JP2793532B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
プラズマディスプレイパネルの製造方法Info
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Description
に用いるプラズマディスプレイパネル(ガス放電表示パ
ネル、又は、PDPとも呼ぶ)の製造方法に関し、特
に、ガス放電表示パネルにおいて誘電体層を保護する保
護層の形成方法に関する。
では、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護するた
めに、耐熱性の保護層が設けられている。保護層には、
酸化マグネシウム(MgO)膜が好適に用いられてい
る。酸化マグネシウム膜は、一般に、例えば電子ビーム
照射を利用した加熱などによって膜材料を蒸発させ、誘
電体層の表面に結晶成長の形で堆積させる手法、すなわ
ち蒸着法によって形成される。
造や封入ガス等、多くの要因によって決定される。放電
空間に接する保護層の二次電子放出係数はそのひとつで
あり、二次電子放出係数が大きいほど低電圧で駆動する
ことが出来る。酸化マグネシウムから成る保護層は、二
次電子放出係数が大きく、このような観点から保護層に
特に適している。
は、駆動回路の耐電圧特性や大面積化した場合の消費電
力の観点から、更に一層の低電圧化が望まれている。低
電圧化の面では、酸化マグネシウム膜の結晶配向性に依
存する二次電子放出係数の違いが注目されている。すな
わち、酸化マグネシウム膜においては、<111>配向
膜が他の配向の酸化マグネシウム膜に比して、二次電子
放出係数が高いことが知られている。特開平第5−23
4519号公報には、保護膜としての経時変化の面から
も、酸化マグネシウムの<111>配向膜の優位性が記
述されている。
いた蒸着法で酸化マグネシウムの<111>配向膜を得
るためには、230℃以上の高い基板温度で膜を堆積さ
せるか、或いは、低い基板温度で1.5〜3Å/秒以下
の低い堆積速度で形成するかの何れかによる方法のみが
知られていた。しかし、230℃以上の高い基板温度で
酸化マグネシウム膜を形成すると、下地層である低融点
ガラス内の鉛(Pb)成分が酸化マグネシウム膜中に拡
散し、このような酸化マグネシウム膜をAC−PDPの
保護層として用いると、良好な低い駆動電圧が得られな
いという問題がある。他方、1.5〜3Å/秒以下とい
う低い堆積速度は、スループットの観点からは採用し難
い。
マディスプレイパネルの製造にあたって、酸化マグネシ
ウムの<111>配向膜を形成する際に、鉛成分の下地
層からの拡散を抑えることを可能とする低い基板温度を
採用し、且つ、高いスループットで該配向膜を形成する
ことが出来る、プラズマディスプレイパネルの製造方法
を提供することを目的とする。
に、本発明に係る交流放電型プラズマディスプレイパネ
ル(AC−PDP)の製造方法は、保護層である酸化マ
グネシウム層を形成する工程が、成膜面上でアルゴンガ
スによるプラズマ放電を発生させる手順と、プラズマ放
電を発生させた状態で蒸着法により酸化マグネシウムを
形成する手順とを含むことを特徴とする。
は、基板面上でプラズマ放電を発生させることにより、
230℃未満の低い基板温度であっても、5Å/秒以上
の高い成膜速度で、結晶方位<111>に配向した酸化
マグネシウム膜から成る保護層が得られる。
一般的なAC−PDPの構造を模式的に示す要部断面図
である。AC−PDPは、前面及び背面に配設されるガ
ラス製の第1の絶縁基板1a及び第2の絶縁基板1bを
有する。第1の絶縁基板1a上には、相互に平行に配置
された多数の透明な表示電極対2a、2bが形成され、
これらを覆って絶縁体層6aが形成される。更に、この
絶縁体層6aを覆って酸化マグネシウムから成る保護層
7が形成されている。保護層7は、放電によるイオン衝
撃から誘電体層6aを保護するために設けられる。
放電ガス空間5が設けられ、該放電ガス空間5内には、
例えばヘリウム及びキセノンから成るペニングガスが放
電ガスとして封入されている。放電空間5は、隔壁4に
より相互に区画されて単位発光領域を形成する。第2の
絶縁性基板1b上には、単位発光領域を選択的に発光さ
せるためのデータ電極3、これらを覆う誘電体層6bが
形成され、更に、その上に所定発光色の蛍光体8が塗布
される。各誘電体層6a及び6bは、低融点ガラスペー
ストを所定形状に印刷し、これを焼成することにより形
成される。
電極2a、2bに対して、これらの間の相対電位が交互
に反転するような交番パルスを成す所定の駆動電圧を印
加すると、印加毎に誘電体層6aの表面に放電が起こ
り、これにより生じた紫外線によって蛍光体8が励起さ
れて発光する。
1a、1b上に夫々所定の構成要素を別個に設ける工
程、ガラス基板1a、1bを対向配置して周囲を封止す
る工程、及び、放電ガスを封入する工程などを経て製造
される。その工程中において、第1のガラス基板1a側
に形成される保護層7は、本発明に従ってプラズマ放電
を利用した蒸着法によって形成される。
シウムを成膜する成膜装置の概略構成を例示する。成膜
装置は、チャンバ15と、その内部に夫々設けられる熱
電子流加熱型の蒸発源9、ヒーター10及び電子線照射
用の電子線源11と、プラズマ放電発生用の高周波電源
装置(RF電源装置)12とから構成されている。本成
膜装置では、基板を設置するための基板ホルダ13は、
チャンバ15とは電気的に絶縁され、RF電源装置12
に接続されている。
ラメント17、膜材料の蒸発物質(ターゲット)として
の酸化マグネシウムを収納する耐熱容器(ルツボ)1
8、熱電子流を偏向してターゲットに導く図示しない磁
束発生部、及び、支持台19からなり、熱電子流16の
照射エネルギーを制御して酸化マグネシウムを加熱し、
蒸発させる。
例えば以下のように行なわれる。基板ホルダ13には、
所定の構造物を形成したガラス基板1aを設置し、これ
にRF電源装置12を接続する。次いで、チャンバ15
の内部を、図示しない真空ポンプにより排気し、チャン
バ15内を例えば1×10-5Torr程度の真空とする。こ
の排気と並行してヒーター10によりガラス基板1aを
加熱する。
示しないガスボンベから配管20を経由してチャンバ1
5内にアルゴン(Ar)ガスを導入する。このとき、マ
スフローコントローラ14により流量の制御を行い、チ
ャンバ15内のアルゴン分圧を所定値、例えば、2×1
0-3Torrに保つ。
値に安定した後に、RF電源装置12から基板ホルダ1
3に高周波電圧を印加し、ガラス基板1a表面にプラズ
マ放電を発生させる。ここで、高周波電圧印加によるプ
ラズマ放電への供給電力密度が低くてプラズマ放電の維
持が難しい場合には、プラズマ放電の連続的なトリガと
して、電子線源11からガラス基板1a表面に、プラズ
マ放電トリガ用の電子線を照射し、これによりプラズマ
放電を維持する。
熱し、熱電子流16を発生させて、酸化マグネシウムを
蒸発させる。これにより、ガラス基板1a上に酸化マグ
ネシウムからなる保護層が形成される。このとき、堆積
速度が、例えば10Å/秒となるように蒸発源9の熱電
子流の制御を行う。
度の膜厚の保護層の形成が終了すると、蒸発源9及びヒ
ーター10を断とし、高周波電圧の印加を停止する。ガ
ラス基板1aの温度が下がるのを待って、チャンバ15
内を大気圧に戻し、ガラス基板1aを取り出して次工程
へ送る。
ち、高周波電圧によるプラズマ放電への供給電力密度
と、形成される酸化マグネシウム膜の結晶配向性との関
係を示すグラフである。同図において、縦軸はX線回折
で得られた酸化マグネシウム膜の各結晶方位<111>
及び<200>におけるピーク強度である。同図から容
易に理解できるように、プラズマ放電のための高周波電
力を供給することにより、ある範囲内で<111>結晶
方位のピーク強度が増加し、<200>結晶方位のピー
ク強度が低下することで、全体として結晶方位<111
>に配向した酸化マグネシウム膜が得られる。ここで、
あまり高い密度の高周波電力を印加すると、膜全体の結
晶性が低下し、得られる酸化マグネシウム膜が非晶質の
膜となるおそれがある。従って、良好な<111>配向
の酸化マグネシウム膜を得るためには、高周波の供給電
力密度を50〜300mW/cm2の範囲とすることが好まし
い。
づいて説明をしたが、本発明のプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法は、上記実施の形態の構成にのみ限定さ
れるものではなく、上記構成から種々の修正及び変更を
施したプラズマディスプレイパネルの製造方法も、本発
明の範囲に含まれる。
AC−PD Pを例示したが、本発明は対向放電型のA
C−PDPにも適用可能である。更に、上記実施の形態
において蒸発源の形式、チャンバの構造、蒸発の制御条
件等は、酸化マグネシウムの<111>配向膜が得られ
る範囲で適宜変更することができる。
製造方法によれば、誘電体層を保護し良好な放電特性を
得るための酸化マグネシウムの<111>配向膜を、比
較的低い温度で且つ成膜速度が高く形成できるので、良
好な膜室の保護膜をスループット高く形成できる。本発
明方法は、大面積のプラズマディスプレイパネル等の製
造に特に好適に用いることが出来る。
装置の概略構成を示す模式的断面図。
の構造を模式的に示す要部断面図。
酸化マグネシウム膜の結晶配向性との関係を示すグラ
フ。
Claims (2)
- 【請求項1】 一対の絶縁性基板、該双方の絶縁性基板
上に夫々配置されて相互に対向する各電極部、該各電極
部を覆う誘電体層、及び、少なくとも一方の誘電体層を
覆う蒸着形成の酸化マグネシウム層を有し、放電ガス空
間の放電により表示を行なう形式の交流駆動型プラズマ
ディスプレイパネルを製造する方法において、 酸化マグネシウム層を形成する工程が、蒸着面上にアル
ゴンガスを導入し、プラズマ放電を発生させる手順と、
プラズマ放電を発生させた状態で蒸着を行なう手順とを
含み、主として酸化マグネシウムの<111>配向膜を
形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネル
の製造方法。 - 【請求項2】 前記プラズマ放電は、蒸着室内に放電ガ
スを導入し、膜を形成する絶縁基板を支持する基板ホル
ダに高周波電圧を印加することにより発生させ、プラズ
マ放電に供給される電力密度が、50〜300mW/cm2の
範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のプラズ
マディスプレイパネルの製造方法。
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JPH0992133A JPH0992133A (ja) | 1997-04-04 |
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1995
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