JP2010067393A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】PDPの放電遅れ特性を改善する。
【解決手段】PDPの前面ガラス基板1と背面ガラス基板6の間の放電空間S内に形成された放電セルCにそれぞれ面する部分に、紫外線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有するとともに、波長域230〜250nmの残光強度が所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体が配置されている。
【選択図】図2
Description
この発明は、プラズマディスプレイパネルの構成に関する。
一般に、面放電方式交流型プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、放電ガスが封入されている放電空間を挟んで互いに対向される二枚のガラス基板のうち、一方のガラス基板に行方向に延びる行電極対が列方向に並設され、他方のガラス基板に列方向に延びる列電極が行方向に並設されていて、放電空間の行電極対と列電極がそれぞれ交差する部分に、マトリックス状に単位発光領域(放電セル)が形成されており、さらに、行電極や列電極を被覆するために形成された誘電体層上の単位発光領域内に面する位置に、誘電体層の保護機能と単位発光領域内への2次電子放出機能とを有する酸化マグネシウム(MgO)膜が形成された構成を備えている。
このような構成の従来のPDPには、互いに対抗する前面ガラス基板と背面ガラス基板の間の放電空間に面する位置に、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するCL(カソード・ルミネッセンス)発光を行う酸化マグネシウム結晶体の粉末から分級されて所定の粒径以上の結晶体の割合が所定値以上である粒度分布を有する結晶体粉末によって形成された結晶酸化マグネシウム層が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
この従来のPDPは、放電空間に面するように形成された結晶酸化マグネシウム層が、電子線によって励起されることにより波長域200〜300nm内にピークを有するCL発光を行う酸化マグネシウム結晶体を含んでいることによって、PDPにおける放電確率や放電遅れなどの放電特性が改善されて良好な放電特性を得ることができる。
しかしながら、市場におけるPDPの表示品質の向上に対する要求は年々高まって来ており、このため、PDPにおける放電遅れの短縮と放電遅れ時間のバラツキの低減によって放電特性の改善を図ることにより、高い表示品質を有するPDPを開発することが強く要望されている。
この発明は、上記のような従来のPDPに対する要望に応えることをその技術的解決課題の一つとしている。
この発明(請求項1に記載の発明)によるPDPは、上記課題を達成するために、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板の間に配置されて互いに交差する部分の放電空間にそれぞれ単位発光領域を形成する行電極対および列電極と、行電極対を被覆する誘電体層が設けられているプラズマディスプレイパネルにおいて、前記単位発光領域に面する部分に、紫外線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するフォト・ルミネッセンス発光を行う特性を有するとともに、波長域230〜250nmの残光強度が所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体が、配置されていることを特徴としている。
この発明は、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板の間に配置されて互いに交差する部分の放電空間にそれぞれ放電セルを形成する行電極対および列電極と、行電極対を被覆する誘電体層が設けられているPDPにおいて、前記放電セルに面する部分に、紫外線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有するとともに、波長域230〜250nmの残光強度が所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体が、配置されているPDPを、その最良の実施形態としている。
そして、この実施形態のPDPの酸化マグネシウム結晶体には、マグネシウムの加熱によって発生するマグネシウム蒸気が気相酸化することによって得られる単結晶体が含まれている。
この実施形態におけるPDPによれば、放電空間に形成された各放電セルに面する位置に、紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が10ms以上の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有していることによって、PDPにおける放電セル内への電子放出特性が改善し、これによってPDP駆動時の放電遅れが従来のPDPに比べて大幅に短縮される。
上記実施形態のPDPにおいて、酸化マグネシウム結晶体を励起する紫外線は波長160nm以下の真空紫外線であることが好ましく、さらに、励起後の減衰時間が10msec以上であることが好ましい。
さらに、酸化マグネシウム結晶体が、230ないし250nm内にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有していることが好ましい。
これによって、酸化マグネシウム結晶体からの放電セル内への電子放出特性がさらに向上される。
さらに、酸化マグネシウム結晶体が、230ないし250nm内にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有していることが好ましい。
これによって、酸化マグネシウム結晶体からの放電セル内への電子放出特性がさらに向上される。
前記実施形態のPDPにおいて、放電セルに面する部分への酸化マグネシウム結晶体の配置の態様としては、この酸化マグネシウム結晶体を放電セル内に露出した状態で誘電体層上に配置して結晶酸化マグネシウム層を形成する態様や、誘電体層上に蒸着法またはスパッタリング法によって形成された薄膜の酸化マグネシウム層上に配置する態様、さらには、酸化マグネシウム結晶体を背面基板上の放電セル内に露出する位置、例えば、放電セル内の背面基板上に形成された蛍光体層に含有させる態様が挙げられる。
図1ないし3は、この発明によるPDPの実施形態の一実施例を示しており、図1はこの実施例におけるPDPを模式的に示す正面図、図2は図1のV−V線における断面図、図3は図1のW−W線における断面図である。
この図1ないし3に示されるPDPは、表示面である前面ガラス基板1の背面に、複数の行電極対(X,Y)が、前面ガラス基板1の行方向(図1の左右方向)に延びるように平行に配列されている。
行電極Xは、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xaと、前面ガラス基板1の行方向に延びて透明電極Xaの狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Xbとによって構成されている。
行電極Yも同様に、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Yaと、前面ガラス基板1の行方向に延びて透明電極Yaの狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Ybとによって構成されている。
この行電極XとYは、前面ガラス基板1の列方向(図1の上下方向)に交互に配列されており、バス電極XbとYbに沿って並列されたそれぞれの透明電極XaとYaが、互いに対となる相手の行電極側に延びて、透明電極XaとYaの幅広部の頂辺が、それぞれ所要の幅の放電ギャップgを介して互いに対向されている。
前面ガラス基板1の背面には、列方向において隣接する行電極対(X,Y)の互いに背中合わせになったバス電極XbとYbの間に、このバス電極Xb,Ybに沿って行方向に延びる黒色または暗色の光吸収層(遮光層)2が形成されている。
さらに、前面ガラス基板1の背面には、行電極対(X,Y)を被覆するように誘電体層3が形成されており、この誘電体層3の背面には、互いに隣接する行電極対(X,Y)の背中合わせに隣り合うバス電極XbおよびYbに対向する位置およびこの隣り合うバス電極XbとYbの間の領域部分に対向する位置に、誘電体層3の背面側に突出する嵩上げ誘電体層3Aが、バス電極Xb,Ybと平行に延びるように形成されている。
そして、この誘電体層3と嵩上げ誘電体層3Aの背面側には、蒸着法またはスパッタリングによって形成された薄膜の酸化マグネシウム層(以下、薄膜酸化マグネシウム層という)4が形成されていて、誘電体層3と嵩上げ誘電体層3Aの背面の全面を被覆している。
この薄膜酸化マグネシウム層4の背面側には、波長160nm以下の紫外線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光(CL発光)およびフォト・ルミネッセンス発光(PL発光)を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体を含む酸化マグネシウム層(以下、結晶酸化マグネシウム層という)5が形成されている。
この結晶酸化マグネシウム層5の構成については、後で詳述する。
この結晶酸化マグネシウム層5の構成については、後で詳述する。
この結晶酸化マグネシウム層5は、薄膜酸化マグネシウム層4の背面の全面または一部、例えば、後述する放電セルに面する部分に形成されている(図示の例では、結晶酸化マグネシウム層5が薄膜酸化マグネシウム層4の背面の全面に形成されている例が示されている)。
一方、前面ガラス基板1と平行に配置された背面ガラス基板6の表示側の面上には、列電極Dが、各行電極対(X,Y)の互いに対となった透明電極XaおよびYaに対向する位置において行電極対(X,Y)と直交する方向(列方向)に延びるように、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。
背面ガラス基板6の表示側の面上には、さらに、列電極Dを被覆する白色の列電極保護層(誘電体層)7が形成され、この列電極保護層7上に、隔壁8が形成されている。
この隔壁8は、各行電極対(X,Y)のバス電極XbとYbに対向する位置においてそれぞれ行方向に延びる一対の横壁8Aと、隣接する列電極Dの間の中間位置において一対の横壁8A間を列方向に延びる縦壁8Bとによって略梯子形状に形成されており、各隔壁8が、隣接する他の隔壁8の互いに背中合わせに対向する横壁8Aの間において行方向に延びる隙間SLを挟んで、列方向に並設されている。
そして、この梯子状の隔壁8によって、前面ガラス基板1と背面ガラス基板6の間の放電空間Sが、各行電極対(X,Y)において互いに対になっている透明電極XaとYaに対向する部分に形成される放電セルC毎に、それぞれ方形に区画されている。
放電空間Sに面する隔壁8の横壁8Aおよび縦壁8Bの側面と列電極保護層7の表面には、これらの五つの面を全て覆うように蛍光体層9が形成されており、この蛍光体層9の色は、各放電セルC毎に赤,緑,青の三原色が行方向に順に並ぶように配列されている。
嵩上げ誘電体層3Aは、この嵩上げ誘電体層3Aを被覆している結晶酸化マグネシウム層5(または、結晶酸化マグネシウム層5が薄膜酸化マグネシウム層4の背面の放電セルCに対向する部分にのみ形成されている場合には、薄膜酸化マグネシウム層4)が隔壁8の横壁8Aの表示側の面に当接される(図2参照)ことによって、放電セルCと隙間SLの間をそれぞれ閉じているが、縦壁8Bの表示側の面には当接されておらず(図3参照)、その間に隙間rが形成されて、行方向において隣接する放電セルC間がこの隙間rを介して互いに連通されている。
放電空間S内には、キセノンを含む放電ガスが封入されている。
以下、結晶酸化マグネシウム層5の構成について詳述する。
放電空間S内には、キセノンを含む放電ガスが封入されている。
以下、結晶酸化マグネシウム層5の構成について詳述する。
上記結晶酸化マグネシウム層5は、前述したように、波長160nm以下の紫外線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(およびCL)発光を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体の粉末が、スプレ法や静電塗布法などの方法によって誘電体層3および嵩上げ誘電体層3Aを被覆している薄膜酸化マグネシウム層4の背面側の表面に、放電空間に露出された状態で付着されることによって形成される。
この結晶酸化マグネシウム層5を形成する酸化マグネシウム結晶体は、さらに、紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が、10ms以降の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有している。
図4は、誘電体層3の背面に薄膜酸化マグネシウム層4が形成され、この薄膜酸化マグネシウム層4の背面に、酸化マグネシウム結晶体がスプレ法や静電塗布法などの方法によって付着されて結晶酸化マグネシウム層5が形成されている状態を示している。
上記PDPの結晶酸化マグネシウム層5は、下記の材料および方法によって形成されている。
上記PDPの結晶酸化マグネシウム層5は、下記の材料および方法によって形成されている。
すなわち、結晶酸化マグネシウム層5の形成材料となる紫外線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体とは、例えば、マグネシウムを加熱して発生するマグネシウム蒸気を気相酸化して得られるマグネシウムの単結晶体(以下、このマグネシウムの単結晶体を気相酸化マグネシウム単結晶体という)を含み、この気相酸化マグネシウム単結晶体には、例えば、図5のSEM写真像に示されるような、立方体の単結晶構造を有する酸化マグネシウム単結晶体と、図6のSEM写真像に示されるような、立方体の結晶体が互いに嵌り込んだ構造(すなわち、立方体の多重結晶構造)を有する酸化マグネシウム単結晶体が含まれる。
次に、PDPの駆動時の結晶酸化マグネシウム層5の機能について説明を行う。
上記のPDPは、画像形成のためのリセット放電およびアドレス放電,サステイン放電が放電セルC内において行われる。
次に、PDPの駆動時の結晶酸化マグネシウム層5の機能について説明を行う。
上記のPDPは、画像形成のためのリセット放電およびアドレス放電,サステイン放電が放電セルC内において行われる。
そして、リセット放電およびアドレス放電が放電セルC内において発生される際に、この放電セルCに結晶酸化マグネシウム層5が面していることによって、リセット放電およびアドレス放電によるプライミング効果が長く持続し、これによってアドレス放電およびサステイン放電が高速化されて、PDPの放電遅れや放電確率等の放電特性が改善される。
すなわち、図7および8に示されるように、結晶酸化マグネシウム層5が、上述したような例えば気相法や液相法等によって生成された酸化マグネシウム単結晶体によって形成されていることにより、放電によって放電ガスから発生する紫外線の照射によって、結晶酸化マグネシウム層5に含まれる酸化マグネシウム単結晶体から、300〜400nmにピークを有するPL(CL)発光に加えて、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光が励起される。
この235nmにピークを有するPL(CL)発光は、図9に示されるように、通常の蒸着法によって形成される酸化マグネシウム層(この実施例における薄膜酸化マグネシウム層4)からは励起されず、300〜400nmにピークを有するPL(CL)発光のみが励起される。
なお、この図9は、長軸側の粒径が約8000Åの柱状結晶によって形成された多結晶構造の蒸着酸化マグネシウム層(膜厚:約8000Å)についてのPL(CL)発光強度の測定結果を示している。
また、図7および8から分かるように、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光は、酸化マグネシウム単結晶体の粒径が大きくなるほどそのピーク強度が大きくなり、この波長域200〜300nmのPL(CL)発光のピーク強度が大きくなるほど、放電遅れ等の放電特性の改善が図られる。
この実施例においては、粒径が2000オングストローム以上の酸化マグネシウム単結晶体が用いられている。
この実施例においては、粒径が2000オングストローム以上の酸化マグネシウム単結晶体が用いられている。
この結晶酸化マグネシウム層5による放電特性の改善は、波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光を行う酸化マグネシウム単結晶体が、そのピーク波長に対応したエネルギ準位を有し、そのエネルギ準位によって電子を長時間(数msec以上)トラップすることができ、この電子が電界によって取り出されることで、放電開始に必要な初期電子が得られることによって為されると推測される。
図10のグラフは、PL(CL)発光強度とPDPの放電遅れとの相関関係を示しており、この図10から、酸化マグネシウム結晶体から励起される235nmのPL(CL)発光によってPDPにおける放電遅れが短縮され、さらに、この235nmピークのPL(CL)発光強度が大きくなるほど放電遅れが短縮されてゆくことが分かる。
酸化マグネシウム単結晶体の粒径が大きくなるほど波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光の強度が大きくなり、このPL(CL)発光強度が大きくなるほど酸化マグネシウム単結晶体による放電特性の改善効果が大きくなるのは、以下のような理由による。
すなわち、気相法によって大きな粒径の酸化マグネシウム単結晶体を形成しようとする場合には、マグネシウム蒸気を発生させる際の加熱温度を高くする必要があるため、マグネシウムと酸素が反応する火炎の長さが長くなり、この火炎と周囲との温度差が大きくなることによって、粒径が大きな酸化マグネシウム単結晶体ほど上述したようなPL(CL)発光のピーク波長(例えば、230〜250nm内,235nm付近)に対応したエネルギ準位が多数形成されるものと考えられる。
そして、立方体の多重結晶構造の酸化マグネシウム単結晶体については、結晶面欠陥を多く含んでいて、その面欠陥エネルギ準位の存在が放電確率の改善に寄与していると考えられる。
次に、上記結晶酸化マグネシウム層5を構成する酸化マグネシウム結晶体が、紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が10ms以降の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有していることによる技術的効果について説明を行う。
なお、この酸化マグネシウム結晶体の残光強度の測定は、酸化マグネシウム結晶体に間欠的に真空紫外線を照射し、この真空紫外線による酸化マグネシウム結晶体の励起停止後の240nmのPL(CL)発光の減衰を、所定の減衰時間内において、試料温度を変えて測定することによって行われた。
図11は、この実施例における酸化マグネシウム結晶体の粉末(以下、実施例結晶体という)と他の酸化マグネシウム結晶体の粉末(以下、比較例結晶体という)を、波長147nmのKrエキシマランプによって間欠的に励起し、この励起停止後に、PL(CL)発光の波長240nmの残光強度の減衰を、それぞれ減衰時間80μs,1ms,10ms,70msにおいて測定した結果を示すグラフである。
この図11において、実線のグラフα1〜4が実施例結晶体の減衰時間80μs,1ms,10ms,70msにおける規格化残光強度の温度特性を示しており、点線のグラフβ1〜4が比較例結晶体の減衰時間80μs,1ms,10ms,70msにおける規格化残光強度の温度特性を示している。
さらに、図12は、図11の減衰時間70msでの規格化残光強度の温度特性を拡大して示したグラフである。
さらに、図12は、図11の減衰時間70msでの規格化残光強度の温度特性を拡大して示したグラフである。
この図11および12から分かるように、実施例結晶体では減衰時間10msと70msにおいて、試料温度200−400Kの温度領域内に規格化残光強度のピークが見られ、特に、減衰時間70msにおいて強いピークが確認出来る。
これに対して、比較例結晶体では、明確なピークは見られない。
これに対して、比較例結晶体では、明確なピークは見られない。
図13は、PDPの結晶酸化マグネシウム層(図2参照)を、それぞれ上記酸化マグネシウム結晶体の実施例結晶体と比較例結晶体によって形成し、波長240nmの真空紫外線によって連続励起した際のPL(CL)発光強度と規格化残光強度,PDPの放電遅れを、試料温度270Kおよび減衰時間70msにおいてそれぞれ測定した結果を示している。
この図13から分かるように、実施例結晶体と比較例結晶体は、波長240nmの真空紫外線の連続励起によるPL(CL)発光強度は同じであるが、実施例結晶体の方が規格化残光強度が大きく放電遅れが小さいことが分かる。
以上のように、上記PDPは、結晶酸化マグネシウム層5(図2参照)を構成する酸化マグネシウム結晶体が、紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が減衰時間10ms以降の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有していることによって、電子放出特性が改善され、これによって放電遅れが短縮される。
図14は、PDPの結晶酸化マグネシウム層をPL(CL)発光強度が互いに異なる実施例結晶体と数種類の比較例結晶体によって形成した際の規格化残光強度とPDPの放電遅れの比較を示しており、図15は、この図14の測定結果に基づいてPL(CL)発光強度とPDPの放電遅れの関係を示したグラフであり、図16は、同様に、PL(CL)発光強度×規格化残光強度とPDPの放電遅れの関係を示したグラフである。
図15では、PL(CL)発光強度とPDPの放電遅れと相関関係が必ずしも明確ではないが、図16においては、PL(CL)発光強度と放電遅れとの相関関係が明確になっている。
この図14と図16から、波長160nm以下の真空紫外線によって励起されることにより波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するPL(CL)発光を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体のうち、常温付近(200〜400K)に規格化残光強度の温度ピークを有する酸化マグネシウム結晶体によりPDPの結晶酸化マグネシウム層を形成することにより、PDPの放電遅れを従来よりもさらに短縮することが出来ることが分かる。
この放電遅れ短縮のメカニズムは、以下のように推論される。
この放電遅れ短縮のメカニズムは、以下のように推論される。
すなわち、図11および12に見られるある減衰時間での規格化残光強度の温度ピークは、酸化マグネシウム結晶体の相対的な電子トラップの数密度に比例しており、また、0.5〜1eV程度の熱活性化エネルギを持った電子トラップによるものであると推論される。
そして、図16に示されるように、放電遅れが連続励起によるPL(CL)発光強度と規格化残光強度との積と強い相関関係にあるため、酸化マグネシウム結晶体からの自己持続的な電子放出が増加することによりPDPの放電遅れが短縮されると考えられ、これによって、図17に示されるような酸化マグネシウム結晶体からの電子放出モデルが考えられる。
すなわち、 PDPの行電極間または行電極と列電極間(図1,2参照)で放電が発生されると、図17において、酸化マグネシウム結晶体内の電子が伝導帯に励起されて、トラップに捕獲される。
この後、放電が停止すると、室温の熱エネルギによって伝導体の電子が徐々に熱励起されて、一部の電子は再びトラップされ、一部の電子は発光中心と再結合してPL(CL)発光が発生する。
このPL(CL)発光のエネルギの一部は、トラップされている他の電子に伝達され、オージェ電子放出または光電子放出によって放電空間に電子が放出される。
このようにして、PDPの放電空間中に放出された電子(プライミング粒子)が種となることによって、次に発生される放電の放電遅れが短縮される。
このようにして、PDPの放電空間中に放出された電子(プライミング粒子)が種となることによって、次に発生される放電の放電遅れが短縮される。
この図17の電子放出モデルから、図11および12に見られるような常温付近(200〜400K)での規格化残光強度の温度ピークの強度が強いということが、電子トラップの数密度が高いことを意味していることが分かる。
この電子トラップは電子放出のエネルギの源であるので、この数密度が高くなることによって電子放出の量が増えることになり、放電遅れが短縮されることになる。
さらに、200〜400Kというピーク温度は0.5〜1eV程度のトラップ深さに相当しており、室温の熱エネルギよりもやや大きいために、室温程度ではゆっくりと長い時間をかけてトラップから伝導体への熱励起が起こる。
このため、放電停止からの経過時間が長くなっても持続的に電子放出が発生するため、長い時間にわたって放電遅れの短縮が可能になる。
このため、放電停止からの経過時間が長くなっても持続的に電子放出が発生するため、長い時間にわたって放電遅れの短縮が可能になる。
また、連続励起でのPL(CL)発光の強度が高いということは、電子がトラップから熱励起された後に、PL(CL)発光に続いて電子放出が起こる過程の効率が高いということを意味している。
このため、PL(CL)発光の強度と規格化残光強度ピークの積が総合的な電子放出量と比例し、放電遅れと強い相関関係を有していると考えられる。
このため、PL(CL)発光の強度と規格化残光強度ピークの積が総合的な電子放出量と比例し、放電遅れと強い相関関係を有していると考えられる。
以上のように、上記実施例におけるPDPは、PDPの結晶酸化マグネシウム層が、真空紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が10ms以降の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体によって構成されていることによって、PDPの放電遅れを低減することが出来るとともに、PL(CL)発光強度と規格化残光強度が一定になるようにすることによって放電遅れを一定にすることが出来、これによって、PDPの放電特性のばらつきを低減することが可能になる。
なお、上記においては、真空紫外線の照射時のPL(CL)発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が10ms以降の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体によって、誘電体層を被覆する結晶酸化マグネシウム層を形成した実施例について説明を行ったが、この酸化マグネシウム結晶体を放電セル内に形成される蛍光体層(図2参照)に放電セル内に露出された状態で含有させるようにしても良い。
また、上記においては、この発明を、前面ガラス基板に行電極対を形成して誘電体層によって被覆し背面ガラス基板側に蛍光体層と列電極を形成した反射型交流PDPに適用した例について説明を行ったが、この発明は、前面ガラス基板側に行電極対と列電極を形成して誘電体層によって被覆し、背面ガラス基板側に蛍光体層を形成した反射型交流PDPや、前面ガラス基板側に蛍光体層を形成し背面ガラス基板側に行電極対および列電極を形成して誘電体層によって被覆した透過型交流PDP,放電空間の行電極対と列電極の交差部分に放電セルが形成される三電極型交流PDP,放電空間の行電極と列電極の交差部分に放電セルが形成される二電極型交流PDPなどの種々の形式のPDPに適用することが出来る。
上記実施例によるPDPは、放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板の間に配置されて互いに交差する部分の放電空間にそれぞれ単位発光領域を形成する行電極対および列電極と、行電極対を被覆する誘電体層が設けられているPDPにおいて、前記単位発光領域に面する部分に、紫外線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するフォト・ルミネッセンス発光を行う特性を有するとともに、波長域230〜250nmの残光強度が所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体が配置されている実施形態のPDPを、その上位概念の実施形態としている。
この実施形態のPDPによれば、放電空間に形成された各放電セルに面する位置に、紫外線の照射時のフォト・ルミネッセンス発光の波長域230〜250nmにおける残光強度が10ms以上の所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域内にピークを有する温度特性を有していることによって、PDPにおける放電セル内への電子放出特性が改善し、これによってPDP駆動時の放電遅れを従来のPDPに比べて大幅に短縮することができる。
1 …前面ガラス基板(前面基板)
3 …誘電体層
4 …薄膜酸化マグネシウム層
5 …結晶酸化マグネシウム層
6 …背面ガラス基板(背面基板)
7 …列電極保護層
9 …蛍光体層
C …放電セル
X,Y …行電極(放電電極)
D …列電極(放電電極)
3 …誘電体層
4 …薄膜酸化マグネシウム層
5 …結晶酸化マグネシウム層
6 …背面ガラス基板(背面基板)
7 …列電極保護層
9 …蛍光体層
C …放電セル
X,Y …行電極(放電電極)
D …列電極(放電電極)
Claims (9)
- 放電空間を介して対向する前面基板および背面基板と、この前面基板と背面基板の間に配置されて互いに交差する部分の放電空間にそれぞれ単位発光領域を形成する行電極対および列電極と、行電極対を被覆する誘電体層が設けられているプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記単位発光領域に面する部分に、紫外線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するフォト・ルミネッセンス発光を行う特性を有するとともに、波長域230〜250nmの残光強度が所定の減衰時間において200〜400Kの温度領域にピークを有する温度特性を有する酸化マグネシウム結晶体が、配置されていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記酸化マグネシウム結晶体を励起する紫外線が、波長160nm以下の真空紫外線である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記所定の減衰時間が、10msec以上の減衰時間である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体が、230ないし250nm内にピークを有するフォト・ルミネッセンス発光を行う特性を有している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体が、単位発光領域内に露出した状態で誘電体層上に配置されて結晶酸化マグネシウム層を形成している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記誘電体層上に蒸着法またはスパッタリング法によって薄膜の酸化マグネシウム層が形成され、この薄膜の酸化マグネシウム層上に結晶酸化マグネシウム層が形成されている請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体は、マグネシウムの加熱によって発生するマグネシウム蒸気が気相酸化することによって得られる単結晶体を含んでいる請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体が、背面基板上の単位発光領域内に露出する位置に配置されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体が、単位発光領域内の背面基板上に形成された蛍光体層に含有されている請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008230912A JP2010067393A (ja) | 2008-09-09 | 2008-09-09 | プラズマディスプレイパネル |
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JP (1) | JP2010067393A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012105192A1 (ja) * | 2011-01-31 | 2012-08-09 | パナソニック株式会社 | プラズマディスプレイ装置 |
-
2008
- 2008-09-09 JP JP2008230912A patent/JP2010067393A/ja not_active Withdrawn
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