JP3189576B2 - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

Info

Publication number
JP3189576B2
JP3189576B2 JP12753194A JP12753194A JP3189576B2 JP 3189576 B2 JP3189576 B2 JP 3189576B2 JP 12753194 A JP12753194 A JP 12753194A JP 12753194 A JP12753194 A JP 12753194A JP 3189576 B2 JP3189576 B2 JP 3189576B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
electrode
emitter
insulating film
insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP12753194A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07335868A (ja
Inventor
善則 村上
トロンナムチャイ クライソン
靖志 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP12753194A priority Critical patent/JP3189576B2/ja
Publication of JPH07335868A publication Critical patent/JPH07335868A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3189576B2 publication Critical patent/JP3189576B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Junction Field-Effect Transistors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バイポーラ型でノーマ
リ・オフ型の縦型パワー素子に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に関連した従来技術として、まず
雑誌IEEEエレクトロン・デバイス・レターズに掲載
されたトレンチ・j−MOSトランジスタ(“Character
isticsof Trench j-MOS Power Transistors" BERNARD
A. MacIVER. STEPHEN J. VALERI,KAILASH C. JAIN, JAM
ES C. ERSKINE, REBECCA ROSSEN, IEEE ELECTRON DEVIC
ELETTERS, VOL.10, NO.8, p.380-382, AUGUST 1989)を
紹介する。図21〜図23は、上記文献に記載されてい
た素子構造を示す図であり、図21は素子の表面構造
図、図22および図23は、それぞれ図21中の線分A
−A′ないし線分B−B′で切り出し、それぞれの矢印
の方向に見た断面図である。
【0003】はじめに構造を説明する。半導体はシリコ
ンである。図中、番号81は基板であるn+型ドレイン
領域、82はn型のチャネル領域、83はn+型ソース
領域である。84は絶縁膜、85は導電性多結晶シリコ
ンからなるゲート電極、86は層間絶縁膜である。以
下、84、85、86を併せて「絶縁ゲート」87と呼
ぶことにする。絶縁ゲート87は基板の表面から側壁を
垂直に掘り込まれた溝の内部に形成されており、底部は
ドレイン領域81に達している。88はp型領域で、チ
ャネル領域中に形成され、絶縁ゲート87の近くに設け
られている。93はソース電極である金属で、ソース領
域83とオーミックコンタクトしている。95はゲート
電極85にオーミックコンタクトする電極金属で、以下
「MOSゲート」と呼ぶ。98はp型領域88とオーミ
ックコンタクトする電極金属で、以下「接合ゲート」と
呼ぶことにする。91はドレイン電極であり、ドレイン
領域81とオーミックコンタクトする金属である。ドレ
イン電極91は上記の文献には明示されていなかった
が、理解を容易にするために付加した。上記の文献に示
された素子では、チャネル領域82の比抵抗は0.98
Ω−cmで、これは不純物濃度にして約5×1015cm
3に相当する。図23中に示すチャネル長Lは6μm、
チャネル厚みaは3μm、絶縁ゲート自身の厚みbは2
μmである。
【0004】次に、この素子の動作を説明する。ドレイ
ン電極91には正の電位が印加され、ソース電極93は
接地(0V)される。この素子はMOSゲートと接合ゲ
ートという2つの制御電極をもつ四端子素子である。ま
た、両者を接続して三端子素子として使用することもで
きる。三端子素子として駆動した場合の電流・電圧特性
を上記の文献から引用して図24に示す。図24には両
ゲート電位を−16〜0Vまで、2V刻みで印加した時
の特性曲線を示している。素子はノーマリ・オン型であ
り、ゲートの負電位が強いほど主電流は抑制される。ま
た、四端子素子としての電流・電圧特性を、同じく前記
文献から引用して図25に示す。これはMOSゲートの
電位を固定し、接合ゲートの電位を変化させた場合の図
である。同図にはMOSゲートに+16Vを印加した場
合と、−16Vを印加した場合を同時に示している。M
OSゲートに正電位を印加した場合、非常に低いオン抵
抗を示す。これは、図23の絶縁ゲート膜界面に誘起さ
れた蓄積層が、n+型ドレイン領域81とn+型ソース領
域83をつなぐ導電路となるからである。この時、接合
ゲートの電位は、電流・電圧特性に顕著な影響は及ぼさ
ない。MOSゲートに負電位を印加した場合、電流・電
圧特性は接合ゲートに与える電位によって変化する。図
25には接合ゲートに−3.5〜0Vまで、0.5V刻み
で印加した時の特性曲線を示している。この状態におけ
る動作機構を簡単に説明する。まず接合ゲートが0Vで
ある場合、特性曲線の線形領域、すなわちドレイン電位
が低い領域においては、MOSゲートに負電位を印加し
た時点で絶縁ゲート87近傍のチャネル領域82には空
乏層が形成され、そこで発生した正孔によってゲート絶
縁膜界面には反転層が形成される。反転層の存在はゲー
ト電極からの電界を遮蔽する。そのために空乏層の広が
り具合はJFETの場合と異なり、一定の範囲にとどま
る。その値は、前述の文献におけるデータから換算する
と片側約0.4μmで、チャネル領域には差し引き2μ
m程度の中性領域が残る。主電流はチャネル内に残った
中性領域を流れる。そしてドレイン電位が高くなるとチ
ャネル領域は通常の長チャネルJFETと同様ピンチオ
フ状態となり、電流値は飽和する。次に接合ゲートに負
電位、すなわち逆バイアスを印加してゆくと、p型領域
88からの空乏層が、p型領域88に近接する絶縁ゲー
トに到達する。すると絶縁膜界面の反転層の正孔の一部
がp型領域88へと流れ、絶縁膜界面の電位は接合ゲー
トの電位に影響されるようになる。これによってチャネ
ル領域の空乏領域は広がり、チャネル領域内の導電路は
狭まって主電流が減少する。上記の文献によれば、この
素子構造の主な利点は、四端子素子として使用したと
き、(1)オン抵抗が低い、(2)接合ゲートによる相
互コンダクタンスが高い、(3)ブロッキング・ゲイン
が高い、(4)スイッチング速度が速い、(5)三端子
素子としても動作する、などである。
【0005】しかし、この素子には以下のような限界が
ある。まず、この素子構造は高耐圧化に適していない。
先にも述べたように、この素子構造のオン抵抗が低い理
由は、絶縁ゲートがn+型のソース領域とn+型の基板の
両方に接しており、両者をゲート絶縁膜に沿って形成さ
れる蓄積層で連絡するためである。文献における素子の
設計耐圧は60Vであったが、この構造をより耐圧の高
い素子に拡張しようとすると、絶縁ゲートがn+ドレイ
ン領域に接しているこの構造は不可能になる。次に、こ
の素子は本質的に四端子素子であり、必然的に駆動方法
が煩雑になることを免れない。もちろん上述したごと
く、接合ゲートとMOSゲートをつなぎ合わせて三端子
素子として使うこともできるが、図24、図25を比較
して見ればわかるように三端子モードでは、利点である
低いオン抵抗を得られない。さらに、この素子はノーマ
リ・オン特性であり、制御信号を与えないときに主電流
が流れてしまう。よって、この素子を使う装置は別途電
流遮断装置を設けるなど、安全性を確保するために注意
を払わなければならない。
【0006】次に、第2の従来例として、公開特許公報
(特開昭57−172765号「静電誘導サイリス
タ」)に開示されたものを紹介する。図26に前記公開
公報を参照して素子の断面図を示す。図26にはこの構
造がU字型絶縁ゲートを応用した素子であることを理解
しやすくするために、前記公開公報に記載されていた構
造の3単位分を図示している。まず構造を説明する。図
中、番号61はp+型アノード領域、62はn-型ベース
領域、63はn+型カソード領域、68はp+型のゲート
領域である。64は絶縁膜であり、前記n-型ベース領
域62、n+型カソード領域63、p+型ゲート領域68
に接している。71はアノード電極、73はカソード電
極で、それぞれp+型アノード領域61、n+型カソード
領域63とオーミックコンタクトしている。65はゲー
ト電極で、p+型ゲート領域68とオーミックコンタク
トしていると共に絶縁膜64とも接している。すなわ
ち、この素子構造は「表面から掘り込まれた溝の中に絶
縁ゲートが形成され、さらにその溝の底部においてゲー
ト電極65がp+型ゲート領域68とつながってい
る」、という構造をなしている。またn-型ベース領域
62のうち、隣合う絶縁ゲートに挾まれた領域を「チャ
ネル領域」と呼ぶことにする。
【0007】次に動作を説明する。カソード電極73は
接地(0Vに)され、アノード電極71には正の電位が
印加される。素子のオフ状態は、ゲート電極65に負電
位を印加し、カソード領域前面のチャネル領域に空乏層
を形成することによって保たれる。すなわち、この素子
も第1の従来例と同様、ノーマリ・オン特性の素子であ
る。素子をオン状態に転ずるには、ゲート電極65に正
の電位を印加する。すると、ベース領域中の空乏層は消
失して電流路が開くとともに、絶縁ゲートの界面には電
子による蓄積層が瞬時に形成され、カソード領域前面の
ポテンシャルを下げ、素子のターン・オンを促進する。
この効果を得るためには、絶縁ゲートと主電流経路との
距離はキャリアの拡散長以内であることが望ましい。ま
た、この蓄積層は導電率が高いので、ゲート電流が素早
く流れるという利点もあり、ターン・オン時間は、この
機構を持たない静電誘導サイリスタより速くなる。ひと
たび、ターン・オンすれば、ゲート電位を解除してもオ
ン状態は持続する。また、ターン・オフはゲート電極に
負電位を印加し、ベース領域62内の少数キャリアを吸
い出し、再びベース領域内に空乏層を形成することで達
成する。
【0008】この素子の利点は、通常の静電誘導サイリ
スタに接合ゲートと連動した絶縁ゲートを付加したこと
により、(1)ターン・オン時には絶縁ゲート界面に蓄
積層が形成されることでターン・オン時間が短くなる、
(2)ターン・オフ時には絶縁膜近傍に空乏層が形成さ
れて電流をピンチオフしやすくなるのでターン・オフ時
間も短くなる、などである。
【0009】しかし、上記の素子構造には以下のような
困難な点がある。まず、第1にノーマリ・オン型デバイ
スであること。第2に、基本的にサイリスタなので制御
電極に積極的に遮断信号を与えなければ、素子をオフで
きない。さらに第3に図26の構造では溝の中にゲート
絶縁膜を形成し、さらにその底部にp+型ゲート領域と
のコンタクト穴を形成しなければならない。素子に充分
なブロッキング・ゲインを持たせるためには、絶縁ゲー
トを形成する溝の深さは数μm必要であるが、溝の幅を
図26に示すよりも遥かに広く取ったとしても、このよ
うな凹凸の底部にコンタクト穴を形成することは難し
い。特に電流容量を増やすために、パターンを微細化し
ようとすると、平凡なフォト・エッチング技術では困難
になってくる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、第1の
従来例では、極めて低いオン抵抗が得られるが、チップ
を大容量化・高耐圧化できないという欠点を持ってい
る。また、第2の従来例では、高耐圧化には問題ない
が、大容量化するための微細化に適さない構造である
し、素子の構造上、低オン抵抗化にも限界がある、とい
う問題もある。
【0011】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決し、ノーマリ・オフ型で、制御性に優れ、オン抵
抗の低いトランジスタを実現することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては特許請求の範囲に記載するような
構成をとる。まず、請求項1に記載の発明においては、
次のように構成している。すなわち、一導電型(例えば
n型)の半導体基体であるコレクタ領域の表面に、同じ
導電型のエミッタ領域を設ける。さらに、絶縁膜に囲ま
れ例えばU字型をした固定絶縁電極を、前記のエミッタ
領域を挟み込むように配置する。この固定絶縁電極の間
に挟まれたコレクタ領域がチャネル領域となる。この固
定絶縁電極はエミッタ領域と同電位に保たれていて、か
つ隣接するコレクタ領域ならびにチャネル領域に空乏層
を形成するような性質を有する材料、例えばp型多結晶
半導体からなる。さらに、コレクタ領域と固定絶縁電極
の絶縁膜とに接し、エミッタ領域には接しない反対導電
型(例えばp型)のインジェクタ領域を設ける。すなわ
ち、デバイスの遮断時には、固定絶縁電極のつくる空乏
層によってチャネル領域内に多数キャリア(例えば伝導
電子)に対するポテンシャル障壁が形成され、エミッタ
領域とコレクタ領域とは電気的に遮断される。また、導
通時には、外部からインジェクタ領域にしかるべき電圧
を印加し、インジェクタ領域が接している固定絶縁電極
の絶縁膜界面に少数キャリア(例えば正孔)を導入して
反転層を形成することで、固定絶縁電極のp型多結晶半
導体からn型のチャネル領域への電界を遮蔽して空乏層
を後退させ、多数キャリアに対するポテンシャル障壁を
取り払うことでチャネルを開く。さらに、インジェクタ
領域からコレクタ領域へ正孔を注入することで、コレク
タ領域の伝導度を向上させるものである。以上の構成に
ついては、すでに特願平5−33419号で本出願人が
出願(未公開)している。本発明においては、さらに、
前記溝の開口部に面している固定絶縁電極の表面が、少
なくとも前記絶縁膜との界面においては、前記エミッタ
領域の表面から前記溝の深さ方向に測って、前記エミッ
タ領域の底面よりも深い位置にあるように、すなわち固
定絶縁電極が絶縁膜を介してエミッタ領域と対面しない
ように配置している。上記の構成は、例えば後記図1〜
図4の実施例に相当する。
【0013】次に、請求項2に記載の発明においては、
請求項1の発明において、前記チャネル領域のチャネル
長、すなわち前記溝の側壁に沿って前記固定絶縁電極の
表面から底面までの距離が、前記チャネル領域のチャネ
ル厚み、すなわち対向する前記絶縁膜間の距離の少なく
とも2倍以上となるように構成している。次に、請求項
3に記載の発明においては、請求項1の発明において、
前記エミッタ領域の前記溝に面した側面の一部に前記絶
縁膜を形成せず、前記エミッタ領域とエミッタ電極との
コンタクト面積を増加させるように構成している。上記
の構成は、例えば後記図20の実施例に相当する。
【0014】次に、請求項4に記載の発明においては、
請求項1の半導体装置において、前記絶縁膜の一部であ
って前記固定絶縁電極が接していない部分に接するよう
に、別の絶縁材を設けたものである。上記の構成は、例
えば後記図13または図14の実施例に相当する。次
に、請求項5に記載の発明においては、請求項1の半導
体装置において、前記絶縁膜の一部であって前記固定絶
縁電極が接していない部分に接するように、前記エミッ
タ領域と同一導電型の別の半導体領域を設けたものであ
る。上記の構成は、例えば後記図16または図18の実
施例に相当する。次に、請求項6に記載の発明において
は、請求項1の半導体装置において、前記絶縁膜の一部
であって前記固定絶縁電極が接していない部分のうち、
前記固定絶縁電極側の一部に接するように、別の絶縁材
を設け、前記絶縁膜の一部であって前記固定絶縁電極が
接していない部分のうち、残りの一部に接するように、
前記エミッタ領域と同一導電型の別の半導体領域を設け
たものである。上記の構成は、例えば後記図17の実施
例に相当する。
【0015】
【作用】本発明の構造において、エミッタ電位に固定さ
れている固定絶縁電極の周辺のチャネル領域には、固定
絶縁電極材料との仕事関数差によって空乏層が形成さ
れ、これによってチャネル領域は空乏化されてエミッタ
領域とコレクタ領域とは電気的に遮断されている。ま
た、固定絶縁電極はコレクタ電位が上昇しても、コレク
タ電界でチャネルが開かないような構造となっている。
すなわち素子構造は初めから遮断状態である。しかし、
コレクタ領域内の空乏層から励起される少数キャリア
は、絶縁膜界面に溜って、そのままではチャネル領域の
空乏層を後退させて主電流がリークしてしまうが、チャ
ネル領域とは反対導電型のインジェクタ領域が絶縁膜界
面と接し、さらにインジェクタ領域に任意の電位を与え
るための外部電極(以下“注入電極”と呼ぶ)ともオー
ミックコンタクトしているので、注入電極が接地状態の
時には、絶縁膜界面の少数キャリアは注入電極に流れ出
ることで、絶縁膜界面の電位は上昇せず、素子は遮断状
態を保つ。一方、インジェクタ領域に正電位を印加する
と、逆に少数キャリアが絶縁膜界面に流れ込んで界面の
電位を上昇させ、空乏層が後退してチャネル中央部に中
性領域が現われて、主電流が流れるようになる。この
際、反転層がエミッタ領域近傍まで存在すると、エミッ
タ領域に不要に注入される少数キャリアが多くなるの
で、エミッタ領域に固定絶縁電極が対面しないように少
し離して配置している。さらに注入電位が所定値以上に
なると、インジェクタ領域とチャネル領域によるpn接
合が順バイアスされ、少数キャリアがチャネル領域なら
びにコレクタ領域に注入されて伝導度変調されるため
に、主電流は低いオン抵抗で流れることになる。この
時、絶縁膜界面は導電路としてチャネル領域全体に少数
キャリア電流を運ぶ働きをする。ターン・オフするため
には、注入電極の電位を接地もしくは逆電位にする。本
発明においては、素子構造が微細であり、チャネル領域
の電位が直接に注入電極電位と連動する機構になってい
ることから、単体バイポーラトランジスタよりも大きな
FEを期待することができる。そしてオン抵抗が低く、
少ないベース電流で多くの主電流を制御することができ
る。さらに本発明の構造では、固定絶縁電極が絶縁膜を
介してエミッタ領域と対面しないように配置している。
これは次の理由によるものである。すなわち、チャネル
領域内のエミッタ領域近傍に反転層が形成されると、不
要に少数キャリアを消費してしまうので、固定絶縁電極
をエミッタ領域近傍から遠ざけ、エミッタ領域間近まで
少数キャリアが侵入しないようにしている。この構造に
よってさらに高いhFEが期待できる。
【0016】また、請求項2においては、固定絶縁電極
の表面から底面までの長さ、すなわち実質的なチャネル
長が、対向する絶縁膜の間隔、すなわちチャネル厚みの
2倍(若しくは3倍)以上になるように構成したもので
ある。これは、このデバイスがノーマリ・オフ構造を持
つために必要なチャネル構造の条件である(詳細後
述)。また、請求項3においては、エミッタ領域の溝に
面した側面の一部に絶縁膜を形成せず、その部分をエミ
ッタ電極と接触させることにより、エミッタ領域とエミ
ッタ電極とのコンタクト面積を増加させたものである。
【0017】また、請求項4においては、絶縁膜のうち
チャネル領域に接して固定絶縁電極には接しない領域
に、別の絶縁材を設けることにより、エミッタ領域と固
定絶縁電極とに接続する金属電極からの電界を遮蔽し、
エミッタ領域近傍に反転層が形成されないようにしたも
のである。また、請求項5においては、絶縁膜のうちチ
ャネル領域には接して固定絶縁電極には接しない領域
に、エミッタ領域と同一導電型の別の半導体領域を設け
ることにより、金属電極からの電界を遮蔽し、エミッタ
領域近傍に反転層が形成されないようにしたものであ
る。また、請求項6においては、絶縁膜の一部であって
前記固定絶縁電極が接していない部分のうち、上半部に
はエミッタ領域と同一導電型の別の半導体領域を設け、
下半部には別の絶縁材を設けることにより、金属電極か
らの電界を遮蔽し、エミッタ領域近傍に反転層が形成さ
れないようにしたものである。また、この構成では、上
記の別の半導体領域の形成途中に、固定絶縁電極からの
不純物が上記半導体領域へ拡散するのを防止することが
出来る。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
る。図1〜図4は、本発明の第1の実施例である。図1
は素子の基本構造を説明するための斜視図、図2は図1
の前面と同じ部分を示す断面図、図3は素子の表面図
で、この図3と上記の図1においては表面の電極(金属
膜)を除いた様子を示している。すなわち、図3は図1
を上方から見た表面図であり、逆に図1は図3中の線分
A−A′を通って紙面に垂直な平面で切った断面を前面
に見せている。また、図4は図3中の線分B−B′を通
って紙面に垂直な平面で切った断面図である。なお、こ
の実施例では半導体をシリコンとして説明する。次に、
素子の構造を説明する。まず図1〜図4中において、1
は基板であるn+型基板領域、2はn型コレクタ領域、
3はn+型エミッタ領域である。また、4は固定絶縁電
極であり、高濃度のp型多結晶半導体からなり、かつ後
述するエミッタ電極とオーミックコンタクトしていて、
電位が固定されている。また、5は固定絶縁電極4とコ
レクタ領域2とを絶縁する絶縁膜である。この固定絶縁
電極4と絶縁膜5とは、素子表面から側壁が垂直に掘ら
れた溝の中に形成されている。n型コレクタ領域2のう
ち、この固定絶縁電極4に挾まれた領域を「チャネル領
域」7と呼ぶことにする。このチャネル領域7は、絶縁
膜5を介して隣接する固定絶縁電極4が高濃度のp型半
導体であるため、仕事関数差によって形成された空乏層
によって、チャネル領域には伝導電子に対するポテンシ
ャル障壁が形成されていて、エミッタ領域3とコレクタ
領域2とは初めから電気的に遮断された状態となってい
る。また、11はコレクタ電極であり、n+型基板領域
1とオーミックコンタクトしている。13はエミッタ電
極であり、エミッタ領域3と固定絶縁電極4にオーミッ
クコンタクトしている。すなわち、固定絶縁電極4の電
位はエミッタ電極13の電位に固定されている。また図
中、Hをチャネル厚み、Lをチャネル長と呼ぶ。すなわ
ち、チャネル厚みHとは、チャネル領域において対向す
る絶縁膜5間の間隔であり、チャネル長とは、溝の側壁
に沿って、固定絶縁電極4の表面から底面までの距離を
いう。
【0019】次に、図3において、この実施例では固定
絶縁電極4はストライプ状をしており、その両端はp型
領域8(インジェクタ領域)に接している。このように
「固定絶縁電極4とp型領域8に囲まれたチャネル領域
7」は、ひとつの単位セルを形成しており、図3にはこ
のセル4単位分が示されている。なお、「チャネルの状
態によって電流を遮断、もしくは電流量を制御し得る」
という条件を満たしていれば、単位セルを構成する固定
絶縁電極4の形状、エミッタ領域3の形状などは任意で
ある。
【0020】次に、図4において、番号18はp型領域
8とオーミックコンタクトした電極であり、ここからコ
レクタ領域2へ少数キャリアを供給する。これを「注入
電極」と呼ぶことにする。なお、図中の破線は固定絶縁
電極4の存在を示す。なお、本願の図面においては、断
面図および表面図における絶縁膜5の角部は角張って描
いてあるが、これらは模式図であり、実際には丸みを帯
びていてもよい。すなわち、電界集中を抑制するために
これら角部に丸みを持たせることは、広く一般に採用さ
れていることである。
【0021】次に、動作を説明する。この素子では、エ
ミッタ電極3は接地(0V)、コレクタ電極11には正
の電位を印加する。まず、遮断状態について説明する。
注入電極18が接地状態の時、素子は遮断状態である。
先にも述べたように、固定絶縁電極4が高濃度のp型半
導体からできており、かつエミッタ電極電位に固定され
ていることから、固定絶縁電極4の周辺には空乏層が形
成され、チャネル領域7は空乏化されてエミッタ領域3
とコレクタ領域2は電気的に遮断されている構造になっ
ている。通常、このようなMOSダイオード的な構造で
は、空乏層を広げるべく電圧を印加してもコレクタ領域
中の空乏層で発生したキャリアが絶縁膜5の界面に溜っ
て反転層を形成し、空乏層は広がらずに絶縁膜界面の電
位が上昇する。しかし、この構造では、その絶縁膜5が
接地されたp型領域8に接しているので、空乏層で発生
したキャリアは絶縁膜5の界面に到達するが、すぐにp
型領域8を通って素子の外に排除される。すなわち、絶
縁膜界面の電位は上昇せずに固定されていて、空乏層は
コレクタ電位にしたがって広がる。このデバイスがノー
マリ・オフ構造を持つためにチャネルの構造が満たさな
ければならない条件が2つある。まず、その1つはチャ
ネル厚みと不純物濃度との関係である。図5は図2中の
チャネル領域の中央付近である線分C−C′に沿ったチ
ャネル領域のポテンシャル分布を計算した図である。図
5の縦軸はフェルミ準位を基準としたエネルギーバンド
の中心のポテンシャルである。以下、「フェルミ準位を
基準としたエネルギーバンドの中心のポテンシャル」を
単に「ポテンシャル」と呼ぶことにする。ここでは、固
定絶縁電極4のビルドインポテンシャルを0.6eVと
し、絶縁膜は二酸化珪素で、厚さは100nmとして計
算した。また、両端の破線は、絶縁膜中の電位分布を示
す補助線である。また、中央部の一点鎖線はチャネル領
域7の半導体の中性状態におけるポテンシャルの位置で
ある。図5において、注入電極電位Vjが0Vの状態で
は、チャネルの全域はポテンシャルが正であり、チャネ
ル領域には伝導電子は存在しない。この条件を満たすた
めに、チャネル領域の不純物濃度ND、チャネル厚み
H、絶縁膜厚toxは次の式を満たさなければならない。
【0022】まず、固定絶縁電極4の持つビルドインポ
テンシャルをP、チャネル領域の半導体の絶縁膜との界
面のポテンシャルをQとすると、絶縁膜中の電界強度E
oxは一定であり、下記(数1)式で示される。
【0023】
【数1】
【0024】一方、チャネル領域は遮断状態では全域が
空乏化しているので、その電位分布Vchは下記(数2)
式のような2次曲線でほぼ近似することが出来る。
【0025】
【数2】
【0026】ただし、上記(数2)式において、qは単
位電荷、εsiはチャネル領域の半導体の誘電率、xはチ
ャネルのC−C′断面の中央、すなわち図5の横軸の中
央から絶縁膜方向に測った距離、Rはポテンシャルの最
低点である。また、チャネル領域と絶縁膜の界面のポテ
ンシャルQは、下記(数3)式で示される。
【0027】
【数3】
【0028】また、この点における電界Esiは、下記
(数4)式で示される。
【0029】
【数4】
【0030】さらに、界面では電束が一致していなけれ
ばならないから、下記(数5)式を満足しなければなら
ない。 εoxox=εsisi …(数5) 固定絶縁電極4のビルドインポテンシャルを0.6e
V、チャネル領域のポテンシャルの最小値Rを、制御信
号のノイズなどで簡単にチャネルが開かないように0.
3eVとし、前記の(数1)式〜(数5)式を満足する
ようなチャネル領域の不純物濃度ND、絶縁膜厚tox
チャネル厚みHの関係を示したものが図6である。な
お、図6では、絶縁膜厚toxが50nmの場合と100
nmの場合の曲線を示してあるが、各線の左下の領域が
このデバイスの満たすべき条件となる。例えば、上記2
つの絶縁膜厚の何れの場合でも、不純物濃度ND=1×
1014/cm3、チャネル厚みH=2μmは適当な条件
である。
【0031】次に、デバイスがノーマリ・オフ特性を持
つための2つの目の条件として、チャネル厚みHとチャ
ネル長Lが満たさなければならない条件がある。すなわ
ち、図6の条件を満足する何点かの設定で同様の数値計
算を行なった結果、チャネル領域のエミッタ端部におけ
るポテンシャル低下の影響は、チャネル長方向にほぼチ
ャネル厚みの1〜1.5倍のところまでに止まることが
判った。そして、チャネル領域のコレクタ領域に面して
いる部分において、コレクタ電界によってチャネルポテ
ンシャルが引き下げられる影響もほぼこれと同様である
とすれば、チャネルがノーマリ・オフ特性、すなわちコ
レクタ電界が上昇してもその影響でチャネルが開かない
ための条件は、(チャネル長L)/(チャネル厚みH)
の比が2〜3以上であることになる。すなわちチャネル
長Lがチャネル厚みHの少なくとも2倍以上、場合によ
っては3倍以上の必要がある。例えば、チャネルの不純
物濃度が1×1014/cm3、すなわち比抵抗が約40
Ω−cmであり、絶縁膜厚が100nm以下である場
合、チャネル厚みHを2μmとすれば、チャネル長は6
μmあれば十分である。
【0032】次に、遮断状態から導通状態に転じる機構
について説明する。前記の図5において、注入電極電位
j=0Vの時は、チャネル領域7のC−C′断面全域
のポテンシャルが正であり、チャネル領域は遮断状態で
ある。注入電極電位Vjが上昇して0.3Vまでになる
と、チャネル領域の中央部にポテンシャルが負の領域が
でき、伝導電子が流れ得る状態となる。このように注入
電極18の電位を上げるとチャネル領域のポテンシャル
が低下する理由は、注入電極18にオーミックコンタク
トしたp型領域8の電位が上昇することで、p型領域8
が接している絶縁膜5の界面に少数キャリアが供給さ
れ、これが固定絶縁電極4の固定絶縁電極4からチャネ
ル領域への電界を遮蔽するために、チャネル領域の空乏
層が後退するためである。さらに注入電位が0.5eV
以上になると、ポテンシャルもこの一点鎖線より低くな
って、チャネル領域7内のバンドの形状は平坦になって
ゆく。これはn型コレクタ領域2とp型領域8との間の
接合が順バイアス状態になり、コレクタ領域全域が高水
準注入状態になるためである。このとき、正孔は直接に
p型領域8から注入されるほか、絶縁膜5の界面からも
コレクタ領域2へ供給される。すなわち、この条件にお
いて絶縁膜界面は伝導度の高い導電路として正孔電流を
運ぶ働きをする。この段階になると、コレクタ電流の制
御は注入電極電位よりは注入電流に注目した方が理解し
やすい。すなわち、コレクタ領域2に注入される正孔電
流量によってコレクタ領域2の導電率が制御され、コレ
クタ電流量が制御される。
【0033】次に、導通状態から遮断状態に転ずる機構
を説明する。ターン・オフするためには、注入電極18
の電位を接地(0V)、もしくは負電位にする。すると
コレクタ領域2およびチャネル領域7に大量に存在して
いた正孔は消滅するか、もしくはp型領域8を通して素
子外に排除され、再びチャネル領域が空乏層で満たされ
るようになる。この機構は、例えば静電誘導サイリスタ
のターンオフ機構と同様である。なお、図1〜図4では
p型領域8の深さは固定絶縁電極4よりも深く描かれて
いる。このような構成であれば、注入電極18に負電位
を印加してターン・オフを速く行なうことができる。し
かし、p型領域8の深さが固定絶縁電極4より浅くて
も、デバイスとしては機能する。
【0034】このデバイスの電流電圧特性は、ほぼ単体
バイポーラトランジスタの特性に類似して5極管特性と
なる。コレクタ電流は、注入電極18からの電流があれ
ば低いコレクタ電位でも十分な電流が流れる。コレクタ
電位が大きくなると、固定絶縁電極4からコレクタ領域
2へ伸びた空乏層により、電流はピンチオフされて電流
値は飽和する。また、注入した正孔電流によってコレク
タ電流が決まることから、バイポーラトランジスタと同
様のhFE(直流電流増幅率)を定義することができる。
この素子では、素子構造が微細であり、また、チャネル
領域の電位が直接に注入電極電位と連動する機構になっ
ていることから、単体バイポーラトランジスタよりも大
きなhFEを期待することができる。ただし、反転層がn
+型エミッタ領域3の近傍にまで存在していると、不要
にエミッタ領域3に注入されてしまうことから、hFE
低下の原因の一つになってしまう。そのため、本実施例
においては、図2に示すように、固定絶縁電極4の上面
は、n+型エミッタ領域3の底面(n+型エミッタ領域3
とチャネル領域7との界面)よりも陥没しており、反転
層がエミッタ領域3近傍から離れるように構成してい
る。
【0035】次に、図7〜図12は、図1〜図4に示し
た第1の実施例の製造方法の一例を示す斜視図である。
まず、図7のように、基板領域1であるn+型基板の表
面にn型コレクタ領域2をエピタキシャル成長によって
形成する。さらにその表面にエミッタ領域3となるn+
型領域と、注入領域8となるp+型領域を形成する。次
に、図8のように、表面にマスク材100を形成し、固
定絶縁電極用の溝を形成するためのパターンを形成す
る。これを異方性ドライエッチングによってエッチング
し、図9のような側壁がほぼ垂直な溝を掘る。溝の深さ
は、溝同志の間隔の2〜3倍またはそれ以上とする。溝
の断面形状、すなわち固定絶縁電極4の形状は、図2或
いは図9などには側壁をほぼ垂直にしたU字型の形状を
例示しているが、先に示したノーマリ・オフのためのチ
ャネルの条件を満たしていれば、断面形状は樽型、くさ
び型、菱形などをしていてもよい。また、溝も垂直でな
く斜めに堀込まれたものでも構わないし、可能であれば
固定絶縁電極4は完全に基板の中に埋設されたものでも
よい。また、表面パターンもチャネルの遮断条件を満た
していれば、必ずしもチャネルの厚みが至るところ均一
でなくてもよいし、溝の幅も均一である必要はない。
【0036】次に、図10のように、溝の内壁を酸化し
て絶縁膜5を形成し、固定絶縁電極4となる高濃度のp
型ポリシリコンを堆積させる。次に、図11のように、
溝の中にのみp型ポリシリコンが残るようにエッチング
する。このときエミッタ領域3の側方部分にポリシリコ
ンが残らないようにするため、いくらか深く掘り込む。
次に、図12のように、マスク材100を除去し、層間
絶縁膜と電極(図示せず)を形成して図1〜図4の構造
を得る。なお、以上の説明では、基板はすべてn型半導
体として説明したが、全ての不純物のタイプが逆であっ
ても、この構造は機能する。
【0037】次に、図13〜図15を用いて本発明の第
2の実施例を説明する。まず、図13は、前記図2に対
応する断面図である。図13においては、図2の構成に
加えて、絶縁膜5の一部(固定絶縁電極4が接していな
い部分)の内側に、別の絶縁材16によるサイドウォー
ルを設けたものである。この絶縁材16の材料は、たと
えば窒化珪素もしくはCVD酸化膜などである。このよ
うな構成とすることにより、図2の場合に比べて、エミ
ッタ領域3近傍のチャネル領域7に、エミッタ電極13
からの電界が印加されないようにすることが出来る。す
なわち、エミッタ電極13に用いる金属の種類によって
は、p型半導体と同様に、絶縁膜5を挟んでn型のチャ
ネル領域7に反転層を形成するような性質を有している
ものもあるのが、上記の構成によれば、そのようなこと
が生じないようにすることが出来る。
【0038】図14は、上記の構成をさらに徹底させた
ものであり、絶縁材16で固定絶縁電極4上部の溝を埋
め尽くしている。このような構造では、デバイス表面が
平坦化され、エミッタ電極13の形成が容易になる。し
かし、このままでは固定絶縁電極4とエミッタ電極13
の導通が取れないので、図15のような構造とする必要
がある。図15は前記図3に対応する表面図であり、エ
ミッタ領域3から外れた部分において絶縁材16にコン
タクト孔を設け、その部分で固定絶縁電極4とエミッタ
電極13とを接続するようにしている。なお、上記のコ
ンタクト孔は、図15で符号4を付した部分に設けられ
ており、図ではコンタクト孔から固定絶縁電極4が見え
ている状態が示されている。
【0039】次に、本発明の第3の実施例について、図
16〜図19を用いて説明する。
【0040】まず、図16は、前記図2に対応する断面
図である。この実施例においては、図2の構成に加え
て、エミッタ領域3とは別のn型半導体領域23を設け
たものである。このn型半導体領域23は、例えばn型
ポリシリコンである。このような構成とすることによ
り、図2および図13と比べて、エミッタ領域3近傍の
チャネル領域7へのエミッタ電極13からの電界の影響
を、より完全に遮断することが出来る。なお、図16で
は、n型半導体領域23がエミッタ領域3の上部にも存
在する場合を示しているが、これは図13の絶縁材16
の形状のように絶縁膜5の側面のみに設けてもよい。ま
た、この場合、n型半導体領域23のn型不純物の濃度
は、電界を遮蔽し、チャネル領域7に蓄積層を形成しな
い値になるように適宜選定する。
【0041】次に、図17では、n型半導体領域23の
先端部と固定絶縁電極4との間に絶縁材16を挟み込ん
でいる。これは、n型半導体領域23の形成途中に、固
定絶縁電極4からのp型不純物がn型の半導体領域23
へ拡散するのを防止するのに有効である。
【0042】さらに、図18では、固定絶縁電極4上部
の溝をn型半導体領域23で埋め尽くした構成を有して
いる。この構造を形成するには、まず、固定絶縁電極用
のポリシリコンで溝をちょうど埋め尽くすように形成
し、後に表面にn型不純物を高濃度にイオン注入し、ア
ニールする事で実現できる。この方法では、図7に示し
た工程のように、エミッタ領域3用のn+型領域を工程
の初期に形成することなく、工程の比較的後半で、それ
以降にあまり高い熱処理が発生しない時点で、イオン注
入によって形成することが出来る。イオン注入後は、単
結晶領域であるチャネル領域よりもポリシリコン領域の
方が拡散が速いので、図18のように、ポリシリコンの
n型半導体領域23はエミッタ領域3よりも深く形成さ
れる。しかし、この構造ではエミッタ電極13と固定絶
縁電極4との導通が取れない。そのため、図19のよう
な構成とする。図19は図15同様、図3に対応する表
面図である。図19においては、エミッタ領域3から外
れたn型半導体領域23にコンタクト孔を設け、これを
通してエミッタ電極13と固定絶縁電極4とを接続する
ようにしている。なお、上記のコンタクト孔は、図19
で符号4を付した部分に設けられており、図ではコンタ
クト孔から固定絶縁電極4が見えている状態が示されて
いる。この実施例の効果は図15と同様に、デバイスの
表面を平坦に形成でき、エミッタ電極13の形成を容易
にする点にある。
【0043】次に、図20は、本発明の第4の実施例図
であり、前記図2の断面図に相当する。この実施例は、
前記図2に示した第1の実施例において、エミッタ領域
3の溝に面する側面に接する絶縁膜5の一部を削除し、
エミッタ領域3のコンタクト面積を増加させたものであ
る。デバイスのサイズを微細化すると、エミッタ領域3
のコンタクトをとるのが徐々に困難になるが、上記のよ
うな構成とすれば、コンタクト不良を回避することがで
きる。
【0044】次に、本発明と従来例との相違についてま
とめて説明する。まず、本発明と第1の従来例(図21
〜図24)との相違について説明する。第1の従来例で
は、絶縁電極(MOSゲート95)の電位は可変であ
り、絶縁電極電位を正にすることで絶縁膜界面に電子の
蓄積層を形成して低いチャネル抵抗を実現するなどのよ
うに、絶縁電極を制御電極として用いている。一方、本
発明では、絶縁電極(固定絶縁電極4)はエミッタ電位
に固定されており、基本的に制御電極ではない。この点
が決定的に異なっている。また、第1の従来例では、ノ
ーマリ・オン型デバイスであり、主電流を遮断するため
には、積極的に接合ゲート98ならびにMOSゲート9
5に負電位を印加しなければならない。しかし、本発明
の装置はノーマリ・オフ型デバイスであり、それ以外で
は有り得ない。したがってオフ状態を保つためには、注
入制御用の注入電極18は、エミッタ領域3と同電位、
すなわち接地電位で構わない。また、本発明において
は、インジェクタ領域8が絶縁膜5の界面に接している
ことが必須であり、これによって絶縁膜5界面の電位を
注入電極18の電位によって積極的にコントロールす
る。これに対して第1の従来例における接合ゲート98
は、デバイスのオン状態には何ら寄与していない。第1
の従来例の文献に記載されている限りでは、p型領域8
8は絶縁膜84と離れており、たとえ接合ゲート98の
電位を正にしても、それによって絶縁膜界面の状況を制
御することは出来ない。そして本発明のデバイスのオン
状態では、インジェクタ領域8からの少数キャリアを供
給することによってチャネルを開き、またコレクタ領域
ならびにチャネル領域の伝導度を変調する。これに対し
て第1の従来例においては、たとえ接合ゲート98に正
電位を与え、少数キャリアの注入を行なっても、モノポ
ーラの主電流を低オン抵抗で流すために不純物を濃く含
んだチャネル領域82の伝導度には殆ど影響を与えるこ
とが出来ない。このように第1の従来例がモノポーラデ
バイスであるのに対し、本発明がバイポーラデバイスで
ある点も明確に異なっている。
【0045】次に、第2の従来例(図26)との相違を
説明する。第2の従来例では、制御電極であるp型領域
(p+ゲート領域68)は絶縁電極(ゲート電極65)
の存在する溝の底部に有り、かつ、その底部で絶縁電極
とオーミックコンタクトしている。この第2の従来例
も、前記第1の従来例と同様に、絶縁電極の電位が可変
であることが本発明と本質的に異なっている。さらにp
型領域の位置が異なり、絶縁電極の電位と連動している
点も異なる。勿論、表面構造以外に、第2の従来例にお
いてはp+型アノード領域61からn-型ベース領域62
へ注入される少数キャリアによって高抵抗のn-型ベー
ス領域62の伝導度を変調して低オン抵抗を実現してい
るのに対し、本発明では陰極側(エミッタ側)の表面に
ある主電流経路とは別のp型領域8から少数キャリアを
注入して高抵抗のコレクタ領域1を伝導度変調している
点も明確に異なっている。上記のように、第2の従来例
では、主電流経路にpn接合を有しているため、主電流
端子間の電圧がほぼ0.7V以上にならなければ、満足
な電流が流れないという特性が有る。しかし、本発明の
デバイスでは、そのようなpn接合がないので、さらに
低い電圧でも十分な電流を流すことが出来る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、次
のような効果が得られる。 (1)ノーマリ・オフ特性をもつ。 (2)電流制御型の三端子素子である。 (3)オン抵抗が低い。 (4)少ない制御電流で大きな主電流を制御できる。特
に、固定絶縁電極が絶縁膜を介してエミッタ領域と対面
しないように配置し、エミッタ領域間近まで少数キャリ
アが侵入しないように構成したことにより、さらに高い
FEが期待できる。 (5)微細化・高耐圧化に適した構造である。 (6)寄生素子を持たない。 (7)従来のLSI製造技術のみで実現が可能である。 (8)請求項3に記載の発明においては、上記(1)〜
(7)の効果に加えて、エミッタ領域のコンタクト面積
を増加させ、微細化した際にコンタクト不良を防止する
ことが出来る。 (9)請求項4および請求項5に記載の発明において
は、上記(1)〜(7)の効果に加えて、エミッタ領域
と固定絶縁電極とに接続する金属電極からの電界を遮蔽
し、エミッタ領域近傍に反転層が形成されるのを防止す
ることが出来る。 (10)請求項6に記載の発明においては、上記(9)
の効果に加えて、上記半導体領域の形成途中に、固定絶
縁電極からの不純物が上記半導体領域へ拡散するのを防
止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施例の断面図。
【図3】本発明の第1の実施例における表面構造を示す
断面図。
【図4】本発明の第1の実施例の他の角度から見た断面
図。
【図5】第1の実施例におけるチャネル領域のポテンシ
ャル分布図。
【図6】チャネル領域の不純物濃度、絶縁膜厚およびチ
ャネル厚みの関係を示す図。
【図7】本発明の第1の実施例の製造工程の一部を示す
断面図。
【図8】本発明の第1の実施例の製造工程の他の一部を
示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施例の製造工程の他の一部を
示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施例の製造工程の他の一部
を示す断面図。
【図11】本発明の第1の実施例の製造工程の他の一部
を示す断面図。
【図12】本発明の第1の実施例の製造工程の他の一部
を示す断面図。
【図13】本発明の第2の実施例の構造を示す断面図。
【図14】本発明の第2の実施例の別の構造を示す断面
図。
【図15】上記図14に示す構造の表面図。
【図16】本発明の第3の実施例の構造を示す断面図。
【図17】本発明の第3の実施例の別の構造を示す断面
図。
【図18】本発明の第3の実施例の別の構造を示す断面
図。
【図19】上記図18に示す構造の表面図。
【図20】本発明の第4の実施例の構造を示す断面図。
【図21】第1の従来例の平面図。
【図22】第1の従来例の断面図。
【図23】第1の従来例の他の断面図。
【図24】第1の従来例を三端子素子として動作させた
場合の電流電圧特性図。
【図25】第1の従来例を四端子素子として動作させた
場合の電流電圧特性図。
【図26】第2の従来例の断面図。
【符号の説明】
1…基板領域 10…p型領域 2…コレクタ領域 11…コレクタ
電極 3…エミッタ領域 13…エミッタ
電極 4…固定絶縁電極 14…ポリシリ
コン膜 5…絶縁膜 15…層間絶縁
膜 7…チャネル領域 16…絶縁材 8…p型領域(インジェクタ領域) 18…注入電極 9…p型領域(ベース領域) 23…n型半導
体領域 100…マスク材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−202182(JP,A) 特開 平5−267674(JP,A) 特開 平7−183507(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/80 H01L 29/78

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コレクタ領域である一導電型の半導体基体
    の一主面に接して、同一導電型のエミッタ領域を1個ま
    たは複数個有し、 前記エミッタ領域を挟んで、前記コレクタ領域の表面か
    形成された溝を1個または複数個有し、 前記溝の内部には、絶縁膜によって前記コレクタ領域と
    は絶縁され、かつ、前記エミッタ領域と同電位に保たれ
    た固定絶縁電極を有し、 前記固定絶縁電極は、前記絶縁膜を介して隣接する前記
    コレクタ領域に空乏領域を形成するような性質を有する
    導電性材料からなり、 前記固定絶縁電極を取り囲む前記絶縁膜ならびに前記コ
    レクタ領域に接して、前記エミッタ領域には接しない、
    反対導電型のインジェクタ領域を有し、 前記エミッタ領域に隣接するコレクタ領域の一部であっ
    て、前記固定絶縁電極に挟まれ、前記インジェクタ領域
    の電位が前記エミッタ領域の電位と同電位に保たれてい
    る状態では、前記空乏領域の形成するポテンシャル障壁
    によって前記エミッタ領域と前記コレクタ領域とを電気
    的に遮断状態とするチャネル領域を有し、 前記溝の開口部側に面している前記固定絶縁電極の表面
    が、少なくとも前記絶縁膜との界面においては、前記エ
    ミッタ領域の表面から前記溝の深さ方向に測って、前記
    エミッタ領域の底面よりも深い位置にある、 ことを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の半導体装置において、 前記チャネル領域のチャネル長、すなわち前記溝の側壁
    に沿って前記固定絶縁電極の表面から底面までの距離
    が、前記チャネル領域のチャネル厚み、すなわち対向す
    る前記絶縁膜間の距離の少なくとも2倍以上である、こ
    とを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の半導体装置において、 前記エミッタ領域の前記溝に面した側面の一部に前記絶
    縁膜を形成せず、前記エミッタ領域とエミッタ電極との
    コンタクト面積を増加させたことを特徴とする半導体装
    置。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の半導体装置において、 前記絶縁膜の一部であって前記固定絶縁電極が接してい
    ない部分に接するように、別の絶縁材を設けたことを特
    徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の半導体装置において、 前記絶縁膜の一部であって前記固定絶縁電極が接してい
    ない部分に接するように、前記エミッタ領域と同一導電
    型の別の半導体領域を設けたことを特徴とする半導体装
    置。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の半導体装置において、 前記絶縁膜の一部であって前記固定絶縁電極が接してい
    ない部分のうち、前記固定絶縁電極側の一部に接するよ
    うに、別の絶縁材を設け、前記絶縁膜の一部であって前
    記固定絶縁電極が接していない部分のうち、残りの一部
    に接するように、前記エミッタ領域と同一導電型の別の
    半導体領域を設けたことを特徴とする半導体装置。
JP12753194A 1994-06-09 1994-06-09 半導体装置 Expired - Lifetime JP3189576B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12753194A JP3189576B2 (ja) 1994-06-09 1994-06-09 半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12753194A JP3189576B2 (ja) 1994-06-09 1994-06-09 半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07335868A JPH07335868A (ja) 1995-12-22
JP3189576B2 true JP3189576B2 (ja) 2001-07-16

Family

ID=14962327

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12753194A Expired - Lifetime JP3189576B2 (ja) 1994-06-09 1994-06-09 半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3189576B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102249525B1 (ko) * 2019-10-22 2021-05-11 박강혁 차량 머리 받침대 디스플레이 홀더

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4785109B2 (ja) * 2004-03-29 2011-10-05 オンセミコンダクター・トレーディング・リミテッド 半導体装置の製造方法
JP5207666B2 (ja) * 2007-06-11 2013-06-12 ローム株式会社 半導体装置
JP5389339B2 (ja) 2007-06-06 2014-01-15 ローム株式会社 半導体装置
US8766317B2 (en) 2007-06-18 2014-07-01 Rohm Co., Ltd. Semiconductor device
JP2008311573A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Rohm Co Ltd 半導体装置
US9935628B2 (en) * 2015-11-10 2018-04-03 Analog Devices Global FET—bipolar transistor combination, and a switch comprising such a FET—bipolar transistor combination

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102249525B1 (ko) * 2019-10-22 2021-05-11 박강혁 차량 머리 받침대 디스플레이 홀더

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07335868A (ja) 1995-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2561413B2 (ja) 半導体装置
JP2606404B2 (ja) 半導体装置
US6025622A (en) Conductivity modulated MOSFET
KR100869324B1 (ko) 베이스 리치-쓰루를 방지하는 측면 확장 베이스 차폐영역을 구비한 전력 반도체 소자 및 그 제조방법
JP4198469B2 (ja) パワーデバイスとその製造方法
US6566708B1 (en) Trench-gate field-effect transistors with low gate-drain capacitance and their manufacture
EP0801425A1 (en) Insulated gate semiconductor device and method of manufacturing the same
JPH0758332A (ja) 半導体装置
JP3704007B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
KR100661691B1 (ko) 접합형 전계 효과 트랜지스터 및 그 제조 방법
US11522075B2 (en) Semiconductor device and method of manufacturing same
US5286984A (en) Conductivity modulated MOSFET
JP3189576B2 (ja) 半導体装置
JPH1197689A (ja) 半導体装置
JP3036146B2 (ja) 静電誘導半導体装置
JP3189543B2 (ja) 半導体装置
JP3371836B2 (ja) 半導体装置
JP3214242B2 (ja) 半導体装置
JP3279092B2 (ja) 半導体装置
JP3120440B2 (ja) 半導体双方向スイッチ
JPS639386B2 (ja)
JP2018018850A (ja) 半導体装置
JP3692808B2 (ja) 半導体装置
JPH1098183A (ja) 半導体装置とその製造方法
JP3206289B2 (ja) 絶縁ゲートバイポーラトランジスタとその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080518

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090518

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090518

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100518

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110518

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130518

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term