JP2000277009A - 交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方法、交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜、交流型プラズマディスプレイパネル及び交流型プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方法、交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜、交流型プラズマディスプレイパネル及び交流型プラズマディスプレイ装置

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JP2000277009A
JP2000277009A JP8152599A JP8152599A JP2000277009A JP 2000277009 A JP2000277009 A JP 2000277009A JP 8152599 A JP8152599 A JP 8152599A JP 8152599 A JP8152599 A JP 8152599A JP 2000277009 A JP2000277009 A JP 2000277009A
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plasma display
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mgo
magnesium oxide
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Hide Kawakusu
秀 川楠
Takao Sawada
隆夫 沢田
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PDPの信頼性を向上させるには、パネル制
作時のパターン内残留不純ガスを減らすことが必要であ
るが、そのためには、パネルに使用する材料の中で、ガ
ス吸着量の最も多い、MgO膜のガス吸着量を減らす必
要がある。更に長期の信頼性を向上させるためには、放
電開始電圧変動の低減及びMgO膜のスパッタリング速
度を抑える必要がある。 【解決手段】 AC型PDPの保護膜用MgO膜の作成
時の基板温度及び酸素分圧をそれぞれ250℃以上、1
×10-5〜1×10-4Torrに制御する。これによっ
て、膜密度が従来よりも高く、且つ(111)方位の配
向性しかない膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流型プラズマデ
ィスプレイパネル(以下、「PDP」と呼ぶ)に関する
ものであり、特に二次電子放出効果を良好に保ちつつ、
かつパネル内の残存不純ガスを低減させ、さらにスパッ
タリングによる保護膜の消耗を低減することにより、P
DPの性能向上および寿命延長させるための保護膜に関
する。
【0002】
【従来の技術】放電発光を利用するフラットパネルディ
スプレイの一つであるPDPは、その電極構造から、
(i)放電空間に金属電極が露出している直流型(DC
型)と、(ii)金属電極が誘電体で覆われている交流
型(AC型)とに大別される。特にAC型PDPでは、
上記誘電体層上に、当該誘電体層の保護膜として酸化マ
グネシウム(MgO)膜が形成される。
【0003】ここで、酸化マグネシウムは、二次電子放
出係数が大きい材料であるため放電開始電圧を低くし得
るという効果を有しており、更に放電に対するスパッタ
リング耐性に優れた材料でもある。従って、これらの特
性を用いることにより、AC型PDPの放電の低電圧化
と、電圧の安定化、及び長寿命化を図ることができる。
【0004】このMgO保護膜は、(a)誘電体層及び
維持放電電極が放電(プラズマ)に直接さらされても、
イオン衝撃によるダメージを受けないようにするための
保護膜として機能するほかに、(b)所定の電極間に放
電電圧を印加したときに、放電のための二次電子を放出
する機能(二次電子放出効果)や、(c)壁電荷を蓄積
することによってMgO膜が無い場合よりも低い電圧で
電子を放出する機能、すなわち放電電圧を低減させる機
能を有する。
【0005】このような特徴を有する酸化マグネシウム
保護膜は、一般的には、真空中で材料を電子ビームで溶
解蒸発させて基板に付着させる方法、即ち、電子ビーム
蒸着法によって成膜される。これは、(1)今までに提
案されているMgO膜の様々な成膜方法の中で当該電子
ビーム蒸着による成膜方法が最も速い速度で結晶性の良
い膜を形成できるという理由と、(2)当該電子ビーム
蒸着方法により形成されるMgO膜はAC型PDPに要
求される諸性能(上記(a)〜(C))に関して他の方
法で成膜されたものよりも優れるという理由による。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】既述した通り、現在の
PDPに使用されている誘電体層上の保護膜としては、
MgO膜が二次電子放出係数が大きいために放電開始電
圧を低くすることができること、しかも放電に対する対
スパッタ性も大きいという観点から、この材料が選択さ
れている。
【0007】しかし、例えば「電子情報通信学会:信学
技報、EID92−85:AC面放電型プラズマディス
プレーの放電劣化の研究」において述べられているよう
に、MgO膜も長時間の放電にさらされると、MgO膜
のスパッタリングが発生してしまい、その膜厚が減少し
(場合によっては下地の誘電体層表面が露出する)、駆
動電圧が上昇することにより、パネルの寿命が決まって
しまうことが知られている。尚、上記の文献によれば、
駆動電圧が上昇する原因は、MgO膜の一部がスパッタ
リングによって削られて下地の誘電体層が露出し、成分
の酸化鉛が蒸発してそれがMgO膜を覆うことにより、
MgO膜の表面の二次電子放出係数が変化して、放電開
始電圧が上昇するためであるとされている。
【0008】しかも、上記のスパッタリングは、放電ガ
ス中の不純ガス、特に水や炭酸ガスなどがMgO膜と反
応することで、より一層促進されると、考えられてい
る。
【0009】更に、パネル内の不純ガスがMgO膜と反
応した状態ではMgO膜の二次電子放出係数が変化する
ために、放電電圧が変化し表示に悪影響を与える。
【0010】この様な問題点を解決するためには、PD
P内の上記不純ガスを出来るだけ少なくすることが肝要
である。そのための第1の解決策は、PDPの製作時に
パネルの排気を十分に行うことである。また、第2の解
決策は、パネル内部に使用する材料や部品を事前に十分
にガス出しすることで、パネル内に不純物を持ち込まな
いようにすることである。
【0011】ところで、MgO膜(保護膜)は、その材
料がアルカリ土類金属酸化物であるために、容易に空気
中の水分及び炭酸ガスと反応して、これらを吸収すると
いう性質があり、パネル内部に使用される材料の中では
不純ガス発生の最大要因となる材料の一つである。従っ
て、第2の解決策を施すにあたっては、先ず以てMgO
膜のその様な特徴を改善する必要性がある。
【0012】更には、MgO膜の結晶方位や膜密度に対
するスパッタリング速度の依存性をも改善する必要性が
ある。
【0013】本発明は、放電に対するMgO膜のスパッ
タリング耐性の低下及びMgO膜はガス吸着が多いとい
う、従来の問題点を解決して、パネルの表示寿命を延ば
すことを目的とするものであり、高い二次電子放出効率
を保ちつつ、水分や炭酸ガスなどの不純ガスの吸着が少
ない保護膜の供給により、PDP表示寿命の延長を図る
ものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
その蒸着中に酸素ガスのみを加えて電子ビーム蒸着法に
より酸化マグネシウム膜を基板上に成膜する際に、成膜
時の酸素分圧及び基板温度をそれぞれ1×10-5Tor
r乃至1×10-4Torrの範囲内及び250℃以上に
制御することを特徴とする。
【0015】請求項2に係る発明は、請求項1記載の前
記交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウ
ム膜の製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0016】請求項3に係る発明は、その配向が(11
1)方位のみに制御されており、且つその膜密度が(1
11)方位以外の配向をも有するものよりも高いことを
特徴とする。
【0017】請求項4に係る発明は、請求項2又は3記
載の前記交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグ
ネシウム膜をパネル用電極及び前記パネル用電極を被覆
する誘電体層の保護膜として有することを特徴とする。
【0018】請求項5に係る発明は、請求項4記載の前
記交流型プラズマディスプレイパネルを有することを特
徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本実施の形態に係るMg
O膜が保護膜3として用いられるときの、AC型PDP
の発光セル20の構造例を示すものである。勿論、図1
に例示するもの以外の面放電AC型PDPにも本発明の
MgO膜を保護膜として用いることは可能である。
【0020】同図において、前面パネル21は、前面ガ
ラス基板1と、同基板1の内表面上に平行に形成された
電極対である維持放電電極10と、同電極10をその端
子部分を除いて被覆する誘電体層2と、同層2上に形成
された保護膜3とを有する。他方、背面パネル22は、
背面ガラス基板9と、同基板9の内表面上に上記電極1
0と直交する方向に形成されたアドレス電極8と、同電
極8を被覆する誘電体層7と、アドレス電極8を挟み込
む様に誘電体層7上に同電極8と平行に形成された隔壁
6と、隔壁6の側面及び誘電体層7の表面上に塗布され
た蛍光体5とを有する。そして、隔壁6は支柱として機
能すると共に、放電ガス4が充填された放電空間23を
規定している。
【0021】次に、本実施の形態に係るMgO膜の製造
技術の着眼点及びその内容について説明する。
【0022】PDPでは、表示放電時におけるMgO膜
の耐スパッタ特性という観点からみると、(111)方
位の配向面を有するMgO膜が優れていると言われてい
る。そして、酸化マグネシウムを酸素ガスのみを加えて
ガラスパネル上に電子ビーム蒸着すると共に、得られた
MgO膜のX線回折パターンを測定すると、一般的には
(111)配向の結晶が得られることが検出される。と
ころが、酸素分圧のみならず基板温度をも適切にコント
ロールしない場合には、即ち、基板温度を比較的低温と
して設定するときには(例えば150℃)、特開平5−
234519号公報の図3からも推察される様に、(1
11)配向以外の面をも有するMgO膜しか生成されな
いのが現実である。
【0023】そこで、本願発明者は酸素分圧の制御はも
とより、基板温度をも適切に制御する場合には、(11
1)配向のみを示す結晶性に優れたMgO膜が得られる
のではないかと考え、以下に示す研究を行った。
【0024】本発明による検討では、基板温度を少なく
とも250℃として、電子ビーム蒸着時の酸素分圧を色
々変えてMgO膜を作成し、作成されたMgO膜のX線
回折を行ったところ、図2の結果が得られた。MgO膜
は数千オングストロームの厚さのためにX線が透過し、
しかもMgO膜の下地ガラスは非定型であるため、ガラ
スのX線回折パターンは、ブロードなハローピークと
MgO膜のX線回折パターンとが重なったものにな
る。図2に示すように、回折角2θが28度のところで
ブロードなピークが見られるが、これがMgO膜の下地
のガラス層のアモルファス層を示す、ハローピークであ
る。そして、回折角2θが36度のところで鋭いピーク
が見られるが(このピーク値は酸素分圧の量によって変
化する)、これはMgO膜の(111)配向面を示すピ
ークである。又、同じ(111)配向を示す(222)
面の回折ピークが、回折角2θが79度のところにおい
て見られる。この様に、本例では、膜の結晶配向は(1
11)配向だけがあらわれている。
【0025】次に、MgO膜の結晶評価法として、ガラ
スハローの回折ピーク高さに対する、回折角2θが36
度のところで見られる(111)ピークのX線回折パタ
ーンの高さの比で以て、結晶性を評価した。図3の一部
は、蒸着時の酸素分圧に対する(111)ピーク強度比
を示している(白丸のデータ)。この関係から、基板温
度が250℃以上の場合には、酸素分圧が高い程にX線
回折により得られる(111)ピークの強度が強くなる
ことがわかる。このことは、一般的には酸素分圧が高い
程に結晶性が良くなることを表す。
【0026】また同図では、酸素分圧に対する同じ膜の
屈折率変動の関係をも示している(正方形表示のデー
タ)。これによれば、酸素分圧を高くして成膜した場合
には、結晶性の良い(XD回折ピーク比の高い)膜が得
られる反面、この膜の屈折率は逆に酸素分圧に対して反
比例し、膜の屈折率が小さくなる。ここで、薄膜の屈折
率は、単結晶の屈折率と比較して小さな値を示すが、こ
の減少率が膜の空隙率を表し、屈折率が小さくなること
は、膜密度の減少を意味する。従って、酸素分圧を上げ
て結晶性を向上させた膜の膜密度は逆に低下してしまう
ことが判明した。
【0027】また、基板温度≧250℃の条件の下で、
成膜時の酸素分圧を同様に変えて成膜したMgO膜のX
線ピーク高さ変動とガス吸着量の変化との関係を図4に
示す。ガス吸着量は昇温脱離ガス分析法(以下、TDS
法と記述)で測定されている。また、発生ガスは主に水
と炭酸ガスであるので、ここでは、その合計量を発生ガ
ス総量として面積換算した量に変換している。
【0028】TDS法は薄膜の吸着ガス量の測定に一般
的に用いられる分析手法であり、薄膜(基板を含む)を
高真空中で一定速度で加熱し、発生するガスを質量分析
装置を用いてガス毎に分離し、温度に対する各種吸着及
び反応ガスの発生量を計測する分析手法である。
【0029】図4から理解し得ることは、基板温度≧2
50℃の下では、成膜時の酸素分圧が高くなる程に、
(111)ピーク比は高くなるが、同時にガス吸着量も
高くなるという事である。この関係と図3の酸素分圧−
膜密度の関係とを合わせて考慮すると、基板温度≧25
0℃の下で酸素分圧を高くすると、(111)ピークが
高くなり、結晶性が向上するが、同時に膜密度の低下が
発生し、ガス吸着量の増大を招くことがわかる。従っ
て、パネルの信頼性を向上させるための、ガス発生量の
少ないMgO膜を成膜するには、放電性能を落とさず
に、出来るだけ酸素分圧を下げた成膜で、放電に対し良
好なパネル特性を有する条件を見出すことにあることが
わかる。
【0030】PDPカラーディスプレイ装置は、テレビ
などのVGA表示装置としては640×480の画素点
が必要であり、各画素に対して赤,緑,青の三色の放電
セルが存在する。そして、パネルを放電させる場合に
は、表示側基板の維持放電電極に交流パルス電圧を加え
て放電させ、発生した紫外光で蛍光体を光らせて表示を
行う。この電圧を放電が発生しない状態から少しずつ増
加させた時に、最初にパネル内のどこか一点で放電を開
始する最低電圧を、放電開始電圧と呼び、パネルの特性
を表す重要な指標の一つである。
【0031】そこで、基板温度≧250℃の下で各種酸
素分圧下で成膜したMgO膜を用いてPDPパネルを作
成し、そのパネルの放電開始電圧を計測した。更に、そ
のパネルを10kHzの白画面(赤,青,緑の全ての放
電セルが発光している状態)を表示して寿命試験を実施
し、放電開始電圧の1000時間後の電圧変動を計測し
た。
【0032】図5は、基板温度≧250℃の下での、成
膜時の酸素分圧と初期放電開始電圧の関係及び、放電開
始電圧の1000時間後の低下率との関係を示す。図5
の酸素分圧が1×10-3Torr〜1×10-5Torr
の範囲内では、放電開始電圧は酸素分圧が低いほどに低
くなる。尚、酸素分圧が1×10-6Torrとなる状態
は酸素なし(バックグランドの酸素分圧)の状態を示
す。そして、放電開始電圧は酸素分圧が1×10-5To
rrのところで最低になるが、放電開始電圧Vfの変化
率は酸素分圧が4×10-4Torrのところで最低にあ
る。ここで、放電開始電圧の変化率はPDPの実用的な
信頼性にとって重要な値であり、この値は小さいほど良
い。
【0033】次に、MgO蒸着時の酸素分圧と、放電時
に削られるスパッタ速度との関係を図6に示す。スパッ
タ速度は、シムス分析装置を用いて、アルゴンガスのス
パッタ速度を計測することで求めた。その結果が図6で
ある。これから言えるのは、基板温度≧250℃の下で
酸素分圧の低い条件で成膜したMgO膜ほどスパッタ速
度が小さい、言い換えれば、削れにくいと言える。これ
は、図3に示した膜密度とほぼ同じ関係であり、膜密度
が大きいほどMgO膜は削れ難いことを示している。
【0034】これらの結果を総合して判断すると、PD
Pパネルの実用的信頼性を高めたMgO膜の成膜方法と
しては、酸素分圧を1×10-4Torr〜1×10-5
orrの範囲でコントロールして成膜するのが最適であ
ると言える。そして、この場合の成膜時の基板温度条件
は250℃以上である。
【0035】(具体例)PDP用保護膜を、電子ビーム
蒸着装置を用いて形成する。電子ビーム蒸着装置にPD
Pの前面パネル21の前面ガラス基板1上に電極10及
び誘電体層2が形成されたものを準備し、これを電子ビ
ーム蒸着装置にセットする。ここでは電子ビーム蒸着装
置にはバッチ式蒸着装置を用いるものとし、且つ、Mg
O蒸着原料には3〜5mm角の単結晶砕片を用いた。前
面ガラス基板1をセットした後、電子ビーム蒸着装置を
真空に引き、赤外加熱装置で前面ガラス基板1を250
℃に加熱する。そして、真空度が1×10-5Torrに
まで到達したところで、酸素ガスを1×10-5Torr
の圧力で加え、MgO原料を電子ビームで溶解して、蒸
着を開始する。このとき、前面ガラス基板1は、MgO
原料の電子ビーム融解時の輻射熱によって、250℃以
上の高温に加熱されている。
【0036】その後、数千オングストロームの厚みのM
gO膜が誘電体層2上に蒸着された時点で電子ビーム蒸
着をストップし、徐冷した上で膜試料を取り出す。この
後、別に作成した背面パネル22と合わせて、封着、排
気し、ネオンキセノンガスより成る放電ガス4を規定圧
力まで封入し、チップオフしてパネルを形成する。その
後、このパネルに10khzの維持放電パルスを加えて
48時間のエージングを行う。
【0037】このパネルの放電開始電圧を測定し、更に
10kHzの維持放電パルスを加えて寿命試験を行い、
1000時間後のパネルの放電開始電圧を測定し、その
低下率を計測する。
【0038】次に、基板温度は変えずに同様に酸素分圧
を変えてMgO膜を蒸着した前面パネル用ガラス基板1
を用いてパネル製作し、放電開始電圧計測を同様に行
う。また、屈折率及びガス吸着量測定用サンプルとし
て、基板温度250℃以上の下で各酸素分圧条件下で、
前面パネル製作と同時に、シリコンウエハ上にMgO膜
を数千オングストロームの厚さで蒸着し、エリプソメー
タを用いて屈折率を計測し、TDSでガス吸着量を計測
する。
【0039】このようにして、計測された各データが既
述した図3〜図6である。
【0040】以上の通り、本実施の形態によれば、(1
11)方位のみを有し且つ、(111)方位以外の配向
面をも有するMgO膜よりも膜密度の高い結晶性に優れ
たMgO膜が得られる。
【0041】(付記) (1) 上述した製造方法によって成膜したMgO膜を
誘電体層の保護膜として有する基板を前面パネルとして
用い、且つ、このような前面パネルを有するAC型PD
Pを表示パネル部としてAC型プラズマディスプレイ装
置に組込むことは可能である。
【0042】(2) 既述した特開平5−234519
号公報には、酸素雰囲気で蒸発させる真空蒸着法におい
て、誘電体上に(111)方位の酸化マグネシウムを形
成しうる旨の記述があり、しかも、基板温度が150℃
での成膜条件の下で生成したMgO膜について、同公報
の図3には、各X線回折の各方位に対する回折強度の和
に対する(111)ピーク強度比が図示されている。更
に、同文献では、その第36段落において、蒸着時の好
ましい酸素分圧範囲は5×10-6Torr〜1×10-4
Torrである旨が述べられている。この点では、本実
施の形態における最適な酸素分圧の範囲(1×10-5
orr〜1×10-4Torr)と重なるが、本実施の形
態では、電子ビーム蒸着時の基板温度をも適切値にコン
トロールしており(その初期設定を250℃にし、更に
蒸着時にはもっと基板は高温になる)、このため、上記
文献で観察される(111)方位以外の方位の回折ピー
クは本実施の形態に係るMgO膜では一切観察されない
(図2参照)(特開平5−234519号公報では、
(111)方位の存在割合を定義しているため、他の配
向性も存在すると推察される)。従って、同文献に開示
されたMgO膜と本実施の形態に係るMgO膜とは、明
らかに膜質の点で異なっている。
【0043】
【発明の効果】請求項1ないし5の各発明によれば、M
gO蒸着時の酸素分圧及び基板温度を適切に制御するこ
とにより、膜のMgO結晶成長を制御して、密度が従来
のものよりも高く、配向が(111)方位のみにコント
ロールされたMgO膜を得ることができる。これによ
り、パネル排気時にパネル内に持ち込まれる不純ガスの
量を格段に低減することができ、しかも、放電電流の経
時変化を格段に少なくすることができると共に、各放電
セルの放電時にMgO膜のスパッタリングを大幅に減少
させることができるので、プラズマディスプレイパネル
及びプラズマディスプレイ装置の寿命を延ばすことがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関わるAC型PDPの発光セルの構
造を示す縦断面図である。
【図2】 本発明に関わる保護膜のX線回折結果を示す
図である。
【図3】 MgO蒸着時の酸素分圧と(111)ピーク
高さ/誘電体ハロー比及び膜の屈折率との関係をそれぞ
れ示す図である。
【図4】 MgO蒸着時の酸素分圧と(111)ピーク
高さ/誘電体ハロー比及びガス放出量との関係をそれぞ
れ示す図である。
【図5】 MgO蒸着時の酸素分圧と放電開始電圧及び
1000時間後の放電開始電圧の低下率との関係をそれ
ぞれ示す図である。
【図6】 MgO蒸着時の酸素分圧とMgO膜のスパッ
タ速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 前面ガラス基板、2 誘電体層、3 保護膜、4
放電ガス、5 蛍光体、6 隔壁、7 下地層、8 ア
ドレス電極、9 背面ガラス基板、10 維持放電電
極、20 発光セル、21 前面パネル、22 背面パ
ネル、23 放電空間。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA06 EA01 EB01 EB03 4K029 AA09 AA24 BA43 BB01 CA09 5C027 AA07 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GE09 JA07 MA23 (54)【発明の名称】 交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方法、交流型プラズマディスプ レイパネル用酸化マグネシウム膜、交流型プラズマディスプレイパネル及び交流型プラズマディ スプレイ装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その蒸着中に酸素ガスのみを加えて電子
    ビーム蒸着法により酸化マグネシウム膜を基板上に成膜
    する際に、成膜時の酸素分圧及び基板温度をそれぞれ1
    ×10-5Torr乃至1×10-4Torrの範囲内及び
    250℃以上に制御することを特徴とする、交流型プラ
    ズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の前記交流型プラズマディ
    スプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方法により
    製造されたことを特徴とする、交流型プラズマディスプ
    レイパネル用酸化マグネシウム膜。
  3. 【請求項3】 その配向が(111)方位のみに制御さ
    れており、且つその膜密度が(111)方位以外の配向
    をも有するものよりも高いことを特徴とする、交流型プ
    ラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の前記交流型プラズ
    マディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜をパネル用
    電極及び前記パネル用電極を被覆する誘電体層の保護膜
    として有することを特徴とする、交流型プラズマディス
    プレイパネル。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の前記交流型プラズマディ
    スプレイパネルを有することを特徴とする、交流型プラ
    ズマディスプレイ装置。
JP8152599A 1999-03-25 1999-03-25 交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜の製造方法、交流型プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム膜、交流型プラズマディスプレイパネル及び交流型プラズマディスプレイ装置 Pending JP2000277009A (ja)

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