JP2795511B2 - コロナ防止多導体送電線路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、コロナ防止対策を施した多導体送電線路に
関するものである。

〔従来技術〕

多導体送電線路において、近くに民家などがあり、コ
ロナの発生が問題となる場合には、コロナ防止対策とし
て、その問題となる区間の大地側の２本の導体の間の下
部に添線を添架することが行われている（特公昭63−64
128号公報、特公昭63−64128号公報）。

図−４ないし図−６にその具体例を示す。11は鉄塔、
12は多導体送電線（図示の例は四導体であるが、導体数
はこれに限らない）、13はジャンパー線、Ａはコロナ防
止対策を必要とする区間、Ｂはコロナ防止対策を必要と
しない区間である。コロナ防止対策必要区間Ａは１スパ
ンである場合もあるし、複数スパンに跨がる場合もあ
る。

コロナ防止対策必要区間Ａでは、図−４および図−５
の示すように、多導体送電線12の大地側の２本の導体12
a、12bの間の下部に添線14を添架し、これによって、特
に降雨時などにコロナの発生しやすい多導体送電線12の
下面側の電位傾度を緩和し、コロナの発生を抑制してい
る。

〔課題〕

このようなコロナ防止多導体送電線路においては、添
線14に多導体送電線12に流れるべき電流が分流すると、
区間Ａの両端のジャンパー線13部分およびそれに隣接す
る区間Ｂの多導体送電線12で、各導体に電流が均等に流
れなくなるおそれがある。

これを回避するため従来は、添線14に電流が流れない
ような構造を採用している。すなわち、添線14はその両
端を碍子15を介してヨーク16に支持させることとし、か
つスパン内で多導体送電線12と添線14を一定の位置関係
に保つスペーサ17は、添線クランプ部分にゴムカラーを
取り付けること等により、多導体送電線12と添線14を電
気的に絶縁する構造にしていた。

しかし、上記のように添線に電流が流れない構造にす
ると、構造的に複雑になり、工事や保守も面倒になり、
コスト高になるという問題がある。

〔課題の解決手段とその作用〕

本発明は、上記のような課題を解決したコロナ防止多
導体送電線路を提供するもので、その構成は、コロナ防
止対策を必要とする区間の多導体送電線の大地側の２本
の導体の間の下部にコロナ防止用の添線を添架してなる
多導体送電線路において、上記区間の両端に位置するジ
ャンパー部に、両側の多導体送電線から引き下げされた
ジャンパー線をパイプ導体を介して一括接続するパイプ
式ジャンパー装置を用い、上記添線の両端を上記パイプ
導体の端部に電気的に接続したことを特徴とするもので
ある。

このようにすると、多導体送電線の電流が添線に分流
することになるが、コロナ防止対策必要区間と不要区間
の境では、多導体送電線と添線の電流が一括してパイプ
導体に流れ、パイプ導体から再び各導体に分流するよう
になるため、コロナ防止対策不要区間で各導体に流れる
電流がアンバランスになることがなくなる。このため多
導体送電線と添線を絶縁する必要がなくなり、構造が簡
単になる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

図−１ないし図−３は本発明の一実施例を示す。この
多導体送電線路も、コロナ防止対策必要区間Ａの多導体
送電線12の大地側の２本の導体の間の下部に添線14を添
架する点では従来と同様であるが、この線路では、まず
上記区間Ａの両端に位置するジャンパー部に、両側の多
導体送電線12から引き下げされた複数本のジャンパー線
21をパイプ導体22を介して一括接続したパイプ式ジャン
パー装置を用いている。また添線14の両端は多導体送電
線12と同様に引留クランプ23および連結金具24を介して
（つまり碍子を使用せずに）ヨーク16に引き留められ、
かつその引留クランプ23からは添線用ジャンパー線25が
引き下げられ、その下端が他のジャンパー線21と共にパ
イプ導体22に接続されている。つまり添線14は多導体送
電線12と共にその両端がパイプ導体22に電気的に接続さ
れた状態となっている。

この状態では多導体送電線12だけでなく添線14にも電
流が流れることになるが、双方に流れた電流はパイプ導
体22に一括して流れた後、次の区間Ｂの多導体送電線12
の各導体に分流することになるため、区間Ｂの多導体送
電線12に流れる電流は各導体にほぼ均等に流れることに
なる。

なお、パイプジャンパー装置では、ジャンパー線21の
曲がり部において大地側の電位傾度が高くなるので、添
線用ジャンパー線25を他のジャンパー線21より下方に位
置させると、そこからコロナが発生するおそれがある。
このため添線用ジャンパー線25は図−２および図−３に
示すように他のジャンパー線21の大地側の線より下に位
置させないようにすることが望ましい。

またコロナ防止対策必要区間Ａが複数スパンに跨が
り、中間に耐張鉄塔がある場合は、その耐張鉄塔のジャ
ンパー部は、上述のようなパイプ式ジャンパー装置にす
ることもできるし、図−４に示すような通常のジャンパ
ー装置とし、ジャンパー線の中に添線用ジャンパー線を
通す構造にすることもできる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、コロナ防止用の
添線に電流を流しても、コロナ防止対策不要区間の多導
体送電線の各導体に流れる電流がアンバランスになるお
それがないので、添線と多導体送電線を絶縁する必要が
なくなり、構造が簡単になると共に、添線の添架工事や
線路の保守が簡単になる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図−１は本発明の一実施例に係るコロナ防止多導体送電
線路の説明図、図−２はその要部の拡大図、図−３は図
−２のIII−III線における断面図、図−４は従来のコロ
ナ防止多導体送電線路の説明図、図−５および図−６は
それぞれ図−４のＶ−Ｖ線およびVI−VI線における断面
図である。 11:鉄塔、12:多導体送電線、14:添線 16:ヨーク、17:スペーサ 21:ジャンパー線、22:パイプ導体 25:添線用ジャンパー線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−22713（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−117315（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−144315（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−84628（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−176026（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−34820（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭63−64128（ＪＰ，Ｂ２) 実公 昭51−26787（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭51−26789（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H02G 7/00 - 7/22

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】コロナ防止対策を必要とする区間の多導体
   送電線の大地側の２本の導体の間の下部にコロナ防止用
   の添線を添架してなる多導体送電線路において、上記区
   間の両端に位置するジャンパー部に、両側の多導体送電
   線から引き下げされたジャンパー線をパイプ導体を介し
   て一括接続するパイプ式ジャンパー装置を用い、上記添
   線の両端を上記パイプ導体の端部に電気的に接続したこ
   とを特徴とするコロナ防止多導体送電線路。