JP2785643B2 - 湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板 - Google Patents
湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板Info
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Description
るいはガスを輸送するタンカー用の鋼板として、湿潤硫
化水素環境下で用いるのに好適な、耐疲労亀裂進展特性
に優れるタンカー用鋼板に関する。
いては、水素誘起割れ(HIC)あるいは硫化物応力割
れ(SSC)が問題となることは既に衆知の事実であ
り、その防止に関しては数多くの研究がなされ、幾多の
対策が提案されている。
静的な応力下で、それぞれ鋼材に生じる割れである。H
ICやSSCは、湿潤硫化水素環境で鋼が腐食したとき
に発生する水素が鋼中に侵入することによって生じる水
素脆化であり、鋼の脆化現象の一つである。
疲労破壊および腐食疲労破壊も、鋼のもう一つの大きな
脆化現象である。
いは海洋構造物、自動車のホイールやクランク軸、さら
には歯車用材料などの疲労および腐食疲労についてもま
た、数多くの研究例がある。
の観点から、高張力鋼の使用が広がって来ている。その
場合、鋼材にはこれまで以上の応力がかかることにな
り、割れ以外に疲労の問題が懸念されるようになってき
た。ところが、湿潤硫化水素環境に曝されるタンカーに
用いられる鋼材について、湿潤硫化水素環境下の疲労挙
動を調査した例は少ない。
er、1976) のO.VOSHIKOVSKI による「Fatigue Crack Gr
owth in an X65 Line-Pipe Steel in Sour Crude Oil」
と題する報告には、硫化水素濃度が高くなると疲労亀裂
進展速度が著しく加速されることが明らかにされてお
り、湿潤硫化水素環境下の疲労に及ぼす環境効果は、決
して無視できない問題であると考えられる。この硫化水
素によると思われる亀裂進展速度の加速は、水素脆性と
重畳したためと考察されている。しかしながら、湿潤硫
化水素環境下の疲労に及ぼす材料因子について詳細に研
究した例は少なく、具体的な対策も見出されていない。
過酷化と、鋼材の高強度化に伴って頻発することが予想
される湿潤硫化水素環境下での疲労破壊に対処すること
を課題としてなされたものである。
されるYS(降伏応力)20〜45kgf/mm2 、T
S(引張強さ)35〜60kgf/mm2 級の鋼板であ
って、湿潤硫化水素環境下で使用されたときに疲労亀裂
が進展しにくい特性を有するタンカー用鋼板を提供する
ことにある。
(1)〜(5)のタンカー用鋼板にある。
%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜2.0
%、sol.Al:0.01〜0.1%ならびに、C
r:0.1〜2.0%およびMo:0.01〜0.5%
のいずれか一方または双方を含み、残部は不可避不純物
とFeからなる鋼板であって、その組織はフェライトの
第一相ならびにベイナイトおよび/またはパーライトの
第二相の混合組織からなり、前記フェライトの平均粒径
が20μm以下であることを特徴とする湿潤硫化水素環
境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。
%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜2.0
%、sol.Al:0.01〜0.1%ならびに、C
r:0.1〜2.0%およびMo:0.01〜0.5%
のいずれか一方または双方を含み、残部は不可避不純物
とFeからなる鋼板であって、その組織はフェライトの
第一相ならびにベイナイトおよび/またはパーライトの
第二相の混合組織からなり、前記第二相間の平均距離が
20μm以下であることを特徴とする湿潤硫化水素環境
で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。
分に加えてさらに、質量%で、Cu:0.1〜1.0%
およびNi:0.05〜0.5%のいずれか一方または
双方を含む上記(1)または(2)に記載の湿潤硫化水
素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。
分に加えてさらに、質量%で、Nb:0.01〜0.1
%、Ti:0.01〜0.1%およびV:0.01〜
0.1%の1種または2種以上を含む上記(1)または
(2)に記載の湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性
に優れるタンカー用鋼板。
分に加えてさらに、質量%で、Cu:0.1〜1.0%
およびNi:0.05〜0.5%のいずれか一方または
双方、ならびにNb:0.01〜0.1%、Ti:0.
01〜0.1%およびV:0.01〜0.1%の1種ま
たは2種以上を含む上記(1)または(2)に記載の湿
潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー
用鋼板。
いなかった湿潤硫化水素環境下の疲労挙動に及ぼす材料
因子について検討した結果に基づいてなされたものであ
る。以下、「疲労亀裂」を単に「亀裂」ともいう。
水素環境下の疲労挙動を調査すると、ΔK(最大応力拡
大係数と最小応力拡大係数の差)の大きい、すなわち、
塑性変形域が広くなる応力状態で、亀裂進展速度が著し
く加速されている。一方、ΔKの小さい応力状態では、
亀裂がどこから発生するかによらず、粒界、特に第一相
のフェライトと第二相の相界面付近に亀裂が達した場
合、亀裂進展速度が低下し、特に、亀裂寸法が小さい場
合は亀裂進展が停止することが判明した。
発生するため、この亀裂進展停留効果はフェライト粒内
を進展する亀裂についての場合が多い。
濃度が高いほど亀裂進展速度が大きい。硫化水素濃度が
高いほど、腐食に伴って発生する水素原子の中で鋼中に
侵入して固溶する水素濃度が高くなるので、水素濃度が
高いほど亀裂進展速度が加速されると考えられること、
また、塑性変形域が広くなる応力状態で亀裂進展速度が
著しく加速されることから、この疲労挙動には水素脆性
が大きく関与していると推定される。すなわち、前述し
た結晶粒界あるいは相界面付近での亀裂の停留は、亀裂
先端における塑性変形の抑制にともなう水素濃度の局所
的な集中が緩和されるためであると考えられる。
に、第一相のフェライトと第二相のベイナイトおよび/
またはパーライトからなる混合組織において、第一相で
あるフェライト粒径を一定値以下に抑制した場合、もし
くは第二相であるベイナイトおよび/またはパーライト
の相間の距離を一定値以下に制御した場合には、発生し
た亀裂は、その成長量が少ない段階で、すなわち、ΔK
の小さい応力状態で、粒界および相界面に到達する。そ
の結果、亀裂先端における塑性変形が抑制されることが
明らかとなった。また、鋼材の組織に相界面を多く形成
させた場合、特に亀裂進展の停留効果が大きいこともわ
かった。
イト粒内を進展する確率が高く、塑性変形の大きい領域
で亀裂進展速度が大きいことに注目すると、フェライト
粒の塑性変形挙動が疲労挙動に強く関与しているものと
推察される。
TiおよびVの1種以上を添加するとフェライト粒を細
粒化させるだけでなく、炭化物を生成させ、フェライト
粒を強化することもでき、フェライト粒内を進展する亀
裂進展速度も低下することが判明した。硫化水素および
水を含んだ原油中で耐食性を向上させる効果を有するC
rおよびMoのいずれか一方または双方を添加すること
で、腐食速度を低下させ、鋼の固溶水素濃度を低減させ
ると、耐亀裂進展特性の改善が達成され、更に、硫化水
素および水を含んだ原油中で耐食性を向上させる効果を
有するCuおよびNiのいずれか一方または双方を添加
することで、より一層の耐亀裂進展特性の改善が達成さ
れることも明らかとなった。
およびその組織の限定理由を、作用効果とともに説明す
る。%は質量%を意味する。
を保持するためにCの含有量を0.01%以上とした。
これを下回ると本発明の鋼板の用途に必要な強度を確保
するのが困難である。一方、本発明の鋼板の主要な用途
では、多くの場合溶接施工を受けるので、鋼の溶接性を
良好に保つために、C含有量の上限は0.2%とした。
鋼中に溶け込んだ水素が原因で、溶接熱影響部の硬化部
に溶接後しばらくして割れを生じる、いわゆる溶接割れ
が発生しやすい。溶接割れには溶接熱影響部の硬さが大
きく影響し硬いほど割れやすくなる。C含有量の高い材
料ほど硬化しやすいから、これを防ぐにはC含有量が低
い方がよい。望ましいC含有量の範囲は0.03〜0.
18%である。
での耐疲労亀裂進展特性の改善のために必要な成分であ
る。Siの含有量が0.1%未満では、これらの効果が
期待できない。一方、Siが0.6%を超えると鋼の靭
性が損なわれる。望ましいSi含有量の範囲は0.25
〜0.5%である。
る。0.3%未満では本発明の鋼板の用途に必要な強度
を確保するのが困難である。しかし、MnもCと同様、
溶接熱影響部を硬化させ溶接割れをもたらす成分である
から、その含有量には上限がある。すなわち、2.0%
を上回ると溶接割れが発生しやすくなる。望ましいMn
の含有量は0.5〜1.8%である。
として0.01%以上となるように含有させる必要があ
る。ただし、sol.Alの含有量が0.1%を上回る
と鋼の清浄度および靭性が損なわれる。望ましいso
l.Al含有量の範囲は0.01〜0.05%である。
性を向上させるものである。
水素環境での耐疲労亀裂進展特性の改善に有効である。
ただし、CrもCおよびMnと同様に溶接熱影響部を硬
化させ溶接割れをもたらす成分であるから、添加する場
合は含有量の上限を2.0%とすべきである。Crの望
ましい含有量の範囲は0.5〜1.5%である。
化水素環境での耐疲労亀裂進展特性の改善に有効であ
る。ただし、MoもCr、CおよびMnと同様に溶接熱
影響部を硬化させ溶接割れをもたらす成分であるから、
添加する場合は含有量の上限を0.5%とすべきであ
る。Moの望ましい含有量の範囲は0.1〜0.3%で
ある。
成分の外、残部が不可避不純物とFeからなるものであ
る。不純物の中、PとSはそれぞれ0.025%以下、
0.020%以下に抑えるのが望ましい。
加えてさらに次の二つの群の成分の中の1種以上を含む
ものであってもよい。
を向上させるものである。
進展特性の改善のために有効な成分である。ただし、C
u含有量が0.1%未満ではその効果が小さい。一方、
Cuは溶接割れを誘発し、また、高温で融解し鋼の粒界
強度を下げて熱間圧延途中に割れや疵を発生させやすく
するから、その含有量は1.0%までにとどめるべきで
ある。望ましいCu含有量の範囲は0.2〜0.5%で
ある。
化水素環境での耐疲労亀裂進展特性の一層の改善に有効
である。ただし、NiもCr、CやMnと同様に溶接熱
影響部を硬化させ溶接割れをもたらす成分であるから、
添加する場合は含有量の上限を0.5%とすべきであ
る。Niの望ましい含有量の範囲は0.1〜0.3%で
ある。
びその強化によって耐亀裂進展特性を改善する作用をも
つ。
量が0.01%未満では上記特性の改善効果が乏しい。
一方、それぞれの含有量が0.1%を超えると効果が飽
和し、鋼の強度が上昇しすぎて靭性を損なう。いずれの
成分も、望ましい含有量の範囲は0.02〜0.05%
である。
ら1種以上の成分を選んで、前記含有量の範囲で添加す
ることもできる。
造またはインゴット鋳造)の後、熱間鍛造または熱間圧
延を行い、必要に応じて熱処理を施して、板の製品とす
る。
一相(フェライト)と第二相(ベイナイトおよびパーラ
イト、またはベイナイト、またはパーライト)からなる
混合組織を有するものである。
の相界面において亀裂進展の停留効果を得るためであ
る。
粒径が20μm以下であれば、ΔKの亀裂発生下限界程
度の応力状態において亀裂進展の停留効果を発現させる
ことができる。この平均粒径が20μmを超えると、上
記の効果が得られなくなる。
ば、ΔKの亀裂発生下限界程度の応力状態において亀裂
進展の停留効果が顕著になり、湿潤硫化水素環境での耐
疲労亀裂進展特性に優れた鋼板を得ることができる。こ
の平均距離が20μmを超えると、発生した亀裂が相界
面に遭遇することなく巨視的な程度になるまで成長する
場合があり、このような巨視的な亀裂は鋼板の破壊をも
たらすことになる。
ト、またはベイナイト、またはパーライトとする理由
は、次の通りである。
留効果があるが、上記のような第二相組織では、フェラ
イトと第二相との相界面においての亀裂停留効果が著し
く大きい。これは、フェライトに比べ上記第二相の硬度
が高く、相界面をはさんで両相の硬度差が大きいため、
相界面に近づいた亀裂の先端における塑性変形が抑制さ
れるためである。
イトになっている組織である。また、フェライト粒径お
よび第二相間距離がともに20μm以下である組織であ
る。さらに第二相の分率が40%以上となることが最も
望ましい。「第二相の分率」とは、鋼板の任意の断面に
ついて研磨、エッチングなどを施し、画像解析などによ
り測定した「全断面積に対する第二相の面積割合(百分
率)」で定義される値である。
下の組織を得るためには、熱間圧延の仕上温度を低くす
ること、例えばAr3 点程度とすることが有効である。
第二相間距離を20μm以下にするには、鋼のC含有量
を増加させることが有効であり、例えば0.1〜0.2
%とすればよく、この方法により第二相の分率も増加す
る。また、熱間圧延後Ar3 点以上から400〜600
℃の温度域までを5〜25℃/sでの加速冷却を利用す
ることにより、第二相をベイナイト主体のものとするこ
とも可能である。さらに、圧延終了後再加熱し、その後
の冷却に加速冷却を適用することでも同様の組織を得る
ことができる。
鋼を溶製し、連続鋳造で厚さ240mmのスラブとし、
これを1150℃に加熱して厚さ15mmの板に熱間圧
延した。その仕上温度を表2に示す。
を製造した。すなわち、鋼板の組織制御は、主として鋼
のC含有量、仕上温度、加速冷却開始温度、加速冷却停
止温度および冷却速度を制御する方法によった。
(b)に示す試験片を採取し、同図(a)に示す装置で
湿潤硫化水素環境における疲労試験を行った。すなわ
ち、図1(a)に示すように、試験溶液槽2中で試験片
1に油圧シリンダー5により繰り返し応力を負荷した。
図1(a)において、3は溶液循環ポンプ、4はロード
セル、6は油圧源、7はサーボバルブ、8は波形発生
器、9は負荷制御器である。また、大気中で図1(b)
に示す試験片に油圧シリンダーにより繰り返し応力を負
荷する疲労試験も実施した。
た原油に硫化水素濃度1%(残りは窒素)の混合ガスを
試験期間中常時吹き込むものである。
て、機械的性質および組織を調査した。これらの試験結
果を表2および表3に示す。なお、鋼板のフェライト平
均粒径、第二相の組織、第二相の相間平均距離および第
二相の分率は、試験片をエポキシ樹脂に埋め込んで切断
研磨してエッチングを施した後、顕微鏡観察を行い、画
像解析を施して計算する方法により求めた。表3に示す
亀裂進展速度比は、ΔK=8 ksi√inのときの、湿潤硫
化水素環境中と大気中との速度の比である。
80℃で厚さ15mmに熱間圧延した鋼板から図2
(b)に示す試験片(化学組成はCが0.13%、Si
が0.24%、Mnが0.75%、sol.Alが0.
031%、残部がFeおよび不純物、降伏応力は26.
1kgf/mm 2 、引張強さは41.3kgf/mm
2 、組織はフェライト+パーライト、フェライト平均粒
径は28μm、第二相間平均距離は16μm、第二相分
率は48%)を採取し、前記の条件で疲労試験を行った
場合の大気中および上記の湿潤硫化水素環境における亀
裂進展速度を示す図である。縦軸のda/dN は亀裂進展速
度で、応力サイクル1回当たりの進展距離(mm)で表
している。横軸のΔKは最大応力拡大係数(Kmax )と
最小応力拡大係数(Kmin )の差、すなわち、ΔK=
(Kmax −Kmin )である。
に対して da/dN=C(ΔK)m の関係が広く認められる
ことから、横軸にΔKをとった。なお、応力拡大係数と
は、腐食疲労現象を亀裂(欠陥あるいは割れ)が存在す
るときの亀裂の寸法・形状、材料の寸法・形状、荷重条
件などの力学的境界条件を標準化して取り扱う破壊力学
において、応力に相当するパラメータとして取り扱われ
るものである。
硫化水素環境中では亀裂進展速度が大きい。特に、ΔK
の大きい領域(約 20ksi√in以上) で亀裂進展が加速
されている。そして、ΔK=8 ksi√in近傍が亀裂進展
下限界応力に近い低ΔK領域であり、上記の亀裂進展速
度比を用いて、微視的亀裂の進展の停留効果の有無を調
査するのに適していることがわかる。この理由でΔK=
8 ksi√inのときの亀裂進展速度比を採用したのであ
る。
める化学組成と組織の鋼板は、YSが20〜45kgf
/mm2 、TSが35〜60kgf/mm2 の、用途に
適った良好な機械的性質を有するものである。
に、フェライトの平均粒径が20μm以下となっている
試験番号11〜20では、湿潤硫化水素環境における亀
裂進展速度が大気中のそれの3倍以内に抑制されてお
り、この平均粒径を20μm以下に制御する効果が明ら
かである。
した試験番号1〜10でも、湿潤硫化水素環境における
亀裂進展速度が大気中のそれの3倍以内に抑制されてお
り、この平均距離を20μm以下に制御する効果が明ら
かである。
の平均距離を、いずれも20μm以下に制御した試験番
号3、5および10の場合では、湿潤硫化水素環境にお
ける亀裂進展速度が大気中のそれと変わらず、鋼板の組
織制御が極めて効果的であることがわかる。
間の平均距離が、いずれも20μmを超えている試験番
号21〜30の場合では、湿潤硫化水素環境における亀
裂進展速度は大気中のそれの5倍以上であり、耐亀裂進
展特性は何ら改善されていない。
番号1〜20の中でも、Cu、Ni、Nb、Tiおよび
Vのうちの1種または2種以上を含有させた試験番号3
〜5、8〜10、13〜15、18〜20の場合では、
湿潤硫化水素環境における亀裂進展速度が大気中のそれ
の約1.5倍以内に抑制されていることからわかるよう
に、いずれも含有させない試験番号1、2、6、7、1
1、12、16、17に比べると、上記成分を含有させ
ることによる耐亀裂進展特性の改善効果が認められる。
このような、Cu、Ni、Nb、TiおよびVのうちの
1種または2種以上を含有させた場合の効果は、フェラ
イトの平均粒径および第二相間の平均距離がいずれも2
0μmを超えている比較例の中でも、試験番号23〜2
5、28 〜30で亀裂進展速度の比が比較的低値になっ
ているが、上記平均粒径および平均距離がいずれも20
μmを超えているため、本発明例との比較では耐亀裂進
展特性は改善されていない。
素環境での疲労亀裂進展速度が著しく小さく、大気中に
おける疲労亀裂進展速度とほぼ同等の優れた特性を示
す。湿潤硫化水素環境に曝され、かつ繰り返し応力を受
けるタンカー用の鋼板の素材として好適なものである。
その機械的性質も本発明のタンカー用鋼板の用途に適っ
た良好なものである。
は試験片の形状と寸法を示す図である。
0.75%、sol.Alが0.031%、残部がFe
および不純物の化学組成、降伏応力が26.1kgf/
mm 2 、引張強さが41.3kgf/mm 2 、組織がフ
ェライト+パーライト、フェライト平均粒径が28μ
m、第二相間平均距離が16μm、第二相分率が48%
の場合の、大気中および湿潤硫化水素環境における疲労
試験結果を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.2%、S
i:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜2.0%、so
l.Al:0.01〜0.1%ならびに、Cr:0.1
〜2.0%およびMo:0.01〜0.5%のいずれか
一方または双方を含み、残部は不可避不純物とFeから
なる鋼板であって、その組織はフェライトの第一相なら
びにベイナイトおよび/またはパーライトの第二相の混
合組織からなり、前記フェライトの平均粒径が20μm
以下であることを特徴とする湿潤硫化水素環境で耐疲労
亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。 - 【請求項2】質量%で、C:0.01〜0.2%、S
i:0.1〜0.6%、Mn:0.3〜2.0%、so
l.Al:0.01〜0.1%ならびに、Cr:0.1
〜2.0%およびMo:0.01〜0.5%のいずれか
一方または双方を含み、残部は不可避不純物とFeから
なる鋼板であって、その組織はフェライトの第一相なら
びにベイナイトおよび/またはパーライトの第二相の混
合組織からなり、前記第二相間の平均距離が20μm以
下であることを特徴とする湿潤硫化水素環境で耐疲労亀
裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。 - 【請求項3】請求項1または2に記載の成分に加えてさ
らに、質量%で、Cu:0.1〜1.0%およびNi:
0.05〜0.5%のいずれか一方または双方を含む請
求項1または2に記載の湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂
進展特性に優れるタンカー用鋼板。 - 【請求項4】請求項1または2に記載の成分に加えてさ
らに、質量%で、Nb:0.01〜0.1%、Ti:
0.01〜0.1%およびV:0.01〜0.1%の1
種または2種以上を含む請求項1または2に記載の湿潤
硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用
鋼板。 - 【請求項5】請求項1または2に記載の成分に加えてさ
らに、質量%で、Cu:0.1〜1.0%およびNi:
0.05〜0.5%のいずれか一方または双方、ならび
にNb:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.1
%およびV:0.01〜0.1%の1種または2種以上
を含む請求項1または2に記載の湿潤硫化水素環境で耐
疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板。
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JP5108970A JP2785643B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5108970A JP2785643B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板 |
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Family Applications (1)
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JP5108970A Expired - Lifetime JP2785643B2 (ja) | 1993-05-11 | 1993-05-11 | 湿潤硫化水素環境で耐疲労亀裂進展特性に優れるタンカー用鋼板 |
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JP2007314819A (ja) * | 2006-05-23 | 2007-12-06 | Kobe Steel Ltd | 耐疲労亀裂進展性に優れた鋼板 |
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