側のp+ 静電誘導短絡領
域7に吸収され、一方n+ カソード領域6からの注入電
子は主としてアノード側のn+ 静電誘導短絡領域4に吸
収される。n+ 静電誘導短絡領域4はp+ アノード領域
3で挟まれ、かつp+ (3)i(5)間に広がる空乏層
によって取り囲まれていて、n+ 静電誘導短絡領域4の
前面には電子に対する静電誘導効果で動作するポテンシ
ャル障壁が形成されている。同様にp+ 静電誘導短絡領
域7はn+ カソード領域6で挟まれ、かつn+ (6)i
(5)間に広がる空乏層によって取り囲まれていて、p
+ 静電誘導短絡領域7の前面には正孔に対する静電誘導
効果で動作するポテンシャル障壁が形成されている。
【0049】 上記の静電誘導効果で動作するポテンシャ
ル障壁の高さは、特に高耐圧,高電界で動作する静電誘
導ダイオードの場合、充分に高く設定することが望まし
い。そのために、p+ アノード領域3及びn+ カソード
領域6を比較的深く形成する、n+ 静電誘導短絡領域4
の前面のi層にp- 層を形成する拡散もしくはイオン注
入を行なう、p+ 静電誘導短絡領域7の前面のi層にn
- 層を形成する拡散もしくはイオン注入を行なう等の工
夫を行なってもよい。
【0050】 図7においては、p+ アノード領域3に対
向する位置にp+ 静電誘導短絡領域7を設定し、n+
ソード領域6に対向する位置にn+ 静電誘導短絡領域4
を設定してオン状態における電子電流,正孔電流の流れ
の均一化を図っているが、i層(5)が厚い場合には、
必ずしも正確に対向している必要はない。
【0051】 図7に示した第1の比較例の特徴は上記の
構造上の特徴に加えて、高抵抗層領域5内にアノード・
カソード間の縦方向においてライフタイム分布を設定し
た点である。即ち、図1に原理的に例示した〜のラ
イフタイム分布を例えば図7において設定することがで
きる。p+ アノード領域3近傍,n+ カソード領域6近
傍のライフタイムτA ,τK は長く設定し、高抵抗層領
域5内のライフタイム分布を相対的にライフタイムが短
くなるように設定することによって、p+ アノード領域
3,n+ カソード領域6近傍の静電誘導効果を高めるこ
とができ、かつ高抵抗層領域5内の残留キャリアは短く
設定されたライフタイムによって比較的短時間に消滅さ
せることができる。これによって逆回復電荷量が小さ
く、逆回復時間の短いダイオードが実現でき、しかも高
耐圧化も容易となる。
【0052】 図7において、Wp ,Wn ,Wi ,LA
K はいずれも図1に対応した寸法である。WAO,WKO
は熱平衡状態におけるアノード側,カソード側の空乏層
の広がり幅に対応している。図7において図1のWA
K に対応する幅はそれぞれWA +WAO,WK +WKO
なる。τA はアノード側i層(5)近傍の正孔,電子の
ライフタイム分布を表わし、Wp 内にあっては電子のラ
イフタイム分布τn に等しいものと考えることができ
る。同様にτK はカソード側i層(5)近傍の正孔,電
子のライフタイム分布を同程度に表わし、Wn 内にあっ
ては正孔のライフタイム分布τp に等しいものと考える
ことができる。
【0053】 (比較例2) 図8は第2の比較例としてのプレーナ構造を有する静電
誘導ダイオードの模式的断面構造図を示す。図8の構造
的特徴は高抵抗層がi層の代わりにn- 層(8)となさ
れている点である。その他の領域、即ち、p+ アノード
領域3,n+ 静電誘導短絡領域4,n+ カソード領域
6,p+ 静電誘導短絡領域7の形成はいずれも図7に示
した第1の比較例と同様である。但し、n+ 静電誘導短
絡領域4の前面には、高抵抗層領域8がn- 層として形
成されることから、nチャネルの導通チャネルを生じや
すい点を考慮して、n+ 静電誘導短絡領域4の前面のn
- 層(8)の領域はp型にドープされていてもよい。例
えばp- 層が拡散もしくはイオン注入によって形成され
て、n+ 静電誘導短絡領域4の前面に静電誘導効果によ
って動作しうる充分に高い電位障壁が形成されるとよ
い。
【0054】 図8の構造上高抵抗層領域8内にはアノー
ド・カソード間において縦方向にライフタイム分布が設
定されている。この場合、高抵抗層領域8がn- 層であ
ることから、図2の原理図に示すようなτA ,τK のラ
イフタイム分布を形成することができる。即ち、図2に
示したライフタイム分布と同様に例えば〜のライフ
タイム分布を図8の構造において形成することができ
る。図8において、Wp,Wn ,Wi ,LA ,LK はい
ずれも図2に対応した寸法である。WAO,WKOは熱平衡
状態におけるn- 層(8)内に広がるアノード側空乏層
幅と、カソード側空乏層幅である。図8において図2の
A ,WK に対応する幅はそれぞれWA +WAO,WK
KOになる。図2と同様に、WA +WAO>WK +WKO
あって、,,,のライフタイム分布では、Wi
内にライフタイムの最小値τO が存在することが残留キ
ャリアを短時間に消滅させるには望ましい。
【0055】 図8においては図7の第1の比較例と相違
して、τA はアノード側n- 層(8)近傍の主として正
孔のライフタイム分布を示し、Wp 内にあっては、n+
静電誘導短絡領域4に吸収されるべき電子のライフタイ
ム分布を表わす。一方、τKは主としてカソード側n-
層(8)近傍における正孔のライフタイム分布を表わ
し、Wn 層内にあっては、p+ 静電誘導短絡領域7に吸
収されるべき正孔のライフタイム分布を表わしている。
【0056】 (比較例3) 図9は第3の比較例としてのプレーナ構造を有する静電
誘導ダイオードの模式的断面構造図を示す。図9の構造
的特徴は高抵抗層領域がp- 層(9)となされている点
である。p+ アノード領域3,n+ 静電誘導短絡領域
4,n+ カソード領域6,p+ 静電誘導短絡領域7は図
7,図8の比較例1,2とほぼ同様に形成する。但し、
高抵抗層領域9がp- 層となされていることから、p+
静電誘導短絡領域7の前面にはpチャネルが生じやすい
ため、p+ 静電誘導短絡領域7の前面のp- 層(9)の
領域を一部n型にドープするための拡散,イオン注入等
の技術を用いてもよい。これによって、p+ 静電誘導短
絡領域7の前面には充分な高さの静電誘導ポテンシャル
障壁が形成できる。図9において、Wp ,Wn ,Wi
A ,LK 等の寸法はいずれも図3に対応した寸法であ
る。WAO,WKOは熱平衡状態におけるp- 層(9)内に
広がるアノード側空乏層幅とカソード側空乏層幅であ
る。図9において図3のWA ,WK に対応する幅はそれ
ぞれWA +WAO,WK +WKOになる。
【0057】 高抵抗層領域9がp- 層であることから、
逆回復時の最大空乏層幅WA ,WKを比較すると、図
7,図8の比較例1,2とは異なり、WA +WAO<WK
+WKOとなる傾向がある。従って、アノード・カソード
間のライフタイム分布に関しては、最小のライフタイム
がWi の幅の中に存在することが望ましい。何故なら
ば、オン状態からオフ状態へ移行する動作において残留
キャリアが最も多く存在する領域がWi の幅の中にある
からである。
【0058】 図9の比較例3においては、アノード・カ
ソード間のライフタイム分布を例えば図3に示した〜
の8種類の如く設定することができる。
【0059】 図9においては、前の図7,8の比較例
1,2とは相違して、τA はアノード側p- 層(9)近
傍における電子のライフタイム分布を表わし、Wp 内に
おいてはn+ 静電誘導短絡領域4に吸収されるべき電子
のライフタイム分布を表わしている。τK は主としてカ
ソード側p- 層(9)近傍における電子のライフタイム
分布、Wn 領域内においてはp+ 静電誘導短絡領域7に
吸収されるべき正孔のライフタイム分布を表わしてい
る。
【0060】 (実施例1) 図10は本発明の第1の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図を示す。
図10は(p+ ,n+ ,p- )(1)i(5)(n+
+ ,n- )(2)ダイオード構造と考えることがで
き、Wp の幅を有するアノード層1内にはp- 電界緩和
層12中に形成されたp+ アノード領域3,n+ 静電誘
導短絡領域4を有し、Wn の幅を有するカソード層2内
にはn- 電界緩和層13中に形成されたn+ カソード領
域6,n+ 静電誘導短絡領域7を有している。これらの
- 電界緩和層12,n- 電界緩和層13は、それぞれ
実質的にアノード層1,カソード層2の一部と考えるこ
とができる。これらの両層(12,13)に挟まれたi
層(5)中に逆回復時に広がる最大空乏層幅をWA ,W
K とすると、図10の例ではWA ≒WK である。i層
(5)の中心点(0)からアノード側p- 電界緩和層1
2までの寸法をLA ,カソード側n- 電界緩和層13ま
での寸法をLK とする。Wp ,Wn 内のp- 電界緩和層
12及びn- 電界緩和層13は点線で示される如く、熱
平衡状態においてそれぞれWAO,WKOの空乏層幅をもっ
て実質的に空乏化されている。従って、n+ 静電誘導短
絡領域4の前面にはp+ アノード領域3で挟まれた充分
な高さの静電誘導ポテンシャル障壁が形成されている。
同様に、p+ 静電誘導短絡領域7の前面にはn+ カソー
ド領域6で挟まれた充分な高さの静電誘導ポテンシャル
障壁が形成されている。
【0061】- 電界緩和層12及びn- 電界緩和層1
3の役割はプレーナ構造の静電誘導ダイオードのp+
ノード領域3とn+ カソード領域6のi層(5)との間
の強電界を緩和することにある。これらのp- 電界緩和
層12及びn- 電界緩和層13をそれぞれp+ アノード
領域3及びn+ カソード領域6の周囲に配置することに
よって、逆バイアス時に高抵抗層領域5内に広がる台形
状の強電界がp+ アノード領域3及びn+ カソード領域
6に侵入することを防止することができる。
【0062】 従って、図10に示した実施例1の構造
は、図7,8,9に示した比較例1,2,3の構造に比
べて、より高耐圧の静電誘導ダイオードに向いた構造で
ある。
【0063】 静電誘導ダイオードにおいては、静電誘導
短絡領域(4,7)の前面に静電誘導ポテンシャル障壁
を有するが、この電位障壁の高さは、上記の強電界の侵
入とともに低下し、n+ 静電誘導短絡領域4及びp+
電誘導短絡領域7からのそれぞれ電子及び正孔の不要な
注入を引き起こし、逆方向リーク電流の増加を引き起こ
すことにもつながる。従って、その意味でもn+ 静電誘
導短絡領域4、p+ 静電誘導短絡領域7の前面には充分
な高さの電位障壁が形成され、逆回復時に広がる空乏層
の侵入に伴なう電界の侵入に対し、ポテンシャル障壁高
さの変動のない構成が重要となる。従って、上記の意味
でp- 電界緩和層12,n- 電界緩和層13の役割は重
要である。
【0064】 図10に示した実施例1においても図1の
原理図に示した如く、アノード・カソード間にライフタ
イム分布を設定し、残留キャリアの消滅を図っている。
即ち、図10において図1と同様に例えば〜の8種
類に例示したようなライフタイム分布を設定することが
できる。特にWi の幅の中に最小のライフタイムτO
存在するように設定することが望ましい。
【0065】 (実施例2) 図11は本発明の第2の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
図10に示した実施例1と異なる点は高抵抗層領域8が
- 層として形成されている点である。このため高抵抗
層領域8内には実質的にp- 電界緩和層12からWA
最大幅で空乏層が広がっている。尚、p- 電界緩和層1
2,n- 電界緩和層13の領域も実質的に空乏化されて
いるため、p+ アノード領域3からの空乏層の広がり幅
はほぼ、WAO+WA ,n+ カソード領域6からの空乏層
の広がり幅はWK +WKOと考えることができる。従っ
て、明らかにWAO+WA >WK +WKOであるため、アノ
ード・カソード間のライフタイム分布の最小値τO は図
11に示したWi の幅の中に存在することが望ましい。
アノード層1の各領域(12,3,4)及びカソード層
2の各領域(13,6,7)の形成においては、図10
に示した実施例1と同様に形成する。アノード・カソー
ド間のライフタイム分布は例えば図2の原理図に示した
〜の8種類を用いることがきる。
【0066】 (実施例3) 図12は本発明の第3の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
実施例1,2の構造と同様の構造を有するが、高抵抗層
領域9がp- 層として形成されている点が異なる。アノ
ード・カソード間のライフタイム分布としては図3に原
理図を示したようなライフタイム分布を例えば用いるこ
とができる。最小のライフタイムτO は図12におい
て、幅Wiの内部に存在することが望ましい。
【0067】 (実施例4) 図13は本発明の第4の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
図13は(p+ ,p- ,n+ )(1)i(5)(n+
- ,p+ )(2)ダイオード構造を有すると考えるこ
とができ、p-波形電界緩和層14,n- 波形電界緩和
層15は、それぞれ実質的にアノード層1,カソード層
2の一部と考えることができる。p- 波形電界緩和層1
4はp+アノード領域3の形状に沿って波形の形状を有
する。同様にn- 波形電界緩和層15はn+ カソード領
域6の形状に沿って波形の形状を有する。電界緩和層と
して働くp- 層(14),n- 層(15)がこのような
波形形状を有するため、n+ 静電誘導短絡層4の前面の
- チャネルの長さ(p- 層14の厚さに相当)及びp
+ 静電誘導短絡層7の前面のn- チャネルの長さ(n-
層15の厚さに相当)はp- 電界緩和層12,n- 電界
緩和層13が平坦な形状を有する図10乃至図12に示
した実施例1乃至実施例3と比較して、実質的なチャネ
ル長が短い。従って、実質的なチャネルの抵抗が低減化
される分だけオン状態における抵抗分が低減化され、順
方向電位降下が低くなる。
【0068】 図13に示した実施例4においてもアノー
ド・カソード間にライフタイム分布τA ,τK を設定す
ることによって、残留キャリアの消滅を促進させて、逆
回復時の電荷量及び逆回復時間を短縮化することができ
る。例えば、既に示したように、図1のようなライフタ
イム〜を設定することができる。最小のライフタイ
ムτO はWi の幅の中に設定されることが望ましい。
【0069】 (実施例5) 図14は本発明の第5の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
(p+ ,n+ ,p- )(1)n- (8)(n+,p+
- )(2)ダイオードと考えることができ、アノード
層1の各領域(3,4,14)は図13と同様に形成さ
れ、カソード層2の各領域(6,7,15)も図13と
同様に形成されている。逆回復時の最大の空乏層幅は,
A +WAO>WK +WKOであるから、図14のWi の幅
の中に最小のライフタイムτO が存在することが望まし
い。アノード・カソード間のライフタイム分布τA ,τ
Kとしては例えば図2に示した〜のライフタイム分
布を設定することができる。
【0070】 (実施例6) 図15は本発明の第6の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
(p+ ,n+ ,p- )(1)p- (9)(n+,p+
- )(2)ダイオードと考えることができ、アノード
層1の各領域(3,4,14)及びカソード層2の各領
域(6,7,15)はそれぞれ図13,図14の実施例
4,5と同様に形成されている。逆回復時の最大の空乏
層幅はWA +WAO<WK +WKOであることから、図15
のWi の幅の中に最小のライフタイムτO が存在するこ
とが望ましい。アノード・カソード間のライフタイム分
布としては例えば図3に示した〜のライフタイム分
布を設定することができる。
【0071】 (実施例7) 図16は本発明の第7の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図を示す。
図16の特徴は図6に図示した拡張された静電誘導短絡
領域(16,17)をアノード層1及びカソード層2に
設定し、それぞれ電子の取込み領域,正孔の取込み領域
を広く設定した点である。このように拡散された静電誘
導短絡領域(16,17)を幅広く形成することによっ
て、より多くのキャリアを主電極であるアノード電極1
0及びカソード電極11にそれぞれ吸収することができ
るため、逆回復時の電荷量を低減化でき、逆回復時間を
短縮化することができる。図16に示した実施例7では
電界緩和層として働くp-波形電界緩和層14及びn-
波形電界緩和層15はいずれも波形形状を有している
が、図10乃至図12に示すように平坦な形状として形
成してもよいことはもちろんである。
【0072】 図16の実施例7では、アノード・カソー
ド間のライフタイム分布としては図1に原理図を示した
ような〜のライフタイム分布を例えば用いることが
できる。最大空乏層幅の広がりは、WA +WAO≒WK
KOであることから、Wi 内に最小のライフタイムτO
を有することが望ましい。
【0073】 上記のようなライフタイム分布τA ,τK
を設定することによって、残留キャリアの消滅を促進さ
せて、拡張された静電誘導短絡領域(16,17)の効
果によって、更に逆回復時の電荷量及び逆回復時間を短
縮化することができる。
【0074】 (実施例8) 図17は本発明の第8の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
図16の実施例7と異なる点は高抵抗層領域8をn-
として形成した点である。逆回復時の最大空乏層幅はW
AO+WA >WK+WKOであることから、図17のWi
幅の中に最小のライフタイムτO が存在するようなライ
フタイム分布をアノード・カソード間に設定することが
望ましい。即ち、例えば図2に原理図を示した〜の
ライフタイム分布τA ,τK を図17の実施例8におい
ても用いることができる。このようなライフタイム分布
を設定することによって、拡張された静電誘導短絡領域
(16,17)の効果とともに逆回復電荷量及び逆回復
時間を短縮化することができる。
【0075】 (実施例9) 図18は本発明の第9の実施例としてのプレーナ構造を
有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。
図16,図17の実施例7,実施例8と異なる点は高抵
抗層領域9をp- 層として形成した点である。実施例8
と同様に、図18のWi の幅の中に最小のライフタイム
τO が存在するようなライフタイム分布をアノード・カ
ソード間に設定することが望ましく、また、図3に原理
図を示した〜のライフタイム分布τA ,τK を例え
ば図18の実施例9においても用いることができる。こ
のようなライフタイム分布の設定と、拡張された静電誘
導短絡領域(16,17)の効果によって、逆回復電荷
量及び逆回復時間を短縮化することができる。
【0076】 (実施例10,11,12) 図19,図20及び図21はそれぞれ本発明の第10,
第11及び第12の実施例としてのプレーナ構造を有す
る静電誘導ダイオードの模式的断面構造図である。図1
9乃至図21の構造上の差は高抵抗層領域をそれぞれi
層(5),n-層(8),p- 層(9)として形成して
いる点である。アノード層1の形状,カソード層2の形
状はいずれも共通である。即ち、アノード層1はp型の
中程度の不純物密度として形成する。これはp(1)i
(5)接合における拡散電位をあまり高く設定しないた
めである。この拡散電位を高く設定すると順方向電圧降
下が増大して結果的に望ましくないからである。一方、
カソード層2は、n- 電界緩和層13と該n- 電界緩和
層13中に形成されカソード電極11によって短絡され
たn+ カソード領域6とp+ 層からなる拡張されたp+
静電誘導短絡領域17とを有している。n- 電界緩和層
13はほぼ実質的に空乏化されていて、拡張されたp+
静電誘導短絡領域17の前面には充分な高さの静電誘導
ポテンシャル障壁が形成されている。
【0077】 図19乃至図21の実施例10乃至実施例
12の構造例においても、アノード・カソード間にライ
フタイム分布τA ,τK を設定し、残留キャリアの消滅
を促進している。このようなライフタイム分布の例とし
ては図1乃至図3に示した〜のライフタイム分布τ
A ,τK を用いることができる。図19の例ではWA
AO≒WK +WKO,図20の例ではWA +WAO>WK
KO,図21の例ではWA +WAO<WK +WKOである
が、いずれの例においてでもそれぞれのWi の幅の中に
最小のライフタイムτO が存在することが望ましい。
【0078】 図19乃至図21に示した実施例10乃至
実施例12は構造が比較的簡単であることから製造が容
易である。
【0079】 一般にpinダイオードでは逆回復時の逆
方向電界によって生ずる空乏層幅の広がる速度を考えた
場合、アノード近傍の空乏層の広がる速度dWA /dt
に比較して、カソード近傍の空乏層の広がる速度dWK
/dtの方が速い。これはi層内からアノード領域に正
孔を吸収する速度とカソード領域に電子を吸収する速度
の差であり、物理的には電子及び正孔の移動度の差に起
因している。従って、比較的構造が簡単なダイオードの
場合には、アノード層1よりはむしろ、カソード層2に
静電誘導短絡構造を積極的に導入するとともに、カソー
ド層2から比較的深い空乏層幅WK が広がりやすい構造
が望ましい。即ち、図19もしくは図21に示す実施例
10もしくは12に相当する形状が望ましいことにな
る。このようなカソード層2にのみ静電誘導短絡構造を
設定するダイオードの場合には、アノード層1は前述の
如く比較的中低濃度で、しかも浅く形成することが望ま
しいが、電界の侵入に対してパンチスルー防止のため所
定の厚さと所定の不純物密度を設定する必要がある。こ
のような意味からも図21の実施例12の構造はアノー
ド層1と高抵抗層領域9との間のp(1)p -(9)接
合におけるオン電圧の上昇を抑制しつつ、逆回復時に広
がる空乏層をWK >WA +WAOとしてカソード層2に多
く広げる構造となっている。
【0080】 (実施例13) 図22は本発明の第13の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図であ
る。高抵抗層領域をi層(5)として形成し、それぞれ
アノード層1、カソード層2に平坦な形状の(p,
- )電界緩和層12、(n,n- )電界緩和層13を
設け、更に、これらの電界緩和層(12,13)中に、
拡張されたn+ 静電誘導短絡領域16とアノード電極1
0によって短絡されたアノード領域3,及び拡張された
+ 静電誘導短絡領域17とカソード電極11によって
短絡されたカソード領域6がそれぞれ形成されている。
上記構造においてi層の代わりにn- 層,p- 層を用い
てもよいことはもちろんである。
【0081】 図22に示した実施例13においてもアノ
ード・カソード間において例えば図1に原理図を示した
ような〜のライフタイム分布τA ,τK を設定する
ことによって残留キャリアの消滅を促進し、逆回復時の
電荷量及び逆回復時間を短縮化することができる。更に
また、図22の構造例では、アノード層1,カソード層
2の両方に拡張された静電誘導短絡領域(16,17)
を設定したことにより,主電極へのキャリアの吸収の効
果が高い。
【0082】 本発明の構成は上記実施例1乃至実施例1
3に限られるものではなく、様々な構造上の拡張,変更
が可能である。またタイフタイム分布についても図1乃
至図3に示した〜の分布に限られることはなく、様
々な分布を考えることができる。このようなライフタイ
ム分布の実現方法としては、例えば多段に照射量,ドー
ズ量を変えて、プロトン照射を行なう方法、或いは、複
数のライフタイム制御の方法を組み合わせる方法,或い
はライフタイム分布を最小としたい領域において結晶を
はり合わせてライフタイム制御と組み合わせて形成する
方法等の方法がある。
【0083】 上記のアノード領域3,カソード領域6,
+ 静電誘導短絡領域4,p+ 静電誘導短絡領域7の形
成ピッチはキャリアの拡散長Ln ,Lp の寸法以下であ
ることが望ましく、微細な寸法として例えば〜1μm程
度にすれば、更に特性は良好となる。高抵抗層領域(i
(5),n- (8),p- (9))の厚さは所望の耐圧
と動作電圧を考慮して決定される。電界緩和層(12,
13,14,15)の厚さも耐圧と動作電圧,電界によ
り決定される。
【0084】 本発明の実施例1〜13の構造はいずれも
微細に形成すればするほど、オン状態において電流を均
一に流すことができ大電流化の容易な構造である。特に
平坦な形状の電界緩和層(12,13)を設ける構造で
は比較的電流は均一である。
【0085】
【発明の効果】本発明によるプレーナ構造を有する静電
誘導ダイオードにおいては、プレーナ形状を有すること
から構造が比較的簡単で製造し易い。
【0086】 また、アノード層,カソード層に静電誘導
短絡領域を設定してキャリアを主電極に吸収するため、
逆回復電荷量,逆回復時間を短縮できる。
【0087】 また、アノード層,カソード層に電界緩和
層を設けたことによって高電界の侵入を防止し、高耐圧
化に向いたダイオードが実現できる。
【0088】 更にまた、本発明によるプレーナ構造を有
する静電誘導ダイオードにおいては、アノード層近傍,
カソード層近傍は比較的ライフタイムを長く設定して静
電誘導効果が有効に働きやすい構成とし、アノード層,
カソード層側から深い位置はライフタイムを比較的短く
設定して残留キャリアの消滅を促進する構成を採用して
いることから、静電誘導短絡の効果に加えて、逆回復電
荷量が少なく、逆回復時間の短い高耐圧ダイオードを実
現することができる。
【0089】 更にまた、拡張された静電誘導短絡構造に
よって上記効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプレーナ構造を有する静電誘導ダ
イオードとして(p+ ,p,p- )i(n+ ,n,
- )ダイオードにおけるライフタイム分布τA ,τK
を説明する原理図
【図2】本発明によるプレーナ構造を有する静電誘導ダ
イオードとして(p+ ,p,p- )n- (n+ ,n,n
- )ダイオードにおけるライフタイム分布τA ,τK
説明する原理図
【図3】本発明によるプレーナ構造を有する静電誘導ダ
イオードとして(p+ ,p,p- )p- (n+ ,n,n
- )ダイオードにおけるライフタイム分布τA ,τK
説明する原理図
【図4】本発明の静電誘導ダイオードの原理的な動作を
説明する図であって、オン状態におけるアノード側近傍
のキャリアの動きを示す図
【図5】本発明の静電誘導ダイオードの原理的な動作を
説明する図であって、オン状態からオフ状態に移向する
逆回復時においてIF =0となる時のアノード側近傍の
キャリアの動きを示す図
【図6】拡張された静電誘導短絡構造の説明図
【図7】第1の比較例としてのプレーナ構造を有する静
電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図8】第2の比較例としてのプレーナ構造を有する静
電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図9】第3の比較例としてのプレーナ構造を有する静
電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図10】本発明の第1の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図11】本発明の第2の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図12】本発明の第3の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図13】本発明の第4の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図14】本発明の第5の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図15】本発明の第6の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図16】本発明の第7の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図17】本発明の第8の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図18】本発明の第9の実施例としてのプレーナ構造
を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図19】本発明の第10の実施例としてのプレーナ構
造を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図20】本発明の第11の実施例としてのプレーナ構
造を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図21】本発明の第12の実施例としてのプレーナ構
造を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【図22】本発明の第13の実施例としてのプレーナ構
造を有する静電誘導ダイオードの模式的断面構造図
【符号の説明】
1 アノード層 2 カソード層 3 p+ アノード領域 4 n+ 静電誘導短絡領域 5 高抵抗層領域(i) 6 n+ カソード領域 7 p+ 静電誘導短絡領域 8 高抵抗層領域(n- ) 9 高抵抗層領域(p- ) 10 アノード電極 11 カソード電極 12 (p,p- )電界緩和層 13 (n,n- )電界緩和層 14 p- 波形電界緩和層 15 n- 波形電界緩和層 16 拡張されたn+ 静電誘導短絡領域 17 拡張されたp+ 静電誘導短絡領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−91475(JP,A) 特開 昭55−68680(JP,A) 特開 昭62−128532(JP,A) 特開 昭53−108387(JP,A) 特開 昭55−38058(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 29/868

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アノード層と、カソード層と、前記アノー
    ド層と前記カソード層に挟まれた高抵抗層領域と、及び
    前記アノード層,前記カソード層にそれぞれ接触するア
    ノード電極,カソード電極を具備するダイオードにおい
    て、前記アノード層,前記カソード層の両方の層に静電
    誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、 前記高抵抗層領域は、該高抵抗層領域内において、キャ
    リアのライフタイム分布に前記アノード層から前記カソ
    ード層に向かう前記高抵抗層領域の厚さ方向において場
    所的に変化するライフタイム分布を具備し、前記アノー
    ド層及び前記カソード層近傍においてライフタイムが長
    く、前記アノード層及び前記カソード層から前記高抵抗
    層領域内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが
    徐々に短くなり、 前記アノード電極及び前記カソード電極間に印加する逆
    バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記アノード
    層及び前記カソード層から前記高抵抗層領域内に広がる
    最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領域の中
    性領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高
    抵抗層領域内に最小のライフタイムτOが分布し、 前記アノード層は、所定の厚さWp を有するp- 電界緩
    和層と、前記p- 電界緩和層中に形成されかつ前記アノ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のp+ アノ
    ード領域とn+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記p+
    ノード領域から広がる空乏層によって前記n+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記n+
    静電誘導短絡領域前面の前記p+ アノード領域で挟まれ
    たチャネル領域には電子に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記n+ 静電誘導短絡領域と前記電子に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は電子の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記カソード層は、所定の厚さWn を有するn- 電界緩
    和層と、前記n- 電界緩和層中に形成されかつ前記カソ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のn+ カソ
    ード領域とp+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記n+
    ソード領域から広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記p+
    静電誘導短絡領域前面の前記n+ カソード領域で挟まれ
    たチャネル領域には正孔に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領域と前記正孔に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は正孔の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層と、前記所
    定の厚さWn を有するn- 電界緩和層とは、前記高抵抗
    層領域に対して平坦な形状に形成されたことを特徴とす
    るプレーナ構造を有する静電誘導ダイオード。
  2. 【請求項2】アノード層と、カソード層と、前記アノー
    ド層と前記カソード層に挟まれた高抵抗層領域と、及び
    前記アノード層,前記カソード層にそれぞれ接触するア
    ノード電極,カソード電極を具備するダイオードにおい
    て、前記アノード層,前記カソード層の両方の層に静電
    誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、 前記高抵抗層領域は、該高抵抗層領域内において、キャ
    リアのライフタイム分布に前記アノード層から前記カソ
    ード層に向かう前記高抵抗層領域の厚さ方向において場
    所的に変化するライフタイム分布を具備し、前記アノー
    ド層及び前記カソード層近傍においてライフタイムが長
    く、前記アノード層及び前記カソード層から前記高抵抗
    層領域内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが
    徐々に短くなり、 前記アノード電極及び前記カソード電極間に印加する逆
    バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記アノード
    層及び前記カソード層から前記高抵抗層領域内に広がる
    最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領域の中
    性領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高
    抵抗層領域内に最小のライフタイムτOが分布し、 前記アノード層は、所定の厚さWp を有するp- 電界緩
    和層と、前記p- 電界緩和層中に形成されかつ前記アノ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のp+ アノ
    ード領域とn+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記p+
    ノード領域から広がる空乏層によって前記n+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記n+
    静電誘導短絡領域前面の前記p+ アノード領域で挟まれ
    たチャネル領域には電子に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記n+ 静電誘導短絡領域と前記電子に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は電子の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記カソード層は、所定の厚さWn を有するn- 電界緩
    和層と、前記n- 電界緩和層中に形成されかつ前記カソ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のn+ カソ
    ード領域とp+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記n+
    ソード領域から広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記p+
    静電誘導短絡領域前面の前記n+ カソード領域で挟まれ
    たチャネル領域には正孔に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領域と前記正孔に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は正孔の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層は、前記高
    抵抗層領域に対して、前記高不純物密度のp+ アノード
    領域の周囲を実質的に囲む波形形状に形成され、 前記所定の厚さWn を有するn- 電界緩和層は、前記高
    抵抗層領域に対して、 前記高不純物密度のn+ カソード領域の周囲を実質的に
    囲む波形形状に形成されたことを特徴とするプレーナ構
    造を有する静電誘導ダイオード。
  3. 【請求項3】アノード層と、カソード層と、前記アノー
    ド層と前記カソード層に挟まれた高抵抗層領域と、及び
    前記アノード層,前記カソード層にそれぞれ接触するア
    ノード電極,カソード電極を具備するダイオードにおい
    て、前記アノード層,前記カソード層の両方の層に静電
    誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、 前記高抵抗層領域は、該高抵抗層領域内において、キャ
    リアのライフタイム分布に前記アノード層から前記カソ
    ード層に向かう前記高抵抗層領域の厚さ方向において場
    所的に変化するライフタイム分布を具備し、前記アノー
    ド層及び前記カソード層近傍においてライフタイムが長
    く、前記アノード層及び前記カソード層から前記高抵抗
    層領域内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが
    徐々に短くなり、 前記アノード電極及び前記カソード電極間に印加する逆
    バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記アノード
    層及び前記カソード層から前記高抵抗層領域内に広がる
    最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領域の中
    性領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高
    抵抗層領域内に最小のライフタイムτOが分布し、 前記アノード層は、所定の厚さWp を有するp- 電界緩
    和層と、前記p- 電界緩和層中に形成されかつ前記アノ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のp+ アノ
    ード領域とn+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記p+
    ノード領域から広がる空乏層によって前記n+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記n+
    静電誘導短絡領域前面の前記p+ アノード領域で挟まれ
    たチャネル領域には電子に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記n+ 静電誘導短絡領域と前記電子に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は電子の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記カソード層は、所定の厚さWn を有するn- 電界緩
    和層と、前記n- 電界緩和層中に形成されかつ前記カソ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のn+ カソ
    ード領域とp+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記n+
    ソード領域から広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記p+
    静電誘導短絡領域前面の前記n+ カソード領域で挟まれ
    たチャネル領域には正孔に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領域と前記正孔に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は正孔の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記所定の厚さWp を有するp- 電界緩和層は、前記高
    抵抗層領域に対して、前記高不純物密度のp+ アノード
    領域の周囲を実質的に囲む波形形状に形成され、 前記所定の厚さWn を有するn- 電界緩和層は、前記高
    抵抗層領域に対して、前記高不純物密度のn+ カソード
    領域の周囲を実質的に囲む波形形状に形成され、 更に、前記n+ 静電誘導短絡領域は前記高不純物密度の
    + アノード領域と接するか一部分において重複した拡
    張された静電誘導短絡領域を形成し、 前記p+ 静電誘導短絡領域は前記高不純物密度のn+
    ソード領域と接するか一部分において重複した拡張され
    た静電誘導短絡領域を形成することを特徴とするプレー
    ナ構造を有する静電誘導ダイオード。
  4. 【請求項4】アノード層と、カソード層と、前記アノー
    ド層と前記カソード層に挟まれた高抵抗層領域と、及び
    前記アノード層,前記カソード層にそれぞれ接触するア
    ノード電極,カソード電極を具備するダイオードにおい
    て、前記カソード層に静電誘導効果を利用したプレーナ
    構造を設定し、 前記高抵抗層領域は、該高抵抗層領域内において、キャ
    リアのライフタイム分布に前記アノード層から前記カソ
    ード層に向かう前記高抵抗層領域の厚さ方向において場
    所的に変化するライフタイム分布を具備し、前記アノー
    ド層及び前記カソード層近傍においてライフタイムが長
    く、前記アノード層及び前記カソード層から前記高抵抗
    層領域内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが
    徐々に短くなり、 前記アノード電極及び前記カソード電極間に印加する逆
    バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記アノード
    層及び前記カソード層から前記高抵抗層領域内に広がる
    最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領域の中
    性領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高
    抵抗層領域内に最小のライフタイムτOが分布し、 前記アノード層は、前記高抵抗層領域に対して平坦な
    状のpもしくはp+ 層として形成され、 前記カソード層は、所定の厚さWn を有するn- 電界緩
    和層と、前記n- 電界緩和層中に形成されかつ前記カソ
    ード電極に接触して短絡された高不純物密度のn+ カソ
    ード領域とp+ 静電誘導短絡領域とを含み、前記n+
    ソード領域から広がる空乏層によって前記p+ 静電誘導
    短絡領域は電気的にシールドされるとともに、前記p+
    静電誘導短絡領域前面の前記n+ カソード領域で挟まれ
    たチャネル領域には正孔に対する充分に高い電位障壁が
    形成され、かつ前記p+ 静電誘導短絡領域と前記正孔に
    対する充分に高い電位障壁との間の距離は正孔の拡散長
    よりも短いことを特徴とし、 前記所定の厚さWn を有するn- 電界緩和層は前記高抵
    抗層領域に対して平坦な形状に形成され、 前記p+ 静電誘導短絡領域は前記高不純物密度のn+
    ソード領域と接するか一部分において重複した拡張され
    た静電誘導短絡領域を形成することを特徴とするプレー
    ナ構造を有する静電誘導ダイオード。
  5. 【請求項5】アノード層と、カソード層と、前記アノー
    ド層と前記カソード層に挟まれた高抵抗層領域と、及び
    前記アノード層,前記カソード層にそれぞれ接触するア
    ノード電極,カソード電極を具備するダイオードにおい
    て、前記アノード層,前記カソード層の両方の層に静電
    誘導効果を利用したプレーナ構造を設定し、 前記高抵抗層領域は、該高抵抗層領域内において、キャ
    リアのライフタイム分布に前記アノード層から前記カソ
    ード層に向かう前記高抵抗層領域の厚さ方向において場
    所的に変化するライフタイム分布を具備し、前記アノー
    ド層及び前記カソード層近傍においてライフタイムが長
    く、前記アノード層及び前記カソード層から前記高抵抗
    層領域内の厚さ方向に離隔するに従ってライフタイムが
    徐々に短くなり、 前記アノード電極及び前記カソード電極間に印加する逆
    バイアス電圧の印加時において、それぞれ前記アノード
    層及び前記カソード層から前記高抵抗層領域内に広がる
    最大空乏層幅をWA ,WK とし、前記高抵抗層領域の中
    性領域の厚さをWi とすると、Wi の幅を有する前記高
    抵抗層領域内に最小のライフタイムτOが分布し、 前記アノード層は、所定の厚さWp を有するpもしくは
    - 電界緩和層と、前記pもしくはp- 電界緩和層中に
    形成されかつ前記アノード電極に接触して短絡された高
    不純物密度のp+ アノード領域とn+ 静電誘導短絡領域
    とを含み、前記p+ アノード領域から広がる空乏層によ
    って前記n+ 静電誘導短絡領域は電気的にシールドされ
    るとともに、前記n+ 静電誘導短絡領域前面の前記p+
    アノード領域で挟まれたチャネル領域には電子に対する
    充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記n+ 静電誘導
    短絡領域と前記電子に対する充分に高い電位障壁との間
    の距離は電子の拡散長よりも短いことを特徴とし、 前記カソード層は、所定の厚さWn を有するnもしくは
    - 電界緩和層と、前記nもしくはn- 電界緩和層中に
    形成されかつ前記カソード電極に接触して短絡された高
    不純物密度のn+ カソード領域とp+ 静電誘導短絡領域
    とを含み、前記n+ カソード領域から広がる空乏層によ
    って前記p+ 静電誘導短絡領域は電気的にシールドされ
    るとともに、前記p+ 静電誘導短絡領域前面の前記n+
    カソード領域で挟まれたチャネル領域には正孔に対する
    充分に高い電位障壁が形成され、かつ前記p+ 静電誘導
    短絡領域と前記正孔に対する充分に高い電位障壁との間
    の距離は正孔の拡散長よりも短いことを特徴とし、 前記所定の厚さWp を有するpもしくはp- 電界緩和層
    と前記所定の厚さWnを有するnもしくはn- 電界緩和
    層とは前記高抵抗層領域に対して平坦な形状に形成さ
    れ、 更に、前記n+ 静電誘導短絡領域は前記高不純物密度の
    + アノード領域と接するか一部分において重複した拡
    張された静電誘導短絡領域を形成し、 前記p+ 静電誘導短絡領域は前記高不純物密度のn+
    ソード領域と接するか一部分において重複した拡張され
    た静電誘導短絡領域を形成することを特徴とするプレー
    ナ構造を有する静電誘導ダイオード。
  6. 【請求項6】前記高抵抗層領域は真性半導体からなるi
    層であることを特徴とする請求項1乃至5の内、いずれ
    か1項記載のプレーナ構造を有する静電誘導ダイオー
    ド。
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