JPH05255800A - 溶接継手耐疲労特性の優れた大型構造物用高張力鋼板 - Google Patents

溶接継手耐疲労特性の優れた大型構造物用高張力鋼板

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JPH05255800A
JPH05255800A JP8663692A JP8663692A JPH05255800A JP H05255800 A JPH05255800 A JP H05255800A JP 8663692 A JP8663692 A JP 8663692A JP 8663692 A JP8663692 A JP 8663692A JP H05255800 A JPH05255800 A JP H05255800A
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JP
Japan
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strength
fatigue
joint
tensile strength
strength steel
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Withdrawn
Application number
JP8663692A
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English (en)
Inventor
Koji Seto
厚司 瀬戸
Isao Soya
勇夫 征矢
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高張力鋼の継手疲労強度が向上しない欠点を
解消し、継手疲労強度を高めた大型構造物用高張力鋼板
を安定して得る。 【構成】 重量比でC:0.03〜0.30%、Si:
0.05〜0.60%、Mn:0.50〜2.5%、A
l:0.005〜0.1%を含有するとともに、フェラ
イトとベーナイトもしくは焼戻しマルテンサイトの混合
組織から成り、かつフェライト粒径が10μm以上であ
る溶接継手耐疲労特性の優れた大型構造物用高張力鋼
板。 【効果】 疲労破壊が問題となる大型構造物での使用に
際し、設計・施工面で特別な配慮を必要とせず高い疲労
強度を得ることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接継手耐疲労特性の優
れた大型構造物用高張力鋼板に関するものである。大型
構造物とは海洋構造物、船舶、橋梁等であって、それら
に使用する鋼板は、一般に板厚6〜200mm程度のい
わゆる厚板である。
【0002】
【従来の技術】一般に鋼板素材の疲労強度は素材強度の
増加につれて増加するが、溶接された継手の疲労強度
(以下、継手疲労強度という)は素材強度を上昇させて
も向上しないというのが通説となっていた。従って高張
力鋼の継手疲労強度は低強度鋼のそれとほぼ同じであ
り、疲労破壊が問題となる構造物では、高張力鋼を用い
ても設計強度を上げることができず、止端処理と呼ばれ
る改善処理により高張力鋼の継手疲労強度を確保する方
法が研究されてきた。例えば、グラインダーによって止
端を研削して止端半径を大きくする方法、TIG溶接お
よびプラズマ処理によって止端部を再溶融して止端形状
を滑らかにする方法(例えば特公昭54−30386号
公報)、ショットピーニングによって止端部に圧縮残留
応力を発生させる方法などが代表的な止端処理方法であ
る。
【0003】継手疲労強度が鋼板素材によらずほぼ同じ
である主因は、主に溶接継手止端に集中する弾性応力換
算でおよそ2〜5倍程度の応力、および溶接によって発
生する降伏応力程度の引張残留応力であり、これらの厳
しい条件が継手疲労強度の鋼材依存性をなくしているも
のと考えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高張力鋼の
継手疲労強度が向上しない欠点を解消するため、組織お
よび粒径を調整することによって、継手疲労強度を高め
た大型構造物用高張力鋼板を安定して得るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、重量比
でC:0.03〜0.30%、Si:0.05〜0.6
0%、Mn:0.50〜2.5%、Al:0.005〜
0.1%を含有するとともに、フェライトとベーナイト
もしくは焼戻しマルテンサイトの混合組織から成り、か
つフェライト粒径が10μm以上であることを特徴とす
る溶接継手耐疲労特性の優れた大型構造物用高張力鋼板
である。
【0006】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明は、フェライトとベーナイトもしく
は焼戻しマルテンサイトの混合組織にして高い引張強度
と低い降伏応力を確保し、溶接時に発生する引張残留応
力を小さくして継手疲労強度を向上させる。かつフェラ
イト粒径を一定以上にすることにより、溶接止端部から
母材への疲労亀裂伝播時の伝播速度を低下させるもので
ある。
【0008】次に本発明における成分限定理由を述べ
る。
【0009】Cは強度確保のため0.03%以上は必要
であるが、多くなると鋼の靱性および溶接性を害するの
で0.30%を上限とする。
【0010】Siは脱酸のために0.05%以上は必要
で添加されるが、多くなると溶接性を損なうので0.6
%以下とする。
【0011】Mnは安価に強度を上げる元素として有用
であり、強度確保のため0.5%以上は必要であるが、
多くなると溶接性を損なうので2.5%以下とする。
【0012】Alは脱酸のため0.005%以上必要で
あるが、多くなると鋼中介在物が多くなりすぎ、鋼の性
質を悪化させるため0.1%を上限とする。
【0013】さらに本発明の高張力鋼板の継手疲労強度
が向上するのは以下の理由による。
【0014】上記の添加元素をもとにつくられる高張力
鋼板は、必ずしも複合組織ではなくベーナイト、焼戻し
マルテンサイトなどの単相組織であることも多い。そし
てこれらの高張力鋼は、引張強度と降伏強度の両方とも
大きくなっている場合が多い。しかし高張力鋼の組織に
フェライトを混合させることにより、引張強度を確保し
ながら降伏強度をさげることができる。フェライトの割
合が増加するにつれて降伏強度は低下する。一方、溶接
時の残留応力は溶接止端部では引張応力であり、特に回
し溶接継手のような場合に大きく、その大きさは降伏強
度にまで達する。この状態で繰返し応力が負荷される
と、応力の上限は降伏応力で押さえられ、降伏応力から
応力振幅を差し引いた応力が平均応力となる。このよう
に溶接残留応力は平均応力として継手疲労強度に影響を
及ぼし、平均応力が低いほど継手疲労強度は大きくな
る。従って降伏応力を低くすることにより、これと大き
さのほぼ等しい引張残留応力を小さくでき、平均応力も
小さくなって継手疲労強度を大きくすることができる。
【0015】一般に疲労破壊の過程は疲労亀裂の発生と
伝播に分けられ、上述の効果は両過程に影響を及ぼす。
この疲労亀裂の伝播特性はda/dN(亀裂伝播速度)
〜ΔK(応力拡大係数範囲)の関係で表される。応力比
R≒0の状態では、一般にda/dN>10-8m/cy
cleの大きな伝播速度の範囲では鋼材依存性はほとん
ど認められないが、da/dN<10-8m/cycle
では鋼材により疲労亀裂伝播特性に差が見られる。特に
下限界応力拡大係数範囲ΔKthは、鋼板素材の粒径(混
合組織の場合はフェライト粒径)の増加とともに大きく
なる。フェライト粒径は高張力鋼の引張強度によっても
異なるが、フェライト〜ベーナイト組織の高張力鋼の平
均フェライト粒径は10μm程度と考えられ、これ以上
の粒径にすることにより低伝播速度範囲での疲労亀裂伝
播を遅らせることができる。つまり、ΔKが小さい場合
に(S−N線図の長寿命域で)この効果は大きくなる。
ただし、溶接継手で疲労亀裂の発生する止端部は溶接熱
影響部粗粒域であるので、この効果が現れるのは例えば
回し溶接継手の場合、疲労亀裂が板厚方向に1〜2mm
程度伝播して母材に突入した後の過程であり、亀裂発生
過程には効果がないのは明らかである。また、フェライ
ト粒径は大きくなるほど疲労亀裂伝播速度を遅らせる可
能性があるが、引張強度および降伏強度を確保するため
には、強度に応じた上限の大きさが存在する。
【0016】本発明では特に引張強度レベルを特定して
いないが、引張強度が高いほど本発明による継手疲労強
度の向上は大きい。また、フェライトと混合組織を形成
する組織としてベーナイトもしくは焼戻しマルテンサイ
トを対象としたが、その他転位密度の高い組織も用いる
ことが可能である。パーライトもフェライトとの混合組
織の対象となりうるが、パーライトでは500MPaク
ラスの強度が限界であり、あまり大幅な高強度化ははか
れないであろう。さらに、本発明は回し溶接継手のよう
な溶接残留応力の高い場合に特に有効であるが、十字隅
肉継手、T字隅肉継手においても疲労強度を向上させる
ことができる。
【0017】
【実施例】表1に示す成分を有する板厚20mmの鋼板
をフェライトとベーナイトの混合組織にし、かつフェラ
イト粒径を約15、20、23μmに調整した。機械的
性質を表2に示す。この鋼板にCO2 溶接を行って図1
のような回し溶接継手を作製し、片振り疲労試験(応力
比R=0)を行った。なお、比較のために焼戻しマルテ
ンサイト単相組織の鋼板、およびフェライトとベーナイ
トの混合組織でフェライト粒径が5μm程度の鋼板につ
いても、同様の溶接により回し溶接継手を作製して片振
り疲労試験を行った。疲労試験結果を図2に示す。本発
明の鋼板は焼戻しマルテンサイト鋼に比べて約3倍の寿
命を示している。さらに、本発明の鋼板は長寿命域で大
きな疲労強度向上を示している。フェライト粒径が5μ
m程度と小さい場合にはわずかに継手疲労強度の向上が
認められるが、ばらつきの範囲内にとどまっている。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明にかかる高張力鋼板は溶接継手の
耐疲労特性に優れている。従って、疲労破壊が問題とな
る大型構造物での使用に際し、設計・施工面で特別な配
慮を必要とせず高い疲労強度を得ることが可能であり、
工業的にその効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における試験片の形状を示す説明図であ
る。
【図2】板厚20mmの回し溶接継手疲労試験のS−N
線図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比でC:0.03〜0.30%、S
    i:0.05〜0.60%、Mn:0.50〜2.5
    %、Al:0.005〜0.1%を含有するとともに、
    フェライトとベーナイトもしくは焼戻しマルテンサイト
    の混合組織から成り、かつフェライト粒径が10μm以
    上であることを特徴とする溶接継手耐疲労特性の優れた
    大型構造物用高張力鋼板。
JP8663692A 1992-03-11 1992-03-11 溶接継手耐疲労特性の優れた大型構造物用高張力鋼板 Withdrawn JPH05255800A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06322477A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 湿潤硫化水素環境で疲労亀裂進展特性に優れる鋼材
JP2007332588A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Jfe Steel Kk Uリブ鋼床版

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06322477A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 湿潤硫化水素環境で疲労亀裂進展特性に優れる鋼材
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Effective date: 19990518