JP2010097857A - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PDPの放電セルCに面する部分に、電子線の照射によって励起されて波長域200〜300nmの範囲内にピークを有するCL発光を行う特性を有するとともに、含有濃度0.5〜200重量ppmのカルシウムまたは含有濃度10〜200重量ppmの亜鉛を含有する酸化マグネシウム結晶体粒子pが含まれている。
【選択図】図2
Description
これら従来のPDPは、PDPの放電空間に面する部分に配置される電子線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するCL発光を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体によって、放電確率や放電遅れなどの放電特性が改善されて、良好な放電特性を得ることが出来るという技術的特徴を有している。
ここで、ディスプレイについては、近年、フルHD等のような高精細な画面形成を可能にしたものが現れて来ており、このため、PDPにおいても、フルHD等のような高精細な画面の形成を実現するために、放電遅れ等の放電特性のさらなる改善および暗コントラストの向上が要求されている。
この図1において、パネル面を構成する前面ガラス基板1の背面に、複数の行電極対(X,Y)が、行方向(図1の紙面に対して直角方向)に延びるとともに列方向(図1の左右方向)に互いに平行に並設されている。
この行電極対(X,Y)を構成する行電極XとYは、それぞれ、金属製のバス電極Xa,Yaと、このバス電極Xa,Yaから対になっている相手の行電極側に向かって延びて互いに放電ギャップgを介して対向する複数の透明電極Xb,Ybとから構成されている。
この誘電体層2の背面には、保護層3が形成されて、この保護層3によって誘電体層2の背面の全面が被覆されている。
この保護層3の構成については、後で詳述する。
この背面ガラス基板4上には、さらに、列電極保護層(誘電体層) 5が形成されて列電極Dを被覆している。
この列電極保護層5上には、放電空間を放電セルC毎に区画する隔壁6が形成され、さらに、放電セルC毎に赤,緑,青に色分けされた蛍光体層7がそれぞれ形成されている。
上記保護層3は、図2に示されるように、誘電体層2の放電空間に対向する内面上に、2000オングストローム(Å)以上の粒径を有し電子線の照射によって波長域200〜300nm内(特に、230〜250nm内,235nm付近)にピークを有するCL発光を行う特性を有する酸化マグネシウム結晶体(以下、単に酸化マグネシウム結晶体という)の粒子pが散布されることによって形成されている。
すなわち、気相酸化法による場合には、加熱された酸化マグネシウム金属(Mg)の蒸気を大気中の酸素と反応させる酸化マグネシウム結晶体の精製過程において、CaまたはZnが出発原料であるMg中に添加されて酸化マグネシウムと反応することにより、前述した濃度範囲内のCaまたはZnを含有する酸化マグネシウム結晶体が精製される。
上記PDPは、画像の形成駆動時に、先ず、放電セルC内において行電極XとY間において放電セルCの初期化を行うリセット放電が発生され、この後、行電極Yと列電極D間において選択的にアドレス放電が発生される。
そして、このアドレス放電の後、各発光セル内において行電極対(X,Y)の互いに対になっている透明電極XbとYbの間でサステイン放電が発生されることにより、各発光セルの赤,緑,青の蛍光体層7が発光して、パネル面にマトリクス表示による画像が形成される。
なお、この図3におけるCL強度は、Caを含有していない酸化マグネシウム結晶体のCL強度を「100」として規格化された数値によって表されている。
この図3から、CL強度は、Caの含有濃度が0.5重量ppm未満の場合には、Caを含有していない酸化マグネシウム結晶体とほとんど変わりないが、Caの含有濃度が0.5重量ppm以上になると、Caの含有濃度が高くなるほど大きくなっており、PDPの放電特性の改善効果がさらに大きくなっていることが分かる。
この図4におけるCL強度も、図3の場合と同様に、Znを含有していない酸化マグネシウム結晶体のCL強度を「100」として規格化された数値によって表されている。
図5は、保護層を形成する酸化マグネシウム結晶体の不純物の総含有濃度が異なる五つのサンプル1〜5について、PDP駆動時の放電遅れ(DTL)を示したグラフであり、左縦軸が放電遅れ(DTL)を示し、右縦軸が酸化マグネシウム結晶体のCaとZnを除いた不純物の含有濃度(重量ppm)を示している。
この図5から、不純物の総含有濃度が150重量ppmのサンプル5において、放電遅れ(DTL)が他のサンプルと比較して極端に悪化していることが分かる。
この図5の結果から、この実施例におけるPDPは、保護層を形成する酸化マグネシウム結晶体に含有されるCaおよびZn以外の不純物の含有濃度が150重量ppm未満となるように設定されている。
この図6から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、ホウ素(B)の含有濃度は、0.48重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図7から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、アルミニウム(Al)の含有濃度は、9重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図8から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、珪素(Si)の含有濃度は、6重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図9から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、チタン(Ti)の含有濃度は、1.2重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図10から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、クロム(Cr)の含有濃度は、21重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図11から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、鉄(Fe)の含有濃度は、54重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図12から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、コバルト(Co)の含有濃度は、0.24重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図13から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、ニッケル(Ni)の含有濃度は、7.2重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
この図14から、PDPの放電遅れ(DTL)の悪化を防止するためには、ストロンチウム(Sr)の含有濃度は、0.12重量ppm未満であることが好ましいことが分かる。
そして、図6〜図14から、酸化マグネシウム結晶体に含まれる不純物の含有濃度によってPDP駆動時の放電遅れ(DTL)を予測することが出来るので、例えば元素分析装置を用いて酸化マグネシウム結晶体の元素分析を行って不純物の含有濃度を検出する様にすれば、PDPの製造後に放電遅れ(DTL)を測定する必要はなくなる。
この図15において、蛍光体層17は、赤または緑,青の粒子状の蛍光材17Aと、第1実施例の場合と同様の前述したような濃度範囲内のCaまたはZnを含有し粒径が2000Å以上の酸化マグネシウム結晶体17Bとが混合されているとともに、この酸化マグネシウム結晶体17Bが蛍光体層17の表面、すなわち、放電セルCに露出する位置に配された状態で形成されている。
上記PDPは、アドレス電極Dが陰極とされ、立ち上がりが緩やかなリセットパルスが印加される行電極Yが陽極とされて、放電セルCの初期化を行うリセット放電を発生させる際に、実施例1において述べたような酸化マグネシウム結晶体17Bが有する特性によって、リセット放電の放電遅れ時間が短縮され、さらに、暗コントラストの低下の原因となるリセット放電強度の減少の抑制によるPDPの暗コントラストの向上,酸化マグネシウム結晶体17Bから放電セルC内に放出される初期電子によるプライミング効果によるリセット放電の次のアドレス放電の高速化を図ることが出来る。
さらに、上記PDPにおいて、酸化マグネシウム結晶体は、実施例2に述べたような不純物を含有していても良い。
2 …誘電体層
3 …保護層
4 …背面ガラス基板(基板)
7,17,27 …蛍光体層
17B …酸化マグネシウム結晶体
27B …酸化マグネシウム結晶体層
C …放電セル(単位発光領域)
X,Y …行電極
p …酸化マグネシウム結晶体粒子
Claims (16)
- 放電空間を介して対向する一対の基板の一方の基板に、行電極対とこの行電極対を被覆する誘電体層とこの誘電体層を被覆する保護層が設けられ、他方の基板に列電極と蛍光体層が設けられ、放電空間に単位発光領域が形成されているプラズマディスプレイパネルであって、
前記一対の基板の間の放電空間に面する部分に、電子線によって励起されて波長域200〜300nm内にピークを有するカソード・ルミネッセンス発光を行う特性を有するとともに、含有濃度0.5〜200重量ppmのカルシウムまたは含有濃度10〜200重量ppmの亜鉛を含有する酸化マグネシウム結晶体が含まれている、
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記放電空間に面する部分が保護層である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記放電空間に面する部分が蛍光体層である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体がカルシウムおよび亜鉛以外の不純物を含有し、この不純物の総含有濃度が150重量ppm未満である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記不純物が、ホウ素またはアルミニウム,珪素,チタン,クロム,鉄,コバルト,ニッケル,ストロンチウムの何れかである請求項4に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記ホウ素の含有濃度が0.48重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記アルミニウムの含有濃度が9重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記珪素の含有濃度が6重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記チタンの含有濃度が1.2重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記クロムの含有濃度が21重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記鉄の含有濃度が54重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記コバルトの含有濃度が0.24重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記ニッケルの含有濃度が7.2重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記ストロンチウムの含有濃度が0.12重量ppm未満である請求項5に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記酸化マグネシウム結晶体の粒径が2000Å以上である請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記プラズマディスプレイパネルの駆動時における単位発光領域の初期化の際に、行電極対の一方の行電極が陽極にされて電位が時間経過に伴って徐々に増加する電圧パルスが印加され、列電極が陰極にされる請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル。
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