JP2012209158A - プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】それぞれの内表面に放電を発生させる電極24、32が形成された一対の基板21、31が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板21に形成された前記電極24を覆う誘電体層26と前記誘電体層26を覆う保護層27とを備え、前記保護層27が、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物より形成され、かつ、前記保護層27の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法に関し、特に、放電特性に優れたプラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)として代表的な交流面放電型プラズマディスプレイパネルは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されているという基本構成を有する。
前面板は、ガラス製の前面基板とその内表面に形成された一対の走査電極と維持電極とからなる表示電極と、それらを覆う誘電体層および保護層を有する。ここで保護層は、電子放出を行って安定した放電を発生させるとともに、放電により発生したイオンが誘電体層をスパッタしないように設けられている。背面板は、ガラス製の背面基板とその内表面に形成されたデータ電極とそれを覆う誘電体層と隔壁と蛍光体層とを有する。そして、表示電極とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入される。ここで表示電極とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成され、画像表示のための放電を発生させる。
プラズマディスプレイパネルでは、このように構成された各放電セル内でガス放電を発生させ、赤、緑、青各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
プラズマディスプレイパネルに用いられる保護層としては、電子放出を行い安定した放電を発生させるとともに放電により発生したイオンが誘電体層をスパッタしないようにするというその配置目的から、電子放出特性やスパッタ耐性に優れた酸化マグネシウム(MgO)が主に使用されてきた。そして、近年のプラズマディスプレイパネルの省電力化に対する要求に応え、MgOを用いた保護層でより低電力での安定した駆動を実現するために、例えば、MgOに所定濃度のセリウム(Ce)を添加することで、保護層中の禁制帯にCeに起因するエネルギー準位を形成して2次電子放出特性と電荷保持特性の向上を図ることが提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−301841号公報
上記した従来のプラズマディスプレイパネルは、MgOを主成分とする保護層において放電開始電圧を低減するという一定の効果があるものの、近年のエコロジーブームや液晶ディスプレイなどの他の平板型画像表示装置との比較から強まっている、プラズマディスプレイパネルへの省電力化の要請に十分に対応できているとは言えなかった。
本発明はこのような現状に鑑みてなされたもので、低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備え、前記保護層が、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物より形成され、かつ、前記保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下であることを特徴とする。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記一方の基板の前記誘電体層上に、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、またはこれらの混合物より形成された前記保護層を形成する保護層形成工程が、酸素分圧が0.05Pa以上の酸素雰囲気下、および、300度〜380度の環境温度下での蒸着法により行われることを特徴とする。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板内表面に形成された誘電体層を覆う保護層が、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物より形成され、かつ、保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下である。このため、保護層内部に吸着された不純物ガスが排気工程で放出されやすく、低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルを提供することが可能となる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、またはこれらの混合物より形成された保護層の形成工程が、酸素分圧が0.05Pa以上の酸素雰囲気下、および、300度〜380度の環境温度下での蒸着法により行われる。このため、形成された保護層の表面を十分に粗くすることができ、低電圧で良好な画像表示を行うことができるプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す要部分解斜視図である。 本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルを駆動させる状態を示すブロック構成図である。 本発明の実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの保護層の状態を示す走査電子顕微鏡写真である。図3(a)が表面を平面視した状態を示し、図3(b)が断面構成を示す。 比較例のプラズマディスプレイパネルの保護層の状態を示す走査電子顕微鏡写真である。図4(a)が表面を平面視した状態を示し、図4(b)が断面構成を示す。 保護層製造条件の違いによる、プラズマディスプレイパネルの保護層の屈折率と放電特性との関係を示す図である。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備え、前記保護層が、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物より形成され、かつ、前記保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下である。
上記本発明のプラズマディスプレイパネルは、保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下である。このため、保護層の表面が適度に粗の状態となっていて、プラズマディスプレイパネルのパネル内部を排気する排気工程で、ガス不純物を容易に排出することができ、電子放出特性に優れている酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物を保護層として用いても、吸着ガスにより電子放出特性が低下することを回避できる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記一方の基板の前記誘電体層上に、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、またはこれらの混合物より形成された前記保護層を形成する保護層形成工程が、酸素分圧が0.05Pa以上の酸素雰囲気下、および、300度〜380度の環境温度下での蒸着法により行われる。
このようにすることで、電子放出特性に優れ、表面が適度に粗である保護層を備えたプラズマディスプレイパネルを、容易に製造する製造方法を提供することができる。
また、前記保護層の蒸着が、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のいずれかであることが好ましい。
さらに、前記保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下であることが好ましい。このようにすることで、ガス不純物が放出されやすく、低電圧駆動を可能とする保護層を備えたプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
以下、本発明のプラズマディスプレイパネル、および、プラズマディスプレイパネルの製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態として説明するプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す要部分解斜視図である。
本実施形態のプラズマディスプレイパネル10は、前面板20と背面板30とを空間を介して対向配置し、周辺部を図示しない封着部材を用いて封着することにより構成されており、前面板20と背面板30との間に多数の放電セルが形成されている。
前面板20は、一方の基板であるガラス製の前面基板21と、前面基板21の内表面に形成された走査電極22と維持電極23とからなる表示電極24と、表示電極24を覆う誘電体層26と、誘電体層を覆う保護層27とを有している。
表示電極24は、前面基板21の内表面上に形成された一対の走査電極22と維持電極23とからなっていて、前面基板21上に互いに平行に複数本形成されている。なお、図1では、表示電極24が、走査電極22、維持電極23、走査電極22、維持電極23という順番に繰り返して形成されている例を示したが、表示電極24は、走査電極22、維持電極23、維持電極23、走査電極22というように、走査電極22と維持電極23との順序が交互に異なるように形成されていてもよい。
また、図1では、走査電極22および維持電極23が、それぞれ一対の電極パターンで構成されているように示しているが、走査電極22と維持電極23は一対に形成されたものに限られず、また、走査電極22と維持電極23とを、それぞれ透明導電膜を用いた透明電極と金属材料のバス電極の組み合わせとして構成することもできる。
表示電極24上と電極が形成されていない前面基板21の内表面上を覆うように、誘電体層26が形成され、誘電体層26上には誘電体層26を覆うように保護層27が形成されている。
背面板30は、他方の基板であるガラス製の背面基板31と、背面基板31の内表面上に形成されたデータ電極32と、データ電極32を覆うように形成された誘電体層33と、誘電体層33上に形成された隔壁34と、隔壁の表面に形成された蛍光体層35とを有している。
背面基板31上のデータ電極32は、複数本が互いに平行に形成されている。そしてデータ電極32を覆う誘電体層33上に、縦隔壁34aと横隔壁34bとを有する井桁状の隔壁34が形成されている。さらに誘電体層33の表面と隔壁34の側面とに赤(R)、緑(G)、青(B)各色の蛍光体層35が形成されている。なお、隔壁34を縦隔壁34a横隔壁34bとで格子状に構成すること、また、蛍光体としてRGB三色を用いることは、いずれも本実施形態のプラズマディスプレイパネルにおいて必須の要件ではなく、縦もしくは横方向のみの隔壁を用いることや、RGB三色以外の蛍光体を用いるもできる。
前面板20と背面板30とは、それぞれの内表面に形成された表示電極24とデータ電極32とが略直交して立体交差するように対向配置され、表示電極24とデータ電極32とが対向して交差する部分に放電セルが形成される。前面基板21および背面基板31において、放電セルが形成された部分が画像を表示する画像表示領域となり、画像表示領域を外側から囲む前面基板21および背面基板31の周縁部分が、低融点ガラスの封着部材により封着されている。前面板20と背面板30との間に形成された放電空間には、放電ガスが封入されている。
本実施形態にかかるプラズマディスプレイパネルの保護層27は、酸化カルシウム(CaO)を主成分とする蒸着膜が用いられ、放電ガスとしてXeが20%のNe−Xe混合ガスが用いられている。また、一画素に相当する放電セル一つの大きさは、縦576μm、横160μmとしている。なお、その他の表示電極24、誘電体層26、蛍光体層35等の仕様は、一般的なプラズマディスプレイパネルのものと同様であるため詳細な説明は省略する。
図2は、上記本実施形態のプラズマディスプレイパネルを駆動させる駆動回路の構成例をブロック図として示したものである。
図2に示すように、プラズマディスプレイパネル10の走査電極22には、所定の電圧を印加するスキャンドライバ41が、また、プラズマディスプレイパネル10の維持電極23には、サステインドライバ42が接続されている。また、背面板のデータ電極32には、それぞれの画素での階調を決める電圧を印加するデータドライバ43が接続され、スキャンドライバ41、サステインドライバ42、データドライバ43が、パネル駆動回路44に接続されている。そして、点灯させようとする放電セルの走査電極22とデータ電極23間に所定の電圧を印加してアドレス放電を行った後に、走査電極22と維持電極23との間にパルス電圧を印加して維持放電を行う。このようにして放電セル内に生じた放電により生成された紫外線が、蛍光体層35を励起発光させて画像表示が行われる。
本実施形態のプラズマディスプレイパネル10は、上記のように保護層27として、炭酸カルシウム(CaO)を用いている。CaOは、従来代表的な保護層材料として用いられているMgOと比較して、部材自体の二次電子放出特性に優れているため、プラズマディスプレイパネルの放電開始電圧を下げることができ、より低消費電力での画像表示が可能となる。また、本実施形態のプラズマディスプレイパネル10の保護層27は、波長406nmの屈折率が1.560である。
図3に、本実施形態にかかるプラズマディスプレイの保護層の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図3(a)がその表面を平面視した状態であり、図3(b)が断面の構成を示したものである。
また、図4は、比較例としてのプラズマディスプレイパネルの保護層の走査電子顕微鏡写真であり、図3と同様に、図4(a)がその表面を平面視した状態であり、図4(b)が断面の構成を示したものである。図4に示す比較例の保護層は、本実施形態の保護層と同じCaOから形成されているが、波長406nmの屈折率が1.575である点で異なっている。
図3および図4を比較するとわかるように、CaOの保護層は、柱状の結晶粒が密に並んだようにして形成されている。そして、本実施形態のプラズマディスプレイパネルの保護層の表面は、図3(a)に示すように、その一辺が100nmを越えるような方形の結晶が形成されていて、図3(b)に示される断面構成で見ても一つ一つの結晶粒がより大きく成長していて、保護層の膜厚も厚い。これに対し、図4に示す、比較例のプラズマディスプレイ保護層は、図4(a)から明らかなように、表面の結晶が一辺数十nm以下の小さな方形であり、図4(b)に示される断面構成も一つ一つの結晶が小さく全体の膜厚も薄い。
このように、本実施形態のプラズマディスプレイパネルの保護層は、結晶が大きく成長していて、膜中にある程度の空隙が存在する。これに対し、比較例のプラズマディスプレイパネルの保護層では、一つ一つの結晶粒が小さいために、膜中に間隙が存在するもののその大きさが小さく、この保護層の間隙の差が光学屈折率として現れていると理解できる。
次に、CaO保護層の製造条件の違いによる、光学屈折率と放電特性について説明する。
図5は、CaO保護層の蒸着条件を変化させた場合の、保護層の波長406nmの屈折率と、完成パネルとして動作させた際の放電電圧とを測定した測定結果を示している。
測定したプラズマディスプレイパネルは、保護層の材料とその製造条件を除いて、周知のプラズマディスプレイパネルの製造方法と同じである。
具体的には、前面板製造工程として、ガラス製の前面基板21上に走査電極22と維持電極23とからなる表示電極24を金属薄膜または透明導電膜の蒸着等により形成し、その上に誘電体層26を蒸着等して形成する。このように形成された誘電体層26上に、酸素分圧と基板温度を管理しながら、保護層材料であるCaOを真空蒸着法により蒸着して保護層27を形成した。
また、背面板製造工程として、ガラス製の背面基板31上に金属薄膜の蒸着などによりデータ電極32を形成し、データ電極32を覆うように、可視反射層として機能する誘電体層33を形成する。さらに、誘電体層33上に所定の高さを有する縦横の格子状の隔壁34を所定のピッチで形成し、この隔壁34の表面と誘電体層33の表面に囲まれた空間の内部に、それぞれR、G、Bの蛍光体層35を形成する。さらに、背面基板31上の隔壁が形成されていない周辺領域に、封着部材としての低融点ガラスペーストを塗布し、低融点ガラスペースト内の樹脂成分等を除去するために仮焼きを行う。
次に、重ね合わせ工程として、保護層27が形成された前面板20と背面板工程後の背面板30とを、前面板20の表示電極と背面板30のデータ電極32とが隔壁34で区切られた画素部分で交差するように、かつ、それぞれの基板同士の間に所定の間隔を隔てて対向するように重ね合わせて保持する。
その後、背面板30の周囲に塗布された封着部材である低融点ガラスが溶融する温度まで加熱して、前面板20と背面板30との周囲を密封する封着工程を行い、封着温度以下の温度にパネルを加熱しながらパネル内を排気し、排気完了後にXeが20%のNe−Xe混合ガスを導入する、排気・ガス封入工程を行った。
その後、パネル内に形成した表示電極24に、通常動作時よりも高い交流電圧を印加して強い放電を発生させて安定放電が行えるようにするエージング工程を行うことによりプラズマディスプレイパネルが完成される。なお、図5のデータを測定するに当たり、図2に示した駆動回路を用いて、周波数が150kHzの維持放電でエージング処理を10時間程度行った。
図5において、パネル1が、CaO蒸着条件を、酸素分圧を0.058Pa、前面板20の温度を380度としたもので、CaOの蒸着レートが4オングストローム/秒である。パネル1は、図3にその保護層の走査電子顕微鏡写真を示した実施例のパネルである。
また、パネル2が、酸素分圧0.058Pa、基板温度を300度、蒸着レートが4オングストローム/秒であり、パネル3が、酸素分圧0.058Pa、基板温度を300度、蒸着レートが2オングストローム/秒としたものである。
図5において、パネル4として記載されたものが、図4にその走査電子顕微鏡写真を示した比較例のパネルであり、酸素分圧を0.03Paとし、基板温度を300度、蒸着レートが4オングストローム/秒という条件でCaO保護層の真空蒸着を行ったものである。
なお、保護層を真空蒸着する際に上記の各条件で酸素分圧の調整を行ったが、蒸着中に蒸着源やチャンバからの放出ガスの影響によって、一時的に酸素分圧が0.1Pa程度まで上昇することもあった。
図5に示すように、パネル1の保護層は、波長406nmの光に対する光学屈折率は1.560であり、表示電極間の放電電圧は145Vであった。また、酸素分圧をいずれも0.058Paとした、パネル2およびパネル3においても、波長406nmの光に対する光学屈折率が1.552または1.553であり、表示電極間の放電電圧も、パネル2が158V、パネル3が155Vと、ほぼ同じような特性が得られた。
これに対し、比較例として、酸素分圧を低く0.03PaとしてCaOを蒸着したパネル4の保護層では、波長406nmの光に対する光学屈折率は1.575と高く、表示電極間の放電電圧も209Vと高かった。
なお、上記の検討において、光学屈折率は、膜の屈折率や膜厚を測定する分析装置であるプリズムカプラ(Metricon社製)を用い、膜に波長が405nmのレーザー光を入射させ、光導波伝搬モードになる入射角度を測定し、その入射角度から膜の屈折率を求めた。
図5より明らかなように、保護層として波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下であること、また、保護層の蒸着工程において、酸素分圧が0.05Pa以上で基板温度が300度〜380度であることにより、放電電圧が低く低消費電力での駆動が可能なプラズマディスプレイパネルが得られることがわかる。
この理由は、次のように考察できる。
CaO膜を蒸着する際、膜の材料となる蒸着源のCaOはCaクラスタとOクラスタに分解されて蒸気化しその後再結合するため、一般的に蒸着膜は酸素欠損の多い膜となる。このため、蒸着時に蒸着を行うチャンバ中に酸素ガスを導入して、酸素分圧を高くして成膜を行うことで、結晶性の良い、結晶粒の大きいCaO膜を得ることができる。
また、蒸気化したCaO粒子は、蒸着対象の基板上に付着するとより安定な状態で堆積していく。このため、蒸着中に基板を適当な温度に加熱しておくことにより、付着したCaO粒子にエネルギーが与えられ、CaO粒子は安定したより大きな結晶粒となって成長することができる。さらに、結晶粒の大きさは結晶粒の成長速度にも依存し、蒸着レートを小さくして成長速度を遅くすると、より大きな結晶粒を形成することができる。
図3と図4で示したように、結晶粒の大きい膜は結晶粒界、すなわち、結晶粒の間隙が多いため表面積が大きく、ガスを吸着しやすい膜となる。このように、空隙率が大きい膜は光学屈折率が小さくなる。
結晶粒の大きいCaO膜は、膜中の空隙が空間に露出されやすい構造となる。そのため、成膜後に吸着した二酸化炭素などのガス不純物が、その後の排気工程などの真空加熱処理によってCaO膜から脱離しやすくなる。また、完成後のパネルで放電を発生させた場合に、表示電極上のCaO膜が放電によってスパッタされるが、結晶粒間の間隙が広いためにガス不純物が放出されやすく、さらに、放出されたガス不純物がスパッタされない表示電極上に位置しない保護層に吸着されやすい。このため、結晶粒間が広い保護層では、より一層表示電極上のCaO保護層が清浄化されやすくなる。
以上説明したように、本実施形態のプラズマディスプレイパネルは、保護層の波長406nmの光に対する屈折率が1.57よりも小さく、すなわち、保護層表面が適度に粗である。このため、二次電子放出特性が高いものの活性も高く、大気中のH2Oと反応して水酸化カルシウム(Ca(OH)2)に、また、大気中のCO2と反応して炭酸カルシウム(CaCO3)に変化しやすいCaOでも、その後の真空加熱工程やパネル動作時の放電によりスパッタされることで、吸着したH2OやCO2を放出しやすくなり、CaO本来の高い放電特性を活かした低電圧動作が可能なプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法によれば、CaO保護層の蒸着を酸素分圧が0.05Pa以上、基板温度が300度〜380度の条件で行うため、CaOの結晶粒の成長を促し、間隙の大きな保護層を形成することができる。
なお、蒸着時の酸素分圧を0.05Pa以下とし、基板温度を300度〜380度とすることで、CaO膜の結晶粒の成長を促すことができるので、一定以上のガス不純物の放出特性を備えた保護層を形成することができる。しかし、より良好な保護層とするためには、形成された保護層の波長406nmの光に対する屈折率が1.57以下であることが好ましい。
以上、本発明のプラズマディスプレイパネルの説明において、保護層材料としてCaOを用いた場合について例示した。しかし、本実施形態のプラズマディスプレイパネルの保護層材料は、CaOに限られず、CaOと同様に従来用いられてきたMgOと比較して電子放出特性が高くいわゆる高γ特性の保護層部材として、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)を用いることができる。さらに、上記したCaO、SrO、BaOの2以上の物質を含む混合物も、二次電子放出特性の高い材料として好適に保護層に使用することができる。
そして、いずれの材料を用いた保護層においても、波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下とすることで、膜中に吸収されたH2OやCO2を放出しやすく、低電圧動作が可能なプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
また、CaOなどの保護層を蒸着する方法として、上記実施形態では真空蒸着法を例示した。しかし、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法における保護層の蒸着方法としては、真空蒸着法以外にも、スパッタリング法、あるいは、イオンプレーティング法などの各種物理的蒸着法(PVD)を同様に用いることができる。
以上説明したように、本発明のプラズマディスプレイパネルおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法は、消費電力を抑制した低電圧で駆動するプラズマディスプレイ装置を提供する上で有用である。
10 プラズマディスプレイパネル
20 前面板
21 前面基板(一方の基板)
24 表示電極(電極)
26 誘電体層
27 保護層
30 背面板
31 背面基板
32 データ電極

Claims (4)

  1. それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、
    前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備え、
    前記保護層が、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、または、これらの混合物より形成され、かつ、前記保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. それぞれの内表面に放電を発生させる電極が形成された一対の基板が空間を介して対向配置され、前記一対の基板のうちの一方の基板に形成された前記電極を覆う誘電体層と前記誘電体層を覆う保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記一方の基板の前記誘電体層上に、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムのいずれか、またはこれらの混合物より形成された前記保護層を形成する保護層形成工程が、酸素分圧が0.05Pa以上の酸素雰囲気下、および、300度〜380度の環境温度下での真空蒸着法、もしくは、スパッタ法により行われることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記保護層の蒸着が、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のいずれかである請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 前記保護層の波長406nmの光に対する光学屈折率が1.57以下である請求項2または3に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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