JP2000215799A - Ac型プラズマディスプレイパネルの製造方法及び特性改善方法 - Google Patents
Ac型プラズマディスプレイパネルの製造方法及び特性改善方法Info
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Abstract
に起因した放電特性の経時変化を抑え、表示の安定化及
び長寿命化を図ることを目的とする。 【解決手段】AC型プラズマディスプレイパネルの製造
において、蒸着面15aに対してイオンビームIBを照
射するイオンアシスト蒸着法によって、誘電体層15上
に酸化マグネシウムの〈111〉配向膜からなる保護膜
を形成する。
Description
スプレイパネル(PDP)の製造方法及び特性改善方法
に関し、特に誘電体層の保護膜の形成方法に特徴を有す
る。
極が低融点ガラスなどの誘電体層で被覆され、さらにそ
の表面に誘電体層を放電時のイオン衝撃から保護するた
めの耐熱性の保護膜が設けられている。
性に大きな影響を与える。それ故、保護膜の改良は、表
示の安定化、駆動の容易化、及び長寿命化などの上で重
要な事項の1つとされている。
保護膜として、酸化マグネシウム(MgO)からなる数
千Å程度の厚さの薄膜が設けられている。
大きい金属酸化物であり、これを用いることにより、放
電開始電圧が下がることから駆動の容易化を図ることが
できる。
を例えば電子ビーム加熱などによって蒸発させて誘電体
層の表面に結晶成長の形で堆積させる手法、すなわち蒸
着法によって形成される。
は、放電特性の経時変化が比較的に著しいという問題が
あった。
に、酸化マグネシウム膜の中に炭素化合物や水酸基など
の不純物が取り込まれることに起因すると考えられる。
すなわち、放電空間の周囲の封止材などから有機溶剤
(炭素化合物)が混入すると、酸化マグネシウム膜の中
で炭酸マグネシウム(MgCO3 )が生成される。炭酸
マグネシウムは放電エネルギーによって化学変化を起こ
し、これによって生じた一酸化炭素(CO)又は二酸化
炭素(CO2 )が酸化マグネシウム膜の表面に吸着する
ことから、PDPの使用時間が長くなるつれて、放電開
始電圧が上昇して表示動作が不安定となる。
発光していない放電セルに集まる性質があるので、発光
の頻度が少ない放電セルの放電開始電圧が他より上昇す
る現象(いわゆる焼付き)が生じ、PDPの寿命が短く
なる。
保護するための酸化マグネシウム膜に起因した放電特性
の経時変化を抑え、表示の安定化及び長寿命化を図るこ
とを目的としている。
AC型プラズマディスプレイパネルの製造方法であっ
て、蒸着面に対してイオンビームを照射するイオンアシ
スト蒸着法によって、誘電体層上に酸化マグネシウムの
〈111〉配向膜からなる保護膜を形成するものであ
る。
イオンビームは酸素を主体とする酸素とアルゴンとの混
合ガスのイオンビームである。請求項3の発明の製造方
法において、蒸着の雰囲気は、酸素分圧が5×10-5〜
1×10-4[Torr]の酸素を主体とする雰囲気であ
る。
スト蒸着時における照射ガスイオン電流値を5〜20
[mA]の範囲内の値に設定するものである。請求項5
の発明に係る特性改善方法は、ネオンとキセノンとを含
む放電空間に対して誘電体層を被覆する保護膜として、
蒸着面に対してイオンビームを照射するイオンアシスト
蒸着法を用いて酸化マグネシウムが〈111〉方位に配
向した蒸着膜を形成することにより、少なくとも100
0時間の動作期間後の放電開始電圧の部分的上昇を5V
以下に抑制するものである。
ウムの〈111〉配向膜は、〈111〉配向結晶(膜厚
方向の結晶方位が〈111〉であり膜平面と平行な面が
{111}面の結晶)が他の結晶に対してその数の上で
優勢となった酸化マグネシウム膜であり、適当なイオン
照射量のイオンアシスト蒸着によって形成される。
の酸化マグネシウム膜と比べて、すなわち、特定の結晶
方位が他の結晶方位に対して優勢とならず個々の結晶が
不規則な方向に結晶成長した状態の膜、及び比較的に形
成し易い〈200〉配向膜などと比べて、表示の安定化
及び長寿命化の上で優れている。
の酸化マグネシウム膜について、X線回折によってそれ
らの膜構造を調べた後、各酸化マグネシウム膜を設けた
PDPの焼付き電圧を測定した結果、図7に示すよう
に、膜中に〈111〉配向結晶が多く含まれるほど焼付
き電圧の値が小さいことが見出された。
いを示す値である。すなわち、放電特性の経時変化を確
認するための試験として、PDPの一部の放電セルを例
えば500時間程度の時間(焼付き試験時間)にわたっ
て連続的に点灯(放電)させ、その後に各放電セルにつ
いて放電開始電圧を測定したときの点灯放電セルとその
近傍の非点灯放電セルとの間の測定値の差を焼付き電圧
として示したものである。焼付き電圧の値が小さいほど
焼付きが軽微であり、放電特性の上で酸化マグネシウム
膜の膜質が良好である。
部の構造を示す断面図である。PDP1は、マトリクス
表示方式の面放電型のPDPであり、一対のガラス基板
11,21、互いに平行に隣接配置された表示電極1
3,14、AC駆動のための誘電体層15、内部の放電
空間30を単位発光領域毎に区画するための隔壁19、
後述の保護膜16、隔壁19と当接して放電空間30の
間隙寸法を規定する隔壁29、単位発光領域を選択的に
発光させるためのアドレス電極22、及び所定発光色の
蛍光体28から構成されている。
ネオンとキセノンとからなるペニングガスが封入されて
いる。なお、誘電体層15及び隔壁19,29は、低融
点ガラスペーストを所定形状に印刷して焼成することに
よって形成される。
らの間の相対電位が交互に反転するように所定の駆動電
圧(交番パルス)を印加すると、印加毎に誘電体層15
の表面方向の放電(面放電)が起こり、これにより生じ
た紫外線によって蛍光体28が励起されて発光する。こ
のとき、放電毎に誘電体層15に駆動電圧と反対の極性
の壁電荷が蓄積し、これにより、駆動電圧を壁電荷の分
だけ放電開始電圧より低い電圧とすることができる。
壁19を形成した後の段階で設けられ、隔壁19を含め
て誘電体層15の表面を放電空間30に対して被覆し、
誘電体層15の劣化を防止する。
放電開始電圧の低圧化の上で有利な酸化マグネシウム膜
の内で、特に上述のように他の膜質の酸化マグネシウム
に比べて焼付きの起こりにくい〈111〉配向膜が設け
られている。
1,21について別個に所定の構成要素を設ける工程、
ガラス基板11,21を対向配置して周囲を封止する工
程、及び放電ガスを封入する工程などを経て製造され
る。その際、ガラス基板11側において、保護膜16は
蒸着によって形成される。
成を示す図である。蒸着装置2は、チャンバー40と、
その内部に設けられた電子ビーム加熱型の蒸発源41、
ヒーター45、及び分圧真空計46などから構成されて
いる。
ント42、膜材料の蒸発物質(ターゲット)としての酸
化マグネシウム(MgO)16aを収納する耐熱容器
(るつぼ)43、熱電子流EBを偏向してターゲットに
導く磁束発生部44からなり、熱電子流EBのエネルギ
ーによって酸化マグネシウム16aを加熱して蒸発させ
る。
の蒸着について説明する。まず、誘電体15及び図示し
ない隔壁19を設けた後の所定数のガラス基板11を、
誘電体層15が蒸発源41と対向するようにチャンバー
40内の所定位置に固定する。
ンバー40の排気を行い、チャンバー40内を1×10
-6[Torr]程度の真空状態とする。この真空状態の
形成と並行して、又は真空状態が形成された後に、ヒー
ター45の熱輻射によってガラス基板11を加熱する。
達すると、蒸発源41を作動させて酸化マグネシウム1
6aを蒸発させる。蒸発した酸化マグネシウム16aは
蒸気流MBとなってガラス基板11に到達し、誘電体層
15の表面(膜形成面)15a上に結晶成長の形で堆積
する。このとき、堆積速度が例えば毎秒20Åとなるよ
うに蒸発源41の制御を行う。
ンバー40内へ酸素ガス16bを供給し、酸素雰囲気中
で結晶成長を進行させる。このとき、マスフローコント
ローラ51によって酸素の供給量を調節し、チャンバー
40内の酸素分圧を所定値に保つ。
Å程度の膜厚の保護膜15の形成が終了すると、蒸発源
41及びヒーター45などの作動を停止し、ガラス基板
11の温度がある程度下がるのを待ってチャンバー40
内を大気圧に戻し、ガラス基板11を取り出す。そし
て、取り出したガラス基板11を後工程へ送る。
晶配向性との関係を示すグラフである。図3において、
左縦軸は、膜内の酸化マグネシウム結晶の内で〈11
1〉配向結晶の占める割合であり、X線回折における各
結晶方位のピーク強度の和に対する〈111〉結晶方位
のピーク強度の比率に対応する。なお、ここで言うピー
ク強度は、通常、ピーク波形の面積(すなわち積分強
度)を示すものであり、このピーク強度が所定の結晶の
数に対応するものとなる(この定義は以後も同様であ
る)。
なるにつれて、膜中の〈111〉配向結晶の割合が増大
し、5×10-5[Torr]付近でその割合が50%を
越える。
に、酸素分圧が1×10-4[Torr]程度以上となる
と、膜全体の結晶性が急激に悪化する。すなわち酸化マ
グネシウム膜が非晶質となる。そのため、膜中の〈11
1〉配向結晶の絶対量としては、図中に鎖線で示すよう
に、酸素分圧が8×10-5[Torr]程度を越えると
減少する。
試験時間と焼付き電圧との関係を示すグラフである。図
4において、酸素分圧が5×10-5又は8×10-5[T
orr]の酸素雰囲気中で蒸着した酸化マグネシウム膜
では、1000時間にわたって連続的に放電させた場合
にも、ほとんど焼付きが生じない。これに対し酸素分圧
が2×10-5[Torr]の酸素雰囲気中で蒸着した酸
化マグネシウム膜では、放電時間が長くなるにつれて焼
付きが顕著となり、1000時間で焼付き電圧が5Vを
越すレベルに達する。
雰囲気中の蒸着による保護膜16の形成に際して、酸素
分圧の値としては、5×10-5〜1×10-4[Tor
r]程度の範囲の好ましいことが判る。
の構成を示す図である。図5において、図2と同一機能
を有する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省
略する。
蒸着のための冷陰極型のイオン銃48が設けられてい
る。このイオン銃48は、ガスボンベ50Bからマスフ
ローコントローラ51を介して供給される酸素主体の混
合ガス55をイオン化し、酸素のイオンビームIBを射
出する。本実施例の混合ガス55は、酸素とアルゴンと
を5対1の割合で混合したガスである。
に際しては、膜材料の酸化マグネシウム16aの加熱と
並行して、イオン銃48に一定の流量で混合ガス55を
供給するとともに、照射ガスイオン電流値を一定に保
ち、500〜1500[eV]のエネルギーをもつイオ
ンビームIBを誘電体層15の表面15aに向けて照射
する。
板11に到達した酸化マグネシウム16aと、イオンビ
ームIBとして入射した酸素イオンとが適当に化合し、
イオンビームIBによる表面清浄化と相まって、誘電体
層15の表面15a上で組成のほぼ均一な酸化マグネシ
ウム膜が結晶成長の形で生成する。
イオン電流と酸化マグネシウム膜の結晶配向性との関係
を示すグラフである。図中に実線で示すように、照射ガ
スイオン電流値が5[mA]程度より大きい範囲では、
膜中の〈111〉配向結晶の割合がほぼ一様に大きい。
しかし、膜全体の結晶性は、照射ガスイオン電流値が1
0[mA]程度のときに最大(最良)となり、これより
照射ガスイオン電流値が大きくなるほど低下する。な
お、照射ガスイオン電流値が100[mA]以上の範囲
では、アルゴンの混入により酸化マグネシウム膜は非晶
質膜(アモルファス膜)となった。
護膜16の形成に際して、照射ガスイオン電流値として
は、例えば5〜20[mA]の範囲の値が好ましい。図
5の実施例によれば、イオン照射によって膜形成面に酸
素が供給されるので、酸素ガス16bの導入により酸化
マグネシウム膜の組成の上での酸素不足を補う場合に比
べて、膜形成面の近傍の酸素密度を一定化することが容
易である。つまり、イオンアシスト蒸着法によって形成
された保護膜16はその組成が均一となる。
P1を例示したが、本発明は対向放電型のPDPにも適
用することができる。上述の実施例において、蒸発源4
1の形式、チャンバー40の構造、蒸発の制御条件は、
酸化マグネシウムの〈111〉配向膜が得られる範囲で
適宜変更することができる。
誘電体層を保護するための酸化マグネシウム膜に起因し
た放電特性の経時変化(特に焼付きによる放電開始電圧
の部分的上昇)を抑えることができ、表示の安定化及び
長寿命化を図ることができる。
である。
ある。
の関係を示すグラフである。
焼付き電圧との関係を示すグラフである。
図である。
と酸化マグネシウム膜の結晶配向性との関係を示すグラ
フである。
量と放電特性に係わる焼付き電圧との関係を示すグラフ
である。
Claims (5)
- 【請求項1】蒸着面に対してイオンビームを照射するイ
オンアシスト蒸着法によって、誘電体層上に酸化マグネ
シウムの〈111〉配向膜からなる保護膜を形成する工
程を含むことを特徴とするAC型プラズマディスプレイ
パネルの製造方法。 - 【請求項2】前記イオンビームが酸素を主体とする酸素
とアルゴンとの混合ガスのイオンビームである請求項1
記載のAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 【請求項3】蒸着の雰囲気は、酸素分圧が5×10-5〜
1×10-4[Torr]の酸素を主体とする雰囲気であ
る請求項2記載のAC型プラズマディスプレイパネルの
製造方法。 - 【請求項4】イオンアシスト蒸着時における照射ガスイ
オン電流値を5〜20[mA]の範囲内の値に設定する
請求項1記載のAC型プラズマディスプレイパネルの製
造方法。 - 【請求項5】ネオンとキセノンとを含む放電空間に対し
て誘電体層を被覆する保護膜を備えたAC型プラズマデ
ィスプレイパネルに含まれる放電セルの放電開始電圧が
部分的に上昇する焼付き現象を抑制する特性改善方法で
あって、 前記保護膜として、蒸着面に対してイオンビームを照射
するイオンアシスト蒸着法を用いて酸化マグネシウムが
〈111〉方位に配向した蒸着膜を形成することによ
り、少なくとも1000時間の動作期間後の放電開始電
圧の部分的上昇を5[V]以下に抑制するようにしたこ
とを特徴とするAC型プラズマディスプレイパネルの特
性改善方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000007333A JP2000215799A (ja) | 2000-01-01 | 2000-01-17 | Ac型プラズマディスプレイパネルの製造方法及び特性改善方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2000007333A JP2000215799A (ja) | 2000-01-01 | 2000-01-17 | Ac型プラズマディスプレイパネルの製造方法及び特性改善方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3785592A Division JP3149249B2 (ja) | 1992-02-25 | 1992-02-25 | Ac型プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000215799A true JP2000215799A (ja) | 2000-08-04 |
Family
ID=18535732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2000007333A Withdrawn JP2000215799A (ja) | 2000-01-01 | 2000-01-17 | Ac型プラズマディスプレイパネルの製造方法及び特性改善方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2000215799A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100625986B1 (ko) | 2003-11-26 | 2006-09-20 | 삼성에스디아이 주식회사 | MgO막 및 이를 구비하는 플라즈마 디스플레이 패널 |
KR100862948B1 (ko) | 2006-09-12 | 2008-10-15 | (주)인텍 | 이온빔을 이용한 PDP용 MgO 박막 증착 장치 및 증착방법 |
-
2000
- 2000-01-17 JP JP2000007333A patent/JP2000215799A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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KR100625986B1 (ko) | 2003-11-26 | 2006-09-20 | 삼성에스디아이 주식회사 | MgO막 및 이를 구비하는 플라즈마 디스플레이 패널 |
KR100862948B1 (ko) | 2006-09-12 | 2008-10-15 | (주)인텍 | 이온빔을 이용한 PDP용 MgO 박막 증착 장치 및 증착방법 |
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