JP2008300127A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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JP2008300127A JP2007143484A JP2007143484A JP2008300127A JP 2008300127 A JP2008300127 A JP 2008300127A JP 2007143484 A JP2007143484 A JP 2007143484A JP 2007143484 A JP2007143484 A JP 2007143484A JP 2008300127 A JP2008300127 A JP 2008300127A
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Umi Hayashi
海 林
Eishiro Otani
栄志郎 尾谷
Atsushi Hirota
敦士 廣田
Tatemi Okada
健見 岡田
Atsuhiro Fuse
淳宏 布施
Yoshito Tanaka
義人 田中
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Abstract


【課題】PDPの放電特性の向上を図る。
【解決手段】行電極対(X,Y)を被覆する誘電体層3の背面側に形成されて放電セルCに面する保護層が、仕事関数が薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層5を備えている。
【選択図】図2

Description

この発明は、プラズマディスプレイパネルの構成に関する。
従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)には、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間に、行方向に延びる行電極対と、列方向に延びて行電極対との交差部分の放電空間に放電セルを形成する列電極が設けられ、縦壁と横壁を備えて略格子形状に成形された隔壁によって放電空間が各放電セル毎に区画され、行電極対を被覆する誘電体層の表面が保護層によって被覆されていて、この保護層が、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造の酸化マグネシウム結晶体を含む結晶酸化マグネシウム層を有する構成を備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
この従来のPDPは、誘電体層の保護層を構成する結晶酸化マグネシウム層が、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体を含んでいることにより、PDPにおける放電確率や放電遅れが改善されて、良好な放電特性を得ることが出来るという特徴を備えている。
近年、PDPに対しては、フルHDのような画面の高精細化への要求が高まっている。
このため、これまでのPDPが備えている放電特性では画面の高精細化への対応が不十分になってきており、さらに高い放電特性を備えたPDPの開発が急務になっている。
特開2006−59780号公報
この発明は、上記のような従来のPDPに対する要求に応えることをその技術的課題の一つとしている。
この発明(請求項1に記載の発明)によるPDPは、上記課題を解決するために、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板のうちの少なくとも一方の基板側に形成された放電電極と、この放電電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆するとともに放電空間に面する保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルにおいて、前記保護層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層を有していることを特徴としている。
この発明は、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板のうちの少なくとも一方の基板側に形成された放電電極と、この放電電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆するとともに放電空間に面する保護層とを備え、この保護層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層を有しているPDPを、最良の実施形態としている。
上記実施形態におけるPDPは、放電改善層に含まれている二次電子放出材が酸化マグネシウムよりも仕事関数が低く、高γ材であることによって、高い二次電子放出機能を備えている。
このため、PDPの駆動時において、放電空間内で放電が発生されると、この放電によって放電空間内に封入された放電ガスから生成される陽イオンが放電改善層に含まれる二次電子放出材と衝突して、この二次電子放出材から放電空間内に酸化マグネシウムよりも多くの量の二次電子が放出され、この二次電子は、放電空間内において次に発生される放電の放電電圧を低下させる機能を有するので、従来のPDPに比べて、PDPで発生される放電の放電電圧が低下される。
さらに、この実施形態におけるPDPは、放電改善層に含まれている電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、235nm付近,230〜250nm内)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体が、放電電極への電圧の印加時に放電空間内に多量の初期電子を放出する機能を備えており、PDPの駆動時に放電改善層の酸化マグネシウム結晶体から放電空間内に放出される初期電子によって、放電空間内における放電の発生時の放電遅れが短縮されるとともに、放電確率が向上される。
従って、この実施形態のPDPによれば、放電改善層が二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時に発生される放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上を達成することが出来、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
上記実施形態のPDPにおいて、低仕事関数材料は、カーボンナノチューブ,ダイヤモンド,カーボンライクダイヤモンド、Al,B,Ba,Cs,Ca,Ga,Ge,In,Sr,Sn,Si,Ti,Y,Zn元素の一種類または二種類以上を含む酸化物、LaB6,La23,Cs2SO4,Cs2CO3,SrCaCO3の材料の中の1種類以上の材料を含んでいることが好ましい。
そして、二次電子放出材は、放電空間に露出した状態で放電改善層内に含まれるようにするのが好ましい。
さらに、この二次電子放出材は、粒径が100nm以下となるようにするのが好ましく、これにより、この二次電子放出材によって放電電極が形成された基板の背面側の全面を被膜することが出来るようになるとともに、放電改善層による透過率が悪化するのを防止することが出来る。
上記実施形態のPDPにおいて、放電改善層に含まれる酸化マグネシウム結晶体は、さらに、230nm〜250nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えていること、気相酸化法によって生成された酸化マグネシウム単結晶体であること、2000オングストローム以上の粒径を有していること等が好適である。
これによって、PDPの放電空間内における放電の発生時の放電遅れの短縮および放電確率の向上がさらに達成される。
上記実施形態のPDPにおける放電改善層の形成形態としては、保護層が有する蒸着法またはスパッタリング法によって形成された薄膜酸化マグネシウム層上に放電改善層を積層して形成する形態や、放電改善層を放電電極に対向する部分のみに形成する形態,放電改善層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材料層と、この二次電子放出材料層上に積層されて電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層とを有する形態等がある。
図1ないし3は、この発明によるPDPの実施形態の第1実施例を示しており、図1はこの実施例におけるPDPを模式的に示す正面図、図2は図1のV−V線における断面図、図3は図1のW−W線における断面図である。
この図1ないし3に示されるPDPは、表示面である前面ガラス基板1の背面に、複数の行電極対(X,Y)が、前面ガラス基板1の行方向(図1の左右方向)に延びるように平行に配列されている。
行電極X.Yは、それぞれ、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa,Yaと、前面ガラス基板1の行方向に延びて透明電極Xa,Yaの狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Xb,Ybとによって構成されている。
この行電極XとYは、前面ガラス基板1の列方向(図1の上下方向)に交互に配列されており、バス電極XbとYbに沿って並列されたそれぞれの透明電極XaとYaが、互いに対となる相手の行電極側に延びて、透明電極XaとYaの幅広部の頂辺が、それぞれ所要の幅の放電ギャップgを介して互いに対向されている。
前面ガラス基板1の背面には、列方向において隣接する行電極対(X,Y)の互いに背中合わせになったバス電極XbとYbの間に、このバス電極Xb,Ybに沿って行方向に延びる黒色または暗色の光吸収層(遮光層)2が形成されている。
前面ガラス基板1の背面には、さらに、行電極対(X,Y)を被覆するように誘電体層3が形成されており、この誘電体層3の背面には、互いに隣接する行電極対(X,Y)の背中合わせに隣り合うバス電極XbおよびYbに対向する位置およびこの隣り合うバス電極XbとYbの間の領域部分に対向する位置に、誘電体層3の背面側に突出する嵩上げ誘電体層3Aが、バス電極Xb,Ybと平行に延びるように形成されている。
そして、この誘電体層3と嵩上げ誘電体層3Aの背面側には、蒸着法またはスパッタリング法によって形成された薄膜の酸化マグネシウム層(以下、薄膜酸化マグネシウム層という)4が形成されていて、誘電体層3と嵩上げ誘電体層3Aの背面の全面を被覆している。
この薄膜酸化マグネシウム層4の背面側には、後で詳述するような、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、235nm付近,230〜250nm内)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層5が形成されている。
この放電改善層5は、この実施例においては、薄膜酸化マグネシウム層4の背面の全面に形成されている。
一方、前面ガラス基板1と平行に配置された背面ガラス基板6の表示側の面上には、列電極Dが、各行電極対(X,Y)の互いに対となった透明電極XaおよびYaに対向する位置において行電極対(X,Y)と直交する方向(列方向)に延びるように、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。
背面ガラス基板6の表示側の面上には、さらに、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)7が形成され、この列電極保護層7上に、隔壁8が形成されている。
この隔壁8は、各行電極対(X,Y)のバス電極XbとYbに対向する位置においてそれぞれ行方向に延びる一対の横壁8Aと、隣接する列電極Dの間の中間位置において一対の横壁8A間を列方向に延びる縦壁8Bとによって略梯子形状に形成されており、各隔壁8が、隣接する他の隔壁8の互いに背中合わせに対向する横壁8Aの間において行方向に延びる隙間SLを挟んで、列方向に並設されている。
そして、この梯子形状の隔壁8によって、前面ガラス基板1と背面ガラス基板6の間の放電空間Sが、各行電極対(X,Y)において互いに対になっている透明電極XaとYaに対向する部分に形成される放電セルC毎に、それぞれ方形に区画されている。
放電空間Sに面する隔壁8の横壁8Aおよび縦壁8Bの側面と列電極保護層7の表面には、これらの五つの面を全て覆うように蛍光体層9が形成されており、この蛍光体層9の色は、各放電セルC毎に赤,緑,青の三原色が行方向に順に並ぶように配列されている。
嵩上げ誘電体層3Aは、この嵩上げ誘電体層3Aを被覆している結晶酸化マグネシウム層5(または、結晶酸化マグネシウム層5が薄膜酸化マグネシウム層4の背面の放電セルCに対向する部分にのみ形成されている場合には、薄膜酸化マグネシウム層4)が隔壁8の横壁8Aの表示側の面に当接される(図2参照)ことによって、放電セルCと隙間SLの間をそれぞれ閉じているが、縦壁8Bの表示側の面には当接されておらず(図3参照)、その間に隙間rが形成されて、行方向において隣接する放電セルC間がこの隙間rを介して互いに連通されている。
放電空間S内には、キセノンガスを含む放電ガスが封入されている。
放電改善層5には、上述したように、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とが含まれている。
この放電改善層5に含まれる二次電子放出材としては、例えば、カーボン・ナノチューブ,ダイヤモンド,カーボンライク・ダイヤモンド,Al,B,Ba,Cs,Ca,Ga,Ge,In,Sr,Sn,Si,Ti,Y,Znの各元素、および、これらの元素のうちの一種類または二種類以上を含む12CaO・7Al23等の酸化物が挙げられ、さらに、LaB6,La23,Cs2SO4,Cs2CO3,SrCaCO3等のその他の化合物が挙げられる。
放電改善層5に含まれるこれらの二次電子放出材は、その粒径が100nm以下のものが使用される。
放電改善層5に含まれる酸化マグネシウム結晶体には、例えば、マグネシウムを加熱して発生するマグネシウム蒸気を気相酸化して得られるマグネシウムの単結晶体(以下、このマグネシウムの単結晶体を気相法酸化マグネシウム単結晶体という)を含み、この気相法酸化マグネシウム単結晶体には、例えば、図4のSEM写真像に示されるような、立方体の単結晶構造を有する酸化マグネシウム単結晶体と、図5のSEM写真像に示されるような、立方体の結晶体が互いに嵌り込んだ構造(すなわち、立方体の多重結晶構造)を有する酸化マグネシウム単結晶体が含まれる。
この気相法酸化マグネシウム単結晶体は、他の方法によって得られる酸化マグネシウムと比較すると、高純度であるとともに微粒子が得られ、さらに、粒子の凝集が少ないなどの特徴を備えている。
図6および7は、異なる粒径を有する気相法酸化マグネシウム単結晶体のCL強度を示すグラフであり、この各図から分かるように、粒径の大きな気相法酸化マグネシウム単結晶体は、300〜400nmにピークを有するCL発光に加えて、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を備えている。
そして、気相法酸化マグネシウム単結晶体の粒径が大きくなるほど、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光は、そのピーク強度が大きくなる。
この気相法酸化マグネシウム単結晶体に対して、図8は、図9に示されるような柱状MgO結晶によって形成された膜厚約8000オングストロームのMgO蒸着膜からのCL強度を示しており、この図8に示されるように、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光は、通常の蒸着MgOからは励起されず、300〜400nmにピークを有するCL発光のみが励起される。
この実施例においては、BET法によって測定した平均粒径が2000オングストローム以上の気相法酸化マグネシウム単結晶体が用いられている。
なお、気相法酸化マグネシウム単結晶体の粒径(DBET)は、窒素吸着法によってBET比表面積(s)が測定され、この値から次式によって算出される。
BET=A/s×ρ
A:形状計数(A=6)
ρ:マグネシウムの真密度
上記のような二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体を含む放電改善層5の薄膜酸化マグネシウム層4上への形成は、スクリーン印刷法,スプレイ法,ノズルコート法,テーブルコート法,スピンコート法等の種々の方法によって行われる。
このとき、二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体を混合した状態で放電改善層5を形成しても良く、または、二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体をそれぞれ薄膜酸化マグネシウム層4上に別個に塗布して放電改善層5を形成するようにしても良い。
この放電改善層5を形成する際の乾燥工程および焼成工程,膜形成後の熱処理工程は、高温で酸素と反応して電子放出特性が低減してしまう材料が含まれているので、酸素を排除するために、窒素雰囲気中または不活性ガス雰囲気中,真空中において行われるようにするのが好ましい。
上記PDPの駆動時におけるパネル面における画像形成は、放電セルC内において、リセット放電とアドレス放電,サステイン放電が繰り返されることによって行われる。
すなわち、先ず、全放電セルC内において各行電極対(X,Y)の行電極Yと列電極D間で対向放電によるリセット放電が発生されて全放電セルCの初期化が行われ、次に、行電極Yと列電極D間で放電セルC内において選択的にアドレス放電が発生されて誘電体層3に壁電荷が形成されて、前面ガラス基板1によって形成されるパネル面に発光セル(誘電体層3に壁電荷が形成された放電セルC)と非発光セル(誘電体層3に壁電荷が形成されていない放電セルC)が映像信号の画像データに対応して分布され、この後、発光セル内において行電極対(X,Y)の行電極XとY間で面放電であるサステイン放電が発生される。
そして、このサステイン放電によって放電ガスのキセノンから発生する真空紫外線によって蛍光体層9が励起されて、それぞれ赤,緑,青の可視光が発生されることにより、パネル面にマトリクス表示による画像が形成される。
上記PDPにおいて、放電改善層5に含まれている二次電子放出材は、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低く、高γ材であるため、薄膜酸化マグネシウム層4よりも高い二次電子放出機能を備えている。
このため、上記のようなPDPの駆動時において、放電セルC内で上述したような放電(リセット放電,アドレス放電,サステイン放電)が発生されると、この放電によって放電ガスから生成される陽イオンが放電改善層5内の二次電子放出材と衝突して、この二次電子放出材から放電セルC内に、薄膜酸化マグネシウム層4からよりも多くの量の二次電子が放出される。
放電セルC内の二次電子は、この放電セルC内において次に発生される放電の放電電圧を低下させる機能を有しているので、PDPが薄膜酸化マグネシウム層4のみを有している場合に比べて、各放電の放電電圧を低下させることが出来る。
そして、放電改善層5に含まれている二次電子放出材は、その粒径が100nm以下に設定されていることによって、この二次電子放出材によって薄膜酸化マグネシウム層4の全面を被膜することが出来るとともに、放電改善層5による透過率が悪化するのを防止することが出来る。
例えば、粒径約2umのLa23の粗粒子を二次電子放出材として放電改善層5に含ませた場合の拡散透過率は約85%で、薄膜酸化マグネシウム層4の全面を被覆することが出来なかったのに対し、粒径約40nmのLa23の超微粒子を二次電子放出材として放電改善層5に含ませた場合には、拡散透過率が約88%となり、薄膜酸化マグネシウム層4の全面を被覆することが出来た。
さらに、上記PDPにおいて、放電改善層5に含まれている電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、235nm付近,230〜250nm内)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体は、行電極X,Yおよび列電極Dへの電圧の印加時に、放電セルC内に多量の初期電子を放出する機能を備えている。
このため、上記のようなPDPの駆動時に、放電改善層5の酸化マグネシウム結晶体から放電セルC内に放出される初期電子によって、前述したような各放電(リセット放電,アドレス放電,サステイン放電)の発生時の放電遅れを短縮するとともに、放電確率を向上させることが出来る。
図10は、気相法酸化マグネシウム単結晶体が有するCL発光強度とPDPの放電遅れとの相関関係を示すグラフである。
この図10から、気相法酸化マグネシウム単結晶体が235nmにピークを有するCL発光を行う構造を備えていることにより、PDPの放電セル内にこの気相法酸化マグネシウム単結晶体を含む酸化マグネシウム層が形成されることによって、放電セル内で発生される放電の遅れが短縮されることが分かり、さらに、この235nmのCL発光強度が強いほどこの放電遅れが短縮されることが分かる。
このことから、BET法による測定値2000オングストローム以上の平均粒径を有する気相法酸化マグネシウム単結晶体は、PDPの放電セルに面した部分に用いられることによって、PDPの放電確率や放電遅れなどの放電特性の改善(放電遅れの減少および放電確率の向上)に寄与出来ることが分かる。
図11は、PDPの放電セルに面するように配置される酸化マグネシウム層を、平均粒径が2000〜3000オングストロームの気相法酸化マグネシウム単結晶体を含むペーストを塗布することによって形成した場合と、従来の蒸着法によって形成した場合と、形成しなかった場合におけるそれぞれの酸化マグネシウム層を挟んで行われる放電(例えば、アドレス放電)の放電確率を比較したグラフであり、図12は、図11において放電の休止時間が1000μsecの場合のそれぞれの放電確率を示している。
さらに、図13は、同様に、PDPの放電セルに面するように配置される酸化マグネシウム層を、平均粒径が2000〜3000オングストロームの気相法酸化マグネシウム単結晶体を含むペーストを塗布することによって形成した場合と、従来の蒸着法によって形成した場合と、形成しなかった場合のそれぞれの放電遅れ時間を比較したグラフであり、図14は、図13において放電の休止時間が1000μsecの場合のそれぞれの放電遅れ時間を示している。
なお、この図11ないし14においては、酸化マグネシウム層に多重結晶構造の気相法酸化マグネシウム単結晶体が含まれている場合が示されている。
この図11ないし14から、PDPの放電セルに面する部分に配された気相法酸化マグネシウム単結晶体が、PDPの放電確率や放電遅れの改善および放電遅れの休止時間依存性の減少等の放電特性の改善に大きく寄与出来ることが分かる。
図15は、PDPにおいて、放電セルに面する部分に配される気相法酸化マグネシウム単結晶体の粒径と放電確率の関係を示すグラフである。
この図15から、気相法酸化マグネシウム単結晶体の粒径が大きいほどPDP放電確率が高く、上記したような235nmにピークを有するCL発光が励起される粒径(図示の例では、2000オングストロームと3000オングストローム)の気相法酸化マグネシウム単結晶体によって、放電確率が大幅に向上されることが分かる。
上記のように、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う気相法酸化マグネシウム単結晶体が、PDPの放電特性の改善に寄与するのは、気相法酸化マグネシウム単結晶体が、そのピーク波長に対応したエネルギ準位を有し、そのエネルギ準位によって電子を長時間(数msec以上)トラップすることができ、この電子が電界によって取り出されることで、放電開始に必要な初期電子が得られことによるものと推測される。
そして、この気相法酸化マグネシウム単結晶体による放電特性の改善効果が、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光の強度が大きくなるほど大きくなるのは、前述したように、CL発光強度と気相法酸化マグネシウム単結晶体の粒径との間に相関関係(図6参照)があるためである。
すなわち、大きな粒径の気相法酸化マグネシウム単結晶体を形成しようとする場合には、マグネシウム蒸気を発生させる際の加熱温度を高くする必要があり、このため、マグネシウムと酸素が反応する火炎の長さが長くなり、この火炎と周囲との温度差が大きくなることによって、粒径の大きい気相法酸化マグネシウム単結晶体ほど上述したようなCL発光のピーク波長(例えば、230〜250nm内,235nm付近)に対応したエネルギ準位が多数形成されるためである。
また、一般的な気相酸化法に比べて、単位時間当たりのMgの蒸発量を増加させてMgとO2との反応領域を増大させ、より多くのO2と反応させることによって生成された気相法酸化マグネシウム単結晶体は、上述したようなCL発光のピーク波長に対応したエネルギ準位が形成される。
また、立方体の多重結晶構造の気相法酸化マグネシウム単結晶体については、結晶面欠陥を多く含んでいるおり、この面欠陥エネルギ準位の存在が放電確率の改善に寄与しているためと推測される。
以上のように、このPDPは、放電改善層5が、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
なお、上記の二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体を放電改善層5の放電セルCに露出する部分に配置するようにすることによって、放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上効果をさらに高めることが出来る。
図16は、薄膜酸化マグネシウム層(蒸着MgO膜)と上述した酸化マグネシウム結晶体(CEL)のみを含む放電改善層とを備えたPDPと、薄膜酸化マグネシウム層(蒸着MgO膜)と上述した二次電子放出材(La23)および酸化マグネシウム結晶体(CEL)の両方を含む放電改善層とを備えたPDPにおける放電開始電圧を比較した表である。
この図16から、放電改善層に二次電子放出材(La23)が含まれていることによって、酸化マグネシウム結晶体(CEL)のみが含まれている場合に比べて大幅に放電開始電圧が低下することが分かる。
図17および18は、PDPが、保護層として、薄膜酸化マグネシウム層(蒸着MgO膜)のみを備えたPDP(従来例)と、薄膜酸化マグネシウム層と二次電子放出材(La23)のみを含む放電改善層を備えたPDP,薄膜酸化マグネシウム層と二次電子放出材(La23)および酸化マグネシウム結晶体の両方を含む放電改善層を備えた三つの例のPDPにおける放電遅れを比較した表とグラフである。
この図17および18から、二次電子放出材(La23)のみを含む放電改善層を備えたPDPは、薄膜酸化マグネシウム層(蒸着MgO膜)のみを備えたPDP(従来例)に比べて放電遅れが大きくなっているが、二次電子放出材(La23)および酸化マグネシウム結晶体(CEL)の両方を含む放電改善層を備えたPDPは、薄膜酸化マグネシウム層(蒸着MgO膜)のみを備えたPDP(従来例)に比べて、大幅に放電遅れが小さくなっていることが分かる。
図19および20は、この発明によるPDPの実施形態の第2実施例を示しており、図19は前面ガラス基板側の構造のみを図2と同じ位置において断面した図であり、図20は前面ガラス基板側の行電極の形成部分を背面側から見た部分図である。
この図19および20において、放電改善層15は、薄膜酸化マグネシウム層4上の行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されている。
この実施例のPDPにおいては、行電極X,Yのバス電極Xb,Ybの全部または一部が、図1および2の場合と異なり、放電セルC内に対向されている。
なお、図20には、放電改善層15が行電極X,Yのバス電極Xb,Ybに対向する部分において断続的に形成されている例が示されているが、放電改善層15をバス電極Xb,Ybに対向する部分において連続的に形成するようにしても良い。
この放電改善層15には、第1実施例と同様の薄膜酸化マグネシウム層を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とが含まれている。
他の構成については、第1実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、第1実施例のPDPと同様に、放電改善層15が、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、放電改善層15が行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されていることによって、第1実施例のPDPに比べて、放電セルC内において発光する可視光のパネル面への透過率が増加する。
図21および22は、この発明によるPDPの実施形態の第3実施例を示しており、図21は前面ガラス基板側の構造のみを図2と同じ位置において断面した図であり、図22は前面ガラス基板側の行電極の形成部分を背面側から見た部分図である。
この図21および22において、放電改善層25は、薄膜酸化マグネシウム層4上の行電極X,Yのバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されている。
この実施例のPDPにおいては、行電極X,Yのバス電極Xb,Ybの全部または一部が、図1および2の場合と異なり、放電セルC内に対向されている。
なお、図22には、放電改善層25が行電極X,Yのバス電極Xb,Ybに対向する部分において断続的に形成されている例が示されているが、放電改善層215をバス電極Xb,Ybに対向する部分において連続的に形成するようにしても良い。
この放電改善層25には、第1実施例と同様の薄膜酸化マグネシウム層を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とが含まれている。
他の構成については、第1実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、第1実施例のPDPと同様に、放電改善層25が、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、放電改善層25が行電極X,Yのバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されていることによって、第1および第2実施例のPDPに比べて、放電セルC内において発光する可視光のパネル面への透過率がさらに増加する。
図23は、この発明によるPDPの実施形態の第4実施例を前面ガラス基板側のみを図2と同じ位置において断面して示した図である。
この図23において、誘電体層3上に放電改善層35が形成されて、この放電改善層35によって誘電体層3の背面の全面が被覆されており、薄膜酸化マグネシウム層は形成されていない。
この放電改善層35には、第1実施例と同様の低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とが含まれており、二次電子放出材の粒径が100nm以下になるように設定されている。
他の構成については、第1実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、第1実施例のPDPと同様に、放電改善層35が、酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、二次電子放出材の粒径が100nm以下になるように設定されていることによって、放電改善層35の緻密性および誘電体層3に対する被膜性が向上されるので、薄膜酸化マグネシウム層が形成されていない場合でも、放電に対する対スパッタ性等の保護層としての機能を向上させることが出来る。
図24は、この発明によるPDPの実施形態の第5実施例を前面ガラス基板側のみを図2と同じ位置において断面して示した図である。
この図24において、放電改善層45は、誘電体層3上の行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されており、薄膜酸化マグネシウム層は形成されていない。
この実施例のPDPにおいては、行電極X,Yのバス電極Xb,Ybの全部または一部が、図1および2の場合と異なり、放電セルC内に対向されている。
この放電改善層45には、第1実施例と同様の薄膜酸化マグネシウム層を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とが含まれている。
他の構成については、第4実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、第1実施例のPDPと同様に、放電改善層45が、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、放電改善層45が行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されていることによって、第4実施例のPDPに比べて、放電セル内において発光する可視光のパネル面への透過率が増加する。
図25は、この発明によるPDPの実施形態の第6実施例を前面ガラス基板側のみを図2と同じ位置において断面して示した図である。
この図25において、薄膜酸化マグネシウム層4上の行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに、第1実施例と同様の低仕事関数材を含む二次電子放出材層55Aが形成され、この二次電子放出材層55A上の透明電極Xa,Yaの放電ギャップ側の先端部分に対向する部分のみに、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層55Bが形成されて、この二次電子放出材層55Aと酸化マグネシウム結晶体層55Bによって放電改善層55が構成されている。
他の構成については、第1実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、放電改善層55が、薄膜酸化マグネシウム層4を形成する酸化マグネシウムよりも仕事関数が低い低仕事関数材を含む二次電子放出材層55Aと、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層55Bを有していることによって、第1実施例のPDPと同様に、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、放電改善層55が行電極X,Yの透明電極Xa,Yaとバス電極Xb,Ybに対向する部分のみに形成されていることによって、第1実施例のPDPに比べて、放電セル内において発光する可視光のパネル面への透過率が増加する。
図26は、この発明によるPDPの実施形態の第7実施例を前面ガラス基板側のみを図2と同じ位置において断面して示した図である。
この図26において、誘電体層3上に第1実施例と同様の低仕事関数材を含む二次電子放出材層65Aが形成されて、この二次電子放出材層65Aによって誘電体層3の背面の全面が被覆されており、薄膜酸化マグネシウム層は形成されていない。
そして、この二次電子放出材層65A上の透明電極Xa,Yaの放電ギャップ側の先端部分に対向する部分のみに、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層65Bが形成されている。
この二次電子放出材層65Aと酸化マグネシウム結晶体層65Bによって放電改善層65が構成されている。
他の構成については、第4実施例の場合と同様であり、同一の構成部分には同一の符号が付されている。
この実施例によるPDPは、放電改善層65が、第1実施例と同様の低仕事関数材を含む二次電子放出材層65Aと、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層65Bを有していることによって、第1実施例のPDPと同様に、PDP駆動時の各放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上が達成されて、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
そして、この実施例によるPDPは、二次電子放出材層65Aに含まれる低仕事関数材の粒径が100nm以下になるように設定されていることによって、二次電子放出材層65Aの緻密性および誘電体層3に対する被膜性が向上されるので、薄膜酸化マグネシウム層が形成されていない場合でも、放電に対する対スパッタ性等の保護層としての機能を向上させることが出来る。
上記各実施例のPDPは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板のうちの少なくとも一方の基板側に形成された放電電極と、この放電電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆するとともに放電空間に面する保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルにおいて、前記保護層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層を有している実施形態のPDPを、その上位概念の実施形態としている。
この上位概念を構成する実施形態におけるPDPは、放電改善層に含まれている二次電子放出材が酸化マグネシウムよりも仕事関数が低く、高γ材であることによって、高い二次電子放出機能を備えている。
このため、PDPの駆動時において、放電空間内で放電が発生されると、この放電によって放電空間内に封入された放電ガスから生成される陽イオンが放電改善層内の二次電子放出材と衝突して、この二次電子放出材から放電空間内に酸化マグネシウムよりも多くの量の二次電子が放出され、この二次電子は、放電空間内において次に発生される放電の放電電圧を低下させる機能を有するので、従来のPDPに比べて、PDPで発生される放電の放電電圧が低下される。
さらに、この実施形態におけるPDPは、放電改善層に含まれている電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、235nm付近,230〜250nm内)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)を行う構造を有する酸化マグネシウム結晶体が、放電電極への電圧の印加時に、放電空間内に多量の初期電子を放出する機能を備えており、PDPの駆動時に放電改善層の酸化マグネシウム結晶体から放電空間内に放出される初期電子によって、放電空間内における放電の発生時の放電遅れが短縮されるとともに、放電確率が向上される。
以上のようにして、この実施形態のPDPによれば、放電改善層が二次電子放出材と酸化マグネシウム結晶体とを含んでいることによって、PDP駆動時に発生される放電の放電電圧の低下および放電遅れの短縮,放電確率の向上を達成することが出来、従来に比べて、PDPの放電特性を全般に亘って大幅に改善することが出来る。
この発明の実施形態の第1実施例を示す正面図である。 図1のV−V線における断面図である。 図1のW−W線における断面図である。 立方体の単結晶構造を有する酸化マグネシウム単結晶体のSEM写真像を示す図である。 立方体の多重結晶構造を有する酸化マグネシウム単結晶体のSEM写真像を示す図である。 酸化マグネシウム単結晶体の粒径とCL発光の波長および強度との関係を示すグラフである。 酸化マグネシウム単結晶体の粒径と235nmのCL発光のピーク強度との関係を示すグラフである。 蒸着法による酸化マグネシウム層からのCL発光の波長の状態を示すグラフである。 図8の蒸着法による酸化マグネシウム層の膜厚を示す図である。 酸化マグネシウム単結晶体からの235nmのCL発光のピーク強度と放電遅れとの関係を示すグラフである。 多重結晶構造の酸化マグネシウム単結晶体と放電確率の関係を示すグラフである。 同多重結晶構造の酸化マグネシウム単結晶体と放電確率の関係を示す表図である。 同多重結晶構造の酸化マグネシウム単結晶体と放電遅れの関係を示すグラフである。 同多重結晶構造の酸化マグネシウム単結晶体と放電遅れの関係を示す表図である。 酸化マグネシウム単結晶体の粒径と放電確率との関係を示すグラフである。 異なる構造の保護層を備えたPDPの放電開始電圧の比較を示す表図である。 異なる構造の保護層を備えたPDPの放電遅れの比較を示す表図である。 異なる構造の保護層を備えたPDPの放電遅れを比較を示すグラフである。 この発明の実施形態の第2実施例を示す断面図である。 同実施例の背面図である。 この発明の実施形態の第3実施例を示す断面図である。 同実施例の背面図である。 この発明の実施形態の第4実施例を示す断面図である。 この発明の実施形態の第5実施例を示す断面図である。 この発明の実施形態の第6実施例を示す断面図である。 この発明の実施形態の第7実施例を示す断面図である。
符号の説明
1 …前面ガラス基板(前面基板)
3 …誘電体層
4 …薄膜酸化マグネシウム層
5,15,25,35,45,55,65
…放電改善層
55A,65A …二次電子放出材層
55B,65B …酸化マグネシウム結晶体層
6 …背面ガラス基板(背面基板)
8 …隔壁
C …放電セル
D …列電極(放電電極)
S …放電空間
X …行電極(放電電極)
Xa …透明電極
Xb …バス電極
Y …行電極(放電電極)

Claims (11)

  1. 放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板のうちの少なくとも一方の基板側に形成された放電電極と、この放電電極を被覆する誘電体層と、この誘電体層を被覆するとともに放電空間に面する保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルにおいて、
    前記保護層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材と、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体とを含む放電改善層を有している、
    ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記低仕事関数材料が、
    カーボンナノチューブ,ダイヤモンド,カーボンライクダイヤモンド、
    Al,B,Ba,Cs,Ca,Ga,Ge,In,Sr,Sn,Si,Ti,Y,Zn元素の一種類または二種類以上を含む酸化物、
    LaB6,La23,Cs2SO4,Cs2CO3,SrCaCO3
    の材料の中の1種類以上の材料を含んでいる請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記二次電子放出材が、放電空間に露出した状態で放電改善層内に含まれている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記二次電子放出材の粒径が100nm以下である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記酸化マグネシウム結晶体が、230nm〜250nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記酸化マグネシウム結晶体が、気相酸化法によって生成された酸化マグネシウム単結晶体である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記酸化マグネシウム結晶体が、2000オングストローム以上の粒径を有している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 前記保護層が、蒸着法またはスパッタリング法によって形成された薄膜酸化マグネシウム層を有し、この薄膜酸化マグネシウム層上に放電改善層が積層されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 前記放電改善層が、放電電極に対向する部分のみに形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記放電改善層が、仕事関数が酸化マグネシウムよりも低い低仕事関数材料を含む二次電子放出材料層と、この二次電子放出材料層上に積層されて電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う構造を備えた酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム結晶体層とを有している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 前記放電改善層の少なくとも酸化マグネシウム結晶体層が、放電電極に対向する部分のみに形成されている請求項10に記載のプラズマディスプレイパネル。
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