JP2793930B2 - 機械式駐車装置における移載装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は自動車などの車輌を立
体的に駐車させる機械式駐車装置において、昇降路に沿
って上下する昇降機と、その両側の駐車室の間で車輌の
受け渡しを行う移載装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】昇降機が昇降する昇降路の両側に多段状
に駐車室を設けた従来の機械式駐車装置は、各駐車室に
パレットを設け、車輌の入庫の際は事前に昇降機と移載
装置を働かせて車輌が入っていない空の駐車室から空の
パレットを取出し、このパレットを入庫階へ移動させて
車輌を載せたのち空の駐車室へ移動させる。また、出庫
の際は車輌を載せたパレットを出庫階まで移動させ、車
輌が出たあとのパレットは元の駐車室に戻す。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように従来の機
械式駐車装置は各駐車室毎にパレットが必要であり、ま
たパレットの取出しやパレットの収納などの手数のかか
る操作が必要となるなどの問題があった。この発明の課
題は上記の問題点を解決するために、パレットを用いる
ことなく車輌の出し入れを行えるようにした駐車装置を
提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するために、両側に多段式の駐車室を有する昇降
路に沿って昇降する昇降機を設け、この昇降機により昇
降せしめた車輌を所望の階の駐車室に駐車させるように
した機械式駐車装置において、上記昇降機に左右の駐車
室に向けて移動自在の台車を設け、この台車の前後に出
没自在のスライド台を設け、上記各駐車室に上記台車上
の車輌の前後の車輪を受ける移動式車受を配置し、この
移動式車受と上記スライド台とを連結分離自在とする構
成としたのである。

【０００５】

【作用】この発明は上記の構成であるから、入出庫階に
ある昇降機上に車輌を受入れる場合、昇降機上の台車の
前後のスライド台を進出させて、この前後のスライド台
で進入してきた車輌の前輪と後輪を支持した状態で昇降
台を所要の階まで上昇させる。ついで、車輌を載せた台
車を車輌が入っていない駐車室内に入れると、この駐車
室で待機している移動式車受とスライド台とが連結され
る。

【０００６】この状態でスライド台を引込めると、各車
受が台車の方へ引き寄せられてスライド台上の前輪と後
輪とが車受上に乗り移る。その後、車輌を載せた車受を
残して台車を昇降機上に戻す。なお、駐車室内にある車
輌を出庫させる場合は上記の逆の操作で車輌を出庫させ
ることができる。

【０００７】

【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
して説明する。図１において１は駐車建物であり、その
中央に昇降機２の昇降路３がある。この昇降路３の両側
には複数の駐車室４を多段状に設ける。上記昇降機２は
建物１の上端に設けた機械室Ｍ内の巻上機により昇降さ
せる公知の機構により所望の階に移動できるものであ
る。図３の５は昇降機２上に設けた溝で、左右の駐車室
４の方向であり、この溝５に沿って左右に移動する台車
６を設ける。

【０００８】図３の７はその四隅に設けた車輪である。
各駐車室４の床９にも上記昇降機２上の溝５に一致する
溝１０が形成してあるから、台車６は、この溝１０に沿
って駐車室４内に入ることができる。上記台車６の前後
には出没自在のスライド台１１を設ける。このスライド
台１１は図３、図４のように枠に複数のローラ１２を回
転自在に装着したもので、昇降機２には前記溝５の両側
に続く浅い凹所１３を設けて、上記スライド台１１の進
出状態において、台車６の上面と、各ローラ１２の上面
と昇降機２の上面とが同一平面となるようにする。

【０００９】上記各スライド台１１は台車６内に設け
た、モータとラックピニオン機構や送りねじ機構などの
駆動手段により進退するものであり、台車６もその車輪
７をモータなどの駆動手段により駆動して移動する。図
４などの１５は床９上に設けたガイドレール１６に載っ
た車輪１７により進退する移動式車受である。この車受
１５は図４のように枠に複数のローラ１９を回転自在に
装着したもので、各ローラ１９の上面は前記各ローラ１
２の上面と同一の平面となっている。

【００１０】上記各スライド台１１と移動式車受１５の
相対向する端部には図４のように側方から係脱する連結
具２０、２１を設ける。前記台車６上にはスライド台１
１上に載った車輌の車輪内側を押さえる可動押え装置２
２を設けるが、この押え装置２２は台車６に設けたエア
シリンダやリンク機構などの駆動手段により昇降および
進退する。

【００１１】また、図３のように車輌の前輪が載るスラ
イド台１１上に適宜の駆動手段により出没する可動式車
止め２３を設ける。図４の２４はガイドレール１６の両
側のストッパ、２５は車輪１７のロック装置で、エアシ
リンダなどにより作動する。

【００１２】つぎに上記実施例の作用を説明する。図３
は右方から自動車などの車輌３０が載り込んできた状態
で、このとき前後のスライド台１１は進出し、車止め２
３が突出している。また、前後の押え装置２２により車
輌３０の前輪３１と後輪３２の内側を押さえて車輌３０
を固定している。一方、車輌が入っていない駐車室４に
おいては図５のように両移動式車受１５が何れも後退位
置となっている。

【００１３】上記図３のように車輌３０を載せた昇降機
２が図５に示す車輌の入っていない階に移動し、ついで
台車６が移動して図６のように駐車室４の床９の溝１０
に入ってくると、前輪３１と後輪３２を載せているスラ
イド台１１の連結具２０が待機している移動式車受１５
の連結具２１に図４のように係合する。

【００１４】上記のように連結具２０、２１が係合し、
各スライド台１１と各車受１５が平面的にも一致した条
件で可動式車止め２３を引込め、各スライド台１１を後
退させると連結具２０、２１を介して各車受１５が台車
６の方へ移動し、図７のように前輪３１と後輪３２が各
車受１５上に載り移る。

【００１５】つぎに、各押え装置２２を後退させて前輪
３１と後輪３２から離し、台車６を昇降機２へ戻すと連
結具２０、２１が分離して図８のように車輌３０は車受
１５に載った状態で駐車室４内に残り駐車状態となる。

【００１６】図８のような駐車状態の車輌を出庫させる
には、前記駐車時の逆に車輌の載っていない台車６を載
せた昇降機２をこの階まで移動させ、両スライド台１１
を引込めたままの台車６を図９のように、車輌３０を駐
車中の駐車室４内に移動させ、車輌３０を載せた車受１
５間に入れると連結具２０、２１が係合する。つぎに可
動押え装置２２により前輪３１と後輪３２を押さえた状
態で前後のスライド台１１を進出させると、図１０のよ
うに各スライド台１１が各車受１５を押出して前輪３１
と後輪３２を各車受１５から各スライド台１１上へ載せ
かえる。

【００１７】つぎに可動式車止め２３を突出させて前輪
３１を固定し、台車６を車輌３０とともに図１１のよう
に昇降機２上へ戻し、昇降機２を下降させて出庫床へ下
げ、車止め２３を下げ図１１の点線のように各押え装置
２２を後退させて前輪３１と後輪３２を自由にしたのち
出庫する。

【００１８】

【効果】この発明は上記のように昇降機上から駐車室へ
と移動する台車の前後に車輌の前輪と後輪を載せるスラ
イド台を設け、各駐車室に車輌の前輪と後輪を受ける移
動式車受を設けることによりパレットが不要になるので
空パレットの取出しや収納が不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の縦断正面図

【図２】同上の横断平面図

【図３】図２の矢視III −III から見た昇降機の拡大縦
断面図

【図４】スライド台と移動式車受の連結部の一部拡大縦
断面図

【図５】図２の矢視Ｖ−Ｖから見た駐車していない駐車
室床の縦断面図

【図６】同上の位置で見た車輌の載り込み状態の縦断面
図

【図７】同上の位置で見たスライド台後退時の縦断面図

【図８】同上の位置で見た駐車状態の縦断面図

【図９】同上の位置で見た駐車室への台車進入時の縦断
面図

【図１０】同上の位置で見たスライド台進出時の縦断面
図

【図１１】図２の矢視III −III の位置で見た車輌の昇
降機乗り移り時の縦断面図

【符号の説明】

１ 駐車建物 ２ 昇降機 ３ 昇降路 ４ 駐車室 ６ 台車 １１ スライド台 １５ 移動式車受 ２０ 連結具 ２１ 連結具 ３０ 車輌 ３１ 前輪 ３２ 後輪

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 両側に多段式の駐車室を有する昇降路に
   沿って昇降する昇降機を設け、この昇降機により昇降せ
   しめた車輌を所望の階の駐車室に駐車させるようにした
   機械式駐車装置において、上記昇降機に左右の駐車室に
   向けて移動自在の台車を設け、この台車の前後に出没自
   在のスライド台を設け、上記各駐車室に上記台車上の車
   輌の前後の車輪を受ける移動式車受を配置し、この移動
   式車受と上記スライド台とを連結分離自在としたことを
   特徴とする機械式駐車装置における移載装置。